JP2004014538A - シールド材 - Google Patents
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Abstract
【課題】構成が簡易であると共に、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材を提供する。
【解決手段】透明基材10と、透明基材10の上に形成された第1粘着層12と、第1粘着層12の上に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14と、樹脂層14の上にパターン化されて形成された金属層16aと、金属層16aのパターン及び樹脂層14の上に第2粘着層12aを介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層20とを含む。
【選択図】 図5
【解決手段】透明基材10と、透明基材10の上に形成された第1粘着層12と、第1粘着層12の上に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14と、樹脂層14の上にパターン化されて形成された金属層16aと、金属層16aのパターン及び樹脂層14の上に第2粘着層12aを介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層20とを含む。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシールド材に係り、さらに詳しくは、PDP(プラズマディスプレイ)などから漏洩する電磁波などを遮断するシールド材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、広い視野角をもち、表示品質がよく、大画面化ができるなどの特徴をもつPDP(プラズラディスプレイ)は、マルチメディアディスプレイ機器などに急速にその用途を拡大している。
【0003】
PDPは気体放電を利用した表示デバイスであり、管内に封入されている気体を放電によって励起して、紫外領域から近赤外線領域に至るまで広い波長の線スペクトルを発生する。PDPの管内には蛍光体が配置されており、この蛍光体は紫外線領域の線スペクトルで励起されて可視領域の光を発生する。近赤外領域の線スペクトルの一部はPDPの表面ガラスから管外に放出される。
【0004】
この近赤外領域の波長はリモートコントロール装置及び光通信などで使用される波長(800nm〜1000nm)に近く、それらの機器をPDPの近傍で動作させた場合、誤動作を起す恐れがあるので、PDPからの近赤外線の漏洩を防止する必要がある。
【0005】
また、PDPの駆動によりマイクロ波や超低周波などの電磁波が発生し、わずかではあるが外部に漏洩する。情報機器装置などにはそれらの電磁波の許容漏洩値が定められているので、電磁波の漏洩を規定値以下に抑える必要がある。
【0006】
また、PDPは表示画面が平滑であることから外部からの光が表示画面に入射するときに入射光が反射して画面のコントラスト比が低下するため、外部からの入射光の反射を抑える必要がある。
【0007】
これらの目的で、PDPの表示画面の前方にシールド材が配置されている。
【0008】
従来のシールド材の製造方法は、まず、金属箔が貼着されたプラスチックフィルムを用意する。すなわち、金属箔は一般にその厚みが10μm程度の薄いものであるので、金属箔の取り扱いを容易にするために金属箔をプラスチックフィルム上に貼着して剛性をもたせる。その後、金属箔を備えたプラスチックフィルムを剛性の強いガラス基板などに貼着した状態で金属箔をパターニングして金属メッシュを形成する。
【0009】
次いで、近赤外線吸収機能などを備えたプラスチックフィルムをガラス基板に貼着するなどしてシールド材を製造していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のシールド板は、金属箔の取り扱いを容易にするために金属箔とプラスチックフィルムとが一体化された状態で製造されるため、シールド材にはプラスチックフィルムが残存することになる。プラスチックフィルムは、透明のガラス基板に比べると、光の透過率が低く、かつヘイズ(曇り度)が高い。
【0011】
従って、プラスチックフィルムが残存するシールド材は、シールド材の光の透過率が低くなり、かつヘイズ(曇り度)が高くなるため、シールド材によりPDPの表示特性が悪くなるという問題がある。
【0012】
また、近赤外線を吸収するために近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムが設けられていることから、シールド材の構成が複雑になると共に、シールド材の光の透過率がさらに低くなり、ヘイズ(曇り)がさらに高くなってしまうという問題がある。
【0013】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、構成が簡易であると共に、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明はシールド材に係り、透明基材と、前記透明基材の上に形成された第1粘着層と、前記第1粘着層の上に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と、前記樹脂層の上にパターン化されて形成された金属層と、前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に第2粘着層を介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明のシールド材は、シールド材にプラスチックフィルムが極力残存しないように工夫されたものである。すなわち、例えば、本発明のシールド材は、まず、金属箔の取り扱いを容易にするために、剥離層を備えたプラスチックフィルム上に第1粘着層と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と金属箔とが形成され、その後金属箔がパターニングされて金属層のパターンが形成される。そして、プラスチックフィルムの剥離層と第1粘着層との界面で剥離され、第1粘着層、樹脂層及び金属層のパターンがガラス基板などの透明基材上に転写されて形成される。
【0016】
このため、シールド材には金属箔の取り扱いを容易にするために基材として利用されたプラスチックフィルムが残存しない。
【0017】
しかも、樹脂層に近赤外線を吸収する色素材を含ませるなどして赤外線吸収機能をもたせたので、従来技術と違って近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを特別に形成する必要がない。
【0018】
以上のように、本発明のシールド材は、金属箔の基材又は近赤外線吸収層としてのプラスチックフィルムが残存しないようにしたので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いものとなる。このため、本発明のシールド材がPDPの表示画面に設置される際、PDPの表示特性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明のシールド材を製造する観点からは、金属箔は剛性が比較的強いプラスチックフィルムに貼着された状態でロールツーロール法によりパターニングされると共に、近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを特別に形成する必要がないため、その製造が容易になって製造コストを低減させることができる。
【0020】
本発明のシールド材は、上記した製造方法の他に、粘着層と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と金属箔とがプラスチックフィルムから透明基材上に転写された後に、金属層がパターニングされるようにして製造してもよい。
【0021】
あるいは、金属箔がロールツーロール法を用いてパターニングされる工程などにおいて、粘着層がロールに巻かれるときなどに粘着層に打痕不良が発生する場合があるため、金属箔をパターニングした後に、粘着層を新たな粘着層に替えるようにして製造してもよい。これにより、シールド材の粘着層は打痕不良がないものとなり、シールド材の品質をさらに向上させることができる。
【0022】
上記したシールド材において、前記樹脂層は所定波長の近赤外線を吸収する機能をもっており、前記第2粘着層又は前記フィルタ層は、前記樹脂層が吸収する波長の赤外線とは異なる波長の近赤外線を吸収する機能を備えているようにしてもよい。
【0023】
広範囲の近赤外線を吸収させるために樹脂層に多数の色素材を含ませる場合、触媒作用などにより樹脂層の近赤外線遮断性や色目といった光学特性の劣化が生じる場合が想定される。かかる不具合を解消するため、樹脂層に特定の波長の近赤外線を吸収する色素材を最低限含ませ、かつ樹脂層が吸収できない波長の近赤外線を粘着層又はフィルタ層などで吸収させるようにする。
【0024】
このようにすることにより、近赤外線吸収機能をもたせた樹脂層の光学特性の劣化が防止され、かつ広範囲の波長の近赤外線を吸収することができるようになり、シールド材の性能と信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、上記問題を解決するため、本発明はシールド材に係り、一方の面が表示装置の表示画面に貼着される第1粘着層と、前記粘着層の他方の面に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と、前記樹脂層の上にパターン化されて形成された金属層と、前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に第2粘着層を介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層とを有することを特徴とする。
【0026】
一つの好適な態様では、本発明のシールド材は、PDPの表示画面に貼着される前には、第1粘着層の一方の面がセパレータに貼着されており、このセパレータが剥離されて本発明のシールド材が得られる。そして、このシールド材の第1粘着層の露出面がPDPの表示画面に貼着される。
【0027】
このようにしても、上記したシールド材と同様に、PDPの表示画面に貼着されたシールド材には金属箔の基材又は近赤外線吸収層としてのプラスチックフィルムが残存しないので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材となる。また、ガラス基板などの透明基材を必要としないためシールド材の構成が簡易となり、製造コストを低減させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
最初に、本発明の実施の形態のシールド材の製造方法を説明する。
【0030】
1.シールド材の第1の製造方法
図1(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第1の製造方法を示す概略断面図、図5(a)は本発明の第1実施形態に係るシールド材を示す概略断面図、図6は本発明の第1実施形態に係る第1のシールド材の変形例を示す概略断面図である。
【0031】
まず、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程を説明する。プラスチックフィルムの一例としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム30aを用意する。このPETフィルム30aの一方の面には膜厚が例えば1μmのシリコーン層30b(剥離層)が形成されている。
【0032】
このシリコーン層30bの形成方法は、まず、シリコーン(信越化学工業社製:KS−3703)が100重量部、触媒(CAT−PL−50T)が1重量部及び溶剤(トルエン)499重量部の割合で混合して、合計600重量部の処理液を作成する。続いて、この処理液をバーコータでPETフィルム30a上に塗布し、120℃、30秒の条件下で熱処理を行うことにより、シリコーン層30bが形成される。このシリコーン層30bが一方の面に形成されたプラスチックフィルム30aを、以下、セパレータ30という。
【0033】
その後、セパレータ30のシリコーン層30bが形成された面に膜厚が例えば10〜50μm、好適には25μm程度の第1粘着層12を形成する。
【0034】
次いで、第1粘着層12上に赤外線吸収機能を備えた樹脂層14を形成する。本発明の実施形態のシールド材の特徴の一つは、シールド材の中に光の透過率が低くかつヘイズ(曇り度)が高いプラスチックフィルムが極力残存しないようにようにすることである。このため、本実施形態では後工程で近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを貼着するのではなく、樹脂層14自体に近赤外線吸収機能をもたせるようにしている。
【0035】
次に、この赤外線吸収機能を備えた樹脂層14の形成方法を説明する。まず、近赤外線吸収剤として色素材(日本触媒社製:Tx−EX811K)が1重量%、アクリル樹脂(三菱レーヨン社製:ダイヤナール BR−80)が2重量%、トルエンが3重量%、メチルエチルケトンが3重量%の割合で混合した混合液を攪拌して塗布液を作成する。
【0036】
その後、この塗布液をロールコーティング法などにより第1粘着層12上に塗布した後、例えば50℃程度の雰囲気で48時間放置する。これにより、第1粘着層12上に赤外線吸収機能を備えた樹脂層14が形成される。このようにして得られた樹脂層14は、PDPから放出される820nm付近のスペクトルを吸収することができる。
【0037】
あるいは、まず、近赤外線吸収剤として色素材(日本化薬社製:Kayasorb IRG−022)が1重量%、共重合ポリエステル樹脂が2重量%、メチルエチルケトンが3重量%、トルエンが3重量%の割合で混合した混合液を攪拌して塗布液を作成する。その後、この塗布液をロールコーティング法などにより第1粘着層12上に塗布した後、例えば50℃程度の雰囲気で48時間放置することにより、赤外線吸収機能を備えた樹脂層14を形成してもよい。このようにして得られた樹脂層14は、PDPから放出される850〜1200nmのスペクトルを吸収することができる。
【0038】
色素材として上記したものを例示したが、フタロシアニン系又は金属錯体系などのさまざまな色素材を使用することができる。
【0039】
なお、色素材の色調により最大吸収波長が異なるため、色素材の種類は、シールド材の特性に合わせて適宜調整される。例えば、1種の色素材を使用してもよいし、また近赤外領域の広い範囲の光を吸収させるために複数の異なる色素材を使用してもよい。近赤外線領域のうち、特にリモートコントローラ装置や光通信に使用されている820nm、880nm及び980nmなどの波長を最大吸収波長とする色素材を少なくとも含むようにすることが好ましい。
【0040】
樹脂層14には所定範囲の波長の近赤外線を吸収できるように複数の色素材が含まれるようにすることが好ましいが、樹脂層14が複数の色素材を含むようにすると触媒効果などによってその耐久性が悪くなる場合が想定される。つまり、経時と共に樹脂層14の近赤外線遮断性や色目といった光学特性の変化が生じてしまう場合がある。
【0041】
このため、樹脂層14には耐久性が悪くならない程度に1種又は数種の色素材が含まれるようにし、後で説明する第2粘着層又はPET製反射防止層に樹脂層14が吸収できない波長の近赤外線を吸収する色素材を含ませるなどして広範囲の波長の近赤外線を吸収するようにしてもよい。
【0042】
さらには、樹脂層14に可視領域の波長を吸収する色素を含ませて透過色や物体色などを補正する色補正機能をもたせるようにしてもよい。例えば、カラーPDPでは放電にキセノンとネオンの混合ガスが用いられ、ネオンのオレンジ色の発光がPDPのカラー表示性能を低下させる一因となる。このため、例えば、ネオンの発光を抑える色素材を樹脂層14の中に含ませることによりPDPのカラー表示の色補正を行うことができる。
【0043】
次いで、膜厚が例えば10μmの銅箔16(金属箔)を用意する。この銅箔16の光沢面を、例えば、ピロリン酸銅水溶液とピロリン酸カリウム水溶液とアンモニア水溶液との混合液に浸漬し、電流密度5A/dm2の条件下で、10秒間、電解めっきを行うことにより黒化処理する。
【0044】
続いて、第1粘着層12及び樹脂層14が形成されたセパレータ30の上に銅箔16の黒化処理された面が樹脂層14側になるようにしてに配置した後、例えば、80℃、20秒の条件でベークし、その後5kg/cm2の条件下で加圧することにより樹脂層14と銅箔16とを貼着する。
【0045】
これにより、図1(a)に示すように、セパレータ30上に、下から順に、第1粘着層12と近赤外線吸収機能を有する樹脂層14と銅箔16とが積層された構造体が得られる。セパレータ30と銅箔16の間には樹脂層14ばかりではなく第1の粘着層12が形成されているので、セパレータ30の剛性を強くすることができる。
【0046】
次いで、図1(b)に示すように、ロールツーロール法により、銅箔16上にレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクにして、塩化第2鉄水溶液をスプレー状にして銅箔16に吹きかけて銅箔をエッチングすることにより、銅層パターン16a(金属層のパターン)を例えばメッシュ状に形成する。
【0047】
このとき、セパレータ30と銅箔16との間には第1粘着層12が存在し、それが存在しない場合に比べ剛性が強くなっているので、スプレー状のエッチング液の圧力に耐えることができ、安定して銅箔16をエッチングすることができる。また、銅箔16をエッチングした後に、第1粘着層12が露出する構造の場合、エッチング液により第1粘着層12が透明から黄色に変色してしまう。本実施形態では、第1粘着層12の上に硬化した樹脂層14が存在するので、このような不具合が起こらず、粘着層の12の透明度を保つことができる。
【0048】
その後、銅層パターン16aを亜塩素酸ソーダ水溶液とカセイソーダ水溶液との混合液により化成処理することにより、銅層パターン16aの露出面を黒化処理する。銅箔16の樹脂層14側の面が上記した工程で既に黒化処理されているので、この工程が終了した時点で、銅層パターン16aの両面及び側面が全て黒化処理されたことになる。
【0049】
このようにして、図1(b)に示すように、セパレータ30上に、第1粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32が形成される。
【0050】
次いで、図1(c)に示すように、セパレータ30と第1粘着層12との界面を剥離する。このとき、シリコーン層30bと第1粘着層12との密着強度が、シリコーン層30bとPETフィルム30aとの密着強度より弱くなるようにしているため、セパレータ30と第1の粘着層12との界面で容易に剥離することができる。
【0051】
その後、図1(d)に示すように、一方の面の周縁部に黒枠層22が形成されたガラス基板10(透明基板)を用意する。続いて、第1粘着層12の露出面をガラス基板10の黒枠層22が形成されていない面に貼着する。これにより、ガラス基板10上に、下から順に、第1の粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32が転写されて形成される。
【0052】
次いで、図5に示すように、銅層パターン16a及び樹脂層14上に紫外線(UV)吸収機能を備えた第2粘着層12aを周縁部の銅膜パターン16aが露出するようにして形成する。
【0053】
その後、第2の粘着層12a上にPETフィルムの一方の面に反射防止層を形成するなどして作成したPET製反射防止層20を形成する。
【0054】
なお、前述したように、樹脂層14の耐久性を向上させるために樹脂層14に1種又は数種の色素材を添加するようにする場合、第2粘着層12a又はPET製反射防止層20の他方の面に、樹脂層14が吸収できない波長の近赤外線を吸収する色素材が含まれるようにしてもよい。
【0055】
例えば、上記した820nm付近のスペクトルを吸収する樹脂層14を用いる場合、第2粘着層12a又はPET製反射防止層20に850〜1200nmのスペクトルを吸収する色素材を含ませるようにする。また、上記した850〜1200nmのスペクトルを吸収する樹脂層14を用いる場合、第2粘着層12a又はPET製反射防止層20に820nm付近のスペクトルを吸収する色素材を含ませるようにする。
【0056】
以上により、第1の製造方法により製造された第1実施形態のシールド材26が完成する。
【0057】
本実施形態のシールド材26は、ガラス基板10の一方の面に、下から順に、第1の粘着層12、近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14及びメッシュ状の銅層パターン16aが形成されている。この銅層パターン16aは、両面及び側面の全ての面が黒化処理されて金属光沢が消されて黒系の色を呈するようになっている。
【0058】
さらに、銅層パターン16a及び樹脂層14上には第2粘着層12aを介してPET製反射防止層20(フィルタ層)が形成されている。
【0059】
第2粘着層12a及びPET製反射防止層20は、周縁部の銅層パターン16aが露出するように形成され、ガラス基板10の周縁部に形成された銅層パターン16aは、帯電防止のためPDPの接地回路に接続される。
【0060】
ガラス基板10の他方の面の周縁部には黒枠層22が形成されている。なお、黒枠層22が、ガラス基板10の第1粘着層12側の面の周縁部に形成された形態としてもよく、又は黒枠層22を省略した形態にしてもよい。
【0061】
本実施形態のシールド材26はこのような構成になっており、ガラス基板10の黒枠層22側の面がPDPの表示画面側になり、またガラス基板10の第1粘着層12側の面がPDPを操作する人側になるようにしてPDPに配置される。そして、ガラス基板10の周縁部の銅層パターン16aがPDPの筐体の接地端子に電気的に接続される。銅層パターン16aは良導体なので、PDPの表示画面から放出されるマイクロ波や超低周波などの電磁波を遮断することができる。
【0062】
本実施形態のシールド材26は、シールド材26の中に光の透過率が低く、ヘイズ(曇り度)が高いPETフィルムが極力残存しないように工夫されたものである。すなわち、透明性が高い樹脂層14に近赤外線吸収機能や色補正機能をもたせるようにしたことで、従来技術と違って赤外線吸収機能を備えたPETフィルムを特別に設ける必要がない。
【0063】
しかも、本実施形態のシールド材26では、セパレータ30上に形成された第1粘着層12と樹脂層14と銅層パターン16a(又は銅箔16)とからなる転写体32(又は32a)がガラス基板10上に転写されることに基づいて製造されるため、シールド材26には銅箔の基材として利用されたPETフィルムが残存しない。
【0064】
このように、本実施形態のシールド材26はプラスチックフィルムを極力含まない構成とすることができるので、シールド材の光の透過率が上がり、ヘイズ(曇り度)を低くすることができる。
【0065】
また、本実施形態のシールド材26では、銅層パターン16aはその全ての面が黒化処理されているため、PDPの表示画面からの出射光及び外部からの入射光の反射率が低減され、光の透過率を向上させることができる。またPET製反射防止層20を備えているので外部からの光の反射が抑制され、PDPの表示画面のコントラスト比を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態のシールド材26は、近赤外線吸収機能を備えているので、リモートコントロール装置などをPDPの近傍で操作しても誤動作を起すおそれがなくなる。
【0067】
さらに、本実施の形態のシールド材26は紫外線(UV)吸収機能を備えているので、人体に有害な紫外線を遮断することができる。さらにまた、色補正機能を備えているので、例えば、PDPのある色の発光が強くなっている場合、この色の発光強度を補正することができる。
【0068】
次に、本実施形態のシールド材の変形例を説明する。本実施形態のシールド材の変形例は、樹脂層14の耐久性を向上させるために樹脂層14に1種又は数種の色素材のみを添加するようにする場合、樹脂層14が吸収できない波長の近赤外線を光の反射特性(光干渉)を利用して近赤外線を遮断する多層フィルムで遮断するようにするものである。
【0069】
まず、図6に示すように、前述した製造方法と同様な方法によりガラス基板10上に、第1粘着層12、近赤外線吸収機能を有する樹脂層14、銅層パターン16aが形成された構造体を用意する。その後、高透明ポリエステルフィルム21aを用意し、この一方の面に金属酸化物薄膜と金属薄膜とをスパッタ法などにより多層積層することにより多層膜21yを形成する。金属酸化物薄膜/金属薄膜からなる積層体を3〜6回程度繰り返して成膜し、さらに最外層に金属酸化物薄膜を成膜することにより多層膜21を形成すればよい。
【0070】
例えば、金属酸化物薄膜としては、膜厚が5〜30nm程度の酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化インジウムと酸化スズとの混合物(ITO)などからなる膜を使用することができる。また、金属薄膜としては、膜厚が10〜100nm程度の銀又は銀を含む合金などからなる膜を使用することができる。多層膜21yを構成する金属酸化物薄膜及び金属薄膜は、光学特性が最適になるように、その屈折率、膜厚、積層数などが決定される。
【0071】
続いて、高透明ポリエステルフィルム21aの他方の面に反射防止層21xを形成することにより多層フィルム21(フィルタ層)が得られる。
【0072】
あるいは、高透明ポリエステルフィルム21a上に多層膜21yを形成する代わりに、屈折率の異なる高透明樹脂を積層することにより光の反射特性(光干渉)を利用して近赤外線遮断機能をもたせたフィルムを用意する。例えば、高屈折率側の高透明樹脂(屈折率が1.5〜2.7程度)と低屈折率側の高透明樹脂(屈折率が1.5程度未満)とからなる積層体を多数積層して高透明フィルムを形成することにより近赤外線遮断フィルムとする。そして、このフィルム上に反射防止層21xを形成することにより多層フィルム21(フィルタ層)としてもよい。
【0073】
このようして形成された多層フィルム21は、多層膜21yの光の反射特性(光干渉)を利用して所定の近赤外線領域の光を反射して遮断することができると共に、光の反射防止機能を有する。
【0074】
次いで、同じく図6に示すように、銅層パターン16a及び樹脂層14上に第2粘着層12aを形成し、この第2粘着層12aを介して、ガラス基板10上に多層フィルム21の多層膜21y側の面を貼着する。これにより、第2粘着層12a上に多層膜21yと反射防止層21xを備えた多層フィルム21が形成される。以上により、本実施形態のシールド材の変形例のシールド材26fが完成する。
【0075】
本実施形態の変形例のシールド材26fでは、上記したシールド材26と実質的に同一の機能を有するシールド材となって同様な効果を奏するとともに、プラスチックフィルムとして高透明なポリエステルフィルム21aを使用しているため、シールド材の光の透過率が上がり、ヘイズ(曇り度)を低くすることができる。
【0076】
2.シールド材の第2の製造方法
図2は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第2の製造方法を示す概略断面図である。第2の製造方法が第1の製造方法と異なる点は、転写体をガラス基板上に転写した後に、金属層をパターニングして金属層のパターンを形成することであるので、図2において図1と同一要素には同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0077】
まず、図2(a)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、セパレータ30上に第1粘着層12と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14と樹脂層14側の面が黒化処理された銅箔16とが積層された構造体を形成する。
【0078】
その後、図2(b)及び(c)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、セパレータ30と粘着層12との界面を剥がし、第1粘着層12の露出面をガラス基板10の黒枠層が形成されていない面に貼着することにより、ガラス基板10上に、下から順に、第1粘着層12、樹脂層14及び銅箔16からなる転写体32aを形成する。
【0079】
次いで、図2(d)に示すように、銅箔16上にレジスト膜(図示せず)をパターニングし、このレジスト膜をマスクにして、銅箔16をウェットエッチングすることにより銅層パターン16aを形成する。
【0080】
第2の製造方法では、ガラス基板10上に第1の粘着層12、樹脂層14及び銅箔16を転写した後に、銅箔16をパターニングして銅層パターン16aを形成している。このため、剛性が非常に強いガラス基板の状態で銅箔のパターニングを行うので、レジスト膜のパターニング精度が上がり、より微細な銅層パターンを安定して形成することができる。
【0081】
続いて、第1の製造方法と同様な方法により、銅層パターン16aの表面及び側面を黒化処理する。これにより銅層パターン16a両面及び側面が全て黒化処理されたことになる。
【0082】
これにより、図2(d)に示すように、図1(d)と同様な構造、すなわちガラス基板上に、下から順に、粘着層12と樹脂層14と銅層パターン16aとが形成される。
【0083】
次いで、図5に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、銅層パターン16a及び樹脂層14上に第2粘着層12aを介してPET製反射防止層20を形成する。
【0084】
以上により、第2の製造方法で製造された第1実施形態のシールド材のシールド材26が完成する。第2の製造方法で製造されたシールド材においても、第1の製造方法で製造されたものと同様な効果を奏する。
【0085】
3.シールド材の第3の製造方法
図3及び図4は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第3の製造方法を示す概略断面図である。第1及び2の製造方法では、ロールツーロール法を用いる製造工程でプラスチックフィルムがロールに巻かれるときなどに、粘着層はそれ自体が軟らかいため異物などによって押圧されることにより粘着層に打痕不良が発生しやすく、シールド材の品質が低下する場合が想定される。第3の製造方法はかかる不具合を解消するものである。
【0086】
本実施形態に係る第3の製造方法は、図3(a)に示すように、まず、一方の面に膜厚が例えば25μm程度の仮の粘着層50bを備えた第1PETフィルム50aを用意して第1プロテクトフィルム50とする。
【0087】
その後、図3(b)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、第1プロテクトフィルム50上に近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14と樹脂層14側の面が黒化処理された銅箔16とが積層された構造体を形成する。
【0088】
次いで、図3(c)に示すように、第1の製造方法と同様な方法により、銅箔16をウェットエッチングして銅層パターン16aを形成した後、銅層パターン16aの露出面を黒化処理する。これにより銅層パターン16aの両面及び側面が全て黒化処理されたことになる。
【0089】
このようにして、図3(c)に示すように、第1プロテクトフィルム50上に樹脂層14及び銅層パターン16aからなる第1転写体32が形成される。
【0090】
前述した銅層パターン16aを形成する工程などでは、ロールツーロール法が使用されるため、銅箔16のエッチングが終了した部分の第1プロテクトフィルム50がロールに巻かれるときなどに、仮の粘着層50bはそれ自体が軟らかいため混入した異物などで押圧されることにより仮の粘着層50bに打痕不良が発生しやすい。
【0091】
しかしながら、シールド材の第3の製造方法では、後で説明するように、仮の粘着層50bは新しい別の第1粘着層に替えられるため、仮の粘着層50bに打痕不良が発生しても何ら問題がない。
【0092】
続いて、図3(d)に示すように、第1プロテクトフィルム50を所定寸法に切断し、仮の粘着層50bと樹脂層14との界面を剥離することにより、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる第1転写体32を得る。このとき、打痕不良が発生した仮の粘着層50bを備えた第1プロテクトフィルム50は廃棄される。
【0093】
次いで、図4(a)に示すように、膜厚1μm程度のシリコーン層30y(剥離層)が一方の面に形成された所定寸法の第2PETフィルム30xからなるセパレータ30を用意する。
【0094】
その後、同じく図4(a)に示すように、セパレータ30のシリコーン層30y上に膜厚25μm程度の第1粘着層12を形成することにより、セパレータ30と第1粘着層12とにより構成される第2プロテクトフィルム50xとする。続いて、第2プロテクトフィルム50xの第1粘着層12の面と前述した第1転写体32の樹脂層14の面とを貼着することにより、第2プロテクトフィルム50xの第1粘着層12上に樹脂層14及び銅層パターン16aを形成する。
【0095】
これにより、樹脂層14の下には前述した仮の粘着層50bに替わって第1粘着層14が形成されたことになる。すなわち、たとえ仮の粘着層50bに打痕不良が発生したとしても、仮の粘着層50bは打痕不良がない新たな第1粘着層12に替えられる。そして、第2プロテクトフィルム50x上に第1粘着層12を形成する工程の後の工程では、ロールツーロール法を用いる必要性がないため第1粘着層12がロールに巻かれることはないことから、異物などによる打痕不良が第1粘着層12に新たに発生する恐れがない。従って、シールド材に最終的に残る第1粘粘着層12は打痕不良がないものとなる。
【0096】
次いで、図4(b)に示すように、セパレータ30のシリコーン層30b(剥離層)と第1粘着層12との界面を剥離することにより、図4(a)の構造体からセパレータ30を除去して下から順に第1粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる第2転写体32aを得る。
【0097】
次いで、図4(c)に示すように、一方の面の周縁部に黒枠層22が形成された所定寸法の透明なガラス基板10(透明基材)を用意する。続いて、図4(b)の転写体32aの第1粘着層12の面をガラス基板10の黒枠層22が形成されていない面に貼着する。これにより、ガラス基板10上に、下から順に、打痕不良がない第1粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aが形成される。
【0098】
次いで、図5に示すように、第1の製造方法と同様な方法により、銅層パターン16a及び樹脂層14上に紫外線(UV)吸収機能を備えた第2粘着層12aをガラス基板10の周縁所定部上の銅膜パターン16aが露出するようにして形成した後、この第2粘着層12a上にPET製反射防止層20を形成する。
【0099】
このようにして、第3の製造方法により製造された第1実施形態のシールド材26が完成する。
【0100】
以上のように、第3の製造方法では、第1及び第2の製造方法と同様に、シールド材の中にPETフィルム50a,30xが残存しないので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材が得られる。また、たとえ仮の粘着層50bに打痕不良が発生するとしても、仮の粘着層50bは新しい第1粘着層12に替えられることでシールド材の第1粘着層12は打痕不良が存在しないものとなるため、高品質なシールド材が得られる。
【0101】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第2実施形態のシールド材が第1の実施形態のシールド材と異なる点は、シールド材の金属層のパターンが透明基材のPDP側になる面側に形成され、かつ反射防止層が透明基材の両面側に形成されている点にあるので、図7において図5と同一要素には同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0102】
図7に示すように、本発明の第2実施形態のシールド材26bは、ガラス基板10の一方の面(PDP側)に、黒枠層22が形成され、黒枠層22及びガラス基板10上には第1粘着層12が形成されている。そして、第1粘着層12上に近赤外線吸収機能や色補正機能を備えた樹脂層14が形成され、その上に銅層パターン16aが形成されている。さらに銅層パターン16a上には第2粘着層12aを介して第2PET製反射防止層20bが形成されている。
【0103】
一方、ガラス基板10の他方の面(PDPを操作する人側)には、第3粘着層12bを介して第1PET製反射防止層20aが形成されている。
【0104】
なお、第1実施形態と同様に、樹脂層14に複数の種類の色素材を含ませて近赤外線の全域の波長を吸収できるようにしてもよい。あるいは、樹脂層14の耐久性が懸念される場合、樹脂層14に1種又は数種の色素材を含ませるようにし、かつ第1PET製反射防止層20a、第2PET製反射防止層20b、第2粘着層12a及び第3粘着層12bのいずれかに樹脂層14が吸収できない近赤外線を吸収できる色素材を含ませるようにしてもよい。
【0105】
第2実施形態のシールド材26bは、ガラス基板10のPDPを操作する人側になる面に第1PET製反射防止層20aが形成され、ガラス基板10のPDP側になる面に第2PET製反射防止層20bが形成されている。第1PET製反射防止層20a及び第2PET製反射防止層20bはいずれも紫外線(UV)吸収機能を備えていない。その代わり、第1、第2及び第3の粘着層(12,12a,12b)のうちの少なくとも1つの粘着層が紫外線(UV)吸収機能を備えている。なお、黒枠層22を省略した形態としてもよい。
【0106】
第2実施形態のシールド材26bによれば、第1実施の形態のシールド材と同様の効果を奏すると共に、シールド材におけるPDPを操作する人側の面とPDP側の面とにそれぞれ第1PET製反射防止層20aと第2PET製反射防止層20bとが形成されているので、外部からの光の反射やPDPの表示画面からの光の反射を確実に抑えることができ、PDPの表示画面のコントラスト比を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態のシールド材26bは、ガラス基板10の黒枠層22が形成された面に第1粘着層12及び樹脂層14を介して銅層パターン16aが形成された構造となっている。ここで、第1粘着層12と樹脂層14との間にPETフィルムが残存する場合を想定してみる。この場合、PETフィルムはある程度の剛性をもっているので、第1粘着層12がPETフィルム側に引っ張られて、黒枠層22のパターンエッジの段差部(図7のA部)に入り込めなくなり、この段差部に気泡が発生しやすい。これにより、黒枠層22のパターンエッジに沿って気泡に起因する線が発生することになり、PDPの高級感を損ねたり、表示特性を劣化させたりするおそれがある。
【0108】
しかしながら、本実施形態によれば、PETフィルムが残存しないので、第1粘着層12が黒枠層22のパターンエッジの段差部(図7のA部)に追随してこの段差を埋め込むようにして形成される。これにより、黒枠層22のパターンエッジに沿った気泡に起因する線が発生しなくなくなり、PDPの高級感を損ねたり、PDPの表示特性を劣化させたりすることを防止することができる。
【0109】
第2実施形態のシールド材26bは第1実施形態と同様な方法により製造される。
【0110】
(第3の実施の形態)
図8は本発明の第3実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第3実施形態のシールド材は、第1実施形態のシールド材の反射防止層の材料を代えた形態であるので、図8において図5と同一要素には同一符号を付してその詳細の説明を省略する。
【0111】
第3実施形態のシールド材26cが第1実施形態のシールド材26と異なる点は、図8に示すように、PET製反射防止層の代わりに、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上に反射防止層を形成するなどして作成したTAC製反射防止層20c用いたことである。このTAC製反射防止層20cは紫外線(UV)吸収機能を備えているので、第1、第2粘着層12、12aが紫外線(UV)吸収機能を備える必要がない。
【0112】
本実施形態のシールド材26cによれば、反射防止層としてTAC製反射防止層20cを用いていることから、第1実施形態のシールド材よりシールド材の光の透過率を向上させることができるようになるため、PDPの表示特性を向上させることができる。
【0113】
(第4の実施の形態)
図9は本発明の第4実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第4実施形態のシールド材は、第2実施形態のシールド材の反射防止層の材料を代えた形態であるので、図9において図7と同一要素には同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0114】
第4実施形態のシールド材26dが第2実施形態のシールド材26bと異なる点は、図9に示すように、反射防止層としてPETフィルムの代わりにTACフィルムを用いたことである。すなわち、ガラス基板10のPDPを操作する人側になる面にTACフィルム上に反射防止層を形成するなどして作成した第1TAC製反射防止層20dが形成され、またガラス基板10のPDP側になる面に同様な第2TAC製反射防止層20eが形成されている。
【0115】
また、第1TAC製反射防止層20d及び第2TAC製反射防止層20eのうち、少なくとも1つの反射防止層が紫外線(UV)吸収機能を備えており、第1、第2及び第3の粘着層(12,12a,12b)はいずれも紫外線吸収機能を備えていない。なお、黒枠層22を省略した形態にしてもよい。
【0116】
本実施の形態のシールド材26dによれば、第1及び第2のTAC製反射防止層20d,20eは、PET製反射防止層より光の透過率を向上させることができるので、第2実施形態のシールド材26bよりPDPの表示特性を向上させることができる。
【0117】
(第5の実施の形態)
図10(a)及び(b)は本発明の第5実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第5実施形態のシールド材は、第1〜4の実施形態のシールド材と違って第1粘着層12の露出面をPDP(表示装置)の表示画面に直接貼着してシールド材とする形態である。図10において図5と同一要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0118】
本実施形態では、図10(a)に示すように、第1実施形態と同様な方法により、セパレータ30上に、下から順に、第1粘着層12、近赤外線吸収機能や色補正機能を備えた樹脂層14、銅層パターン16a、第2粘着層12a及び反射防止層20が積層された構造体を形成する。
【0119】
そして、PDPの表示画面に設置する際、セパレータ30のシリコーン層30yと第1粘着層12との界面を剥離してセパレータ40以外の構造体Sをシールド材26eとする。そして、図10(b)に示すように、このシールド材26eの第1粘着層12の露出面を表示画面に直接貼着することによりPDPのシールド材とすることができる。
【0120】
本実施形態のシールド材26eがPDPの表示画面に貼着される際には、セパレータ30を構成するPETフィルム30aがシールド材26eの中に残存しないことになるので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が少ないシールド材とすることができる。
【0121】
また、本実施形態のシールド材26eはガラス基板を含まない構成となるので、シールド材の構成が簡易になってその製造が容易になり、製造コストを低減させることができる。
【0122】
なお、反射防止層20としては、前述したPET製反射防止層、TAC製反射防止層及び多層フィルムのいずれかを使用することができる。また、第1実施形態と同様に、樹脂層14の耐久性が懸念される場合、樹脂層14に一種又は数種の色素材を含ませるようにし、かつ第2粘着層12a又は反射防止層20が樹脂層14の吸収できない波長の近赤外線を吸収するようにしてもよい。
【0123】
以上、第1〜第5実施形態により、この発明の詳細を説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明を逸脱しない要旨の範囲における上記実施形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシールド材は、透明基材上に第1粘着層と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と金属層のパターンが転写されて形成される。このため、シールド材には金属箔の取り扱いを容易にするために基材として利用されたプラスチックフィルムが残存しない。しかも、樹脂層に近赤外線を吸収する色素材を含ませるなどして赤外線吸収機能をもたせたので、従来技術と違って、近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを特別に形成する必要がない。
【0125】
このように、金属箔の基材又は近赤外線吸収層としてのプラスチックフィルムが残存しないようにしたので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いものとなり、PDPの表示特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第1の製造方法を示す概略断面図である。
【図2】図2(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第2の製造方法を示す概略断面図である。
【図3】図3(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第3の製造方法を示す概略断面図(その1)である。
【図4】図4(a)〜(c)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第3の製造方法を示す概略断面図(その2)である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態に係るシールド材の変形例を示す概略断面図である。
【図7】図7は本発明の第2実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図8】図8は本発明の第3実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図9】図9は本発明の第4実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図10】図10(a)及び(b)は本発明の第5実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10…ガラス基板、12…第1粘着層、12a…第2粘着層、12b…第3粘着層、14…樹脂層、16…銅箔(金属箔)、16a…銅層パターン(金属層のパターン)、20…PET製反射防止層(フィルタ層)、20a…第1のPET製反射防止層、20b…第2のPET製反射防止層、20c…TAC製反射防止層、20d…第1のTAC製反射防止層、20e…第2のTAC製反射防止層、21…多層フィルム、21a…高透明ポリエステルフィルム、21x…反射防止層、21y…多層膜、22…黒枠層、26〜26f…シールド材、21a,30a,30x,50a…PETフィルム、50b…仮の粘着層、30b,30y…シリコーン層(剥離層)、30…セパレータ、32,32a…転写体、50,50x…プロテクトフィルム。
【発明の属する技術分野】
本発明はシールド材に係り、さらに詳しくは、PDP(プラズマディスプレイ)などから漏洩する電磁波などを遮断するシールド材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、広い視野角をもち、表示品質がよく、大画面化ができるなどの特徴をもつPDP(プラズラディスプレイ)は、マルチメディアディスプレイ機器などに急速にその用途を拡大している。
【0003】
PDPは気体放電を利用した表示デバイスであり、管内に封入されている気体を放電によって励起して、紫外領域から近赤外線領域に至るまで広い波長の線スペクトルを発生する。PDPの管内には蛍光体が配置されており、この蛍光体は紫外線領域の線スペクトルで励起されて可視領域の光を発生する。近赤外領域の線スペクトルの一部はPDPの表面ガラスから管外に放出される。
【0004】
この近赤外領域の波長はリモートコントロール装置及び光通信などで使用される波長(800nm〜1000nm)に近く、それらの機器をPDPの近傍で動作させた場合、誤動作を起す恐れがあるので、PDPからの近赤外線の漏洩を防止する必要がある。
【0005】
また、PDPの駆動によりマイクロ波や超低周波などの電磁波が発生し、わずかではあるが外部に漏洩する。情報機器装置などにはそれらの電磁波の許容漏洩値が定められているので、電磁波の漏洩を規定値以下に抑える必要がある。
【0006】
また、PDPは表示画面が平滑であることから外部からの光が表示画面に入射するときに入射光が反射して画面のコントラスト比が低下するため、外部からの入射光の反射を抑える必要がある。
【0007】
これらの目的で、PDPの表示画面の前方にシールド材が配置されている。
【0008】
従来のシールド材の製造方法は、まず、金属箔が貼着されたプラスチックフィルムを用意する。すなわち、金属箔は一般にその厚みが10μm程度の薄いものであるので、金属箔の取り扱いを容易にするために金属箔をプラスチックフィルム上に貼着して剛性をもたせる。その後、金属箔を備えたプラスチックフィルムを剛性の強いガラス基板などに貼着した状態で金属箔をパターニングして金属メッシュを形成する。
【0009】
次いで、近赤外線吸収機能などを備えたプラスチックフィルムをガラス基板に貼着するなどしてシールド材を製造していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のシールド板は、金属箔の取り扱いを容易にするために金属箔とプラスチックフィルムとが一体化された状態で製造されるため、シールド材にはプラスチックフィルムが残存することになる。プラスチックフィルムは、透明のガラス基板に比べると、光の透過率が低く、かつヘイズ(曇り度)が高い。
【0011】
従って、プラスチックフィルムが残存するシールド材は、シールド材の光の透過率が低くなり、かつヘイズ(曇り度)が高くなるため、シールド材によりPDPの表示特性が悪くなるという問題がある。
【0012】
また、近赤外線を吸収するために近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムが設けられていることから、シールド材の構成が複雑になると共に、シールド材の光の透過率がさらに低くなり、ヘイズ(曇り)がさらに高くなってしまうという問題がある。
【0013】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、構成が簡易であると共に、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明はシールド材に係り、透明基材と、前記透明基材の上に形成された第1粘着層と、前記第1粘着層の上に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と、前記樹脂層の上にパターン化されて形成された金属層と、前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に第2粘着層を介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明のシールド材は、シールド材にプラスチックフィルムが極力残存しないように工夫されたものである。すなわち、例えば、本発明のシールド材は、まず、金属箔の取り扱いを容易にするために、剥離層を備えたプラスチックフィルム上に第1粘着層と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と金属箔とが形成され、その後金属箔がパターニングされて金属層のパターンが形成される。そして、プラスチックフィルムの剥離層と第1粘着層との界面で剥離され、第1粘着層、樹脂層及び金属層のパターンがガラス基板などの透明基材上に転写されて形成される。
【0016】
このため、シールド材には金属箔の取り扱いを容易にするために基材として利用されたプラスチックフィルムが残存しない。
【0017】
しかも、樹脂層に近赤外線を吸収する色素材を含ませるなどして赤外線吸収機能をもたせたので、従来技術と違って近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを特別に形成する必要がない。
【0018】
以上のように、本発明のシールド材は、金属箔の基材又は近赤外線吸収層としてのプラスチックフィルムが残存しないようにしたので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いものとなる。このため、本発明のシールド材がPDPの表示画面に設置される際、PDPの表示特性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明のシールド材を製造する観点からは、金属箔は剛性が比較的強いプラスチックフィルムに貼着された状態でロールツーロール法によりパターニングされると共に、近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを特別に形成する必要がないため、その製造が容易になって製造コストを低減させることができる。
【0020】
本発明のシールド材は、上記した製造方法の他に、粘着層と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と金属箔とがプラスチックフィルムから透明基材上に転写された後に、金属層がパターニングされるようにして製造してもよい。
【0021】
あるいは、金属箔がロールツーロール法を用いてパターニングされる工程などにおいて、粘着層がロールに巻かれるときなどに粘着層に打痕不良が発生する場合があるため、金属箔をパターニングした後に、粘着層を新たな粘着層に替えるようにして製造してもよい。これにより、シールド材の粘着層は打痕不良がないものとなり、シールド材の品質をさらに向上させることができる。
【0022】
上記したシールド材において、前記樹脂層は所定波長の近赤外線を吸収する機能をもっており、前記第2粘着層又は前記フィルタ層は、前記樹脂層が吸収する波長の赤外線とは異なる波長の近赤外線を吸収する機能を備えているようにしてもよい。
【0023】
広範囲の近赤外線を吸収させるために樹脂層に多数の色素材を含ませる場合、触媒作用などにより樹脂層の近赤外線遮断性や色目といった光学特性の劣化が生じる場合が想定される。かかる不具合を解消するため、樹脂層に特定の波長の近赤外線を吸収する色素材を最低限含ませ、かつ樹脂層が吸収できない波長の近赤外線を粘着層又はフィルタ層などで吸収させるようにする。
【0024】
このようにすることにより、近赤外線吸収機能をもたせた樹脂層の光学特性の劣化が防止され、かつ広範囲の波長の近赤外線を吸収することができるようになり、シールド材の性能と信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、上記問題を解決するため、本発明はシールド材に係り、一方の面が表示装置の表示画面に貼着される第1粘着層と、前記粘着層の他方の面に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と、前記樹脂層の上にパターン化されて形成された金属層と、前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に第2粘着層を介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層とを有することを特徴とする。
【0026】
一つの好適な態様では、本発明のシールド材は、PDPの表示画面に貼着される前には、第1粘着層の一方の面がセパレータに貼着されており、このセパレータが剥離されて本発明のシールド材が得られる。そして、このシールド材の第1粘着層の露出面がPDPの表示画面に貼着される。
【0027】
このようにしても、上記したシールド材と同様に、PDPの表示画面に貼着されたシールド材には金属箔の基材又は近赤外線吸収層としてのプラスチックフィルムが残存しないので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材となる。また、ガラス基板などの透明基材を必要としないためシールド材の構成が簡易となり、製造コストを低減させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
最初に、本発明の実施の形態のシールド材の製造方法を説明する。
【0030】
1.シールド材の第1の製造方法
図1(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第1の製造方法を示す概略断面図、図5(a)は本発明の第1実施形態に係るシールド材を示す概略断面図、図6は本発明の第1実施形態に係る第1のシールド材の変形例を示す概略断面図である。
【0031】
まず、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程を説明する。プラスチックフィルムの一例としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム30aを用意する。このPETフィルム30aの一方の面には膜厚が例えば1μmのシリコーン層30b(剥離層)が形成されている。
【0032】
このシリコーン層30bの形成方法は、まず、シリコーン(信越化学工業社製:KS−3703)が100重量部、触媒(CAT−PL−50T)が1重量部及び溶剤(トルエン)499重量部の割合で混合して、合計600重量部の処理液を作成する。続いて、この処理液をバーコータでPETフィルム30a上に塗布し、120℃、30秒の条件下で熱処理を行うことにより、シリコーン層30bが形成される。このシリコーン層30bが一方の面に形成されたプラスチックフィルム30aを、以下、セパレータ30という。
【0033】
その後、セパレータ30のシリコーン層30bが形成された面に膜厚が例えば10〜50μm、好適には25μm程度の第1粘着層12を形成する。
【0034】
次いで、第1粘着層12上に赤外線吸収機能を備えた樹脂層14を形成する。本発明の実施形態のシールド材の特徴の一つは、シールド材の中に光の透過率が低くかつヘイズ(曇り度)が高いプラスチックフィルムが極力残存しないようにようにすることである。このため、本実施形態では後工程で近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを貼着するのではなく、樹脂層14自体に近赤外線吸収機能をもたせるようにしている。
【0035】
次に、この赤外線吸収機能を備えた樹脂層14の形成方法を説明する。まず、近赤外線吸収剤として色素材(日本触媒社製:Tx−EX811K)が1重量%、アクリル樹脂(三菱レーヨン社製:ダイヤナール BR−80)が2重量%、トルエンが3重量%、メチルエチルケトンが3重量%の割合で混合した混合液を攪拌して塗布液を作成する。
【0036】
その後、この塗布液をロールコーティング法などにより第1粘着層12上に塗布した後、例えば50℃程度の雰囲気で48時間放置する。これにより、第1粘着層12上に赤外線吸収機能を備えた樹脂層14が形成される。このようにして得られた樹脂層14は、PDPから放出される820nm付近のスペクトルを吸収することができる。
【0037】
あるいは、まず、近赤外線吸収剤として色素材(日本化薬社製:Kayasorb IRG−022)が1重量%、共重合ポリエステル樹脂が2重量%、メチルエチルケトンが3重量%、トルエンが3重量%の割合で混合した混合液を攪拌して塗布液を作成する。その後、この塗布液をロールコーティング法などにより第1粘着層12上に塗布した後、例えば50℃程度の雰囲気で48時間放置することにより、赤外線吸収機能を備えた樹脂層14を形成してもよい。このようにして得られた樹脂層14は、PDPから放出される850〜1200nmのスペクトルを吸収することができる。
【0038】
色素材として上記したものを例示したが、フタロシアニン系又は金属錯体系などのさまざまな色素材を使用することができる。
【0039】
なお、色素材の色調により最大吸収波長が異なるため、色素材の種類は、シールド材の特性に合わせて適宜調整される。例えば、1種の色素材を使用してもよいし、また近赤外領域の広い範囲の光を吸収させるために複数の異なる色素材を使用してもよい。近赤外線領域のうち、特にリモートコントローラ装置や光通信に使用されている820nm、880nm及び980nmなどの波長を最大吸収波長とする色素材を少なくとも含むようにすることが好ましい。
【0040】
樹脂層14には所定範囲の波長の近赤外線を吸収できるように複数の色素材が含まれるようにすることが好ましいが、樹脂層14が複数の色素材を含むようにすると触媒効果などによってその耐久性が悪くなる場合が想定される。つまり、経時と共に樹脂層14の近赤外線遮断性や色目といった光学特性の変化が生じてしまう場合がある。
【0041】
このため、樹脂層14には耐久性が悪くならない程度に1種又は数種の色素材が含まれるようにし、後で説明する第2粘着層又はPET製反射防止層に樹脂層14が吸収できない波長の近赤外線を吸収する色素材を含ませるなどして広範囲の波長の近赤外線を吸収するようにしてもよい。
【0042】
さらには、樹脂層14に可視領域の波長を吸収する色素を含ませて透過色や物体色などを補正する色補正機能をもたせるようにしてもよい。例えば、カラーPDPでは放電にキセノンとネオンの混合ガスが用いられ、ネオンのオレンジ色の発光がPDPのカラー表示性能を低下させる一因となる。このため、例えば、ネオンの発光を抑える色素材を樹脂層14の中に含ませることによりPDPのカラー表示の色補正を行うことができる。
【0043】
次いで、膜厚が例えば10μmの銅箔16(金属箔)を用意する。この銅箔16の光沢面を、例えば、ピロリン酸銅水溶液とピロリン酸カリウム水溶液とアンモニア水溶液との混合液に浸漬し、電流密度5A/dm2の条件下で、10秒間、電解めっきを行うことにより黒化処理する。
【0044】
続いて、第1粘着層12及び樹脂層14が形成されたセパレータ30の上に銅箔16の黒化処理された面が樹脂層14側になるようにしてに配置した後、例えば、80℃、20秒の条件でベークし、その後5kg/cm2の条件下で加圧することにより樹脂層14と銅箔16とを貼着する。
【0045】
これにより、図1(a)に示すように、セパレータ30上に、下から順に、第1粘着層12と近赤外線吸収機能を有する樹脂層14と銅箔16とが積層された構造体が得られる。セパレータ30と銅箔16の間には樹脂層14ばかりではなく第1の粘着層12が形成されているので、セパレータ30の剛性を強くすることができる。
【0046】
次いで、図1(b)に示すように、ロールツーロール法により、銅箔16上にレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクにして、塩化第2鉄水溶液をスプレー状にして銅箔16に吹きかけて銅箔をエッチングすることにより、銅層パターン16a(金属層のパターン)を例えばメッシュ状に形成する。
【0047】
このとき、セパレータ30と銅箔16との間には第1粘着層12が存在し、それが存在しない場合に比べ剛性が強くなっているので、スプレー状のエッチング液の圧力に耐えることができ、安定して銅箔16をエッチングすることができる。また、銅箔16をエッチングした後に、第1粘着層12が露出する構造の場合、エッチング液により第1粘着層12が透明から黄色に変色してしまう。本実施形態では、第1粘着層12の上に硬化した樹脂層14が存在するので、このような不具合が起こらず、粘着層の12の透明度を保つことができる。
【0048】
その後、銅層パターン16aを亜塩素酸ソーダ水溶液とカセイソーダ水溶液との混合液により化成処理することにより、銅層パターン16aの露出面を黒化処理する。銅箔16の樹脂層14側の面が上記した工程で既に黒化処理されているので、この工程が終了した時点で、銅層パターン16aの両面及び側面が全て黒化処理されたことになる。
【0049】
このようにして、図1(b)に示すように、セパレータ30上に、第1粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32が形成される。
【0050】
次いで、図1(c)に示すように、セパレータ30と第1粘着層12との界面を剥離する。このとき、シリコーン層30bと第1粘着層12との密着強度が、シリコーン層30bとPETフィルム30aとの密着強度より弱くなるようにしているため、セパレータ30と第1の粘着層12との界面で容易に剥離することができる。
【0051】
その後、図1(d)に示すように、一方の面の周縁部に黒枠層22が形成されたガラス基板10(透明基板)を用意する。続いて、第1粘着層12の露出面をガラス基板10の黒枠層22が形成されていない面に貼着する。これにより、ガラス基板10上に、下から順に、第1の粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる転写体32が転写されて形成される。
【0052】
次いで、図5に示すように、銅層パターン16a及び樹脂層14上に紫外線(UV)吸収機能を備えた第2粘着層12aを周縁部の銅膜パターン16aが露出するようにして形成する。
【0053】
その後、第2の粘着層12a上にPETフィルムの一方の面に反射防止層を形成するなどして作成したPET製反射防止層20を形成する。
【0054】
なお、前述したように、樹脂層14の耐久性を向上させるために樹脂層14に1種又は数種の色素材を添加するようにする場合、第2粘着層12a又はPET製反射防止層20の他方の面に、樹脂層14が吸収できない波長の近赤外線を吸収する色素材が含まれるようにしてもよい。
【0055】
例えば、上記した820nm付近のスペクトルを吸収する樹脂層14を用いる場合、第2粘着層12a又はPET製反射防止層20に850〜1200nmのスペクトルを吸収する色素材を含ませるようにする。また、上記した850〜1200nmのスペクトルを吸収する樹脂層14を用いる場合、第2粘着層12a又はPET製反射防止層20に820nm付近のスペクトルを吸収する色素材を含ませるようにする。
【0056】
以上により、第1の製造方法により製造された第1実施形態のシールド材26が完成する。
【0057】
本実施形態のシールド材26は、ガラス基板10の一方の面に、下から順に、第1の粘着層12、近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14及びメッシュ状の銅層パターン16aが形成されている。この銅層パターン16aは、両面及び側面の全ての面が黒化処理されて金属光沢が消されて黒系の色を呈するようになっている。
【0058】
さらに、銅層パターン16a及び樹脂層14上には第2粘着層12aを介してPET製反射防止層20(フィルタ層)が形成されている。
【0059】
第2粘着層12a及びPET製反射防止層20は、周縁部の銅層パターン16aが露出するように形成され、ガラス基板10の周縁部に形成された銅層パターン16aは、帯電防止のためPDPの接地回路に接続される。
【0060】
ガラス基板10の他方の面の周縁部には黒枠層22が形成されている。なお、黒枠層22が、ガラス基板10の第1粘着層12側の面の周縁部に形成された形態としてもよく、又は黒枠層22を省略した形態にしてもよい。
【0061】
本実施形態のシールド材26はこのような構成になっており、ガラス基板10の黒枠層22側の面がPDPの表示画面側になり、またガラス基板10の第1粘着層12側の面がPDPを操作する人側になるようにしてPDPに配置される。そして、ガラス基板10の周縁部の銅層パターン16aがPDPの筐体の接地端子に電気的に接続される。銅層パターン16aは良導体なので、PDPの表示画面から放出されるマイクロ波や超低周波などの電磁波を遮断することができる。
【0062】
本実施形態のシールド材26は、シールド材26の中に光の透過率が低く、ヘイズ(曇り度)が高いPETフィルムが極力残存しないように工夫されたものである。すなわち、透明性が高い樹脂層14に近赤外線吸収機能や色補正機能をもたせるようにしたことで、従来技術と違って赤外線吸収機能を備えたPETフィルムを特別に設ける必要がない。
【0063】
しかも、本実施形態のシールド材26では、セパレータ30上に形成された第1粘着層12と樹脂層14と銅層パターン16a(又は銅箔16)とからなる転写体32(又は32a)がガラス基板10上に転写されることに基づいて製造されるため、シールド材26には銅箔の基材として利用されたPETフィルムが残存しない。
【0064】
このように、本実施形態のシールド材26はプラスチックフィルムを極力含まない構成とすることができるので、シールド材の光の透過率が上がり、ヘイズ(曇り度)を低くすることができる。
【0065】
また、本実施形態のシールド材26では、銅層パターン16aはその全ての面が黒化処理されているため、PDPの表示画面からの出射光及び外部からの入射光の反射率が低減され、光の透過率を向上させることができる。またPET製反射防止層20を備えているので外部からの光の反射が抑制され、PDPの表示画面のコントラスト比を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態のシールド材26は、近赤外線吸収機能を備えているので、リモートコントロール装置などをPDPの近傍で操作しても誤動作を起すおそれがなくなる。
【0067】
さらに、本実施の形態のシールド材26は紫外線(UV)吸収機能を備えているので、人体に有害な紫外線を遮断することができる。さらにまた、色補正機能を備えているので、例えば、PDPのある色の発光が強くなっている場合、この色の発光強度を補正することができる。
【0068】
次に、本実施形態のシールド材の変形例を説明する。本実施形態のシールド材の変形例は、樹脂層14の耐久性を向上させるために樹脂層14に1種又は数種の色素材のみを添加するようにする場合、樹脂層14が吸収できない波長の近赤外線を光の反射特性(光干渉)を利用して近赤外線を遮断する多層フィルムで遮断するようにするものである。
【0069】
まず、図6に示すように、前述した製造方法と同様な方法によりガラス基板10上に、第1粘着層12、近赤外線吸収機能を有する樹脂層14、銅層パターン16aが形成された構造体を用意する。その後、高透明ポリエステルフィルム21aを用意し、この一方の面に金属酸化物薄膜と金属薄膜とをスパッタ法などにより多層積層することにより多層膜21yを形成する。金属酸化物薄膜/金属薄膜からなる積層体を3〜6回程度繰り返して成膜し、さらに最外層に金属酸化物薄膜を成膜することにより多層膜21を形成すればよい。
【0070】
例えば、金属酸化物薄膜としては、膜厚が5〜30nm程度の酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化インジウムと酸化スズとの混合物(ITO)などからなる膜を使用することができる。また、金属薄膜としては、膜厚が10〜100nm程度の銀又は銀を含む合金などからなる膜を使用することができる。多層膜21yを構成する金属酸化物薄膜及び金属薄膜は、光学特性が最適になるように、その屈折率、膜厚、積層数などが決定される。
【0071】
続いて、高透明ポリエステルフィルム21aの他方の面に反射防止層21xを形成することにより多層フィルム21(フィルタ層)が得られる。
【0072】
あるいは、高透明ポリエステルフィルム21a上に多層膜21yを形成する代わりに、屈折率の異なる高透明樹脂を積層することにより光の反射特性(光干渉)を利用して近赤外線遮断機能をもたせたフィルムを用意する。例えば、高屈折率側の高透明樹脂(屈折率が1.5〜2.7程度)と低屈折率側の高透明樹脂(屈折率が1.5程度未満)とからなる積層体を多数積層して高透明フィルムを形成することにより近赤外線遮断フィルムとする。そして、このフィルム上に反射防止層21xを形成することにより多層フィルム21(フィルタ層)としてもよい。
【0073】
このようして形成された多層フィルム21は、多層膜21yの光の反射特性(光干渉)を利用して所定の近赤外線領域の光を反射して遮断することができると共に、光の反射防止機能を有する。
【0074】
次いで、同じく図6に示すように、銅層パターン16a及び樹脂層14上に第2粘着層12aを形成し、この第2粘着層12aを介して、ガラス基板10上に多層フィルム21の多層膜21y側の面を貼着する。これにより、第2粘着層12a上に多層膜21yと反射防止層21xを備えた多層フィルム21が形成される。以上により、本実施形態のシールド材の変形例のシールド材26fが完成する。
【0075】
本実施形態の変形例のシールド材26fでは、上記したシールド材26と実質的に同一の機能を有するシールド材となって同様な効果を奏するとともに、プラスチックフィルムとして高透明なポリエステルフィルム21aを使用しているため、シールド材の光の透過率が上がり、ヘイズ(曇り度)を低くすることができる。
【0076】
2.シールド材の第2の製造方法
図2は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第2の製造方法を示す概略断面図である。第2の製造方法が第1の製造方法と異なる点は、転写体をガラス基板上に転写した後に、金属層をパターニングして金属層のパターンを形成することであるので、図2において図1と同一要素には同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0077】
まず、図2(a)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、セパレータ30上に第1粘着層12と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14と樹脂層14側の面が黒化処理された銅箔16とが積層された構造体を形成する。
【0078】
その後、図2(b)及び(c)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、セパレータ30と粘着層12との界面を剥がし、第1粘着層12の露出面をガラス基板10の黒枠層が形成されていない面に貼着することにより、ガラス基板10上に、下から順に、第1粘着層12、樹脂層14及び銅箔16からなる転写体32aを形成する。
【0079】
次いで、図2(d)に示すように、銅箔16上にレジスト膜(図示せず)をパターニングし、このレジスト膜をマスクにして、銅箔16をウェットエッチングすることにより銅層パターン16aを形成する。
【0080】
第2の製造方法では、ガラス基板10上に第1の粘着層12、樹脂層14及び銅箔16を転写した後に、銅箔16をパターニングして銅層パターン16aを形成している。このため、剛性が非常に強いガラス基板の状態で銅箔のパターニングを行うので、レジスト膜のパターニング精度が上がり、より微細な銅層パターンを安定して形成することができる。
【0081】
続いて、第1の製造方法と同様な方法により、銅層パターン16aの表面及び側面を黒化処理する。これにより銅層パターン16a両面及び側面が全て黒化処理されたことになる。
【0082】
これにより、図2(d)に示すように、図1(d)と同様な構造、すなわちガラス基板上に、下から順に、粘着層12と樹脂層14と銅層パターン16aとが形成される。
【0083】
次いで、図5に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、銅層パターン16a及び樹脂層14上に第2粘着層12aを介してPET製反射防止層20を形成する。
【0084】
以上により、第2の製造方法で製造された第1実施形態のシールド材のシールド材26が完成する。第2の製造方法で製造されたシールド材においても、第1の製造方法で製造されたものと同様な効果を奏する。
【0085】
3.シールド材の第3の製造方法
図3及び図4は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第3の製造方法を示す概略断面図である。第1及び2の製造方法では、ロールツーロール法を用いる製造工程でプラスチックフィルムがロールに巻かれるときなどに、粘着層はそれ自体が軟らかいため異物などによって押圧されることにより粘着層に打痕不良が発生しやすく、シールド材の品質が低下する場合が想定される。第3の製造方法はかかる不具合を解消するものである。
【0086】
本実施形態に係る第3の製造方法は、図3(a)に示すように、まず、一方の面に膜厚が例えば25μm程度の仮の粘着層50bを備えた第1PETフィルム50aを用意して第1プロテクトフィルム50とする。
【0087】
その後、図3(b)に示すように、第1の製造方法と同様な方法で、第1プロテクトフィルム50上に近赤外線吸収機能を備えた樹脂層14と樹脂層14側の面が黒化処理された銅箔16とが積層された構造体を形成する。
【0088】
次いで、図3(c)に示すように、第1の製造方法と同様な方法により、銅箔16をウェットエッチングして銅層パターン16aを形成した後、銅層パターン16aの露出面を黒化処理する。これにより銅層パターン16aの両面及び側面が全て黒化処理されたことになる。
【0089】
このようにして、図3(c)に示すように、第1プロテクトフィルム50上に樹脂層14及び銅層パターン16aからなる第1転写体32が形成される。
【0090】
前述した銅層パターン16aを形成する工程などでは、ロールツーロール法が使用されるため、銅箔16のエッチングが終了した部分の第1プロテクトフィルム50がロールに巻かれるときなどに、仮の粘着層50bはそれ自体が軟らかいため混入した異物などで押圧されることにより仮の粘着層50bに打痕不良が発生しやすい。
【0091】
しかしながら、シールド材の第3の製造方法では、後で説明するように、仮の粘着層50bは新しい別の第1粘着層に替えられるため、仮の粘着層50bに打痕不良が発生しても何ら問題がない。
【0092】
続いて、図3(d)に示すように、第1プロテクトフィルム50を所定寸法に切断し、仮の粘着層50bと樹脂層14との界面を剥離することにより、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる第1転写体32を得る。このとき、打痕不良が発生した仮の粘着層50bを備えた第1プロテクトフィルム50は廃棄される。
【0093】
次いで、図4(a)に示すように、膜厚1μm程度のシリコーン層30y(剥離層)が一方の面に形成された所定寸法の第2PETフィルム30xからなるセパレータ30を用意する。
【0094】
その後、同じく図4(a)に示すように、セパレータ30のシリコーン層30y上に膜厚25μm程度の第1粘着層12を形成することにより、セパレータ30と第1粘着層12とにより構成される第2プロテクトフィルム50xとする。続いて、第2プロテクトフィルム50xの第1粘着層12の面と前述した第1転写体32の樹脂層14の面とを貼着することにより、第2プロテクトフィルム50xの第1粘着層12上に樹脂層14及び銅層パターン16aを形成する。
【0095】
これにより、樹脂層14の下には前述した仮の粘着層50bに替わって第1粘着層14が形成されたことになる。すなわち、たとえ仮の粘着層50bに打痕不良が発生したとしても、仮の粘着層50bは打痕不良がない新たな第1粘着層12に替えられる。そして、第2プロテクトフィルム50x上に第1粘着層12を形成する工程の後の工程では、ロールツーロール法を用いる必要性がないため第1粘着層12がロールに巻かれることはないことから、異物などによる打痕不良が第1粘着層12に新たに発生する恐れがない。従って、シールド材に最終的に残る第1粘粘着層12は打痕不良がないものとなる。
【0096】
次いで、図4(b)に示すように、セパレータ30のシリコーン層30b(剥離層)と第1粘着層12との界面を剥離することにより、図4(a)の構造体からセパレータ30を除去して下から順に第1粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aからなる第2転写体32aを得る。
【0097】
次いで、図4(c)に示すように、一方の面の周縁部に黒枠層22が形成された所定寸法の透明なガラス基板10(透明基材)を用意する。続いて、図4(b)の転写体32aの第1粘着層12の面をガラス基板10の黒枠層22が形成されていない面に貼着する。これにより、ガラス基板10上に、下から順に、打痕不良がない第1粘着層12、樹脂層14及び銅層パターン16aが形成される。
【0098】
次いで、図5に示すように、第1の製造方法と同様な方法により、銅層パターン16a及び樹脂層14上に紫外線(UV)吸収機能を備えた第2粘着層12aをガラス基板10の周縁所定部上の銅膜パターン16aが露出するようにして形成した後、この第2粘着層12a上にPET製反射防止層20を形成する。
【0099】
このようにして、第3の製造方法により製造された第1実施形態のシールド材26が完成する。
【0100】
以上のように、第3の製造方法では、第1及び第2の製造方法と同様に、シールド材の中にPETフィルム50a,30xが残存しないので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いシールド材が得られる。また、たとえ仮の粘着層50bに打痕不良が発生するとしても、仮の粘着層50bは新しい第1粘着層12に替えられることでシールド材の第1粘着層12は打痕不良が存在しないものとなるため、高品質なシールド材が得られる。
【0101】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第2実施形態のシールド材が第1の実施形態のシールド材と異なる点は、シールド材の金属層のパターンが透明基材のPDP側になる面側に形成され、かつ反射防止層が透明基材の両面側に形成されている点にあるので、図7において図5と同一要素には同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0102】
図7に示すように、本発明の第2実施形態のシールド材26bは、ガラス基板10の一方の面(PDP側)に、黒枠層22が形成され、黒枠層22及びガラス基板10上には第1粘着層12が形成されている。そして、第1粘着層12上に近赤外線吸収機能や色補正機能を備えた樹脂層14が形成され、その上に銅層パターン16aが形成されている。さらに銅層パターン16a上には第2粘着層12aを介して第2PET製反射防止層20bが形成されている。
【0103】
一方、ガラス基板10の他方の面(PDPを操作する人側)には、第3粘着層12bを介して第1PET製反射防止層20aが形成されている。
【0104】
なお、第1実施形態と同様に、樹脂層14に複数の種類の色素材を含ませて近赤外線の全域の波長を吸収できるようにしてもよい。あるいは、樹脂層14の耐久性が懸念される場合、樹脂層14に1種又は数種の色素材を含ませるようにし、かつ第1PET製反射防止層20a、第2PET製反射防止層20b、第2粘着層12a及び第3粘着層12bのいずれかに樹脂層14が吸収できない近赤外線を吸収できる色素材を含ませるようにしてもよい。
【0105】
第2実施形態のシールド材26bは、ガラス基板10のPDPを操作する人側になる面に第1PET製反射防止層20aが形成され、ガラス基板10のPDP側になる面に第2PET製反射防止層20bが形成されている。第1PET製反射防止層20a及び第2PET製反射防止層20bはいずれも紫外線(UV)吸収機能を備えていない。その代わり、第1、第2及び第3の粘着層(12,12a,12b)のうちの少なくとも1つの粘着層が紫外線(UV)吸収機能を備えている。なお、黒枠層22を省略した形態としてもよい。
【0106】
第2実施形態のシールド材26bによれば、第1実施の形態のシールド材と同様の効果を奏すると共に、シールド材におけるPDPを操作する人側の面とPDP側の面とにそれぞれ第1PET製反射防止層20aと第2PET製反射防止層20bとが形成されているので、外部からの光の反射やPDPの表示画面からの光の反射を確実に抑えることができ、PDPの表示画面のコントラスト比を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態のシールド材26bは、ガラス基板10の黒枠層22が形成された面に第1粘着層12及び樹脂層14を介して銅層パターン16aが形成された構造となっている。ここで、第1粘着層12と樹脂層14との間にPETフィルムが残存する場合を想定してみる。この場合、PETフィルムはある程度の剛性をもっているので、第1粘着層12がPETフィルム側に引っ張られて、黒枠層22のパターンエッジの段差部(図7のA部)に入り込めなくなり、この段差部に気泡が発生しやすい。これにより、黒枠層22のパターンエッジに沿って気泡に起因する線が発生することになり、PDPの高級感を損ねたり、表示特性を劣化させたりするおそれがある。
【0108】
しかしながら、本実施形態によれば、PETフィルムが残存しないので、第1粘着層12が黒枠層22のパターンエッジの段差部(図7のA部)に追随してこの段差を埋め込むようにして形成される。これにより、黒枠層22のパターンエッジに沿った気泡に起因する線が発生しなくなくなり、PDPの高級感を損ねたり、PDPの表示特性を劣化させたりすることを防止することができる。
【0109】
第2実施形態のシールド材26bは第1実施形態と同様な方法により製造される。
【0110】
(第3の実施の形態)
図8は本発明の第3実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第3実施形態のシールド材は、第1実施形態のシールド材の反射防止層の材料を代えた形態であるので、図8において図5と同一要素には同一符号を付してその詳細の説明を省略する。
【0111】
第3実施形態のシールド材26cが第1実施形態のシールド材26と異なる点は、図8に示すように、PET製反射防止層の代わりに、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上に反射防止層を形成するなどして作成したTAC製反射防止層20c用いたことである。このTAC製反射防止層20cは紫外線(UV)吸収機能を備えているので、第1、第2粘着層12、12aが紫外線(UV)吸収機能を備える必要がない。
【0112】
本実施形態のシールド材26cによれば、反射防止層としてTAC製反射防止層20cを用いていることから、第1実施形態のシールド材よりシールド材の光の透過率を向上させることができるようになるため、PDPの表示特性を向上させることができる。
【0113】
(第4の実施の形態)
図9は本発明の第4実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第4実施形態のシールド材は、第2実施形態のシールド材の反射防止層の材料を代えた形態であるので、図9において図7と同一要素には同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0114】
第4実施形態のシールド材26dが第2実施形態のシールド材26bと異なる点は、図9に示すように、反射防止層としてPETフィルムの代わりにTACフィルムを用いたことである。すなわち、ガラス基板10のPDPを操作する人側になる面にTACフィルム上に反射防止層を形成するなどして作成した第1TAC製反射防止層20dが形成され、またガラス基板10のPDP側になる面に同様な第2TAC製反射防止層20eが形成されている。
【0115】
また、第1TAC製反射防止層20d及び第2TAC製反射防止層20eのうち、少なくとも1つの反射防止層が紫外線(UV)吸収機能を備えており、第1、第2及び第3の粘着層(12,12a,12b)はいずれも紫外線吸収機能を備えていない。なお、黒枠層22を省略した形態にしてもよい。
【0116】
本実施の形態のシールド材26dによれば、第1及び第2のTAC製反射防止層20d,20eは、PET製反射防止層より光の透過率を向上させることができるので、第2実施形態のシールド材26bよりPDPの表示特性を向上させることができる。
【0117】
(第5の実施の形態)
図10(a)及び(b)は本発明の第5実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。第5実施形態のシールド材は、第1〜4の実施形態のシールド材と違って第1粘着層12の露出面をPDP(表示装置)の表示画面に直接貼着してシールド材とする形態である。図10において図5と同一要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0118】
本実施形態では、図10(a)に示すように、第1実施形態と同様な方法により、セパレータ30上に、下から順に、第1粘着層12、近赤外線吸収機能や色補正機能を備えた樹脂層14、銅層パターン16a、第2粘着層12a及び反射防止層20が積層された構造体を形成する。
【0119】
そして、PDPの表示画面に設置する際、セパレータ30のシリコーン層30yと第1粘着層12との界面を剥離してセパレータ40以外の構造体Sをシールド材26eとする。そして、図10(b)に示すように、このシールド材26eの第1粘着層12の露出面を表示画面に直接貼着することによりPDPのシールド材とすることができる。
【0120】
本実施形態のシールド材26eがPDPの表示画面に貼着される際には、セパレータ30を構成するPETフィルム30aがシールド材26eの中に残存しないことになるので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が少ないシールド材とすることができる。
【0121】
また、本実施形態のシールド材26eはガラス基板を含まない構成となるので、シールド材の構成が簡易になってその製造が容易になり、製造コストを低減させることができる。
【0122】
なお、反射防止層20としては、前述したPET製反射防止層、TAC製反射防止層及び多層フィルムのいずれかを使用することができる。また、第1実施形態と同様に、樹脂層14の耐久性が懸念される場合、樹脂層14に一種又は数種の色素材を含ませるようにし、かつ第2粘着層12a又は反射防止層20が樹脂層14の吸収できない波長の近赤外線を吸収するようにしてもよい。
【0123】
以上、第1〜第5実施形態により、この発明の詳細を説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明を逸脱しない要旨の範囲における上記実施形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシールド材は、透明基材上に第1粘着層と近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と金属層のパターンが転写されて形成される。このため、シールド材には金属箔の取り扱いを容易にするために基材として利用されたプラスチックフィルムが残存しない。しかも、樹脂層に近赤外線を吸収する色素材を含ませるなどして赤外線吸収機能をもたせたので、従来技術と違って、近赤外線吸収機能を備えたプラスチックフィルムを特別に形成する必要がない。
【0125】
このように、金属箔の基材又は近赤外線吸収層としてのプラスチックフィルムが残存しないようにしたので、光の透過率が高く、ヘイズ(曇り度)が低いものとなり、PDPの表示特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第1の製造方法を示す概略断面図である。
【図2】図2(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第2の製造方法を示す概略断面図である。
【図3】図3(a)〜(d)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第3の製造方法を示す概略断面図(その1)である。
【図4】図4(a)〜(c)は本発明の第1実施形態に係るシールド材の第3の製造方法を示す概略断面図(その2)である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態に係るシールド材の変形例を示す概略断面図である。
【図7】図7は本発明の第2実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図8】図8は本発明の第3実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図9】図9は本発明の第4実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【図10】図10(a)及び(b)は本発明の第5実施形態に係るシールド材を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10…ガラス基板、12…第1粘着層、12a…第2粘着層、12b…第3粘着層、14…樹脂層、16…銅箔(金属箔)、16a…銅層パターン(金属層のパターン)、20…PET製反射防止層(フィルタ層)、20a…第1のPET製反射防止層、20b…第2のPET製反射防止層、20c…TAC製反射防止層、20d…第1のTAC製反射防止層、20e…第2のTAC製反射防止層、21…多層フィルム、21a…高透明ポリエステルフィルム、21x…反射防止層、21y…多層膜、22…黒枠層、26〜26f…シールド材、21a,30a,30x,50a…PETフィルム、50b…仮の粘着層、30b,30y…シリコーン層(剥離層)、30…セパレータ、32,32a…転写体、50,50x…プロテクトフィルム。
Claims (10)
- 透明基材と、
前記透明基材の上に形成された第1粘着層と、
前記第1粘着層の上に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と、
前記樹脂層の上にパターン化されて形成された金属層と、
前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に第2粘着層を介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層とを有することを特徴とするシールド材。 - 一方の面が表示装置の表示画面に貼着される第1粘着層と、
前記粘着層の他方の面に形成され、少なくとも近赤外線吸収機能を備えた樹脂層と、
前記樹脂層の上にパターン化されて形成された金属層と、
前記金属層のパターン及び前記樹脂層の上に第2粘着層を介して形成され、少なくとも反射防止機能を備えたフィルタ層とを有することを特徴とするシールド材。 - 前記樹脂層は、近赤外線を吸収する色素材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド材。
- 前記樹脂層は、色補正機能をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシールド材。
- 前記樹脂層は所定波長の近赤外線を吸収する機能をもっており、前記第2粘着層又は前記フィルタ層は、前記樹脂層が吸収する波長の赤外線とは異なる波長の近赤外線を吸収する機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシールド材。
- 前記フィルタ層は、
プラスチックフィルムと、該プラスチックフィルムの一方の面に形成された反射防止層と、前記プラスチックフィルムの他方の面に形成された近赤外線吸収層とにより構成されていることを特徴とする請求項5に記載のシールド材。 - 前記フィルタ層は、
屈折率の異なる樹脂層が積層されてなる近赤外線遮断フィルムと、該近赤外線遮断フィルム上に形成された反射防止層とにより構成されていることを特徴とする請求項5に記載のシールド材。 - 前記金属層のパターンの前記樹脂層側の面、前記第2粘着層側の面及び側面が黒化処理されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシ−ルド材。
- 前記透明基材は、ガラスからなることを特徴とする請求項1、3乃至8のいずれか一項に記載のシールド材。
- 前記表示装置の表示画面に貼着される前記第1粘着層の一方の面には、剥離可能な状態でセパレータが貼着されており、前記セパレータが剥離された後に、前記第1粘着層の一方の面が前記表示画面に貼着されることを特徴とする請求項2に記載のシールド材。
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2002
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