JP4789499B2 - 電気手術装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排煙機能を備え、高周波出力信号で切開等の処置を行う電気手術装置に関する。
近年、内視鏡の観察下で高周波焼灼装置により外科手術を行う装置が広く用いられるようになった。このような高周波焼灼装置(電気メス装置ともいう)により外科手術を行うと、生体組織の変性が進むと同時に煙やミスト(水蒸気)が発生し、術者の観察視野を遮ることがある。
このため、従来例では、図12に示すように高周波焼灼装置の出力スイッチをONにして高周波出力信号(図面中では高周波出力と略記)を出力状態(ON)にして処置を行うと同時に、排煙動作もOFFからONにして排煙動作を行うようにしていた。つまり、処置を行う高周波出力信号がONとなる期間、排煙動作もONとなるようにしていた。
また、出力スイッチがOFFになると高周波出力信号もOFFとなり、さらに排煙動作もOFFになる。
特開平6−178780号公報
上記のように処置を行う高周波出力信号がONからOFFになると、排煙動作もOFFになってしまうため、体腔内には煙が残ってしまう場合がある。
一方、例えば特開平6−178780号公報には、高周波出力信号がONになった後、一定時間後に吸引ポンプを作動させて排煙動作を行い、高周波出力信号がOFFになった後にも排煙動作を行うことができるようにしている。
しかし、この公報の従来例では、高周波出力する際の設定値(出力値)を変えて行うような場合には、排煙動作を適切に行い難い問題がある。
(発明の目的)
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、高周波出力の出力値等を変更した場合にも適切な排煙動作を行うことができる電気手術装置を提供することを目的とする。
本発明による一態様の電気手術装置は、高周波電源装置からの高周波出力信号を体腔内に挿入される処置具に供給して、体腔内の生体組織に対する処置を行う電気手術手段と、体腔内に気体を注入する送気手段と、前記体腔内で発生する煙を排気する排煙手段とを備えた電気手術装置において、前記処置具に供給される高周波出力信号の出力エネルギに関する設定を行う出力設定手段と、前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定情報に応じて、前記排煙手段による排煙動作に係る排煙時間を制御する排煙制御手段と、前記送気手段の制御を行う送気制御手段と、を具備し、前記排煙制御手段は、前記処置具に前記高周波出力信号が供給される開始時のタイミングから前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値の大小に応じた遅延時間の後に排煙動作を開始し、当該処置具に供給される前記高周波出力信号の停止のタイミングから前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値の大小に応じた継続時間の後に排煙動作を停止するように当該排煙動作に係る排煙時間を設定し、前記送気制御手段は、前記処置具に供給される前記高周波出力信号の停止のタイミングから前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値の大小に応じた時間送気するよう前記送気手段を制御することを特徴とする。
本発明によれば、高周波出力の出力値の変更等に対しても適切に排煙動作を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1ないし図4は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1の電気手術システムの全体構成を示し、図2は図1における主要部の構成を示し、図3は本実施例における排煙動作のタイミング図を示し、図4は本実施例における排煙動作のフローチャートを示す。
図1に示すように本発明の実施例1を備えた電気手術システム1は、内視鏡装置2と、この内視鏡装置2と共に使用される外科手術装置としての例えば高周波焼灼装置(電気メス装置)3と、体腔内に送気(気体注入)及び排煙を行う機能を備えた送気装置5とからなる。
内視鏡装置2は、ベッド6に横たわる患者7の例えば腹腔内を観察するTVカメラ装着内視鏡8と、このTVカメラ装着内視鏡8に照明光を供給する光源装置9と、TVカメラ装着内視鏡8に対する信号処理を行うカメラコントロールユニット(CCUと略記)11と、このCCU11から出力される映像信号が入力されることにより、TVカメラ17で撮像した内視鏡画像を表示するモニタ12とを有する。
図2に示すように患者7の例えば腹腔13内に、トラカール14を介してTVカメラ装着内視鏡8を構成する光学式内視鏡15の挿入部が挿入される。この光学式内視鏡15の把持部に接続されたライトガイドケーブル16は、図1の光源装置9に接続され、光源装置9からの照明光がライトガイドケーブル16を介して光学式内視鏡15のライトガイドに供給される。この照明光は、ライトガイドの先端が取り付けられた照明窓から出射され、腹腔13内を照明する。
照明窓に隣接して設けられた観察窓には図示しない対物レンズが配置され、その対物レンズによる光学像はリレー光学系により接眼部に伝送され、この接眼部に装着されたTVカメラ17によりその結像位置に配置された固体撮像素子に結像される。この固体撮像素子は、カメラケーブル18を介してCCU11と接続され、CCU11は、この固体撮像素子により光電変換された撮像信号に対する信号処理を行い、映像信号を生成してモニタ12に出力する。そして、内視鏡画像がモニタ12により表示される。
また、トラカール14における通気路の口金には、送気チューブ21の一端が接続され、この送気チューブ21の他端は、送気装置5内の送気を行うバルブユニット22の送気側口金22bに接続される。
このバルブユニット22の供給側口金は、例えば炭酸ガスボンベ23とチューブを介して接続され、炭酸ガスボンベ23からの炭酸ガスがバルブユニット22により流量が調整されて、送気チューブ21を介して腹腔13内に送気(注入)される。
このバルブユニット22の送気動作は、制御部24により制御される。また、この送気装置5は、吸引することにより体腔内の煙或いはミスト(以下、煙で両方を代表する)を排出する排煙動作を行う吸引ポンプ25を内蔵しており、この吸引ポンプ25の動作も制御部24により制御線26からの制御信号で制御される。
なお、本実施例では、排煙動作を行う排煙手段としての吸引ポンプ25を、送気手段としての送気装置5内に設けているがそれぞれを別体で、制御線を介して接続される構造にしても同様に適用できる。
上記制御部24には、送気指示操作と排気指示(排煙)操作を行う例えばフットスイッチ等からなる出力スイッチ27が接続されており、この出力スイッチ27を操作することにより送気及び排気指示を制御部24に指示入力することができる。
また、吸引ポンプ25の排気側口金は、煙除去用ボトル28及び逆止弁29を介挿した排気用(吸引用)チューブ30を介してトラカール31の通気路に連通するように接続されている。
腹腔13内には、このトラカール31を介して高周波出力(高周波電流)で処置を行う処置具としての電気メス32が刺入される。このトラカール31には、腹腔13内に連通する通気路が設けてあり、その通気路の開口端にチューブ30が接続され、腹腔13内で発生した煙を吸引ポンプ25による吸引動作により排気できるようにしている。
上記電気メス32は、アクティブコード33aを介して高周波電源装置34のアクティブ端子に接続される。また、この高周波電源装置34のリターン端子には、リターンコード33bを介して患者7の臀部等に広い面積で接触している患者プレート35と接続される。
この高周波電源装置34は、高周波出力信号を発生する高周波発生部36と、この高周波出力信号の出力/出力停止を制御する制御部37と、この制御部37に対して高周波出力信号の出力(ON)/出力停止(OFF)の指示操作を行う出力スイッチ38とを有する。また、高周波発生部36は、高周波発生回路36aにより発生された高周波出力信号を出力トランス36bを介して電気メス32に供給し、電気メス32により切開等の処置を行うことができる。なお、電気メス装置3は、電気メス32及び高周波電源装置34により構成される。
また、本実施例においては、高周波電源装置34には、出力スイッチ38がONにされた場合、電気メス32に供給される高周波出力信号の出力値、出力波形等、電気メス32に供給される高周波出力のエネルギ値に関する設定を行う出力設定部39が設けてあり、この出力設定部39による設定情報は制御部37に入力される。この出力設定部39により、出力モードの選択設定を行うこともできる。この出力モードは、実施例3において排煙動作の制御に利用される。
そして、制御部37は、出力スイッチ38がONにされた場合、この出力設定部39による設定情報としての出力値で高周波出力信号を電気メス32側に供給するように高周波発生部36を制御する。
また、本実施例においては、送気装置5に内蔵された制御部24に対して、排煙(吸引)指示の指示信号の入力を行うコネクタ受け41が設けてあり、このコネクタ受け41には通信ケーブル42の一端に設けたコネクタ42bが接続され、その他端のコネクタ42aは高周波電源装置34のコネクタ受け43に接続される。
高周波電源装置34のコネクタ受け43の2つの接点は、制御部37と出力設定部39とに接続され、制御部37から出力スイッチ38による高周波出力のON/OFF信号と出力設定部39からの出力設定情報(本実施例では出力値)とがこのコネクタ受け43の2つの接点に接続される通信ケーブル42を経て送気装置5の制御部24に送信して入力される。なお、出力設定部39の出力値を制御部24に送信する場合、制御部37から出力スイッチ38によるON/OFF信号と共に共通の伝送線で送信するようにしても良い。
なお、術者53a、或いは53bは、出力設定部39を操作することにより、高周波出力信号の出力値や出力モード(処置する機能に対応したモード)を設定することができる。
そして、送気手段を制御すると共に、排煙手段を制御する排煙制御手段としての制御部24は、出力スイッチ38による高周波出力のON/OFF信号と、出力設定部39からの出力設定情報とにより、吸引ポンプ25による排煙動作の時間の制御(本実施例の場合)を行うことにより排煙量の制御を行うようにしていることが特徴となっている。
より具体的には、処置具としての電気メス32による処置する際のエネルギ値が大きい程、発生する煙の量も大きくなるため、設定された出力値(エネルギ値)が大きい程、排煙動作の時間が長く(大きく)なるように排煙量を制御する。
また、図2に示すようにバルブユニット22は、供給圧センサ45、減圧器46、電空比例弁47、電磁弁48、圧力センサ49、流量センサ50を内蔵しており、供給側口金に接続された炭酸ガスボンベ23から炭酸ガスが供給される。
炭酸ガスボンベ23に貯留されている液状の二酸化炭素は、気化されてバルブユニット22内の内部管路を介して減圧器46に導かれる。そして、炭酸ガスは減圧器46により所定の圧力に減圧された後、内部管路に導かれ、電空比例弁47により、腹腔内に適した圧力に調節される。
そして、この電空比例弁47により調整された腹腔用の炭酸ガスは、電磁弁48、流量センサ50を介して腹腔用供給口金22b、送気チューブ21を通って腹腔13内に導かれるようになっている。
供給圧センサ45は、炭酸ガスボンベ23から供給される炭酸ガスの圧力を計測して、その計測結果を制御部24に出力する。減圧器46は、炭酸ガスボンベ23から供給された炭酸ガスの圧力を所定の圧力に減圧し、電空比例弁47に供給する。
電空比例弁47は、制御部24によって圧力の制御が可能で、減圧器46によって減圧された圧力を、制御部24からの制御信号に基づいてさらに所定の範囲内で調節する。 例えば、電空比例弁47は、制御部24からの制御信号に基づいて減圧器46により減圧された炭酸ガスの圧力を0〜500mmHgの範囲内で減圧可能である。
電磁弁48は、制御部24によって開閉制御が可能なバルブであり、制御部24からの制御信号に基づいて開状態又は閉状態に切り替えられる。
圧力センサ49は、電磁弁48が閉じているとき、腹腔の圧力を計測して、その計測結果を制御部24に出力する。
流量センサ50は、電磁弁48を通過してこの内部管路を流れる炭酸ガスの流量を計測して、その計測結果を制御部24に出力する。
なお、図示はしないが電磁弁48と流量センサ50との間に排気弁を設けても良い。この排気弁は、圧力センサ49の計測値が腹腔内圧力設定値を超えているとき、制御部24からの制御信号に基づいて腹腔内圧力を減圧させるために弁を開放状態にするようになっている。
制御部24は、供給された各計測結果及び検出結果に基づいて、電空比例弁47の圧力制御、電磁弁48の開閉制御等を行う。
また、送気装置5には、その正面等に設定操作部51が設けてあり、術者53a、53bは設定操作部51により設定した情報を制御部24に入力することにより、制御部24はその情報に基づき各種制御を行う。
本実施例では、上記のように電気メス装置3による高周波出力のON/OFF指示を行うON/OFF信号で排煙動作の制御を行わせると共に、さらに高周波出力の出力値の設定情報によって、制御部24は排煙動作の継続時間を出力値が大きい程、大きくなる(長くなる)ように可変設定し、高周波出力の出力値が変化した場合にもその出力値に適した排煙動作を行うことができるようにしている。
このような構成の本実施例の電気手術システム1による動作を図3を参照して説明する。
患者7の腹腔13内のポリープ等に対して、内視鏡観察下で外科手術を行うような場合、例えば図1に示すように設定してTVカメラ装着内視鏡8により撮像した内視鏡画像をモニタ12に表示する。
そして、術者53a及び53bは、モニタ12に表示された内視鏡画像を観察しながら、腹腔13内にできたポリープ等の処置対象となる生体組織を観察し、切除する必要がある場合には、電気メス装置3の電気メス32で処置を行う。このため、例えば術者53aは、電気メス装置3の高周波電源装置34の出力設定部39の出力設定用摘み等を操作して実際に出力する高周波出力の出力値(この出力値を設定値ともいう)の設定を行う。 このように出力値の設定を行った後、例えば術者53aは、電気メス装置3の出力スイッチ38を操作して高周波出力をONにする指示操作を行うと、制御部37を経て、その信号が高周波電源装置34の高周波発生部36内の高周波発生回路36aに送られ、高周波発生回路36aで発生された高周波出力信号が、出力トランス36bを経て電気メス32に供給される。
図3では出力スイッチ38を時刻t1でOFFからONにする操作することにより、高周波出力信号も電気メス32に出力される。
また、出力スイッチ38がONにされると、その信号が通信ケーブル42を経て送気装置5の制御部24に送られる。この場合、出力設定部39の出力値の情報も通信ケーブル42を経て送気装置5の制御部24に送られる。
そして、制御部24は、例えば出力スイッチ38のONに同期して、図3に示すように排煙動作を開始する(図3では排煙動作の停止をOFF、排煙動作中をONで示している)。
そして、術者53aが出力スイッチ38を、例えば時刻t2でOFFにすると、高周波出力もONからOFFになる。一方、排煙動作は、高周波出力がOFFになった後、出力値に応じた継続時間の後にONからOFFになる。
図3では、最小設定値(最大値の例えば10%の設定値)、最小値と最大値の中央付近の値(中央設定値)、最大設定値の場合での継続時間をそれぞれta、tb、tcで示すように出力値が大きい程、継続時間が大きくなる。つまり、出力値が大きい程、その出力値で生体組織等に対して処置を行った際に発生する煙の量が大きくなることが想定され、その発生する煙の量に応じて排煙動作する時間も大きくなるように可変する。
このように、出力値に応じて排煙動作を行う時間を可変制御することにより、出力値を変更して処置を行う場合にも、従来例よりもより適切に排煙を行うことができる。
図3に示したタイミング図の動作は、図4のフローチャートのようになる。
図1に示すように電気メス装置3、送気装置5等が設定された後、各電源が投入されるとそれぞれ動作状態になる。そして、術者53aは、電気メス32で処置を行おうとする場合には、ステップS1に示すように(高周波)出力値の設定を行う。
そして、ステップS2に示すように電気メス装置3の制御部37は、出力スイッチ38がONされるのを待つ状態になる(出力スイッチ38をONにしないと、ステップS1に戻り、出力値を変更することができる)。
出力スイッチ38がONされると、ステップS3に示すようにONの信号により、電気メス装置3の高周波電源装置34から設定された出力値で電気メス32に高周波出力(信号)が供給される。また、通信ケーブル42により送気装置5の制御部24に出力スイッチ38がONされた信号が送られ、制御部24は吸引ポンプ25を動作させて排煙動作を開始させる。
次のステップS4において電気メス装置3の制御部37は、出力スイッチ38がOFFにされるのを監視する状態になり、OFFにされないと、ステップS3に戻る。
そして、出力スイッチ38がOFFにされると、ステップS5に示すように電気メス装置3の制御部37は、高周波電源装置34による高周波出力を停止させる(OFFにする。
また、ステップS6に示すように、出力スイッチ38がOFFにされた信号は、送気装置5の制御部24に送られ、この制御部24は、出力スイッチ38がOFFにされた時刻から出力値に応じた継続時間後に排煙動作を停止させる制御を行う。つまり、図3で示したように出力値が大きい程、制御部24は、長い継続時間後に排煙動作を停止させることになる。
このように動作する本実施例は以下の効果を有する。
本実施例によれば、出力値に応じて排煙動作を行う時間を可変制御するようにしているので、出力値を変更して処置を行う場合にも、より適切に排煙を行うことができる。従って、処置がし易くなり、操作性が向上する。また、腹腔13内の圧力が必要以上に低下することを防止できる。
なお、本実施例の変形例として、例えば図4のステップS6の制御を行う場合、制御部24は、出力スイッチ38がONされた時間と、設定された出力値とを例えば積算した量に対応する時間だけ排煙動作を行うようにしても良い。つまり、設定された出力値の他に、出力スイッチ38が実際にONされた時間も考慮して排煙動作する時間の制御を行うようにしても良い。このようにすると、より適切な排煙を行うことができる。
次に図5を参照して、本発明の実施例2を説明する。本実施例の構成は、実施例1と同様であり、制御部24による排煙の制御処理が異なる。実施例1では、出力スイッチ38がONにされた場合、そのONに同期して排煙動作も開始させ、出力スイッチ38がOFFにされた後、出力値に応じた継続時間だけ排煙動作を継続させるようにしていた。
これに対して本実施例においては、制御部24は、出力スイッチ38がONにされた場合、そのONされたタイミングから出力値が大きい程、遅延時間を短くして排煙動作を開始させるように制御する。
本実施例による動作は、図5のタイミング図のようになる。実施例1の場合と同様に出力スイッチ38を時刻t1でOFFからONにし、時刻t2でONからOFFにすると、高周波出力も時刻t1でOFFからONに、時刻t2でONからOFFになる。
一方、排煙動作は、出力スイッチ38がONにされた時刻t1から遅延して動作する。具体的には、設定されている出力値の値が最大設定時には、短い遅延時間td後に排煙動作が開始し、中央設定値の場合にはより大きな遅延時間teの後、そして最小設定値の場合には最も長い遅延時間tfの後、排煙動作が開始する。
このように出力スイッチ38がONにされて高周波出力により処置が開始しても、設定された出力値が大きい程、短い遅延時間の後に排煙動作を開始する。
そして、出力スイッチ38がOFFにされた時刻t2では、排煙動作も停止するようになる。本実施例によれば、実際に出力される出力値が変化する場合にも、極力体腔内の圧力低下を抑制して、適切な排煙を行うことができる。つまり、排煙を行った場合にも、体腔内における圧力低下を抑制できる。
なお、本実施例の変形例として、図6のように出力スイッチ38がOFFにされた後、設定された出力値に応じた継続時間td′、te′,tf′だけ、つまり出力値が大きい程、長い継続時間となるように排煙動作を行わせるようにしても良い。
この場合には、送気装置5の制御部24は、例えば継続時間td′、te′,tf′だけ送気動作を行う。このように送気動作を併用することにより、体腔内(図2の具体例では腹腔13内)の圧力低下を防止できる。
つまり、本変形例によれば、圧力低下を確実に防止して、より適切な排煙を行うことができる。
次に図7を参照して、本発明の実施例3を説明する。本実施例の電気手術システムは、図1に示す実施例1において、出力設定部39は、(高周波出力信号の出力エネルギに関連する)出力モードを設定する出力モード設定部の機能を有し、この出力モード設定部の情報を送気装置5の制御部24に送信する構成にしている。
そして、送気装置5の制御部24は、この出力モード設定部の情報を参照して、出力モードに応じて排煙動作の制御を行うようにしている。出力モードとしては、モノポーラの切開モード(図7ではMono切開と略記)、モノポーラの凝固モード(図7ではMono凝固と略記)、バイポーラの凝固モード(図7ではBi凝固と略記)を選択することができる。これらの出力モードは、それぞれの処置を行うのに適した波形で高周波出力信号を電気メス32に供給するように、予め用意されている。
そして、制御部24は、各出力モードで処置した場合に、発生する煙を適切に排煙できるように出力スイッチ38がONされたタイミングから予め設定された遅延時間後に排煙動作を開始させるように制御する。
具体的には、処置した場合における煙の発生量は、モノポーラの切開モードの場合が最も大きく、次にモノポーラの凝固モードの場合となり、バイポーラの凝固モードの場合が最も少ない。このため、この順序で、排煙動作の時間が長くなるように、制御部24は排煙動作時間を制御する。
本実施例による動作は、図7に示すようになる。図7に示すタイミング図は、実施例2における図5のタイミング図において、最大設定時、中央設定時、最小設定時の排煙動作をMono切開選択、Mono凝固選択、Bi凝固選択に置換した動作に対応するようにしている。
このように本実施例では選択された処置する出力モードによって定めされた期間、排煙出力を遅延させるようにしている。
本実施例によれば、出力開始しても出力モードに応じた時間、排煙動作を行わせないことにより、体腔内の圧力低下を最小限に抑制して、適切な排煙を行うことができる。
次に図8を参照して、本発明の実施例4を説明する。本実施例の電気手術システムは、実施例3のハードウェアの構成と同じであり、送気装置5の制御部24による制御方法が異なる。つまり、本実施例において、制御部24は、出力モード設定部の情報を参照して、出力モードに応じて排煙動作の制御を行うようにしている。
実施例3では、実施例2に類似した制御方法を採用しているが、本実施例では実施例1に類似した制御方法を採用している。
本実施例によるその動作のタイミング図は、図8に示すようになる。
図8に示すタイミング図は、実施例1における図3のタイミング図において、最大設定時、中央設定時、最小設定時の排煙動作をMono切開選択、Mono凝固選択、Bi凝固選択に置換した動作に対応する。
このように本実施例では、実施例1のように出力スイッチ38をOFFし、高周波出力が停止した後にも、選択された出力モードによって定めされた期間、排煙動作を継続させる。
本実施例によれば、出力モードが異なる場合にも、適切な排煙を行うことができる。
次に図9を参照して、本発明の実施例5を説明する。本実施例の電気手術システムは、実施例1の電気手術システムにおいて、高周波出力信号の出力状態をモニタするモニタ手段を設けている。
このモニタ手段として、例えば電気メス32を介して生体組織に高周波電流が流れる際のインピーダンスを測定して、その特性の変化を制御部37はモニタする。そして、電気メス32の先端(両電極間)のインピーダンス変化の特性から処置の進行の程度を評価する。そして、検出(測定)されたインピーダンスが、予め設定された閾値以上になった時点で、完了に近い状態に達したと判定して、高周波出力を自動的に低減する出力自動低減機能を備えている。
そして、本実施例では、この出力自動低減機能が動作した情報も、送気装置5の制御部24に送信し、この制御部24はこの出力自動低減機能が動作した時点で、排煙動作を停止する制御を行うようにする。
その他は、例えば実施例1と同様の構成である。図9は、本実施例による動作のタイミング図を示す。本実施例は、出力スイッチ38をOFFからONにし、高周波出力が電気メス32に供給されて処置を行い、その後出力スイッチ38がONからOFFにされるまでに自動低減機能が動作しない場合には図3に示した動作となる。
一方、図9に示すように出力スイッチ38を時刻t1でOFFからONにし、高周波出力が電気メス32に供給されて処置を行い、その後出力スイッチ38が時刻t2でONからOFFにされるまでの途中の時刻t3において、出力自動低減機能が動作すると、制御部24は、時刻t1で排煙動作を開始させ、出力自動低減機能が動作する時刻t3以降、排煙動作を停止させる(ONからOFFにする)。
このように本実施例においては、出力自動低減機能を持つ出力モードで高周波出力で処置を行い、出力自動低減機能が動作すると、出力スイッチ38がONの状態であっても、排煙動作を停止させる。
本実施例は以下の効果を有する。電気メス32による処置が十分に進行して高周波出力が低減された状態に達した場合には、煙の発生も低減するため、体腔内の圧力低下を抑制して適切な排煙を行うことができる。
次に図10を参照して、本発明の実施例6を説明する。本実施例の電気手術システムは、実施例1の電気手術システムにおいて、高周波電源装置34は間欠的に高周波出力を出すモードを有している。
この間欠的な出力モードの情報(例えば間欠的に高周波出力のON/OFFを制御するON/OFF信号)を、送気装置5の制御部24に送信し、制御部24は、間欠的な出力モードに設定された場合には、その間欠的な出力モードに対応した排煙動作を行うように制御する。この場合、制御部24は、例えば間欠的に高周波出力がされる期間、排煙動作を行うように制御する。その他は、実施例1と同様の構成である。
次に本実施例の動作を説明する。間欠的な出力モードが選択されない状態では、実施例1と同様に図3に示すタイミング図のように動作する。
間欠的な出力モードに設定された状態で、出力スイッチ38がOFFからONにされると、図10に示すように間欠的に高周波出力が電気メス32に供給されるようになる。 この場合、制御部24は、高周波出力の間欠的なON/OFFに同期して排煙動作のON/OFF制御を行うようにする。なお、図10では、高周波出力は、ON期間をAで、OFF期間をBで示しており、これらの期間A+Bを周期として、間欠的に出力される。 また、この場合、出力値は、例えば最初が最も大きな値で、そして、少しづつ出力値が低くなるような周期的な高周波出力となっている。
このように本実施例では、間欠的な高周波出力とする機能を持つ出力モードで処置を行う場合、高周波出力のON/OFFに合わせて排煙動作をON/OFFするように制御する。
本実施例によれば、間欠的な出力モードの場合にも、適切な排煙動作を行わせることができる。
本実施例の変形例として、図11のように間欠的に出力される高周波出力のON期間における出力値に応じて、排煙動作をONする期間を制御するようにしても良い。
この場合、排煙動作(A)のように、高周波出力が間欠的にONになったタイミングで排煙動作もONにし、出力値が大きい程、排煙動作のON期間を(高周波出力のON期間A内で)長くしても良い。
或いは排煙動作(B)のように、高周波出力が間欠的にONになったタイミングで排煙動作もONにし、出力値が大きい程、排煙動作のON期間を、高周波出力がOFFにされた期間Bにおいて長くしても良い。このようにすると、より適切な排煙を行うことができる。
なお、上述した各実施例等においては、排煙する際の流量に関しては言及していないが、例えば出力設定手段による出力値或いは出力エネルギの実効値が大きい場合には、排煙する際の流量を大きくするように制御しても良い。また、排煙動作の時間と流量との両方で排煙量を制御するようにしても良い。
なお、上述の説明では、高周波出力信号で電気的な手術を行う電気手術装置の場合で説明したが、超音波エネルギで切開や凝固の処置を行う場合に適用することもできる。
なお、上述した各実施例等を部分的に組み合わせる等して構成される実施例等も本発明に属する。
[付記]
1.請求項1において、前記排煙制御手段は、前記出力設定手段による出力エネルギの実効的な値が大きい程、前記排煙手段により排煙量が大きくなるように制御する。
2.請求項3において、前記排煙制御手段は、前記出力エネルギの実効的な値が大きい程、前記排煙動作の時間が長くなるように制御する。
3.請求項4において、前記モニタ手段は、前記処置具を介して生体組織側のインピーダンスをモニタし、そのインピーダンス値が所定の値と比較した比較結果により、前記排煙制御手段は、排煙量を制御する。
4.請求項2において、前記出力設定手段により、前記処置具に供給される高周波出力信号は、間欠的に出力され、該間欠的な出力に応じて前記排煙制御手段は、排煙量を制御する。
5.請求項3において、前記排煙制御手段は、前記高周波出力信号が供給開始される開始時のタイミングから前記排煙手段を動作開始させるまでの時間を制御する。
6.請求項3において、前記排煙制御手段は、前記高周波出力信号の供給停止時のタイミングから前記排煙手段の動作を停止させるまでの時間を制御する。
電気メスに高周波出力(高周波電流)を供給して、処置対象の組織を切開等する場合、その出力値を変更するような場合においても、出力値の値等に応じて排煙する動作時間を可変制御し、より適切な排煙動作を行うようにした。
本発明の実施例1の電気手術システムの全体構成図。 図1における主要部の構成を示すブロック図。 実施例1における排煙動作のタイミング図。 実施例1における排煙動作のフローチャート図。 本発明の実施例2における排煙動作のタイミング図。 変形例における排煙動作のタイミング図。 本発明の実施例3における排煙動作のタイミング図。 本発明の実施例4における排煙動作のタイミング図。 本発明の実施例5における排煙動作のタイミング図。 本発明の実施例6における排煙動作のタイミング図。 変形例における排煙動作のタイミング図。 従来例の動作のタイミング図。
符号の説明
1…電気手術システム
2…内視鏡装置
3…電気メス装置
5…送気装置
2…内視鏡装置
6…ベッド
7…患者
8…カメラ装着内視鏡
13…腹腔
14…トラカール
22…バルブユニット
23…炭酸ガスボンベ
24…制御部
25…吸引ポンプ
27…出力スイッチ
32…電気メス
34…高周波電源装置
36…高周波発生部
37…制御部
38…出力スイッチ
39…出力設定部
42…通信ケーブル

Claims (2)

  1. 高周波電源装置からの高周波出力信号を体腔内に挿入される処置具に供給して、体腔内の生体組織に対する処置を行う電気手術手段と、
    体腔内に気体を注入する送気手段と、
    前記体腔内で発生する煙を排気する排煙手段とを備えた電気手術装置において、
    前記処置具に供給される高周波出力信号の出力エネルギに関する設定を行う出力設定手段と、
    前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定情報に応じて、前記排煙手段による排煙動作に係る排煙時間を制御する排煙制御手段と、
    前記送気手段の制御を行う送気制御手段と、
    を具備し、
    前記排煙制御手段は、前記処置具に前記高周波出力信号が供給される開始時のタイミングから前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値の大小に応じた遅延時間の後に排煙動作を開始し、当該処置具に供給される前記高周波出力信号の停止のタイミングから前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値の大小に応じた継続時間の後に排煙動作を停止するように当該排煙動作に係る排煙時間を設定し、
    前記送気制御手段は、前記処置具に供給される前記高周波出力信号の停止のタイミングから前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値の大小に応じた時間送気するよう前記送気手段を制御する
    ことを特徴とする電気手術装置。
  2. 前記排煙動作の開始に係る前記遅延時間は、前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値が大きいほど短く設定し、前記排煙動作の停止に係る前記継続時間は、前記出力設定手段により設定される前記出力エネルギの設定値が大きいほど長く設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気手術装置。
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