以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る取引装置としての自動券売機1の外観図であり、(a)は正面図(後述する接客部10側の図)、(b)は背面図である。自動券売機1は、利用者の操作を受け付ける接客部10と、内部が空洞で略直方体状に形成され、外側の面に接客部10が形成された筐体20と、筐体20内部に収納され、貨幣としての硬貨、紙幣、カード状の媒体等を処理する貨幣処理装置30とを備える。貨幣処理装置30は、硬貨を受け付けて処理する硬貨処理装置31と、紙幣を受け付けて処理する紙幣処理装置32と、カード状の媒体を受け付けて処理するカード処理装置33を含んで構成される。
ここで、硬貨は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨、メダル、トークン等を広く含む概念である。なおここでいうトークンとは、いわゆる代用硬貨であり、例えば樹脂製の外壁で内部にICチップが埋め込まれているものも含む。本実施の形態では、硬貨は10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の場合で説明する。なお、これらを特に区別しない場合には単に「硬貨」という。また、紙幣は、千円札、二千円札、五千円札、一万円札、識別の必要な紙葉類、例えば有価証券等を広く含む概念である。本実施の形態では、紙幣は、千円札、二千円札、五千円札、一万円札の場合で説明する。なお、これらを特に区別しない場合には単に「紙幣」という。カード状の媒体は、例えば、メダルや硬貨等の略円形状の媒体とは異なる略四角形状の媒体であり、典型的には、略長方形板状の媒体である。本実施の形態では、カード状の媒体は、乗車券や回数券等のエドモンソン券、大型券、定期券やプリペードカード等のPET券、ICカードの場合で説明する。なお、これらを特に区別しない場合には単に「カード」という。
自動券売機1は、さらに、係員の操作を受け付ける係員操作部40、乗車券を発行する発券装置50、自動券売機1の各部を制御する制御部60を備える。また、自動券売機1は、シュート部としての硬貨シュート110と、硬貨シュート110を載置する台座150と、シュートガイド部としてのシュートガイド機構130を含んで構成される硬貨シュート組立体100を筐体20の内部に備える。
以下、上記各構成について詳細に説明する。
接客部10は、筐体20のいずれか1つの面に形成されている。例えば、利用者は、接客部10に対向して取り引き、すなわち乗車券等の購入を行う。接客部10は、次に説明する表示操作部11、硬貨投入口12、紙幣投入放出口13、カード投入放出口14、硬貨放出口15、発券口16、硬貨を貯留する受皿としての硬貨受皿17を含んで構成される。
硬貨投入口12は、硬貨を投入するためのものであり、硬貨処理装置31の投入部(不図示)に連通されている。硬貨投入口12から投入された硬貨は、投入部(不図示)を介して硬貨処理装置31内部に取り込まれる。硬貨処理装置31は、硬貨投入口12から投入された硬貨を識別、計数した後に内部に収納する。
紙幣投入放出口13は、紙幣を紙幣処理装置32に導入するとともに紙幣処理装置32によって処理される紙幣を放出するためのものであり、紙幣処理装置32に連通されている。紙幣処理装置32は、紙幣投入放出口13から挿入された紙幣を識別、計数した後に内部に収納する。
カード投入放出口14は、カードをカード処理装置33に挿入するとともにカード処理装置33によって処理されるカードを放出するためのものであり、カード処理装置33に連通されている。カード処理装置33は、カード投入放出口14から挿入されたカードを識別、残額検出した後に、内部に保留する。
硬貨放出口15は、硬貨処理装置31から放出される釣銭を筐体20内部から筐体20外部の硬貨受皿17に放出するものであり、硬貨処理装置31の出金部(不図示)に、硬貨シュート110を介して連通されている。硬貨受皿17は、硬貨放出口15を介して放出される釣銭等を一時的に貯留する。
発券口16は、発券装置50により発券される乗車券等を放出するものであり、発券装置50に連通されている。
表示操作部11は、利用客による種々の選択、操作を受け付け、さらに、利用者に対して、例えば発売中、発売中止などの情報を提供するものである。表示操作部11は、液晶画面などとタッチパネルが組み合わされた表示操作装置11a、LED押しボタン11bを含んで構成される。
表示操作装置11aは、前面(図1(a)手前側)にタッチパネル、その背面(図1(a)奥側)に液晶画面を備え、接客部10の前面中央部に配置されている。液晶画面は、例えば、利用者が購入する乗車券の券種を選択するための口座を乗車料金ごとに区分した画像や、投入された硬貨、紙幣の累計金額、カードの残額、釣銭金額等を表示する。タッチパネルは、液晶画面に表示される口座等を選択するための情報選択手段であり、例えば、抵抗膜方式、赤外線式、静電容量式などが用いられ、表面に触れることで信号を入力する装置である。LED押しボタン11bは、複数のボタンにより構成されており、各ボタンを押下することで係員の呼び出しや、取り消し等の操作を受け付ける。
係員操作部40は、筐体20の表示操作部11が形成されている面の反対側の面に形成されており、表示操作部11とほぼ同様に、液晶画面などとタッチパネルが組み合わされた表示操作装置40a、押しボタン40bを含んで構成され、係員による種々の処理の入力を受け付ける。
硬貨処理装置31の制御装置(不図示)、紙幣処理装置32の制御装置(不図示)、カード処理装置33の制御装置(不図示)は制御部60に接続され、硬貨、紙幣、カードが投入あるいは挿入されると、投入あるいは挿入された硬貨、紙幣、カードのデータを制御部60に送信する。さらに、制御部60には、表示操作部11、係員操作部40が接続され、利用客による口座選択に関する入力に応じて口座を確定したり、係員の種々の操作に応じて種々の制御を行う。
また、制御部60には発券装置50の制御装置(不図示)が接続されており、発券装置50は、制御部60の指令に基づき、口座に対応する乗車券を印刷し、発券口16から乗車券を発券する。取引の内容に応じて釣銭があるときは、硬貨処理装置31、紙幣処理装置32は、制御部60の指令に基づき、釣銭を硬貨放出口15、紙幣投入放出口13から放出する。カードが使用された場合には、カード処理装置33は、制御部60の指令に基づき、カードをカード投入放出口14に戻し、カード投入放出口14から所定の長さだけ突き出て、利用者に返却される。
図2は、本発明の実施の形態に係る自動券売機1の接客部10の外観斜視図である。接客部10は、利用者が対向したときに操作がし易いように、鉛直方向に対して若干傾きを有して形成されている。表示操作部11は、接客部10のおよそ中央の利用者が目視しやすい位置に配設される。硬貨投入口12は、表示操作部11の下方右側(図2において接客部10に対面した際の下方右側、以下同様。)に配設される。紙幣投入放出口13は、表示操作部11の下方であって、硬貨投入口12の左側に配設される。カード投入放出口14は、表示操作部11の下方左側に配設される。すなわち、硬貨投入口12、紙幣投入放出口13、カード投入放出口14は、表示操作部11の下方に、向かって右側から硬貨投入口12、紙幣投入放出口13、カード投入放出口14の順でほぼ水平に並ぶように配設されている。
さらに、発券口16はカード投入放出口14の下方に配設され、硬貨受皿17は紙幣投入放出口13の下方に配設されている。硬貨受皿17は、くぼみ状に形成されており、当該硬貨受皿17の右側の隔壁10aに硬貨放出口15が形成されている。硬貨受皿17の右側の隔壁10aを境界として硬貨受皿17が配設されている側(以下特に断りのない限り「装置外側」という。)とは反対側(以下特に断りのない限り「装置内側」という。)に、後述する硬貨シュート組立体100(図1参照)が配設されている。すなわち、硬貨シュート組立体100は、筐体20の内部に配設される。ここで、接客部10では装置外側と装置内側とは前述の隔壁10aによって間仕切られている。硬貨受皿17は、硬貨放出口15側からその反対側に向かって、水平方向に対して30°程度の傾斜を有する部分を備えている。さらに、硬貨受皿17には、該傾斜する部分を略平行に覆うシュートカバー15aが配設されている。硬貨シュート110(図1参照)から放出される硬貨は、該傾斜する部分とシュートカバー15aとによって、略筒状に画成された空間を介して硬貨受皿17に放出される。なお、シュートカバー15aは、透明部材で成形されている。また、本実施の形態では、シュートカバー15aは後述する第2のガイド壁132(図4参照)と一体に形成される。詳細については図4で説明する。
なお、硬貨受皿17を含んで構成される接客部10と筐体20とは一体に形成されている。さらに、硬貨受皿17と接客部10とは一体に形成されている。すなわち、硬貨受皿17は、筐体20と一体に形成されている。ここで、一体に形成するとは、同一部材で作られている場合だけでなく、例えば、ビス等により固定的に取り付けられている場合を含む。言い換えれば、接客部10は、筐体20に固定的に取り付けられることで筐体20の一面を形成している。
自動券売機1は、上述したように、硬貨シュート組立体100(図1参照)を備える。さらに、硬貨シュート組立体100は、硬貨処理装置31(図1参照)から放出される硬貨を硬貨受皿17に導くシュート部としての硬貨シュート110(図1参照)と、硬貨シュート110を載置する台座150(図1参照)と、硬貨シュート110を前記台座の所定の位置に位置決めするシュートガイド部としてのシュートガイド機構130(図1参照)とを備える。
以下ではまず、図3を参照して硬貨シュート110の構成を説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る自動券売機1の硬貨シュート110の構成を示す図である。図3(a)は正面図、図3(b)は左側面図、図3(c)は右側面図、図3(d)は底面図、図3(e)は背面図である。なおここで、正面とは、硬貨シュート110を自動券売機1の筐体20内部に設置した際に、利用者が対面する側の面である。
硬貨シュート110は、硬貨を導入する第1の開口部としての導入口111と、硬貨を放出する第2の開口部としての放出口112とを有し、硬貨を導入口111から放出口112へ移送するシュート部であって、放出口112から放出される硬貨を貯留する硬貨受皿17の形成された筐体20とは別体に構成されるものである。ここでは、硬貨シュート110は、硬貨を落下させて移送する。
ここで、硬貨シュート110が筐体20とは別体に構成されるという場合、物理的に分離した構成であり、単に別部材で構成されているだけでなく例えば、筐体20にビス等により固定的に取り付けられておらず、ドライバーやレンチ等を持ち出すことなく人間の手だけで容易に着脱可能な構成であることをいう。本実施の形態では、硬貨シュート110は、後述するシュートガイド機構130(図4参照)により台座150(図4参照)に着脱可能に取り付けられる。
硬貨シュート110は、硬貨シュート110が後述するシュートガイド機構130(図4参照)に設置された際に、第1のガイド壁131(図4で後述する)に対向して形成される第1の側壁113と、第1の側壁113に略直交するように形成され、前記導入口111が形成されている第2の側壁114と、第1の側壁113に略直交するように形成され、第2の側壁114と対向するように形成される第3の側壁115とを備える。放出口112は、第2の側壁114と第3の側壁115とにより形成される開口である。硬貨シュート110は、導入口111が硬貨処理装置31(図1参照)の出金部(不図示)と対向し、放出口112が上述した硬貨放出口15(図2参照)に対向するように筐体20内部に配設される。
硬貨シュート110は、放出口112に、硬貨シュート110が後述するシュートガイド機構130(図4参照)に設置された際に、水平方向に対して30程度の傾斜を有するように、略樋状に形成された底壁116を備える。言い換えれば、底壁116は、第2の側壁114と第3の側壁115との間に挟み込まれるように形成されており、その一端が放出口112から露出するように形成されている。導入口111から導入された硬貨は、底壁116に落下し、方向を変えながら滑り落ちて放出口112から放出される。また、硬貨シュート110は、底壁116の下方に底板117を備えている。底板117は、硬貨シュート110が後述するシュートガイド機構130(図4参照)に設置された際に、水平となるように形成されている。また、底板117は、第1の側壁113、第2の側壁114、第3の側壁115に対して、略垂直となるように形成される。これにより硬貨シュート110を安定した姿勢で設置することができる。なお、ここで水平方向は、硬貨シュート110を載置する台座150(図4で後述する)と略平行な方向である。
硬貨シュート110は、第1の側壁113に立設される第1の突起部としての第1のロックプレート118を有する。第1のロックプレート118は、略矩形のプレート状に形成される。第1のロックプレート118は、硬貨シュート110が後述するシュートガイド機構130(図4参照)に設置された際に略水平方向に伏せた状態となるように、第1の側壁113の下部(底板117側)に形成される。
さらに、硬貨シュート110は、第1の側壁113に立設される第2の突起部としての第2のロックプレート119を有する。第2のロックプレート119は、略矩形のプレート状に形成される。第2のロックプレート119は、硬貨シュート110が後述するシュートガイド機構130(図4参照)に設置された際に略鉛直方向に立った状態となるように、第1の側壁113の上部(底板117とは反対側)に形成される。
さらに、硬貨シュート110は、第1の側壁113に立設される第3の突起部としてのストッパプレート120を有する。ストッパプレート120は、略矩形のプレート状に形成される。ストッパプレート120は、硬貨シュート110が後述するシュートガイド機構130(図4参照)に設置された際に略鉛直方向に立った状態となるように、第2のロックプレート119の下側(底板117側)に形成される。ストッパプレート120は、第1の側壁113から突出する長さが第2のロックプレート119よりも短く、本実施の形態では、第2のロックプレート119と一体に形成される。ここでは、第2のロックプレート119とストッパプレート120とは、全体として略L字型に形成されている。また、硬貨シュート110は、複数の短冊状に形成された突起を有する凹凸部121を備えている。凹凸部121は、第2の側壁114から突出するように形成されている。
図4は、本発明の実施の形態に係る自動券売機1のシュートガイド機構130の構成を示す図である。図4(a)はシュートガイド機構130の平面図、図4(b)はシュートガイド機構130の正面図、図4(c)はシュートガイド機構130の右側面図、図4(d)はロックレバー135aの部分正面図である。なおここでは、以下での説明を容易にするため、接客部10の一部、筐体20の一部の図示は省略している。また、本図では、幅方向(接客部10に向かって左右方向)をx方向、高さ方向(鉛直方向)をy方向、奥行き方向(接客部10に向かって前後方向)をz方向として説明する。
台座150は、筐体20に一体に形成されている。ここで、一体に形成するとは、上述したように、同一部材で作られている場合だけでなく、例えば、ビス等により固定的に取り付けられている場合を含む。本実施の形態では、筐体20とビスによる一体化を採用し、台座150は、x方向−z方向平面に略平行に、ここでは略水平に配置されるものである。さらに、硬貨受皿17が台座150に載置される状態で固定的に一体に取り付けられている。本実施の形態では、硬貨受皿17の縁部にはタブ(不図示)が形成されており、硬貨受皿17は、硬貨の貯留部分が台座150に形成される孔に嵌合し、前記タブが当該孔の縁部に引っ掛かるようにして、台座150に載置されビス留めされている。
シュートガイド機構130は、台座150に立設される第1のガイド壁131と、第1のガイド壁131に対向して台座150に立設される第2のガイド壁132とを備える。さらに、シュートガイド機構130は、第1のガイド壁131と交差する方向に台座150に立設される第3のガイド壁133と、第3のガイド壁133に対向して台座150に立設され、取付位置の調整が可能な第4のガイド壁134とを備える。
第1のガイド壁131と、第2のガイド壁132は、x方向に対向するように配設されている。第2のガイド壁132は、隔壁10aに沿うように硬貨受皿17側に配設されている。第1のガイド壁131は、第2のガイド壁132に対してx方向に間隔F2をあけて配設されている。
第2のガイド壁132は、透明部材で形成されており、本実施の形態では、上述したシュートカバー15aと一体に形成されている。さらに、第2のガイド壁132には、硬貨受皿17の傾斜する部分とシュートカバー15aとによって略筒状に画成された空間と、第2のガイド壁132を境界として第1のガイド壁131側の空間とが連続するように穿孔が形成されている。当該穿孔は、硬貨シュート110(図3参照)がシュートガイド機構130に設置された際に、硬貨シュート110の底壁116(図3参照)の一端が位置する部分に形成されている。シュートカバー15aと第2のガイド壁132とを一体に透明部材で形成することで、例えば、本来であれば利用者から見えないシュートカバー15aの部分にガム等が張り付けることを抑止し、硬貨受皿17側からの悪戯を防止することができる。また、シュートカバー15aにガム等が張り付けられた場合でも、利用者はこれを視認することができる。
第1のガイド壁131は、y方向のおよそ中央部に、z方向に突出した略矩形状の凸部131aが形成されている。さらに、第1のガイド壁131は、凸部131aの付け根部分に、硬貨シュート110(図3参照)がシュートガイド機構130に設置された際に、上述した第2のロックプレート119が嵌合する切り欠き131bが形成されている。切り欠き131bは、y軸方向(略鉛直方向)に略平行に形成されている。
さらに、第1のガイド壁131には、硬貨シュート110(図3参照)を所定の方向に付勢し、シュートガイド機構130とともに、硬貨シュート110を着脱可能に固定するレバー部としてのレバー機構135が配設されている。ここで、硬貨シュート110(図3参照)を付勢する所定の方向とは、第2のガイド壁132の方向であり、レバー機構135は、第2のガイド壁132とともに、硬貨シュート110を挟み込むことで硬貨シュート110を着脱可能に固定する。
具体的には、レバー機構135は、第1のガイド壁131に配設され、硬貨シュート110(図3参照)の第1の側壁113(図3参照)に当接して硬貨シュート110を第2のガイド壁132の方向に付勢するロックレバー135aと、ロックレバー135aを付勢するスプリング蝶番135bとを備えている。ロックレバー135aは、スプリング蝶番135bを介して第1のガイド壁131の凸部131aの下端(台座150側の端部)に取り付けられている。ロックレバー135aは、スプリング蝶番135bにより、硬貨シュート110を第2のガイド壁132へ押さえ込む方向、図4(b)中の矢印Aに示す方向に付勢される。なお、図5で後述するように、ロックレバー135aを図4(b)中の矢印Bに示す方向に引っ張ることで、硬貨シュート110をシュートガイド機構130から取り外すことができる。
ロックレバー135aは、板金等を曲げ加工することにより形成されている。ロックレバー135aは、図4(d)に示すように、2つの突出した部分として、上部突起135c、下部突起135dが形成されている。上部突起135cは、ロックレバー135aのスプリング蝶番135b側に、下部突起135dは、ロックレバー135aのスプリング蝶番135bとは反対側に形成されており、ともに、x方向断面の形状が、第2のガイド壁132側に突出した略くの字型になるように形成されている。
なお、第1のガイド壁131と第2のガイド壁132とのx方向の間隔F2は、硬貨シュート110(図3参照)の脱着性を良好にする為、硬貨シュート110のx方向寸法F1(図3(a)参照)より0.1mmから0.3mm程度、ここでは、0.1程度大きい構造としている。また、この場合、硬貨シュート110上部のx方向に対するガタが発生する可能性があるが、図5で後述するように、ストッパプレート120(図3参照)によりこのガタをなくすことができる。
第3のガイド壁133と、第4のガイド壁134は、z方向に対向するように配設されている。第3のガイド壁133は、隔壁10aに沿うように隔壁10a側(接客部10に向かって手前側)に配設されている。第4のガイド壁134は、第3のガイド壁133に対してz方向に間隔F3をあけて配設されている。第4のガイド壁134は、z方向断面の形状が、略くの字型でくの字の頂点部分が略鉛直面となるように形成されている。台座150には、第4のガイド壁134を取り付けるためのネジ穴(不図示)がz方向に沿って複数形成されている。これにより、第4のガイド壁134の取付位置は、硬貨シュート110のz方向寸法F4(図3(c)参照)に応じて適宜調整することができる。なお、ここでは、第3のガイド壁133と第4のガイド壁134とのz方向の間隔F3は、硬貨シュート110のz方向寸法F4とほぼ等しくすればよい。第3のガイド壁133と、第4のガイド壁134とは、硬貨シュート110の下部を挟み込んでいるだけなので、硬貨シュート110の脱着性には影響がないからである。
図5は、本発明の実施の形態に係る自動券売機1の硬貨シュート110をシュートガイド機構130に装着した際の硬貨シュート組立体100を示す図である。図5(a)は硬貨シュート組立体100の平面図、図4(b)は硬貨シュート組立体100の正面図、図4(c)は硬貨シュート組立体100の右側面図である。なお、本図でも図4と同様に、接客部10の一部、筐体20の一部の図示は省略し、幅方向をx方向、高さ方向をy方向、奥行き方向をz方向として説明する。
硬貨シュート110は、第1のガイド壁131、第2のガイド壁132、第3のガイド壁133、第4のガイド壁134に囲われた空間にはまり込むようにして、シュートガイド機構130に装着される。
このとき、硬貨シュート110の第1の側壁113に形成された第2のロックプレート119は、シュートガイド機構130の第1のガイド壁131に形成された切り欠き131bに嵌合する。第2のロックプレート119は、第1のガイド壁131に形成される切り欠き131bと嵌合することで、第1の側壁113に略平行な方向、すなわちz方向への硬貨シュート110の移動を規制し、硬貨シュート110の上部がガタつくことを防止することができる。
硬貨シュート110をシュートガイド機構130に装着すると、第1のロックプレート118とロックレバー135aとは、第1のロックプレート118がロックレバー135aの下部突起135dの下側にかみ込んだような位置関係となる。硬貨シュート110がシュートガイド機構130により位置決めされた際には、第1のロックプレート118と下部突起135dとが当接する。
硬貨シュート110にy方向の力が加えられた場合でも、ロックレバー135aを介してスプリング蝶番135bの付勢が第1のロックプレート118に作用するため、硬貨シュート110がy方向へ動くこと、言い換えれば、硬貨シュート110が持ち上げる方向へ動くことはない。また、硬貨シュート110を介してロックレバー135aにy方向の力が伝わっても、レバー機構135の作用点、支点の位置関係により、ロックレバー135aが解除方向、すなわち図4(b)で示した矢印Bの方向へ動く事はない。
また、上述したように、第1のガイド壁131と第2のガイド壁132とのx方向の間隔F2は、硬貨シュート110のx方向寸法F1に対して若干のマージンを設けている。しかしながら、硬貨シュート110がシュートガイド機構130により位置決めされた際には、硬貨シュート110の第1の側壁113に形成されたストッパプレート120が、第1のガイド壁131と当接することで、第1の側壁113に交差する方向、すなわちx方向への硬貨シュート110の移動を規制し、硬貨シュート110の上部がガタつくことを防止することができる。また、ストッパプレート120は、第1の側壁113の上部に形成されていることから、硬貨シュート110を装着する過程において、最後にシュートガイド機構130に入り込むことになるため、硬貨シュート110の脱着性を阻害することはない。
ロックレバー135aは、スプリング蝶番135bの付勢力により、上部突起135cが硬貨シュート110の第1の側壁113に当接して、該硬貨シュート110を第2のガイド壁132方向へ押し付ける。この構造により硬貨シュート110の下部のx方向へのガタつきを防止することができ、第2のガイド壁132と硬貨シュート110との隙間をほぼゼロにすることができる。
硬貨シュート110をシュートガイド機構130から取り外す場合には、ロックレバー135aを、スプリング蝶番135bによる付勢力に反する方向、すなわち図4(b)で示した矢印Bの方向へ移動させる。このロックレバー135aの移動により、ロックレバー135aの下部突起135dが当接していた硬貨シュート110の第1のロックプレート118との係合を解除することができる。ロックレバー135aと第1のロックプレート118との係合を解除した状態で、さらに硬貨シュート110の凹凸部121をy方向に持ち上げる。これにより、下部突起135dの下側に位置している第1のロックプレート118を上方に逃げさせることができ、さらに硬貨シュートを持ち上げることで硬貨シュート110の取り外しが完了する。
以上で説明した本発明の実施の形態に係る硬貨シュート組立体100及び自動券売機1によれば、硬貨シュート110は、シュートガイド機構130によって、硬貨受皿17等が固定的に取り付けられている筐体20、ここでは、筐体20と一体の台座150とは、別体に取り付けられるので、保守・点検を容易に行うことのできる硬貨シュート組立体及び自動券売機を提供することができる。言い換えれば、硬貨シュート110は、ネジ等を用いて固定していないことから、道具を用いずに容易に筐体20から着脱することができる。
さらに、硬貨シュート110を簡単に取り外すことができることから、第3者の悪意によりシュートカバー15aや硬貨シュート110に粘着物を貼り付ける悪戯がされた場合でも、粘着物除去等の困難な清掃作業を比較的容易に行うことができる。なお、従来の自動券売機等においては、装置から硬貨シュートを外す為にはねじを外す必要があり、調整作業を必要とするため、硬貨シュートを外す作業は、特定の保守員にしか許可しないことが一般的であるが、本発明の実施の形態に係る硬貨シュート組立体100及び自動券売機1によれば特別な知識を有しない係員等でも容易に着脱、清掃することができる。
また、以上で説明した本発明の実施の形態に係る硬貨シュート組立体100及び自動券売機1によれば、硬貨シュート110は、シュートガイド機構130により台座150の所定の位置に位置決めされるので、装着の際には、いつも同じ位置に正確に装着することができ、取り付けの微調整を省くことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施の形態に係る自動券売機1によれば、硬貨シュート110を付勢するレバー機構135を装置内側に設けているため、接客部10側から硬貨シュート110に力を加えられても、ガタついたり、外れたりすることがない。また、付勢されたレバー機構135を操作することで、硬貨シュート110が容易に取り外せるので、工具を使用せず清掃を手元で行える。特に、自動販売機のように、硬貨を多く取り扱う装置には有用である。
なお、本発明の実施の形態に係る硬貨シュート組立体及び取引装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、取引装置は、乗車券等を取り扱う自動券売機として説明したが、自動販売機等の装置の内側から装置の外側に硬貨を放出するものであれば何でも良い。
以上の説明では、第1の突起部は、略矩形のプレート状に形成される第1のロックプレート118として説明したが、これに限らず、第1の側壁113から突状に立設され、ロックレバー135aにより台座150の方向に押しつけられるものであれば、単なる突起、例えば円柱状の突起等であってもよい。同様に、第2の突起部は、略矩形のプレート状に形成される第2のロックプレート119として説明したが、これに限らず、第1の側壁113から突状に立設され、第1のガイド壁に形成される切り欠き131bと嵌合するものであれば、単なる突起、例えば円柱状の突起等であってもよい。この場合、第2の突起部の形状に合わせて切り欠き131bの形状を変更すればよい。さらには、第3の突起部は、略矩形のプレート状に形成されるストッパプレート120として説明したが、これに限らず、第1の側壁113から突状に立設され、第1のガイド壁131と当接するものであれば、単なる突起、例えば円柱状の突起等であってもよい。
さらに、以上の説明では、レバー機構は、シュートガイド機構の第1のガイド壁に設けられるものとして説明したが、硬貨シュートを所定の方向に付勢し、シュートガイド機構とともに、該硬貨シュートを着脱可能に固定すれば、硬貨シュートに設置されていてもよい。
以上の説明では、第1の突起部、第2の突起部、第3の突起部は、硬貨シュートの第1の側壁に形成されるものとして説明したが、他の側壁に形成してもよい。また、以上の説明では、例えば、第2の突起部は硬貨シュートの第1の側壁に形成され、第2の突起部が嵌合する切り欠きはシュートガイド機構の第1のガイド壁に形成されるものとして説明したが、第2の突起部を第1のガイド壁に形成し、切り欠きを第1の側壁に形成してもよい。また、シュートガイド機構は、4つのガイド壁を有するものとして説明したが、例えば、一枚であってもよい。