JP2004159688A - 送気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】患者の体腔内に挿入されて使用される医療機器からの熱的な影響を考慮して体腔内の送気ガスの温度を一定に保ち、患者の体温の上昇或いは低下を防止できると共に、消費電力の節減を図ることが可能な送気装置を提供することを目的としている。
【解決手段】送気装置5の送気/停止に応じて加温・加湿装置6のヒータをON/OFFして消費電力を節減し、また、制御装置7により、光源装置3の動作状態、高周波焼灼装置4の出力状態並びに出力値を検出して加熱制御量を決定し、加温・加湿装置6のヒータを制御する。これにより、高周波焼灼装置4や光源装置3等の医療機器から腹腔内の送気ガスに与えられる熱量を考慮して送気ガスの加温を行うことができ、腹腔内の送気ガスの温度を一定に保って患者の体温の上昇或いは低下を防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】送気装置5の送気/停止に応じて加温・加湿装置6のヒータをON/OFFして消費電力を節減し、また、制御装置7により、光源装置3の動作状態、高周波焼灼装置4の出力状態並びに出力値を検出して加熱制御量を決定し、加温・加湿装置6のヒータを制御する。これにより、高周波焼灼装置4や光源装置3等の医療機器から腹腔内の送気ガスに与えられる熱量を考慮して送気ガスの加温を行うことができ、腹腔内の送気ガスの温度を一定に保って患者の体温の上昇或いは低下を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体腔内に炭酸ガス等の送気ガスを供給する送気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、患者への侵襲を少なくするために、開腹することなく内視鏡で処置具と処置部位とを観察しながら治療処置を行う腹腔鏡外科手術が行われている。この腹腔鏡外科手術は、観察用の内視鏡を腹腔内に導くトラカールと処置具を処置部に導くトラカールとを患者の腹部に刺して行われる。その際、内視鏡の観察視野や処置空間を確保するために、例えば炭酸ガス等の送気ガスが送気装置によって制御され、腹腔内に注入される。
【0003】
こうした送気装置においては、ガスを減圧する手段において断熱膨張作用によりガスが冷却され、低い温度のガスが患者の体腔内に供給されてしまうという問題点があった。こうした点に鑑みて、例えば特公平7−110276号公報に開示されているように、送気ガスの供給路に加熱手段を設け、体腔内に送られるガスの温度を患者の体温とほぼ一定に保ち、患者の体腔内に供給する技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−110276号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来技術では、以下のような問題点がある。
【0006】
(1)患者の体腔内で、高周波焼灼装置、レーザ装置、自動出力制御(APC)装置等の各種のエネルギ発生手段をもって生体組織を切開、凝固するためのエネルギ処置具を使用した場合、体腔内のガスの温度が患者の体温以上に上昇する虞がある。
【0007】
(2)患者の体腔内には内視鏡のライトガイドを通じて照明光が導かれているため、こうした観察のための照明光も組織に吸収されて患者の体腔内の温度を上昇させる原因となる。
【0008】
(3)加熱手段が常に通電状態で保持されるので、消費電力が多くなる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、患者の体腔内に挿入されて使用される医療機器からの熱的な影響を考慮して体腔内の送気ガスの温度を一定に保ち、患者の体温の上昇或いは低下を防止すると共に、消費電力の節減を図ることが可能な送気装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による第1の送気装置は、患者の体腔内に注入するための所定の気体を所定の圧力で送気可能な送気源と、前記送気源に接続されると共に前記患者の体腔内に挿入され、前記送気源より送気される前記所定の気体を前記患者の体腔内に注入するための気体注入手段と、前記気体注入手段に接続され、前記患者の体腔内に注入される所定の気体の温度を変更可能な温度変更手段と、前記気体注入手段により注入された前記患者の体腔内の前記所定の気体の温度変化を判別可能な判別手段と、前記患者の体腔内に注入される前記所定の気体の温度を変更するために前記判別手段の判別結果が入力され、入力される判別結果に基づいて前記温度変更手段を制御可能な制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明による第2の送気装置は、患者の体腔内に注入するための所定の気体を所定の圧力で送気可能な送気源と、前記送気源に接続されると共に前記患者の体腔内に挿入され、前記送気源より送気される前記所定の気体を前記患者の体腔内に注入するための気体注入手段と、前記気体注入手段に接続され、前記患者の体腔内に注入される所定の気体の温度を変更可能な温度変更手段と、前記送気源により前記所定の気体を注入され膨らまされた前記患者の体腔内に挿入して共に使用される医療機器の動作状態を判別可能な周辺機器動作状態判別手段と、前記患者の体内に注入される前記所定の気体の温度を変更するために前記周辺機器動作状態判別手段の判別結果が入力され、入力される判別結果に基づいて前記温度変更手段を制御可能な制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図、図2は加温・加湿装置の概略断面図である。
【0013】
図1に示すように本実施形態の内視鏡システム1は、例えば基端部に接眼部2aを有する内視鏡2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、処置部位の止血を行ったり組織の切除を行う高周波焼灼装置4と、視野及び処置領域を確保するために腹腔内を膨らませる送気ガスを供給する送気装置5と、送気ガスの温度を変更可能な温度変更手段として送気ガスを暖め且つ湿らせるための加温・加湿装置6と、これら装置からの出力信号を受けて加温・加湿装置6を制御するための制御装置7とで主に構成されている。
【0014】
患者の腹部には前記内視鏡2や手術器具を腹腔内に導くための挿通孔を有するガイド管であるトラカール8,9が穿刺されており、内視鏡2が挿通される挿通孔8aを有するトラカール8にはシリコン等で形成された気腹チューブ10の一端部が着脱用コネクタ11によって着脱自在に取り付けられるようになっている。また、トラカール9の挿通孔9aには、例えば所定のエネルギ発生手段をもって生体組織を切開、凝固するエネルギ処置具としての高周波処置具12が挿通されている。
【0015】
前記内視鏡2と光源装置3とは、内視鏡2の基端部側部から延出するライトガイドケーブル13に設けられているライトガイドコネクタ14によって着脱自在に接続される構成になっており、前記光源装置3に設けられているランプ15で発生した照明光がレンズ16によって前記ライトガイドケーブル13の端面に集光されるようになっている。このライトガイドケーブル13の端面に集光された照明光は、このライトガイドケーブル13を挿通しているライトガイドファイバ束を介して内視鏡2の先端部17まで伝送されて被写体を照らすようになっている。そして、この先端部17から出射された照明光は被写体で反射し、内視鏡2内に被写体像を結像させ、この被写体像が図示しない観察光学系を介して接眼部2aまで伝送されるようになっている。光源装置3と制御装置7とは信号ケーブル18によって電気的に接続されており、光源装置3から出力されるランプ15の点灯/消灯に伴う信号が制御装置7に入力される。
【0016】
前記高周波焼灼装置4と高周波処置具12とは、この高周波処置具12の基端側から延出するアクティブコード20を介して高周波焼灼装置4に設けられているアクティブ電極21に電気的に接続されている。また、高周波焼灼装置4の患者電極22には人体の皮膚に密着するように柔軟性でシート状に形成した患者プレート23が接続されている。この高周波焼灼装置4のアクティブ電極21及び患者電極22は、装置内部に設けられた高周波電力を発生するHF出力アンプ4aに接続されている。高周波焼灼装置4と制御装置7とは信号ケーブル24によって電気的に接続され、高周波焼灼装置4から出力される高周波焼灼装置4の出力状態を示す信号が制御装置7に入力される。
【0017】
図2に示すように、前記加温・加湿装置6には加湿室25が設けられ、この加湿室25は、その周壁全体を水蒸気に対して透過性を持つ水蒸気透過膜26で構成されている。水蒸気透過膜26の周囲には保水体27が配置され、常に供給される蒸留水によって湿潤に保たれている。保水体27の周囲にはヒータ28が配置されており、保水体27に含まれる水分を加熱する。加湿室25の出口付近にはガス温度センサ29が設けられている。
【0018】
加湿室25の両端にはチューブが着脱自在に接続可能な口金30a,30bが設けられており、一方の口金30aはチューブ31を介して送気装置5の送気口金32に着脱自在に接続され、他方の口金30bには気腹チューブ10の一端部が着脱自在に接続されるようになっている。このような構成により、送気装置5からの送気ガスは加湿室25に送られ、水蒸気透過膜26を通して加熱水蒸気を含むことによって加温と同時に加湿され、気腹チューブ10から患者の体腔内に送られる。尚、加温・加湿装置6のヒータ28及びガス温度センサ29は、制御ケーブル33によって制御装置7と電気的に接続されている。
【0019】
また、送気装置5には、上述した送気口金32が設けられると共に、高圧口金34が設けられている。高圧口金34には高圧送気ガス用チューブ35の一端部が接続され、この高圧送気ガス用チューブ35の他端部は気体貯蔵手段としての送気ガスボンベ36に接続されるようになっている。送気ガスボンベ36には、例えば液化した二酸化炭素が充填されている。
【0020】
気体貯蔵手段としての送気ガスボンベ36は、気体貯蔵手段から気体を送出する送出部としての送気装置5内のバルブユニット37と共に送気源を形成し、この送気源からの気体が、気腹チューブ10と患者の体腔内に挿入可能な挿入部としてのトラカール8(気復チューブ10をトラカール9に接続する場合には、トラカール9)とで形成される気体注入手段により、患者の体腔内に送出される。すなわち、送気ガスボンベ36に充填されている液状の二酸化炭素は、気化されて送気装置5内のバルブユニット37を通って所定の圧力に減圧された後、気腹チューブ10、トラカール8の挿通孔8aを通って腹腔内に送り込まれる。
【0021】
この腹腔内に送り込まれる二酸化炭素送気ガスの温度や流量は、バルブユニット37に電気的に接続された制御部38によって制御されるようになっている。送気装置5と制御装置7とは信号ケーブル39によって電気的に接続され、送気装置5から送気/停止を示す信号並びに送気ガス流量を表す信号が制御装置7に送信される。制御装置7は、後述するように、体腔内の気体の温度変化を判別する機能(判別手段)、光源装置3や高周波焼灼装置4等の医療機器の動作状態を判別する機能(周辺機器動作状態判別手段)、これらの判別結果に基づいて、送気ガスの温度を制御する機能(温度制御手段或いは温度変更手段としての加温・加湿装置6を制御する制御手段)を有している。
【0022】
次に、以上のように構成されるシステムにおける送気装置5の動作について説明する。
【0023】
送気装置5の設定部を用いて患者の腹腔内圧及び送気ガスの流量を設定した後、図示しないスタートボタンを操作して送気を開始させる。するとバルブの開閉に従って腹腔内にガスが供給され、腹腔内圧力が上昇していく。このとき、制御部38は、設定されている患者の腹腔内圧力値と実際の腹腔内圧力との圧力差の値を常に監視しており、設定されている患者の腹腔内圧力値と実際の腹腔内圧力値との差に応じて送気流量を変化させるようバルブユニット37を制御し、腹腔内圧力を調整する。
【0024】
また、上述したように、腹腔内に供給される送気ガスは、加温・加湿装置6によって加温・加湿されるようになっている。加温・加湿装置6のヒータ28は、送気装置5の送気/停止に応じてON/OFFされ、送気ガスに対する加熱量の制御は、制御装置7から送られる信号に基づいて行われる。この制御装置7による加熱制御では、以下に例示するように、光源装置3の動作状態、高周波焼灼装置4の出力状態並びに出力値を検出し、加熱制御量を決定する。
【0025】
例えば、光源装置3の動作状態がON、高周波焼灼装置4の出力状態がOFFであったならば、ガス温度センサ29で測定されるガスの温度が50°Cになるようにヒータ28の通電を制御して加温を行う。このとき、ヒータ28で50°Cに加熱された送気ガスは、気腹チューブ10を通過している間に熱を大気に放出し、腹腔内に送り込まれるときには34°Cとなる。そして、腹腔内にて光源装置3の熱により暖められ、体温とほぼ同じ36°Cになる。
【0026】
また、例えば光源装置3の動作状態がON、高周波焼灼装置4の出力状態がON、その出力値が100Wであった場合には、ガス温度センサ29で測定されるガスの温度が45°Cになるようにヒータ28の通電を制御して加温を行う。このとき、ヒータ28で45°Cに加熱された送気ガスは、気腹チューブ10を通過している間に熱を大気に放出し、腹腔内に送り込まれるときには約30°Cとなる。そして、腹腔内にて光源装置3及び高周波焼灼装置4の熱により暖められ、体温とほぼ同じ36°Cになる。
【0027】
但し、上記説明に用いた温度については、作用を説明するための一例であり、使用状況や使用機器に応じて異なるものである。
【0028】
このように、本実施の形態においては、送気装置5の送気/停止に応じて加温・加湿装置6のヒータ28をON/OFFするので消費電力を節減することができる。また、高周波焼灼装置4や光源装置3等の医療機器から腹腔内の送気ガスに与えられる熱量を考慮して送気ガスの加温を行うので、腹腔内のガスの温度が患者の体温以上になる虞がなく、腹腔内のガスの温度を一定に保って患者の体温の上昇或いは低下を防止することができる。
【0029】
図3は本発明の実施の第2形態に係わり、内視鏡システムの別の構成例を示す説明図である。以下においては、第1実施形態と同様の構成部分には同一の番号を付して説明を省略する。
【0030】
図3に示すように、第2形態の内視鏡システム1Aは、内視鏡2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、高周波焼灼装置4と、送気装置5と、加温・加湿装置6と、患者の手のひらなどの体温表を測定する体表温測定部40及び鼓膜などの中枢温を測定する中枢温測定部41を備えた体温測定装置42と、手術室の室温を測定する室温測定部43と、これら装置からの出力信号を受けて制御する制御装置44とを備えて構成されている。
【0031】
第2形態では、まず手術を行う際、体表温測定部40を患者の手のひらに貼付し、中枢温測定部41を患者の鼓膜にセットする。そして、術中の体表温及び中枢温を、常時、体温測定装置42で測定する。
【0032】
第1形態と同様、図示しないスタートボタンが操作され送気が開始されると、送気中、加温・加湿装置6によって送気ガスの加温が行われる。このとき、加温されたガスは、気腹チューブ10を通過している間に熱を大気に放出し、腹腔内に送り込まれるときには体温と略同じ温度である36°Cになる。
【0033】
気腹チューブ10内を通過している間に奪われる熱量は、室温によって決まる値であり、室温ΔTだけ変わったときの室温によって奪われる熱量の差ΔQr(ΔT)を事前に測定し、この測定結果が制御装置44のプログラムに予め入力されている。また、光源装置3が動作することにより腹腔内のガスに与えられる熱量Q1、高周波焼灼装置4が出力Pで出力したときに腹腔内のガスに与えられる熱量Q2(P)も、それぞれ事前に測定され、プログラムされている。腹腔内で生じる発熱量はQ1+Q2(P)である。
【0034】
制御装置44は、上述のプログラムにより、室温、光源装置3のON/OFF動作、高周波焼灼装置4の出力値から、加温・加湿装置6のヒータ28の発熱量Qを、次のように決定する。但し、基準室温20°Cのときのヒータ28の発熱量をQoとする。
Q=Q0+ΔQr(ΔT)−Q1−Q2(P)
【0035】
この場合、もし体温測定装置42にて体温の低下が検知された場合には、制御装置44は、加温・加湿装置6に送信するヒータ28の制御温度を上げ、体温の低下を防止する。
【0036】
このように、第2形態においては、室温、患者の体温を測定して加温・加湿装置6を制御するため、術者は患者の体温の低下を危惧することなく手術を集中して行うことが可能となる。
【0037】
図4及び図5は本発明の実施の第3形態に係わり、図4は医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図、図5は加温・加湿装置の概略断面図である。尚、第1形態と同様の構成部分には同一の番号を付して説明を省略する。
【0038】
図4に示すように、第3形態の内視鏡システム1Bは、例えば基端部に接眼部2aを有する内視鏡2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、処置部位の止血を行ったり組織の切除を行う高周波焼灼装置4と、視野及び処置空間を確保するために腹腔内を膨らませる送気ガスを供給する送気装置5Aと、送気ガスを暖め且つ湿らせるための加温・加湿装置6Aと、腹腔内のガスを吸引するための吸引装置45とで主に構成されている。
【0039】
本形態の送気装置5Aには、チューブを閉塞して流れを制御するためのピンチバルブ46が設けられており、このピンチバルブ46は送気装置5A内のバルブユニット37を制御する制御部47によって開閉制御される。吸引装置45には吸引チューブ48の一端が着脱自在に接続され、吸引チューブ48の他端が、ピンチバルブ46を介して、気腹チューブ10が接続されているトラカール8とは別のトラカール9の口金部に着脱自在に接続されている。
【0040】
送気装置5Aの制御部47は、信号ケーブル39Aを介して吸引装置45と電気的に接続され、吸引装置45の作動状態下でピンチバルブ46が制御部47からの信号に応じて開閉すると、腹腔から吸引装置45への吸引チューブ48内のガスの流れが制御される。また、送気装置5Aの制御部47は、信号ケーブル18Aを介して光源装置3と電気的に接続されると共に、信号ケーブル24Aを介して高周波焼灼装置4と電気的に接続されている。光源装置3は、ランプ15の点灯/消灯に伴う信号を送気装置5Aの制御部47に送信し、高周波焼灼装置4は、高周波出力のON/OFF及びその出力値を送気装置5Aの制御部47に送信する。
【0041】
図5に示すように、加温・加湿装置6Aは、第1形態の加温・加湿装置6と同様、加湿室25、水蒸気透過膜26、保水体27、ヒータ28を備えているが、第3形態の加温・加湿装置6Aには、加湿室25の出口付近に設けられたガス温度センサ51からの信号に基づいて、ヒータ28を常に同じ温度(例えば55°C)になるように制御する制御部52が設けられている。この制御部52は、信号ケーブル53を用いて送気装置5Aの制御部47と相互に信号の授受ができるよう接続されている。
【0042】
次に、以上の構成による本形態の作用について説明する。第1形態と同様、図示しないスタートボタンが操作され送気が開始されると、送気の信号が送気装置5Aから加温・加湿装置6Aの制御部52へと送られ、制御部52はヒータ28を作動させ、上述したように、ガス温度を一定の温度、例えば55°Cになるように制御を開始する。尚、送気が停止している間は、送気信号が送信されないため、加温・加湿装置6Aのヒータ28は通電されない状態である。
【0043】
手術中に止血や組織凝固を行うため高周波焼灼装置4が出力すると、組織が焼灼されると同時に煙が発生する。送気装置5Aの制御部47は、高周波焼灼装置4の出力を検知し、バルブユニット37及びピンチバルブ46を次のように制御する。
【0044】
高周波焼灼装置4が出力している間、バルブユニット37を制御して送気/停止を断続的に繰り返す。それと同時に、吸引装置45を作動させてピンチバルブ46を開閉し、吸引装置45から腹腔ガスを断続的に排出する。また、腹腔内の圧力が高まった場合には送気量を下げ、腹腔内の圧力が低くなった場合には排出力を下げるように制御を行う。その結果、腹腔内の圧力が維持されたまま、腹腔内の煙に満ちたガスが新しいガスに置き換えられる。こうした作用により、腹腔内の煙に満ちたガスが排出され、新しいガスに置き換えられる。
【0045】
また、加温・加湿装置6Aにより送気ガスは加温されて患者の腹腔に送られる。高周波焼灼装置4が出力している間、送気装置5Aの制御部47は、送気信号を送信するに加えて、高周波焼灼装置4が作動していることを表す信号を加温・加湿装置6Aの制御部52に送信する。加温・加湿装置6Aの制御部52は、この信号に応じて、通常、ガス温度が55°Cで一定になるようヒータ28を制御するところを、高周波焼灼装置4が作動することによる腹腔内での発熱量を考慮して、ガス温度を例えば50°Cで一定となるように目標温度を切り換え、ヒータ28の制御を行う。
【0046】
これにより、腹腔内で高周波焼灼装置4が作動している間、煙が排出されて視界良く保たれるばかりでなく、腹腔内の発熱の影響を考慮して送気ガスの加温温度を下げるため、腹腔内のガス温度が患者の体温以上になる可能性をより少なくすることができる。
【0047】
本発明は、以上述べた各実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。例えば、エネルギ処置具の一例として高周波焼灼装置4を挙げたが、レーザ装置やAPC装置との組合わせによる構成においても同様の効果が得られる。また、加温・加湿装置6(6A)は、送気装置5(5A)の一機能部分であっても良く、制御装置7(44)は、送気装置5(5A)、高周波焼灼装置4、或いは光源装置3に含まれた一機能であっても良い。
【0048】
[付記1] 患者の体腔内に所定の気体を注入することにより前記体腔内を気腹する送気装置において、
気腹された前記体腔内に挿入して共に使用される医療機器の動作を判別する周辺機器動作判別手段と、
前記周辺機器動作状態判別手段の判別結果に基づいて、注入される気体の温度を制御する温度制御手段と、
を有することを特徴とする送気装置。
【0049】
[付記2]
前記送気源は、患者の体内に注入するための所定の気体を所定の圧力で貯蔵可能な気体貯蔵手段と、
前記気体貯蔵手段に設けられ前記所定の気体を前記気体貯蔵手段から送出するための送出部と、
により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の送気装置。
【0050】
[付記3]
患者の体腔内に気体を送る送気部と、気体を加熱する加温部と、前記送気部および加温部を制御する制御部とからなる送気装置であって、前記制御部は腹腔内にて生じる、少なくとも1つ以上の他の装置からの発熱量を検知し、発熱量に応じて加温部を制御することを特徴とする送気装置。
【0051】
[付記4]
前記他の装置はエネルギ処置具または、および光源装置である、付記3に記載の送気装置。
【0052】
[付記5]
患者の体腔内に気体を送る送気部と、気体を加熱する加温部と、前記送気部および加温部を制御する制御部とからなる送気装置であって、前記制御部はエネルギ処置具の出力状態を検出し、その出力されている間、加温部の加温熱量を減少させるよう制御することを特徴とする送気装置。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、患者の体腔内に挿入されて使用される医療機器からの熱的な影響を考慮して体腔内の送気ガスの温度を一定に保つことができ、患者の体温の上昇或いは低下を防止して患者及び医師の負担を軽減できると共に、消費電力の節減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図
【図2】同上、加温・加湿装置の概略断面図
【図3】本発明の実施の第2形態に係わり、内視鏡システムの構成例を示す説明図
【図4】本発明の実施の第3形態に係わり、医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図
【図5】同上、加温・加湿装置の概略断面図
【符号の説明】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 光源装置
4 高周波焼灼装置
5 送気装置
6 加温・加湿装置
7 制御装置
10 気腹チューブ
36 送気ガスボンベ
37 バルブユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、体腔内に炭酸ガス等の送気ガスを供給する送気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、患者への侵襲を少なくするために、開腹することなく内視鏡で処置具と処置部位とを観察しながら治療処置を行う腹腔鏡外科手術が行われている。この腹腔鏡外科手術は、観察用の内視鏡を腹腔内に導くトラカールと処置具を処置部に導くトラカールとを患者の腹部に刺して行われる。その際、内視鏡の観察視野や処置空間を確保するために、例えば炭酸ガス等の送気ガスが送気装置によって制御され、腹腔内に注入される。
【0003】
こうした送気装置においては、ガスを減圧する手段において断熱膨張作用によりガスが冷却され、低い温度のガスが患者の体腔内に供給されてしまうという問題点があった。こうした点に鑑みて、例えば特公平7−110276号公報に開示されているように、送気ガスの供給路に加熱手段を設け、体腔内に送られるガスの温度を患者の体温とほぼ一定に保ち、患者の体腔内に供給する技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−110276号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来技術では、以下のような問題点がある。
【0006】
(1)患者の体腔内で、高周波焼灼装置、レーザ装置、自動出力制御(APC)装置等の各種のエネルギ発生手段をもって生体組織を切開、凝固するためのエネルギ処置具を使用した場合、体腔内のガスの温度が患者の体温以上に上昇する虞がある。
【0007】
(2)患者の体腔内には内視鏡のライトガイドを通じて照明光が導かれているため、こうした観察のための照明光も組織に吸収されて患者の体腔内の温度を上昇させる原因となる。
【0008】
(3)加熱手段が常に通電状態で保持されるので、消費電力が多くなる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、患者の体腔内に挿入されて使用される医療機器からの熱的な影響を考慮して体腔内の送気ガスの温度を一定に保ち、患者の体温の上昇或いは低下を防止すると共に、消費電力の節減を図ることが可能な送気装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による第1の送気装置は、患者の体腔内に注入するための所定の気体を所定の圧力で送気可能な送気源と、前記送気源に接続されると共に前記患者の体腔内に挿入され、前記送気源より送気される前記所定の気体を前記患者の体腔内に注入するための気体注入手段と、前記気体注入手段に接続され、前記患者の体腔内に注入される所定の気体の温度を変更可能な温度変更手段と、前記気体注入手段により注入された前記患者の体腔内の前記所定の気体の温度変化を判別可能な判別手段と、前記患者の体腔内に注入される前記所定の気体の温度を変更するために前記判別手段の判別結果が入力され、入力される判別結果に基づいて前記温度変更手段を制御可能な制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明による第2の送気装置は、患者の体腔内に注入するための所定の気体を所定の圧力で送気可能な送気源と、前記送気源に接続されると共に前記患者の体腔内に挿入され、前記送気源より送気される前記所定の気体を前記患者の体腔内に注入するための気体注入手段と、前記気体注入手段に接続され、前記患者の体腔内に注入される所定の気体の温度を変更可能な温度変更手段と、前記送気源により前記所定の気体を注入され膨らまされた前記患者の体腔内に挿入して共に使用される医療機器の動作状態を判別可能な周辺機器動作状態判別手段と、前記患者の体内に注入される前記所定の気体の温度を変更するために前記周辺機器動作状態判別手段の判別結果が入力され、入力される判別結果に基づいて前記温度変更手段を制御可能な制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図、図2は加温・加湿装置の概略断面図である。
【0013】
図1に示すように本実施形態の内視鏡システム1は、例えば基端部に接眼部2aを有する内視鏡2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、処置部位の止血を行ったり組織の切除を行う高周波焼灼装置4と、視野及び処置領域を確保するために腹腔内を膨らませる送気ガスを供給する送気装置5と、送気ガスの温度を変更可能な温度変更手段として送気ガスを暖め且つ湿らせるための加温・加湿装置6と、これら装置からの出力信号を受けて加温・加湿装置6を制御するための制御装置7とで主に構成されている。
【0014】
患者の腹部には前記内視鏡2や手術器具を腹腔内に導くための挿通孔を有するガイド管であるトラカール8,9が穿刺されており、内視鏡2が挿通される挿通孔8aを有するトラカール8にはシリコン等で形成された気腹チューブ10の一端部が着脱用コネクタ11によって着脱自在に取り付けられるようになっている。また、トラカール9の挿通孔9aには、例えば所定のエネルギ発生手段をもって生体組織を切開、凝固するエネルギ処置具としての高周波処置具12が挿通されている。
【0015】
前記内視鏡2と光源装置3とは、内視鏡2の基端部側部から延出するライトガイドケーブル13に設けられているライトガイドコネクタ14によって着脱自在に接続される構成になっており、前記光源装置3に設けられているランプ15で発生した照明光がレンズ16によって前記ライトガイドケーブル13の端面に集光されるようになっている。このライトガイドケーブル13の端面に集光された照明光は、このライトガイドケーブル13を挿通しているライトガイドファイバ束を介して内視鏡2の先端部17まで伝送されて被写体を照らすようになっている。そして、この先端部17から出射された照明光は被写体で反射し、内視鏡2内に被写体像を結像させ、この被写体像が図示しない観察光学系を介して接眼部2aまで伝送されるようになっている。光源装置3と制御装置7とは信号ケーブル18によって電気的に接続されており、光源装置3から出力されるランプ15の点灯/消灯に伴う信号が制御装置7に入力される。
【0016】
前記高周波焼灼装置4と高周波処置具12とは、この高周波処置具12の基端側から延出するアクティブコード20を介して高周波焼灼装置4に設けられているアクティブ電極21に電気的に接続されている。また、高周波焼灼装置4の患者電極22には人体の皮膚に密着するように柔軟性でシート状に形成した患者プレート23が接続されている。この高周波焼灼装置4のアクティブ電極21及び患者電極22は、装置内部に設けられた高周波電力を発生するHF出力アンプ4aに接続されている。高周波焼灼装置4と制御装置7とは信号ケーブル24によって電気的に接続され、高周波焼灼装置4から出力される高周波焼灼装置4の出力状態を示す信号が制御装置7に入力される。
【0017】
図2に示すように、前記加温・加湿装置6には加湿室25が設けられ、この加湿室25は、その周壁全体を水蒸気に対して透過性を持つ水蒸気透過膜26で構成されている。水蒸気透過膜26の周囲には保水体27が配置され、常に供給される蒸留水によって湿潤に保たれている。保水体27の周囲にはヒータ28が配置されており、保水体27に含まれる水分を加熱する。加湿室25の出口付近にはガス温度センサ29が設けられている。
【0018】
加湿室25の両端にはチューブが着脱自在に接続可能な口金30a,30bが設けられており、一方の口金30aはチューブ31を介して送気装置5の送気口金32に着脱自在に接続され、他方の口金30bには気腹チューブ10の一端部が着脱自在に接続されるようになっている。このような構成により、送気装置5からの送気ガスは加湿室25に送られ、水蒸気透過膜26を通して加熱水蒸気を含むことによって加温と同時に加湿され、気腹チューブ10から患者の体腔内に送られる。尚、加温・加湿装置6のヒータ28及びガス温度センサ29は、制御ケーブル33によって制御装置7と電気的に接続されている。
【0019】
また、送気装置5には、上述した送気口金32が設けられると共に、高圧口金34が設けられている。高圧口金34には高圧送気ガス用チューブ35の一端部が接続され、この高圧送気ガス用チューブ35の他端部は気体貯蔵手段としての送気ガスボンベ36に接続されるようになっている。送気ガスボンベ36には、例えば液化した二酸化炭素が充填されている。
【0020】
気体貯蔵手段としての送気ガスボンベ36は、気体貯蔵手段から気体を送出する送出部としての送気装置5内のバルブユニット37と共に送気源を形成し、この送気源からの気体が、気腹チューブ10と患者の体腔内に挿入可能な挿入部としてのトラカール8(気復チューブ10をトラカール9に接続する場合には、トラカール9)とで形成される気体注入手段により、患者の体腔内に送出される。すなわち、送気ガスボンベ36に充填されている液状の二酸化炭素は、気化されて送気装置5内のバルブユニット37を通って所定の圧力に減圧された後、気腹チューブ10、トラカール8の挿通孔8aを通って腹腔内に送り込まれる。
【0021】
この腹腔内に送り込まれる二酸化炭素送気ガスの温度や流量は、バルブユニット37に電気的に接続された制御部38によって制御されるようになっている。送気装置5と制御装置7とは信号ケーブル39によって電気的に接続され、送気装置5から送気/停止を示す信号並びに送気ガス流量を表す信号が制御装置7に送信される。制御装置7は、後述するように、体腔内の気体の温度変化を判別する機能(判別手段)、光源装置3や高周波焼灼装置4等の医療機器の動作状態を判別する機能(周辺機器動作状態判別手段)、これらの判別結果に基づいて、送気ガスの温度を制御する機能(温度制御手段或いは温度変更手段としての加温・加湿装置6を制御する制御手段)を有している。
【0022】
次に、以上のように構成されるシステムにおける送気装置5の動作について説明する。
【0023】
送気装置5の設定部を用いて患者の腹腔内圧及び送気ガスの流量を設定した後、図示しないスタートボタンを操作して送気を開始させる。するとバルブの開閉に従って腹腔内にガスが供給され、腹腔内圧力が上昇していく。このとき、制御部38は、設定されている患者の腹腔内圧力値と実際の腹腔内圧力との圧力差の値を常に監視しており、設定されている患者の腹腔内圧力値と実際の腹腔内圧力値との差に応じて送気流量を変化させるようバルブユニット37を制御し、腹腔内圧力を調整する。
【0024】
また、上述したように、腹腔内に供給される送気ガスは、加温・加湿装置6によって加温・加湿されるようになっている。加温・加湿装置6のヒータ28は、送気装置5の送気/停止に応じてON/OFFされ、送気ガスに対する加熱量の制御は、制御装置7から送られる信号に基づいて行われる。この制御装置7による加熱制御では、以下に例示するように、光源装置3の動作状態、高周波焼灼装置4の出力状態並びに出力値を検出し、加熱制御量を決定する。
【0025】
例えば、光源装置3の動作状態がON、高周波焼灼装置4の出力状態がOFFであったならば、ガス温度センサ29で測定されるガスの温度が50°Cになるようにヒータ28の通電を制御して加温を行う。このとき、ヒータ28で50°Cに加熱された送気ガスは、気腹チューブ10を通過している間に熱を大気に放出し、腹腔内に送り込まれるときには34°Cとなる。そして、腹腔内にて光源装置3の熱により暖められ、体温とほぼ同じ36°Cになる。
【0026】
また、例えば光源装置3の動作状態がON、高周波焼灼装置4の出力状態がON、その出力値が100Wであった場合には、ガス温度センサ29で測定されるガスの温度が45°Cになるようにヒータ28の通電を制御して加温を行う。このとき、ヒータ28で45°Cに加熱された送気ガスは、気腹チューブ10を通過している間に熱を大気に放出し、腹腔内に送り込まれるときには約30°Cとなる。そして、腹腔内にて光源装置3及び高周波焼灼装置4の熱により暖められ、体温とほぼ同じ36°Cになる。
【0027】
但し、上記説明に用いた温度については、作用を説明するための一例であり、使用状況や使用機器に応じて異なるものである。
【0028】
このように、本実施の形態においては、送気装置5の送気/停止に応じて加温・加湿装置6のヒータ28をON/OFFするので消費電力を節減することができる。また、高周波焼灼装置4や光源装置3等の医療機器から腹腔内の送気ガスに与えられる熱量を考慮して送気ガスの加温を行うので、腹腔内のガスの温度が患者の体温以上になる虞がなく、腹腔内のガスの温度を一定に保って患者の体温の上昇或いは低下を防止することができる。
【0029】
図3は本発明の実施の第2形態に係わり、内視鏡システムの別の構成例を示す説明図である。以下においては、第1実施形態と同様の構成部分には同一の番号を付して説明を省略する。
【0030】
図3に示すように、第2形態の内視鏡システム1Aは、内視鏡2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、高周波焼灼装置4と、送気装置5と、加温・加湿装置6と、患者の手のひらなどの体温表を測定する体表温測定部40及び鼓膜などの中枢温を測定する中枢温測定部41を備えた体温測定装置42と、手術室の室温を測定する室温測定部43と、これら装置からの出力信号を受けて制御する制御装置44とを備えて構成されている。
【0031】
第2形態では、まず手術を行う際、体表温測定部40を患者の手のひらに貼付し、中枢温測定部41を患者の鼓膜にセットする。そして、術中の体表温及び中枢温を、常時、体温測定装置42で測定する。
【0032】
第1形態と同様、図示しないスタートボタンが操作され送気が開始されると、送気中、加温・加湿装置6によって送気ガスの加温が行われる。このとき、加温されたガスは、気腹チューブ10を通過している間に熱を大気に放出し、腹腔内に送り込まれるときには体温と略同じ温度である36°Cになる。
【0033】
気腹チューブ10内を通過している間に奪われる熱量は、室温によって決まる値であり、室温ΔTだけ変わったときの室温によって奪われる熱量の差ΔQr(ΔT)を事前に測定し、この測定結果が制御装置44のプログラムに予め入力されている。また、光源装置3が動作することにより腹腔内のガスに与えられる熱量Q1、高周波焼灼装置4が出力Pで出力したときに腹腔内のガスに与えられる熱量Q2(P)も、それぞれ事前に測定され、プログラムされている。腹腔内で生じる発熱量はQ1+Q2(P)である。
【0034】
制御装置44は、上述のプログラムにより、室温、光源装置3のON/OFF動作、高周波焼灼装置4の出力値から、加温・加湿装置6のヒータ28の発熱量Qを、次のように決定する。但し、基準室温20°Cのときのヒータ28の発熱量をQoとする。
Q=Q0+ΔQr(ΔT)−Q1−Q2(P)
【0035】
この場合、もし体温測定装置42にて体温の低下が検知された場合には、制御装置44は、加温・加湿装置6に送信するヒータ28の制御温度を上げ、体温の低下を防止する。
【0036】
このように、第2形態においては、室温、患者の体温を測定して加温・加湿装置6を制御するため、術者は患者の体温の低下を危惧することなく手術を集中して行うことが可能となる。
【0037】
図4及び図5は本発明の実施の第3形態に係わり、図4は医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図、図5は加温・加湿装置の概略断面図である。尚、第1形態と同様の構成部分には同一の番号を付して説明を省略する。
【0038】
図4に示すように、第3形態の内視鏡システム1Bは、例えば基端部に接眼部2aを有する内視鏡2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、処置部位の止血を行ったり組織の切除を行う高周波焼灼装置4と、視野及び処置空間を確保するために腹腔内を膨らませる送気ガスを供給する送気装置5Aと、送気ガスを暖め且つ湿らせるための加温・加湿装置6Aと、腹腔内のガスを吸引するための吸引装置45とで主に構成されている。
【0039】
本形態の送気装置5Aには、チューブを閉塞して流れを制御するためのピンチバルブ46が設けられており、このピンチバルブ46は送気装置5A内のバルブユニット37を制御する制御部47によって開閉制御される。吸引装置45には吸引チューブ48の一端が着脱自在に接続され、吸引チューブ48の他端が、ピンチバルブ46を介して、気腹チューブ10が接続されているトラカール8とは別のトラカール9の口金部に着脱自在に接続されている。
【0040】
送気装置5Aの制御部47は、信号ケーブル39Aを介して吸引装置45と電気的に接続され、吸引装置45の作動状態下でピンチバルブ46が制御部47からの信号に応じて開閉すると、腹腔から吸引装置45への吸引チューブ48内のガスの流れが制御される。また、送気装置5Aの制御部47は、信号ケーブル18Aを介して光源装置3と電気的に接続されると共に、信号ケーブル24Aを介して高周波焼灼装置4と電気的に接続されている。光源装置3は、ランプ15の点灯/消灯に伴う信号を送気装置5Aの制御部47に送信し、高周波焼灼装置4は、高周波出力のON/OFF及びその出力値を送気装置5Aの制御部47に送信する。
【0041】
図5に示すように、加温・加湿装置6Aは、第1形態の加温・加湿装置6と同様、加湿室25、水蒸気透過膜26、保水体27、ヒータ28を備えているが、第3形態の加温・加湿装置6Aには、加湿室25の出口付近に設けられたガス温度センサ51からの信号に基づいて、ヒータ28を常に同じ温度(例えば55°C)になるように制御する制御部52が設けられている。この制御部52は、信号ケーブル53を用いて送気装置5Aの制御部47と相互に信号の授受ができるよう接続されている。
【0042】
次に、以上の構成による本形態の作用について説明する。第1形態と同様、図示しないスタートボタンが操作され送気が開始されると、送気の信号が送気装置5Aから加温・加湿装置6Aの制御部52へと送られ、制御部52はヒータ28を作動させ、上述したように、ガス温度を一定の温度、例えば55°Cになるように制御を開始する。尚、送気が停止している間は、送気信号が送信されないため、加温・加湿装置6Aのヒータ28は通電されない状態である。
【0043】
手術中に止血や組織凝固を行うため高周波焼灼装置4が出力すると、組織が焼灼されると同時に煙が発生する。送気装置5Aの制御部47は、高周波焼灼装置4の出力を検知し、バルブユニット37及びピンチバルブ46を次のように制御する。
【0044】
高周波焼灼装置4が出力している間、バルブユニット37を制御して送気/停止を断続的に繰り返す。それと同時に、吸引装置45を作動させてピンチバルブ46を開閉し、吸引装置45から腹腔ガスを断続的に排出する。また、腹腔内の圧力が高まった場合には送気量を下げ、腹腔内の圧力が低くなった場合には排出力を下げるように制御を行う。その結果、腹腔内の圧力が維持されたまま、腹腔内の煙に満ちたガスが新しいガスに置き換えられる。こうした作用により、腹腔内の煙に満ちたガスが排出され、新しいガスに置き換えられる。
【0045】
また、加温・加湿装置6Aにより送気ガスは加温されて患者の腹腔に送られる。高周波焼灼装置4が出力している間、送気装置5Aの制御部47は、送気信号を送信するに加えて、高周波焼灼装置4が作動していることを表す信号を加温・加湿装置6Aの制御部52に送信する。加温・加湿装置6Aの制御部52は、この信号に応じて、通常、ガス温度が55°Cで一定になるようヒータ28を制御するところを、高周波焼灼装置4が作動することによる腹腔内での発熱量を考慮して、ガス温度を例えば50°Cで一定となるように目標温度を切り換え、ヒータ28の制御を行う。
【0046】
これにより、腹腔内で高周波焼灼装置4が作動している間、煙が排出されて視界良く保たれるばかりでなく、腹腔内の発熱の影響を考慮して送気ガスの加温温度を下げるため、腹腔内のガス温度が患者の体温以上になる可能性をより少なくすることができる。
【0047】
本発明は、以上述べた各実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。例えば、エネルギ処置具の一例として高周波焼灼装置4を挙げたが、レーザ装置やAPC装置との組合わせによる構成においても同様の効果が得られる。また、加温・加湿装置6(6A)は、送気装置5(5A)の一機能部分であっても良く、制御装置7(44)は、送気装置5(5A)、高周波焼灼装置4、或いは光源装置3に含まれた一機能であっても良い。
【0048】
[付記1] 患者の体腔内に所定の気体を注入することにより前記体腔内を気腹する送気装置において、
気腹された前記体腔内に挿入して共に使用される医療機器の動作を判別する周辺機器動作判別手段と、
前記周辺機器動作状態判別手段の判別結果に基づいて、注入される気体の温度を制御する温度制御手段と、
を有することを特徴とする送気装置。
【0049】
[付記2]
前記送気源は、患者の体内に注入するための所定の気体を所定の圧力で貯蔵可能な気体貯蔵手段と、
前記気体貯蔵手段に設けられ前記所定の気体を前記気体貯蔵手段から送出するための送出部と、
により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の送気装置。
【0050】
[付記3]
患者の体腔内に気体を送る送気部と、気体を加熱する加温部と、前記送気部および加温部を制御する制御部とからなる送気装置であって、前記制御部は腹腔内にて生じる、少なくとも1つ以上の他の装置からの発熱量を検知し、発熱量に応じて加温部を制御することを特徴とする送気装置。
【0051】
[付記4]
前記他の装置はエネルギ処置具または、および光源装置である、付記3に記載の送気装置。
【0052】
[付記5]
患者の体腔内に気体を送る送気部と、気体を加熱する加温部と、前記送気部および加温部を制御する制御部とからなる送気装置であって、前記制御部はエネルギ処置具の出力状態を検出し、その出力されている間、加温部の加温熱量を減少させるよう制御することを特徴とする送気装置。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、患者の体腔内に挿入されて使用される医療機器からの熱的な影響を考慮して体腔内の送気ガスの温度を一定に保つことができ、患者の体温の上昇或いは低下を防止して患者及び医師の負担を軽減できると共に、消費電力の節減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図
【図2】同上、加温・加湿装置の概略断面図
【図3】本発明の実施の第2形態に係わり、内視鏡システムの構成例を示す説明図
【図4】本発明の実施の第3形態に係わり、医療用の内視鏡システムを用いて内視鏡的手術を行う場合の装置及び使用状態を示す説明図
【図5】同上、加温・加湿装置の概略断面図
【符号の説明】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 光源装置
4 高周波焼灼装置
5 送気装置
6 加温・加湿装置
7 制御装置
10 気腹チューブ
36 送気ガスボンベ
37 バルブユニット
Claims (2)
- 患者の体腔内に注入するための所定の気体を所定の圧力で送気可能な送気源と、
前記送気源に接続されると共に前記患者の体腔内に挿入され、前記送気源より送気される前記所定の気体を前記患者の体腔内に注入するための気体注入手段と、
前記気体注入手段に接続され、前記患者の体腔内に注入される所定の気体の温度を変更可能な温度変更手段と、
前記気体注入手段により注入された前記患者の体腔内の前記所定の気体の温度変化を判別可能な判別手段と、
前記患者の体腔内に注入される前記所定の気体の温度を変更するために前記判別手段の判別結果が入力され、入力される判別結果に基づいて前記温度変更手段を制御可能な制御手段と、
を有することを特徴とする送気装置。 - 患者の体腔内に注入するための所定の気体を所定の圧力で送気可能な送気源と、
前記送気源に接続されると共に前記患者の体腔内に挿入され、前記送気源より送気される前記所定の気体を前記患者の体腔内に注入するための気体注入手段と、
前記気体注入手段に接続され、前記患者の体腔内に注入される所定の気体の温度を変更可能な温度変更手段と、
前記送気源により前記所定の気体を注入され膨らまされた前記患者の体腔内に挿入して共に使用される医療機器の動作状態を判別可能な周辺機器動作状態判別手段と、
前記患者の体内に注入される前記所定の気体の温度を変更するために前記周辺機器動作状態判別手段の判別結果が入力され、入力される判別結果に基づいて前記温度変更手段を制御可能な制御手段と、
を有することを特徴とする送気装置。
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