JP4797217B2 - 易開封性包装袋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切込の箇所から引き裂きを開始し切目線に沿って引き裂いて簡単に開封することができる易開封性包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層フィルムからなる易開封性包装袋においては、積層フィルムに切目線等の開封手段を形成するとともに、切目線等の開封手段の両端部に引き裂きを開始するための切込を形成した構成のものが知られているが、この構成の易開封性包装袋では、切目線等の開封手段を形成する工程と、切目線等の開封手段の両端部に切込を形成する工程が別工程であるために、開封手段と切込の位置にずれが生じるので、その場合に切込の箇所にて引き裂きを開始しても開封手段に沿って積層フィルムを切り取ることが困難になるという欠点がある。
また、特開平7−291307号公報に記載されているような、炭酸ガスレーザー吸収層を含む積層フィルムからなり包装袋であって、積層フィルムの炭酸ガスレーザー吸収層に炭酸ガスレーザーの照射により開封するための切目線が形成された構成の易開封性包装袋が知られているが、この構成の易開封性包装袋においても、引き裂きを開始するための切込を形成するには、切目線を炭酸ガスレーザーの照射により形成する工程と別の工程で行うことになり、形成された切込と切目線の位置にずれが生じることは避けられず、切込の箇所から引き裂きを開始しても切目線に沿って引き裂きにくいという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、切込と切目線の位置にずれが生じることがなく、且つ切込を形成する工程を削減して製造工程を簡略化できる易開封性包装袋を提供することである。
【0004】
本発明に係る易開封性包装袋の製造方法は、外面から順に、プラスチックフィルム層と、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着層からなるガスバリヤー層と、炭酸ガスレーザー吸収層と、熱接着性樹脂層とからなる積層フィルムにより形成された包装袋の製造方法であって、両側部に合掌熱接着領域を備えた所定巾を有する連続した積層フィルムの前記合掌熱接着領域に前記包装袋の開封を開始する切込を形成する工程と、前記切込から前記包装袋を開封する際に引裂く線に沿った切目線を前記積層フィルムの前記熱接着性樹脂層面から炭酸ガスレーザーを照射し前記炭酸ガスレーザー吸収層にのみ形成する工程と、前記積層フィルムの両側部の熱接着性樹脂層を熱接着して合掌熱接着部を形成する工程と、前記該合掌熱接着部と直交する前記積層フィルムの一方の端部の熱接着性樹脂層を熱接着して端縁熱接着部を形成するとともに内容物を充填する工程と、前記一方の端縁熱接着部から包装袋の上下方向の長さに相当する長さをおいて前記合掌熱接着部と直交する方向に熱接着して他方の端縁熱接着部を形成するとともに該端縁熱接着部の間をカットする工程とを備えており、前記連続した積層フィルムに炭酸ガスレーザーを、スキャンスピードを変えて照射することにより、前記切込と、前記切目線とを連続して形成する。これにより、炭酸ガスレーザーを積層フィルムの内面側である熱接着性樹脂層から照射して炭酸ガスレーザー吸収層にのみ切込及び切目線を形成するため、積層フィルムの最外層に設けられたプラスチックフィルム層を傷つけることなく包装袋を製造することができる。また、炭酸ガスレーザーの照射による切込及び切目線の形成を一つの工程で行うことができるので、機械的に切込を形成する場合のように切込を形成する工程を別に設ける必要がなくなり製造工程の簡略化が可能となる。
【0005】
また、本発明に係る易開封性包装袋を製造する製造方法は、前記切目線が、前記切込から伸び合掌熱接着部を横断し前記一方の端縁熱接着部に向かってV字状に延びて形成されていることを特徴としている。
【0006】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す斜視図、図2は本発明の第2実施形態を示す平面図、図は積層フィルムの構成を示す断面図、図は積層フィルムの他の構成を示す断面図、図は積層フィルムの更に他の構成を示す断面図、図は本発明の第1実施形態の易開封性包装袋を作製するための連続した積層フィルムを示す平面図であって、2は合掌熱接着部、2’は合掌熱接着領域、3a,3b は端縁熱接着部、3a’,3b’ は端縁熱接着領域、4は切込、5は切目線、6は折込部、6’は折込領域、7は側端熱接着部、8は上端熱接着部、9はカット線、11はプラスチック層、12 は接着層、13はアルミニウム箔層、14は炭酸ガスレーザー吸収層、15は熱接着性樹脂層を表す。
【0007】
本発明の第1実施形態は、図1に示すとおり、合掌熱接着部2と端縁熱接着部3aと端縁熱接着部3bにより形成され、合掌熱接着部2と平行な両側端部に内方への折込部6が形成されたガセットピロータイプ袋であって、一方の端縁熱接着部3aに近い合掌熱接着部2の側端に切込4が形成されるとともに、切込4から端縁熱接着部3aの側にV字状に延びて折込部6をよぎる切目線5が形成された構成である。第1実施形態の包装袋の合掌熱接着部2の切込4の上部を掴んで上方に引っ張ることにより、包装袋の合掌熱接着部2のある側の積層フィルムが切込4の部分からV字状に切れるとともに両側の折込部6が切目線5に沿って切れ、包装袋の正面側の積層フィルムを残した状態で大きく開口させることができる。
【0008】
本発明の第2実施形態は、図2に示すとおり、合掌熱接着部2と端縁熱接着部3aと端縁熱接着部3bにより形成されたピロータイプ袋であって、一方の端縁熱接着部3aに近い合掌熱接着部2の側端に切込4が形成されるとともに、切込4から端縁熱接着部3aの側にV字状に延びる切目線5が形成された構成である。第2実施形態の包装袋の合掌熱接着部2の切込4の上部を掴んで上方に引っ張ることにより、包装袋の合掌熱接着部2のある背面側の積層フィルムが切込4の部分からV字状に切れて包装袋の上部を開口させることができる。
【0010】
第1、第2実施形態において、炭酸ガスレーザーを照射することにより積層フィルムの炭酸ガスレーザー吸収層に切目線5を形成する際に、炭酸ガスレーザーの出力、繰り返し、パルス巾を一定にしてスキャンスピードを変化させることにより連続して切込4と切目線5が形成されるので、切込4と切目線5の位置がずれることがない。したがって、切込4の部分から引き裂きを開始して切目線5に沿って引き裂くことができるので容易に開封することができる。
【0011】
本発明の実施形態の易開封性包装袋を作製するための積層フィルムは図3図4図5に示す構成とすることができる。図3に示す構成は、外面から順にプラスチック層11と接着層12とアルミニウム箔層13と接着層12と炭酸ガスレーザー吸収層14と接着層12と熱接着性樹脂層 15が積層され、炭酸ガスレーザー吸収層14に切目線5が形成されている。積層フィルムの熱接着性樹脂層15面から炭酸ガスレーザーを照射することにより、炭酸ガスレーザーは熱接着性樹脂層15を透過し炭酸ガスレーザー吸収層14に吸収されるので、炭酸ガスレーザー吸収層14に切目線5が形成されるものである。図3に示す積層フィルムの場合、アルミニウム箔層13は包装袋のガスバリヤー性をよくするとともに、炭酸ガスレーザー吸収層14に形成された切目線5が外面から目立たなくしているので、包装袋の意匠性が損なわれることがない。図3に示す積層フィルムにおいて、アルミニウム箔層13をアルミニウム蒸着層とすることができ、その場合にも上記と同様の効果が得られる。図3の積層フィルムとしては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/押出ポリエチレン(EC)/アルミニウム箔(AL)/EC/PET/EC/ポリエチレン(PE)、PET/EC/アルミニウム蒸着層/PET/EC/PE、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)/EC/AL/EC/PET/EC/PE、PET/EC/AL/EC/2軸延伸ナイロン(ON)/EC/PE等であり、下線を付した層に切目線が形成される。
【0012】
に示す構成は、外面から順に炭酸ガスレーザー吸収層14と接着層12とアルミニウム箔層13と接着層12と熱接着性樹脂層15が積層され、炭酸ガスレーザー吸収層14に切目線5が形成されている。積層フィルムの炭酸ガスレーザー吸収層14面から炭酸ガスレーザーを照射することにより、炭酸ガスレーザー吸収層 14に切目線5が形成される。図4に示す積層フィルムにおいて、アルミニウム箔層13をアルミニウム蒸着層とすることができる。図4の積層フィルムとしては、PET/ドライラミネーション(DL)/AL/DL/PE、ON/DL/AL/DL/PE、PET/DL/アルミニウム蒸着層/PET/EC/PE等であり、下線を付した層に切目線が形成される。
【0013】
図5に示す構成は、外面から順にプラスチック層11と接着層12と炭酸ガスレーザー吸収層14と接着層12と熱接着性樹脂層15が積層され、炭酸ガスレーザー吸収層14に切目線5が形成されている。積層フィルムの熱接着性樹脂層15面から炭酸ガスレーザーを照射することにより、炭酸ガスレーザー吸収層14に切目 線5を形成することができる。図4に示す構成の場合は透明な易開封性包装袋とすることができる。図5の積層フィルムとしては、OPP/DL/ON/EC/PE、PET/DL/ON/DL/ポリプロピレン(PP)、PET/DL/ON/DL/PE等である。
【0014】
図3図4図5に示す構成の積層フィルムに、下記の条件にて炭酸ガスレーザーを照射することにより、炭酸ガスレーザー吸収層14に切目線5を形成することができるとともに、図4図5に示す積層フィルムでは、アルミニウム箔層13が破断するかそのままの状態で他の層を貫通する切込が形成され、図3に示す積層フィルムでは、積層フィルムを貫通する切込が形成される。
Figure 0004797217
【0015】
積層フィルムを構成するプラスチック層11としては2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ポリプロピレン、2軸延伸ナイロン等が使用できる。炭酸ガスレーザー吸収層14としては2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ナイロン、ポリカーボネート等が使用でき、これらのフィルムは波長が10.6μmの炭酸ガスレーザーを吸収するので、炭酸ガスレーザーを集光してこれらのフィルム面に照射することより、フィルムの照射された部分が発熱・溶融・ミスト化、或いは発熱・分解・灰化などにより除去して切目線を形成することができるものである。熱接着性樹脂層15としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が使用でき、これらのフィルムは炭酸ガスレーザーを余り吸収しない性質を有しているので切目線を形成する炭酸ガスレーザーの照射条件では切目線は形成されない。
【0016】
第1実施形態の易開封性包装袋を作製するための連続した積層フィルムは図6に示すとおりである。連続した積層フィルムはガセットピロータイプ袋を作製するための所定巾を有しており、積層フィルムの両側部がそれぞれ所定巾の合掌熱接着領域2'が設けられるとともに、包装袋の上下方向の長さに相当する間隔をおいてカット線9が設けられ、カット線9を挟む上部に端縁熱接着領域3b' が下部に端縁熱接着領域3a' 設けられており、積層フィルムの両側端に包装袋の上下方向の長さに相当する間隔をおいて端縁熱接着領域3a' の下縁から一定間隔をおいた位置に積層フィルムの両端部にそれぞれ切込4が形成され、その切込4から端縁熱接着領域3a' の側に斜めに延びて折込形成領域6'の内縁に達する切目線5が形成された構成である。
【0017】
図6に示す連続した積層フィルムの両側部の合掌熱接着領域2'を合わせて熱接着して合掌熱接着部を形成するとともに、端縁熱接着領域3b' を熱接着した後に端縁熱接着領域3a' と端縁熱接着領域3b' 間のカット線9にてカットすることにより製袋される。製袋された包装袋に内容物を充填して端縁熱接着領域3a' を熱接着することにより、図1に示す第1実施形態の易開封性包装袋となる。所定巾にスリットされた積層フィルムを使用して、製袋機にて製袋する工程において、積層フィルムの熱接着性樹脂層面から炭酸ガスレーザーをスキャンスピードを変えて照射することにより、端縁熱接着領域2'の所定位置に切込4を形成するとともに、切込に連続する所定形状の切目線5を形成するものである。
【0018】
【発明の効果】
炭酸ガスレーザー吸収層と熱接着性樹脂層を有する積層フィルムからなる包装袋において、炭酸ガスレーザを照射することにより、包装袋の開封を開始する端部の積層フィルムに切込を形成し、前記切込から包装袋を開封する際に引き裂く線に沿って積層フィルムの前記炭酸ガスレーザー吸収層に切目線を形成した構成とすることにより、炭酸ガスレーザの照射による切込および切目線の形成を一つの工程で行うことができるので、機械的に切込を形成する場合のように切込を形成する工程を別に設ける必要がなくなり製造工程の簡略化で可能となる。
上記易開封性包装袋において、切込および切目線が、積層フィルムへ炭酸ガスレーザを照射するに際し、炭酸ガスレーザの出力、繰り返し、パルス巾を一定にしてスキャンスピードを変化させることにより連続して形成された構成とすることにより、切込および切目線を連続して形成できるので、別工程で切込を形成する場合のように切込と切目線の位置のずれがなくなり、包装袋を切込の箇所から引き裂いて開封するのが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の第2実施形態を示す平面図。
【図3】積層フィルムの構成を示す断面図。
【図4】積層フィルムの他の構成を示す断面図。
【図5】積層フィルムの更に他の構成を示す断面図。
【図6】本発明の第1実施形態の易開封性包装袋を作製するための連続した積層フィルムを示す平面図。
【符号の説明】
2 合掌熱接着部8 上端熱接着部
2' 合掌熱接着領域 9 カット線
3a, 3b 端縁熱接着部 11 プラスチック層
3a', 3b' 端縁熱接着領域 12 接着層
4 切込 13 アルミニウム箔層
5 切目線 14 炭酸ガスレーザー吸収層
6 折込部 15 熱接着性樹脂層
6' 折込領域

Claims (3)

  1. 外面から順に、プラスチックフィルム層と、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着層からなるガスバリヤー層と、炭酸ガスレーザー吸収層と、熱接着性樹脂層とからなる積層フィルムにより形成された包装袋の製造方法であって、
    両側部に合掌熱接着領域を備えた所定巾を有する連続した積層フィルムの前記合掌熱接着領域に前記包装袋の開封を開始する切込を形成する工程と、前記切込から前記包装袋を開封する際に引裂く線に沿った切目線を前記積層フィルムの前記熱接着性樹脂層面から炭酸ガスレーザーを照射し前記炭酸ガスレーザー吸収層にのみ形成する工程と、
    前記積層フィルムの両側部の熱接着性樹脂層を熱接着して合掌熱接着部を形成する工程と、
    前記該合掌熱接着部と直交する前記積層フィルムの一方の端部の熱接着性樹脂層を熱接着して端縁熱接着部を形成するとともに内容物を充填する工程と、
    前記一方の端縁熱接着部から包装袋の上下方向の長さに相当する長さをおいて前記合掌熱接着部と直交する方向に熱接着して他方の端縁熱接着部を形成するとともに該端縁熱接着部の間をカットする工程とを備えており、
    前記連続した積層フィルムに炭酸ガスレーザーを、スキャンスピードを変えて照射することにより、前記切込と、前記切目線とを連続して形成することを特徴とする易開封性包装袋の製造方法。
  2. 外面から順に、プラスチック層と、炭酸ガスレーザー吸収層と、熱接着性樹脂層とからなる積層フィルムにより形成された包装袋の製造方法であって、
    両側部に合掌熱接着領域を備えた所定巾を有する連続した積層フィルムの前記合掌熱接着領域に前記包装袋の開封を開始する切込を形成する工程と、前記切込から前記包装袋を開封する際に引裂く線に沿った切目線を前記積層フィルムの前記熱接着性樹脂層面から炭酸ガスレーザーを照射し前記炭酸ガスレーザー吸収層にのみ形成する工程と、
    前記積層フィルムの両側部の熱接着性樹脂層を熱接着して合掌熱接着部を形成する工程と、
    前記該合掌熱接着部と直交する前記積層フィルムの一方の端部の熱接着性樹脂層を熱接着して端縁熱接着部を形成するとともに内容物を充填する工程と、
    前記一方の端縁熱接着部から包装袋の上下方向の長さに相当する長さをおいて前記合掌熱接着部と直交する方向に熱接着して他方の端縁熱接着部を形成するとともに該端縁熱接着部の間をカットする工程とを備えており、
    前記連続した積層フィルムに炭酸ガスレーザーを、スキャンスピードを変えて照射することにより、前記切込と、前記切目線とを連続して形成することを特徴とする易開封性包装袋の製造方法。
  3. 前記切目線が、前記切込から伸び合掌熱接着部を横断し前記一方の端縁熱接着部に向かってV字状に延びて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の易開封性包装袋の製造方法。
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