JP4787953B2 - アセン類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アセン類の製造方法に関する。
アントラセン、ナフタセン、ペンタセン等のアセン類は、共役系高分子であり、キャリアの高い移動度を持つ物質として知られており、有用な電子材料として用いることが期待されている。このような材料は、有機溶媒に易溶とすることによって、合成や加工が容易となり、また薄膜を作製することが容易になるため、その有用性が飛躍的に増大することになる。
アセン類は、導入された置換基とその位置によってその有機溶媒への溶解度が左右されるため、アセン類をより有用な電子材料とするためには、アセン類およびその前駆体の任意の位置に任意の置換基を導入する技術の開発が必要であった。
これまでジインのホモロゲーション法により種々のアセン類の合成が可能となったが、一度導入した置換基を選択的にはずすことができればその合成手法は利用価値が高い。トリメチルシリル基は、条件によっては環化反応の際に脱離することはすでに知られており、従って、ホモロゲーション法により様々な置換形式のアセン類が合成できることが知られている。しかし、この方法によるシリル基の脱離反応ではまだ収率が低く、このため、積極的に効率よくしかも合成ステップ数が多くならない技術が求められていた。
特開2000−26339号公報
したがって、アセン誘導体に一度導入した置換基を、積極的に、効率よく、しかも合成ステップ数が多くならずに、選択的に外す手法が求められていた。
すなわち、本発明の一側面では、下記式(3)で示される環化合物と、
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;又は置換基を有していてもよいシリル基であり、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;ヒドロキシカルボニル基;イミド基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基;若しくはチオイソシアナト基であり、又はこれらの置換基を1つ以上組み合わせた基であり、但し、A1及びA2は、互いに架橋して、式−C(=O)−B−C(=O)−で示される環を形成してもよく(式中、Bは、酸素原子又は式−N(B1)−で示される基(式中、B1は、水素原子、C1〜C20炭化水素基、又は、ハロゲン原子である)である)。P1及びP2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、−MX123(式中、Mは周期表第14族の金属、ケイ素、スズ、又はゲルマニウムであり、X1、X2及びX3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基である。)、又は、−SO24(式中、X4は、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基である。)で表される脱離基であり、mは0以上の整数であり、nは1以上の整数である。下記式に示される結合は、単結合又は二重結合を示す。
]還元剤とを反応させ、次いで、求電子剤または求核剤と反応させることにより、前記環化合物中の脱離基P1及びP2を脱離する工程を含むことを特徴とする、下記式(2)で示される炭化水素縮合環の製造方法が提供される。
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m及びnは、上記の意味を有する。下記式に示される結合は、単結合又は二重結合を示す。
7及びR8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子;C1〜C20炭化水素基;C1〜C20アルコキシ基;又はアミノ基である。]
本発明の一側面において、P1及びP2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、トリメチルシリル基、トリメチルゲルマニウム基、トリメチルスズ基、トリブチルスズ基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルシリル基、又はジメチルフェニルシリル基であることが好ましい。
本発明の他の側面では、上記本発明の一側面で得られた前記炭化水素縮合環を、脱水素試薬の存在下、芳香族化する工程を含むことを特徴とする、下記式(1)で示されるアセン類の製造方法が提供される。
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、m及びnは、上記の意味を有する。下記式に示される結合は、単結合又は二重結合を示す。
本発明の方法により、アセン誘導体に一度導入した置換基を、積極的に、効率よく、しかも合成ステップ数が多くならずに、選択的に外すことができる。
本発明では、下記式(3)で示される環化合物と、還元剤とを反応させ、次いで、求電子剤または求核剤と反応させることにより、前記環化合物中の脱離基P1及びP2を脱離する工程を含むことを特徴とする、下記式(2)で示される炭化水素縮合環の製造方法(本発明の一側面)と、上記本発明の一側面で得られた下記式(2)で示される炭化水素縮合環を、脱水素試薬の存在下、芳香族化する工程を含むことを特徴とする、下記式(1)で示されるアセン類の製造方法(本発明の他の側面)が提供される。
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、A1、A2、P1、P2、R7、R8、m及びnは、上記の意味を有する。]
本発明の一側面において、下記式(3)で示される環化合物が用いられる。
上記式(3)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;又は置換基を有していてもよいシリル基である。
本明細書において、「C1〜C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1〜C20炭化水素基」には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリールアルキル基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
本明細書において、「C1〜C20アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C20アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C20アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C18アリール基」は、C6〜C12アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
本明細書において、「C7〜C20アルキルアリール基」は、C7〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C7〜C20アリールアルキル基」は、C7〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20シクロアルキル基」は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「C4〜C20シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C1〜C20アルコキシ基」は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
本明細書において、「C6〜C20アリールオキシ基」は、C6〜C12アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
本発明の一側面において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で示される「C1〜C20炭化水素基」、「C1〜C20アルコキシ基」、「C6〜C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C12アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
本発明の一側面において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;C1〜C20アルキル基;C6〜C18アリール基;C1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子;C1〜C10アルキル基;C6〜C12アリール基;C1〜C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいシリル基;又はハロゲン原子であることが更に好ましく、水素原子又はフッ素原子であることがより好ましい。
上記式(3)中、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいC7〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;ヒドロキシカルボニル基;イミド基;シアノ基(−CN);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基;若しくはチオイソシアナト基であり、又はこれらの置換基を1つ以上組み合わせた基である。
本明細書において、「C7〜C20アルキルアリールオキシ基」は、C7〜C12アルキルアリールオキシ基であることが好ましい。アルキルアリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、メチルフェニルオキシ、エチルフェニルオキシ、プロピルフェニルオキシ、ブチルフェニルオキシ、ジメチルフェニルオキシ、ジエチルフェニルオキシ、ジプロピルフェニルオキシ、ジブチルフェニルオキシ、メチルエチルフェニルオキシ、メチルプロピルフェニルオキシ、エチルプロピルフェニルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「C1〜C20アルコキシカルボニル基」は、C1〜C10アルコキシカルボニル基であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C6〜C20アリールオキシカルボニル基」は、C6〜C12アリールオキシカルボニル基であることが好ましい。アリールオキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、フェニルフェノキシカルボニル等を挙げることができる。
本発明の一側面において、A1及びA2で示される「C1〜C20炭化水素基」、「C1〜C20アルコキシ基」、「C6〜C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「C7〜C20アルキルアリールオキシ基」、「C1〜C20アルコキシカルボニル基」、「C6〜C20アリールオキシカルボニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C12アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の一側面において、A1及びA2は、互いに架橋して、式−C(=O)−B−C(=O)−で示される環を形成してもよい。ここで前記式中、Bは、酸素原子又は式−N(B1)−で示される基(式中、B1は、水素原子、C1〜C20炭化水素基、又は、ハロゲン原子である)である。
本発明の一側面において、A1及びA2は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;C1〜C20アルキル基;C6〜C18アリール基;C1〜C20アルコキシ基;C1〜C20アルコキシカルボニル基;ヒドロキシカルボニル基;カルバモイル基;イミド基;ヒドロキシメチル基;ホルミル基:ハロメチル基;又はハロゲン原子であることが好ましい。
上記式(3)中、P1及びP2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、−MX123、又は、−SO24で表される脱離基である。
上記式中、Mは周期表第14族の金属、ケイ素、スズ、又はゲルマニウムであり、ケイ素、スズ、又はゲルマニウムであることが好ましく、ケイ素、又はスズであることがより好ましい。
上記式中、X1、X2及びX3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であり、水素原子;C1〜C20アルキル基;又はC6〜C18アリール基であることが好ましく、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、又はフェニルであることがより好ましい。
上記式中、X4は、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基であり、C1〜C20アルキル基;又は置換基を有していてもよいC6〜C18アリール基であることが好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、又はトリルであることがより好ましい。
本発明の一側面において、P1及びP2は、−MX123(式中、M、X1、X2及びX3は、上記の意味を有する)であることが好ましく、トリメチルシリル基、トリメチルゲルマニウム基、トリメチルスズ基、トリブチルスズ基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルシリル基、又はジメチルフェニルシリル基であることがより好ましい。
本発明の一側面において、mは0以上の整数であり、好ましくは0〜10の整数であり、0〜7であることが好ましく、0〜4であることが好ましい。
本発明の一側面において、nは1以上の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが好ましい。
本発明の一側面において、下記式に示される結合は、単結合又は二重結合を示す。
単結合の場合には、R3及びR4に直接結合している炭素原子には、さらに水素原子が直接結合している。
本発明の一側面では、上記式(3)で示される環化合物と還元剤とを反応させる。使用される還元剤としては、金属水素化物を挙げることができ、水素化リチウムアルミニウムであることが好ましい。
本発明の一側面において、還元剤の量は、上記式(3)で示される環化合物1モルに対し、1モル〜10モルであり、好ましくは2モル〜5モルであり、更に好ましくは2モル〜4モルである。
本発明の一側面では、次いで、求電子剤または求核剤と反応させる。これにより、反応生成物中の置換基R7及びR8が付加される。
本発明の一側面において、置換基R7及びR8としては、用いられる求電子剤または求核剤によって異なるが、ハロゲン原子;C1〜C20炭化水素基;C1〜C20アルコキシ基;又はアミノ基であり、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のC1〜C10アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のC1〜C10アルコキシ基;又はアミノ基であることが好ましい。
本発明の一側面において、使用される求電子剤または求核剤としては、置換基R7及びR8を含む求電子剤または求核剤を挙げることができ、例えば、置換基R7及びR8を含むハロゲン化剤、アルキル化剤、アミノ化剤、エーテル生成用反応試薬等を挙げることができる。より具体的には、ハロゲン化剤又はアルキル化剤であることが好ましく、ハロゲン化剤としては、三臭化リン、臭素等を挙げることができる。
本発明の一側面において、求電子剤または求核剤の量は、上記式(3)で示される環化合物1モルに対し、0.1モル〜10モルであり、好ましくは0.3モル〜3モルであり、更に好ましくは0.5モル〜2モルである。
本発明の一側面において、典型的には、上記式(3)で示される環化合物の溶液に、還元剤の懸濁液を滴下して攪拌し、反応液に酸を加えて生成物を抽出する。次いで、抽出物の溶液に求電子剤または求核剤を添加し、攪拌することにより、上記式(2)で示される炭化水素縮合環を得ることができる。
本発明の一側面において、反応は、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で行われ、より好ましくは10℃〜50℃の温度範囲、更に好ましくは20℃〜30℃の温度範囲で行われる。
本発明の一側面において、圧力は、常圧であることが好ましい。
本発明の一側面において、反応時間は、上記式(3)で示される環化合物と還元剤との反応では、1時間〜48時間であることが好ましく、3時間〜24時間であることがより好ましく、5時間〜7時間であることが特に好ましい。
また、求電子剤または求核剤との反応では、1時間〜24時間であることが好ましく、1時間〜6時間であることがより好ましく、約1時間であることが特に好ましい。
本発明の一側面において、上記式(3)で示される環化合物と還元剤との反応において使用する溶媒としては、上記式(3)で示される環化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられ、例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
本発明の一側面において、求電子剤または求核剤との反応において使用する溶媒としては、上記式(3)で示される環化合物と還元剤との反応生成物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられ、例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
本発明の他の側面では、上記本発明の一側面で得られた前記炭化水素縮合環を、脱水素試薬の存在下、芳香族化する工程を含むことを特徴とする、下記式(1)で示されるアセン類の製造方法が提供される。
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m及びnは、上記の意味を有する。R7及びR8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子;C1〜C20炭化水素基;C1〜C20アルコキシ基;又はアミノ基である。]
本発明の他の側面では、上記本発明の一側面で得られた上記式(2)で示される炭化水素縮合環と脱水素試薬とを反応させる。使用される脱水素試薬としては、下記式(4)で示される化合物を好ましく挙げることができる。
[式中、Y1、Y2、Y3、及び、Y4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子又はシアノ基である。]
上記式(4)中、Y1、Y2、Y3、及び、Y4がハロゲン原子である場合には、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子又は臭素原子がより好ましく、塩素原子が更に好ましい。
たとえば、Y1、Y2、Y3、及び、Y4が全て塩素原子であってもよい。即ち、クロラニルであってもよい。あるいは、Y1及びY2がシアノ基であり、Y3及びY4が塩素原子であってもよい。即ち、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノキノン(DDQ)であってもよい。Y1、Y2、Y3、及び、Y4が全てシアノ基であってもよい。即ち、2,3,5,6−テトラシアノキノンであってもよい。
本発明の他の側面において、典型的には、上記式(2)で示される炭化水素縮合環の溶液に、脱水素試薬を添加して加熱することにより、上記式(1)で示されるアセン類を得ることができる。
本発明の他の側面において、使用する脱水素試薬の量は、上記式(2)で示される炭化水素縮合環1モルに対し、0.1モル〜10モルであり、好ましくは0.5モル〜6モルであり、更に好ましくは0.8モル〜4モルである。
本発明の他の側面において、脱水素試薬として上記式(4)で示されるキノンを用いた場合には、上記式(4)で示されるキノンが更に生成物のアセン類とDiels-Alder反応をして、副生成物を生じる場合がある。所望より、カラムクロマトグラフィー等により、副生成物を除去する。
本発明の他の側面において、脱水素試薬として上記式(4)で示されるキノンを用いる場合には、このような副生成物の生成を防止するために、上記式(2)で示される炭化水素縮合環の1つの飽和結合1つに対し、0.9モル〜1.2モル用いることが好ましく、0.9モル〜1.15モル用いることがより好ましく、0.95モル〜1.10モル用いることが更に好ましい。
本発明の他の側面において、反応は、好ましくは50℃〜200℃の温度範囲で行われ、より好ましくは60℃〜150℃の温度範囲、更に好ましくは80℃〜120℃の温度範囲で行われる。
本発明の他の側面において、圧力は、常圧であることが好ましい。
本発明の他の側面において、反応時間は、1時間〜24時間であることが好ましく、1時間〜12時間であることがより好ましく、1時間〜3時間であることが特に好ましい。
本発明の他の側面において、使用する溶媒としては、上記式(2)で示される炭化水素縮合環を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられ、例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
全ての反応は特に記載の無い限り、窒素雰囲気下、無水溶媒を用いて行った。
THFはナトリウム/ベンゾフェノン系を用いて脱水したものを使用した。
試薬は特に記載のない限り、市販品を精製せずにそのまま用いた。
NMRは以下の機種を用いた。NMR-JEOL JNM-AL300、Bruker ARX-400
参考例1
1,2-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)ベンゼンの合成
トリメチルシリルアセチレン(13.6 mL, 96 mmol)のTHF(100 mL)溶液に、臭化エチルマグネシウムのTHF溶液(0.96 M, 100 mL, 96 mmol)を加え、40℃で1時間かくはんする。この溶液に塩化銅(I)(1.19 g, 12 mmol)と1,2-ビス(ヨードメチル)ベンゼン(8.59 g, 24 mmol)を加え、2時間加熱還流する。反応液を氷冷し、塩化アンモニウム水溶液を加え、ヘキサンで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を淡黄色油状物として得る(6.55 g, 91%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.19 (s, 18 H), 3.65 (s, 4 H), 7.25-7.28 (m, 2 H), 7.45-7.48 (m, 2 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 0.06, 23.89, 87.40, 103.42, 127.18, 128.63, 134.17.
参考例2
1,4-ビス(トリメチルシリル)-2,3-ビス(メトキシカルボニル)-9,10-ジヒドロアントラセンの合成
二塩化ジルコノセン(3.51 g, 12 mmol)のTHF(30 mL)溶液を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.54 M, 15.6 mL, 24 mmol)をゆっくり加える。10分後反応液を-40℃に昇温し、30分後再び-78℃に冷却して10分かくはんする。この溶液に、参考例1で得られた1,2-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)ベンゼン(2.99 g, 10 mmol)のTHF(10 mL)溶液を加えて、室温でかくはんする。3時間後、0℃に冷却して、塩化銅(I)(1.98 g, 20 mmol)とアセチレンジカルボン酸ジメチル(3.7 mL, 30 mmol)を加えて再び室温に戻して、6時間かくはんする。反応液に3M塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、得られた固体をメタノールで洗浄する。得られた無色粉末を真空乾燥して、表題化合物を得る(1.73 g, 39%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.46 (s, 18 H), 3.85 (s, 6 H), 4.04 (s, 4 H), 7.23-7.27 (m, 2 H), 7.32-7.35 (m, 2 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 1.73, 38.41, 52.29, 126.17, 126.41, 135.58, 135.90, 137.22, 145.85, 170.50.
2,3-ビス(ブロモメチル)-9,10-ジヒドロアントラセンの合成
参考例2で得られた1,4-ビス(トリメチルシリル)-2,3-ビス(メトキシカルボニル)-9,10-ジヒドロアントラセン(4.50 g, 10.2 mmol)のTHF溶液を0℃に冷却して、水素化リチウムアルミニウム(1.16 g, 30.6 mmol)のTHF(70 mL)懸濁液をゆっくり滴下する。室温で6時間攪拌した後、反応液に水および3M塩酸を静かに加える。有機物をクロロホルムで抽出して減圧下溶媒を留去する。得られた無色固体を1,2-ジクロロエタンに溶解し、三臭化リン(0.96 mL, 10 mmol)を加え室温で1時間かくはんする。反応液に水を加え、有機層をクロロホルムで抽出する。溶媒を留去して得られる固体をメタノールで洗浄することで、表題化合物を無色粉末として得る(2.18 g, 58%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 3.93 (s, 4 H), 4.68 (s, 4 H), 7.19-7.31 (m, 6 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 30.24, 35.59, 126.29, 127.37, 130.05, 134.20, 135.66, 138.21.
参考例3
2,3-ビス(ヨードメチル)-9,10-ジヒドロアントラセンの合成
実施例1で得られた2,3-ビス(ブロモメチル)-9,10-ジヒドロアントラセン(366 mg, 1.0 mmol)のアセトン(20 mL)溶液に、ヨウ化ナトリウム(749 mg, 5.0 mmol)を加え室温で一晩かくはんした。反応液から、減圧下にアセトンを留去し、残留物を水およびメタノールで洗浄する。得られた固体を減圧乾燥して、表題化合物を得る(414 mg, 90%)。
1H NMR (CDCl3, δ)3.87 (s, 4H), 4.58 (s, 4H), 7.18-7.28 (m, 6H); 13C NMR (CDCl3, δ) 2.17, 35.72, 126.34, 127.41, 129.69, 135.10, 135.85, 137.90.
参考例4
2,3-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)-9,10-ジヒドロアントラセンの合成
トリメチルシリルアセチレン(0.57 mL, 4.0 mmol)のTHF(10 mL)溶液に、臭化エチルマグネシウムのTHF溶液(0.96 M, 4.2 mL, 4.0 mmol)を加え、40℃で1時間かくはんする。この溶液に塩化銅(I)(50 mg, 0.50 mmol)と、参考例3で得られた2,3-ビス(ヨードメチル)-9,10-ジヒドロアントラセン(460 mg, 1.0 mmol)を加え、2時間加熱還流する。反応液を氷冷し、塩化アンモニウム水溶液を加え、ヘキサンで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を淡黄色油状物として得る(280 mg, 70%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.24 (s, 18 H), 3.65 (s, 4 H), 3.92 (s, 4 H), 7.17-7.24 (m, 2 H), 7.26-7.31 (m, 2 H), 7.36 (s, 2 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 0.10, 23.58, 35.58, 87.05, 103.88, 126.03, 127.38, 127.88, 131.84, 135.33, 136.42.
参考例5
1,4-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)-2,3-ビス(メトキシカルボニル)-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセンの合成
二塩化ジルコノセン(351 mg, 1.2 mmol)のTHF(10 mL)溶液を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.54 M, 1.56 mL, 2.4 mmol)をゆっくり加える。10分後反応液を-40℃に昇温し、30分後再び-78℃に冷却して10分かくはんする。この溶液に、参考例4で得られた2,3-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)-9,10-ジヒドロアントラセン(401 mg, 1.0 mmol)のTHF(3 mL)溶液を加えて、室温でかくはんする。3時間後、0℃に冷却して、塩化銅(I)(198 mg, 2.0 mmol)とアセチレンジカルボン酸ジメチル(0.37 mL, 3.0 mmol)を加えて再び室温に戻して、6時間かくはんする。反応液に3M塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を無色固体として得る(207 mg, 38%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.31 (s, 18 H), 3.69 (s, 6 H), 3.82 (s, 4 H), 3.87 (s, 4 H), 7.03-7.21 (m, 6 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 1.76, 35.85, 38.06, 52.27, 125.21, 126.03, 127.34, 134.82, 135.03, 135.52, 135.81, 136.67, 146.01, 170.52.
2,3-ビス(ブロモメチル)-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセンの合成
参考例5で得られた1,4-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)-2,3-ビス(メトキシカルボニル)-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン(271 mg, 0.5 mmol)のTHF(5 mL)溶液を0℃に冷却して、水素化リチウムアルミニウム(57 mg, 1.5 mmol)のTHF(5 mL)懸濁液をゆっくり滴下する。室温で6時間攪拌した後、反応液に水および3M塩酸を静かに加える。有機物をクロロホルムで抽出して減圧下溶媒を留去する。得られた無色固体を1,2-ジクロロエタンに溶解し、三臭化リン(0.05 mL, 0.5 mmol)を加え室温で1時間かくはんする。反応液に水を加え、有機層をクロロホルムで抽出する。溶媒を留去して得られる固体をメタノールで洗浄することで、表題化合物を無色粉末として得る(98 mg, 42%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 3.79 (s, 4 H), 3.81 (s, 4 H), 4.56 (s, 4 H), 7.04-7.21 (m, 8 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 30.28, 35.33, 35.76, 126.04, 126.38, 127.37, 130.12, 133.46, 134.21, 134.77, 136.69, 138.50.
2,3-ビス(ブロモメチル)ペンタセンの合成
実施例2で得られた2,3-ビス(ブロモメチル)-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン(0.20 mmol)のトルエン(2 mL)溶液にDDQ(50 mg, 0.22 mmol)を加え100℃に加熱し、1時間撹拌したのち、室温に冷却すると、青色の目的化合物が40%の収率で得られた。
2,3-ビス(ブロモメチル)アントラセンの合成
実施例1で得られた2,3-ビス(ブロモメチル)-9,10-ジヒドロアントラセン(1.70 g, 4.6 mmol)とDDQ(1.16 g, 5.1 mmol)をトルエンに溶解し、90℃で3時間加熱する。室温に冷却後、反応液をメタノール中に注ぎ、生じた沈殿を濾取する。その固体を減圧乾燥することで、表題化合物を得る(1.24 g, 73%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 4.94 (s, 4H), 7.48-7.51 (m, 2H), 7.98-8.04 (m, 4H), 8.38 (s, 2H); 13C NMR (CDCl3, δ) 31.64, 126.03, 126.30, 128.24, 130.41, 131.03, 132.38, 134.26.
参考例6
2,3-ビス(ヨードメチル)アントラセンの合成
実施例4で得られた2,3-ビス(ブロモメチル)アントラセン(1.09 g, 3.0 mmol)のアセトン溶液に、ヨウ化ナトリウム(2.25 g, 15 mmol)を加え室温で一晩かくはんした。反応液から、減圧下にアセトンを留去し、残留物を水およびメタノールで洗浄する。得られた固体を減圧乾燥して、表題化合物を得る(1.26 g, 92%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 4.88 (s, 4H), 7.46-7.49 (m, 2H), 7.96-8.02 (m, 4H), 8.34 (s, 2H); 13C NMR (CDCl3, δ) 3.62, 126.03, 126.29, 128.24, 130.41, 131.03, 132.38, 134.26.
参考例7
2,3-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)アントラセンの合成
トリメチルシリルアセチレン(0.57 mL, 4.0 mmol)のTHF(10 mL)溶液に、臭化エチルマグネシウムのTHF溶液(0.96 M, 4.2 mL, 4.0 mmol)を加え、40℃で1時間かくはんする。この溶液に塩化銅(I)(50 mg, 0.50 mmol)と、参考例6で得られた2,3-ビス(ヨードメチル)アントラセン(458 mg, 1.0 mmol)を加え、2時間加熱還流する。反応液を氷冷し、塩化アンモニウム水溶液を加え、ヘキサンで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を淡黄色油状物として得る(299 mg, 75%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.38 (s, 18H), 3.85 (s, 4H), 7.49-7.52 (m, 2H), 7.99-8.05 (m, 4H), 8.33 (s, 2H); 13C NMR (CDCl3, δ) 0.16, 24.25, 88.13, 103.56, 125.13, 125.48, 127.25, 128.07, 130.82, 131.67, 132.05.
参考例8
1,4-ビス(トリメチルシリル)-2,3-ビス(メトキシカルボニル)-5,14-ジヒドロペンタセンの合成
二塩化ジルコノセン(351 mg, 1.2 mmol)のTHF溶液(10 mL)を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.54 M, 1.56 mL, 2.4 mmol)をゆっくり加える。10分後反応液を-40℃に昇温し、30分後再び-78℃に冷却して10分かくはんする。この溶液に、参考例7で得られた2,3-ビス(3-トリメチルシリル-2-プロピニル)アントラセン(399 mg, 1.0 mmol)のTHF(5 mL)溶液を加えて、室温でかくはんする。3時間後、0℃に冷却して、塩化銅(I)(238 mg, 2.4 mmol)とアセチレンジカルボン酸ジメチル(0.37 mL, 3.0 mmol)を加えて再び室温に戻して、6時間かくはんする。反応液に3M塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を無色固体として得る(205 mg, 38%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.50 (s, 18H), 3.84 (s, 6H), 4.23 (s, 4H), 7.43-7.46 (m, 2H), 7.89 (s, 2H), 7.97-8.00 (m, 2H), 8.39 (s, 2H); 13C-NMR (CDCl3, δ) 1.77, 38.64, 52.29, 123.92, 125.07, 125.48, 127.99, 130.94, 131.49, 135.26, 135.78, 136.01, 145.60, 170.42.
参考例9
2,3-ジ-2-ヘプチニルアントラセンの合成
1-ヘキシン(1.71 mL, 15 mmol)のTHF(30 mL)溶液を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.54 M, 8.85 mL, 13.6 mmol)を加える。その後室温で、1時間かくはんする。この溶液に、実施例4で得られた2,3-ビス(ブロモメチル)アントラセン(1.24 g, 3.4 mmol)とトルエン(20 mL)を加え、50℃で3時間加熱かくはんする。室温に冷却後、3M塩酸を加え、有機層をヘキサンで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、表題化合物を無色固体として得る(1.01 g, 81%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.95 (t, 6 H, J = 7 Hz), 1.38-1.63 (m, 8 H), 2.23-2.33 (m, 4 H), 3.76 (s, 4 H), 7.39-7.47 (m, 2 H), 7.94-8.02 (m, 2 H), 8.07 (s, 2 H), 8.36 (s, 2 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 13.65, 18.63, 22.05, 23.25, 31.12, 76.78, 83.87, 125.08, 125.49, 126.94, 128.13, 131.04, 131.66, 133.57.
参考例10
1,4-ジブチル-2,3-ビス(メトキシカルボニル)-5,14-ジヒドロペンタセンの合成
二塩化ジルコノセン(901 mg, 3.07 mmol)のTHF(30 mL)溶液を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.54 M, 3.98 mL, 6.13 mmol)をゆっくり加える。10分後反応液を-40℃に昇温し、30分後再び-78℃に冷却して10分かくはんする。この溶液に、参考例9で得られた2,3-ジ-2-ヘプチニルアントラセン(1.02 g, 2.79 mmol)のTHF(10 mL)溶液を加えて、室温でかくはんする。3時間後、0℃に冷却して、塩化銅(I)(552 mg, 5.57 mmol)とアセチレンジカルボン酸ジメチル(1.0 mL, 8.4 mmol)を加えて再び室温に戻して、6時間かくはんする。反応液に3M塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出する。溶媒を留去して得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を無色固体として得る(565 mg, 40%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 1.02 (t, 6 H, J = 7 Hz), 1.44-1.66 (m, 8 H), 2.80-2.87 (m, 4H), 3.85 (s, 6 H), 4.11 (s, 4 H), 7.41-7.46 (m, 2 H), 7.92 (s, 2 H), 7.96-8.01 (m, 2 H), 8.38 (s, 2 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 13.94, 22.99, 30.30, 33.11, 33.61, 52.22, 124.39, 125.06, 125.40, 128.04, 130.38, 131.00, 131.52, 135.10, 135.44, 138.94, 169.43.
参考例11
1,4-ジブチル-2,3-ビス(メトキシカルボニル)ペンタセンの合成
参考例10で得られた1,4-ジブチル-2,3-ビス(メトキシカルボニル)-5,14-ジヒドロペンタセン(102 mg, 0.20 mmol)のトルエン(2 mL)溶液を100℃に加熱しながら、DDQ(50 mg, 0.22 mmol)のトルエン(3 mL)溶液を3時間かけて滴下する。さらに2時間加熱した後室温に冷却する。反応液にメタノール(30 mL)を加え、生じた沈殿を濾取し、ヘキサンから再結晶することで、表題化合物を得る(11 mg, 11%)。
1H NMR (CDCl3, δ) 1.06 (t, 6 H, J = 7 Hz), 1.54-1.65 (m, 4 H), 1.80-1.91 (m, 4 H), 3.18-3.27 (m, 4 H), 3.93 (s, 6 H), 7.31-7.38 (m, 2 H), 7.90-7.97 (m, 2 H), 8.65 (s, 2 H), 8.88 (s, 2 H), 8.95 (s, 2 H); 13C NMR (CDCl3, δ) 13.99, 23.31, 30.12, 33.30, 52.28, 125.44, 125.66, 126.45, 127.03, 128.40, 129.03, 129.58, 129.89, 130.56, 131.85, 138.00, 169.55.


Claims (3)

  1. 下記式(3)で示される環化合物と、
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、水素原子であり、
    1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1〜C20アルコキシカルボニル基であり、
    1及びP2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、−MX123(式中、Mは周期表第14族の金属、ケイ素、スズ、又はゲルマニウムであり、X1、X2及びX3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;又は置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基である。)で表される脱離基であり、
    mは0以上の整数であり、
    nは1以上の整数である。
    下記式に示される結合は、単結合又は二重結合を示す。

    金属水素化物とを反応させ、次いで、 7 及びR 8 を含むハロゲン化剤と反応させることにより、前記環化合物中の脱離基P1及びP2を脱離する工程を含むことを特徴とする、下記式(2)で示される炭化水素縮合環の製造方法。
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m及びnは、上記の意味を有する。
    下記式に示される結合は、単結合又は二重結合を示す。
    7及びR8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子である。]
  2. 1及びP2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、トリメチルシリル基、トリメチルゲルマニウム基、トリメチルスズ基、トリブチルスズ基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルシリル基、又はジメチルフェニルシリル基である、請求項1に記載の炭化水素縮合環の製造方法。
  3. 請求項1又は2で得られた前記炭化水素縮合環を、脱水素試薬の存在下、芳香族化する工程を含むことを特徴とする、下記式(1)で示されるアセン類の製造方法。
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、水素原子であり、
    7及びR8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子であり、
    mは0以上の整数であり、
    nは1以上の整数である。
    下記式に示される結合は、単結合又は二重結合を示す。
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