JP4780741B2 - 耐水性に優れた感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性に優れた感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シートに関し、さらに詳しくは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報伝達用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなどの情報伝達用シート、およびこれに使用する耐水性に優れた感圧接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重ね合わせ面に情報を担持する情報担持用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、基体シートの重ね合わせ面の全面や特定部分、あるいは線状に感圧接着剤の接着層が設けられている。この感圧接着剤は自接着性感圧接着剤とも言われ、その接着層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】
従来、この種の情報担持用シートで使用される感圧接着剤の主成分は、一般にメタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系接着剤やメタクリル酸メチル−アクリルグラフト共重合天然ゴム系接着剤を主成分として含む接着剤基剤を用い、そしてこの接着剤基剤に対し、スターチなどの微粒状充填剤を配合したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スターチなど水に溶解する微粒状充填剤を用いた感圧接着剤は、接着層同士を対接させた状態で強圧をかけて接着した情報担持用シートが水に濡れたり、水と接触したり、高湿度の環境に放置されたりすると、接着力が大きく上昇し、結果として再剥離が困難になり、無理に剥離すると基体シートが破れたりする問題があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、従来の問題を解決し、接着層同士を対接させた状態で強圧をかけて接着した情報担持用シートが水に濡れたり、水と接触したり、高湿度の環境に放置されたりしても、接着力が大きく上昇せず、必要に応じて容易に再剥離可能な耐水性に優れた感圧接着剤組成物を提供することであり、本発明の第2の目的は、そのような感圧接着剤組成物を用いた情報担持用シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、天然ゴム系接着剤基剤に、大粒径および小粒径の2種の異なる特定の平均粒径を持つ耐水性微粒状充填剤をそれぞれ特定量配合した感圧接着剤組成物を用いることにより課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1記載の感圧接着剤組成物は、シートの重ね合わせ面に塗布され、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる感圧接着剤組成物であって、
天然ゴム系接着剤基剤と、この接着剤基剤固形分100質量部に対し、スターチなど各種デンプン系微粒状充填剤を使用せず、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、微球状ポリエチレン、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、シリカゲル、天然ゼオライト、合成ゼオライト、炭酸カルシウム、活性白土から選択される少なくとも1種の耐水性を有する微粒状充填剤であって、平均粒径1〜10μmの小粒径のものを15〜40質量部、および平均粒径10μmを超えて20.7μm以下の大粒径のものを15〜60質量部の範囲内で、かつ小粒径のものと大粒径のものとの合計が30〜100質量部となるように配合してなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2記載の情報担持用シートは、基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を有してなることを特徴とするものである。
【0009】
スターチなどの耐水性のない微粒状充填剤の替わりに、シリカゲル、ポリエチレン微粒、炭酸カルシウム、ポリメタクリル樹脂などの大粒径および小粒径の2種の異なる特定の平均粒径を持つ耐水性微粒状充填剤をそれぞれ特定量天然ゴム系接着剤基剤に対して配合すると、他の必要性能が損なわれずに、耐水性が改良され、再剥離可能となる。すなわち、接着層同士を対接させた状態で強圧をかけて接着した情報担持用シートが水に濡れたり、水と接触したり、高湿度の環境に放置されたりしても、接着力が大きく上昇せず、したがって必要に応じて再剥離する際、基体シート破れなどがなく、容易に再剥離可能となる。
請求項2記載の情報担持用シートは、基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の感圧接着剤組成物を例えばグラビアコーターにより塗布し、乾燥処理により通常状態では接着しない微細な多数の凸状パターンからなる接着層を形成し、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、例え水に濡れたり、水と接触したり、高湿度の環境に放置されたりしても、接着力が大きく上昇せず、必要に応じて容易に剥離できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられる天然ゴム系接着剤基剤とは、例えば従来、天然ゴム系粘着剤の基剤として慣用されているものの中から任意に選択することができる。このようなものとしては、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、例えば酸性ラテックス、解重合ラテックス、加硫ラテックスあるいはグラフト化した天然ゴムラテックスなど、およびこれらの天然ゴムラテックスに対してスチレンリッチSBRラテックス、ポリスチレンエマルジョン、スチレン・アクリル共重合体エマルジョンの1種あるいは2種以上を適当量配合した混合物などを挙げることができる。
天然ゴムラテックスの中でも、特に耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性などの点で、特に天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト共重合させて得た天然ゴムラテックスや、天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト共重合させて得た天然ゴムラテックスが好ましい。
【0011】
本発明の感圧接着剤組成物において好ましく用いられる例えば天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト共重合させて得た天然ゴムラテックスは、天然ゴム100質量部に対して例えばメタクリル酸メチル10〜40質量部程度グラフト共重合したものである。
【0012】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられるスチレンリッチSBRラテックスとは、一般に接着剤の成分として慣用されている合成ゴムラテックスであり、スチレンリッチSBRを水性溶媒中に分散させたエマルジョンである。
スチレン含量は70〜95%、好ましくは80〜95%である。70%未満あるいは95%を超えては紙などの基体シートへの定着性、接着剤皮膜の凝集力が改善できない恐れがある。
【0013】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられる市販のスチレンリッチSBRラテックスの具体例としては例えば、ニポール2507H(日本ゼオン(株))、旭化成ラテックスL−1638(旭化成(株))、JSR合成ゴムラテックス0602(JSR(株))などを挙げることができる。
【0014】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられるポリスチレンエマルジョンは、一般に含浸、他のラテックスの補強などの成分として慣用されている合成ラテックスであり、ポリスチレンを水性溶媒中に分散させたエマルジョンである。
【0015】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられる市販のポリスチレンエマルジョンの具体例としては例えば、ニポールLX−303(日本ゼオン(株))、旭化成ラテックスL−8801(旭化成(株))、C−10(昭和高分子(株))などを挙げることができる。
【0016】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられるスチレン・アクリル共重合体エマルジョンは、一般に含浸、塗料、紙加工などの成分として慣用されている合成ラテックスであり、スチレン・アクリル共重合体を水性溶媒中に分散させたエマルジョンである。
【0017】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられる市販のスチレン・アクリル共重合体エマルジョンの具体例としては例えば、旭化成(株)製のポリトロンF−2000、F−830、F−2430、F320、F324、昭和高分子(株)製のポリゾールAM−2300、AP−6730、AT−2000などを挙げることができる。
【0018】
スチレン・アクリル共重合体エマルジョンなどの粒子を分散安定化させるためには乳化剤が必要であるが、この乳化剤としては、一般にロジンセッケン、ナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸セッケン、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤が用いられる。
【0019】
スチレン・アクリル共重合体エマルジョンなどの配合割合は、天然ゴム系接着剤固形分100質量部に対してこれらの1種あるいは2種以上の固形分が5〜50質量部、好ましくは10〜50質量部となるように配合する。
【0020】
本発の感圧接着剤明組成物において用いられる天然ゴム系接着剤基剤には、所望に応じ粘着剤に慣用されている添加剤、例えば粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤などを添加することができる。
【0021】
本発明の感圧接着剤組成物においては、天然ゴム系接着剤基剤に対し、微粒状充填剤としてスターチなど各種デンプン系微粒状充填剤の替わりに耐水性のある微粒状充填剤を配合することが肝要である。このような微粒状充填剤としては、接着剤基剤との親和力が無いか、あるいは極めて小さく、また、接着剤基剤へ溶解し難いものを用いるのがよい。
【0022】
耐水性のある微粒状充填剤としては例えば、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂(例えば、ジュリーマーMB−20X、ポリメタクリル樹脂、平均粒径20μm、日本純薬(株)製)、微球状ポリエチレン(例えば、ミベロンXM−220、ポリオレフィン樹脂、平均粒径10μm、三井化学(株)製)、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、シリカゲル(例えば、サイシリア450、平均粒径5.2μm、富士シリシア(株)製、ニップジェルBY−600、平均粒径6.2μm、ニップジェルBY−400、平均粒径4.0μm、日本シリカ工業(株)製)、天然ゼオライト、合成ゼオライト、炭酸カルシウム(例えば、平均粒径14.4μm、三共製粉(株)製)、活性白土などが挙げられる。これらの微粒状充填剤は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
しかし、単独で用いる場合であっても、2種以上組み合わせて用いる場合であっても、本発明においてはこれらの耐水性微粒状充填剤は、平均粒径1〜10μmの小粒径の耐水性微粒状充填剤と、平均粒径10μmを超えて20.7μm以下の大粒径の耐水性微粒状充填剤を用いることが必要であり、しかも天然ゴム系接着剤基剤固形分100質量部に、小粒径のものが15〜40質量部、大粒径のものが15〜60質量部の範囲内で、かつ両者の合計が30〜100質量部となるように配合する必要がある。このように配合することにより始めて本発明の目的が達成できるのであって、いずれかが本発明の範囲を外れると耐水性のある微粒状充填剤を使用しても本発明の目的を達成することはできない。
【0023】
本発明の感圧接着剤組成物は、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗布手段により基体シート面に塗布され、二つ折り、三つ折り、切り重ね、あるいは別体同士の重ね合わせなど、各種の重ね合わせの形で、一時的には接着するが、必要に応じて容易に剥離できる見開き面を有するハガキ、各種帳票、通知書、各種カードなどに好適に利用できる。
【0024】
次に、本発明の接着剤組成物が塗布される基体シートとしては、通常の紙の他に、合成紙、あるいはポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。また、基体シート面への接着剤組成物の塗布量は、接着層の接着性、剥離性などのため、1〜30g/m2 、好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは5〜15g/m2 とするのがよい。
【0025】
本発明の情報担体用シートは、基体シート面の少なくとも一部に、本発明の感圧接着剤組成物から成る微細な多数の凸状パターンからなる接着層が設けられていることが肝要である。
本発明の感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を基体シート面に設ける方法は、特に限定されるものではないが、グラビアコーターによる塗布方法が経済的にも、紙への定着性、接着剤皮膜の凝集力がともに強く、印刷機やプリンターなどを走行中に接着剤が摩耗したり、脱落しないなどの特性を情報担体用シートに付与させ易い点からも最も好ましい方法である。
エアーナイフコーターでコーテイングすると、接着層の表面は均一な状態となるため、接着剤基剤100質量部に対して100質量部を超える微粒状充填剤の配合が必要となるのに対し、グラビアコーターによる塗布方法によれば微粒状充填剤は30〜100質量部とすることができる。
【0026】
これはエアーナイフコーターでコーテイングすると微粒状充填剤が基体シート面上に平坦に且つ均一に塗布されるが、グラビアコーターは彫刻ロールのメッシュの凹状パターンで基体シート面に塗布されるからであり、一回の塗布で本発明の感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を設けることができる。彫刻ロールのメッシュの凹状パターンは表1に示すように、山の幅(a)、山と山の幅(b)、谷の幅(c)、山の高さ(d)の異なるピラミッド型や格子型などがあり、これらの凹部に感圧接着剤組成物が保持される。通常は一旦、彫刻ロールから転写ロール(プリントロール)に感圧接着剤組成物が転写された後、基体シートへ塗布されるグラビアオフセット方式が採用される。
このメッシュの凹状パターンの大きさと形状で、基体シート面上に設けられる本発明の感圧接着剤組成物の接着層の微細な凸状パターンの大きさや形状が異なってくる。なお、グラビアコーターによるコーティング時に本発明の感圧接着剤組成物は広がるので、上記メッシュの凹状パターンの大きさや形状そのままの微細な凸状パターンが形成されないことは勿論である。
【0027】
【表1】
【0028】
グラビアコーターによるコーティング時に、接着剤基剤は、微粒状充填剤のシリカゲルや小麦デンプンより速やかに広がるため、塗布された本発明の感圧接着剤組成物の凸状パターンの中心部の組成は、元の接着剤の組成より、微粒状充填剤のシリカゲルや小麦デンプンが多くなる。従って、基体シート面との接着は、凸状パターンの中の接着剤基剤と広がった接着剤基剤によってなされるものと考えられる。
本発明の情報担体用シートの耐ブロッキング性は微粒状充填剤であるシリカゲルや小麦デンプンにより改善されるが、本発明の感圧接着剤組成物の接着層は多数の微細な凸状パターンから形成されているので、均一に塗布されている時より情報担体用シートの耐ブロッキング性はより改善される。また、凸状パターンの中の微粒状充填剤は接着剤基剤で固着され、さらにその凸状パターンは広がった接着剤基剤により基体シート面に接着される。
このようにして、本発明の感圧接着剤組成物が基体シート面上に均一に存在する時よりも、本発明の感圧接着剤組成物の接着層を強固に基体シート面に定着させることができると共に、微粒状充填剤の配合量が少ないこともあり、微粒状充填剤の脱落がなく、印刷適性、プリンター適性、シーラー適性などが大いに改善された情報担体用シートを得ることができるものと考えられる。なお、上記のような優れた特性を有する本発明の情報担体シートが得られる理由はこの考えのみに限定されるものではない。
さらに、形成された剥離可能な接着層を加圧ローラにて加圧することにより、耐ブロッキング性をさらに向上させることができる。
【0029】
次に、本発明の情報担持用シートの構成について添付図面に基づき詳細に説明する。ここで、図1は本発明の三つ折りハガキの表面展開図、図2はこのハガキの裏面展開図、図3は図1のX−X線断面図、図4は図1のハガキを折り込む際の状態説明図、図5は本発明の二つ折りハガキの表面展開図、図6はこのハガキの裏面展開図、図7は図5のハガキを折り込む際の状態説明図、図8は本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図、図9はこのハガキの裏面展開図、図10は図8のハガキを折り込む際の状態説明図である。
【0030】
先ず、図1ないし図3に示す三つ折りハガキ1は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3a、3bによって3つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域B及びCの表面全体と区画領域A及びBの裏面全体に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された三つ折りハガキ1は、図4に示すように、各区画の重ね合わせ面を折り線3a、3bにてZ型に折り込んで接着層同士を対接させ、この状態でドライシーラーにて加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0031】
次に、図5及び図6に示す二つ折りハガキ11は、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する基体シート2から構成され、中央部の折り線3によって2つの領域D及びEに区画されるものである。左側区画領域Dの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また区画領域D及びEの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域D及びEの裏面全体に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された二つ折りハガキ11は、図7に示すように、上記の三つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0032】
また、図8及び図9に示す部分二つ折りハガキ21は、定型ハガキサイズの1.5倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3によってサイズの異なる左右2つの領域F及びGに区画されるものである。左側区画領域Fの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また右側区画領域Gの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域Gの裏面全体及び区画領域Gを折り線3で折り込んだ際に重ね合わされる区画領域Fの一部裏面に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された部分二つ折りハガキ21は、図10に示すように、上記の二つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0033】
また、本発明組成物により形成される剥離可能な接着層は、それ自体印刷インキ及びトナーの受容性をも有するため、必要に応じ、さらにその表面に通常の印刷装置あるいはノンインパクトプリンタで付加情報(図示せず)をプリントすることができる。
【0034】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0035】
(実施例1)
天然ゴム系接着剤基剤として、天然ゴム(NR)100質量部とMMA25質量部とを混合してグラフト共重合して得たMMA共重合天然ゴムエマルジョン100質量部(固形分)に対してスチレンリッチSBRラテックス(ニポール2507H、日本ゼオン(株)製)、あるいはポリスチレンエマルジョン(C−10、昭和高分子(株)製)20質量部配合した混合物を用い、この天然ゴム系接着剤基剤100質量部(固形分)に対して小粒径シリカゲル(カープレックスCS−7、平均粒径3.1μm、シオノギ製薬(株)製)15質量部、大粒径充填剤(ニップジェルBY−001、シリカゲル、平均粒径20.7μm、日本シリカ工業(株)製)15質量部配合して本発明の感圧接着剤組成物を調製した。
この本発明の感圧接着剤組成物を連量70kgの上質紙(基体シート)にグラビアオフセット方式により10g/m2 の割合で塗布し、接着層を形成し、次いで、120℃、30秒間加熱を行い乾燥処理した。
このようにして作った情報担持用シートの製造直後の90°剥離(T型剥離)接着力、浸漬接着力上昇を下記の方法により評価し、評価結果を表2に示す。
【0036】
(1)90°剥離(T型剥離)接着力の測定方法;
得られた情報担持用シートを、幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ、7MPaの荷重を加えて圧着した。接着剤の剥離接着強さ試験方法JISK6854に準じて、オートグラフAGS50(島津製作所製)を用いて90°剥離(T型剥離)接着力を測定する。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
◎:100〜150(gf/25mm)
○:150〜200(gf/25mm)あるいは
50〜100(gf/25mm)
△:200〜300(gf/25mm)あるいは
30〜 50(gf/25mm)
×:300(gf/25mm)以上あるいは
30(gf/25mm)以下
【0037】
(2)浸漬接着力上昇の評価方法:
得られた情報担持用シートを、幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ、7MPaの荷重を加えて圧着した。圧着した試料を常温の水中に1時間浸漬し、室温にて1時間放置した後、上記と同様にして接着剤の剥離接着強さ試験方法JISK6854に準じて、オートグラフAGS50(島津製作所製)を用いて90°剥離(T型剥離)接着力を測定する。そして、水中に浸漬する前の90°剥離接着力に対して水中に浸漬後の90°剥離接着力が上昇した比率により下記の基準にしたがって浸漬接着力上昇を評価した。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
◎:20%以内
○:20〜50%
△:50〜100%
×:100%以上
【0038】
(実施例2〜3)
表2に示した配合で本発明の感圧接着剤組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして90°剥離接着力、浸漬接着力上昇を評価した結果を表2に示す。
【0039】
(実施例4)
実施例1記載の天然ゴム系接着剤基剤100質量部(固形分)に対して小粒径シリカゲル(サイシリア450、平均粒径5.2μm、富士シリシア(株)製)15質量部、大粒径充填剤(炭酸カルシウム、平均粒径14.4μm、三共製粉(株)製)15質量部配合した以外は実施例1と同様にして本発明の感圧接着剤組成物を調製した。この本発明の感圧接着剤組成物を用いて実施例1と同様にして90°剥離接着力、浸漬接着力上昇を評価した結果を表2に示す。
【0040】
(実施例5〜6)
表2に示した配合で本発明の感圧接着剤組成物を調製した以外は、実施例4と同様にして90°剥離接着力、浸漬接着力上昇を評価した結果を表2に示す。
【0041】
(実施例7)
実施例1記載の天然ゴム系接着剤基剤100質量部(固形分)に対して小粒径シリカゲル(ニップジェルBY−600、平均粒径6.2μm、日本シリカ工業(株)製)15質量部、大粒径充填剤(ジュリーマーMB−20X、ポリメタクリル樹脂、平均粒径20μm、日本純薬(株)製)15質量部配合した以外は実施例1と同様にして本発明の感圧接着剤組成物を調製した。この本発明の感圧接着剤組成物を用いて実施例1と同様にして90°剥離接着力、浸漬接着力上昇を評価した結果を表2に示す。
【0042】
(実施例8〜9)
表2に示した配合で本発明の感圧接着剤組成物を調製した以外は、実施例7と同様にして90°剥離接着力、浸漬接着力上昇を評価した結果を表2に示す。
【0043】
(比較例1)
実施例1記載の天然ゴム系接着剤基剤100質量部(固形分)に対して小粒径シリカゲル(サイシリア450、平均粒径5.2μm、富士シリシア(株)製)15質量部、スターチ15質量部配合した以外は実施例1と同様にして比較の感圧接着剤組成物を調製した。この感圧接着剤組成物を用いて実施例1と同様にして90°剥離接着力、浸漬接着力上昇を評価した結果を表3に示す。
【0044】
(比較例2〜3)
表3に示した配合で比較の感圧接着剤組成物を調製した以外は、比較例1と同様にして90°剥離接着力、浸漬接着力上昇を評価した結果を表3に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
表2から、実施例1〜9の本発明の感圧接着剤組成物は90°剥離接着力、耐水性ともに優れていることが判る。
表3から、スターチを用いた比較例1〜3の感圧接着剤組成物は90°剥離接着力は優れているが耐水性に劣ることが判る。
【0048】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の感圧接着剤組成物は、天然ゴム系接着剤基剤に対し、スターチなど各種デンプン系微粒状充填剤を使用せず、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、微球状ポリエチレン、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、シリカゲル、天然ゼオライト、合成ゼオライト、炭酸カルシウム、活性白土から選択される少なくとも1種の大粒径および小粒径の2種の異なる特定の平均粒径を持つ耐水性微粒状充填剤をそれぞれ特定量配合したので、基体シート面へ塗布してなる接着層が適度な接着性を有するとともに、接着層同士を対接させた状態で強圧をかけて接着した情報担持用シートが水に濡れたり、水と接触したり、高湿度の環境に放置されたりしても、接着力が大きく上昇せず、優れた耐水性を有するという顕著な効果を奏する。
【0049】
請求項2記載の情報担持用シートは、基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の感圧接着剤組成物を例えばグラビアコーターにより塗布し、乾燥処理により通常状態では接着しない微細な多数の凸状パターンからなる接着層を形成し、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られるとともに、必要に応じて剥離する際は容易に剥離できるという効果を奏する。
また、請求項2記載の情報担持用シートは、接着層同士を対接させた状態で強圧をかけて接着した後、水に濡れたり、水と接触したり、高湿度の環境に放置されたりしても、接着力が大きく上昇しないという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三つ折りハガキの表面展開図。
【図2】図1のハガキの裏面展開図。
【図3】図1のX−X線断面図。
【図4】図1のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図5】本発明の二つ折りハガキの表面展開図。
【図6】図5のハガキの裏面展開図。
【図7】図5のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図8】本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図。
【図9】図8のハガキの裏面展開図。
【図10】図8のハガキを折り込む際の状態説明図。
【符号の説明】
2、12、22 基体シート
3、3a、3b 折り線
5 隠蔽情報印刷
6 剥離可能な接着層
Claims (2)
- シートの重ね合わせ面に塗布され、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる感圧接着剤組成物であって、
天然ゴム系接着剤基剤と、この接着剤基剤固形分100質量部に対し、スターチなど各種デンプン系微粒状充填剤を使用せず、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、微球状ポリエチレン、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、シリカゲル、天然ゼオライト、合成ゼオライト、炭酸カルシウム、活性白土から選択される少なくとも1種の耐水性を有する微粒状充填剤であって、平均粒径1〜10μmの小粒径のものを15〜40質量部、および平均粒径10μmを超えて20.7μm以下の大粒径のものを15〜60質量部の範囲内で、かつ小粒径のものと大粒径のものとの合計が30〜100質量部となるように配合してなることを特徴とする耐水性に優れた感圧接着剤組成物。 - 基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を有してなる情報担持用シート。
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