JP4777677B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された従来技術では、飽和高級脂肪酸エステルの存在下に水中媒体中にて懸濁重合を行い、重合粒子を得ている。つまり飽和高級脂肪酸エステルを添加するタイミングは重合工程であり、このようにして得られた発泡性スチレン系樹脂粒子から発泡成形体を得ようとする場合、特に低圧(省蒸気)下で型内発泡成形する場合において、得られる発泡成形体は表面の美麗性が十分でない問題がある。これは、可塑剤として飽和高級脂肪酸エステルを重合段階で添加すると、粒子中に均一分散するため、粒子表面付近の含有量が少なくなり、型内発泡成形時に発泡粒子表面の伸びが改善されないためと考えられる。
また、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造に一般的に使用されている他の添加物、例えば、飽和高級脂肪酸エステル以外の可塑剤、溶剤、難燃剤、染料、気泡調整剤等を併用することもできる。
容量50リットルのオートクレーブにスチレン単量体100質量部、水100質量部、リン酸三カルシウム0.2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.005質量部、ベンゾイルパーオキサイド0.25質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.1質量部を仕込み、90℃で6時間懸濁重合させ、更に125℃に昇温してから2時間後に冷却し、水を分離、乾燥後、篩分けして粒子径0.7〜1.2mmのポリスチレン系樹脂粒子を得た。
容量5リットルのオートクレーブに前記ポリスチレン系樹脂粒子100質量部、水100質量部、リン酸三カルシウム0.2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01質量部を仕込み、シクロヘキサン2.0質量部、ステアリン酸ブチル0.8質量部、水5.0質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.005質量部をホモミキサーにて室温で10分間混合したものとブタン6質量部を圧入して110℃に5時間保った。冷却後、水を分離し、乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた粒子にブロッキング防止剤としてステアリン酸亜鉛0.1質量部、融着促進剤として1,2−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08質量部をコーティングした。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩倍率40倍に予備発泡し、室温にて24時間放置した後、型内発泡成形を行った。型内発泡成形は積水工機社製のACE−3SP成形機を用い、400×300×100mm、肉厚20mmの箱型に発泡成形した。加熱時間は、一方加熱時間8秒、逆一方加熱時間2秒、両面加熱時間5秒とし、成形圧(水蒸気吹き込みゲージ圧)を低圧の0.06MPaとした場合と、それよりも高圧の0.08MPaとした場合とでそれぞれ発泡倍率40倍の発泡成形体を作製した。結果を表1に示した。
図1は、実施例1で作製した発泡成形体1の表面を示す図であり、この発泡成形体1は、多数の発泡粒子2が隙間なく融着し、隣り合う発泡粒子2間の境界部3が小さくなっており、表面に凹凸が少なく、美麗な外観に仕上がっている。
シクロヘキサン0.5質量部、ステアリン酸ブチル1.5質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
シクロヘキサン2.5質量部、ステアリン酸ブチル0.3質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
ステアリン酸ブチル0.8質量部をラウリン酸ブチル0.8質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
容量5リットルのオートクレーブにスチレン単量体100質量部、水100質量部、リン酸三カルシウム0.2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.005質量部、ベンゾイルパーオキサイド0.25質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.1質量部、ステアリン酸ブチル0.8質量部を仕込み、90℃で6時間懸濁重合させた。その後、リン酸三カルシウム0.1質量部を添加し、シクロヘキサン2.0質量部とブタン6質量部を圧入して110℃に5時間保った。冷却後、水を分離し、乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた粒子にブロッキング防止剤としてステアリン酸亜鉛0.1質量部、融着促進剤として12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08質量部をコーティングした。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩倍率40倍に予備発泡し、室温にて24時間放置した後、型内発泡成形を行った。型内発泡成形は、積水工機社製のACE−3SP成形機を用い、400×300×100mm、肉厚20mmの箱形に発泡成形した。加熱時間は、一方加熱時間8秒、逆一方加熱時間2秒、両面加熱時間5秒とし、成形圧(水蒸気吹き込みゲージ圧)を低圧の0.06MPaとした場合と、それよりも高圧の0.08MPaとした場合とでそれぞれ発泡倍率40倍の発泡成形体を作製した。結果を表1に示した。
図2は、比較例1で作製した発泡成形体4の表面を示す図であり、この発泡成形体4は、多数の発泡粒子5がやや隙間をもって融着し、隣り合う発泡粒子5間の境界部6が図1の発泡成形体1に比べて大きくなっており、表面に凹凸が生じ、図1の発泡成形体よりも外観が劣っていた。
シクロヘキサン0.5質量部、ステアリン酸ブチル2.0質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
シクロヘキサン2.5質量部、ステアリン酸ブチル0.2質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
シクロヘキサン0.5質量部、ステアリン酸ブチル0.2質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
シクロヘキサン2.5質量部、ステアリン酸ブチル2.0質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
400×300×100mm、肉厚20mmの箱形に発泡成形した発泡成形体の表面を拡大鏡にて50倍に拡大して観察し、図3に示すように、隣り合う2つの発泡粒子aとa’のそれぞれのほぼ中心を直線で結び、その直線上にある境界部3,6(図3中において粒子間の黒い部分)の長さをΔaとする。同様に、別の隣り合う2つの発泡粒子bとb’のそれぞれのほぼ中心を直線で結び、その直線上にある境界部3,6の長さをΔbとする。同様にして任意の発泡粒子の対を10点測定し、境界部の長さの平均値(粒子間隔の平均値)を求める。
求められた粒子間隔の平均値より、表面外観を次の判定基準に照らして判定した。
◎:粒子間隔の平均値が0〜150μm。
○:粒子間隔の平均値が151〜200μm。
△:粒子間隔の平均値が201〜300μm。
×:粒子間隔の平均値が301μm以上、または発泡粒子が収縮した状態になるいわゆるトケが表面に発生しているもの。
長さ400mm、幅300mm、厚み30mmの平板形状の発泡成形体の表面に、一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割し、その破断面における発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について粒子内で破断している粒子の数(a)と粒子同士の界面で破断している粒子の数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b)]×100に代入して得られた値を融着率(%)とした。
融着の判定に用いた平板形状の発泡成形体は、外観の判定に用いた箱形の発泡成形体の成形条件と同様にして作製した。
発泡倍率40倍の発泡成形体を作製し、最大曲げ強さはJIS K9511:1999「発泡プラスチック保温材」記載の方法に準じて測定した。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用い、試験体サイズは75×300×50mmで圧縮速度を10mm/min、先端治具は加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離は200mmとして測定した。
測定方法
試験装置:テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)。
試験片:75×300×50mm。試験片の数は3個とする。
試験速度:10mm/min。
先端治具:加圧くさび…10R、支持台…10R。
支点間距離:200mm。JIS K9511規格に準じて、発泡成形体の曲げ強度を測定した。
曲げ強度測定に用いた試験体サイズの発泡成形体は、外観の判定に用いた箱形の発泡成形体の成形条件と同様にして作製した。成形圧(水蒸気吹き込みゲージ圧)を0.06MPaとした場合の発泡成形体の曲げ強度を表1に示した。
一方、樹脂粒子の懸濁重合時に(A)としてステアリン酸ブチルを加え、発泡剤含浸時に(B)としてシクロヘキサンを加えた比較例1では、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に発泡成形体の表面の粒子間隔が大きくなり、美麗な外観とならなかった。
また、(A)と(B)の混合比が本発明の範囲よりも大きい(A/B=4.0)比較例2では、発泡成形体の表面にトケが生じ、美麗な外観とならなかった。
また、(A)と(B)の混合比が本発明の範囲よりも小さい(A/B=0.08)比較例3では、特に低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に発泡成形体の表面の粒子間隔が大きくなり、美麗な外観とならなかった。
また、(A)と(B)の合計量が本発明の範囲よりも少ない(A+Bが0.7質量部)比較例4では、特に低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に発泡成形体の表面の粒子間隔が大きくなり、美麗な外観とならず、さらに曲げ強度も低くなった。
また、(A)と(B)の合計量が本発明の範囲よりも多い(A+Bが4.5質量部)比較例5では、発泡成形体の表面にトケが生じ、美麗な外観とならなかった。
Claims (6)
- ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、(A)ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸オクチルからなる群から選択される1種または2種以上である飽和高級脂肪酸エステルと(B)環式脂肪族炭化水素とをそれぞれの混合比(A/B)が0.10〜3.0の範囲となるように混合した混合物(A+B)を0.8〜4.0質量部と、1気圧における沸点が50℃未満の発泡剤3〜10質量部とを水性媒体中、加熱・加圧条件下で前記ポリスチレン系樹脂粒子と接触させ、前記ポリスチレン系樹脂粒子に前記混合物及び前記発泡剤を含浸せしめて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、次いで水性媒体から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を分離することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 前記(B)環式脂肪族炭化水素が、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンからなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 前記発泡剤が、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンからなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 請求項4に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱発泡して得られたポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 請求項5に記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られた発泡成形体。
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