JP4778161B2 - 貫通孔閉塞治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管などの長尺物を挿通させるために壁や床に形成された貫通孔を、長尺物を挿通状態のまま耐熱性充填材を介して閉塞する貫通孔閉塞治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
空調用の冷媒用配管等は、建屋の屋根裏や天井裏などを利用して配設されているのが一般的であり、配設途中に壁や床を通過させることは、配管施工においては普通に行なわれている。
コンクリート躯体からなる建屋などの場合、壁や床に形成してある貫通孔を利用して、配管の配設が行なわれているが、このような配管が挿通される貫通孔部分には、防災上の定めによって閉塞して防火区画する必要があり、現実には、配管を挿通した状態のまま、貫通孔を閉塞する貫通孔閉塞治具といったものを用いておこなわれている。
従来、この種の貫通孔閉塞治具100としては、例えば、図17に示すように、予めコンクリート躯体である縦壁Bなどに形成された貫通孔1に、配管Cなどを挿通した後、鋼板を折り曲げ形成した一対の半割枠体101,101を、配管Cの左右方向から付き合せるとともに貫通孔1の外側面B1に固定して、各半割枠体101,101の内周面と配管Cの外周面との間に防火用パテ102を充填して貫通孔1を閉塞することで、壁内外を防火区画することができるものが存在している。
そして、このような貫通孔閉塞治具100においては、半割枠体101,101をほぼ正確に突合せるようにした状態で、各半割枠体101,101に一体に設けられているネジ受け部103,103が上下に重なり合うようになっており、この重なったネジ受け部103,103からコンクリートネジKを貫通孔1の外側面B1に螺入することによって、貫通孔1の外側面B1に各半割枠体101,101を取付け固定することができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、貫通孔1の外側面に半割枠体101,101を突合せする作業は両手を使って行われ、続いて、付き合わされた半割枠体101,101を貫通孔1の外側面B1に固定するには、一方の手のひらで半割枠体101,101の突合せ状態が崩れないように保持しながら、これに加えて、指先でコンクリートネジKを螺入可能状態にできるようにネジ受け部103近くでガイドし、他方の手で電動ドライバーなどを用いてコンクリートネジKを螺入操作すると言った取付け作業が必要である。
そのため、手先が器用でなければ実施出来ないような取付け作業が必要であり、作業性が悪い問題がある。特に、天井裏の仕切り壁などの配管を挿通する貫通孔部分を貫通孔閉塞治具で閉塞するような場合、天井窓から天井裏を覗き込むような高所作業となることが多いため、作業形態としては顔が上向き姿勢で両手が常に持上げ姿勢となるような作業姿勢となり、作業性の悪さが重なる点が指摘されている。
【0004】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、取扱い性がよく、しかも、取付け作業性の良好な貫通孔閉塞治具を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
長尺物配設用の貫通孔が形成された構造体の外側面に対する取付け部を有し、かつ、貫通孔から突出する長尺物に外装可能な環状保持枠と、該環状保持枠の内周面と長尺物の外周面との間に貫通孔の開口を閉塞する状態で充填される耐熱性充填材とが備えられ、前記環状保持枠が、周方向で二分割された分割保持枠体から構成されている貫通孔閉塞治具であって、
前記両分割保持枠体の端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、構造体の外側面に沿った方向から係脱自在な係合部と係合受け部とを備えた仮止め連結手段が設けられているとともに、少なくとも一方の仮止め連結手段が、係合状態で両分割保持枠体を長尺物長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成されている。
【0006】
上記構成によれば、仮止め連結手段によって両分割保持枠体を係合連結して環状保持枠を形成することによって、一纏まりに両分割保持枠体が仮止めされた状態を形成することができ、従来の貫通孔閉塞治具に比べて、環状保持枠が勝手に分解するようなことがないので、取扱い性がよく、縦壁の配管挿通部に取付ける場合であっても、環状保持枠の何れかの部分を片手で添える程度で全体を保持することができ、この保持状態で簡単に貫通孔の外側面に環状保持枠を取付け可能にできる。
しかも、貫通孔から突出する長尺物に対して、該長尺物を中心に構造体の外側面に沿った左右方向から分割保持体を突き合わせて、係合部と係合受け部とを係合して両仮止め連結手段を仮止め状態にして、貫通孔から突出する部分の長尺物を外装可能にすることも、或は、予めに、一方の仮止め連結手段の係合部と係合受け部とを係合して、この仮止め連結手段を回動中心として、両分割保持枠体を逆ハの字形に開いた中央に長尺物を位置させるとともに、構造体の外側面に沿って他方の仮止め連結手段を係合操作して、両仮止め連結手段を仮止め状態にすることにより、貫通孔から突出する部分の長尺物を外装可能にすることもできる。
従って、貫通孔の状況や、貫通孔から突出する長尺物の状況等、施工現場の現状に合わせて、分割保持枠体同士を仮止め状態にする作業操作を選択することができるので、取付け作業性を著しく向上させることができる。
【0007】
前記仮止め連結手段には、係合受け部に対する係合部の係脱を許容する状態で、係合受け部に係合された係合部の抜出し移動を牽制する抜止め弾性体が設けられている。
【0008】
上記構成によれば、係合部と係合受け部とが係合状態になると、抜止め弾性体が背後から係合状態を支持して、係合状態が解除されるのが牽制され、仮止め状態の維持力を強くすることができるので、仮止め状態が簡単に崩壊してしまうようなことがないので、作業操作性がよく、迅速な施工を可能にすることができる。
【0009】
前記仮止め連結手段の係合部と係合受け部には、係合状態で連通する取付け孔が形成されている。
【0010】
上記構成によれば、分割保持枠体同士の仮止め部分を利用して取付け孔を形成すると言った、係合部と係合受け部とを取付け孔の形成部分として付加価値利用する構成であるので、本来ならば、仮止め連結手段を設けるのとは別に、構造体の外側面に対する取付け部を各分割保持枠体に設けなければならないところを、部材の兼用利用をおこなって部材の削減化と、取扱い性の向上を図ることができる。
【0011】
前記仮止め連結手段の係合受け部には、係合部との係合に連れて両者の軸芯が合致する方向に移動案内するガイド部が形成されている。
【0012】
上記構成によれば、ガイド部があることによって、仮止め連結手段の係合部と係合受け部との軸芯が自然と合致する係合状態になるようにすることができるので、均整のとれた環状保持枠を迅速に形成することができるとともに、仮止め連結手段を回動中心に利用する場合には、係合とほぼ同時に回動中心として利用することができ、操作性を良好にすることができる。
そして、本発明の請求項1による貫通孔閉塞治具の特徴構成は、長尺物配設用の貫通孔が形成された構造体の外側面に対する取付け部を有し、かつ、貫通孔から突出する長尺物に外装可能な環状保持枠と、該環状保持枠の内周面と長尺物の外周面との間に貫通孔の開口を閉塞する状態で充填される耐熱性充填材とが備えられ、前記環状保持枠が、周方向で二分割された分割保持枠体から構成されている貫通孔閉塞治具であって、
前記両分割保持枠体の端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、構造体の外側面に沿った方向から係脱自在な係合部と係合受け部とを備えた仮止め連結手段が設けられているとともに、少なくとも一方の仮止め連結手段が、係合状態で両分割保持枠体を長尺物長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成され、前記仮止め連結手段の係合部と係合受け部には、係合状態で連通する取付け孔が形成されている点にある。
本発明の請求項2による貫通孔閉塞治具の特徴構成は、長尺物配設用の貫通孔が形成された構造体の外側面に対する取付け部を有し、かつ、貫通孔から突出する長尺物に外装可能な環状保持枠と、該環状保持枠の内周面と長尺物の外周面との間に貫通孔の開口を閉塞する状態で充填される耐熱性充填材とが備えられ、前記環状保持枠が、周方向で二分割された分割保持枠体から構成されている貫通孔閉塞治具であって、
前記両分割保持枠体の端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、構造体の外側面に沿った方向から係脱自在な係合部と係合受け部とを備えた仮止め連結手段が設けられているとともに、少なくとも一方の仮止め連結手段が、係合状態で両分割保持枠体を長尺物長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成され、前記仮止め連結手段の係合受け部には、係合部との係合に連れて両者の軸芯が合致する方向に移動案内するガイド部が形成されている点にある。
本発明の請求項3による貫通孔閉塞治具の特徴構成は、長尺物配設用の貫通孔が形成された構造体の外側面に対する取付け部を有し、かつ、貫通孔から突出する長尺物に外装可能な環状保持枠と、該環状保持枠の内周面と長尺物の外周面との間に貫通孔の開口を閉塞する状態で充填される耐熱性充填材とが備えられ、前記環状保持枠が、周方向で二分割された分割保持枠体から構成されている貫通孔閉塞治具であって、
前記両分割保持枠体の端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、構造体の外側面に沿った方向から係脱自在な係合部と係合受け部とを備えた仮止め連結手段が設けられているとともに、少なくとも一方の仮止め連結手段が、係合状態で両分割保持枠体を長尺物長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成され、前記仮止め連結手段には、係合受け部に対する係合部の係脱を許容する状態で、係合受け部に係合された係合部の抜出し移動を牽制する抜止め弾性体が設けられている点にある。
本発明の請求項4による貫通孔閉塞治具の特徴構成は、前記両分割保持枠体の連結方向で相対向する両端部に亘って、連結方向から抜差し操作自在に係合される補助係止部と補助係止受け部とが設けられている点にある。
【0013】
本発明の請求項5による貫通孔閉塞治具の特徴構成は、前記各分割保持枠体には、構造体の貫通孔周縁に当接させることにより、環状保持枠の中心位置と貫通孔の中心位置との位置合せを行なう取付け位置規制体が設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、仮止め状態となった環状保持枠体を、構造体に形成された貫通孔周縁に、取付け位置規制体を臨ませて当接させることによって、貫通孔の中心位置と、環状保持枠の中心位置とがほぼ合致する状態にすることができるので、例えば、貫通孔の中心位置と環状保持枠の中心位置とを全周に亘って何度も目視確認しながら行われているような位置あわせする作業を軽減することができるとともに、取付け位置規制体を貫通孔周縁に当接させる感触によって大体の位置関係がわかるので、例えば、目視が難しい取付け現場であっても、取付け作業を感触によって施工を補佐することができ、信頼性の高い施工を実施することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態の貫通孔閉塞治具Aを図面に基づいて説明する。
この実施形態の貫通孔閉塞治具Aは、コンクリート躯体などの構造体からなる天井裏の仕切り壁Bに形成されているとともに、長尺物の一例である冷房断熱配管C等が挿通されている貫通孔1に対して取付施工することができるように構成されたものである。図面上には、空調冷媒用の被覆ガス管、被覆液管、ケーブル等を一組にした管径が異なる2組の配管C…を貫通孔1に挿通する例を示している。
【0016】
この貫通孔閉塞治具Aは、図1〜図9に示すように、貫通孔1の外側面B1に対する取付け部2を有し、かつ、貫通孔1から突出する長尺物Cに外装可能な環状保持枠3と、該環状保持枠3の内周面と長尺物Cの外周面との間に貫通孔1の開口1Aを閉塞する状態で充填される耐熱性充填材4とが備えられ、前記環状保持枠3が、周方向で均等2分割された分割保持枠体3A,3Aから構成され、前記両分割保持枠体3A,3Aの端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、貫通孔1の外側面B1に沿った方向から係脱自在で、かつ、係合状態では長尺物C長手方向に沿った軸芯周りでの相対回動を許容する係合部5Aと係合受け部5Bとを備えた仮止め連結手段5,5が設けられているとともに、前記両仮止め連結手段5,5の各々が、係合された一方の仮止め連結手段5を回動支点とする閉じ操作に連れて嵌合するように構成されている。
【0017】
各分割保持枠体3A,3Aは、厚さが1mm程度の鋼板を用いて加工形成され、周面部3aが半円形状の底端部3bから半割鍔状の先端部3cに向かうほど外径が減少する湾曲形状であり、仮止め連結手段の係合部5Aと係合受け部5Bには、係合状態で連通するとともに、コンクリートネジKを挿通支持するとともに貫通孔1の外側面B1への取付け部2が形成されている
【0018】
各分割保持枠体3A,3Aの一端には、中央部に挿通孔2aが形成された扁平係止リング5aが固定され、他端には、中央部にすり鉢状に打ち抜き加工等で円錐状孔2bが下面側に向けて打出し形成された扁平係止受けリング5bが固定され、前記扁平係止リング5aによって仮止め連結手段5の係合部5Aが構成され、前記扁平係止受けリング5bによって、仮止め連結手段5の係合受け部5Bが構成され、両分割保持枠体3A,3Aが係合連結された状態では、係合部5Aと係合受け部5Bとが嵌合するとともに、係合部5Aが下側で係合受け部5Bが上側に重なり合う位置関係で取り付けられて取付け部2を構成する。係合部5Aと係合受け部5Bとが重なり合う状態では、係合部5Aの挿通孔2aに係合受け部5Bの円錐状孔2bが嵌合するとともに、係合部5Aと係合受け部5Bと軸芯が合致する構成になっている。両分割保持枠体3A,3Aが連結された状態では、係止部5Aと係合受け部5Bとが係合状態になって、両分割保持枠体3A,3Aを仮止め状態にすることができる。
【0019】
前記仮止め連結手段5の係合受け部5Bに形成された、下面側に突出する円錐状孔2bのテーパー外周面2cによって、係合部5Aの挿通孔2aとの係合に連れて両者5A,5Bの軸芯が合致する方向に移動案内するガイド部6が構成されている。
【0020】
前記取付け部2は、取付孔である係合部5Aの挿通孔2aと、取付孔である係合受け部5Bの円錐状孔2bとから構成され、両分割保持枠体3A,3Aが連結された状態で、両者2a、2bを通してコンクリートネジKを貫通孔1の外側面B1に螺入することによって、両分割保持枠体3A,3Aが一体連結状態になることで形成される環状保持枠3を、貫通孔1の外側面B1に取り付けられるようになっている。
【0021】
この実施形態の仮止め連結手段5,5には、係合受け部5Bに対する係合部5Aの係脱を許容する状態で、係合受け部5Bに係合された係合部5Aの抜出し移動を牽制する抜止め弾性体7が設けられている。
【0022】
この抜止め弾性体7は、図1、図7、図8に示すように、各分割保持枠体3A,3Aの係合受け部5Bの下部に、対応する係合部5Aを受け入れ可能に、かつ、受入れた係合部5Aを背後から弾圧付勢するように、先端側ほど突出量が大きくなる傾斜状態に取付られたリン青銅などからなる弾性板材から構成されており、係合受け部5Bの下部に配備される抜止め部7Aと、この抜止め部7Aの基端側縁からほぼ直角に折り曲げ形成されているとともに、分割保持枠体3Aの内周面にスポット溶接などによって固定されている取付部7Bとから構成されている。また、この抜止め弾性体7の抜止め部7Aには、挿通孔7Cが穿設され、両分割保持枠体3A,3Aが連結された状態では、係合部5Aと係合受け部5Bと抜止め部7Aとが3層に重なる状態となるとともに、係合部5Aの挿通孔2aと、係合受け部5Bの円錐状孔2bと、抜止め部7Aの挿通孔7Cの孔軸芯が合致するようになっており、これらの孔2a、2b、7Cを通してコンクリートネジKを貫通孔1の外側面B1に螺入することができる構成になっている。
【0023】
各分割保持枠体3A,3Aの先端部3cの両端部分には、両分割保持枠体3A,3Aの連結方向で相対向する連結端部に、連結方向から抜差し操作自在に係合される補助係止部8Aと補助係止受け部8Bとが設けられており,この実施形態において、一方の補助係止部8Aは、舌片8aに係止凸部8bを設けて構成され、他方の補助係止受け部8Bは、先端部3cに穿設された係止孔8cから構成されている。両分割保持枠体3A,3Aを仮止め状態にすることに追従して、係止孔8cに係止凸部8bが係入して係止部8Aと受け部8Bとが係合状態となる。
【0024】
また、各分割保持枠体3A,3Aの周面部3aの両端部分には、コンクリートネジKを取付け部2に臨ませやすくするための凹設部3dが一体形成されている。
【0025】
耐熱性充填材4としては、火災時の燃焼加熱によって体積比が4倍以上に膨張するパテ状で手作業で取扱いが可能な公地のものが用いられている。また、この耐熱性充填材4は、予め各分割保持枠体3A,3Aの内側に充填装着しておくと、作業性がよい。
【0026】
このような構成であれば、仕切り壁Bなどに形成された貫通孔1に、複数の配管C…が挿通状態に配設された段階で、例えば、下記▲1▼から▲3▼の何れかの作業操作によって、2分割された分割保持枠体3A,3Aを、貫通孔1から突出する配管Cに仮止め状態で外装する。
【0027】
▲1▼ 図3に示すように、貫通孔1から突出する配管Cに対して、左右方向から分割保持枠体3A,3Aを突き合わせて両者を仮止め状態にした環状保持枠3で配管Cを外装する
。
【0028】
▲2▼ 図4に示すように、貫通孔1から突出する配管Cに対して、両分割保持枠体3A,3Aの一方の仮止め連結手段5の係合部5Aと係合受け部5Bとを係合して、この仮止め連結手段5を回動中心として、両分割保持枠体3A,3Aを逆ハの字形に開いた中央に長尺物C…を位置させるとともに、貫通孔1の外側面B1に沿って他方の仮止め連結手段5を係合操作して、両仮止め連結手段5を仮止め状態にすることにより、貫通孔1から突出する部分の長尺物C…を外装にする。
【0029】
▲3▼ 図5に示すように、貫通孔1から突出する配管Cに対して、両分割保持枠体3A,3Aの他方の仮止め連結手段5の係合部5Aと係合受け部5Bとを係合して、この仮止め連結手段5を回動中心として、両分割保持枠体3A,3Aをハの字形に開いた中央に長尺物C…を位置させるとともに、貫通孔1の外側面B1に沿って一方の仮止め連結手段5を係合操作して、両仮止め連結手段5を仮止め状態にすることにより、貫通孔1から突出する部分の長尺物C…を外装にする。
【0030】
次いで、図9に示すように、環状保持枠3…の取付け部2,2にコンクリートネジK…を介して貫通孔1の外側面B1に螺入して、環状保持枠3を貫通孔1の外側面B1に取付け固定する。
【0031】
次いで、環状保持枠体3の内周面と配管C…の外周面との間に、耐熱性充填材4を充填して貫通孔閉塞治具Aの施工を完了する。
【0032】
〔その他の実施形態〕
1) 上記実施形態では、両分割保持枠体3A,3Aの端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、貫通孔1の外側面B1に沿った方向から係脱自在な係合部5Aと係合受け部5Bとを備えた仮止め連結手段5,5が設けられているとともに、両方の仮止め連結手段5,5が、係合状態で両分割保持枠体3A,3Aを長尺物C長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成されている例を説明したが、本発明はこれに限らず、少なくとも一方の仮止め連結手段5が、係合状態で両分割保持枠体3A,3Aを長尺物C長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成されているものであってもよい。
この場合、他端の仮止め連結手段5を構成する係合部5Aと係合受け部5Bとには、両者間に相対回動機能のない、凹凸係合、弾性係合、 電磁誘導作用による磁気係合等の係合構成を用いる。
【0033】
2) 上記実施形態において、両分割保持枠体3A,3Aが係合連結された状態では、図7、図8で係合部5Aが下側で係合受け部5Bが上側に重なり合う位置関係になるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、これらが上下逆の関係に構成されたものであってもよい。
具体的な例として、図10、図11に示すように、各分割保持枠体3A,3Aの一端には、中央部に挿通孔2aが形成された係合部5Aである扁平係止リング5aが固定され、他端には、中央部にすり鉢状の円錐状孔2bが上面側に向けて打出し形成された係合受け部5Bである扁平係止受けリング5bが固定され、両分割保持枠体3A,3Aが係合連結された状態において、係合部5Aが上側で係合受け部5Bが下側に重なり合う位置関係で取り付けられているとともに、この別実施形態では、係合受け部5Bに対する係合部5Aの係脱を許容する状態で、係合受け部5Bに係合された係合部5Aの抜出し移動を牽制する抜止め弾性体7が、係合受け部5Bの上部に配備する構成のものを開示する。
【0034】
この実施形態の場合、図12に示すように、係合部5Aの挿通孔2aと、係合受け部5Bの円錐状孔2bと、抜止め部7Aの挿通孔7Cを通してコンクリートネジKを貫通孔1の外側面B1に螺入して、環状保持枠3を貫通孔1の外側面B1に取付ることができる。
また、図13に示すように、床などに形成された貫通孔1の外側面B1に対して、環状保持枠3を載置するだけでよいような場合、タップネジ9を円錐状孔2bに螺合して、抜止め部7Aと係合部5Aと係合受け部5Bとを共締め状態に連結して、一対の分割保持枠体3A,3Aを仮止め状態から一体連結状態にすることができる。
【0035】
3) 上記各実施形態では、円錐状孔2bのテーパー外周面6cによって、係合部5Aとの係合に連れて両者5A,5Bの軸芯が合致する方向に移動案内するガイド部6が構成されている例を説明したが、これに限らず、図14、図15に示すように、係合受け部5Bの挿通孔に図面上で下側からハトメ10を打って、このハトメ10の断面半円形状の頭10Aをガイド部6に構成してもよく、係合部5Aの挿通孔2aとの係合に連れて両者5A,5Bの軸芯が合致する方向に移動案内することが可能である。この場合、ガイド部6を簡単に形成することができる。また、ハトメ10には、筒孔10Bが形成されているので、この筒孔10Bをネジ挿通孔としても兼用する取付け部2を構成する。
【0036】
4) 図16に示すように、壁Bの貫通孔1周縁に、仮止め状態に係合連結されている環状保持枠3を、貫通孔1の外側面B1に沿って動かして,貫通孔1内に臨む先端の折り曲げ傾斜部11Aを当接させることにより、その当接の感触によって環状保持枠の中心位置と貫通孔の中心位置との位置合せを行なう取付け位置規制体11、11を、各分割保持枠体3A,3Aの内面側に全周箇所又は複数箇所に設けてもよい。
【0037】
5) 上記実施形態では、構造体がコンクリート躯体からなる壁Bの貫通孔1に施工する例を説明したが、構造体がコンクリート躯体からなる床の貫通孔1に施工する例であってもよい。
また、上記実施形態では、貫通孔1の片側の開口側に本発明の貫通孔閉塞治具Aを取付け固定した例を説明したが、貫通孔1の両側の開口側に本発明の貫通孔閉塞治具A,Aを取付け固定するものであってもよい。
【0038】
6) 上記実施形態では、取付け部2を、仮止め連結手段5部分に設けた例を説明したが、これに限らず、例えば、各分割保持枠体3A、3Aの底端部3b,3bの適宜部分に外方に向けてネジ孔を穿設したネジ受け部を一体に設けて取付け部2を構成するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施形態の貫通孔閉塞治具を示す分解斜視図
【図2】貫通孔閉塞治具を貫通孔の外側面に取付けた状態を示す斜視図
【図3】長尺物を分割保持枠体で外装する直前の状態を示す簡略正面図
【図4】長尺物を分割保持枠体で外装する直前の状態を示す簡略正面図
【図5】長尺物を分割保持枠体で外装する直前の状態を示す簡略正面図
【図6】一対の分割保持枠体を付き合わせた状態を示す簡略正面図
【図7】仮止め連結手段を連結前の状態を示す要部断面図
【図8】仮止め連結手段で分割保持枠体を仮止め状態にした状態を示す要部断面図
【図9】環状保持枠が貫通孔の外側面に取付けられた状態を示す縦断面図
【図10】別実施形態の仮止め連結手段における連結前の状態を示す要部断面図
【図11】仮止め連結手段で分割保持枠体を仮止め状態にした状態を示す要部断面図
【図12】分割保持枠体を構造体に取付けられた状態を示す要部断面図
【図13】分割保持枠体を構造体に載置した状態を示す要部断面図
【図14】別実施形態のガイド部を連結前の状態で示す要部断面図
【図15】仮止め状態にした状態を示す要部断面図
【図16】取付け位置規制体の一例を示す要部断面図
【図17】従来の貫通孔閉塞治具を示す要部斜視図
【符号の説明】
A 貫通孔閉塞治具
B 構造体(壁)
B1 外側面
C 長尺物(配管)
1 貫通孔
2 取付け部
3 環状保持枠
4 耐熱性充填材
5 仮止め連結手段
5A 係合部
5B 係合受け部
6 ガイド部
7 抜止め弾性体
11 取付け位置規制体
Claims (5)
- 長尺物配設用の貫通孔が形成された構造体の外側面に対する取付け部を有し、かつ、貫通孔から突出する長尺物に外装可能な環状保持枠と、該環状保持枠の内周面と長尺物の外周面との間に貫通孔の開口を閉塞する状態で充填される耐熱性充填材とが備えられ、前記環状保持枠が、周方向で二分割された分割保持枠体から構成されている貫通孔閉塞治具であって、
前記両分割保持枠体の端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、構造体の外側面に沿った方向から係脱自在な係合部と係合受け部とを備えた仮止め連結手段が設けられているとともに、少なくとも一方の仮止め連結手段が、係合状態で両分割保持枠体を長尺物長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成され、前記仮止め連結手段の係合部と係合受け部には、係合状態で連通する取付け孔が形成されている貫通孔閉塞治具。 - 長尺物配設用の貫通孔が形成された構造体の外側面に対する取付け部を有し、かつ、貫通孔から突出する長尺物に外装可能な環状保持枠と、該環状保持枠の内周面と長尺物の外周面との間に貫通孔の開口を閉塞する状態で充填される耐熱性充填材とが備えられ、前記環状保持枠が、周方向で二分割された分割保持枠体から構成されている貫通孔閉塞治具であって、
前記両分割保持枠体の端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、構造体の外側面に沿った方向から係脱自在な係合部と係合受け部とを備えた仮止め連結手段が設けられているとともに、少なくとも一方の仮止め連結手段が、係合状態で両分割保持枠体を長尺物長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成され、前記仮止め連結手段の係合受け部には、係合部との係合に連れて両者の軸芯が合致する方向に移動案内するガイド部が形成されている貫通孔閉塞治具。 - 長尺物配設用の貫通孔が形成された構造体の外側面に対する取付け部を有し、かつ、貫通孔から突出する長尺物に外装可能な環状保持枠と、該環状保持枠の内周面と長尺物の外周面との間に貫通孔の開口を閉塞する状態で充填される耐熱性充填材とが備えられ、前記環状保持枠が、周方向で二分割された分割保持枠体から構成されている貫通孔閉塞治具であって、
前記両分割保持枠体の端部のうち、連結方向で相対向する両端部に亘って、構造体の外側面に沿った方向から係脱自在な係合部と係合受け部とを備えた仮止め連結手段が設けられているとともに、少なくとも一方の仮止め連結手段が、係合状態で両分割保持枠体を長尺物長手方向に沿った軸芯周りで相対回動自在に構成され、前記仮止め連結手段には、係合受け部に対する係合部の係脱を許容する状態で、係合受け部に係合された係合部の抜出し移動を牽制する抜止め弾性体が設けられている貫通孔閉塞治具。 - 前記両分割保持枠体の連結方向で相対向する両端部に亘って、連結方向から抜差し操作自在に係合される補助係止部と補助係止受け部とが設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の貫通孔閉塞治具。
- 前記各分割保持枠体には、構造体の貫通孔周縁に当接させることにより、環状保持枠の中心位置と貫通孔の中心位置との位置合せを行なう取付け位置規制体が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の貫通孔閉塞治具。
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