JP4793934B2 - 車両のほろ構造 - Google Patents
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Description
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図3及び図10に示すように、前側の車両(3A,3B)と後側の車両(3B,3A)とを連結する連結部の間隙部(Δ)をこの前側の車両のほろ(9A,9B)とこの後側の車両のほろ(9B,9A)とによって覆う車両のほろ構造であって、前記前側の車両のほろと前記後側の車両のほろとは、前記車両の連結部の間隙部の略全周を覆う全周ほろであり、この全周ほろの右側半分及び左側半分の一方に凹部を有する先端部(9a;9i)を備え、他方にこの凹部を有する先端部と接触する凸部を有する先端部(9b;9h)を備え、前記前側の車両のほろの先端部(9a,9b;9h,9i)と前記後側の車両のほろの先端部(9b,9a;9i,9h)とは、これらのほろの内側と外側の少なくとも二箇所(Pin,Pout)で互に線状に接触することを特徴とする車両のほろ構造(7)である。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る車両のほろ構造の側面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る車両のほろ構造の平面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る車両のほろ構造の横断面図である。図4は、図2のIV-IV線で切断した状態を示す縦断面図である。図5は、図2のV-V線で切断した状態を示す縦断面図である。
例えば、図3に示すように、車両3A,3Bが下り線2AをA方向に走行するときに、外ほろ9Aの先端部9aと外ほろ9Bの先端部9bとの間に間隙部が形成されると、車体4に沿って流れる気流Fがこれらの間の間隙部ではく離し渦が発生する。その結果、先端部9aと先端部9bとの間の間隙部で圧力変動が生じて空力騒音が発生する。また、先端部9aから剥離した渦が後側の車両3Bの車体側面4a,4b、車体上面4e及び車体底面4fなどに衝突して渦が変形し崩壊することによって、これらの表面で圧力変動を生じ空力騒音が発生する。
(1) この第1実施形態では、外ほろ9Aの先端部9a,9bと外ほろ9Bの先端部9a,9bとがこれらの外ほろ9A,9Bの内側接触点Pinと外側接触点Poutの二箇所で互に接触する。このため、従来技術4のような凸状の外ほろ単位体と凹状の外ほろ単位体とを面接触によって密着させる構造に比べて、先端部9aと先端部9bとの接触が線状になって接触面積を大幅に減少させることができる。その結果、従来技術4に比べて摩擦抵抗が小さくなって外ほろ9A,9Bの寿命を延ばすことができるため、保守や点検に必要な手間が軽減され、外ほろ9A,9Bを交換するために必要なコストを削減することができる。また、先端部9aの凹状曲面9eと先端部9bの凸状曲面9gとの間には隙間を形成することができるため、車両3A,3Bの左右方向及び上下方向の変位に追従して、先端部9aと先端部9bとが完全に分離しない範囲内でこれらを相対移動可能にすることができる。その結果、従来技術4のような互いに密着する完全な嵌合構造に比べて、先端部9a,9bに過大な外力が作用せず、先端部9a,9bの破損を防止することができる。
図9は、この発明の第2実施形態に係る車両のほろ構造の横断面図である。以下では、図1〜図8に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示す車両3A,3Bは、図3に示す複線を左側通行する車両3A,3Bとは異なり複線を右側通行しており、下り線2Aが右側であり、上り線2Bが左側である。図9に示すように、外ほろ9Aは車両3A,3Bが複線を右側通行(下り線2Aを走行)するときには、進行方向右側に凹部を有する先端部9aを備え、進行方向左側に凸部を有する先端部9bを備えている。一方、外ほろ9Bは、車両3A,3Bが複線を右側通行(下り線2Aを走行)するときには、進行方向右側に凸部を有する先端部9bを備え、進行方向左側に凹部を有する先端部9aを備えている。この第2実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
図10は、この発明の第3実施形態に係る車両のほろ構造の横断面図である。
図10に示すほろ構造7は、内ほろ8と、外ほろ9A,9Bと、吸着部10と、形状変更部11A,11Bと、制御部12A,12Bなどを備えている。外ほろ9A,9Bは、車両3A,3Bの進行方向に応じて、凹部又は凸部を有する先端部9h,9iに変化する。外ほろ9A,9Bは、例えば、作動流体が流入及び流出可能な袋体を内部に備えており、内部の流体圧が所定値以下になると凹部を有する先端部9h,9iに変化し、内部の流体圧が所定値を超えると凸部を有する先端部9h,9iに変化する。外ほろ9Aは、例えば、車両3Aが前側で車両3Bが後側で下り線2Aを左側走行するときには凹部を有する先端部9hに変化するが、終着駅で折り返して車両3Bが前側で車両3Aが後側で上り線2Bを左側走行するときには、凸部を有する先端部9hに変化する。一方、外ほろ9Bは、例えば、車両3Aが前側で車両3Bが後側で下り線2Aを左側走行するときには凸部を有する先端部9iに変化するが、終着駅で折り返して車両3Bが前側で車両3Aが後側で上り線2Bを左側走行するときには凹部を有する先端部9iに変化する。
図10に示すように、車両3A,3Bが下り線2AをA方向に走行するときには、外ほろ9Aが凹部を有する先端部9hに変化し、外ほろ9Bが凸部を有する先端部9iに変化するように、制御部12A,12Bが形状変更部11A,11Bを動作制御する。下り線2Aを走行していた車両3A,3Bが終着駅で折り返して上り線2Bを走行するときには、外ほろ9Aが凸部を有する先端部9hに変化し、外ほろ9Bが凹部を有する先端部9iに変化するように、制御部12A,12Bが形状変更部11A,11Bを動作制御する。その結果、車体4に沿って流れる気流Fが車両3A側の先端部9hの凸状曲面9fに沿って、車両3B側の先端部9iの凸状曲面9gに導かれるため、気流Fが大きく乱れるのを抑制し、沿線W1,W2側に放射する騒音を抑制することができる。
(1) この第3実施形態では、車両3A,3Bの進行方向に応じて外ほろ9A,9Bが凹部又は凸部を有する先端部9h,9iに変化する。例えば、図3に示すように、下り線2Aを車両3A,3Bが走行しているときには、進行方向右側では凸部を有する先端部9bから凹部を有する先端部9aに向かって空気抵抗が大きくなる方向に気流Fが流れるため、沿線W1側に比べて沿線W2側のほうが放射される騒音が大きくなってしまう。この第3実施形態では、図10に示すように、進行方向右側でも凹部を有する先端部9hから凸部を有する先端部9iに向かって空気抵抗が小さくなる方向に気流Fが流れるため、第1実施形態に比べて沿線W2側に放射する騒音を低減することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、東北新幹線を例に挙げて説明したが、東海道新幹線などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、軌道2が複線である場合を例に挙げて説明したが、軌道2が複々線である場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、車両3A,3Bが鉄道車両である場合を例に挙げて説明したが、リニアモータカーのような磁気浮上式の鉄道車両、車両を複数連結したトレーラー式の自動車などについてもこの発明を適用することができる。
2 軌道
2A 下り線
2B 上り線
2a レール
3A,3B 車両
4 車体
4a,4b 車体側面
4c,4d 車体端面
4e 車体上面
5 台車
5a 車輪
6 連結装置
6a,6b 連結器
7 ほろ構造
8 内ほろ
9A,9B 外ほろ
9a,9b 先端部
9c,9d 取付部
9e 凹状曲面
9f,9g 凸状曲面
9h,9i 先端部
10 吸着部
11A,11B 形状変更部
12A,12B 制御部
W1,W2 沿線
Δ 間隙部
Pin 内側接触点
Pout 外側接触点
F 気流
Claims (10)
- 前側の車両と後側の車両とを連結する連結部の間隙部をこの前側の車両のほろとこの後側の車両のほろとによって覆う車両のほろ構造であって、
前記前側の車両のほろと前記後側の車両のほろとは、前記車両の連結部の間隙部の略全周を覆う全周ほろであり、この全周ほろの右側半分及び左側半分の一方に凹部を有する先端部を備え、他方にこの凹部を有する先端部と接触する凸部を有する先端部を備え、
前記前側の車両のほろの先端部と前記後側の車両のほろの先端部とは、これらのほろの内側と外側の少なくとも二箇所で互に線状に接触すること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項1に記載の車両のほろ構造において、
前記前側の車両のほろは、前記車両が複線を左側通行するときには、進行方向左側に前記凹部を有する先端部を備え、進行方向右側に前記凸部を有する先端部を備えており、
前記後側の車両のほろは、前記車両が複線を左側通行するときには、進行方向左側に前記凸部を有する先端部を備え、進行方向右側に前記凹部を有する先端部を備えること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項1に記載の車両のほろ構造において、
前記前側の車両のほろは、前記車両が複線を右側通行するときには、進行方向右側に前記凹部を有する先端部を備え、進行方向左側に前記凸部を有する先端部を備えており、
前記後側の車両のほろは、前記車両が複線を右側通行するときには、進行方向右側に前記凸部を有する先端部を備え、進行方向左側に前記凹部を有する先端部を備えること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 前側の車両と後側の車両とを連結する連結部の間隙部をこの前側の車両のほろとこの後側の車両のほろとによって覆う車両のほろ構造であって、
前記前側の車両のほろと前記後側の車両のほろとは、凹部を有する先端部と、この凹部を有する先端部と接触する凸部を有する先端部とを備えており、これらの車両の進行方向に応じて、前記凹部又は前記凸部を有する先端部に変化し、
前記前側の車両のほろの先端部と前記後側の車両のほろの先端部とは、これらのほろの内側と外側の少なくとも二箇所で互に線状に接触すること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項4に記載の車両のほろ構造において、
前記前側の車両のほろは、前記凹部を有する先端部に変化し、
前記後側の車両のほろは、前記凸部を有する先端部に変化すること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項4又は請求項5に記載の車両のほろ構造において、
前記前側の車両のほろと前記後側の車両のほろとを前記凹部又は前記凸部を有する先端部に変更させる形状変更部と、
前記前側の車両のほろが前記凹部を有する先端部に変化し、前記後側の車両のほろが前記凸部を有する先端部に変化するように、前記形状変更部を動作制御する制御部とを備えること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項6に記載の車両のほろ構造において、
前記形状変更部は、流体圧に応じて前記先端部の形状を変更し、
前記制御部は、前記流体圧を可変制御すること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の車両のほろ構造において、
前記凹部を有する先端部は、凹状曲面とこの凹状曲面の両側に凸状曲面とを備えており、
前記凸部を有する先端部は、前記凹状曲面と少なくとも二箇所で接触する凸状曲面を備えること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の車両のほろ構造において、
前記前側の車両のほろの先端部と前記後側の車両のほろの先端部とが接触状態になるように、これらの先端部を互いに吸着させる吸着部を備えること、
を特徴とする車両のほろ構造。 - 請求項9に記載の車両のほろ構造において、
前記吸着部は、前記前側の車両のほろの先端部と前記後側の車両のほろの先端部とを磁気力によって互いに吸着させること、
を特徴とする車両のほろ構造。
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