JP3813296B2 - 易開封性包装用袋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開封性包装用袋に関し、更に詳しくは、易開封性を有し、更に、再封鎖性を有する易開封性包装用袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲食品、雑貨品、医薬品、工業製品、その他の物品の充填包装に適する軟包装用袋としては、種々のものが開発され、提案されているが、それらの一つに、最内層が線状低密度ポリエチレンとエチレン−ブテン−1共重合体のブレンド物フィルムであり、中間層が二軸延伸ポリオレフィンフィルムであり、最外層が二軸延伸ナイロンフィルムである三層積層フィルムから製造した包装用袋が提案されている(特開平5−193079号公報、特開平5−245990号公報、特開平5−278747号公報等)。
このものは、耐衝撃性と、耐環境ストレスクラッキング性に優れ、更に易開封性の良好なものであるとして提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記で提案されている包装用袋においては、開封時に包装用袋を引き裂いて易開封性を保持するためにのみ中間層が存在するものと思われるが、その中間層として使用されている二軸延伸ポリオレフィンフィルムは、赤外二色法による流れ方向の配向度MDと流れ方向と交叉する方向の配向度TDの比MD/TDが2以上であることが必要であり、このために最内層および最外層を構成するフィルムとの接着強度が弱く、時間の経過と共に層間で剥離し易くなるという問題点がある。
また、上記で提案されている包装用袋においては、中間層そのもの自体の存在が、その分だけ製造コスト等の増加につながるものである。
ところで、詰め替え用洗剤等の充填包装に適する包装用袋としては、耐衝撃性、耐環境ストレスクラッキング性、シ−ルの安定性、保香性等の各種の重要な性能が要求され、保存安定性等に富むものでなければならず、これは逆に包装用袋の開封に際しては、その易開封性を困難にし兼ねないものである。
また、詰め替え用洗剤等の充填包装に適する包装用袋としては、その使用時に内容物を洗剤容器に移し替えなければならないものであり、そのために、包装用袋には、適度の強度、剛性等を有してその取り扱いに便利なものでなければならず、またその開封に際しては、易開封性であることが要求されるものである。
【0004】
本発明者は、上記のような問題点を改良するものとし、先に、内層がヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムであり、外層が強度に優れた樹脂のフィルムである二層からなる積層体であって、かつ、該強度に優れた樹脂のフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に開封用切れ目を刻設してなる易開封用包装材料、それを使用した易開封性包装用袋および易開封性包装体を提案したものである(特開平8−324591号公報参照)。
しかしながら、本発明者が、先に提案した易開封用包装材料、それを使用した易開封性包装用袋および易開封性包装体においては、易開封性の機能を奏する開封用切れ目が、その包装袋あるいは包装体の表面に露出しているものである。
そこで本発明は、耐衝撃性、、耐環境ストレスクラッキング性、シ−ルの安定性、保香性、保存安定性、易開封性等の諸機能を充足し、その取り扱いが便利であり、更に、袋体の表面に刻設されてる開封用切れ目が、その表面に露出していない、詰め替え用洗剤等の充填包装に適する易開封性包装用袋を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、内層として、ヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムを使用し、外層として、剛性等を有する強度に優れた樹脂のフィルムを使用し、少なくとも上記の二層からなり、更に、該強度に優れた樹脂のフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に開封用切れ目を刻設し、また、該開封用切れ目を含む強度に優れた樹脂のフィルムの全面に保護膜層を設けた構成からなる積層体を製造し、更に、該積層体を構成するヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム面を対向して重ね合わせ、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を製造し、而して、該袋体の開口部から、例えば、詰め替え用洗剤等を充填し、しかる後、その開口部をシ−ルして密閉して包装製品を製造したところ、耐衝撃性、、耐環境ストレスクラッキング性、シ−ルの安定性、保香性、保存安定性、易開封性等の諸機能を充足し、その取り扱いが便利であり、更に、その表面には、保護膜層により開封用切れ目が、覆われていて、露出しておらず、例えば、詰め替え用洗剤等の種々の物品の充填包装に適する包装用袋を提供することができることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、請求項1に記載した発明は、内層がヒートシール性を有する樹脂のフィルムであり、外層が強度に優れた樹脂のフィルムである少なくとも二層からなり、該強度に優れた樹脂のフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に、炭酸ガスレーザ照射による少なくとも一本の連続状切れ目線からなる開封用切れ目刻設されると共に、該開封用切れ目を含む強度に優れた樹脂のフィルムの全面に保護膜層設けられた積層体からなり、該積層体を構成するヒートシール性を有する樹脂のフィルム面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部をヒートシールしてシール部を設けてなる袋体であって前記ヒートシール性を有する樹脂のフィルムが、線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムで、且つ、前記開封用切れ目の切れ目溝の巾が、80μm〜200μmであることを特徴とする易開封性包装用袋からなる。
また、請求項2に記載した発明は、前記開封用切れ目の下部に、凹凸嵌合により繰返嵌合可能なチャックテープを設けたことを特徴とする請求項1記載の易開封性包装用袋からなる。
そして、請求項3に記載した発明は、前記積層体が、内層が前記ヒートシール性を有する樹脂のフィルムであり、中間層がバリアー性基材層であり、外層が強度に優れた樹脂のフィルムである少なくとも三層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の易開封性包装用袋からなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる易開封性包装用袋の構成についてその一例を挙げて図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかる易開封性包装用袋を構成する積層体の層構成を示す概略的断面図であり、図3は、図1に示す積層体を使用して製造した本発明にかかる易開封性包装用袋の構成を示す概略的斜視図であり、図4は、図3に示す本発明にかかる易開封性包装用袋のY−Y′における概略的切断断面図であり、図5は、図3に示す本発明にかかる易開封性包装用袋内に内容物を充填包装した包装製品の構成を示す概略的斜視図であり、図6は、図1に示す積層体を使用して製造した本発明にかかる易開封性包装用袋について別の形態からなる易開封性包装用袋の構成を示す概略的斜視図であり、図7は、図6に示す本発明にかかる別の形態からなる易開封性包装用袋のY1 −Y′1 における概略的切断断面図である。
【0008】
まず、本発明において、本発明にかかる易開封性包装用袋を構成する積層体について説明すると、かかる積層体としては、種々の形態のものがあるが、例えば、図1に示すように、内層がヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム1であり、外層が強度に優れた樹脂のフィルム2である少なくとも二層からなり、更に、該強度に優れた樹脂のフィルム2に、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に開封用切れ目3を刻設し、また、該開封用切れ目3を含む強度に優れた樹脂のフィルム2の全面に保護膜層4を設けた構成からなる積層体Aを挙げることができる。
あるいは、本発明において、本発明にかかる易開封性包装用袋を構成する積層体としては、図2に示すように、内層がヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム1であり、中間層がバリア−性基材層5であり、外層が強度に優れた樹脂のフィルム2である少なくとも三層からなり、更に、該強度に優れた樹脂のフィルム2に、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に開封用切れ目3を刻設し、また、該開封用切れ目3を含む強度に優れた樹脂のフィルム2の全面に保護膜層4を設けた構成からなる積層体Bを挙げることができる。
上記の例示は、本発明にかかる易開封性包装用袋を構成する積層体についてその一二の例示であり、これによって本発明は限定されるものではない。
本発明においては、包装目的、内容物の種類、包装製品の流通・保存形態、その他等によって、種々の材料を使用して積層体を構成することができることは言うまでもないことである。
【0009】
次に、本発明において、本発明にかかる易開封性包装用袋についてその一例を挙げると、図3および図4に示すように、例えば、上記の図1に示す積層体Aを使用し、まず、積層体A、Aを構成するヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム1、1面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部6、6、6を設けて袋体を製造して、本発明にかかる易開封性包装用袋Cを製造することができる。
図中、2、3、4、A等は、前述の図1に示す意味と同じ意味である。
なお、本発明においては、上記の例示は、その一例であり、例えば、上記の図2に示す積層体を使用し、上記と同様にして、本発明にかかる易開封性包装用袋を製造することができることは言うまでもないことである。
【0010】
次に、本発明においては、図5に示すように、上記のようにして製造した本発明にかかる易開封性包装用袋C内に、その開口部から内容物7を所定量充填し、しかる後その開口部をヒ−トシ−ルして上端シ−ル部8を形成して、内容物7を充填包装した包装製品Dを製造することができる。
なお、図中、6等は、前述の図3および図4に示す意味と同じ意味である。
而して、本発明においては、開封用切れ目3、3の延長部に相当する箇所のシ−ル部6、6に、例えば、包装用袋Cを開封するときに、開封用開始点となる開封用ノッチ9、9等を刻設し、この部分を手に持って、包装用袋Cを左右あるいは上下に引き裂くことにより、該包装用袋Cを開封し、その内容物7を取り出してその用に供することができるものである。
【0011】
次に、本発明において、本発明にかかる易開封性包装用袋について別の形態からなる易開封性包装用袋を例示すると、図6および図7に示すように、例えば、上記の図1に示す積層体Aを使用し、まず、積層体A、Aを構成する開封用切れ目3、3の下部の部分に、例えば、凹部10と凸部11とからなる繰返嵌合可能なチャックテ−プ12を設け、しかる後該積層体A、Aを構成するヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム1、1面を対向させて重ね合わせ、次いで、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部6、6、6を設けて袋体を製造して、本発明にかかる別の形態からなる易開封性包装用袋Eを製造することができる。
なお、図中、2、4等は、前述の図1〜5に示す意味と同じ意味である。
而して、本発明において、上記のような易開封性包装用袋の場合には、内容物を詰め替え用容器に移し替えた後、該易開封性包装用袋内に内容物が残存しているときに、その内容物を再使用するために、凹部と凸部とからなる繰返嵌合可能なチャックテ−プを介して、該易開封性包装用袋を再封鎖することができるものである。
【0012】
上記の例示は、本発明にかかる易開封性包装用袋の一二例を示すものであり、これによって本発明は限定されるものではなく、例えば、本発明にかかる易開封性包装用袋の包装形態としては、上記のように四方シ−ル型包装形態の袋体だけではなく、例えば、後述するように、二方シ−ル型包装形態、三方シ−ル型包装形態、ガゼットシ−ル型包装形態、自立性包装形態(スタンディングパウチ包装形態)、その他等のいずれの包装形態を採り得るものである。
【0013】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる易開封性包装用袋を構成する材料、その製造法等について説明すると、まず、上記の本発明において、内層として使用するヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムについて説明すると、かかる樹脂のフィルムとしては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トは、単層ないし多層で使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、10μm以上、好ましくは、40μm以上、さらには、80μmないし200μm位が望ましい。
【0014】
特に、本発明において、ヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムとしては、外層としての強度を有する樹脂のフィルムに対して、約2ないし20倍位の厚さ、好ましくは、4ないし10倍位の厚さを有することが望ましい。
本発明においては、上記のような厚さのフィルムを使用することによって、フィルムの剛性、強度等を増し、外層としての強度に優れた樹脂のフィルムが有する物性等と相まって、包装用袋を構成したときに袋としての姿勢維持性が良好となり、消費者の詰め替え作業等が容易となり、更に流通過程で店頭での取り扱い等が便利になるという利点を有し、更には内容物の保香性等も保持するものである。
【0015】
ところで、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムの中でも、特に、内層として使用するヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムとしては、線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムないしシ−トを使用することが最も好ましいものである。
すなわち、上記の線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムは、粘着性を有することから破断の伝搬が少なく耐衝撃性を向上させるという利点があるものであり、また、内層は常時内容物に接触していることから、耐環境ストレスクラッキング性の劣化を防止するためにも有効なものである。
また、本発明においては、線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体に、他の樹脂をブレンドすることもでき、例えば、エチレン−ブテン共重合体等をブレンドすることにより、若干、耐熱性に劣り高温環境下ではシ−ル安定性が劣化する傾向があるものの、引き裂き性が向上し、易開封性に寄与するという利点がある。
【0016】
更に、本発明において、上記のようなヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムとしての線状低密度ポリエチレンとしては、具体的には、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体のフィルムないしシ−トを同様に使用することができる。
上記のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体のフィルムないしシ−トとしては、例えば、二塩化ジルコノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる触媒、すなわち、メタロセン触媒を使用して重合してなるエチレン−α・オレフィン共重合体のフィルムないしシ−トを使用することができる。
メタロセン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである。
具体的には、三菱化学株式会社製の商品名「カ−ネル」、三井石油化学工業株式会社製の商品名「エボリュ−」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティ−(AFFINITY)、商品名「エンゲ−ジ(ENGAGE)」等のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体のフィルムを使用することができる。
而して、本発明において、上記のエチレン−α・オレフィン共重合体のフィルムとしては、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜等の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムとしては、単層ないし多層で使用することができ、その厚さとしては、5μmないし300μm位、好ましくは、10μmないし100μm位が望ましい。
本発明において、上記のようなヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムとして、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体のフィルムないしシ−トを使用する場合には、袋体を製造するときに、低温ヒ−トシ−ル性が可能であるという利点を有するものである。
【0017】
次にまた、上記の本発明において、外層として使用する剛性を有し、強度に優れた樹脂のフィルムについて説明すると、かかる樹脂のフィルムとしては、包装用袋を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムの厚さとしては、強度、剛性等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、後述するレ−ザ加工不良等を発生して引き裂き性が低下し、またコストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、剛性等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
【0018】
ところで、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムの中でも、外層としての樹脂のフィルムとしては、剛性を有し、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等の諸物性に優れ、かつ印刷適性も有している二軸延伸ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルムを使用することが最も好ましいものである。
また、上記の二軸延伸ポリアミドフィルム等は、その配向がフィルムの流れ方向に近く、重ね合わせたときも引き裂きずれが非常に小さく、かつ後述するように、炭酸ガスレ−ザの発振波長に吸収があることから、開封用切れ目を設けるときのレ−ザ加工を容易に行うことができるという利点を有するものである。
かかる二軸延伸ポリアミドフィルムとしては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6、10等のナイロンフィルムであって、NONコ−ト二軸延伸フィルム、ポリ塩化ビニリデンコ−ト二軸延伸フィルム等を使用することができる。
【0019】
次にまた、上記の本発明において、保護膜層について説明すると、かかる保護膜層は、強度を有する樹脂のフィルムに刻設されている開封用切れ目を全面的に被覆してその表面を保護すると共に、更に、該強度を有する樹脂のフィルムの機能、作用等を補助ないし補強する役目を奏するものであり、例えば、樹脂のフィルムないしシ−トを積層することにより、あるいは、樹脂をビヒクルの主成分とし、これに所望の添加剤を任意に添加し、十分に混練してなる樹脂組成物をコ−ティングしてコ−ティング膜を形成することにより保護膜層を設けることができるものである。
上記において、樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、前述の強度に優れた樹脂のフィルム、あるいは、ヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
また、上記において樹脂組成物を構成するビヒクルとしての樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の各種の樹脂の一種ないしそれ以上を使用することができる。
而して、本発明において、上記の保護膜層の膜厚としては、膜厚が厚過ぎると、包装用袋の開封性に支障を来して、易開封性包装用袋の開封が困難になるという問題点があり、また、膜厚が薄すぎると、表面之保護膜層としての機能が薄れるという問題点があり、約3〜30μm位、好ましくは、約5〜20μm位が望ましい。
【0020】
次に、上記の本発明において、中間層として使用するバリア−性基材層について説明すると、かかるバリア−性基材層としては、例えば、太陽光等の光を遮光する性質、あるいは水蒸気、水、酸素等のガス等を透過しない性質等を有する材料を使用することができ、これは、単体の基材でもよく、あるいは二種以上の基材を組み合わせてなる複合基材等であってもよい。
具体的には、例えば、遮光性とバリア−性を有するアルミニュウム箔またはその蒸着膜を有する樹脂のフィルム、バリア−性を有する酸化珪素、酸化アルミニュウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、ガスバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
更に、上記において、アルミニュウム箔としては、5μmないし30μm位の厚さのもの、また、アルミニュウムまたは無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ100Åないし2000Å位のものを使用することができる。
また、上記の蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカ−ボネ−トフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニ
ルアルコ−ルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、その他等を使用することができる。
【0021】
更に、上記において、上記の無機酸化物の蒸着膜層を構成する無機酸化物としては、例えば、ケイ素酸化物(SiOx )、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム等を使用することができる。
更に、本発明においては、無機酸化物としては、一酸化ケイ素と二酸化ケイ素との混合物、あるいはケイ素酸化物と酸化アルミニウムとの混合物であってもよい。
而して、本発明において、無機酸化物の薄膜層を形成する方法としては、イオンビ−ム法、電子ビ−ム法等の真空蒸着法、スパッタリング法等によって蒸着膜を構成することによって形成することができる。
上記において、無機酸化物の薄膜層の厚さとしては、十分なバリア−性を得るために、通常、100Å〜2000Å位であることが好ましく、特に、本発明においては、200Å〜1500Å位が望ましい。
上記において、無機酸化物の薄膜層の厚さが、1500Åを超えると、特に、2000Åを超えると、無機酸化物の薄膜層にクラック等が入りやすくなり、そりによりバリア−性が低下するという危険性があると共に、材料コストが高くなるという問題点であるので好ましくはなく、また、100Å未満、特に、200Å未満では、その効果が認められることが困難であり、好ましくない。
【0022】
ところで、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する積層材には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0023】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用するラミネ−ト法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、共押し出しラミネ−ション法、その他の方法等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0024】
ところで、上記のような積層体の製造法において、押し出しラミネ−トする際の接着性樹脂層を構成する押し出し樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポエイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン−アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体、あるいはそれらを変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、その他等を使用することができる。
また、本発明において、ドライラミネ−トする際の接着剤層を構成する接着剤としては、具体的には、ドライラミネ−ト等において使用される2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、その他等を使用することができる。
【0025】
次にまた、上記の本発明において、上記の強度に優れた樹脂のフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に開封用切れ目を刻設する方法等について説明すると、かかる方法としては、例えば、加熱した針を押し付けるニ−ドルパンチ法、エンボスロ−ル、研磨ロ−ル、砥石、研磨テ−プ等を使用してフィルムを溶融し、穿孔する熱溶融穿孔法、ナイフ、カッタ−等を使用する物理的穿孔法、レ−ザ−ビ−ム加工、コロナ放電、プラズマ放電等の加工法、その他等の方法によって行うことができる。
而して、本発明において、強度に優れた樹脂のフィルムに開封用切れ目を刻設するに当たっては、少なくとも二層ないし三層あるいはそれ以上からなる積層体の状態、すなわち、保護膜層を設けない状態において刻設することが望ましいものである。
本発明において、開封用切れ目の形状としては、直線状、曲線状、ミシン目線状、破線状、その他等の任意の形状でよく、その本数は、一本ないしそれ以上でよく、また連続状あるいは不連続状等のいずれでもよい。
また、その切れ目の構造は、貫通孔ないし透過孔の状態、あるいはハ−フカットの状態、あるいはそれらが混在するような状態等のいずれの状態でもよく、本発明においては、その部分が弱体化して袋の開封用の切れ目として作用すればよいものである。
更に、本発明において、上記の開封用切れ目の切れ目溝の巾としては、80〜200μm位のものが好ましい。
上記において、80μm未満であると、開封性が劣って好ましくなく、また、200μm以上であると、開封性には富むが、破袋等の現象が発生して好ましくないものである。
【0026】
ところで、本発明においては、強度に優れた樹脂のフィルムに開封用切れ目を設ける方法としては、パルスまたは連続発振タイプのレ−ザの照射を用いて直線状またはミシン目状の開封用切れ目を刻設する方法が最も好ましい方法である。
特に、レ−ザ加工で樹脂のフィルムに開封用切れ目を刻設する場合、樹脂のフィルムにレ−ザ発振波長の吸収があることが必要となることから、炭酸ガスレ−ザを用いて開封用切れ目を刻設することが最適である。
更に、本発明においては、炭酸ガスレ−ザ光の10.6ミクロンの波長は、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム等に選択的に吸収されやすく、また線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムではそのほとんどが透過されることから、本発明において、内層としてのヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムとして、線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムを使用し、外層としての強度に優れた樹脂のフィルムとして、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィム等を使用し、その両者を組み合わせて積層してなる二層ないし三層からなる積層体を使用し、これに炭酸ガスレ−ザを照射してレ−ザ加工を行うと、上記の二軸延伸ナイロンフィルムあるいはポリエステルフィルムのみに開封用切れ目を刻設することができ、かつ該開封用切れ目は、線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムが溶融してその孔を閉塞することがなく、開封に際しては、極めて良好に袋を引き裂いて開封することができるという利点があって好ましいものである。
【0027】
次に本発明において、上記の積層体を使用して製造する易開封性包装用袋について説明すると、かかる易開封性包装用袋は、積層体を構成するヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム面を対向して重ね合わせ、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を製造することができ、更には、袋体の内面であり、かつ、該開封用切れ目の下部の部分に、繰返嵌合可能なチャックテ−プを設けた構成からなる袋体も製造することができるものである。
而して、その製袋方法としては、上記の易開封用包装材料を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の易開封性包装用袋を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
【0028】
次に、本発明において、本発明にかかる易開封性包装用袋を製造するときに使用する繰返嵌合可能なチャックテ−プとしては、前述の図7に示すように、平坦な支持部にそれぞれ凹部10と凸部11とを設け、該凹部10と凸部11とで凹凸嵌合体部分を形成することができ、かつ、再封鎖性を有するフック型のチャックテ−プ12等を使用することができる。
上記のチャックテ−プとしては、前述の易開封性包装用袋を製造する際に使用する積層体を構成する最内面のヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムとヒ−トシ−ルして接着性を有するものを使用することが好ましく、上記の最内面のヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムの種類にもよるが、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖(線状)低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アイオノマ−樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のヒ−トシ−ル性を有する樹脂からなる成形体を使用することができる。
例えば、本発明にかかる易開封性包装用袋を製造するときに使用する積層体を構成する最内層のヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムとして、ヒ−トシ−ル性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムが使用される場合、本発明において、チャックテ−プとしては、上記の積層材を構成する最内層のヒ−トシ−ル性フィルムとしてのヒ−トシ−ル性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムと同質の樹脂を使用し、これを素材として成形されるポリプロピレン系樹脂製成形体を使用することが好ましいものである。
而して、本発明においては、本発明にかかる易開封性包装用袋を製造するに際し、前述の積層体と積層体との間の所定の箇所に、チャックテ−プを介在させ、該チャックテ−プを積層体のそれぞれの最内面層にヒ−トシ−ルさせて固着することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルする方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明において、包装用袋に上記の開封用切れ目および上記の繰返嵌合可能なチャックテ−プを設ける位置は、基本的には、包装製品の最適開封位置に相当する個所であれば、何れの位置に設けてもよく、例えば、包装製品の上部であって、その開口部に相当する位置、あるいは、包装製品の上部の角隅部であって、その開口部に相当する斜め状の位置等に設けることができる。
【0029】
次に、本発明においては、上記で製造した易開封性包装用袋の開口部から、例えば、飲食品、雑貨品、医薬品、詰め替え用洗剤(溶液または粉末)等の工業製品、その他の物品等を充填し、しかる後その開口部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して、本発明にかかる易開封性包装製品を製造することができる。
而して、上記の易開封性包装製品は、耐衝撃性、、耐環境ストレスクラッキング性、シ−ルの安定性、保香性、保存安定性等の諸機能を充足し、流通段階等において包装上のトラブルがなく、また、その袋は、剛性を有してその取り扱いに便利であり、特に、開封に際しては、開封用切れ目から袋を簡単に引き裂いて開封することができ、その取り扱い易いものである。
また、包装用袋あるいは包装製品の表面には、開封用切れ目の部分が保護膜層で被覆されていることから、表面部分の保護と共に悪戯等の防止にもなるものである。
【0030】
【実施例】
次に本発明について実施例を挙げて更に詳しく本発明を説明する。
実施例1
厚さ30μmの二軸延伸ナイロンフィルムの片面に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし(コ−ティング量、約5g/cm2 ・dry)、次に、該接着剤面に厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して二層からなる積層体を製造した。
次に、上記で製造した二層からなる積層体のナイロンフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に、発振波長10.6ミクロンの炭酸ガスレ−ザ照射機(米国、シンラッド社製、機種名、48−1−28W)を使用して、出力を4Wとし搬送速度40m/分でレ−ザ照射し、そのナイロンフィルムの表面に連続線の開封用切れ目を刻設した。
上記の開封用切れ目の切れ目溝の巾は、120μmであった。
次いで、上記で開封切れ目を刻設したナイロンフィルムの上に、上記と同様に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし(コ−ティング量、約5g/cm2 ・dry)、次に、該接着剤層面に、ポリ塩化ビニリデン樹脂コ−ト層を有する厚さ12μの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムをドライラミネ−トして積層して、易開封性包装用袋製造用積層体を製造した。
次に、上記の易開封性包装用袋製造用積層体を使用し、前壁と後壁と逆V字型の底壁とを打ち抜いて用意し、その前壁と後壁と逆V字型の底壁とを、それらの無延伸ポリプロピレンフィルム面を対向させ、その周辺端部をヒ−トシ−ルして、スタンディングパウチ(自立性袋)を製造した。
次いで、上記で製造したスタンディングパウチ(自立性袋)を使用し、その開口部から固形ス−プを充填し、次いでその開口部をヒ−トシ−ルし、密閉して包装製品を製造した。
上記と同様にして、包装体10袋を製造した。
【0031】
実施例2
厚さ25μmの二軸延伸ナイロンフィルムの片面に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし(コ−ティング量、約5g/cm2 ・dry)、次に、該接着剤面に、厚さ7μmのアルミニウム箔をドライラミネ−トし、更に、該アルミニウム箔の面に、上記と同様に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし(コ−ティング量、約5g/cm2 ・dry)、次に、該接着剤面に、厚さ60μmのむ延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して三層からなる積層体を製造した。
次に、上記の三層からなる積層体を使用し、そのナイロンフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に、発振波長10.6ミクロンの炭酸ガスレ−ザ照射機(米国、シンラッド社製、機種名、48−1−28W)を使用して、出力を4Wとし搬送速度30m/分でレ−ザ照射し、そのナイロンフィルム面に加工間隔0.2mmのミシン目状の不連続の開封用切れ目を刻設した。
上記の開封用切れ目の切れ目溝の巾は、100μmであった。
次いで、上記で開封切れ目を刻設したナイロンフィルムの上に、上記と同様に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし(コ−ティング量、約5g/cm2 ・dry)、次に、該接着剤層面に、厚さ12μの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムをドライラミネ−トして積層して、易開封性包装用袋製造用積層体を製造した。
次に、上記の易開封性包装用袋製造用積層体を使用し、前壁と後壁と逆V字型の底壁とを打ち抜いて用意し、その前壁と後壁と逆V字型の底壁とを、それらの無延伸ポリプロピレンフィルム面を対向させ、その周辺端部をヒ−トシ−ルして、スタンディングパウチ(自立性袋)を製造した。
しかる後、上記で製造したスタンディングパウチを使用し、その開口部から500mlの詰め替え用液体洗剤を充填し、次いでその開口部をヒ−トシ−ルし、密閉して包装製品を製造した。
上記と同様にして、包装体10袋を製造した。
【0032】
実施例3
厚さ30μmの二軸延伸ナイロンフィルムの片面に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし(コ−ティング量、約5g/cm2 ・dry)、次に該接着剤面に厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して二層からなる積層体を製造した。
次に、上記で製造した二層からなる積層体のナイロンフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に、発振波長10.6ミクロンの炭酸ガスレ−ザ照射機(米国、シンラッド社製、機種名、48−1−28W)を使用して、出力を4Wとし搬送速度40m/分でレ−ザ照射し、そのナイロンフィルムの表面に連続線の開封用切れ目を刻設した。
上記の開封用切れ目の切れ目溝の巾は、120μmであった。
更に、上記で開封用切れ目を刻設した後、その積層体の二軸延伸ナイロンフィルムの面に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし(コ−ティング量、約5g/cm2 ・dry)、次に、該接着剤面に厚さ7μmのアルミニウム箔をドライラミネ−トし、更に、該7μmのアルミニウム箔の面に、上記と同様に、2液硬化型ウレタン系接着剤をコ−ティングし,しかる後、該接着剤面に、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムをドライラミネ−トして積層して四層からなる積層体を製造した。
次に、上記の四層からなる積層体の無延伸ポリプロピレンフィルムの内面に、ポリプロピレン製成形体からなる凹凸嵌合するチャックテ−プを貼着した。
次に、上記のチャックテ−プを貼着した積層体を使用し、前壁と後壁と逆V字型の底壁とを打ち抜いて用意し、その前壁と後壁と逆V字型の底壁とを、それらの無延伸ポリプロピレンフィルム面を対向させ、その周辺端部をヒ−トシ−ルして、開口部近傍にチャックテ−プを有するスタンディングパウチ(自立性袋)を製造した。
しかる後、上記で製造したスタンディングパウチを使用し、その開口部から500mlの詰め替え用液体ボディシャンプ−を充填し、次いでその開口部をヒ−トシ−ルし、密閉して包装体を製造した。
上記と同様にして、包装体10袋を製造した。
【0033】
比較例1
上記の実施例1において、レ−ザ加工を行わない以外は、上記の実施例1と同様に行って、包装体を10袋を製造した。
【0034】
比較例2
上記の実施例1において、レ−ザ加工を行い、レ−ザ出力を2Wとし、開封用切れ目の切れ目溝の巾を70μmとする以外は、上記の実施例1と同様に行って、包装体を10袋を製造した。
【0035】
比較例3
上記の実施例1において、レ−ザ加工を行い、レ−ザ出力を10Wとし、開封用切れ目の切れ目溝の巾を250μmとする以外は、上記の実施例1と同様に行って、包装体を10袋を製造した。
【0036】
実験例
上記の実施例1〜3および比較例1〜3で製造した包装体を使用して、下記に示す各比較試験を行った。
(比較試験)
試験1 開封試験:上記で製造した包装体各10袋について、その開封用切れ目を利用して開封し、その時切り口が開封用切れ目からずれた数を確認した。
試験2 落下衝撃試験:上記で製造した包装体各10袋について、120cmの高さからコンクリ−ト面に垂直に各包装体を20回落とし、その袋のトップおよびボトム等における袋の破れを調べた。
試験3 耐圧強度試験:上記で製造した包装体各10袋について、50Kgの加重を10分間かけた時の破袋数および加工部分のフィルムの伸びを調べた。
試験4 耐環境ストレスクラッキング試験:
上記で製造した包装体各10袋について、温度50℃の状態に4週間保存した時のクラック、液漏れの発生を調べた。
【0037】
上記の実験の結果について、下記の表1に示す結果を得た。
【表1】
Figure 0003813296
Figure 0003813296
【0038】
上記において、開封性の数字は、(切り口が開封用切れ目からずれた数)/(テスト数)を意味し、また、落下衝撃強度の数は、(破袋数)/(テスト数)を意味する。
上記の表から明らかなように、本発明にかかる包装体は、開封性、耐衝撃性、耐圧強度、耐環境ストレスクラッキング性等において、極めて優れているものであった。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、内層として、ヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムを使用し、外層として、剛性等を有する強度に優れた樹脂のフィルムを使用し、少なくとも上記の二層からなり、更に、該強度に優れた樹脂のフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に開封用切れ目を刻設し、また、該開封用切れ目を含む強度に優れた樹脂のフィルムの全面に保護膜層を設けた構成からなる積層体を製造し、更に、該積層体を構成するヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム面を対向して重ね合わせ、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を製造し、而して、該袋体の開口部から、例えば、詰め替え用洗剤等を充填し、しかる後、その開口部をシ−ルして密閉して包装製品を製造して、耐衝撃性、、耐環境ストレスクラッキング性、シ−ルの安定性、保香性、保存安定性、易開封性等の諸機能を充足し、その取り扱いが便利であり、更に、その表面には、保護膜層により開封用切れ目が、覆われていて、露出しておらず、例えば、詰め替え用洗剤等の種々の物品の充填包装に適する包装用袋を製造することができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる易開封性包装用袋を構成する積層体の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる易開封性包装用袋を構成する積層体の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】図1に示す積層体を使用して製造した本発明にかかる易開封性包装用袋の構成を示す概略的斜視図である。
【図4】図3に示す本発明にかかる易開封性包装用袋のY−Y′における概略的切断断面図である。
【図5】図3に示す本発明にかかる易開封性包装用袋内に内容物を充填包装した包装製品の構成を示す概略的斜視図である。
【図6】図1に示す積層体を使用して製造した本発明にかかる易開封性包装用袋について別の形態からなる易開封性包装用袋の構成を示す概略的斜視図である。
【図7】図6に示す本発明にかかる別の形態からなる易開封性包装用袋のY1 −Y′1 における概略的切断断面図である。
【符号の説明】
1 ヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルム
2 強度に優れた樹脂のフィルム
3 開封用切れ目
4 保護膜層
5 バリア−性基材層
6 シ−ル部
7 内容物
8 上端シ−ル部
9 開封用ノッチ
10 凹部
11 凸部
12 チャックテ−プ
A 積層体
B 積層体
C 易開封性包装用袋
D 包装製品
E 易開封性包装用袋

Claims (2)

  1. 内層がヒートシール性を有する樹脂のフィルムであり、外層が強度に優れた樹脂のフィルムである少なくとも二層からなり、強度に優れた樹脂のフィルムに、包装体になったときの最適開封位置に相当する箇所に、炭酸ガスレ−ザ照射による少なくとも一本の連続状切れ目線からなる開封用切れ目が刻設されると共に、該開封用切れ目を含む強度に優れた樹脂のフィルムの全面にバリア−性基材層と保護膜層が設けられた積層体からなり、該積層体を構成するヒートシール性を有する樹脂のフィルム面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けてなる袋体であって、前記ヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムが、線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムで、且つ、前記開封用切れ目の切れ目溝の巾が、80μm〜200μmであることを特徴とする易開封性包装用袋。
  2. 前記開封用切れ目の下部に、凹凸嵌合により繰返嵌合可能なチャックテ−プを設けたことを特徴とする請求項1記載の易開封性包装用袋。
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