JP4770411B2 - 分岐用電線保持具および分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、分岐用電線保持具および分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法に関し、詳しくは、略T字状に分岐するワイヤハーネスの分岐部に対し、簡易な操作により結束バンドを締め付け固定可能とするものである。
従来、自動車に配索されるワイヤハーネスには幹線から支線が分岐している箇所が多数存在し、この分岐位置がずれないように電線群にテープを巻き付けて結束している。この分岐部の結束は、ワイヤハーネス組立作業台に立設した電線保持具に電線束を布線した状態で行っている。これら電線束を結束する粘着テープは、幹線から支線が分岐する位置では、電線保持具の支持棒の間に電線束が保持されている状態では支持棒が邪魔となって粘着テープを電線束に巻き付けることができない。
そのため、電線保持具を下降させて電線束を電線保持具から外した状態で粘着テープを巻き付けている。このように、分岐部における粘着テープの巻き付け作業は熟練を要し、作業者の熟練度合いによって結束状態にバラツキが発生しやすく、かつ、ワイヤハーネスには分岐位置が多いために作業時間がかかるという問題がある。また、分岐部に粘着テープを巻き付ける際に電線束を電線保持具から取り出すため、粘着テープを巻き付ける分岐位置にずれが発生しやすく、分岐部の位置精度が低下するという問題もある。
そのため、電線保持具を下降させて電線束を電線保持具から外した状態で粘着テープを巻き付けている。このように、分岐部における粘着テープの巻き付け作業は熟練を要し、作業者の熟練度合いによって結束状態にバラツキが発生しやすく、かつ、ワイヤハーネスには分岐位置が多いために作業時間がかかるという問題がある。また、分岐部に粘着テープを巻き付ける際に電線束を電線保持具から取り出すため、粘着テープを巻き付ける分岐位置にずれが発生しやすく、分岐部の位置精度が低下するという問題もある。
そこで、本出願人は、テープ巻きに代えて汎用の結束バンドで分岐部を結束固定する分岐部結束方法を特開2005−27463号(特許文献1)で提供している。この結束方法では、図7(A)(B)に示すように、先ずワイヤハーネスの組立作業台1上に立設した電線保持具2を通して電線を布線し、この電線保持具2の上部に設けた電線保持棒2a、2b、2cの間を通して幹線Waより支線WbをT字状に分岐させている。次いで、電線束Wに対して、分岐部Pの電線束Wを電線保持具2から取り出さない状態で、一対の結束バンド3A、3Bを支線Wbの両側で幹線Waに巻き付ける。しかる後、結束バンド3A、3Bの先端側を交叉させ、他方の結束バンド3A、3Bの基部に設けた係止部3a、3bにそれぞれ挿入して係止させ、電線束Wの分岐点Pに対応する位置で結束バンド3A、3Bをたすき掛け状態に交叉させて締結している。なお、結束バンド3A、3Bは両者の基部を一定間隔に保持するための別体の補助部材4に挿通しておくことで作業性の向上を図っている。
上記のように、図7(A)(B)に示す方法によれば、電線保持具2に保持された状態の電線束Wの分岐点Pに対し、その保持状態を維持しつつ汎用の結束バンド3A、3Bを用いて結束することができる。しかしながら、分岐点Pに対し結束バンド3A、3Bを巻回するには電線保持棒2a、2b、2cを巻き込まないように注意しながら電線保持棒2a、2b、2cの内側で巻き付け作業をする必要があるため、支線Wbを中心方向に寄せて結束バンド3A、3Bを挿入するスペースを確保しながらの作業になるため、その作業手順が複雑となり、更に締め付け位置の高精度の位置決めも困難である等の問題がある。
また、T字状の分岐形態においては、支線Wbの基部が膨らむと、車体へのワイヤハーネスの取付時に他部材に干渉したり、配索される電線に余長が生じたりするため、支線Wbの基部両側に近接した位置を結束バンド3A、3Bで結束するのが好ましい。このため、従来例においては、補助部材4を用いて結束作業時における結束バンド3A、3Bの間隔位置が拡がらないようにしているが、別部材を要するためコスト高になると共に、結束バンド3A、3Bを予め補助部材4に挿通しておかなければならないという問題がある。
また、T字状の分岐形態においては、支線Wbの基部が膨らむと、車体へのワイヤハーネスの取付時に他部材に干渉したり、配索される電線に余長が生じたりするため、支線Wbの基部両側に近接した位置を結束バンド3A、3Bで結束するのが好ましい。このため、従来例においては、補助部材4を用いて結束作業時における結束バンド3A、3Bの間隔位置が拡がらないようにしているが、別部材を要するためコスト高になると共に、結束バンド3A、3Bを予め補助部材4に挿通しておかなければならないという問題がある。
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、熟練を要することなく簡易な操作により電線保持具に保持された状態における略T字状の分岐部に対し、汎用の結束バンドを用いて所定の結束位置に対し高精度に位置決めされた状態で結束可能な電線保持具および分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明では、幹線の途中から該幹線に対し略直角方向に支線を分岐させることで略T字状に分岐する電線束の分岐部を保持するための電線受部と、該電線受部をワイヤハーネスの組立作業台上に立設するための支柱とからなる分岐用電線保持具であって、
前記電線受部は分岐点における前記支線の両側にそれぞれ配置される支線側腕部と、各支線側腕部に対し幹線を挟んで対向位置にそれぞれ配置される幹線側腕部とを備え、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部との間の隙間部分を分岐部における幹線支持部とすると共に前記各支線側腕部間の隙間部分を支線支持部とし、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部の内面には結束バンドを一方の腕部から他方の腕部に向けてU字状に屈曲しながら案内する案内溝をそれぞれ形成すると共に、該案内溝は前記幹線支持部に支持される幹線の電線束に干渉しないように幹線の下方を通過する案内軌道に沿って形成していることを特徴とする電線保持具を提供している。
前記電線受部は分岐点における前記支線の両側にそれぞれ配置される支線側腕部と、各支線側腕部に対し幹線を挟んで対向位置にそれぞれ配置される幹線側腕部とを備え、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部との間の隙間部分を分岐部における幹線支持部とすると共に前記各支線側腕部間の隙間部分を支線支持部とし、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部の内面には結束バンドを一方の腕部から他方の腕部に向けてU字状に屈曲しながら案内する案内溝をそれぞれ形成すると共に、該案内溝は前記幹線支持部に支持される幹線の電線束に干渉しないように幹線の下方を通過する案内軌道に沿って形成していることを特徴とする電線保持具を提供している。
上記構成によれば、電線受部の各腕部間の支持部によって略T字状の分岐形態に保持された電線束に対し、支持部による支持状態を維持したままで、対向する幹線側腕部と支線側腕部に形成した案内溝に沿って結束バンドを挿入するのみの容易な操作により、支線の両側に並行して分岐部における幹線の外周に結束バンドを正確に位置決めして配置することができる。そして、各結束バンドのそれぞれの係止部に対し結束バンドの先端部を順次挿入して締め付けることで分岐部に対し結束バンドによる固定化を実行することができる。
また、前記案内溝は結束バンドの幅寸法に略対応する溝幅と結束バンドの厚み寸法より深い溝深さに形成することで結束バンドの両側を保持する案内側壁を備える一方、前記支線側腕部の領域では前記支線に対面する内面側の案内側壁を備えない構成とすることで、支線の両側における結束バンドの案内軌道を支線の両側基部に近接させるように設定するのが好ましい。
このように構成すれば、幹線に巻き付けるべき結束バンドが案内溝の所要経路から外れることがなく、かつ支線の基部両側に密接した状態で精度よく位置決めすることができると共に、支持された電線束に干渉することもなく、よって結束バンドを容易かつ確実に所要位置に配置することができる。
このように構成すれば、幹線に巻き付けるべき結束バンドが案内溝の所要経路から外れることがなく、かつ支線の基部両側に密接した状態で精度よく位置決めすることができると共に、支持された電線束に干渉することもなく、よって結束バンドを容易かつ確実に所要位置に配置することができる。
また、他の発明では、前記分岐用電線保持具を用いて、分岐部を有するワイヤハーネスを製造するに際し、前記電線受部の幹線支持部に沿って電線を布線すると共に、布線される電線の一部を支線支持部側へ分岐させるようにして略T字状の分岐部を構成し、
次いで、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部の案内溝に沿って一方の腕部から他方の腕部へ向けて結束バンドを先端側からそれぞれ順次挿入することで結束バンドを支線の両側に並行する方向で幹線の下面側を通してU字状に案内し、
対向する他方の腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付けることで略T字状の分岐部における幹線に対し各結束バンドを支線の両側に沿って並行する方向で締め付け固定するようにしたことを特徴とする分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法を提供している。
次いで、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部の案内溝に沿って一方の腕部から他方の腕部へ向けて結束バンドを先端側からそれぞれ順次挿入することで結束バンドを支線の両側に並行する方向で幹線の下面側を通してU字状に案内し、
対向する他方の腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付けることで略T字状の分岐部における幹線に対し各結束バンドを支線の両側に沿って並行する方向で締め付け固定するようにしたことを特徴とする分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法を提供している。
このような手順で、分岐用電線保持具によって電線束を略T字状の分岐形態に布線した後、各幹線側腕部および支線側腕部に形成された案内溝に沿って互いに対向する反対側の腕部に向けて結束バンドを挿通するのみで、幹線の電線束に対し結束バンドを支線の基部両側に並行に位置決めした状態で案内配置することができる。よって、対向する腕部間に挿通された結束バンドを係止部で締め付るのみで、電線受部に電線束を保持した状態のまま分岐部の所要位置に対し結束バンドを容易かつ確実に締め付け固定することができる。
以上の説明より明らかなように、本発明の電線保持具によれば、ワイヤハーネスの分岐部として電線受部に、略T字状の分岐形態で保持された電線束に対し、汎用の結束バンドを支線の基部両側に並行して配置すべく対向する腕部に設けた案内溝によって案内することができる。よって、電線保持具から電線束を取り外すことなく、かつ汎用の結束バンドを用いて、簡易な操作により分岐部の幹線に対し結束バンドを正確に配置することができる。
また、分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法によれば、電線受部の対向する腕部に形成された案内溝に沿って汎用の結束バンドを挿通し、挿通された結束バンドの先端をその基部に設けた係止部に挿通して締め付けるのみで、略T字状の分岐部における支線の基部両側において幹線に対し結束バンドを並行に締め付け固定したワイヤハーネスを提供することができる。
また、分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法によれば、電線受部の対向する腕部に形成された案内溝に沿って汎用の結束バンドを挿通し、挿通された結束バンドの先端をその基部に設けた係止部に挿通して締め付けるのみで、略T字状の分岐部における支線の基部両側において幹線に対し結束バンドを並行に締め付け固定したワイヤハーネスを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図6は分岐用の電線保持具の実施形態を示し、この電線保持具10は、ワイヤハーネスの組立工程において、幹線Waの途中からこの幹線Waに対し略直角方向に支線Wbを分岐させることで略T字状に分岐する電線束の分岐部Aを保持すると共に、分岐部Aの幹線Waに結束される結束バンドB1、B2を配置するために用いられる。電線保持具10は、布線される電線束を受け入れて保持する合成樹脂製の電線受部11を上端に備えた金属製の支柱12と、この支柱12をワイヤハーネスの組立作業台Tの所定位置に取付固定するためのボルト・ナットからなる取付部18とから構成している。
図1〜図6は分岐用の電線保持具の実施形態を示し、この電線保持具10は、ワイヤハーネスの組立工程において、幹線Waの途中からこの幹線Waに対し略直角方向に支線Wbを分岐させることで略T字状に分岐する電線束の分岐部Aを保持すると共に、分岐部Aの幹線Waに結束される結束バンドB1、B2を配置するために用いられる。電線保持具10は、布線される電線束を受け入れて保持する合成樹脂製の電線受部11を上端に備えた金属製の支柱12と、この支柱12をワイヤハーネスの組立作業台Tの所定位置に取付固定するためのボルト・ナットからなる取付部18とから構成している。
電線受部11は、ワイヤハーネスの分岐部Aに布線される電線束を所要方向に案内するために分岐点Pに対応する基部11aの中心位置に対し支線Wb側に偏在すると共に布線される支線Wbの両側に立設して配置される2本の支線側腕部13A、13Bと、各支線側腕部13A、13Bに対し布線される幹線Waを挟んで対向する位置に立設して配置される2本の幹線側腕部13C、13Dとを備えている。対向する支線側腕部13Aと幹線側腕部13C、支線側腕部13Bと幹線側腕部13Dとの間によって構成される溝状の隙間部分を、分岐部Aにおいて布線される幹線Waを受け入れて支持する幹線支持部14A、14Bとすると共に、支線側腕部13A、13Bの間によって構成される溝状の隙間部分を支線支持部14Cとしている。幹線側腕部13C、13Dの間は側板14Dによって閉塞することで、電線束が誤って分岐布線されないようにしている。
これら幹線支持部14A、14B、支線支持部14Cの基端部14a、14b、14cは、布線される幹線Waおよび支線Wbの高さ方向の支持位置を規制する部分としている。なお、電線受部11は支柱12に対し着脱して各種形状のものに対応することができるように支柱12の上端に形成した雄ネジ部12aに対応する雌ネジ部15を備えている。
また、対向する支線側腕部13Aと幹線側腕部13C、支線側腕部13Bと幹線側腕部13Dの内面には、一方から他方に向けてその軌道がU字状に屈曲した経路となる案内溝16a、16bをそれぞれ形成している。この案内溝16a、16bは、案内すべき後述の結束バンドB1、B2の幅寸法に略対応すると共に厚さ寸法より深く形成した断面凹状に形成することで、結束バンドB1、B2の両側を保持する案内側壁17a、17bを形成している。この案内側壁17a、17bは支線側腕部13A、13Bに対応する領域では、布線される支線Wbの両側に対面する内面側の案内側壁17aを備えない構成、即ち断面L状とすることで、支線Wbの両側における結束バンドB1、B2の案内軌道を支線Wbの両側基部に近接させるようにしている。
また、案内溝16a、16bは電線保持具10に保持された幹線Waおよび支線Wbの外周に干渉することがないように、その外周より外側下方を通過する軌道に沿って形成されている。即ち、幹線Waおよび支線Wbを支持する幹線支持部14A、14Bおよび支線支持部14Cの基端部14a、14b、14cの高さ位置より、結束バンドB1、B2の案内溝16a、16bの下端位置が下方になる寸法設定としている。案内溝16a、16bの上端の入り口付近では、案内溝13a、13bに対する結束バンドB1、B2の挿通作業を容易にするため、上方外方に向けて緩い角度で傾斜する導入傾斜面16cを形成している。
図4(A)(B)は、汎用の結束バンドB1、B2を示し、ワイヤハーネスの分岐部Aにおける幹線Waの外周対し、支線Wbの延出方向に沿って並行させた状態で結束するのに十分な長さのバンド本体部Baと、一端に設けた係止部Bbとからなっている。バンド本体Baの内面には係止部Bbの係止爪Bcに係止してラッチ機構を構成するための係止溝Bdを備えている。
次に上記構成からなる電線保持具10を用いて略T字状の3方向に分岐する分岐部Aを有するワイヤハーネスの製造工程について説明すると、
先ず、ワイヤハーネスの組立作業台T上の布線経路に沿って立設されたU字状の通常の電線受具(図示せず)に沿って電線を布線する。分岐点Pに対応する位置には、分岐用の電線保持具10を立設しておき、図3(A)(B)に示すように、幹線Waを幹線支持部14A、14Bにわたって係止するようにして直線方向に布線する。そして、幹線Waから分岐すべき支線Wbを分岐点Pにおいて幹線Waに対し略直角方向に向けて布線し、支線支持部14Cにそれぞれ係止する。このようにして、幹線Waに対し支線Wbが略T字状に分岐する分岐部Aが構成される。
先ず、ワイヤハーネスの組立作業台T上の布線経路に沿って立設されたU字状の通常の電線受具(図示せず)に沿って電線を布線する。分岐点Pに対応する位置には、分岐用の電線保持具10を立設しておき、図3(A)(B)に示すように、幹線Waを幹線支持部14A、14Bにわたって係止するようにして直線方向に布線する。そして、幹線Waから分岐すべき支線Wbを分岐点Pにおいて幹線Waに対し略直角方向に向けて布線し、支線支持部14Cにそれぞれ係止する。このようにして、幹線Waに対し支線Wbが略T字状に分岐する分岐部Aが構成される。
次いで、図5(A)(B)に示すように、対向する支線側腕部13Aと幹線側腕部13C、支線側腕部13Bと幹線側腕部13Dのうち、先ず一方における幹線側腕部13Cの案内溝16aの始点に沿って結束バンドB1を先端側から対向する他方の支線側腕部13Aに向けて挿入する。挿入された結束バンドB1は案内溝16aに案内されながら分岐部Aを構成する幹線Waの基部に干渉することなく、その下方の軌道を通ってU字状に屈曲し、対向する反対側の支線側腕部13Aにおける案内溝16aの端部から突出する。次いで、図6(A)(B)に示すように、腕部13Aから突出した結束バンドB1の先端部を対応する基端部の係止部Bbに挿通して締め付け操作する。このとき、支線側腕部13Aでは、支線Wbに対面する側の案内側壁17aがないため、結束バンドB1は支線Wbに最も近接した位置に配置することが可能となる。このため、結束バンドB1の締め付けによって、支線Wbの基部の膨らみを抑えて設計通りの分岐経路とすることができ、車体への取付時における他部材との干渉およびワイヤハーネスを構成する電線に余長が発生するのを防止できる。
そして、他方の対向する支線側腕部13Bと幹線側腕部13Dの案内溝16bにも上記と同様の操作により結束バンドB2を挿入すると共に、突出した先端部を係止部Bbに挿通して締め付け操作する。このようにして、分岐部Aを構成する幹線Waに対し2本の結束バンドB1、B2を、支線Wbの両側に近接させた状態で並行に配置して締め付け固定することで、所要の分岐点Pに対し精度よく合致する分岐部Aを形成することができる。このように、電線保持具10から幹線Waおよび支線Wbを持ち上げることなく、幹線支持部14A、14Bおよび支線支持部14Cに支持させた状態で分岐部Aに対し結束バンドB1、B2を定位置に配置して締め付け操作することができる。
以上のように、分岐用の電線保持具10を用いることで、汎用の結束バンドB1、B2を用い、かつ、それぞれの結束バンドB1、B2の独立した通常の締め付け操作により分岐部Aを構成する幹線Waに対し、結束バンドB1、B2を支線Wbの両側に近接した並行状態で締め付け操作することができる。更に、結束バンドB1、B2による締め付け操作までの間、電線保持具10に布線された幹線Waおよび支線Wbは、幹線支持部14A、14Bおよび支線支持部14Cに支持したままで、持ち上げる必要がないので、電線束が引っ張られることによる分岐点Pの位置ズレを生じることもなく、簡易な操作により分岐点Pに対する位置決め精度のよい分岐部Aを有するワイヤハーネスを製造することができる。
なお、上記実施形態において電線受部の材質としては、結束バンドの挿入操作時の滑りのよい合成樹脂製を用いた例を示したが、金属製等他の材質を用いてもよい。上記実施形態では、2本の結束バンドを案内溝16a、16bに対し1本ずつ挿入して締め付け固定する手順を示したが、2本を各腕部に挿入してからそれぞれの締め付け操作を行うようにしてもよい。また、上記実施形態では電線受部を支柱に対し着脱交換可能な例を示したが、一体のものであってもよい。
10 電線保持具
11 電線受部
11a 基部
12 支柱
13A、13B 支線側腕部
13C、13D 幹線側腕部
14A、14B 幹線支持部
14C 支線支持部
16a、16b 案内溝
17a、17b 案内側壁
A 分岐部
B1、B2 結束バンド
Bb 係止部
Wa 幹線
Wb 支線
P 分岐点
11 電線受部
11a 基部
12 支柱
13A、13B 支線側腕部
13C、13D 幹線側腕部
14A、14B 幹線支持部
14C 支線支持部
16a、16b 案内溝
17a、17b 案内側壁
A 分岐部
B1、B2 結束バンド
Bb 係止部
Wa 幹線
Wb 支線
P 分岐点
Claims (3)
- 幹線の途中から該幹線に対し略直角方向に支線を分岐させることで略T字状に分岐する電線束の分岐部を保持するための電線受部と、該電線受部をワイヤハーネスの組立作業台上に立設するための支柱とからなる分岐用電線保持具であって、
前記電線受部は分岐点における前記支線の両側にそれぞれ配置される支線側腕部と、各支線側腕部に対し幹線を挟んで対向位置にそれぞれ配置される幹線側腕部とを備え、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部との間の隙間部分を分岐部における幹線支持部とすると共に前記各支線側腕部間の隙間部分を支線支持部とし、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部の内面には結束バンドを一方の腕部から他方の腕部に向けてU字状に屈曲しながら案内する案内溝をそれぞれ形成すると共に、該案内溝は前記幹線支持部に支持される幹線の電線束に干渉しないように幹線の下方を通過する案内軌道に沿って形成していることを特徴とする電線保持具。 - 前記案内溝は結束バンドの幅寸法に略対応する溝幅と結束バンドの厚み寸法より深い溝深さに形成することで結束バンドの両側を保持する案内側壁を備える一方、前記支線側腕部の領域では前記支線に対面する内面側の案内側壁を備えない構成とすることで、支線の両側における結束バンドの案内軌道を支線の両側基部に近接させるようにしている請求項1に記載の電線保持具。
- 前記請求項1または請求項2に記載の分岐用電線保持具を用いた分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法であって、
前記電線受部の幹線支持部に沿って電線を布線すると共に、布線される電線の一部を支線支持部側へ分岐させるようにして略T字状の分岐部を構成し、
次いで、対向する前記幹線側腕部と支線側腕部の案内溝に沿って一方の腕部から他方の腕部へ向けて結束バンドを先端側から順次挿入することで結束バンドを支線の両側に並行する方向で幹線の下面側を通してU字状に案内し、
対向する他方の腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付けることで略T字状の分岐部における幹線に対し各結束バンドを支線の両側に沿って並行する方向で締め付け固定するようにしたことを特徴とする分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法。
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