JP4777677B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体 Download PDF

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本発明は、発泡成形して発泡成形体を作製するための発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関し、特に、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形する場合においても表面の美麗性に優れた発泡成形体を製造可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、該方法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、これを予備発泡させたポリスチレン系樹脂発泡粒子、該発泡粒子を発泡成形して得られた発泡成形体に関する。
発泡剤を含んだ発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、水蒸気等の熱媒により軟化点以上に加熱すると、独立気泡を有する粒子状のポリスチレン系樹脂発泡粒子(予備発泡粒子)が得られる。この予備発泡粒子を小さな孔やスリットを有する成形型のキャビティ内に充填して、水蒸気等の熱媒で加熱するいわゆる型内発泡成形を行うことによって、予備発泡粒子を膨張させて粒子間の隙間を埋めながら互いに融着させて目的の発泡成形体が得られる。このような発泡成形体は、形状の自由性、緩衝性、断熱性、軽量性、耐水性などの特性に優れていることから、各種の容器、緩衝材、住宅用断熱材、各種内装材などの材料として広く用いられている。従来より、型内発泡成形により得られる発泡成形体の各種特性を改善したり、残留モノマーを低減するため、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して種々の改良が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特許文献1には、スチレンモノマーまたはスチレンモノマーを主成分とするモノマー混合物をスチレンモノマーに対して0.05から2.0質量%の飽和高級脂肪酸エステル、及び重合開始剤の存在下に水性媒体中にて懸濁重合を行い、重合開始剤がスチレンモノマーに対して0.05質量%以上の高温開始型の重合開始剤を含み、最終の重合温度を110℃以上とし、さらに、スチレンモノマーに対して3.0から10.0質量%のブタンまたはブタンを主成分とする発泡ガスを系中に添加することを含む発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が開示されている。この特許文献1の実施例中には、可塑剤として飽和高級脂肪酸エステルであるステアリン酸ブチルを重合段階で添加し、環式脂肪族炭化水素であるシクロヘキサンを重合終了後に添加する旨が記載されている。
特許文献2には、発泡剤と難燃剤とを含浸させてなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、その表面に脂肪酸金属塩又は無機物粒子の少なくとも一種よりなるコーティング剤を被覆してなり、上記脂肪酸金属塩は上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対し0.3質量部以下、無機物粒子は0.4質量部以下用いることを特徴とする自己消火性発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が開示されている。
特許文献3には、スチレン系単量体100質量部に対し、有機臭素化合物0.4〜6質量部、1〜20個の炭素原子を有するアルコール0.0001〜0.1質量部を添加すると共に難水溶性無機塩を懸濁剤として添加し、水系媒体中において上記スチレン系単量体100質量部に対して発泡剤を1〜20質量部添加することを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
特開平10−17698号公報 特開2002−20527号公報 特開2002−53605号公報
しかしながら、前述した従来技術には、次のような問題があった。
特許文献1に記載された従来技術では、飽和高級脂肪酸エステルの存在下に水中媒体中にて懸濁重合を行い、重合粒子を得ている。つまり飽和高級脂肪酸エステルを添加するタイミングは重合工程であり、このようにして得られた発泡性スチレン系樹脂粒子から発泡成形体を得ようとする場合、特に低圧(省蒸気)下で型内発泡成形する場合において、得られる発泡成形体は表面の美麗性が十分でない問題がある。これは、可塑剤として飽和高級脂肪酸エステルを重合段階で添加すると、粒子中に均一分散するため、粒子表面付近の含有量が少なくなり、型内発泡成形時に発泡粒子表面の伸びが改善されないためと考えられる。
特許文献2及び3には、重合粒子を得た後に、飽和高級脂肪酸エステルを添加してもよい旨の例示的な記載があるが、どのような条件で添加するかについての詳細な記述はなく、また飽和高級脂肪酸エステルを添加することによる特有の効果についても記載されていない。従って、特許文献2及び3に記載された従来技術を参照しても、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形する場合において、得られる発泡成形体表面の美麗性を改良することはできない。
本発明は前記事情に鑑みてなされ、低圧(省蒸気)下で成形する場合において、得られる発泡成形体表面の美麗性を改善できる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、(A)炭素数10〜22個の飽和脂肪酸と、炭素数4〜18の脂肪族一価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステルである飽和高級脂肪酸エステルと(B)環式脂肪族炭化水素とをそれぞれの混合比(A/B)が0.10〜3.0の範囲となるように混合した混合物(A+B)を0.8〜4.0質量部と、1気圧における沸点が50℃未満の発泡剤3〜10質量部とを水性媒体中、加熱・加圧条件下で前記ポリスチレン系樹脂粒子と接触させ、前記ポリスチレン系樹脂粒子に前記混合物及び前記発泡剤を含浸せしめて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、次いで水性媒体から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を分離することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記(B)環式脂肪族炭化水素が、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記発泡剤が、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
また本発明は、前述した本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
また本発明は、前述した本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱発泡して得られたポリスチレン系樹脂発泡粒子を提供する。
また本発明は、前述した本発明に係るポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られた発泡成形体を提供する。
本発明によれば、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合でも、得られる発泡成形体表面の美麗性を改善できる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を提供することができる。
本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、(A)飽和高級脂肪酸エステルと(B)環式脂肪族炭化水素とをそれぞれの混合比(A/B)が0.10〜3.0の範囲となるように混合した混合物(A+B)を0.8〜4.0質量部と、1気圧における沸点が50℃未満の発泡剤3〜10質量部とを水性媒体中、加熱・加圧条件下で前記ポリスチレン系樹脂粒子と接触させ、前記ポリスチレン系樹脂粒子に前記混合物及び前記発泡剤を含浸せしめて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、次いで水性媒体から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を分離することを特徴とする。
本発明において用いるポリスチレン系樹脂粒子としては、スチレン系単量体の単独重合体のほか、スチレン系単量体と他の単量体との共重合体及び他の重合体にスチレン系単量体をグラフト重合させて得られたグラフト重合体を含んでいる。また、前記のスチレン系単量体はスチレンのほか、クロロスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン等を含んでいる。また、前記の共重合体は、スチレンと、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、セチルアクリレートなどのアクリル酸及びメタクリル酸のエステルとの共重合体、あるいはスチレンと、アクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体との共重合体を含んでいる。これらのスチレン以外の単量体としては、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールメタクリレートなどの多官能性単量体を併用してもよい。前記のグラフト重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体にスチレンをグラフト重合させて得られたグラフト重合体を含んでいる。これらのポリスチレン系樹脂の質量平均分子量は15万〜40万の範囲が好ましい。ポリスチレン系樹脂粒子の重合方法、粒径及び形状は限定されないが、懸濁重合法により製造されたポリスチレン系樹脂粒子を用いる場合、粒径が0.1〜10mm程度の球状の粒子が好ましい。
本発明において用いる発泡剤としては、1気圧下における沸点が50℃未満の炭化水素系発泡剤、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類などが挙げられる。その他の発泡剤としては、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガスが挙げられる。これらの発泡剤は単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
本発明において用いる(A)飽和高級脂肪酸エステルは、飽和高級脂肪酸、好ましくは炭素数10〜22個の飽和脂肪酸と、炭素数4〜18の脂肪族一価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステルが挙げられる。飽和高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。脂肪族一価アルコールとしては、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどがあげられる。多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらの飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステルのうち、特に好ましい(A)飽和高級脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸オクチルが挙げられる。
本発明において用いる(B)環式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明の製造方法では、前記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる際に、ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、前記(A)飽和高級脂肪酸エステルと(B)環式脂肪族炭化水素とをそれぞれの混合比(A/B)が0.10〜3.0の範囲となるように混合した混合物(A+B)を0.8〜4.0質量部と、前記発泡剤3〜10質量部とを水性媒体中、加熱・加圧条件下で前記ポリスチレン系樹脂粒子と接触させ、前記混合物と発泡剤とをポリスチレン系樹脂粒子に含浸させることにより、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合でも、得られる発泡成形体表面の美麗性を改善できる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
前記(A)飽和高級脂肪酸エステルと(B)環式脂肪族炭化水素とをそれぞれの混合比(A/B)が0.10〜3.0の範囲である混合物を可塑剤として用いることで、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合でも表面が美麗でかつ高い曲げ強度を持つ発泡成形体が得られる。この混合比(A/B)が0.10未満であると、(A)飽和高級脂肪酸エステルの量が少なくなり、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に、隣り合う発泡粒子間の境界部が大きくなり表面に凹凸が生じ、表面が美麗な発泡成形体を得ることが難しくなる。一方、この混合比(A/B)が3.0を超えると、(A)飽和高級脂肪酸エステルの量が多くなり、発泡粒子の可塑性が大きくなりすぎて耐熱性が低下するため、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に、発泡粒子が収縮した状態になるいわゆるトケが生じ、表面が美麗な発泡成形体を得ることが難しくなる。
前記混合物(A+B)の量をポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.8〜4.0質量部の範囲とすることによって、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合でも表面が美麗でかつ高い曲げ強度を持つ発泡成形体が得られる。この混合物の量が0.8質量部未満であると、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に発泡粒子同士の融着率が低下し、曲げ強度が低くなってしまう。一方、この混合物の量が4.0質量部を超えると、発泡粒子の可塑性が大きくなりすぎて耐熱性が低下するため、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に、発泡粒子が収縮した状態になるいわゆるトケが生じ、表面が美麗な発泡成形体を得ることが難しくなる。
本発明の製造方法において、前記ポリスチレン系樹脂粒子は、スチレン系単量体あるいはスチレン系単量体と他の単量体と重合開始剤とを水性媒体に入れ、加熱下で重合反応させる懸濁重合法によって作製することが望ましい。この懸濁重合法でポリスチレン系樹脂粒子を作製した後、同じ水性媒体に(A)飽和高級脂肪酸エステルと(B)環式脂肪族炭化水素との混合物(A+B)、及び発泡剤を所定量加え、加熱・加圧条件下で処理して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製することもできる。同じオートクレーブ等の処理槽内で懸濁重合法によるポリスチレン系樹脂粒子の作製と発泡剤の含浸とを連続的に行うことができ、生産効率を高めることができる。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、水性媒体から分離し、水洗して乾燥する。
なお、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して通常行われているように、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、帯電防止剤などのコーティングを行うことにより、ビーズの流動性、予備発泡時のブロッキング防止性、予備発泡粒子の帯電防止性などを改善することもできる。
また、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造に一般的に使用されている他の添加物、例えば、飽和高級脂肪酸エステル以外の可塑剤、溶剤、難燃剤、染料、気泡調整剤等を併用することもできる。
〔ポリスチレン系樹脂粒子の作製〕
容量50リットルのオートクレーブにスチレン単量体100質量部、水100質量部、リン酸三カルシウム0.2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.005質量部、ベンゾイルパーオキサイド0.25質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.1質量部を仕込み、90℃で6時間懸濁重合させ、更に125℃に昇温してから2時間後に冷却し、水を分離、乾燥後、篩分けして粒子径0.7〜1.2mmのポリスチレン系樹脂粒子を得た。
[実施例1]
容量5リットルのオートクレーブに前記ポリスチレン系樹脂粒子100質量部、水100質量部、リン酸三カルシウム0.2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01質量部を仕込み、シクロヘキサン2.0質量部、ステアリン酸ブチル0.8質量部、水5.0質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.005質量部をホモミキサーにて室温で10分間混合したものとブタン6質量部を圧入して110℃に5時間保った。冷却後、水を分離し、乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた粒子にブロッキング防止剤としてステアリン酸亜鉛0.1質量部、融着促進剤として1,2−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08質量部をコーティングした。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩倍率40倍に予備発泡し、室温にて24時間放置した後、型内発泡成形を行った。型内発泡成形は積水工機社製のACE−3SP成形機を用い、400×300×100mm、肉厚20mmの箱型に発泡成形した。加熱時間は、一方加熱時間8秒、逆一方加熱時間2秒、両面加熱時間5秒とし、成形圧(水蒸気吹き込みゲージ圧)を低圧の0.06MPaとした場合と、それよりも高圧の0.08MPaとした場合とでそれぞれ発泡倍率40倍の発泡成形体を作製した。結果を表1に示した。
図1は、実施例1で作製した発泡成形体1の表面を示す図であり、この発泡成形体1は、多数の発泡粒子2が隙間なく融着し、隣り合う発泡粒子2間の境界部3が小さくなっており、表面に凹凸が少なく、美麗な外観に仕上がっている。
[実施例2]
シクロヘキサン0.5質量部、ステアリン酸ブチル1.5質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
[実施例3]
シクロヘキサン2.5質量部、ステアリン酸ブチル0.3質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
[実施例4]
ステアリン酸ブチル0.8質量部をラウリン酸ブチル0.8質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
[比較例1]
容量5リットルのオートクレーブにスチレン単量体100質量部、水100質量部、リン酸三カルシウム0.2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.005質量部、ベンゾイルパーオキサイド0.25質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.1質量部、ステアリン酸ブチル0.8質量部を仕込み、90℃で6時間懸濁重合させた。その後、リン酸三カルシウム0.1質量部を添加し、シクロヘキサン2.0質量部とブタン6質量部を圧入して110℃に5時間保った。冷却後、水を分離し、乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた粒子にブロッキング防止剤としてステアリン酸亜鉛0.1質量部、融着促進剤として12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08質量部をコーティングした。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩倍率40倍に予備発泡し、室温にて24時間放置した後、型内発泡成形を行った。型内発泡成形は、積水工機社製のACE−3SP成形機を用い、400×300×100mm、肉厚20mmの箱形に発泡成形した。加熱時間は、一方加熱時間8秒、逆一方加熱時間2秒、両面加熱時間5秒とし、成形圧(水蒸気吹き込みゲージ圧)を低圧の0.06MPaとした場合と、それよりも高圧の0.08MPaとした場合とでそれぞれ発泡倍率40倍の発泡成形体を作製した。結果を表1に示した。
図2は、比較例1で作製した発泡成形体4の表面を示す図であり、この発泡成形体4は、多数の発泡粒子5がやや隙間をもって融着し、隣り合う発泡粒子5間の境界部6が図1の発泡成形体1に比べて大きくなっており、表面に凹凸が生じ、図1の発泡成形体よりも外観が劣っていた。
[比較例2]
シクロヘキサン0.5質量部、ステアリン酸ブチル2.0質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
[比較例3]
シクロヘキサン2.5質量部、ステアリン酸ブチル0.2質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
[比較例4]
シクロヘキサン0.5質量部、ステアリン酸ブチル0.2質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
[比較例5]
シクロヘキサン2.5質量部、ステアリン酸ブチル2.0質量部とした以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
実施例1〜4、比較例1〜5のそれぞれの発泡成形体について、以下の検査方法及び判定基準に従って、外観の判定、融着の判定及び曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
<外観の判定>
400×300×100mm、肉厚20mmの箱形に発泡成形した発泡成形体の表面を拡大鏡にて50倍に拡大して観察し、図3に示すように、隣り合う2つの発泡粒子aとa’のそれぞれのほぼ中心を直線で結び、その直線上にある境界部3,6(図3中において粒子間の黒い部分)の長さをΔaとする。同様に、別の隣り合う2つの発泡粒子bとb’のそれぞれのほぼ中心を直線で結び、その直線上にある境界部3,6の長さをΔbとする。同様にして任意の発泡粒子の対を10点測定し、境界部の長さの平均値(粒子間隔の平均値)を求める。
求められた粒子間隔の平均値より、表面外観を次の判定基準に照らして判定した。
◎:粒子間隔の平均値が0〜150μm。
○:粒子間隔の平均値が151〜200μm。
△:粒子間隔の平均値が201〜300μm。
×:粒子間隔の平均値が301μm以上、または発泡粒子が収縮した状態になるいわゆるトケが表面に発生しているもの。
<融着の判定>
長さ400mm、幅300mm、厚み30mmの平板形状の発泡成形体の表面に、一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割し、その破断面における発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について粒子内で破断している粒子の数(a)と粒子同士の界面で破断している粒子の数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b)]×100に代入して得られた値を融着率(%)とした。
融着の判定に用いた平板形状の発泡成形体は、外観の判定に用いた箱形の発泡成形体の成形条件と同様にして作製した。
<曲げ強度>
発泡倍率40倍の発泡成形体を作製し、最大曲げ強さはJIS K9511:1999「発泡プラスチック保温材」記載の方法に準じて測定した。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用い、試験体サイズは75×300×50mmで圧縮速度を10mm/min、先端治具は加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離は200mmとして測定した。
測定方法
試験装置:テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)。
試験片:75×300×50mm。試験片の数は3個とする。
試験速度:10mm/min。
先端治具:加圧くさび…10R、支持台…10R。
支点間距離:200mm。JIS K9511規格に準じて、発泡成形体の曲げ強度を測定した。
曲げ強度測定に用いた試験体サイズの発泡成形体は、外観の判定に用いた箱形の発泡成形体の成形条件と同様にして作製した。成形圧(水蒸気吹き込みゲージ圧)を0.06MPaとした場合の発泡成形体の曲げ強度を表1に示した。
Figure 0004777677
表1の結果から、本発明の製造方法によって製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、予備発泡後に予備発泡粒子を型内発泡成形した場合、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形しても、表面が美麗で高い曲げ強度の発泡成形体を得ることができた。
一方、樹脂粒子の懸濁重合時に(A)としてステアリン酸ブチルを加え、発泡剤含浸時に(B)としてシクロヘキサンを加えた比較例1では、低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に発泡成形体の表面の粒子間隔が大きくなり、美麗な外観とならなかった。
また、(A)と(B)の混合比が本発明の範囲よりも大きい(A/B=4.0)比較例2では、発泡成形体の表面にトケが生じ、美麗な外観とならなかった。
また、(A)と(B)の混合比が本発明の範囲よりも小さい(A/B=0.08)比較例3では、特に低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に発泡成形体の表面の粒子間隔が大きくなり、美麗な外観とならなかった。
また、(A)と(B)の合計量が本発明の範囲よりも少ない(A+Bが0.7質量部)比較例4では、特に低圧(省蒸気)下で型内発泡成形した場合に発泡成形体の表面の粒子間隔が大きくなり、美麗な外観とならず、さらに曲げ強度も低くなった。
また、(A)と(B)の合計量が本発明の範囲よりも多い(A+Bが4.5質量部)比較例5では、発泡成形体の表面にトケが生じ、美麗な外観とならなかった。
本発明に係る実施例1で製造した発泡成形体の表面を示す平面図である。 比較例1で製造した発泡成形体の表面を示す平面図である。 発泡成形体の外観評価法を説明するための発泡成形体表面の拡大図である。
符号の説明
1…発泡成形体、2…発泡粒子、3…境界部。

Claims (6)

  1. ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、(A)ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸オクチルからなる群から選択される1種または2種以上である飽和高級脂肪酸エステルと(B)環式脂肪族炭化水素とをそれぞれの混合比(A/B)が0.10〜3.0の範囲となるように混合した混合物(A+B)を0.8〜4.0質量部と、1気圧における沸点が50℃未満の発泡剤3〜10質量部とを水性媒体中、加熱・加圧条件下で前記ポリスチレン系樹脂粒子と接触させ、前記ポリスチレン系樹脂粒子に前記混合物及び前記発泡剤を含浸せしめて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、次いで水性媒体から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を分離することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記(B)環式脂肪族炭化水素が、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンからなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記発泡剤が、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンからなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 請求項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱発泡して得られたポリスチレン系樹脂発泡粒子。
  6. 請求項に記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られた発泡成形体。
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