JP4768930B2 - インクジェット記録用ポリオレフィン布帛、その製造方法、及びその記録物 - Google Patents

インクジェット記録用ポリオレフィン布帛、その製造方法、及びその記録物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用ポリオレフィン布帛、その製造方法、及びその記録物に関し、更に詳しくは、インクジェット記録により、色や柄を自由に且つ濃色に表現でき、しかも染色堅牢性に優れた染色が可能なインクジェット記録用ポリオレフィン布帛、その製造方法、及びその記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂は、比較的安価で、軽量性、耐薬品性及び機械的特性等の物性に優れ、また再利用が可能であるなど優れた性質を有する。
そのため、ポリオレフィンの使用量は増加傾向にあり、近年、繊維分野においてもポリオレフィン繊維よりなる布帛(ポリオレフィン布帛)に対する需要が高まってきている。
【0003】
しかし、ポリオレフィン繊維は、本質的に、染料や顔料では染色されにくいという大きな問題を有する。
それは、ポリオレフィン繊維が基本的に不活性なメチレン基やメチル基等を連続的に含むため、染料等と結合すべき極性基や染着座席が極端に少ないことが原因の1つとされる。
また、この繊維は結晶化度が高く、染料等が容易に入り込めないことも原因と考えられている。
【0004】
このような問題を克服するために、ポリオレフィン繊維に処理加工を施すことにより、繊維自体の染色性を高める改良がなされている。
例えば、ポリオレフィン繊維に他のポリマーをブレンドしたり官能基をもったモノマーを重合させる方法や、プラズマ処理やオゾン酸化処理等により繊維の表面を改質する方法等である(例えば特開平4−209824号等参照)。
【0005】
しかし、いずれの方法も莫大な設備投資やエネルギー消費を必要とするため、極めて不経済である。
しかも、これらの方法により処理された繊維よりなる布帛においても、染色の結果は、濃度や染色堅牢性すなわち耐摩擦性(耐摩耗性、耐摩擦汚染性等)や耐水性等の点で必ずしも満足のいくものとはなっていない。
【0006】
また、予めポリオレフィン繊維の製造段階において、主として、ポリオレフィンのポリマー原料に顔料等を練りこむなどの方法により、繊維自体を着色する方法が採られることもある。
しかし、そのようにして得られた原着糸は、色数が少なく、しかも色や柄の表現に制約を受けるため、自由に着色し柄表現するという要望には十分に応えられないという問題を有している。
【0007】
一方、上記要望に応えるものとして、インクジェット印写技術による記録方法があり、近年、その方法による布帛の染色が盛んに行われている。
通常、布帛にそのままインクジェット印写するとインクの滲みが生じるため、印写の前処理として布帛にインク受容剤を付与しておく方法が採られる。
【0008】
しかし、ポリオレフィン布帛は、一般に、こうしたインク受容剤との接着性に極めて乏しい。
従って、摩擦等によりインク受容層が容易に布帛表面から剥離してしまうという問題がある。
そのため、インク受容層が布帛表面から剥離しない布帛の開発が望まれる。
しかも、染色濃度や染色堅牢性に優れる布帛が強く望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実情を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、インクジェット記録方法により色や柄を自由に表現でき、十分に高濃度な染色が可能なインクジェット記録用ポリオレフィン布帛、その製造方法、及びその記録物を提供することである。
【0010】
しかも、染色堅牢性に優れたインクジェット記録用ポリオレフィン布帛、その製造方法、及びその記録物を提供することである。
さらに、経済的で簡便な処理により得られるインクジェット記録用ポリオレフィン布帛、その製造方法、及びその記録物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、塩素化ポリオレフィン樹脂がポリオレフィン布帛と疎水性化合物の両方に接着性を有することを見出し、更に塩素化ポリオレフィン樹脂を介在させれば、疎水性化合物を主成分とするインク受容層がポリオレフィン布帛の表面に十分な強度を持って固着することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0012】
即ち、本発明は、(1)、インクジェット記録用ポリオレフィン布帛であって、ポリオレフィン布帛の表面上に、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する接着層が形成され、更に該接着層の上に疎水性化合物を含有するインク受容層が形成され、前記塩素化ポリオレフィン樹脂は、その融点が40〜130℃であり、前記疎水性化合物は、融点が40〜130℃であり、前記疎水性化合物が、低分子量アルキレン系化合物、脂肪酸アミド系化合物若しくは多価アルコール脂肪酸エステル系化合物であり、前記低分子量アルキレン系化合物が、数平均分子量が10000以下の化合物であり、インクジェット記録後、前記疎水性化合物を溶融して前記接着層と強固に結びつけ固化させるものであるインクジェット記録用ポリオレフィン布帛に存する。
【0013】
そして、(2)、前記低分子量アルキレン系化合物が、低分子量ポリエチレン、パラフィンワックス又はポリエチレンワックスであり、前記脂肪酸アミド系化合物が、エチレンビスステアリンアミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド又はメチロールステアリンアミドであり、前記多価アルコール脂肪酸エステル系化合物が、グリセリンオレイン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル又はエチレングリコールステアリン酸エステルであるインクジェット記録用ポリオレフィン布帛に存する。
【0014】
そしてまた、(3)、前記ポリオレフィン布帛は、ポリプロピレン繊維よりなる織編物であるインクジェット記録用ポリオレフィン布帛に存する。
【0015】
そしてまた、(4)、前記塩素化ポリオレフィン樹脂は、その塩素含有量が15〜50重量%であるインクジェット記録用ポリオレフィン布帛に存する。
【0016】
そしてまた、(5)、前記疎水性化合物は、低分子量アルキレン系化合物、脂肪酸アミド系化合物、多価アルコール脂肪酸エステル系化合物のうちから2種類以上を選択したものであるインクジェット記録用ポリオレフィン布帛に存する。
【0018】
そしてまた、()、上記(1)〜(5)のいずれか1のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の製造方法であって、前記ポリオレフィン布帛の表面上に、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する処理液を付与して接着層を形成する工程と、さらに該接着層の上に、疎水性化合物を含有する処理液を布帛への付与量が0.5〜20重量%となるように付与してインク受容層を形成する工程とを有するインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の製造方法に存する。
【0019】
そしてまた、()、前記処理液をマングルパット法で付与するインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の製造方法に存する。
【0020】
そしてまた、()、上記(1)〜()のいずれか1のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛にインクジェット記録を行った後、熱処理を施し、前記疎水性化合物を溶融させて前記接着層と強固に結びつけ再び固化させた記録物に存する。
【0021】
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の実施の形態について述べる。
始めに、本発明のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の機能について述べる。
【0023】
本発明のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛は、ポリオレフィン布帛の記録面上に塩素化ポリオレフィン樹脂を主成分とする接着層が形成され、さらにその上に疎水性化合物を主成分とするインク受容層が形成されてなる。
このように形成すると、ポリオレフィン布帛と疎水性化合物は、両者に接着力を有する塩素化ポリオレフィン樹脂を介して剥離することなく十分な強度を持つことができる。
【0024】
さらに、後述するように、インクジェット記録後、疎水性化合物等の融点以上の温度で記録物の熱処理を行うことにより、それらは溶融して再び固化するため、ポリオレフィン布帛に対してより強固に接着させることができる。
そのため、染色堅牢性に優れた記録物を得ることが可能となる。
また、塩素化ポリオレフィン樹脂に架橋剤等を添加することにより、更に染色堅牢性を向上させることができる。
【0025】
ポリオレフィン布帛としては、織物、編物、不織布を問わずあらゆる布帛組織が採用可能であり、好ましくは織編物が採用される。
また、繊維素材としてはポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられるが、耐熱性に優れるポリプロピレン繊維がより好ましい。
【0026】
本発明においては、疎水性化合物を主成分とするインク受容層が、ポリオレフィン布帛の記録面の最上層に積層されており、インクを受け止め、色や柄の自由な表現や十分に高濃度な染色を可能とする。
そして、先述した記録物の熱処理に際し、その温度をこれらの疎水性化合物の融点以上にすれば、これらの疎水性化合物は溶融して接着層と強固に結びついて固化する。
さらに、この熱処理により色材との結合がより強固となるため、染色堅牢性に優れた記録物を得ることができるのである。
【0027】
疎水性化合物としては、融点が40〜130℃の範囲の化合物を用いると好ましい。
なお、融点を測定することができないものについては、軟化点の温度とする。
融点が40℃未満の場合、加工安定性、製品の保管安定性に問題が生じ易く、130℃より高い場合は、高温となるため、布帛の黄変、劣化等の問題が発生すると同時に風合いを損ねる場合がある。
【0028】
本発明に用いられる疎水性化合物の種類としては、具体的には、低分子量ポリエチレン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の低分子量アルキレン系化合物、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックスなどの石油化学系合成ワックス類、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウなどの植物性ワックス類、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、エチレンビスステアリンアミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メチロールステアリンアミド等の脂肪酸アミド系化合物、エトキシルセチルアルコール、エトキシルステアリルアルコール等の高級アルコール系化合物、グリセリンオレイン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、エチレングリコールステアリン酸エステル等のグリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル系化合物、12―ヒドロキシステアリン酸エステル、12―ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12―ヒドロキシステアリン酸アミド等の12―ヒドロキシステアリン酸誘導体等が挙げられる。
【0029】
そして、その中から、布帛を形成する繊維の性質、インクの性質、加工条件、要求物性にあったものを適宜選択して使用するとよい。
ここで、低分子量アルキレン系化合物とは、数平均分子量が10000以下、好ましくは5000以下、更に好ましくは100〜2000の化合物を意味する。
また、高級アルコール系化合物とは、炭素数が12以上、好ましくは16以上のアルコール系化合物を意味する。
【0030】
以上の疎水性化合物の中でも、低分子量アルキレン系化合物、脂肪酸アミド系化合物若しくは多価アルコール脂肪酸エステル系化合物は、布帛に対する接着性や被覆性により優れるため、好ましく用いられる。
これらの化合物のうちから2種類以上を選択して用いると、乳化分散を容易に行うことができるので更に好ましい。
【0031】
疎水性化合物の布帛への付与量は用いる布帛素材によっても異なるが、布帛に対して0.5〜20重量%が好ましい。
後述する水性インクが、この疎水性化合物を主成分とするインク受容層の表層に留まることにより、高濃度に着色することを可能とする。
【0032】
従って、疎水性化合物の布帛への付与量が0.5重量%以下では、水性インクの布帛内部への浸透を防止する効果が期待できず、インクを布帛表層に留めて高濃度着色できないばかりでなく、熱処理後の耐水性、耐摩耗性の効果が十分でない場合がある。
また、20重量%以上では、付与量に対応した耐水性や耐摩耗性の大きな向上が期待できないばかりでなく、滲みや均染性の不良が起こるおそれがある。
さらに必要であれば、カチオン性樹脂、バインダー、架橋剤、pH調整剤、粘度調整剤、浸透剤等を併用することもできる。
【0033】
本発明は、本来接着性が極めて乏しいポリオレフィン布帛と疎水性化合物を主成分とするインク受容層の両者に接着性を有する塩素化ポリオレフィン樹脂を介在させるところにその本質がある。
さらに、先述したように、ポリオレフィン布帛の表面に接着層を形成し、その上に疎水性化合物を主成分とするインク受容層を積層すると、布帛表面が平滑になるため、後でインクジェット記録を行った場合、インクが布帛表面に均一に付与される。
そして、先述したように、水性インクがインク受容層の表層に留まり、十分に高濃度でしかも滲みのない記録物を得ることが可能となるのである。
【0034】
塩素化ポリオレフィン樹脂は、融点が40〜130℃の範囲のものが好ましく、特に70〜110℃の範囲であればより好ましい。
なお、融点を測定することができないものについては、疎水性化合物の場合と同様、軟化点の温度とする。
融点が40℃未満の場合は、製品の保管安定性が劣るだけでなく耐候性、耐薬品性に低下が生じ易く、130℃より高い場合は、溶融のための熱処理温度が高温になるため同時に布帛の黄変、劣化や風合いの低下等の問題が発生し易くなる。
【0035】
塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する処理液としては、好ましくは通常のポリオレフィン粉末を水性懸濁液中または有機溶媒に溶解した溶液中で塩素化したものが使用される。
塩素化ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、塩素化ラテックス、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン及びこれらの共重合物が挙げられる。
【0036】
塩素化ポリオレフィン中の塩素含有量は、15〜50重量%のものが好ましく、特に20〜30重量%のものがより好ましい。
塩素含有量が15重量%未満では耐候性、耐薬品性の低下が生じ易く、50重量%より高いと接着性の低下や布帛風合いの硬化が生じ易い。
【0037】
接着性を高めるために、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する処理液に、好ましくはエポキシ系等の架橋剤を加えることが行われる。
また、さらに必要であれば、適宜、バインダー、pH調整剤、粘度調整剤、浸透剤等を併用することも可能である。
【0038】
次に、本発明のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の製造方法について述べる。
ポリオレフィン布帛の準備工程としては、必要があれば精練や漂白等の工程を経るが、これは通常の処理を行えばよい。
【0039】
まず、このポリオレフィン布帛の表面上に、先述した塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する処理液(いわゆる接着層処理液)を付与して接着層を形成する(接着層を形成する工程)。
この場合、処理液の付与方法としては、布帛に直接塗布する方法、また該処理液をフィルム状に形成し積層する方法等が挙げられる。
【0040】
直接塗布する方法としては、グラビア法、コーティング法、マングルパッド法等が挙げられる。
具体的には、例えば、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する処理液をポリオレフィン布帛にマングルパッド方式で付与した後、乾燥を行うことにより接着層を形成する。
この際、塩素化ポリオレフィン樹脂の融点以上の温度で乾燥すると、ポリオレフィン繊維との接着性が向上し好ましい。
【0041】
次に、この接着層の上に疎水性化合物を含有する処理液(いわゆるインク受容層処理液)を付与して、インク受容層を積層する(インク受容層を形成させる工程)。
この場合、処理液は、使用する疎水性化合物の他、必要があれば先述したように、架橋剤や浸透剤、pH調整剤等を適宜加えて、水等に分散させて調製する。
【0042】
処理液の付与方法としては、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する処理液と同様に、布帛に直接塗布する方法、また上記の処理液をフィルム状に形成し積層する方法等が挙げられる。
具体的には、例えば、処理液をマングルパッド法で接着層の上に付与した後、乾燥を行うことによりインク受容層を形成する。
この際、疎水性化合物の融点以上の温度で乾燥すると、溶融して接着層との接着性が向上し好ましい。
さらに、処理液をインクジェット方式で布帛表面に印写することも可能である。
【0043】
さて、以上述べた本発明のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛は、インクジェット記録により、適宜色や柄等を施される。
本発明に用いられるインクジェット用インクとしては、水性インクであればよく、色材は顔料、染料いずれも可能である。
【0044】
特に、記録物に耐光性や耐候性等が要求される場合には、顔料を採用することがより好ましい。インクジェット記録の方式としては、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式、インクミスト方式などの連続方式、ステムメ方式(2液室型)、パルスジェット方式(1液室型)、バブルジェット(登録商標)方式、静電吸引方式などのオン・デマンド方式などがいずれも採用可能である。
【0045】
インクジェットにより印写(記録)が行われた後は、先述したように、色材を固定するために熱処理を行うことが好ましく、また必要に応じた処理加工が適宜行われて、最終的な記録物が得られる。
ここで、熱処理は、乾熱あるいは湿熱のいずれも採用可能であるが、用いられる疎水性化合物の融点以上の温度で処理することが好ましい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例について述べる。
なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
評価方法は次の通りである。
〈濃度〉
ブラックの10%インクをベタ印写した部分を、反射濃度計(マクベスRD918:マクベス社製)を用いて測定しK/S値を求めた。数値が高いほど濃度が高く良好である。
【0047】
〈耐水性〉
フルカラー画像を印写した布帛を水中に10分間浸漬した後、色の泣き出しを目視で判定した。
○:色の泣き出し無し
△:色の泣き出し有り
×:色の泣き出し有り、更に濃度低下も認められる
〈耐摩擦性〉
JIS L―0849により摩擦試験(乾燥)を行い、試験布の耐摩耗性および綿布の耐摩擦汚染性をそれぞれ判定し、その程度により耐摩耗性と耐摩擦汚染性にそれぞれ等級をつけた。
【0048】
Figure 0004768930
接着層処理液(2)を生地(1)にマングルパッド方式でピックアップ率80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。その後でインク受容層処理液(3)をマングルパッド法でピックアップ80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。
上記の方法によって作成されたインクジェット記録用布帛に、顔料を含んだインクを用いてインクジェット方式で印写を行った。
インクとしては以下のものを用した。
【0049】
Figure 0004768930
尚、上記の顔料として、
C.I.Pigment Yellow 151(P.Y.151)
C.I.Pigment Red 122(P.R.122)
C.I.Pigment Blue 15:3(P.B.15:3)
C.I.Pigment Black 7(P.Bl.7)
を使用した。
インクジェット方式の印写条件は以下のとおりとした。
(5)印写条件
ノズル径:100μm
駆動電圧:100V
周波数 :5KHz
解像度 :360dpi
続いて、得られた記録物を、130℃で2分間の熱処理を行った。
その結果を表1に示す。
【0050】
Figure 0004768930
接着層処理液(2)を生地(1)にグラビア方式で塗布量が40g/m2になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。その後でインク受容層処理液(3)をマングルパッド法でピックアップ80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。
上記の方法によって作成されたインクジェット記録用布帛に、実施例1と同様に顔料を含んだインクを用いてインクジェット方式で印写を行った。
【0051】
Figure 0004768930
接着層処理液(2)を生地(1)にグラビア方式で塗布量が40g/m2になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。その後でインク受容層処理液(3)をマングルパッド法でピックアップ80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。
上記の方法によって作成されたインクジェット記録用布帛に、実施例1と同様に顔料を含んだインクを用いてインクジェット方式で印写を行った。
【0052】
Figure 0004768930
接着層処理液(2)を生地(1)にマングルパッド方式でピックアップ率80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。その後でインク受容層処理液(3)をマングルパッド法でピックアップ80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。
上記の方法によって作成されたインクジェット記録用布帛に、実施例1と同様に顔料を含んだインクを用いてインクジェット方式で印写を行った。
【0053】
Figure 0004768930
インク受容層処理液(2)を生地(1)にマングルパッド方式でピックアップ率が80%になるように付与し100℃で1分間の乾燥を行った。上記の方法によって作成されたインクジェット記録用布帛に、顔料を含んだインクを用いて実施例1と同様にインクジェット方式で印写を行った。
印写後は150℃で2分間の熱処理を行った。
その結果を表1に示す。
【0054】
Figure 0004768930
接着層処理液(2)を生地(1)にグラビア方式で塗布量が40g/m2になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。その後でインク受容層処理液(3)をマングルパッド法でピックアップ80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。
上記の方法によって作成されたインクジェット記録用布帛に、実施例1と同様に顔料を含んだインクを用いてインクジェット方式で印写を行った。
【0055】
Figure 0004768930
接着層処理液(2)を生地(1)にマングルパッド方式でピックアップ率80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。その後でインク受容層処理液(3)をマングルパッド法でピックアップ80%になるように付与し、100℃で1分間の乾燥を行った。
上記の方法によって作成されたインクジェット記録用布帛に、実施例1と同様に顔料を含んだインクを用いてインクジェット方式で印写を行った。
【0056】
【表1】
Figure 0004768930
【0057】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛によれば、インクジェット記録により色や柄を自由に表現でき、十分に高濃度な染色が可能となる。
しかも、インクジェット記録後の熱処理により、インク受容層が接着層を介して強固にポリオレフィン布帛に結びつくため、染色堅牢性すなわち耐摩擦性(耐摩耗性、耐摩擦汚染性等)や耐水性等に優れた記録物が得られる。
【0058】
さらに、インク受容層や接着層の形成が通常のインクジェット記録に用いる方法で行えるため、極めて効率的且つ経済的である。
本発明のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛及びその製造方法は、種々の用途に採用可能であるが、特に高濃度な染色や染色堅牢性が求められる自動車内装材、壁材、椅子材、広告シート等の産業資材に対してその効果を発揮する。

Claims (8)

  1. インクジェット記録用ポリオレフィン布帛であって、
    ポリオレフィン布帛の表面上に、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する接着層が形成され、更に該接着層の上に疎水性化合物を含有するインク受容層が形成され
    前記塩素化ポリオレフィン樹脂は、その融点が40〜130℃であり、
    前記疎水性化合物は、融点が40〜130℃であり、
    前記疎水性化合物が、低分子量アルキレン系化合物、脂肪酸アミド系化合物若しくは多価アルコール脂肪酸エステル系化合物であり、
    前記低分子量アルキレン系化合物が、数平均分子量が10000以下の化合物であり、
    インクジェット記録後、前記疎水性化合物を溶融して前記接着層と強固に結びつけ固化させるものであるインクジェット記録用ポリオレフィン布帛。
  2. 前記低分子量アルキレン系化合物が、低分子量ポリエチレン、パラフィンワックス又はポリエチレンワックスであり、
    前記脂肪酸アミド系化合物が、エチレンビスステアリンアミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド又はメチロールステアリンアミドであり、
    前記多価アルコール脂肪酸エステル系化合物が、グリセリンオレイン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル又はエチレングリコールステアリン酸エステルである請求項1記載のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛。
  3. 前記ポリオレフィン布帛は、ポリプロピレン繊維よりなる織編物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛。
  4. 前記塩素化ポリオレフィン樹脂は、その塩素含有量が15〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛。
  5. 前記疎水性化合物は、低分子量アルキレン系化合物、脂肪酸アミド系化合物、多価アルコール脂肪酸エステル系化合物のうちから2種類以上を選択したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の製造方法であって、
    前記ポリオレフィン布帛の表面上に、塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する処理液を付与して接着層を形成する工程と、さらに該接着層の上に、疎水性化合物を含有する処理液を布帛への付与量が0.5〜20重量%となるように付与してインク受容層を形成する工程とを有するインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の製造方法。
  7. 前記処理液をマングルパット法で付与する請求項6記載のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項記載のインクジェット記録用ポリオレフィン布帛にインクジェット記録を行った後、熱処理を施し、前記疎水性化合物を溶融させて前記接着層と強固に結びつけ再び固化させた記録物。
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