JP4159194B2 - 斜め開口治具及び開口部カバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁面や床面に斜め方向の開口部を形成する際に用いる斜め開口治具と、外壁に斜め方向の開口部を形成する際に斜め開口治具として利用することが出来、また開口部に敷設した配管のカバーとして利用することが出来る斜め開口部カバーとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅等の建物では、上階と下階との間に或いは屋外と屋内との間に各種の配管が敷設されるが、このような配管の中に例えば水道配管や温水配管がある。これらの配管を敷設する場合、配管を外壁や内壁或いは上階の床を貫通させる必要が生じる。
【0003】
この場合、各壁や床に垂直方向に貫通させた穴を形成すると共にエルボやベンド等の配管材料を利用して直角に屈折させた配管を形成し、この配管を壁や床に形成した穴に貫通させるのが一般的である。最近の水道配管や温水配管では、可撓性を持ったさや管に架橋ポリエチレン管を実装(実装管)した状態で敷設することが行われている。
【0004】
また配管を更新する場合、さや管内部の古い実装管のみを抜き取り、このさや管の内部に新しい実装管を差し入れることで行うが、該実装管の曲げによる座屈の発生を防止するために、ガイドとなるさや管を敷設する際に該さや管に必要な最小曲率半径が存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如き二重構造の配管を屈折させる場合、さや管の径が大きいため、及び実装管を円滑に交換するために、曲率半径が大きくなり、該屈曲部の納まり上大きなスペースが必要となるという問題が生じている。このため、前記配管を貫通させるべき壁や床に斜め方向の開口部を形成し、この開口部にさや管を有する配管を貫通させるようにしている。また外壁に対して垂直に開口した場合、配管を貫通させた後の貫通部の処理によっては、雨水の漏水等の問題が生じていた。
【0006】
例えば図6に示すように、建物の外壁51の屋外側に温水器52を取り付けておき、この温水器52の屋外配管53にさや管付配管54を接続するような場合、外壁51に、屋内側から屋外側にかけて下向きに傾斜するような開口部51aを形成し、該開口部51aにさや管付配管54を貫通させて屋外配管53に接続することで、屋外に設けた温水器52と屋内側とを配管している。
【0007】
外壁51に開口部51aを形成する場合、外壁材が軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)やプレキャストコンクリートパネル(PCパネル)等のコンクリート系パネルであったり、床材が前記各コンクリートパネルであるような場合、開口部51aの径に応じて選択された円筒型の鋸であるホールソーやコアドリル等の工具をハンドドリル等の回転工具に取り付けて手作業で行っている。
【0008】
しかし、壁材や床材に斜めの開口部を形成する場合、コアドリル等の工具を用いて手作業で行うことは困難な作業に属する。即ち、斜めの開口部を形成すべき部位にコアドリルを押し当てて回転させる際に、該コアドリルの刃を食いつかせることが難しく、且つコアドリルの刃が食いついた場合、食いついた部位と未だ食いついていない部位との間に偏心した荷重が作用し、該コアドリルを安定した姿勢で保持することが困難である。また切り込みを開始したとしても、コアドリルを目的の角度に保持して切削することは極めて困難である。このため、開口部を形成する作業を実行する際の時間がかかり、且つ開口部の角度や寸法等の信頼性を維持することが困難であるという問題がある。
【0009】
特に、外壁に斜めの開口部を形成した場合、外壁にかかる雨水や散水が開口部を介して屋内側に浸入することは好ましくはないため、開口部とさや管付配管との間に形成された間隙にコーキング材を充填して防水施工することが必須となる。このような防水施工を実施する場合であっても、手作業となることから、施工に時間がかかり、且つ経時的に防水の信頼性を維持することが困難であるという問題もある。
【0010】
上記各作業は作業員の手作業であることから、作業員の技能に応じて施工時間や施工の信頼性が異なり、安定した品質を得ることが困難であるという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、壁や床に斜めの開口部を形成するに際し、手作業であるにも関わらず、安定した品質を保証すると共に作業時間を短縮することが出来る斜め開口治具と、特に外壁に斜め方向の開口部を形成する際に斜め開口治具として利用することが出来、また外壁に形成した斜め方向の開口部に配管を施工した後、この配管のカバーとして利用することが出来る斜め開口部カバーを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る斜め開口治具は、金属製の平板に斜め方向の中空円筒体を接続すると共に平板の中空円筒体との接続部位をくり抜き、且つ平板に開口対象物に固定するための固定手段を設けて形成され、開口対象物に取付けた状態で前記中空円筒体にドリルを挿通することにより当該開口対象物に開口部を形成する斜め開口治具であって、前記中空円筒体は、形成すべき開口部よりも僅かに大きい径を有して形成されると共に、前記開口対象物に前記中空円筒体に連続する斜め方向の開口部を形成すべく前記開口対象物に取付けられた状態で当該開口対象物から離間する方向に突出することを特徴とするものである。
【0013】
上記斜め開口治具において、前記中空円筒体の長さは、前記開口対象物に対して開口部を形成する際に使用するドリルの全ての刃が壁に対する切削を開始するまでガイドとして安定した状態で案内し得る値に設定されていることが好ましい。
【0014】
上記斜め開口治具(以下、単に「治具」という)では、予め壁や床に形成すべき斜めの開口部の角度に対応させ且つ開口部の径に対応させた内径を有する中空円筒体を平板に接続すると共に、該平板の中空円筒体との接続部位をくり抜いておくことで、中空円筒体の内部にコアドリルやホールソー等の工具(以下「コアドリル」という)を挿通したとき、中空円筒体の内周面を挿通方向を一定にするためのガイドとして機能させることが出来る。このため、開口対象物に開口部を形成する際の作業が容易となり、且つ形成された開口部の傾斜角度が安定し、高い信頼性を発揮することが出来る。
【0015】
特に、平板に設けた固定手段によって開口対象物に固定することによって、壁や床の一部分に対してコアドリルが切削を開始したと同時に該コアドリルに偏心した荷重が作用した場合であっても、この偏心荷重によって治具が動くことがなく開口部の形成位置の安定をはかると共に高い信頼性を発揮することが出来る。
【0016】
また本発明に係る開口部カバーは、金属製の平板に斜め方向の中空円筒体を接続すると共に平板の中空円筒体との接続部位をくり抜き、且つ平板に開口対象物を固定するための固定手段を設けて形成され、前記中空円筒体は、前記開口対象物に形成される開口部よりも僅かに大きい径を有して形成されると共に、前記開口対象物に取付けられた状態で当該開口対象物から離間する方向に突出することを特徴とするものである。
【0017】
上記開口部カバーにおいて、前記平板は、前記開口対象物と対向する面に防水シール材を備え、該防水シール材を介して当該開口対象物との間に間隙を設けた状態で取り付けられることが好ましく、更に、前記平板には、前記開口対象物に取付けられた状態で当該開口対象物に向けて突出するフランジ部が全周にわたって形成されていることが好ましい。
【0018】
また上記何れかの開口部カバーにおいて、前記中空円筒体の長さは、前記開口対象物に対して開口部を形成する際に使用するドリルの全ての刃が壁に対する切削を開始するまでガイドとして安定した状態で案内し得る値に設定されていることが好ましい。
【0019】
上記開口部カバーでは、固定手段によって開口対象物の開口部を形成すべき位置に予め固定しておき、この状態で前述と同様にしてコアドリルを用いて作業することで、位置や角度或いは寸法等に対する信頼性の高い開口部を形成することが出来る。また前記斜め開口部を形成した後開口部カバーを開口対象物から取り外すことなくさや管付の配管を施工することで、或いは予め形成されていた開口部に配管を施工した後該配管に開口部カバーを取り付けることで、前記配管をカバーして保護することが出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、上記治具及び開口部カバーの好ましい実施形態について図を用いて説明する。図1は治具の構成を説明する図である。図2は治具を用いて壁に開口部を形成する際の説明図である。図3は上階の床に開口部を形成して下階の天井から配管した場合の構成を説明する図である。図4は開口部カバーの構成例を説明する図である。図5は例えばALCパネル等の化粧外壁面に4連の開口部カバーを取り付けた状態を説明する図である。
【0021】
図1に示す治具Aは、図3に示すように、梁61に支持された上階の床62に間仕切り壁63を設け、この間仕切り壁63に対し天井64の空間を介してさや管付配管65を敷設するような場合に、さや管付配管65の曲率半径を大きくして無理な力を作用させることなく且つ必要な配管スペースを小さくすることを実現するために、床62に斜めの開口部62aを形成する際に、更に、図6に示すように、外壁51に開口部51aを形成する際に利用して有利なものである。
【0022】
また図4に示す開口部カバーBは、特に、図6に二点鎖線で示すように、外壁51の屋外側に固定することによって、該外壁51に斜めの開口部51を形成する際の治具としても利用し、さや管つき配管54を敷設した後は、防水機能を有するカバーとして利用し得るものである。
【0023】
先ず、図1により治具Aの構成について説明する。治具Aは、予め設定された寸法を持った平板1と、平板1に予め設定された斜め方向の角度で接続された中空円筒体となるパイプ2と、によって構成されている。また平板1のパイプ2との接続部位はパイプ2の内形と一致した形状を持ってくり抜かれている。
【0024】
平板1は適度な剛性と予め設定された寸法を持った金属板によって構成されており、パイプ2を接続すべき部位には、該パイプ2を接続するための孔1aがくり抜かれている。前記孔1aは、パイプ2の外径又は内径と交差角度とによって設定される楕円形であり、パイプ2との接続方式(溶接,カシメ等)に対応させた寸法を持って形成されている。
【0025】
パイプ2は、内径が図2に示す斜めの開口部を形成すべき壁や床等の開口対象物(以下代表して「壁3」という)に形成すべき開口部4の径よりもコアドリル5を無理なく挿通し得る程度に僅かに大きい値を有し、且つ長さが開口部4の長さに対応した値を有し、一方の端部は開口部4の角度に一致した角度を持って切断され、該端部を平板1の所定位置に当接させて接続している。従って、パイプ2は平板1の一方側に起立させた状態で固定されている。
【0026】
パイプ2を構成する材料として特に限定するものではないが、開口部4の径によりも僅かに大きい径を有し、且つ充分に高い剛性を発揮し得る材質と厚さを持った規格の金属パイプを用いることが可能である。またパイプ2の長さは、壁3に対して開口部4を形成する際に使用するコアドリル5の全ての刃が壁3に対する切削を開始するまでガイドとして安定した状態で案内し得る値に設定されている。
【0027】
即ち、壁3に対する開口部4の角度αとし、コアドリル5の外径をDとしたとき、円筒状のコアドリル5の全ての刃が壁3を切削し得るまでの長さLは、L=D× tanαで表される。このため、コアドリル5を安定させた状態で壁3の切り込みを開始させるためには、パイプ2の長さは、少なくとも前記Lにコアドリル5をガイドすると共に切削時に安定して支持するための長さaを加えたL+a以上の長さに設定されている。
【0028】
ここで、上記コアドリル5をガイドし且つ支持するための長さaは、複数の作業員が実際に作業した結果から、開口部4の品質を確保することが可能で且つ作業を安定した状態で進行させることが可能な値、即ち、経験値によって設定されている。例えば、本実施例に於いて、開口部4の角度を45度とし、且つコアドリル5の径を54mmとした場合、パイプ2は、L=54mmとなり、また経験値による長さaを54mmとし、全長が108mmに設定されている。
【0029】
壁3に対して開口部4を形成する際に、特に、コアドリル5が壁3に対する切削を開始した直後は、コアドリル5の一部のみが切削に寄与することから偏心荷重が作用する。この結果、コアドリル5がパイプ2に繰り返し衝突することがある。この衝突によってパイプ2に衝撃が作用し、パイプ2から平板1に伝達される。このため、パイプ2の平板1に対する接続方式は充分な強度を有することが必要であり、両者を溶接により接続することが好ましい。また平板1も強固に固定しておくことが好ましい。
【0030】
本実施例では、平板1に形成した孔1aにパイプ2を差し込んだ後、パイプ2の全周を溶接して接続しており、更に、平板1に固定手段となる複数の取付孔1bを形成し、該取付孔1bを介して釘或いはビス等の固定具6によって壁3に固定し得るように構成している。
【0031】
尚、治具Aでは、壁3に開口部4を形成した後、固定具6を抜いて固定した治具Aを取り外すように構成されている。
【0032】
壁3は、前述したように外壁,内壁,床等からなり、これらの壁3を構成する材料を特に限定するものではない。即ち、壁3が、ALCパネルやPCパネル或いはモルタル等を材料として構成された場合であっても支障なく開口部4を形成することが可能である。
【0033】
尚、図2には便宜的に異なる厚さを持った壁3が記載されており、且つ治具Aには上下に連接したパイプ2を設けた状態で記載されている。しかし、壁3には必ずしも1個の開口部4が形成されるものではなく、例えば壁3の近傍に給湯設備を設置した場合、該給湯設備に隣接した位置に複数(2個,4個)の開口部4を形成することがある。この場合、図1の治具Aを位置を変更しながら利用して複数の開口部4を形成することが可能であるが、予め平板1に複数のパイプ2を接続して構成した治具Aを用いるのが効率的である。
【0034】
即ち、治具Aは平板1に対して接続するパイプ2の数を限定するものではなく、1本のパイプ2を接続したもの、給湯設備のように冷水用,温水用の2本のパイプ2を接続したもの、更には、冷水用,温水用以外に、燃料用,追い焚き用の4本のパイプ2を接続したもの、等種々のものを構成することが可能である。
【0035】
また壁3を構成する材料がALCパネルやPCパネルのように内部に鉄筋を有するものである場合、開口部4を形成する際に鉄筋と交差したとき、コアドリル5によって鉄筋を切断することになる。この場合、コアドリル5が鋼材を切断する機能を有するものではないため、刃が損傷することがある。このため、治具Aを壁3に固定する際には、パイプ2の位置を鉄筋を避けて設置することが好ましい。
【0036】
例えば、壁3が表面に図5に示すような化粧目地3aを有するものである場合、該化粧目地3aと鉄筋の位置とが予め設定された関係を有するため、予め平板1の所定位置にマークmを形成しておき、このマークmと化粧目地3aを一致させて固定することで、パイプ2を鉄筋から回避し得るようにすることが好ましい。また壁3が化粧目地を持たない場合には、幅方向の端部から一定の寸法を設定して固定することで、パイプ2を鉄筋から回避し得るようにしても良い。
【0037】
次に、上記の如く構成した治具Aを用いて斜めの開口部を形成する手順について図3を用いて説明する。尚、図3は上階の床に斜めの開口部を形成する場合についての説明する図である。
【0038】
図に於いて、建物の梁61の上部にALCパネル等からなる床62が支持されており、該床62の上面側であって梁61の上方には間仕切り壁63が設置され、且つ下面側に天井64が構成されている。天井64と床62との間に形成された空間及び間仕切り壁63にさや管付配管65が敷設されている。
【0039】
上記床62に開口部62aを形成する場合、床62の下面側で且つ間仕切り壁63を見込んだ位置(梁61の近傍であることが多い)で開口部62aを形成すべき位置を測り出し、この位置に治具Aを当接させて釘やビス等の固定具6によって床62の下面に固定する。このとき、平板1の一部が梁61のフランジに干渉するような場合には、同図に於ける要部拡大図に示すように、該フランジを避けた位置に固定する。
【0040】
その後、回転工具に取り付けたコアドリル5をパイプ2に挿通し、この状態でコアドリル5を回転させつつ前進させると、コアドリル5の刃の一部が床62の下面に食いつき、切削が開始される。このとき、コアドリル5に大きな偏心荷重が作用して振動するが、前進方向がパイプ2に案内されるため、食いついた部位を起点として切削を開始することが可能となる。そしてコアドリル5の前進に伴って全ての刃が床62を切削するに至って偏心荷重が作用することなく、安定した状態に移行して切削を継続する。
【0041】
上記の如くして床62に開口部62aを形成することが可能であり、該開口部62aを形成した後は、治具Aを固定した固定具6を抜いて該治具Aを床62の下面から取り外し、次に形成すべき開口部62aの位置に移動する。また形成された開口部62aにはさや管付配管65を挿通して水道配管或いは温水配管を敷設することが可能である。
【0042】
次に、開口部カバーBの構成について図4により説明する。尚、図に於いて前述の治具Aと同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図に示すように、平板1の全周にわたってフランジ部1cが形成されており、このフランジ部1cによって、開口部カバーBを外壁としての壁3の外表面に当接させたとき、該表面と平板1の裏面との間に間隙を形成し得るように構成されている。
【0044】
本実施例に於いて、フランジ1cの内周面の全周にわたって弾力性を有する防水シール材7が取り付けられると共に平板1にくり抜かれた孔1aの全周にも同様の防水シール材7が取り付けられている。このため、開口部カバーBを壁3に当接させて図示しない固定具によって固定したとき、平板1に形成されたフランジ部1cの内周と孔1aの周囲に設けた防水シール材7が壁3の表面と圧着し、これにより、壁3に形成された開口部4の周囲を防水することが可能である。防水シール材7としては特に限定するものではない。しかし、外壁としての壁3の外表面は微細な凹凸があり、防水シール材7は充分な弾力性を有し且つ充分な防水性を有するものであることが必要である。
【0045】
また開口部カバーBは、壁3の外表面に取り付けた状態(図5参照)となるため、平板1及び及びパイプ2は錆や腐食のないものであることが必要である。このため、開口部カバーBでは平板1及びパイプ2がステンレスを材料として構成されている。
【0046】
上記の如く構成された開口部カバーBでは、壁3に形成すべき開口部4に対応する位置に固定具によって固定することで、開口部カバーBと壁3との間をシールし、この状態でパイプ2にコアドリル5を挿通して壁3に開口部4を形成することが可能である。即ち、開口部カバーBは、壁3に斜めの開口部4を形成する際の斜め開口治具Aとして機能させることも可能である。
【0047】
そして壁3に開口部4を形成した後、該壁3から取り外すことなくパイプ2を利用して図示しないさや管付配管を敷設することが可能である。即ち、さや管付配管を保護すると共に壁3に対する漏水を防止することが可能な開口部のカバーとしての機能を発揮することも可能である。
【0048】
尚、上記開口部カバーBであっても、平板1に設けるパイプ2の数は限定するものではなく、目的の設備に応じて1本のパイプ2或いは2本〜4本のパイプ2を設けることが可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る治具では、外壁や内壁或いは床等に斜め方向の開口部を形成する場合、これらの表面に平板を当接させて固定し、且つ平板に接続したパイプにコアドリル等の工具を挿通して回転させることで、パイプをガイドとしてコアドリルの進行方向を規制することが出来る。またコアドリルの刃の一部が各壁や床に食い込んだときに偏心荷重が発生しても、この偏心荷重をパイプ及び平板を介して各壁や床に伝達することが出来る。このため、開口部の角度や位置及び寸法の精度を向上させることが出来る。
【0050】
また本発明に係る開口部カバーでは、外壁に開口部を形成する際に外壁の外表面に固定することで、平板に接続したパイプをガイドとして外壁に斜め方向の開口部を形成することも出来る。従って、外壁に斜めの開口部を形成する際の治具として機能させると共に形成された開口部のカバーとして機能させることが出来る。
【0051】
上記治具或いは開口部カバーでは、斜め方向の開口部を形成するに際し、コアドリルの角度を正確に保持することが出来る。このため、形成された開口部を通してさや管付の配管を施工する場合、該配管の曲率半径を予め設定された最小値よりも大きくなるように管理することが可能となり、配管の座屈を防止して良好な配管を施工することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】治具の構成を説明する図である。
【図2】治具を用いて壁に開口部を形成する際の説明図である。
【図3】上階の床に開口部を形成して下階の天井から配管した場合の構成を説明する図である。
【図4】開口部カバーの構成例を説明する図である。
【図5】例えばALCパネル等の化粧外壁面に4連の開口部カバーを取り付けた状態を説明する図である。
【図6】課題を説明すると共に外壁に開口部を形成する場合の構成を説明する図である。
【符号の説明】
A 治具
B 開口部カバー
1 平板
1a 孔
1b 取付孔
1c フランジ部
2 パイプ
3 壁
4 開口部
5 コアドリル
6 固定具
7 防水シール材
51 外壁
51a 開口部
52 温水器
53 屋外配管
54 さや管付配管
61 梁
62 床
63 間仕切り壁
64 天井
65 さや管付配管

Claims (6)

  1. 金属製の平板に斜め方向の中空円筒体を接続すると共に平板の中空円筒体との接続部位をくり抜き、且つ平板に開口対象物に固定するための固定手段を設けて形成され、開口対象物に取付けた状態で前記中空円筒体にドリルを挿通することにより当該開口対象物に開口部を形成する斜め開口治具であって、
    前記中空円筒体は、形成すべき開口部よりも僅かに大きい径を有して形成されると共に、前記開口対象物に前記中空円筒体に連続する斜め方向の開口部を形成すべく前記開口対象物に取付けられた状態で当該開口対象物から離間する方向に突出することを特徴とする斜め開口治具。
  2. 前記中空円筒体の長さは、前記開口対象物に対して開口部を形成する際に使用するドリルの全ての刃が壁に対する切削を開始するまでガイドとして安定した状態で案内し得る値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の斜め開口治具。
  3. 金属製の平板に斜め方向の中空円筒体を接続すると共に平板の中空円筒体との接続部位をくり抜き、且つ平板に開口対象物を固定するための固定手段を設けて形成され、
    前記中空円筒体は、前記開口対象物に形成される開口部よりも僅かに大きい径を有して形成されると共に、前記開口対象物に取付けられた状態で当該開口対象物から離間する方向に突出することを特徴とする開口部カバー。
  4. 前記平板は、前記開口対象物と対向する面に防水シール材を備え、該防水シール材を介して当該開口対象物との間に間隙を設けた状態で取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の開口部カバー
  5. 前記平板には、前記開口対象物に取付けられた状態で当該開口対象物に向けて突出するフランジ部が全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の開口部カバー。
  6. 前記中空円筒体の長さは、前記開口対象物に対して開口部を形成する際に使用するドリルの全ての刃が壁に対する切削を開始するまでガイドとして安定した状態で案内し得る値に設定されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の開口部カバー。
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