図1〜9において、1、4,6、8は剥離フィルムを、2は粘着剤を、3は電磁波シールド材を、5は、光学フィルムの透明基材を、7は積層体を、9は転写シートを、10はメッシュ形成シートを、11は基材フィルムを、12は活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を、13は金属箔を、15は金属メッシュが形成されたメッシュ形成シートを示す。
以下、本発明の電磁波シールド性光透過部材を、図1を参照しつつ説明する。なお、図においては本発明を説明するため、各部材、層の大きさや厚みは正確な縮尺で記載されているものではない。
本発明の電磁波シールド性光透過部材は、2枚の剥離フィルム1、4間に、粘着剤2と電磁波シールド材3が含有されてなるものである。図1は、本発明の電磁波シールド性光透過部材のいくつかの態様を示すもので、図1(a)は剥離フィルム1、4に粘着剤2と電磁波シールド材3が両面ともに密接した状態とされた例であり、図1(b)は、電磁波シールド材は両面が剥離フィルムに密接しているが、粘着剤2は一方の剥離フィルム1にのみ密接している例であり、図1(c)は、電磁波シールド材は片面のみが剥離フィルムに密接し、粘着剤2は一面では剥離フィルム1と全面に、また他面は電磁波シールド材と粘着剤が剥離フィルム4に密接している例であり、図1(d)は、粘着剤は両面全面で剥離フィルム1、4と密接しているのに対し、電磁波シールド材3は粘着剤中にあり、剥離フィルムと接していない例を示すものである。なお、本発明の電磁波シールド性光透過部材は、2枚の剥離フィルム1、4間に、粘着剤2と電磁波シールド材3が含有されていれば良く、上記態様に限られるものではない。
本発明の電磁波シールド性光透過部材を構成する剥離フィルム1、4は、プラスチックフィルム上にシリコンやフッ素等の剥離性材料による剥離処理が施されたフィルムをいう。剥離処理が施されていることにより、剥離フィルムを粘着剤を介して基材などに貼付した場合でも、該フィルムを任意の方法で簡便に引き剥がすことが可能となる。剥離フィルムは単なる透明プラスチックフィルム等と区別して用いられる。剥離フィルムとしては、市販されている剥離フィルムを用いることもでき、その例としては、例えば東洋紡製E7002、パナック社製再剥離フィルムNTなどが挙げられる。また、剥離フィルムとして、プラスチックフィルムなどの基材フィルムに後述する活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布したものを用いることもできる。ただし、経済的理由および取り扱い性の点から、プラスチックフィルム上にシリコンやフッ素等によって公知の剥離処理を施したフィルムを用いることが好ましい。
前記プラスチックフィルムは、可とう性を有するプラスチックフィルムであることが好ましく、また活性エネルギー線を透過できることが好ましい。プラスチックフィルムの厚さは任意でよいが、5〜500μm程度であることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。プラスチックフィルムとしては、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等のフィルムが挙げられる。またプラスチックフィルムは、積層フィルムであってもよく、積層体を形成する樹脂としては、例えば上記のごとき単層プラスチックフィルムを構成する樹脂が挙げられる。プラスチックフィルムは価格や取り扱い性の面からPETフィルムを用いることが好ましい。これらプラスチックフィルムは、後述する本発明の基材フィルムとして用いることもできる。
本発明の電磁波シールド性光透過部材は、2枚の剥離フィルム1、4の間に粘着剤2と電磁波シールド材3を含有することとなる。例えば、2枚の剥離フィルムの剥離処理された面を積層方向に並べた場合には、2つの剥離処理された面の間に粘着剤と電磁波シールド材が含まれる。2つの剥離処理された面の位置関係は、平行であっても良いし、平行でなくとも良い。なお、2つの剥離処理された面の位置関係は平行であることが好ましい。
本発明においては、電磁波シールド材を製造する際に仮支持体である基材フィルムを用い、電磁波シールド性光透明部材を製造する過程で前記仮支持体は電磁波シールド材から剥離除去されることから、最終的に得られる電磁波シールド性光透明部材には仮支持体は存在しなくなる。このため、シールド材製造工程においてシールド材の仮支持体として用いられる基材フィルムに傷が発生した場合でも、発生する傷は電磁波シールド性光透明部材への傷の影響はなく、シールド層の光透過(透明性)を向上させることができる。また、従来の電磁波遮蔽構成体に比べ、少なくとも1層分のプラスチックフィルムを省くことができるため経済性も良く、さらに、ディスプレイ前面フィルターおよび電磁波シールド性建材等の薄型化に寄与することとなる。電磁波シールド性光透過部材の両面に剥離フィルムを使わない場合には、製造工程において基材フィルムに傷が付き、またメッシュ開口部に異物が付着するため、透明性も低下するし、商品としても問題がある。また、電磁波シールド材を形成する際のエッチング液による基材フィルム、粘着剤の損傷も問題となる。
本発明の電磁波シールド材3は、幾何学図形のメッシュ状の導電性金属材およびこれに類する金属材である。この電磁波シールド材は、導電性金属箔上にマイクロリソグラフ法や印刷法によりレジストパターンを形成した後、ケミカルエッチング等によるエッチング処理を施すことにより、あるいはメッキ法、導電性インキを用いる印刷法などにより形成することができる。
前記導電性金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、クロム、チタン等の金属、あるいはそれらの2種以上を組み合わせた合金が挙げられる。なかでも、導電性や回路加工の容易さ、価格の面から銅、ニッケル、アルミニウムおよびそれらの合金が好ましく、銅および銅合金が更に好ましい。また、導電性金属箔は、予め公知の方法で黒化処理されたものを使用しても良い。
金属箔の厚みは、0.5〜40μmが好ましく、更に1〜30μmが好ましい。40μmを越えると、細かいラインの形成が困難になるだけでなく、電磁波シール材がプラズマディスプレイなどのディスプレイの前面に適用された際に視野角が狭くなり好ましくない。また、厚さ0.5μm未満では表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果が劣る傾向にある。
メッシュの形状は、メッシュを構成する単位形状として、正三角形や二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形(nは正数)、円、楕円、星形等が挙げられる。メッシュの形状は、前記単位形状の1種または2種以上の組み合わせからなる。メッシュを構成する単位形状は、電磁波シールド性の観点からは、三角形が最も有効であるが、可視光線透過率の観点からはn角形のnが大きいものが好ましい。前記メッシュの外周には、該メッシュと電気的に接続した導電性の額縁部を設けることが望ましい。
メッシュを構成するラインの幅は40μm以下、ラインの間隔は100μm以上、ラインの厚みは40μm以下の範囲にすることが好ましい。また、メッシュの非視認性の観点から、ライン幅は25μm以下、可視光線透過率の点からライン間隔は120μm以上、ライン厚みは18μm以下が更に好ましい。ライン幅は40μm以下、特に25μm以下が好ましく、あまりに小さく、細くなると表面抵抗が大きくなりすぎてシールド効果に劣るので、1μm以上が好ましい。ラインの厚みは40μm以下が好ましく、あまりに厚みが薄いと表面抵抗が大きくなりすぎて、シールド効果に劣るので、0.5μm以上が好ましく、1μm以上が更に好ましい。ライン間隔は、大きいほど開口率が向上し、可視光線透過率は向上する。前述のようにディスプレイ前面に使用する場合、開口率は50%以上が好ましいが、60%以上がより好ましく、更に80%以上が好ましい。ライン間隔が大きくなりすぎると、電磁波シールド性が低下する為、ライン間隔は1000μm(1mm)以下とすることが好ましい。ここで開口率とは、電磁波シールド材がカバーする有効面積に対する、有効面積から金属メッシュの面積を引いた面積の比の百分率である。
導電性金属箔を用いてメッシュを形成する方法としては、金属箔にマイクロリソグラフ法を用いてメッシュを形成する方法が、加工の精度および加工の効率の面から好ましい。マイクロリソグラフ法としては、フォトリソグラフ法、X線リソグラフ法、電子線リソグラフ法、イオンビームリソグラフ法などが挙げられる。これらの中でも、その簡便性、量産性の点からフォトリソグラフ法が最も効率がよい。なかでもケミカルエッチングを用いたフォトリソグラフ法は、その簡便性、経済性、金属メッシュ加工精度などの点から最も好ましい。マイクロリソグラフ法では、金属箔上へのレジスト層の形成、露光、現像によるレジストパターンの形成、レジストパターンを利用しての金属箔のエッチング、レジスト層の剥離、必要に応じ中和処理が順次行われる。エッチングされた金属箔の表面を更に黒化処理する必要があれば、更に黒化処理が行われる。レジストパターンは、スクリーン印刷法、凸版オフセット印刷法等の印刷法を用いレジストインキを印刷することにより、露光、現像工程を経ないで作成することもできる。
メッシュ形成の際の金属箔のエッチングは、従来知られたエッチング法の何れでもよいが、経済的な面から、エッチング液を用いるケミカルエッチングが好ましい方法である。エッチング液としては、例えば塩化鉄、塩化銅等の水溶液が好ましい。またレジスト剥離液はカセイソーダ水溶液が好ましい。中和は塩酸、硫酸、シュウ酸等の酸性溶液が好ましい。黒化処理液としては、プリント回路基板製造技術で利用されている公知の黒化処理液を用いることが好ましい。これらエッチング液等の各種薬液や使用条件は特に限定されず、プリント配線板製造方法において公知の薬液や使用条件のいずれのものをも用いることができる。
本発明の電磁波シールド性光透過部材を構成する粘着剤としては、例えば、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、アミノ基、アセトアセトキシ基のうち少なくとも1種の反応性官能基を有するアクリル系ポリマー、および前記反応性官能基と反応しうる硬化剤からなるものが好ましいものとして挙げられる。
前記アクリル系ポリマーとしては、代表的なものとして、(A)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合体、または、(B)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。これらアクリル系ポリマーは、公知の方法により合成される。アクリル系ポリマーは、粘着性を付与するために、ガラス転移点が−20℃以下であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は粘着力と凝集力のバランスの面から20万〜200万が好ましく、更に40〜150万が好ましい。以下にアクリル系ポリマーを製造するために用いられるモノマーを例示するが、アクリル系ポリマーを製造するために用いられるモノマーがこれに限定されるものでなく、従来アクリル系ポリマーを製造するために用いられる公知のモノマーの何れをも使用することができる。なお、ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
前記アクリル系ポリマーを製造するために用いられる反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
また、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエトチル等を挙げることができる。
さらに、前記反応性官能基を有するモノマーおよび他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
一方、硬化剤は、反応性官能基を有するアクリル系ポリマーと反応して粘着剤に凝集力を付与するものであり、反応性官能基に対して反応性を持つイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジニル系化合物等の公知の多官能化合物が使用できる。硬化剤の使用量は、アクリルモノマーの種類や粘着力を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する接着力が小さくなりやすいので好ましくない。
前記イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートや、それらのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンジルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メタキシレンジアミンテトラグリシジルエーテル、およびその水添化物等が挙げられる。
アジリジニル系化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
粘着剤は、他に粘着付与剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収材料、濡れ剤、充填剤、顔料、染料、希釈剤、防錆剤、硬化促進剤等の公知の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜用いてもよい。また、これら添加剤の添加量は、目的とする物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
本発明の粘着剤としては、上記粘着剤の他、活性エネルギー線硬化型粘着剤も好ましく用いることもできる。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、活性エネルギー線照射により硬化(3次元架橋)が起こり、凝集力が高まることで粘着力が発現する粘着剤である。本発明においては、活性エネルギー線硬化型粘着剤として、アクリル系ポリマー、活性エネルギー線反応性化合物、光重合開始剤、重合禁止剤およびその他添加剤から構成されるものが好ましく用いられる。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は、一般的な粘着剤と違い硬化剤を含まない、あるいは硬化剤を含むとしてもその量は極少量であるため、粘着剤の流動性が非常に高く、メッシュの粘着剤中への埋め込みが容易である。さらにメッシュを粘着剤中へ埋め込んだ後に活性エネルギー線を照射して硬化を行い粘着性を発現させることができるため、均一な粘着層を生成し、また比較的高い粘着力が得られる。
前記活性エネルギー線硬化型粘着剤を構成するアクリル系ポリマーを例示すると、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、反応性官能基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能なビニルモノマーから選択された2種類以上のモノマーを共重合することにより得られたものが挙げられ、粘着性面から、反応性官能基を有するモノマーとして、水酸基、アセトアセトキシ基、カルボキシル基含有モノマーのうち少なく1種類以上を共重合することが好ましい。このようなアクリル系ポリマーは、公知の方法で合成することができる。
活性エネルギー線硬化型粘着剤を構成するアクリル系ポリマーの重量平均分子量は、凝集力保持のため40〜200万が好ましく、更に90〜200万が好ましく、特に100万〜160万が好ましい。また、アクリル系ポリマーのガラス転移点は−60℃〜−5℃であることが好ましく、更に−50〜−10℃が好ましい。−60℃未満のときは凝集力が不足し、−5℃を超えるときは粘着性に不足が生じる恐れがある。
この活性エネルギー線硬化型粘着剤を構成するアクリル系ポリマー合成に用いるモノマーを以下に挙げるが、アクリル系ポリマーの合成に使用されるモノマーがこれに限定されるものではなく、公知のモノマーの何れのものをも使用することができる。
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエトチル等を挙げることができる。
また、反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
また、活性エネルギー線反応性化合物としては、活性エネルギー線照射により3次元架橋する公知のモノマーやオリゴマーが挙げられる。これらは分子内に2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものである。活性エネルギー線反応性化合物はアクリル系ポリマー100重量部に対して0.1〜50重量部配合することが好ましく、更に0.1〜40重竜部が好ましく、特に0.1〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満のときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が不足して必要な凝集力が得られず、50重量部を超えるときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が過剰になり必要な粘着力が得られない恐れがある。
上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のモノマーを挙げることができるが、上記モノマーがこれらに限定されるものではない。また粘性や架橋密度等を調整するために、分子内に1個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを活性エネルギー線反応性化合物として入れていても良い。
また、上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するオリゴマーとしては、活性エネルギー線反応性化合物として用いられている公知オリゴマーの何れのものをも用いることができる。代表的なものとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられることが、これに限定されるものではない。粘着剤として使用された際の経時黄変を防ぐために、原料としてトリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートを含まないウレタンアクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型粘着剤に用いられる重合禁止剤としては、従来重合禁止剤として用いられている公知の化合物の何れをも用いることができる。重合禁止剤を具体的に例示すると、例えば、ヒドロキノン、メトキノン、メチルヒドロキノン、パラベンゾキノン、トルキノン、t−ブチルヒドロキノン、t−ブチルベンゾキノン、2,5−ジフェニル−パラベンゾキノン等のヒドロキノン系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソアミン系化合物が挙げられるが、重合禁止剤が特にこれら例示された化合物に限定されるものではない。
その他添加剤としては、先に粘着剤の添加剤として挙げたものと同様のものが挙げられる。これら添加剤は添加剤の添加量は、目的とする物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
本発明においては、2枚の剥離フィルム間に電磁波シールド材と粘着剤が含まれていればよい。電磁波シールド材と粘着剤は、電磁波シールド層と粘着剤層が多層的な構造で含まれていても良いし、電磁波シールド材が粘着剤層に埋め込まれていても良い。特に、電磁波シールド材が粘着剤に覆われている場合(例えば、図1(d))や電磁波シールド材の少なくとも一部が粘着剤から露出していてもよい(例えば、図1(a)、(b)、(c))。電磁波シールド材の粘着剤からの露出は、金属メッシュの埋め込み時に粘着剤が流動することによる。金属メッシュの表面(後述する基材フィルムとは反対の面)に黒化処理が施されている場合を例に挙げて具体的に説明すると、黒化処理されている面の一部または全面が露出する場合、黒化処理されていない面(以下、非黒化面という。)の一部または全面が露出する場合、黒化処理されている面と非黒化面の一部が露出する場合などである。
本発明の電磁波シールド性光透過部材を構成する粘着剤2は、更に近赤外線吸収物、色補正物、NDフィルター機能を有する化合物などを含有することが好ましい。
上記近赤外線吸収物とは、近赤外線を吸収する色素化合物を意味する。本発明の電磁波シールド性光透過部材を用いてプラズマディスプレイ等のディスプレイの電磁波シールド層が形成される場合、プラズマディスプレイ等のディスプレイから輻射される近赤外線を吸収し、これによりディスプレイを含む他の電子機器のスイッチング、コンピューター通信の送信などでの誤動作を防止できる。本発明の電磁波シールド性光透過部材がディスプレイに適用される場合には、前記近赤外線吸収物はディスプレイから発せられる近赤外線を吸収する色素化合物であればよい。このような近赤外線を吸収する色素化合物としては、特定構造のジイモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体化合物、シアニン系化合物などから選ばれる少なくとも1つの化合物が挙げられる。これらの化合物を単体で使用することにより、或いは併用することにより、例えばディスプレイから輻射される近赤外線を吸収することができる。なお、本発明においては、近赤外線吸収物は電磁波シールド層ではなく、別層の近赤外線吸収層に含有させ、ディスプレイパネルに適用されてもよいが、近赤外線吸収層については後述する。
本発明において近赤外線吸収物として好ましく用いることのできるジイモニウム系化合物を例示すると、例えば下記一般式(1)で示されるスルホンイミドをアニオン成分に持つ構造を有する化合物が挙げられる。
一般式(1)中、R1〜R8は互いに同じであっても異なっていても良く、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいシアノアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシ基、または置換されていてもよいフェニルアルキル基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としてはビニル基、アリール基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
これらの基に結合する置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;テトラヒドロフリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリールオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;
メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルオニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、sec−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチルスルホニルアミノ基、n−ヘキシルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカアルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
これらR1〜R8のうち、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シアノ置換アルキル基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖または分鎖基を有するアルキル基が特に好ましい。かかる炭素数2〜6の直鎖または分鎖基を有するアルキル基の具体例としては、例えばエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、iso−アミル基等が挙げられる。
また、R1〜R8の好ましい他の例として、下記一般式(2)で示されるフェニルアルキル基を挙げることもできる。
(式中、Cは、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を表し、環Dは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。)
一般式(2)で示されるフェニルアルキル基において、アルキル基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。更にフェニルアルキル基におけるフェニル基は、置換基を有していなくてもよいが、アルキル基、水酸基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン置換アルキル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。好ましくは置換基を有していないフェニル基である。
かかるフェニルアルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピレン基、フェニル−α−メチルプロピレン基、フェニル−β−メチルプロピレン基、フェニルブチレン基、フェニルペンチレン基、フェニルオクチレン基等が挙げられ、ベンジル基およびフェネチル基が好ましい。これらフェニルアルキル基は、ジイモニウム化合物の耐熱性を向上させるので好ましい。
一般式(1)における環AおよびBは、1,4−位以外に1〜4個の置換基を有しても、いなくてもよい。結合しうる置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基が挙げられ、低級アルキルとしては、例えばメチル基、エチル基等のC1〜C5のアルキル基が挙げられる。好ましくはAおよびBが置換基を有していないか、ハロゲン原子(特に塩素原子、臭素原子)、メチル基もしくはシアノ基で置換されたのもが好ましい。なお、Bに置換基を有する場合は、4つのB環がすべて同じであるもの、更に、置換基の位置はフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対して、m−位であるものが合成上好ましい。更に環AおよびBには1,4−位以外に置換基を有していないものが合成上好ましい。
一般式(1)中のアニオン成分におけるR9およびR10は、それぞれ同じであっても異なっていてもよいフルオロアルキル基またはそれらが一緒になって形成されるフルオロアルキレン基であれば、置換されるフッ素原子の数や炭素数には特に限定はないが、好ましいR9およびR10の例としては、同じであっても異なっていてもよい炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基が挙げられる。すなわち、アニオン成分の好ましい一例としては、下記一般式(3)で示されるアニオン成分が挙げられる。
(式中、nおよびn’は1〜8の整数を示す。)
ここで、nおよびn’は1〜8の整数であるが、1〜4の整数であることが好ましい。好ましい具体例としては、例えば、パーフルオロアルカンスルホニル基が同一(つまりnとn’が同一の整数)のビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、ビス(ペンタフルオロエタン)イミド等;パーフルオロアルカンスルホニル基が異なる(つまりnとn’が異なる整数)ペンタフルオロエタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド、トリフルオロメタンスルホンヘプタフルオロプロパンスルホンイミド、ノナフルオロブタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド等が挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルカンスルホン基が同一(つまりnとn’が同一の整数)で、nとn’が、1または2であるビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、ビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドが近赤外線吸収能力の点で更に好ましい。
また、一般式(1)中のアニオン成分におけるR9およびR10の好ましい他の例としては、下記一般式(4)に示されるように、これらが一緒になって形成される炭素数2〜12のパーフルオロアルキレン基が挙げられる。
(式中、mは、2〜12の整数を示す)
ここで、mは好ましくは2〜8の整数であり、更に好ましくは、mが3である下記式(9)で示される1,3−ジスルホンニルヘキサフルオロプロピレンイミドが挙げられる。
上記一般式(1)のR9およびR10が一緒になって形成される炭素数2〜12のパーフルオロアルキレン基を有する上記一般式(4)で示されるアニオンは、R9およびR10が独立した一般式(3)のアニオンをアニオン成分として用いる場合に比べ耐熱性がより向上されることから好ましい。
本発明で使用される一般式(1)で示されるジイモニウム系化合物の具体例を示すと、例えば、
下記式(6)で示される、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
下記式(7)で示される、ビス(ペンタフロロエタンスルホン)イミド酸N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
下記式(8)で示される、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
下記式(9)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジベンジルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
下記式(10)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジフェネチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
下記式(11)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N’,N’−テトラキス{(p−ジ(4−フッ化)ベンジルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
下記式(12)で示される、ビス(1,3−ジスルホニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸)N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジフェネチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
下記式(13)で示される、ビス(1,3−ジスルホニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸)N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム
などが挙げられる。
本発明で使用される一般式(1)で示されるジイモニウム系化合物は、例えば特公昭43−25335号公報に開示された次の様な方法で得ることができる。すなわち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる、下記一般式(14)で表されるアミノ体を、有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の水溶性極性溶媒中、30〜160℃、好ましくは50〜140℃で、所望のR1〜R8に対応するハロゲン化化合物(例えば、R1がn−C4H9のときはBrC4H9)と反応させて、全ての置換基(R1〜R8)が同一である化合物(以下、全置換体と記す)を得ることができる。また、全置換体以外の化合物を合成する場合、例えば、先に所定のモル数(アミン体1モル当たり7モル)の試薬(BrC4H9)と反応させてR1〜R8のうち7つにn−ブチル基を導入した後、残りの置換基(iso−ブチル基)を導入するのに必要なモル数(アミン体1モル当たり1モル)の試薬(BrC4H9BrCH2CH(CH3)2)と反応させる。
(式中、環AおよびBは前記で定義された通りである。)
その後、上記で合成した化合物を、有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で、下記一般式(15)で示されるスルホンイミド酸銀誘導体を添加して酸化反応を行い、析出した銀を濾別した後、水、酢酸エチルまたはヘキサン等の溶媒を加え、生じた沈殿を濾過することにより本発明の一般式(1)で示されるジイモニウム系化合物が得られる。
(式中、R9およびR10は前記で定義された通りである。)
上記一般式(1)で表されるジイモニウム系化合物の市販品としては、例えば、「CIR−LR」、「CIR−1085」(いずれも日本カーリット株式会社製)、「K−1032」(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
本発明の粘着剤中に含まれるジイモニウム系化合物の含有量は、本発明の粘着剤により形成される近赤外線吸収層の厚さや要求される該近赤外線吸収層に要求される吸収能により決定される。例えば、吸収能を一定とすれば、形成される近赤外線吸収層の膜厚が薄い場合は、粘着剤中にジイモニウム系化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、粘着剤中のジイモニウム系化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、粘着剤中のジイモニウム系化合物の量および形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。
上記するように、ジイモニウム系化合物の添加量は種々の要因により変わるものの、一般的には、本発明の粘着剤により形成される近赤外線吸収層の単位面積1m2当たり、1〜1000mgが好ましく、より好ましくは5〜500mgである。例えば粘着剤を構成する樹脂に対する配合量とすると、粘着剤を構成する樹脂100重量部に対し、ジイモニウム系化合物を0.1〜10重量部配合することが好ましく、0.5〜5重量部配合することがより好ましい。ジイモニウム系化合物の配合量が上記範囲未満の場合、所望の近赤外線吸収能を得るためには近赤外線吸収層の膜厚を相当厚くすることが好ましい。一方、ジイモニウム系化合物の配合量が上記範囲を超えると可視光の透過率が低下することがあるので、近赤外線吸収層の膜厚を相当薄くすることが好ましい。
なお、一般式(1)で表されるジイモニウム系化合物は、850〜1200nmの範囲に近赤外線吸収能があり、特に1000nm前後の近赤外線吸収が強く、リモコン等に使用される近赤外線の波長の光以外にも、将来使用が見込まれるコンピューター通信の波長の光をも遮断し、この誤作動の防止にも効果が期待できる。
本発明において近赤外線吸収物として用いられるフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体、シアニン系化合物について以下説明する。これらフタロシアニン系化合物や後述するジチオール金属錯体、シアニン系化合物は、単独で用いられてもよいし、近赤外線吸収物の任意の2種以上を併用してもよいが、上記ジイモニウム系化合物と上記フタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体、シアニン系化合物のいずれか1種の併用が好ましい。
本発明において用いられるフタロシアニン系化合物としては、フタロシアニン、フタロシアニン錯体、或いはフタロシアニンおよびフタロシアニン錯体であってフタロシアニン骨格のベンゼン環上にOR、SR、NHR、またはNRR’のうちの1種以上有するものである。ここでR、R’は、同一もしくは異なって、置換基を有してもよいフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。なお置換基のうちの1個がNHRで置換されたフタロシアニンであることが好ましい。
本発明において用いられるフタロシアニン系化合物の好ましい例を示すと、下記一般式(16)で表される化合物が挙げられる。一般式(16)で表される化合物は、溶媒溶解性に優れ、ポリマーとの相溶性にも優れている。更に、一般式(16)で表されるフタロシアニン系化合物を用いた近赤外線吸収層が近赤外線吸収フィルターとして使用される場合、特に可視光線透過率が高く、近赤外線吸収効率が高く、かつ耐熱性、耐光性にも優れた近赤外線吸収フィルターを得ることができる。
(式中、αは、互いに同一であっても異なっていてもよく、SR15、OR16、NHR17またはハロゲン原子を表し、且つαの少なくともいずれか1つはNHR17である。R15、R16およびR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有してもよい、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。βは、互いに同一であっても異なっていてもよく、SRR15、OR16またはハロゲン原子を表し、SR15、OR16を必須とする。Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表す。)
上記一般式(16)において、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記R15、R16、およびR17におけるフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基は、置換基を1個または2個以上有してもよい。このような置換基としては、例えばハロゲン原子、アシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基カルボニル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
上記一般式(16)中のMにおいて、無金属とは、金属以外の原子、例えば2個の水素原子であることを意味する。具体的には、フタロシアニン構造の中央部分に存在する、置換基を有してもよい、相対する2つの窒素原子に水素原子が結合している構造となる。金属としては、例えば鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、例えばチタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、例えば塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫、塩化ケイ素等が挙げられる。Mとしては、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物であることが好ましく、具体的には、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄、バナジル、ジクロロ錫等が挙げられる。より好ましくは、亜鉛、銅、コバルト、バナジル、ジクロロ錫である。
上記一般式(16)で表されるフタロシアニン系化合物の好ましい形態としては、8個のβのうち4〜8個が、同一であっても異なっていてもよい、SR1またはOR2である。より好ましくは、8個のβが全て、同一もしくは異なっていてもよい、SR1またはOR2である。このようなフタロシアニン系化合物としては、例えば、ZnPc(PhS)8(PhNH)3F5、ZnPc(PhS)8(PhNH)4F4、ZnPc(PhS)8(PhNH)5F3、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)4F4、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)5F3、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)6F2、CuPc(PhS)8(PhNH)7F、CuPc(PhS)8(PhNH)6F2、CuPc(PhS)8(PhNH)5F3、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)5F3、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)6F2、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)8、VOPc(PhS)8(PhCH2NH)8、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4、ZnPc(2,4−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略号で表されるフタロシアニン化合物等が挙げられる。
また、これらの化合物の中でも8個のαのうち4個が、同一もしくは異なっていてもよい、OR2またはハロゲン原子を表す化合物で、例えば、ZnPc(PhS)8(PhNH)3F5、ZnPc(PhS)8(PhNH)4F4、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)4F4、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4、ZnPc(2,4−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略称で表されるフタロシアニン化合物等が好ましい。
なお、上記化合物の略号において、Pcはフタロシアニン核を表し、Pcの後には、β位に置換する8個の置換基を表し、その後にα位に置換する8個の置換基を表す。また、上記Phはフェニル基を表す。更に具体的には、上記略号は、中心金属:Pc:β位の8個の置換基:α位の8個の置換基を表す。例えば、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fでは、中心金属がVO:フタロシアニン核:β位に2,5−Cl2PhOが8個置換:α位に2,6−(CH3)2PhOが4個とPh(CH3)CHNHが3個とFが1個置換したフタロシアニン系化合物を表す。
上記一般式(16)で表されるフタロシアニン系化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適当に利用することができる。例えば、フタロニトリル化合物を、金属塩、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物および有機酸金属から選ばれる一種と環化反応させた後、アミノ化合物と反応させることによって製造される。
上記一般式(16)で表されるフタロシアニン系化合物の市販品としては、例えば、「イーエックスカラーIR10A」、「イーエックスカラーIR12」、「イーエックスカラーIR14」、「イーエックスカラーHA−1」、「イーエックスカラーHA−14」(いずれも日本触媒製)等が挙げられる。フタロシアニン系化合物の溶媒溶解性、ポリマーとの相溶性の点および近赤外線吸収フィルターとして使用する場合の可視光線透過率、近赤外線吸収効率の点より、「イーエックスカラーIR10A」、「イーエックスカラーIR12」、「イーエックスカラーIR14」が好ましい。
本発明の電磁波シールド性光透過部材を構成する粘着剤へのフタロシアニン系化合物の添加量は、用いられるフタロシアニン系化合物の近赤外線吸収能や粘着剤層の膜厚、要求される吸収能により決定される。吸収能を一定とすれば粘着剤中にフタロシアニン系化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、粘着剤中のフタロシアニン系化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、粘着剤中のフタロシアニン系化合物の量および形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。例えば、吸収能を一定とすれば、形成される近赤外線吸収層の膜厚が薄い場合は、粘着剤中にフタロシアニン系化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、粘着剤中のフタロシアニン系化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、粘着剤中のフタロシアニン系化合物の量および形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。
フタロシアニン系化合物の添加量は、具体的には、本発明の粘着剤により形成される近赤外線吸収層の単位面積1m2当たり、1〜1000mgが好ましく、より好ましくは5〜500mgである。例えば粘着剤を構成する樹脂に対する配合量とすると、粘着剤を構成する樹脂100重量部に対し、フタロシアニン系化合物を0.1〜10重量部配合することが好ましく、0.2〜5重量部配合することがより好ましい。
フタロシアニン系化合物の配合量が上記範囲未満の場合、所望の近赤外線吸収能を得るためには粘着剤層の膜厚を相当厚くすることが好ましい。一方、フタロシアニン系化合物の配合量が上記範囲を超えると可視光の透過率が低下することがあるので、粘着剤層の膜厚を相当薄くすることが好ましい。
これら一般式(16)で表されるフタロシアニン系錯体化合物は、800〜900nmの近赤外線領域で吸収極大を持ち、且つ可視光領域での吸収が小さいという特徴を持つ。そこでジイモニウム系化合物と組み合わせることにより、両者の相乗効果で800〜1000nmの近赤外線領域を効率良く吸収遮蔽するので、プラズマディスプレイが発する不要な近赤外線を吸収することができる。また、ジイモニウム系化合物は、一般に他の色素と混合した場合に、その耐熱性が著しく低下することが知られているが、フタロシアニン系化合物との混合においてはジイモニウム系化合物の耐熱性を低下することは少なく、この点においても両者の併用は好ましい。
本発明の電磁波シールド性光透過部材を構成する粘着剤の近赤外線吸収物として用いられるジチオール金属錯体化合物としては、一般的にジチオール金属錯体化合物と呼ばれるものであれば特に限定はないが、具体的には下記一般式(17)で表される金属錯体化合物が好ましいものである。
(式中、R11〜R14は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキル基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい。また、Mはニッケル、白金、パラジウム、または銅の金属である。)
これら一般式(17)で表されるジチオール金属錯体化合物は、1種類を使用しても2種類以上を使用してもよい。一般式(17)で表されるジチオール金属錯体化合物中、R11〜R14で表される置換基について、以下に具体的に説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アシル基の例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、p−t−ブチルベンゾイル基等が挙げられる。
アルキルアミノカルボニル基の例としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、sec−ブチルアミノカルボニル基、n−ペンチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、n−ヘプチルアミノカルボニル基、n−オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−sec−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘプチルアミノカルボニル基、ジ−オクチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、iso−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、iso−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、iso−ペンチルオキシカルボニル基、neo−ペンチルオキシカルボニル基、1,2−ジメチル−プロピルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、1,3−ジメチル−ブチルオキシカルボニル基、1−iso−プロピルプロピルオキシカルボニル基、1,2−ジメチルブチルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、1,4−ジメチルペンチロキシカルボニル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルオキシカルボニル基、1−エチル−3−メチルブチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、3−メチル−iso−プロピルブチルオキシカルボニル基、2−メチル−1−iso−プロピルオキシカルボニル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基等の炭素数2〜20の直鎖または分岐のアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基の例としては、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、トリオキシカルボニル基、キシリルオキシカルボニル基、クロロフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換または未置換のアルキル基のうち、未置換のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、シクロペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状の炭化水素基が挙げられる。
置換アルキル基とは、上記の未置換のアルキル基の少なくとも1つの水素が種々の官能基に置換されたものである。
置換アルキル基の例としては、例えば、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシ基に置換されたアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシアルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がハロゲン原子に置換されたハロゲン化アルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアミノ基に置換されたアミノアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルキルアミノ基に置換されたアルキルアミノアルキル基やジアルキルアミノアルキル基、
その他アルコキシカルボニルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、アルコキシスルホニルアルキル基等が挙げられる。
上記アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトチキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等が挙げられ、ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ2−プロピル基等が挙げられる。また、アルキルアミノ基やジアルキルアミノ基のアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、アルコキシスルホニルアルキル基におけるアルコキシ基、アルキル基についても、上記アルキル基あるいはアルコキシアルキル基のアルコキシ基等と同様のものが挙げられる。
置換または未置換のアリール基のうち、未置換のものとしては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、置換アリール基とは、上記の未置換のアリール基の少なくとも1つの水素が種々の官能基に置換されたものである。
例えば、置換フェニル基としては、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フロロフェニル基、ペンタフロロフェニル基、ヨウ化フェニル基等のハロゲン化フェニル基;トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルエチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、t−ブチルメチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基等のアルキル誘導体置換フェニル基;
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシフェニル基、メチルエトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、1−メトキシ−5−エトキシフェニル基、1−メトキシ−2−エトキシフェニル基、1−メトキシ−3−エトキシフェニル基、1−メトキシ−4−エトキシフェニル基、1−エトキシ−2−メトキシフェニル基、2−メトキシ−3−エトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−5−エトキシフェニル基、1−エトキシ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−3−エトキシフェニル基、ジエトキシフェニル基、エトキシエトキシフェニル基、ジ(エトキシエトキシ)フェニル基、エトキシエトキシエトキシフェニル基、ジ(エトキシエトキシエトキシ)フェニル基、3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基、3−メトキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−エトキシ−4(2−メトキシエトキ)シフェニル基、3−エトキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−プロポキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基、3−プロポキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−iso−プロポキシ−4−(2−メトキシエトキ)シフェニル基、3−iso−プロポキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、2−(2−ヒドロキシ)−3−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル基、クロロメトキシフェニル基、クロロエトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基;
メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、t−ブチルチオフェニル基、ジ−tert−ブチルチオフェニル基、2−メチル−1−メチルチオフェニル基等のアルキルチオ基置換フェニル基;N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、N,N−ジアミルアミノフェニル基、N,N−ジヘキシルアミノフェニル基、N−メチル−N−エチルアミノフェニル基、N−ブチル−N−エチルアミノフェニル基、N−ヘキシル−N−エチルアミノフェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)−エチルフェニル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基等のアルキルアミノフェニル基等が挙げられる。
また、置換ナフチル基としては、クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、ブロモナフチル基、フロロナフチル基、ペンタフロロナフチル基、ヨウ化ナフチル基等のハロゲン化ナフチル基;エチルナフチル基、ジメチルエチルナフチル基、iso−プロピルナフチル基、t−ブチルナフチル基、t−ブチルメチルナフチル基、オクチルナフチル基、ノニルナフチル基、トリフロロメチルナフチル基のアルキル誘導体置換ナフチル基;メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、ヘキシルオキシナフチル基、シクロヘキシルオキシナフチル基、オキチルオキシナフチル基、2−エチルヘキシルオキシナフチル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシナフチル基、メチルエトキシナフチル基、ジメトキシナフチル基、クロロメトキシナフチル基、エトキシエトキシナフチル基、エトキシエトキシエトキシナフチル基等のアルコキシ基置換ナフチル基;メチルチオナフチル基、エチルチオナフチル基、t−ブチルチオナフチル基、メチルエチルチオナフチル基、ブチルメチルチオナフチル基等のアルキルチオ基置換ナフチル基;N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基、N,N−ジアミルアミノナフチル基、N,N−ジヘキシルアミノナフチル基、N−メチル−N−エチルアミノナフチル基、N−ブチル−N−エチルアミノナフチル基、N−ヘキシル−N−エチルアミノナフチル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)−エチルナフチル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基等のアルキルアミノナフチル基が挙げられる。
置換または未置換のアリール基としては、これらの他、置換または未置換のp−ニトロフェニル基、置換または未置換のピリジル基、置換または未置換のピロジリル基、置換または未置換のピペリジル基、置換または未置換のモルホリン基、置換または未置換のテトラヒドロピリジル基、置換または未置換のチオフェニル基、置換または未置換のイミダゾリル基、置換または未置換のフリル基等も挙げられる。
一般式(17)で表されるジチオール金属錯体化合物のR11〜R14で表される置換基で特に好ましいものは、それぞれ同じであっても異なっていても良い、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、t−ブチルメチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、エチルナフチル基、ジメチルエチルナフチル基、iso−プロピルナフチル基、t−ブチルナフチル基、t−ブチルメチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、メチルチオナフチル基、エチルチオナフチル基、t−ブチルチオナフチル基、メチルエチルチオナフチル基、ブチルメチルチオナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基等の炭素数3〜20の置換または未置換のアルキル基、フェニル基或いはナフチル基であり、また、特に好ましいMはニッケルである。
これら一般式(17)で表されるジチオール金属錯体化合物は、800〜900nmの近赤外線領域で吸収極大を持ち、且つ可視光領域での吸収が小さいという特徴を持つ。そこでジイモニウム系化合物と組み合わせることにより、両者の相乗効果で800〜1000nmの近赤外線領域を効率良く吸収遮蔽するので、プラズマディスプレイが発する不要な近赤外線を吸収することができる。また、ジイモニウム系化合物は、一般に他の色素と混合した場合に、その耐熱性が著しく低下することが知られているが、ジチオール金属錯体化合物との混合においてはジイモニウム系化合物の耐熱性を低下することは少なく、この点においても両者の併用は好ましい。
本発明の電磁波シールド性光透過部材を構成する粘着剤へのジチオール金属錯体化合物の添加量は、用いられるジチオール金属錯体化合物の近赤外線吸収能や粘着剤の膜厚、要求される吸収能により決定される。吸収能を一定とすれば粘着剤中にジチオール金属錯体化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、粘着剤中のジチオール金属錯体化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、粘着剤中のジチオール金属錯体化合物の量および形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。例えば、吸収能を一定とすれば、形成される近赤外線吸収層の膜厚が薄い場合は、粘着剤中にジチオール金属錯体化合物を多く添加する必要があり、逆に形成される近赤外線吸収層の膜厚が厚い場合は、粘着剤中のジチオール金属錯体化合物の添加量は少なくて良い。即ち、要求される近赤外線吸収能に応じて、粘着剤中のジチオール金属錯体化合物の量および形成される近赤外線吸収層の膜厚を決定することができる。
ジチオール金属錯体化合物の添加量は、具体的には、本発明の粘着剤により形成される近赤外線吸収層の単位面積1m2当たり、1〜1000mgが好ましく、より好ましくは5〜500mgである。例えば粘着剤を構成する樹脂に対する配合量とすると、粘着剤を構成する樹脂100重量部に対し、フタロシアニン系化合物を0.05〜10重量部配合することが好ましく、0.2〜5重量部配合することがより好ましい。ジチオール金属錯体化合物の配合量が上記範囲未満の場合、所望の近赤外線吸収能を得るためには近赤外線吸収層の膜厚を相当厚くすることが好ましい。一方、ジチオール金属錯体化合物の配合量が上記範囲を超えると可視光の透過率が低下することがあるので、近赤外線吸収層の膜厚を相当薄くすることが好ましい。
また、一般式(1)で表されるジイモニウム系化合物、一般式(16)で表されるフタロシアニン系化合物、および一般式(17)で表されるジチオール金属錯体化合物の配合比は、この順で10:1:1〜1:1:1(重量比)とすると、近赤外線領域の波長を効率良く吸収するので好ましい。
近赤外線吸収物を本発明の電磁波シールド性光透過部材を構成する粘着剤中に含有させることにより、電磁波シールド層に電磁波と近赤外線を同時に遮断する機能が付与される。これによって、例えばプラズマディスプレイの表面パネルを構成する場合に、別層として設けられる近赤外吸収層を省くことが可能になるので、ディスプレイの薄型化にも寄与する。さらには、電磁波シールド部材の耐光性の向上も図られる。
本発明の電磁波シールド性光透過部材の粘着剤に色補正物を含むことも好ましい。色補正物は、ディスプレイ表示色の色バランスを補正するためのものであり、色補正用色素が通常用いられる。色補正色素は、例えばプラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットするものなどが挙げられる。色補正用色素としては、用途によって様々なものを用いることができるが、シアニン(ポリメチン)系、キノン系、アゾ系、インジゴ系、ポリエン系、スピロ系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、シアニン系等の色素が挙げられるがこれに限られたものではない。また、プラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットする目的であれば、シアニン系、ポルフィリン系、ピロメテン系などを用いることができる。
本発明の電磁波シールド性光透過部材の粘着剤にニュートラルグレーのNDフィルター機能を有する化合物を配合することも好ましい。
本発明の電磁波シールド性光透過部材は、少なくとも剥離フィルムの一方を剥がし、図2に示されるように、光学フィルターの透明基材5へ貼付されて光学フィルターとして使用されることが好ましい。
前記透明基材5は、電磁波シールド材を保持する目的のほか、プラズマディスプレイなどの光学フィルター本体に機械的強度を付与するものである。このため透明基材は高い剛性を有する透明材料で製造される。高い剛性の透明材料としては、例えば、ガラス、プラスチックス材が挙げられる。具体的には、強化または半強化ガラス、ポリカーボネート材、ポリアクリレート材を用いることが好ましい。透明基材の厚さは強度と重量のバランスから0.1mm〜10mmが好ましく、更に2〜5mmが好ましい。
本発明の光学フィルターが例えばプラズマディスプレイに適用される場合、光学フィルターはプラズマディスプレイパネルの破損防止、近赤外線カット、視認性向上等の光学機能と電磁波シールド機能を有する層を含むことが好ましい。また、機械的強度を付与することによりプラズマディスプレイ本体を保護する役割が付与されても良い。具体的には、光学フィルターには、ハードコート層、反射防止層、防眩機能層、色調補正層、NDフィルター層、近赤外線吸収層から選ばれる1つ以上の機能層が形成されることが好ましい。その他、帯電防止層や紫外線吸収層がさらに設けられてもよい。これらの層は任意の順序で積層することができ、同じ機能層を2層以上積層することもできる。
前記光学フィルターのハードコート層は、プラズマディスプレイなどの表面の傷つきを防止するものであり、活性エネルギー線硬化型または熱硬化型等の樹脂から形成することが好ましい。本発明では、塗膜の硬さを考慮して、活性エネルギー線(特に紫外線)硬化型の樹脂を用いることが好ましい。樹脂の組成としては、例えば、種々の(メタ)アクリレート類、光重合開始剤および必要に応じて有機溶剤を主成分とするコート剤により形成することが好ましい。種々の(メタ)アクリレート類としては、ポリウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、あるいは他の多官能(メタ)アクリレート類が好ましいものとして挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂のエポキシ基を(メタ)アクリル酸でエステル化し官能基を(メタ)アクリロイル基としたものであり、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることができる。また、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
前記ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、アジピン酸とエチレングリコールとの縮重合物等が挙げられる。
また前記ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
一方、水酸基を有する(メタ)アクリレート類としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリテート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
またイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類としては、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
さらに、他の多官能(メタ)アクリレート類は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものであり、分子内に3個以上のアクリロイル基を有するものが好ましいものとして挙げられる。他の多官能(メタ)アクリレート類を具体的に例示すると、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロイルキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロイルキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
また、前記ハードコート層を形成する際に用いられる光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ゲンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は2種以上を適宜併用することもできる。
また、有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−iso−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−iso−ブチル等のエステル類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類などが挙げられる。また、これらの有機溶剤を2種以上で混合して使用することもできる。
また、ハードコート層のコート剤には、上記成分の他、耐摩耗性向上のため、コロイド状金属酸化物、あるいは有機溶剤を分散媒としたシリカゾル等を加えることもできる。
前記ハードコート層は前記塗工液を塗工することにより得られる。
塗工法としては、バーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング法等の方法を用いることができる。
塗工液を塗工した後、溶剤を乾燥させ、コート剤を架橋硬化せしめることによってハードコート層が形成される。架橋硬化は、塗工剤が、紫外線、電子線等の活性エネルギー線硬化型であれば、活性エネルギー線を照射することにより行われる。活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線あるいは、通常20〜2000KeVの電子線加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。このようにして形成される傷つき防止層は、通常1〜50μm、好ましくは3〜20μmの厚みとされる。
前記反射防止層は、反射防止または反射低減機能を付与する層を意味し、表面反射を防ぎ、可視光線透過率を上げることを目的として設けられるもので、従来公知の反射防止層を形成する方法の何れの方法を用いて形成されてもよい。反射防止層を形成する方法としては、例えば、支持体の片面または両面に薄膜の低屈折率層、または屈折率の異なる多層薄膜を形成し、薄膜の表面反射光と界面における屈折反射光との光の干渉により反射率を低減する方法等が一般的な方法であり、具体的な層構成の例としては、屈折率1.2〜1.45の低屈折率層単層、屈折率1.7〜2.4の高屈折率層と低屈折率層を交互に組み合わせたものや、屈折率1.5〜1.9の中屈折率層と屈折率1.7〜2.4の高屈折率層と低屈折率層を組み合わせたものなどが挙げられる。
前記低屈折率層としては、MgF2(屈折率:約1.4)、SiO2(屈折率:約1.2〜1.5)、LiF(屈折率:約1.4)などの金属化合物や、3NaF・AlF3(屈折率:約1.4)、Na3AlF6(屈折率:約1.33)などの複合金属化合物を用いることができる。また、中屈折率層としては、Al2O3(屈折率:約1.65)、MgO(屈折率:約1.63)などの金属化合物やAl−Zr複合酸化物(屈折率:約1.7〜1.85)などの複合金属化合物を用いることができる。さらに、高屈折率層としては、TiO2(屈折率:約2.3)、ZrO2(屈折率:約2.05)、Nb2O5(屈折率:約2.25)、Ta2O5(屈折率:約2.15)、CeO(屈折率:約2.15)、Sb2O5、有機処理された銀化合物などの金属化合物やIn−Sn複合酸化物(屈折率:約1.7〜1.85)などの複合金属化合物を用いることができる。
これらの光学層は、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD法)、反応性スパッタリング法、イオンプレーディング法、電気メッキ法等、公知の手法用いて形成できる。
また、反射防止層を形成する際、前述の金属化合物または複合金属化合物からなる粒子をマトリックスに分散させたものを用いて層を形成しても良い。例えば、低屈折率層として、MgF2、SiO2等の低屈折微粒子を紫外線および電子線硬化型樹脂や珪素アルコキシド系のマトリックスに分散させたものを用いることができる。低屈折微粒子は多孔質であると屈折率がより低くなり好ましい。マトリックスに分散された低屈折微粒子により低屈折率層を形成する例を具体的に示すと、低屈折微粒子を含むマトリックスを、膜厚が0.01〜1μmになるように塗工し、必要に応じて、乾燥処理、紫外線照射処理、電子線照射処理を行う方法が挙げられる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法を用いることができる。
前記防眩機能層は、外光を乱反射させることにより視感反射率を低減させ、ギラツキを防止するものである。防眩機能層は、例えば、樹脂バインダーと微粒子を含む層から通常構成される。防眩機能層を構成するために用いられる微粒子としては、二酸化ケイ素、アクリル、ウレタン、メラミン等の粒径0.1〜10μm程度の微粒子等が挙げられる。また樹脂バインダーとしては、アクリル系などの樹脂を用いることができる。防眩機能層は、例えば、樹脂、粒子、溶剤などを含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法を用いることができる。また、防眩機能層は、樹脂バインダー層にエンボス加工を施すことによっても形成することができる。なお、前記微粒子を前記ハードコート層に混入したり、前記ハードコート層の表面にエンボス加工を施すことにより防眩機能を付与することも可能である。
前記色調補正層は、表示色の色バランスを補正するためのものであり、例えばプラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットするものなどが挙げられる。色調補正層は、樹脂バインダーおよび/または色補正用色素を含有してなる。
色調補正層に用いられるバインダー樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などの樹脂が挙げられる。
色補正用色素としては、用途によって様々なものを用いることができるが、シアニン(ポリメチン)系、キノン系、アゾ系、インジゴ系、ポリエン系、スピロ系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、シアニン系等の色素が挙げられるがこれに限られたものではない。また、プラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットする目的であれば、シアニン系、ポルフィリン系、ピロメテン系などを用いることができる。
色調補正層は、上記の樹脂バインダーおよび/または色補正用色素などを含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
また、色補正用色素を前記ハードコート層、防眩層、帯電防止層などに混入して用いても構わない。これにより、これらの層に色調補正機能が付与される。また、色調補正層に、近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を両方混入させても良い。
また、光学フィルターには、ニュートラルグレーのNDフィルター機能を有する層を設けても良い。NDフィルター層としては、透過率が40〜80%程度になるような層であれば何でも良く、公知の材料を公知の手法を用いて形成できる。プラズマディスプレイ、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような蛍光体を用いる表示装置では、塗布した蛍光体に電子線や紫外線を照射して蛍光体を発光させ、蛍光面を透過あるいは反射した光により表示を行う。蛍光体は一般に白色で反射率が高いため、蛍光面での外部光の反射が多い。そのため、外部光の写り込みによる表示コントラストの低下は、蛍光体を用いる表示装置において従来問題となっている。この問題は、NDフィルター層を設けることで低減できる。
前記近赤外線吸収層は、近赤外線吸収機能を有し、400〜800nmまでの波長領域の透過率が高く、800〜1200nm波長領域の透過率が低いものであればよい。近赤外線吸収層としては、例えば、樹脂バインダーに近赤外線吸収性の色素または顔料を混入させたものや、In−Sn複合酸化物などの近赤外線吸収性薄膜を用いることができる。このような近赤外線吸収剤としては、ジイモニウム系、フタロシアニン系、ジチオール金属錯体系、シアニン系、金属錯体系、金属微粉、金属酸化物微粉が挙げられ、樹脂も含めた組み合わせは自在であるが、本明細書の前段において電磁波シールド性光透過部材を構成する粘着剤に添加される近赤外線吸収物として詳細に記載した近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。
近赤外線吸収層に用いられるバインダー樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などの樹脂が挙げられる。
近赤外線吸収層は、上記材料を含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
また、近赤外線吸収剤を前記ハードコート層、防眩層、帯電防止層などに混入して用いても構わない。
さらに、必要であれば帯電防止層や紫外線吸収層が設けられてもよい。これら帯電防止層や紫外線吸収層に用いられる帯電防止剤、バインダー樹脂などは従来帯電防止層や紫外線吸収層を形成するために用いられている公知のものを用い、公知の方法で形成することができる。帯電防止剤や紫外線吸収剤は前記ハードコート層、防眩層、色調補正層、NDフィルター層、近赤外線吸収層などに混入して用いられてもよい。
光学フィルターには、プラズマディスプレイパネルなどに直接貼り付ける直張り光学フィルター、および高い剛性を有する透明基材へ貼り付けプラズマディスプレイパネルなどの前面に設置する透明基材付光学フィルターがある。本発明の電磁波シールド性光透過部材は、必要に応じ前記の1以上の機能層が設けられた直張り光学フィルターあるいは透明基材に貼付される。これにより、電磁波シールド機能を有する光学フィルターが形成される。電磁波シールド性光透過部材の貼付は、前記したように電磁波シールド性光透過部材の剥離フィルム1、4の一方を剥離し、露出した粘着剤層を光学フィルターの前記1以上の機能層が設けられた透明基材に重ね合わせ、加圧することにより行われる。電磁波シールド性光透過部材の電磁波シールド層の光学フィルターへの貼付は、光学フィルターの透明基材に直接接するように貼付することが好ましいが、前記機能層が設けられた面に貼付されてもよい。また前記機能層は、電磁はシールド層が光学フィルター基材に貼付された後に設けられてもよい。
また、本発明の電磁波シールド性光透過部材は、1枚の剥離フィルムを剥がし、露出した粘着層をプラズマディスプレイパネル等のディスプレイパネルへ直接貼付して電磁波シールド付ディスプレイパネルとして使用されることも好ましい。前記プラズマディスプレイパネルとは、プラズマディスプレイ部材の内で放電現象を利用して発光する発光体ユニットをいう。
さらに、本発明の電磁波シールド付プラズマディスプレイパネルなどのディスプレイパネルに、ハードコート層、反射防止層、防眩機能層、色調補正層、近赤外線吸収層などから選ばれる1つ以上の機能層を形成することも好ましい。これらの機能層は、本発明の電磁波シールド性光透過部材を用いてディスプレイパネルに電磁波シールド層を設けた後、さらにこの層の上に設けられてもよいし、本発明によりディスプレイパネル上に設けられた電磁波シールド層上に、前記機能層が設けられた光学フィルターを貼付することによって設けられてもよい。また前記機能層は電磁波シールド層とプラズマディスプレイパネルなどのディスプレイパネルの中間へ積層されていてもよい。
これまで、電磁波シールド性光透過部材、光学フィルター、本発明の電磁波シールド性光透過部材を利用して電磁波シールド層を形成されたプラズマディスプレイパネルなどのディスプレイパネルについて詳しく説明したが、以下に本発明の電磁波シールド性光透過部材の製造方法について説明する。
本発明の電磁波シールド性光透過部材の製造方法は、下記の工程(1)〜(7)を任意の順序で行い、かつ、活性エネルギー線照射を少なくとも1回行うことを特徴とする。
(1)金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付する工程。
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成する工程。
(3)前記金属箔または金属メッシュの表面を黒化処理する工程。
(4)基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤および金属メッシュ含んでなる積層体(以下、メッシュ付き粘着シートともいう。)の金属メッシュ面と、転写用支持体とを、粘着剤を介して貼付する工程。
(5)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する工程。
(6)下記(6a)または(6b)いずれかの工程。
(6a)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離することにより生じた金属メッシュの露出部と、新たな剥離フィルムとを、貼付する工程。
(6b)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離することにより生じた金属メッシュの露出部と、新たな剥離フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程。
(7)金属メッシュを粘着剤中へ埋め込む工程。
本発明においては、上記工程は任意の順で行われてよいが、通常、工程(1)、(2)、(4)、(5)、(6)、(7)はこの順で行われる。また工程(3)の金属箔の黒化処理は、通常工程(1)と(2)の間で、また工程(3)の金属メッシュの黒化処理は工程(2)と(4)の間で行われる。
本発明の電磁波シールド性光透過部材の製造方法においては、活性エネルギー線照射は少なくとも1回行われる。この活性エネルギー線の照射は、金属箔と基材フィルムとの間に設けられている活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力を弱め、金属メッシュを基材フィルムから剥離するための照射を少なくとも含むもので、基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤、および金属箔からなるメッシュ形成シートの基材フィルム側から活性エネルギー線を照射することを含む。この活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤への活性エネルギー線照射は、金属箔が基材フィルムに貼付された後、メッシュの剥離が行われるまでの如何なる時に行われても良く、また照射回数も任意であって良い。また、活性エネルギー線の照射は、各工程の処理と同時に行われても良いし、各工程とは別工程として行われても良い。すなわち、活性エネルギー線の照射は、工程の各段階や、転写シート貼り合せの前、同時または後の各工程で行われてもよく、この照射は複数回の照射とされても良い。
また、活性エネルギー線は基材フィルム側からの照射が必須であるが、これに加えメッシュ側から照射が行われてもよい。
本発明で用いられる活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、放射線等の電磁波が挙げられるが、本発明では紫外線が好ましい。紫外線照射は、メタルハライドランプや高圧水銀灯、無電極ランプ、キセノンランプ、半導体レーザー、Arレーザー、パルスUVランプ、発光ダイオードランプ等公知の光源を用いて行うことができる。
本発明での活性エネルギー線照射は1回若しくは複数回照射することができる。積算照射量は、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力を低下させることができる照射量であれば特に制限はないが、紫外線の場合には20〜3000mJ/cm2が好ましく、50〜2000mJ/cm2がより好ましい。20mJ/cm2未満の照射量では、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力を消失させることが通常難しく、3000mJ/cm2を超える照射は経済的に不利である。
以下、更に各工程について図3〜図7を参照しつつ説明する。(1)の工程は、具体的には、金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付したメッシュ形成シートを作製する工程である。
メッシュ形成シート10は、図3に例示されるように、例えば基材フィルム11、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12、金属箔13が積層された積層体からなる。前記メッシュ形成シート10を作製するために用いられる基材フィルム11は、電磁波シールド性光透過部材の電磁波シールド材である幾何学図形状の金属メッシュを金属箔からケミカルエッチングにより形成する際の支持体として用いられるものであり、可とう性であってもよいし、可とう性を有しないものであってもよい。この基材フィルムは、電磁波シールド性光透過部材を形成する工程でいずれ除去されるものである。このため、金属箔をケミカルエッチングする際にエッチング液に溶解してエッチングの邪魔をするなどの問題がなく、また活性エネルギー線を透過するものであればどのような材料であってもよいが、プラスチックであることが好ましい。プラスチックの材料としては、具体的には、前記電磁波シールド性光透過部材を構成する剥離フィルムの説明で、剥離フィルムを構成する樹脂として例示した樹脂などが挙げられ、価格や取り扱い性の面からPETフィルムが好ましいものである。
(1)の工程における活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12は、活性エネルギー線を照射することにより粘着力が低下する粘着剤であり、基材フィルム上に形成された活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12に金属箔13を重ね合わせ、圧力をかけることにより、金属箔と基材フィルムとを接着させるために用いられる。活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12としては、反応性官能基を有する弾性重合体、活性エネルギー線反応性化合物、光重合開始剤および硬化剤を含むものが好適に用いられる。また、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤には、公知の粘着付与樹脂(例えば、ロジンエステル)、無機微粒子化合物(例えば、平均粒子系20μm以下のシリカ化合物)、重合禁止剤(例えば、ヒドロキノン)、防錆剤、可塑剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。
上記活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を構成する反応性官能基を有する弾性重合体としては、アクリル系ポリマーおよびウレタン系ポリマーが好ましいものとして挙げられ、また反応性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、イソシアネート基等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(C)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合体、(D)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体を用いることができる。これらアクリル系ポリマーは公知の方法により合成することができる。アクリル系ポリマーは、粘着性を付与するために、ガラス転移点が10℃以下であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した。以下同様とする。)は、粘着力と凝集力のバランスの点から20万〜200万が好ましく、40〜160万がより好ましい。
上記共重合体を構成するために用いられる反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−4ヒドロキシブチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
また、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等が挙げられる。
一方、第2の接着または粘着剤に用いられるウレタン系ポリマーとしては、例えば、ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させて得られる末端水酸基のポリウレタンポリオールに、有機ポリイソシアネートを反応させて得られるポリマーが挙げられる。
上記ウレタン系ポリマーを製造する際に用いられるポリオールとしては、公知のポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールの酸成分してはテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられ、グリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、ポリオール成分としてはグリセリン、トチメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のものが用いられる。ポリエステルポリオールおよびポリエステルポリオールの重量平均分子量は1000〜5000が好ましく、更に2500〜3500が好ましい。重量平均分子量が1000以下のポリエステルポリオールおよびポリエステルポリオールでは反応が早く、ゲル化し易くなり、5000以上のポリエステルポリオールおよびポリエステルポリオールは反応性が低くなり凝集力も低くなる。ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させる際には、多価アミン類が併用されてもよい。
上記有機ポリイソシアネートとしては、公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイシシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、イソフォロンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。上記有機ポリイソシアネートには、上記有機ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等が併用されても良い。
ウレタン系ポリマーの重量平均分子量は、粘着力と凝集力のバランスの点から5,000〜300,000が好ましく、10,000〜200,000がより好ましい。
さらに、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を構成する活性エネルギー線反応性化合物としては、活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーやオリゴマーが挙げられる。これらは分子内に2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものであることが好ましい。活性エネルギー線反応性化合物の使用量は、アクリル系ポリマーまたはウレタン系ポリマー100重量部に対して20〜500重量部が好ましく、更に40〜300重量部が好ましい。20重量部に満たないときは活性エネルギー線照射後に粘着力低下が不足する恐れがあり、500重量部を超えると未反応分による汚染が生じる恐れがある。
上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができるが、本発明において上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーとして用いられる化合物はこれに限定されず、活性エネルギー線照射により3次元架橋する公知のモノマーの何れをも用いることができる。
また、上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するオリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましいものとして挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等と有機ポリイソシアネート、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート等や、それらの変性物や重合物とを反応させて得られる末端イソシアネートプレポリマーに、水酸基を有するアクリレートあるいはメタクリレート、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を反応させて得られるものを使用することができる。また末端イソシアネートプレポリマーにトリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の3〜4官能水酸基含有化合物を反応させて末端水酸基を増やした後、水酸基を有するアクリレートあるいはメタクリレートを反応させる方法で得られるものも挙げられるが、前記ウレタンアクリレートオリゴマーがこれらの方法によって得られたものに限定されるものではなく、公知の方法で合成されたウレタンオリゴマーの何れのものも使用することができる。ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量は500〜30,000が好ましく、更に600〜20,000が好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を2〜15個有することが好ましく、更に4〜15個有することが好ましく、特に6〜15個有することが好ましい。
また光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、2,4−ジエチルオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、ビスイミダゾール、β−クロールアントラキノンが挙げられるがこれらには限定されず、本発明では、公知の光重合開始剤の何れをも使用することができる。
また高分子量化光重合開始剤を用いて、光重合開始剤に対してエッチング液やアルカリ溶液等の薬液への耐溶出性を持たせることも好ましい。高分子量化光重合開始剤は、重量平均分子量1,000〜200万、より好ましくは3,000〜200万、さらに好ましくは5,000〜200万、特に好ましくは1万〜200万の高分子量化光重合開始剤であることが好ましい。重量平均分子量1,000〜200万の高分子量化光重合開始剤は、分子量が大きいため、薬液への溶出がない。重量平均分子量1,000未満のときは、薬液への光重合開始剤の溶出が生じる恐れがあり、200万を超えるときは粘度の面から合成が難しい。
高分子量化光重合開始剤は、反応性官能基を有する光重合開始剤を、前記反応性官能基と反応可能な官能基との反応を介してオリゴマーやポリマーへ化学的に結合させる、あるいは反応性官能基を有する光重合開始剤を前記反応性官能基と反応可能な官能基との反応を介して結合させたモノマーを重合するなどして高分子量化したものである。
反応性官能基を有する光重合開始剤中の反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基が挙げられる。水酸基を有する光重合開始剤としては、例えば1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンや、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等が挙げられる。カルボキシル基を有する光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン−2−カルボン酸等が挙げられる。反応性官能基を有する光重合開始剤の中では、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが好ましい。
高分子量化光重合開始剤の合成方法としては、例えば水酸基を有する光重合開始剤の水酸基を多塩基酸無水物(例えば、無水ピロメリット酸)の2つの酸無水環と反応させ、残存する2つのカルボキシル基をさらにビスフェノールAの両末端のグリシジル基と反応させて、多段階で高分子量化する方法が挙げられる。また、2個の水酸基または2個のカルホキシル基を有する光重合開始剤に対して、前者へは2官能の有機酸(例えば、アジピン酸)、後者へは2官能のポリオール(例えば、エチレングリコール)を反応させて、ポリエステルを合成することでポリマー主鎖へ光重合開始剤を組み込む方法も挙げられる。
また、他の合成方法として、予め水酸基を有する光重合開始剤の水酸基を炭素−炭素二重結合とイソシアネート基を有する化合物(例えば、2−メタクリロイルオキシイソシアネート)のイソシアネート基と反応させて光重合開始剤含有モノマーを合成し、それを他のモノマーと共重合して高分子量化光重合開始剤を合成する方法、炭素−炭素二重結合を有する酸無水物(例えば、無水マレイン酸やイタコン酸無水物等)の酸無水環と水酸基を有する光重合開始剤を反応させてから他のモノマーと共重合する方法、炭素−炭素二重結合とカルボキシル基を有する化合物(例えば、アクリル酸やメタクリル酸等)と水酸基を有する光重合開始剤を反応させてから他のモノマーと共重合する方法が挙げられる。また、カルボキシル基を有する光重合開始剤を炭素−炭素二重結合を有するエポキシ化合物(例えば、グリシジルメタクリレート)と反応させてから他のモノマーと共重合する方法が挙げられる。
高分子量化光重合開始剤としては、反応性官能基を有する光重合開始剤と、前記反応性官能基と反応可能な官能基を有する重量平均分子量3,000〜200万の高分子量化合物とを反応させてなるもの、つまり光重合開始剤を高分子量化合物へグラフトしたものがエッチング液等の薬液への溶出が少ないため好ましい。
光重合開始剤を高分子量化合物へグラフトする方法としては、例えばイソフォロンジイソシアネートの一方のイソシアネート基と水酸基を有する光重合開始剤を反応させてからもう一つのイソシアネート基を高分子量化合物側の水酸基と反応させる方法、水酸基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側のイソシアネート基と反応させる方法、水酸基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側の酸無水環と反応させる方法、カルボキシル基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側のグリシジル基と反応させる方法、カルボキシル基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側の水酸基と反応させる方法が挙げられるが、これらに限定されない。
光重合開始剤をグラフトする高分子量化合物は、重量平均分子量が3,000〜200万であることが好ましく、アクリル系ポリマーまたはウレタン系ポリマーであることが好ましい。アクリル系ポリマーは重量平均分子量3,000〜200万であることが好ましい。重量平均分子量3,000未満のときは合成時の分子量制御が難しく、200万を超えるときは粘度の面から合成が難しい。ウレタン系ポリマーは重量平均分子量2,000〜20万であることが好ましい。重量平均分子量が2,000未満のときは合成時の分子量制御が難しく、20万を超えるときは粘度の面から合成が難しい。
本発明の活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤においては、光重合開始剤と増感剤を併用することも好ましい。増感剤としては例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N‘N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどが挙げられるが特に限定せず、公知の増感剤の何れをも使用することができる。
また硬化剤は、反応性官能基を有するアクリル系ポリマーと反応して粘着剤に凝集力を付与するものであり、反応性官能基に対して反応性を持つイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジニル系化合物等の公知の多官能化合物が使用できる。硬化剤の使用量は、アクリルモノマーの種類や粘着力を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する接着力が小さくなりやすいので好ましくない。
上記イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートや、それらのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等が挙げられる。
またエポキシ化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンジルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メタキシレンジアミンテトラグリシジルエーテル、およびその水添化物等が挙げられる。
アジリジニル系化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
メッシュ形成シート10の製造方法としては、例えば、図4に示されるような、基材フィルム11、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12、剥離フィルム6からなる積層体7(電磁波シールド材を含まない。以下、粘着シートという。)を作製し、この粘着シート7から剥離フィルム6を剥がし、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤層面と金属箔とを重ね合わせ、金属箔の貼り合わせを行う方法が挙げられる。この方法は、粘着シート7を作成した後に粘着剤層と金属箔とを貼り合わせる方法であり、金属箔との貼り合わせは活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤に使用される硬化剤の架橋が終了した後に行われることとなる。
粘着シート7を作製する方法を例示すると、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
1つ目は、基材フィルムに直接、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布して剥離フィルムを貼り合わせる方法である。
2つ目は、剥離フィルム上に活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布し、基材フィルムと貼り合わせる方法である。
メッシュ形成シート10の製造方法としては、前記方法に加えて、基材フィルム11の片面に活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12を塗布し、さらに金属箔13を貼り合わせる方法(塗工時金属箔ラミネート法)が挙げられる。この塗工時金属箔ラミネート法は剥離フィルムを使用せず、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤に使用される硬化剤の架橋開始直後に金属箔を貼り合わせるため、粘着剤の流動性が高く、金属箔との密着性が前述の方法と比較して非常に高い。そのためマイクロリソグラフ法によるメッシュ形成工程中において、エッチング液やレジスト剥離液等の薬液が粘着剤と金属箔との界面に浸入することで生じる金属箔の剥がれが起こりにくい。また、この塗工時金属箔ラミネート法では、後工程における剥離フィルム6のラミネートが不要となることから、工程の簡略化による低コスト化、および剥離フィルム未使用による低コストが図られる。
塗工時金属箔ラミネート法においては、金属箔と粘着剤層が充分な密着を得るために必要に応じて加温、加圧、または真空のような条件を単独若しくは2種類以上併用してラミネ平板プレス法によって行われても良い。
活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の塗布方法としては、コンマコート、リップコート、カーテンコート、ブレードコート、グラビアコート、キスコート、リバースコートおよびマイクログラビアコート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の厚みは、0.5μm〜50μm程度であることが好ましい。粘着剤の厚みが0.5μm未満であると十分な接着性が得られず、また50μmを越えると経済的に不利である。
前記(2)の工程は、具体的には金属箔にフォトリソグラフ法などによって電磁波シールド材である金属メッシュを形成し、レジストの剥離・中和を行う工程である。なお、金属メッシュ形成シートの金属箔に幾何学図形等のメッシュを形成する方法は前述した通りである。この工程で得られた金属メッシュが形成されたメッシュ形成シート15を図5に示す。図5において、11は基材フィルムであり、12は活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤であり、3は電磁波シールド材である金属メッシュを示す。
(3)の工程は、金属箔または金属メッシュに黒化処理を施す工程である。黒化処理は、プリント配線板分野で行われている公知の方法により、黒化処理液を用いて行うことができる。(3)の工程では、金属箔の上面または金属メッシュの上面および側面を黒化処理することができる。金属箔として銅箔を用いる場合、黒化処理は、例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/リットル)、水酸化ナトリウム(15g/リットル)、燐酸三ナトリウム(12g/リットル)などの水溶液中、95℃で2分間処理することにより、行うことができる。ただし、予め黒化処理された金属箔を使用したときは、(3)工程は(1)工程の前になされているから、(2)工程のあとの(3)工程は省略しても良い。
(4)の工程は、2枚の剥離フィルム1、8を、粘着剤2を介して貼付したもの(以下、転写シートという。)の片面の剥離フィルムを剥がし、メッシュ形成シートの金属メッシュ面と貼り合わせる工程である。図6に転写シートを示す。転写シート9は、剥離フィルム1に粘着剤を塗布し、当該粘着剤2面に新たな剥離フィルム8を貼付することで作製できる。剥離フィルム1上に粘着剤2を塗布する方法としては、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布する方法と同様に公知の方法を用いることができる。粘着剤は電磁波シールド性光透過部材において説明した粘着剤であり、前述した通り、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、アミノ基の少なくとも1種類以上の反応性官能基を有するアクリル系ポリマー、および前記反応性官能基と反応しうる硬化剤からなる、活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いることもできる。
転写シート9と金属メッシュが形成されたメッシュ形成シート15との貼り合わせは、転写シートの一方の剥離フィルム8を剥がし、露出した粘着面をメッシュ形成シート15のメッシュに貼り合わせることで行われる。なお、貼り合わせにはラミネーターを用いることが好ましい。
(5)の工程は、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する工程である。図7に、金属メッシュ3を剥離する過程を示す。剥離工程前に基材フィルム側から活性エネルギー線が照射されて、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12の粘着力は低下されている。この活性エネルギー線の照射は、転写シートが金属メッシュに貼り付けられる前でも、貼り付けられた後でもよい。活性エネルギー線照射によって活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力が十分に低下していれば、金属メッシュから形成された電磁波シールド材3から基材フィルム11と活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤12を容易に剥がすことができる。剥がされた金属メッシュ3は、転写シートの粘着剤層に担持される。金属メッシュを剥離する際には、金属メッシュの幾何学図形形状の外周に設けた導電性の額縁部を基準にして基材フィルムを剥離する。
(6)の工程は、基材フィルムを金属メッシュから剥離した剥離面と、新たな剥離フィルムとを貼付する工程(6a)または新たな剥離フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを貼付する工程(6b)である。工程(6a)により張り合わされた新たな剥離フィルムと金属メッシュが形成されたメッシュ形成シートを図8aに、また工程(6b)により張り合わされた新たな剥離フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面と金属メッシュが形成されたメッシュ形成シートを図9aに示す。これにより、2枚の剥離フィルム1、21間に電磁波シールド材である金属メッシュ3が挟まれた状態となる。
以下では、基材フィルムを金属メッシュから剥離する剥離面と、新たな剥離フィルムとを貼り合わせ、金属メッシュを粘着剤層に埋め込む方法を、一層埋め込み法といい、基材フィルムを金属メッシュから剥離する剥離面と、新たな剥離フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを貼り合わせ、金属メッシュを粘着剤層に埋め込む方法を、二層埋め込み法という。二層埋め込み法における新たな剥離フィルム上に粘着剤を塗布した積層体は、剥離フィルム上に粘着剤を塗工したものでもよいし、転写シートの片面の剥離フィルムを剥がしたものでもよい。なお、一層埋め込み法または二層埋め込み法における貼り合わせには、前述した任意の貼り合せ法を用いることができる。例えば、加熱・加圧による方法、ロール加圧法あるいは平板プレス法、ラミネーターによる方法などである。
(7)の工程は、2枚の剥離フィルム間の金属メッシュを粘着剤に埋め込む工程である。メッシュを粘着剤中へ埋め込む方法としては、前記の一層埋め込み法および二層埋め込み法などがある。加熱温度、加圧圧力を制御することにより、(7)の工程と(6)の工程が同時に行われても良い。一層埋め込み法の実施の形態を図8に、二層埋め込み法の実施の形態を図9に示す。
図8に示す一層埋め込み法では、メッシュ3を転写した転写シートの金属メッシュ面に新たな剥離フィルム4を貼り合わせ(図8(a))、更にラミネーターで加熱、加圧を行うことにより、転写シート側の粘着剤2中へメッシュ3が埋め込まれる(図8(b))。メッシュを埋め込む際の条件は、メッシュへ粘着剤を流動させる必要から加熱を行うことが好ましく、加熱温度は例えば20〜150℃が好ましく、より好ましくは40〜130℃、更に好ましくは60℃〜120℃である。加熱が20℃未満のときは粘着剤の流動性が悪く、150℃を超えると粘着剤の変質や過剰流動による液だれの懸念が生じる。加圧は1〜50kg/cm2が好ましく、より好ましくは1〜30kg/cm2、更に好ましくは1〜20kg/cm2である。加圧が1kg/cm2未満のときは粘着剤の流動性が悪く、50kg/cm2を超えるとメッシュ変形の恐れが生じる。加熱、加圧条件、粘着剤層の膜厚などの調整により、図1(a)〜(c)の状態を選択できる。
メッシュの埋め込みは、メッシュ3が粘着剤層2中へ完全に埋め込まれていても(図1(d)、図8(b)参照)、メッシュ3の新たな剥離フィルム側の面が粘着材層2から露出していても良い(図1(a)、図1(b)、図1(c)参照)。用いる転写シートの粘着剤層2の厚さはメッシュ3の厚みより厚いことが好ましい。メッシュを形成する金属箔の厚さが0.5〜40μmであるため、粘着剤層2は好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜200μ、更に好ましくは5〜100μmの厚さに塗布、形成されればよい。厚さが5μm未満のときは埋め込み性が悪く、300μmを超えると経済的に不利である。
二層埋め込み法では、メッシュが転写された転写シートの金属メッシュ3面に、剥離フィルム4上に粘着剤層2が形成された新たな粘着シートの粘着面を貼り合わせる(図9(a))。その際ラミネーターで加熱、加圧を行うことにより、貼り合わせと同時にメッシュ3の埋め込みを行うことが好ましい(図9(b))。本方法に用いる転写シートの粘着剤の厚みは、転写シートの粘着層2と新たな粘着シートの粘着層2の厚みの合計が、メッシュの厚みより厚いことが好ましい。厚みの合計は好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜200μ、更に好ましくは5〜100μmの厚さである。本方法ではメッシュは粘着剤中へ完全に埋め込まれる。なお、二層埋め込み法においては、金属メッシュが担持された粘着剤層と新たな粘着シートの粘着剤層を構成する粘着剤は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
その他の方法として、一層埋め込み法の後に、第二剥離フィルム4を剥がし、更に剥離フィルム上に粘着剤が塗布された第3の粘着シートの粘着面を貼り合わせる方法が挙げられる。この方法によれば、電磁波シールド材である金属メッシュが粘着剤中に更に埋め込まれる。
一層埋め込み法と二層埋め込み法のいずれを用いるかによって、粘着剤を使い分けることもできる。一層埋め込み法においては、活性エネルギー線硬化型粘着剤を好ましく用いることができる。また、二層埋め込み法においては、一層目の剥離フィルムに塗工する粘着剤として前述した任意の粘着剤を用い、第2の剥離フィルムの粘着剤として活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いることも好ましい。
(7)の工程による電磁波シールド層の埋め込みの程度によって、粘着剤による電磁波シールド材の被覆状態が異なる。電磁波シールド材が粘着剤に覆われている状態や電磁波シールド材の一部が粘着剤から露出している状態となる。いずれの状態であっても本発明の効果を発揮することができる。
以上説明したように、(1)から(7)の工程によって、本発明の電磁波シールド性光透過部材を製造することができる。製造された電磁波シールド性光透過部材は、2枚の剥離フィルム間に、粘着剤と電磁波シールド材を含有することとなる。
本発明の電磁波シールド性光透過部材は、ディスプレイ、特にプラズマディスプレイの電磁波シールド用に使用されることが好ましい。電磁波シールド性光透過部材は片面が透明基材やプラズマディスプレイパネル側に貼付され、もう一方の面はハードコート層や近赤外吸収層等が形成されたフィルムへ貼付されることが好ましい。また透明材料等に代えて前記のハードコード層などが形成されたフィルムへ貼付されることも好ましい。