JP4773711B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
また、「燃料電池の起動時」とは、燃料電池を起動するスイッチ(後記する第1実施形態ではIGSW)がONされたときである。
したがって、補助回路を構成する補助抵抗が小さくても、補償条件を適宜に設定することによって、補助抵抗を保護すると共に、好適にディスチャージすることができる。
したがって、補助回路を構成する補助抵抗が小さくても、所定に補償条件を設定することによって、補助抵抗を保護すると共に、好適にディスチャージすることができる。
このような燃料電池システムによれば、補償判定手段は、補助回路の過去のON/OFF履歴に基づいて、例えば、補助抵抗の現在の温度を推定し、補助回路が補償条件内であるか否かを判定することができる。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
第1実施形態に係る燃料電池システムについて、図1から図5を適宜参照して説明する。参照する図面において、図1は、第1実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。図2は、第1実施形態に係る燃料電池システムの起動時の制御を示すフローチャートである。図3は、第1実施形態に係る燃料電池システムの停止時の制御を示すフローチャートである。図4は、第1実施形態に係る燃料電池システムの補助抵抗の温度変化とタイミングチャートである。図5は、第1実施形態に係る燃料電池システムの補助抵抗の温度変化とタイミングチャートである。
図1に示すように、第1実施形態に係る燃料電池システム1は、燃料電池自動車に搭載されたシステムであり、燃料電池自動車の起動時/停止時(燃料電池2の起動時/停止時)に、スイッチ52を適宜にON/OFFすることによって、ティスチャージ(放電)を行うシステムである。
燃料電池2(燃料電池スタック)は、主として、電解質膜3の両面をアノード(燃料極)およびカソード(空気極)で挟持してなる単セルが、セパレータを介して、複数積層されることで構成されている。セパレータには、電解質膜3の全面に水素ガス(燃料ガス)、加湿空気(酸化剤ガス)を供給するための溝、各単セルに供給するための貫通孔などが複雑に形成されており、これら溝などが燃料ガス流路4、酸化剤ガス流路5として機能している。燃料ガス流路4には水素ガスが流通し、この流通する水素ガスが各アノードに供給されるようになっている。一方、酸化剤ガス流路5には、加湿空気が流通し、この流通する加湿空気が各カソードに供給されるようになっている。
そして、水素ガスが各アノードに、加湿空気が各カソードに供給されると、各アノード・各カソードで電気化学反応が生じて、各単セルで所定の電位差が発生し、この単セルが一般に直列で接続されているため、燃料電池2から大きな電力を取り出し可能となっている。
アノード系は、燃料電池2のアノード側に配置し、水素ガスを供給・排出する系であり、主に、水素ガスが貯蔵された水素タンク11と、遮断弁12とを備えている。
したがって、制御部71が遮断弁12を開くと、水素ガスが所定に減圧され、燃料ガス流路4に供給されるようになっている。
カソード系は、燃料電池2のカソード側に配置し、主として、空気(通常発電時は加湿空気、掃気時は非加湿空気である掃気ガス)を供給・排出する系であり、ポンプ21(コンプレッサ)を主に備えている。
カソード系の空気排出側について説明すると、配管21bが酸化剤ガス流路5に接続しており、燃料電池2のカソード側から排出されたガス(発電時はカソードオフガス、掃気時は掃気ガス)が、配管21bを介して、系外(大気中)に排出されるようになっている。
掃気系は、燃料電池2の掃気時に、ポンプ21からの掃気ガス(非加湿空気)を、カソード系からアノード系に導く系であり、配管31と開閉弁32を主に備えている。
ここで、「掃気ガス」とは、燃料電池2内の水などを、燃料電池2外に押し出し、燃料電池2内を掃除するための所定圧力のガスであり、例えば、空気、窒素などである。そして、「掃気する」とは掃気ガスを燃料電池2の燃料ガス流路4、酸化剤ガス流路5に導入し、燃料電池2内の水などを、燃料電池2外に押し出すことである。
したがって、燃料電池2の掃気時は、開閉弁32を開き、前記加湿器による加湿を停止し、ポンプ21からの掃気ガス(非加湿空気)を、配管21aを介して酸化剤ガス流路5に、配管31、配管12aを介して燃料ガス流路4に、それぞれ供給可能となっている。
一方、燃料電池2の通常の発電時は、開閉弁32は閉じられる。
電力消費系は、燃料電池自動車を走行させる走行モータなどの外部負荷41と、メインスイッチ42(リレー)と、電流計43と、電圧計44を主に備えている。外部負荷41は、メインスイッチ42を介して、燃料電池2の出力端子に電気的に接続している。
また、電流計43は後記するECU70の制御部71と電気的に接続している。したがって、制御部71は、通常の発電時(メインスイッチ42がON、スイッチ52がOFF)は外部負荷41を通流する電流値を、ディスチャージ時には補助抵抗51を通流する電流値を検出したり、前記した補助抵抗51の故障を判定可能となっている。
補助回路50は、燃料ガス流路4に水素ガスと掃気ガスとが混在する場合に、燃料電池2から微小電流を取り出すための回路であり、電流計43とメインスイッチ42との間に、外部負荷41と並列となるように接続している。補助回路50は、補助抵抗51と、スイッチ52(リレー)を主に備えている。
さらに説明すると、スイッチ52の一方側は、電流計43とメインスイッチ42との間の配線に電気的に接続している。スイッチ52の他方側は、補助抵抗51を介して、燃料電池2のカソード側端子(プラス端子)とメインスイッチ42との間の配線に電気的に接続している。
また、補助抵抗51の容量は、ディスチャージするときの電流の大きさに基づいて決定されるが、非常に小さく(例えば200W程度)、且つ、非常に小型であり、かさも小さい。
温度センサ61(温度検知手段)は、補助抵抗51の近傍に設けられており、補助抵抗51の温度(以下、補助抵抗温度T1)を検出可能となっている。また、温度センサ61は、後記するECU70の制御部71と電気的に接続しており、制御部71は、補助抵抗温度T1を監視可能となっている。
IGSW62は、燃料電池自動車および燃料電池システム1の起動スイッチであり、燃料電池自動車の運転席周りに設けられている。IGSW62は、後記するECU70の制御部71と電気的に接続しており、制御部71はIGSW62のON/OFFを監視可能となっている。
ECU70は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路、各種記憶媒体などを含んで構成され、制御部71(補償判定手段、補助回路制御手段)と、補助抵抗データ記憶部72と、クロック73とを主に備えている。
制御部71の入力側は、温度センサ61と電気的に接続しており、制御部71は補助抵抗温度T1を監視可能となっている。そして、制御部71は、補助抵抗温度T1と、補助抵抗データ記憶部72に記憶された所定温度T0とを比較して、補助回路50が補償条件内であるか否かを判定する機能(補償判定機能)を有している。
制御部71の出力側は、補助回路50のスイッチ52と電気的に接続しており、制御部71はスイッチ52の適宜にON/OFFするようになっている。すなわち、制御部71は、補助回路50のON/OFFを制御する機能(補助回路制御機能)を有している。なお、スイッチ52のON/OFFは、補助回路50のON/OFFに相当する。
その他、制御部71の出力側は、アノード系の遮断弁12と、カソード系のポンプ21と、掃気系の開閉弁32とに接続しており、制御部71はこれらを所望に制御可能となっている。
制御部71は、クロック73からの時刻に基づいて、補助回路50のON時間(以下、補助回路ON時間Δt1)を計測可能となっている(補助回路ON時間Δt1計測機能)。
また、制御部71は、補助回路ON時間Δt1と、後記する補助抵抗データ記憶部72に記憶された所定時間Δt0とを比較して、燃料電池2の起動時には燃料ガス流路4が水素ガスで満たされたか否か、燃料電池2の停止時には燃料ガス流路4が掃気ガスで満たされたか否かを判定する機能を有している(燃料ガス流路状態判定機能)。
補助抵抗データ記憶部72は、制御部71と電気的に接続しており、制御部71は適宜にアクセス可能となっている。
補助抵抗データ記憶部72には、所定温度T0が記憶されている。所定温度T0とは、補助回路50のスイッチ52のON/OFFの基準となる、予め設定された温度である。さらに説明すると、制御部71は、補助抵抗温度T1が所定温度T0以下である場合にスイッチ52のONを許可し、補助抵抗温度T1が所定温度T0より高い場合にスイッチ52のONを許可しない(OFFする)。言い換えると、所定温度T0より高い温度の補助抵抗51に対してスイッチ52をONすると、補助抵抗51がさらに昇温して断線などにより故障する可能性があるが、基準となる所定温度T0を設定することで、補助抵抗51の故障などは防止される。具体的には、例えば補助抵抗51の容量が200Wの場合、所定温度T0は220℃に設定される。
ここで、第1実施形態では、説明を簡単とするため、燃料電池2の起動時に水素ガス供給開始後、燃料ガス流路4が水素ガスで満たされる所定時間Δt0と、燃料電池2の停止時に掃気ガス供給開始後、燃料ガス流路4が掃気ガスで満たされる所定時間Δt0とが、同じである場合について説明する。ただし、これら時間を別々に設定してもよいことは言うまでもない。
クロック73は、常に時刻を刻んでおり、この時刻は制御部71に送られている。
次に、第1実施形態に係る燃料電池システム1に設定された制御フローについて、図2、図3に示すフローチャートを適宜に参照して説明する。
ここで、ECU70は、IGSW62がONされた場合、図2に示す起動時の制御フローに従って、処理が進むようになっている。また、IGSW62がOFFされた場合、図3に示す停止時の制御フローに従って、処理が進むようになっている。また、IGSW62がONされて、図2に示す起動時の制御フローに従って処理している最中に、IGSW62がOFFされた場合、図2に示す起動時の制御フローに従った処理を停止し、図3に示す停止時の制御フローに切り換えて、処理するようにっている。逆に、図3に示す停止時の制御フローに従って処理している最中に、IGSW62がONされた場合、図2に示す起動時の制御フローに切り換えて、処理するようになっている。
まず、IGSW62がONされた場合の燃料電池システム1の起動時の制御フローについて、図2を参照して説明する。
ステップS101Aにおいては、制御部71は、補助回路50が補償条件内であるか否かに係る補償判定を行うようになっている。具体的には、制御部71は、「補助抵抗温度T1が所定温度T0以下(T1≦T0)の場合、補助回路50は補償条件内である」と判定し、「補助抵抗温度T1が所定温度T0より高い(T1>T0)場合、補助回路50は補償条件外である」と、判定するようになっている。
一方、ステップS109、S110、S111の順に進むルートが、燃料電池2の起動時にディスチャージを実施しないルート(起動時ディスチャージ非実施ルート)に相当する。以下、「起動時ディスチャージ実施ルート」、「起動時ディスチャージ非実施ルート」の順に説明する。
ステップS102においては、制御部71が遮断弁12を開くようになっている。これにより、水素ガスが、水素タンク11から配管12aを介して、燃料電池2の燃料ガス流路4に供給されるようになっている(水素ガス供給開始)。
なお、ステップS102とステップS103Aとは、説明の都合上、別ステップに分けたが、略同時に処理される。
また、図2に示す起動時の制御フローに従っての処理中に、図3に示す停止時の制御フローに切り換わったとき、補助回路ON時間Δt1は初期化されるようになっている。停止時の制御フロー(図3)から起動時の制御フロー(図2)に切り換わるときも同様である。
ステップS105Aにおいては、制御部71は、燃料ガス流路4が水素ガスで満たされたか否かを判定するようになっている。具体的には、制御部71は、「補助回路ON時間Δt1が所定時間Δt0より長い(Δt1>Δt0)場合、水素ガスで満たされた」と判定し、「補助回路ON時間Δt1が所定時間Δt0以下である(Δt1≦Δt0)場合、水素ガスで満たされていない」と判定するようになっている。
一方、制御部71が「補助回路ON時間Δt1は所定時間以下であり、燃料ガス流路4は水素ガスで満たされていない」と判定した場合(S105A・No)、ステップS105Aに戻り、補助回路ON時間Δt1が所定時間t0を超えるまで、ステップS105Aの判定を繰り返すようになっている。
そして、エンドに進み、制御部71による燃料電池2の起動時のディスチャージに係る処理は終了する。
次に、燃料電池2の起動時にディスチャージを実施しないルートについて説明する。
ステップS109においては、制御部71は、補助回路50のスイッチ52をOFFするようになっている(補助回路50のOFF)。具体的に説明すると、後記するように、IGSW62が連続的にON/OFFされ、起動時ディスチャージ、停止時ディスチャージが連続的に繰り返して実施されたため、スイッチ52が継続してONとなり、補助抵抗温度T1が所定温度T0より高くなった場合、スイッチ52をOFFすることで、補助抵抗51が保護されるようになっている。
なお、スイッチ52がOFFの場合、継続してOFFとなる。
したがって、IGSW62が連続的に繰り返してON/OFFされた場合、そもそも燃料電池2の燃料ガス流路4には掃気ガスが殆ど侵入しておらず、燃料ガス流路4は水素ガスでほぼ満たされているため、前記したような小さな電位差も発生せず、単セル内で電流も流れず、劣化することもないと考えられる。
その後、ステップS107に進むようになっている。
続いて、IGSW62がOFFされた場合の燃料電池システム1の停止時の制御フローについて、図3を参照して説明する。
ステップS201においては、制御部71は、メインスイッチ42をOFFするようになっている。
ステップ202Aにおいては、起動時のステップS101A(図2参照)と同様に、制御部71は、補助回路50が補償条件内であるか否かに係る補償判定を行うようになっている。
具体的には、制御部71が「補助抵抗温度T1は所定温度T0以下(T1≦T0)であり、補助回路50は補償条件内である」と判定した場合(S202A・Yes)、ステップS203に進むようになっている。一方、制御部71が「補助抵抗温度T1は所定温度T0より高く(T1>T0)、補助回路50は補償条件外である」と判定した場合(S202A・No)、ステップS209に進むようになっている。
一方、ステップS209、S210、S211、S212の順に進むルートが、燃料電池2の停止時にディスチャージを実施しないルート(停止時ディスチャージ非実施ルート)に相当する。以下、「停止時ディスチャージ実施ルート」、「停止時ディスチャージ非実施ルート」の順に説明する。
ステップS203においては、制御部71が遮断弁12を閉じるようになっている。これにより、水素タンク11から燃料ガス流路4への水素ガスの供給が停止されるようなっている(水素ガス供給停止)。
また、制御部71は、前記スイッチ52のONを始点として、補助回路ON時間Δt1(=スイッチ52のON時間)を、クロック73からの時刻に基づいて計測するようになっている。
ステップS206Aにおいては、制御部71は、燃料ガス流路4が掃気ガスで満たされたか否かを判定するようになっている。具体的には、制御部71は、「補助回路ON時間Δt1が所定時間Δt0より長い(Δt1>Δt0)場合、掃気ガスで満たされた」と判定し、「補助回路ON時間Δt1が所定時間Δt0以下(Δt1≦Δt0)である場合、掃気ガスで満たされていない」と判定するようになっている。
一方、制御部71が「補助回路ON時間Δt1は所定時間Δt0以下であり、燃料ガス流路4は掃気ガスで未だ満たされていない」と判定した場合(S206A・No)、ステップS206Aに戻り、補助回路ON時間Δt1が所定時間Δt0を超えるまで、ステップS206Aの判定を繰り返すようになっている。
そして、エンドに進み、制御部71による燃料電池2の停止時のディスチャージに係る処理は終了する。
次に、燃料電池2の停止時にディスチャージを実施しないルートについて説明する。
ステップS209においては、補助回路50のスイッチ52をOFFするようになっている(補助回路50のOFF)。具体的に説明すると、後記するように、IGSW62が連続的にON/OFFされ、起動時ディスチャージ、停止時ディスチャージが連続的に実施されたため、スイッチ52が継続してONとなり、補助抵抗温度T1が所定温度T0より高くなった場合、スイッチ52をOFFすることで、補助抵抗51が保護されるようになっている。なお、スイッチ52がOFFの場合、継続してOFFとなる。
続いて、図4、図5に示すグラフおよびタイミングチャートを適宜参照して、燃料電池システム1の動作について説明する。ここでは、氷点(0℃)下条件において、燃料電池システム1を起動・停止する場合について説明する。すなわち、燃料電池2の停止時に、内部が凍結する恐れのあるため掃気する場合について説明する。
まず、図4に加えて、図2および図3を参照して、IGSW62が通常通りにON/OFFされた場合について説明する。
「A点」でIGSW62がONされると、制御部71が補助回路50の補償判定を行う(S101A)。補助抵抗51は所定温度T0より低い氷点下であるため、補助回路50は補償条件内であると判定される(S101A・Yes)。そして、水素ガスが供給され(S102)、補助回路50がONとなり(S103A)、起動時ディスチャージが開始される。次いで、空気が供給される(S104)。
次に、図5に加えて、図2および図3を参照して、IGSW62が短時間の間に、連続的に繰り返してON/OFFされた場合について説明する。
ここでは、IGSW62の1回目のONに連動して「1回目起動時ディスチャージ」、IGSW62の1回目のOFFに連動して「1回目停止時ディスチャージ」、2回目のONに連動して「2回目起動時ディスチャージ」、2回目のOFFに連動して「2回目停止時ディスチャージ」が実施され、3回目のIGSW62のON時には、補助回路50が補償条件外(補助抵抗温度T1>所定温度T0)であるため、「3回目停止時ディスチャージ」が実施されない場合について説明する。ただし、「補助抵抗温度T1>所定温度T0」となるケースはこれに限定されず、その他のケースであってもよいことは言うまでもない。
「a点」でIGSW62がONされると、前記した通常通りにONされた場合と同様のステップを経て、補助回路50がONされ(S103A)、所定時間Δt0の間、1回目の起動時ディスチャージが行われた後(S105A・Yes)、「b点」で補助回路50がOFFされる(S106)。
補助回路50のOFF直後、燃料電池2の発電中であって、補助抵抗温度T1の低下中に、「c点」でIGSW62がOFFされると、制御部71は、図2に示す起動時の制御フローから、図3に示す停止時の制御フローに切り換えて制御する。
そうすると、制御部は71は、メインスイッチ42をOFFし(S201)、補償条件内であると判定し(S202A・Yes)、補助回路50がONされ(S204A)、1回目の停止時ディスチャージが実施される。そうすると、補助抵抗温度T1が再び上昇し始める。
そして、1回目の停止時ディスチャージの最中であって、1回目の停止時ディスチャージにおける補助回路50のONから所定時間Δt0が経過する前に、「d点」でIGSW62がONされると、制御部71は、図3に示す停止時の制御フローから、図2に示す起動時の制御フローに切り換えて制御する。
そうすると、制御部71は補償条件内と判定し(S101A・Yes)、補助回路50がONされ(S103A)、2回目の起動時ディスチャージが実施される。したがって、補助回路50が継続してONとなるため、補助抵抗温度T1が継続して上昇する。
次いで、2回目の起動時ディスチャージの最中に、「e点」でIGSW62がOFFされると、制御部71は、図2に示す起動時の制御フローから、図3に示す停止の制御フローに切り換えて制御する。
そうすると、補助抵抗温度T1が所定温度T0以下であるため、補償判定内であると判定され(S202A・Yes)、補助回路50のONは継続され、2回目の停止時ディスチャージが実施される。したがって、補助抵抗温度T1が継続して上昇する。
この後、2回目の停止時ディスチャージの最中に、IGSW62がONされた場合について説明する。なお、IGSW62がONされた時、図5に示すように、補助抵抗温度T1は所定温度T0を超えている。
次に、第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
第2実施形態に係る燃料電池システムは、補助抵抗温度T1検出する温度センサ61(図1参照)を備えておらず、過去の起動時ディスチャージ、停止時ディスチャージの履歴に基づいて、IGSW62がON/OFFされた時の現在の補助抵抗51の温度を推定し、推定した温度(以下、推定補助抵抗温度T2)と、所定温度T0とを比較して、補助回路50が補償条件内であるか否かを判定する。
また、第2実施形態に係る燃料電池システムは、補助回路50をONする時間を、補助回路50のONにより、補助抵抗51で消費されたエネルギ(以下、補助抵抗消費エネルギJ1)と、予め設定された「所定補助抵抗消費エネルギJ0」との比較に基づいて、燃料ガス流路4が同一のガス(起動時は水素ガス、停止時は掃気ガス)で満たされたか否かを判定する。
第2実施形態に係る補助抵抗データ記憶部72には、第1実施形態で説明した所定温度T0の他に、起動時・停止時のディスチャージの履歴が記憶される。具体的には、制御部71は、補助回路50のON/OFF(=スイッチ52のON/OFF)に、クロック73からの時刻を関連付けて、補助抵抗データ記憶部72に記憶するようになっている。すなわち、第2実施形態に係る補助抵抗データ記憶部72は、特許請求の範囲における「補助回路ON/OFF履歴記憶手段」として機能している。
また、補助抵抗データ記憶部72には、スイッチ52のON時の補助抵抗51の温度上昇率、スイッチ52のOFF時の補助抵抗51の温度低下率も記憶されている。
次に、第2実施形態に係る燃料電池システムに設定された制御フローについて、図6、図7を参照して説明する。参照する図面において、図6は、第2実施形態に係る燃料電池システムの起動時の制御を示すフローチャートである。図7は、第2実施形態に係る燃料電池システムの停止時の制御を示すフローチャートである。
まず、燃料電池2の起動時の制御フローについて、図6を参照して説明する。
図6に示すように、第2実施形態に係る起動時の制御フローは、第1実施形態に係る起動時の制御フロー(図2参照)のステップS101Aに代えてステップS101Bを、ステップS103Aに代えてステップS103Bを、ステップS105Aに代えてステップS105Bを含んでいる。
その他のステップの内容は、第1実施形態と同じであるため、ここでの説明は省略する。
ステップS101Bにおいては、制御部71は、補助抵抗データ記憶部72から、起動時・停止時のディスチャージの履歴、補助抵抗51の温度上昇率/温度低下率を読み出し、推定補助抵抗温度T2(=現在の補助抵抗51の温度)を算出するようになっている。
ところが、第2実施形態では、補助回路ON時間Δt1を計測せず、前記補助回路50のON後の補助抵抗消費エネルギJ1(補助抵抗51で消費されたエネルギ)を、電流計43から電流値、電圧計44からの電圧値、クロック73からの時刻に基づいて、計測するようになっている。
ステップS105Bにおいては、制御部71は、第1実施形態に係るステップS105A(図2参照)と同様に、燃料ガス流路4が水素ガスで満たされたか否かを判定するようになっている。
一方、「補助抵抗消費エネルギJ1が所定補助抵抗消費エネルギJ0以下(J1≦J0)の場合に、燃料ガス流路4は水素ガスで未だ満たされていない」と判定するようになっている(S105B・No)。
次に、燃料電池2の停止時の制御フローについて、図7を参照して説明する。
図7に示すように、第2実施形態に係る停止時の制御フローは、第1実施形態に係る停止時の制御フロー(図3参照)のステップS202Aに代えてステップS202Bを、ステップS204Aに代えてステップS204Bを、ステップS206Aに代えてステップS206Bを含んでいる。
その他のステップの内容は、第1実施形態と同じであるため、ここでの説明は省略する。
ステップS202Bにおいては、制御部71は、ステップS101B(図6参照)と同様に、推定補助抵抗温度T2(=推定した現在の補助抵抗51の温度)を算出し、算出した推定補助抵抗温度T2と、所定温度T0とを比較し、補助回路50が補償条件内であるか否かを判定するようになっている。
具体的には、「推定補助抵抗温度T2が所定温度T0以下(T2≦T0)である場合、補助回路50は補償条件内である」と判定し(S202B・Yes)、「推定補助抵抗温度T2が所定温度T0より高い(T2>T0)場合、補助回路50は補償条件外である」と判定するようになっている(S202B・No)。
ステップS206Bにおいては、制御部71は、燃料ガス流路4が掃気ガスで満たされたか否かを判定するようになっている。
具体的には、制御部71は、「補助抵抗消費エネルギJ1が所定補助抵抗消費エネルギJ0より大きい(J1>J0)場合に、燃料ガス流路4は掃気ガスで満たされた」と判定するようになっている(S206B・Yes)。一方、「補助抵抗消費エネルギJ1が所定補助抵抗消費エネルギJ0以下(J1≦J0)の場合に、燃料ガス流路4は掃気ガスで未だ満たされていない」と判定するようになっている(S206B・No)。
2 燃料電池
4 燃料ガス流路
11 水素タンク
12 遮断弁
21 ポンプ
41 外部負荷
42 メインスイッチ
43 電流計
44 電圧計
50 補助回路
51 補助抵抗
52 スイッチ
61 温度センサ(温度検出手段)
62 IGSW(起動スイッチ)
70 ECU
71 制御部(補償判定手段、補助回路制御手段)
72 補助抵抗データ記憶部(補助回路ON/OFF履歴記憶手段)
73 クロック
Claims (3)
- 燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路を有し、前記燃料ガス流路に燃料ガスが、前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスが、それぞれ供給されることで発電する燃料電池と、
補助抵抗を有し、前記燃料電池の出力端子に接続し、ONされることで前記燃料電池で発生した電流を放電させる補助回路と、
前記補助抵抗の温度を検知する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出する前記補助抵抗の温度が所定温度以下である場合に前記補助回路が補償条件内であると判定し、前記温度検出手段の検出する前記補助抵抗の温度が所定温度以下でない場合に前記補助回路が補償条件外であると判定する補償判定手段と、
当該補償判定手段の判定に基づいて前記補助回路のON/OFFを制御する補助回路制御手段と、
を備え、
当該補助回路制御手段は、前記燃料電池の起動時又は停止時に、
前記補助回路が補償条件内にある場合に前記補助回路をONして前記電流を放電し、前記補助回路が補償条件外にある場合に前記補助回路をONしないことを特徴とする燃料電池システム。 - 燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路を有し、前記燃料ガス流路に燃料ガスが、前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスが、それぞれ供給されることで発電する燃料電池と、
補助抵抗を有し、前記燃料電池の出力端子に接続し、ONされることで前記燃料電池で発生した電流を放電させる補助回路と、
前記補助回路のON/OFF履歴と、前記補助回路のON時における前記補助抵抗の温度上昇率/前記補助回路のOFF時における温度低下率と、を記録する補助回路ON/OFF履歴記憶手段と、
前記補助回路の過去のON/OFF履歴と前記補助抵抗の温度上昇率/温度低下率とに基づいて前記補助抵抗の温度を推定し、推定された前記補助抵抗の温度が所定温度以下である場合に前記補助回路が補償条件内であると判定し、推定された前記補助抵抗の温度が所定温度以下でない場合に前記補助回路が補償条件外であると判定する補償判定手段と、
当該補償判定手段の判定に基づいて前記補助回路のON/OFFを制御する補助回路制御手段と、
を備え、
当該補助回路制御手段は、前記燃料電池の起動時又は停止時に、
前記補助回路が補償条件内にある場合に前記補助回路をONして前記電流を放電し、前記補助回路が補償条件外にある場合に前記補助回路をONしないことを特徴とする燃料電池システム。 - 燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路を有し、前記燃料ガス流路に燃料ガスが、前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスが、それぞれ供給されることで発電する燃料電池と、
補助抵抗を有し、前記燃料電池の出力端子に接続し、ONされることで前記燃料電池で発生した電流を放電させる補助回路と、
前記補助回路のON回数を記憶する補助回路ON/OFF履歴記憶手段と、
過去の所定時間における前記補助回路のON回数が所定回数よりも少ない場合に前記補助回路が補償条件内であると判定し、過去の所定時間における前記補助回路のON回数が所定回数以上である場合に前記補助回路が補償条件外であると判定する補償判定手段と、
当該補償判定手段の判定に基づいて前記補助回路のON/OFFを制御する補助回路制御手段と、
を備え、
当該補助回路制御手段は、前記燃料電池の起動時又は停止時に、
前記補助回路が補償条件内にある場合に前記補助回路をONして前記電流を放電し、前記補助回路が補償条件外にある場合に前記補助回路をONしないことを特徴とする燃料電池システム。
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