JP5097016B2 - 燃料電池システム及び遮断弁の開閉状態判定方法 - Google Patents
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一方、低負荷状態において、燃料電池の発電停止指令が発せられた場合、燃料電池による水素消費量を上げると共に、この上げられた水素消費量に対応して目標水素圧力(制御目標値)を上げると、低負荷状態であったため少量しか存在しない水素が直ちに消費されてしまい、その結果、遮断弁の下流側の水素の圧力が急激に低下し、遮断弁が実際に閉じていたとき、遮断弁の上流側の圧力と、下流側の圧力との圧力差が大きくなり、遮断弁に内蔵されるシール(例えばOリング)等に、大きな圧力差が作用し、シールが損傷する虞があった。
そして、圧力制御手段が、燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を、第1遮断弁の閉制御時の圧力を制御目標値として維持するように制御する。つまり、燃料ガス流路における燃料ガスの圧力は、燃料電池の発電停止信号を受信後において、燃料電池が消費する燃料ガスの消費量の変化に関わらず、第1遮断弁の閉制御時の圧力を制御目標値として維持するように制御される。
なお、第1遮断弁のシールが損傷する虞があると判断される場合とは、例えば、第1遮断弁の下流における燃料ガスの低下率が所定低下率以上である場合や、第1遮断弁に作用する圧力差が所定圧力差以上となる場合である。
そして、圧力制御手段が、燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を、第1遮断弁の閉制御時の圧力を制御目標値として維持するように制御する。つまり、燃料ガス流路における燃料ガスの圧力は、燃料電池の発電停止信号を受信後において、燃料電池が消費する燃料ガスの消費量の変化に関わらず、第1遮断弁の閉制御時の圧力を制御目標値として維持するように制御される。
前記第1遮断弁が閉じるように制御された後において、前記圧力検出手段が検出する燃料ガスの圧力に基づいて、前記第1遮断弁のシールが損傷する虞があると判断された場合、前記弁制御手段は、前記第2遮断弁を閉じるように制御することを特徴とする遮断弁の開閉状態判定方法である。
図1に示す本実施形態に係る燃料電池システム1は、図示しない燃料電池自動車(移動体)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス、反応ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)を給排するカソード系と、燃料電池スタック10の発電電力を消費する電力消費系と、これらを電子制御するECU70(Electronic Control Unit、電子制御装置)と、を備えている。
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セル11が積層されることで構成されたスタックであり、複数の単セル11は電気的に直列で接続されている。単セル11は、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟み2枚の導電性を有するアノードセパレータ及びカソードセパレータと、を備えている。
カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して空気を給排するため単セル11の積層方向に延びる貫通孔(内部マニホールドと称される)や、単セル11の面方向に延びる溝が形成されており、これら貫通孔及び溝がカソード流路13(酸化剤ガス流路)として機能している。
2H2→4H++4e− …(1)
O2+4H++4e−→2H2O …(2)
アノード系は、水素が高圧で封入された水素タンク21(燃料ガス源)と、常閉型の第1遮断弁22と、第1減圧弁23と、常閉型の第2遮断弁24と、第2減圧弁25と、エゼクタ28と、常閉型のパージ弁29(燃料ガス排出弁)と、第1圧力センサ31、第2圧力センサ32及び第3圧力センサ33(圧力検出手段)を備えている。
水素タンク21は、第1遮断弁22、配管22a、第1減圧弁23、配管23a、第2遮断弁24、配管24a、第2減圧弁25、配管25a、エゼクタ28、配管28aを介して、アノード流路12の入口に接続されている。つまり、水素タンク21からアノード流路12に向かう水素が通流する水素供給流路は、配管22aと、配管23aと、配管24aと、配管25aと、配管28aとを備えて構成されており、この水素供給流路に第1遮断弁22及び第2遮断弁24が設けられている。また、第1遮断弁22及び第2遮断弁24は、閉弁時に弁体が着座する弁座にシール(いずれも図示しない)を内蔵している。
そして、ECU70(弁制御手段)によって、第1遮断弁22及び第2遮断弁24が開かれると、水素タンク21の水素が配管22a等を介してアノード流路12に供給されるようになっている。
よって、アノード流路12における水素の圧力を制御する圧力制御手段は、第2減圧弁25と、インジェクタ27と、ECU70とを備えて構成されている。
なお、配管28bには気液分離器(図示しない)が設けられており、この気液分離器によって、循環する水素に同伴する水分が分離されるようになっている。
なお、ECU70は、例えば、単セル11の電圧を検出するセル電圧モニタ(図示しない)から入力される最低セル電圧が、所定最低セル電圧以下となった場合、不純物を排出する必要があると判定し、パージ弁29を開く設定となっている。
第2圧力センサ32は、第1遮断弁22と第1減圧弁23との間の配管22aに設けられており、配管22a内の圧力(実測圧力P2)を検出し、ECU70に出力するようになっている。
第3圧力センサ33は、第1減圧弁23と第2遮断弁24との間の配管23aに設けられており、配管23a内の圧力(実測圧力P3)を検出し、ECU70に出力するようになっている。
カソード系は、コンプレッサ41(酸化剤ガス供給手段)と、背圧弁43と、希釈器(図示しない)とを備えている。
電力消費系は、走行モータ51と、VCU52(Voltage Control Unit、電流制御手段)と、高圧バッテリ53とを備えている。走行モータ51は、VCU52を介して、燃料電池スタック10の出力端子(図示しない)に接続されている。高圧バッテリ53はVCU52に接続されている。なお、走行モータ51とVCU52との間に配置されているインバータ(PDU:Power Drive Unit)は省略している。
VCU52は、ECU70から送られる指令電流に従って、燃料電池スタック10の発電電力(出力電流、出力電圧)を制御(制限)する機器であり、DC/DCチョッパ、DC/DCコンバータ等の電子回路を備えている。すなわち、VCU52への指令電流が大きくなると、燃料電池スタック10から取り出される電流が大きくなり、燃料電池スタック10で消費される水素及び空気の消費量が多くなる。つまり、燃料電池スタック10による水素の消費量を制御する消費量制御手段は、VCU52とECU70とを備えて構成されている。
また、VCU52は、高圧バッテリ53の電力を制御、つまり、高圧バッテリ53の充電/放電を制御する機能も備えている。
IG61は、燃料電池システム及び燃料電池自動車の起動スイッチであり、運転席周りに配置されている。そして、IG61は、ON信号(発電開始信号)、OFF信号(発電停止信号)をECU70に出力するようになっている。
警告ランプ62は、第1遮断弁22が故障していると判定される場合、運転者に故障を知らせるために点灯するランプであり、インストルメント・パネルに配置されている。
ECU70は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されている。そして、ECU70は、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機器を適宜に制御するようになっている。
また、ECU70(開閉状態判定手段)は、第2圧力センサ32から入力される実測圧力P2と、後記する予測圧力P2´とに基づいて、第1遮断弁22の開閉状態を判定する機能を備えている。
次に、燃料電池システム1の動作及び遮断弁の開閉状態の判定方法について、図2を主に参照して説明する。
なお、IG61がOFFされ、ECU70がIG61のOFF信号(発電停止信号)を受信すると、図2のフローチャートの処理が開始する。また、初期状態において、VCU52は外部からの発電要求に応じて制御され、燃料電池スタック10は発電している。
さらに説明すると、検査用水素消費量(L/s)は、燃料電池スタック10の大きさ、水素が通流する供給流路(配管22a等)の容積、第1遮断弁22に内蔵されるシールの耐圧性等に基づいて、閉指令を受けた第1遮断弁22が正常に閉じたと仮定した場合において、第1遮断弁22の下流で第2圧力センサ32が検出する実測圧力P2が、速やかに低下すると共に、急激に低下せず前記シールが損傷しない消費量に設定されている。
一方、実測圧力P1と実測圧力P2との差が所定圧力差ΔP0以上でないと判定した場合(S105・No)、ECU70の処理はステップS106に進む。
予測圧力P2´(Pa)=OFF時の実測圧力P2(Pa)−K(Pa/L)×検査用水素消費量(L/s)×発電時間(s) …(3)
一方、実測圧力P2と予測圧力P2´との差(又は差の絶対値)が、所定値以下でないと判定した場合(S106・No)、ECU70の処理はステップS111に進む。なお、この場合は、閉指令を受けたにも関わらず、第1遮断弁22が閉じておらず、開いたままである(開故障)虞がある場合である。
連続してYesとなったと判定した場合(S107・Yes)、ECU70の処理はステップS109に進む。一方、連続してYesとなっていないと判定した場合(S107・No)、ECU70の処理はステップS108に進む。
第1所定時間経過したと判定した場合(S108・Yes)、ECU70の処理はステップS105に進む。一方、第1所定時間経過していないと判定した場合(S108・No)、ECU70はステップS108の判定を繰り返す。
その後、ECU70の処理は、エンドに進み、システム停止時の制御を終了する。
ステップS111において、ECU70は、ステップS104で燃料電池スタック10の発電を継続した後、第2所定時間経過したか否か判定する。第2所定時間は、ステップS106での誤判定を防止し、ステップS106の判定を複数回繰り返すために設定された時間である。このような所定時間は、事前試験等により求められ、ECU70に予め記憶されている。
その後、ECU70の処理はステップS109に進み、ECU70は第2遮断弁24を閉じる。これにより、水素が水素タンク21から供給され続けることを防止できる。
このような燃料電池システム1によれば、次の効果を得る。
IG61のOFF信号(発電停止信号)を受信したECU70が、燃料電池スタック10における水素の消費量を、第1遮断弁22の検査用の検査用消費量に制御すると共に、アノード流路12の圧力P4を、第1遮断弁22の閉制御時の圧力を制御目標値として維持するように制御するので、閉指令を受けた第1遮断弁22が正常に閉じていれば、第2圧力センサ32が検出する実測圧力P2が速やかに下がると共に、急激に下がることもない。これにより、外部から視認不能な第1遮断弁22の開閉状態を速やかに判定すると共に、第1遮断弁22に内蔵されるシールに過大な圧力差が作用せず、シールの損傷を防止できる。
次に、燃料電池システム1の動作例について、図3、図4を参照して説明する。
まず、図3を参照して、高負荷状態でIG61がOFFされ、燃料電池スタック10における水素の消費量を下げるケースについて説明する。なお、このようなケースは、燃料電池自動車が、水素消費量が多く、水素圧力が高くなる高速走行した直後、IG61がOFFされた場合等に生じる。
これにより、第1遮断弁22が正常に閉じていた場合、第2圧力センサ32が検出する実測圧力P2は、水素消費量に対応して水素の圧力P4を低下させる比較例に対して、速やかに下がる。したがって、第1遮断弁22の開閉状態を速やかに判定できる。
次に、図4を参照して、低負荷状態でIG61がOFFされ、燃料電池スタック10における水素の消費量を上げるケースについて説明する。なお、このようなケースは、水素消費量が少なく、水素圧力が低いアイドリング中の燃料電池自動車において、IG61がOFFされた場合等に生じる。
これにより、第1遮断弁22が正常に閉じていた場合、第2圧力センサ32が検出する実測圧力P2は、水素消費量に対応して水素の圧力P4を上昇させる比較例に対して、緩やかに下がる。したがって、第1遮断弁22の開閉状態を速やかに判定しつつ、第1遮断弁22に過大な圧力差が作用することを防止できる。
前記した実施形態では、図2のステップS105に示すように、実測圧力P1と実測圧力P0との差が所定圧力差ΔP0以上である場合(S105・Yes)、第1遮断弁22のシールが損傷する虞があると判定して、第2遮断弁24を閉じる構成を説明したが、ステップS105に代えて、又は、ステップS105の後に、第1遮断弁22の下流の実測圧力P2の低下率が所定低下率以上である場合、第1遮断弁22のシールが損傷する虞があると判定し、ステップS109に進み、第2遮断弁24を閉じる構成としてもよい。
10 燃料電池スタック(燃料電池)
11 単セル(燃料電池)
12 アノード流路(燃料ガス流路)
13 カソード流路(酸化剤ガス流路)
21 水素タンク(燃料ガス源)
22 第1遮断弁
22a、23a、24a、25a、28a 配管(供給流路)
24 第2遮断弁
25 第2減圧弁(圧力制御手段)
27 インジェクタ(圧力制御手段)
32 第2圧力センサ(圧力検出手段)
51 走行モータ
52 VCU(消費量制御手段)
70 ECU(弁制御手段、消費量制御手段、圧力制御手段、開閉状態判定手段)
Claims (5)
- 燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路を有し、前記燃料ガス流路に燃料ガスが、前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスが、それぞれ供給されることで発電する燃料電池と、
前記燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給源と、
前記燃料ガス供給源から前記燃料ガス流路に向かう燃料ガスが通流する供給流路と、
前記供給流路に設けられた第1遮断弁と、
前記第1遮断弁を制御する弁制御手段と、
前記燃料電池の発電を制御し、当該燃料電池による燃料ガスの消費量を制御する消費量制御手段と、
前記燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を制御する圧力制御手段と、
前記第1遮断弁の下流の前記供給流路に設けられ、燃料ガスの圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段が検出した燃料ガスの圧力と、前記燃料電池における燃料ガス消費量とに基づいて、前記第1遮断弁の開閉状態を判定する開閉状態判定手段と、
を備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池の発電停止信号を受信したことにより、前記弁制御手段が前記第1遮断弁を閉じるように制御した後、
前記消費量制御手段は、前記燃料電池を発電させ、当該燃料電池による燃料ガスの消費量を、前記第1遮断弁の検査用の検査用消費量に制御し、
前記圧力制御手段は、前記燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を、前記第1遮断弁の閉制御時の前記燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を制御目標値として維持するように制御し、
前記開閉状態判定手段は、前記圧力検出手段が検出した実際の燃料ガスの圧力と、前記第1遮断弁の閉制御時において前記圧力検出手段が検出した燃料ガスの圧力及び前記燃料電池の前記検査用消費量に基づいて予測される燃料ガスの圧力との差が、所定値以下でない場合、前記第1遮断弁は閉じていないと判定する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記第1遮断弁と前記燃料ガス流路との間に第2遮断弁を備え、
前記圧力検出手段は前記第1遮断弁と前記第2遮断弁との間に配置されており、
前記第1遮断弁が閉じるように制御された後において、前記圧力検出手段が検出する燃料ガスの圧力に基づいて、前記第1遮断弁のシールが損傷する虞があると判断された場合、前記弁制御手段は、前記第2遮断弁を閉じるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料ガス供給源は燃料ガスが高圧で封入された高圧タンクであり、
前記第1遮断弁が前記高圧タンク内に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。 - 燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路を有し、前記燃料ガス流路に燃料ガスが、前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスが、それぞれ供給されることで発電する燃料電池と、
前記燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給源と、
前記燃料ガス供給源から前記燃料ガス流路に向かう燃料ガスが通流する供給流路と、
前記供給流路に設けられた第1遮断弁と、
前記第1遮断弁を制御する弁制御手段と、
前記燃料電池の発電を制御し、当該燃料電池による燃料ガスの消費量を制御する消費量制御手段と、
前記燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を制御する圧力制御手段と、
前記第1遮断弁の下流の前記供給流路に設けられ、燃料ガスの圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段が検出した燃料ガスの圧力と、前記燃料電池における燃料ガス消費量とに基づいて、前記第1遮断弁の開閉状態を判定する開閉状態判定手段と、
を備える燃料電池システムにおける遮断弁の開閉状態判定方法であって、
前記燃料電池の発電停止信号を受信したことにより、前記弁制御手段が前記第1遮断弁を閉じるように制御した後、
前記消費量制御手段は、前記燃料電池を発電させ、当該燃料電池による燃料ガスの消費量を、前記第1遮断弁の検査用の検査用消費量に制御し、
前記圧力制御手段は、前記燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を、前記第1遮断弁の閉制御時の前記燃料ガス流路における燃料ガスの圧力を制御目標値として維持するように制御し、
前記開閉状態判定手段は、前記圧力検出手段が検出した実際の燃料ガスの圧力と、前記第1遮断弁の閉制御時において前記圧力検出手段が検出した燃料ガスの圧力及び前記燃料電池の前記検査用消費量に基づいて予測される燃料ガスの圧力との差が、所定値以下でない場合、前記第1遮断弁は閉じていないと判定する
ことを特徴とする遮断弁の開閉状態判定方法。 - 前記燃料電池システムは前記第1遮断弁と前記燃料ガス流路との間に第2遮断弁を備え、前記圧力検出手段が前記第1遮断弁と前記第2遮断弁との間に配置されており、
前記第1遮断弁が閉じるように制御された後において、前記圧力検出手段が検出する燃料ガスの圧力に基づいて、前記第1遮断弁のシールが損傷する虞があると判断された場合、前記弁制御手段は、前記第2遮断弁を閉じるように制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の遮断弁の開閉状態判定方法。
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