以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す概略図である。図においては、2つの給紙トレイ1,2が上下の位置関係で配置されている。給紙トレイ1,2は、それぞれ所定枚数(複数枚)の用紙を積載状態で収容するものである。給紙トレイ1に収容される用紙のサイズは、給紙トレイ2に収容される用紙のサイズよりも小さいものとなっている。
上側の給紙トレイ1の給紙部分には、給紙用のロールとして、呼び出しロール3と送り出しロール対4が配置されている。呼び出しロール3は、給紙トレイ1に収容された用紙を、最上位の用紙から順に呼び出すものである。送り出しロール対4は、呼び出しロール3によって呼び出された用紙を1枚ずつ分離して送り出すものである。これと同様に、下側の給紙トレイ2の給紙部分にも、給紙用のロールとして、呼び出しロール5と送り出しロール対6が配置されている。
また、画像形成装置の本体内には用紙搬送路が形成されている。用紙搬送路は、図示しない搬送路形成部材を用いて形成されるものである。用紙搬送路上には複数の搬送ロール対7〜19が設けられている。各々の搬送ロール対7〜19は、一対のロール間に用紙を挟み込んで回転することにより、用紙に搬送力を付与して用紙を搬送するものである。
ここで、用紙搬送路を複数の用紙搬送路R1〜R6に区分して考えると、第1の用紙搬送路R1は、給紙トレイ1,2に収容された用紙を画像形成手段に向けて給紙するための給紙搬送路となり、第2の用紙搬送路R2は、画像形成手段を経由するように用紙を搬送する画像形成搬送路となる。また、第3の用紙搬送路R3は、第4の用紙搬送路R4に用紙を取り込むための中継搬送路となり、第4の用紙搬送路R4は、用紙をスイッチバックで反転させるための反転搬送路となる。また、第5の用紙搬送路R5は、第4の用紙搬送路R4からスイッチバックで送り出された用紙を再び画像形成手段に向けて給紙するための再給紙搬送路となり、第6の用紙搬送路R6は、第4の用紙搬送路R4からスイッチバックで送り出された用紙を図示しない用紙排出収容部(例えば、排出トレイ)に向けて送り出すための反転排出搬送路となる。第6の用紙搬送路R6は、第1の反転分岐位置P1を境に第4の用紙搬送路R4から分岐しており、第5の用紙搬送路R5は、第1の反転分岐位置P1よりも下流側の第2の反転分岐位置P2を境に第4の用紙搬送路R4から分岐している。
反転搬送路となる第4の用紙搬送路R4において、第1の反転分岐位置P1の下流側には、第1の反転分岐位置P1から所定の距離を隔てて第1の反転基準位置P3が設定されている。また、第2の反転分岐位置P2の下流側には、第2の反転分岐位置P2から所定の距離を隔てて第2の反転基準位置P4が設定されている。第1の反転基準位置P3は、用紙をスイッチバックで反転させて第4の用紙搬送路R4から第6の用紙搬送路R6へと送り出す場合に、それに先立って第4の用紙搬送路R4上で用紙を一旦停止させるための基準位置となるもので、実際の用紙反転動作では、第3の用紙搬送路R3から第4の用紙搬送路R4へと引き込まれた用紙の後端が第1の反転基準位置P3に到達したところで用紙の搬送を一旦停止させることになる。また、第2の反転基準位置P4は、用紙をスイッチバックで反転させて第4の用紙搬送路R4から第5の用紙搬送路R5へと送り出す場合に、それに先立って第4の用紙搬送路R4上で用紙を一旦停止させるための基準位置となるもので、実際の用紙反転動作では、第3の用紙搬送路R3から第4の用紙搬送路R4へと引き込まれた用紙の後端が第2の反転基準位置P4に到達したところで用紙の搬送を一旦停止させることになる。
搬送ロール対7,8は、第1の用紙搬送路R1上に配置され、搬送ロール対9,10,11,12は、第2の用紙搬送路R2上に配置されている。搬送ロール対13は第3の用紙搬送路R3上に配置され、搬送ロール対14は第6の用紙搬送路R6上に配置されている。搬送ロール対15は第4の用紙搬送路R4上に配置され、搬送ロール対16,17,18は、第5の用紙搬送路R5上に配置されている。
また、搬送ロール対7は、第1の用紙搬送路R1上で搬送ロール対8の上流側に配置されている。搬送ロール対8は、第1の用紙搬送路R1上で搬送ロール対7の下流側に配置されている。これらの搬送ロール対7,8は、給紙トレイ1から給紙用のロール3,4によって供給された用紙や、給紙トレイ2から給紙用のロール5,6によって供給された用紙を、それぞれ第1の用紙搬送路R1に沿って搬送するものである。
搬送ロール対9は、第2の用紙搬送路R2上で搬送ロール対10の上流側に配置されている。搬送ロール対9は、搬送ロール対8によって第1の用紙搬送路R1から第2の用紙搬送路R2へと搬送された用紙を、搬送ロール対10に向けて搬送するものである。搬送ロール対10は、搬送ロール対9によって搬送された用紙を、所定のタイミングで画像転写部に送り込むロールである。画像転写部とは、用紙搬送路上で用紙に画像が転写される部分をいう。以降の説明では、画像転写部に用紙を送り込む搬送ロール対10をレジストロール対と称し、搬送ロール対10に用紙を送り込む搬送ロール対9をプレレジストロール対と称する。プレレジストロール対9とレジストロール対10は、用紙搬送方向で隣り合う位置関係で配置される。
第2の用紙搬送路R2において、レジストロール対10の下流側には二次転写ロール19が配置されている。二次転写ロール19は、中間転写体となる中間転写ベルト20に保持されたトナー画像を用紙に転写するものである。したがって、二次転写ロール19と中間転写ベルト20との対向部分が画像転写部に相当するものとなる。中間転写ベルト20は、一方を駆動側、他方を従動側としたベルト駆動ロール21,22の回転にしたがって走行するものである。中間転写ベルト20は、上述したベルト駆動ロール21,22と複数のベルト支持ロール23,24,25によって所定の張力で支持されている。
ベルト駆動ロール21からベルト支持ロール25に至る中間転写ベルト20の走行経路上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する4つの感光体ドラム26Y,26M,26C,26Kと、各々の感光体ドラム26Y,26M,26C,26Kに1:1の関係で対応する4つの一次転写ロール27Y,27M,27C,27Kが配置されている。感光体ドラム26Y,26M,26C,26Kは、中間転写ベルト20の走行方向において、感光体ドラム26Yを最上流側、感光体ドラム26Kを最下流側として配置されている。
各々の感光体ドラム26Y,26M,26C,26Kの周囲には、それぞれ、感光体ドラムの表面を所定の電位レベルに帯電する帯電器(不図示)と、この帯電器で帯電された感光体ドラムの表面をレーザ光(レーザビーム)で露光走査して静電潜像を書き込む画像書き込み装置と、この画像書き込み装置によって書き込まれた静電潜像をトナーで現像する現像器(不図示)とが配置されている。
一次転写ロール27Yは、感光体ドラム26Yに形成されたトナー画像を中間転写ベルト20に転写し、一次転写ロール27Mは、感光体ドラム26Mに形成されたトナー画像を中間転写ベルト20に転写するものである。同様に、一次転写ロール27Cは、感光体ドラム26Cに形成されたトナー画像を中間転写ベルト20に転写し、一次転写ロール27Kは、感光体ドラム26Kに形成されたトナー画像を中間転写ベルト20に転写するものである。
また、第2の用紙搬送路R2上において、二次転写ロール19の下流側にはバキューム搬送部28が配置されている。バキューム搬送部28は、無端状の搬送ベルト29と、この搬送ベル29を支持する2つのロール30,31とを有するものである。バキューム搬送部28は、搬送ベルト29の上に用紙を載せて用紙の下面(トナー画像が転写される面と反対側の面)をバキューム方式で吸着しつつ、搬送ベルト29の走行にしたがって用紙を搬送するものである。
さらに、第2の用紙搬送路R2上において、バキューム搬送部28の下流側には定着器32が配置されている。定着器32は、画像転写部で用紙に転写されたトナー画像を加熱加圧方式で用紙の紙面に定着させるもので、ヒータ等によって所定の温度(定着温度)に加熱される加熱ロール33と、この加熱ロール33に所定の圧力で接触する加圧ロール34とを備えている。定着器32は、上述した感光体ドラム、帯電器、画像書き込み装置、現像器、一次転写ロール、中間転写ベルト、二次転写ロール等とともに、画像形成手段を構成するものである。ただし、画像形成手段の構成はこれに限らず、例えば、感光体ドラムから用紙に直接トナー画像を転写する構成であってもよい。
搬送ロール対11は、第2の用紙搬送路R2上で定着器32の下流側に配置されている。搬送ロール対11の下流側では、第2の用紙搬送路R2の途中から第3の用紙搬送路R3が斜め下方に分岐しており、この分岐部分に搬送路切り替え部材(不図示)が設けられている。搬送路切り替え部材は、搬送ロール対11によって搬送される用紙の進行方向を、搬送ロール対12に向かう第1の方向(第2の用紙搬送路R2の沿う方向)と、搬送ロール対13に向かう第2の方向(第3の用紙搬送路R3に分岐する方向)のいずれか一方に切り替えるものである。
搬送ロール対12は、第2の用紙搬送路R2の終端部に配置されている。搬送ロール対12は、画像形成済みの用紙を図示しない用紙排出収容部に排出するロール対(以下、「排出ロール対」とも記す)である。搬送ロール対13は、搬送ロール対11の回転にしたがって第3の用紙搬送路R3へと送り込まれた用紙を、第4の用紙搬送路R4上に設けられた搬送ロール対15に向けて搬送するものである。
搬送ロール対15は、一対の反転搬送部材の一例として、第4の用紙搬送路R4上に正逆回転可能に設けられている。搬送ロール対15は、正回転によって第3の用紙搬送路R3から第4の用紙搬送路R4へと用紙を引き込む一方、逆回転によって第4の用紙搬送路R4から第5の用紙搬送路R5または第6の用紙搬送路R6へと用紙を送り出すロール対(以下、「反転ロール対」とも記す)である。搬送ロール対14は、反転ロール対15の逆回転によって第4の用紙搬送路R4から第6の用紙搬送路R6へと送り込まれた用紙を排出ロール対12に向けて搬送するものである。
搬送ロール対16,17,18は、反転ロール対15の逆回転によって第4の用紙搬送路R4から第5の用紙搬送路R5へと送り込まれた用紙をプレレジストロール対9に向けて搬送するものである。搬送ロール対16,17,18は、用紙搬送方向の上流側から下流側に向かって順に配置されている。すなわち、第5の用紙搬送路R5において、搬送ロール対17は搬送ロール対16の下流側に配置され、搬送ロール対18は搬送ロール対17の下流側に配置されている。
また、用紙搬送路上には、複数の用紙検知センサ35〜46が設けられている。各々の用紙検知センサ35〜46は、用紙の搬送方向で互いに異なる位置に配置されている。すなわち、用紙検知センサ35は、送り出しロール対4と搬送ロール対8の間で、送り出しロール対4の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ36は、送り出しロール対6と搬送ロール対7の間で、送り出しロール対6の近傍(下流側)に配置されている。
用紙検知センサ37は、搬送ロール対7と搬送ロール対8の間で、搬送ロール対7の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ38は、搬送ロール対8とプレレジストロール対9の間で、搬送ロール対8の近傍(下流側)に配置されている。用紙検知センサ39は、プレレジストロール対9とレジストロール対10の間で、プレレジストロール対9の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ40は、プレレジストロール対9とレジストロール対10の間で、レジストロール対10の近傍(上流側)に配置されている。
用紙検知センサ41は、第3の用紙搬送路R3上で搬送ロール対11と搬送ロール対13の間に配置され、用紙検知センサ42は、第4の用紙搬送路R4上で反転ロール対15の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ43は、第6の用紙搬送路R6上で搬送ロール対14と排出ロール対12の間に配置されている。用紙検知センサ44は、搬送ロール対16と搬送ロール対17の間で、搬送ロール対16の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ45は、搬送ロール対17と搬送ロール対18の間で、搬送ロール対17の近傍(下流側)に配置され、用紙検知センサ46は、搬送ロール対18とプレレジストロール対9の間で、搬送ロール対18の近傍(下流側)に配置されている。
各々の用紙検知センサ35〜46は、例えば発光素子と受光素子を同一のセンサ面に配置した反射型のフォトセンサからなるもので、センサ面と近接して対向する位置(センサ検知位置)に用紙が存在するときはオン状態となり、存在しないときはオフ状態となる。したがって、各々の用紙検知センサ35〜46は、センサ検知位置を用紙の先端が通過した際にオフ状態からオン状態に切り替わり、センサ検知位置を用紙の後端が通過した際にオン状態からオフ状態に切り替わる。このため、各々の用紙検知センサ35〜46は、用紙搬送路上のセンサ検知位置で用紙の有無を検知するものとなる。したがって、各々の用紙検知センサ35〜46の出力信号(オンオフ状態)に基づいて、用紙の通過(先端通過、後端通過)を検知したり、用紙の搬送位置を検知したりすることができる。用紙の先端とは、用紙搬送方向(用紙進行方向)の下流側を向いて配置される用紙の端部をいい、用紙の後端とは、用紙搬送方向の上流側を向いて配置される用紙の端部をいう。このため、第4の用紙搬送路R4で用紙をスイッチバックで反転させた場合は、用紙の先端と後端の位置関係が入れ替わることになる。
続いて、本発明の実施形態に係る画像形成装置の基本的な動作(画像形成動作)について説明する。
まず、画像形成動作を開始するにあたって、ユーザーが指定した給紙トレイ又は自動で選択された給紙トレイから、画像形成の対象となる用紙を給紙する。例えば、ユーザー指定の給紙トレイ又は自動選択された給紙トレイが、上段の給紙トレイ1であるとすると、この給紙トレイ1に対応する呼び出しロール3及び送り出しロール対4の回転により、給紙トレイ1から第1の用紙搬送路R1へと用紙を送り出す。
こうして給紙トレイ1から給紙された用紙は、搬送ロール対8の回転によって用紙搬送方向の下流側へと搬送されてプレレジストロール対9に送り込まれる。次に、用紙はプレレジストロール対9の回転にしたがってレジストロール対10に送り込まれる。このとき、レジストロール対10は、プレレジストロール対9による用紙の送り込みに先立って回転停止状態とされる。そのため、プレレジストロール対9によって送り込まれた用紙の先端は回転停止状態のレジストロール対10に突き当てられ、この状態からプレレジストロール対9によって用紙を所定量だけ送り込むことにより、レジストロール対10の上流側で用紙がループ状に弛んだ状態、すなわち用紙の姿勢(傾き)が矯正された状態となる。
その後、レジストロール対10は、所定のタイミングで回転を開始することにより、画像転写部に用紙を送り込む。このとき、レジストロール対10が回転を開始するタイミングは、中間転写ベルト20に保持されたトナー画像(感光体ドラム26Y,26M,26C,26Kから中間転写ベルト20に転写されたトナー画像)が画像転写部に到達するタイミングと、画像転写部に用紙が到達するタイミングが同じタイミングになるように制御される。また、画像転写部においては、二次転写ロール19と中間転写ベルト20との対向部分(接触部分)を通過するように用紙が移動するとともに、二次転写ロール19がトナーと逆極性の電荷を印加することにより、中間転写ベルト20上のトナー画像が用紙の第1面に転写される。
その後、用紙はバキューム搬送部28によって定着器32へと送られる。定着器32に送られた用紙は、加熱ロール33と加圧ロール34との対向部分(接触部分)を通過するように移動するとともに、それらのロール33,34によって加えられる加熱作用と加圧作用によって用紙の第1面にトナー画像が定着される。次いで、定着器32から送り出された用紙は、第2の用紙搬送路R2に沿って搬送ロール対11から排出ロール対12へと送り込まれた後、排出ロール対12の回転にしたがって用紙排出収容部(不図示)に排出される。以上の動作は、用紙の片面に画像を形成する片面画像形成処理で適用されるものである。
[両面画像形成時の動作例]
用紙の両面に画像を形成する両面画像形成処理においては、搬送ロール対11によって搬送される用紙が、搬送路切り替え部材(不図示)によって第2の用紙搬送路R2から第3の用紙搬送路R3に案内されて搬送ロール対13へと送り込まれる。このとき、用紙の先端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わると、そこから所定時間後に反転ロール対15が正回転を開始する。これにより、用紙は搬送ロール対13の回転にしたがって第3の用紙搬送路R3から第4の用紙搬送路R4へと送り込まれ、さらに反転ロール対15の正回転にしたがって第4の用紙搬送路R4内に引き込まれる。
次に、用紙の後端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わると、そこから所定時間後に反転ロール対15の正回転が停止した後、反転ロール対15の逆回転が開始する。これにより、用紙の後端が第2の反転基準位置P4に達したところで用紙の搬送が一旦停止した後、反転ロール対15の逆回転にしたがって用紙が第4の用紙搬送路R4から第5の用紙搬送路R5へと送り出される。
その後、用紙は、第5の用紙搬送路R5に設けられた複数の搬送ロール対16,17,18の回転にしたがって第5の用紙搬送路R5を上流側から下流側へと搬送される。そして、第5の用紙搬送路R5の最下流部では、第5の用紙搬送路R5の終端部から第2の用紙搬送路R2の始端部に合流するように用紙が搬送ロール対18によって搬送される。これにより、用紙は再び第2の用紙搬送路R2上のプレレジストロール対9へと送り込まれる。以降は、上記同様の手順で用紙の第2面に画像が形成(転写、定着)される。また、第2面への画像形成を終えた用紙は、第2の用紙搬送路R2に沿って搬送ロール対11から排出ロール対12へと送り込まれた後、排出ロール対12の回転にしたがって用紙排出収容部(不図示)に排出される。
[反転排出時の動作例]
一方、第1面又は第2面への画像形成を終えた用紙を表裏反転して排出する場合は、搬送ロール対11によって搬送される用紙が、搬送路切り替え部材(不図示)によって第2の用紙搬送路R2から第3の用紙搬送路R3に案内されて搬送ロール対13へと送り込まれる。このとき、用紙の先端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わると、そこから所定時間後に反転ロール対15が正回転を開始する。これにより、用紙は搬送ロール対13の回転にしたがって第3の用紙搬送路R3から第4の用紙搬送路R4へと送り込まれ、さらに反転ロール対15の正回転にしたがって第4の用紙搬送路R4内に引き込まれる。
次に、用紙の後端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わると、そこから所定時間後に反転ロール対15の正回転が停止した後、反転ロール対15の逆回転が開始する。これにより、用紙の後端が第1の反転基準位置P3に達したところで用紙の搬送が一旦停止した後、反転ロール対15の逆回転にしたがって用紙が第4の用紙搬送路R4から第6の用紙搬送路R6へと送り出される。その後、用紙は、第6の用紙搬送路R6から第2の用紙搬送路R2に合流するように搬送ロール対14の回転にしたがって排出ロール対12へと送り込まれた後、排出ロール対12の回転にしたがって用紙排出収容部(不図示)に排出される。
図2は本発明の実施形態に係る駆動機構の構成例を示す図である。駆動機構は、駆動ロール15Aと従動ロール15Bからなる反転ロール対15を、接触状態から離間状態に変化させるように駆動するものである。反転ロール対15の接触状態とは、図2(A)に示すように、駆動ロール15Aの外周面と従動ロール15Bの外周面を互いに接触(ニップ)させた状態をいう。また、反転ロール対15の離間状態とは、図2(B)に示すように、駆動ロール15Aの外周面と従動ロール15Bの外周面を互いに離間(ニップリリース)させた状態をいう。
駆動機構は、大きくは、支持アーム47と、ソレノイド48と、バネ49とを用いて構成されている。支持アーム47は、反転ロール対15のロール軸方向から見てL字形に形成されている。支持アーム47は、L字アームの曲げ部分に設けられた回転軸50を中心に揺動自在に支持されている。従動ロール15Bは、支持アーム47の一端部に回転自在に設けられている。
ソレノイド48は、反転ロール対15を離間させるための駆動源となるものである。ソレノイド48は、励磁状態でソレノイド本体側に引き込み動作を行なう出力ロッド51を有している。ソレノイド48の出力ロッド51は、連結ピン52を用いて支持アーム47の他端部に連結されている。支持アーム47の他端部には長穴53が形成され、この長穴53の長軸方向に移動可能な状態で連結ピン52が長穴53に差し込まれている。なお、反転ロール対15を離間させるための駆動源としては、ソレノイドに代えて、例えばモータ等を使用してもよい。
バネ49は、駆動ロール15Aに従動ロール15Bを所定の圧力で接触させるための付勢力f1を支持アーム47に作用させるものである。バネ49としては、一例として引っ張りコイルバネが用いられているが、圧縮コイルバネやねじりコイルバネなどを用いてもよい。また、上記付勢力f1を発生させる付勢手段として、バネ以外の弾性部材を用いてもよい。バネ49の一端部は支持アーム47の他端部に固定されている。
上記構成からなる駆動機構において、ソレノイド48をオフ状態(非励磁状態)とした場合は、図2(A)に示すように、ソレノイド48の出力ロッド51を引き出す方向でバネ49が支持アーム47の他端部を一方向(図の上方向)に付勢し、この付勢力f1によって従動ロール15Bが駆動ロール15Aに接触した状態となる。
また、ソレノイド48をオン状態(励磁状態)とした場合は、図2(B)に示すように、バネ49の付勢力f1に対抗する駆動力f2をもってソレノイド48の出力ロッド51が引き込まれ、これに伴う支持アーム47の揺動動作によって従動ロール15Bが駆動ロール15Aから離間した状態になる。このため、ソレノイド48をオフ状態からオン状態に切り替えることにより、反転ロール対15を接触状態から離間状態に変化させることができる。また、ソレノイド48をオン状態からオフ状態に切り替えることにより、反転ロール対15を離間状態から接触状態に変化させることができる。なお、ここで示した駆動機構の構成は、本発明を実施するための一つの例であって、一対のロール15A,15Bを離間させ得るものであれば、どのような構成を採用してもかまわない。
[第1実施形態]
図3は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。制御部55は、画像形成装置が備える用紙搬送装置の動作を制御するものであるが、ここでは特に、用紙搬送装置が備える用紙反転装置の動作を制御するものとする。制御部55には、4つの用紙検知センサ41,42,43,44が電気的に接続されている。用紙検知センサ41は、第3の用紙搬送路R3上で用紙を検知するセンサとなり、用紙検知センサ42は、第4の用紙搬送路R4上で用紙を検知するセンサとなる。用紙検知センサ43は、第5の用紙搬送路R5上で用紙を検知するセンサとなり、用紙検知センサ44は、第6の用紙搬送路R6上で用紙を検知するセンサとなる。
また、制御部55には、反転モータ56とソレノイド48が電気的に接続されている。反転モータ56は、反転ロール対15を正逆回転させるための駆動源となるものである。本発明の第1実施形態においては、反転モータ56としてパルスモータを用いている。
制御部55は、ソレノイド48を駆動するにあたって、ソレノイド48に駆動電流を供給(通電)する。このため、制御部55は、ソレノイド48を駆動する場合(ソレノイド48をオン状態にする場合)は、ソレノイド48に駆動電流を供給し、ソレノイド48を駆動しない場合(ソレノイド48をオフ状態にする場合)は、ソレノイド48に駆動電流を供給しない。
また、制御部55は、反転モータ56を駆動するにあたって、反転モータ56にモータ駆動信号(駆動パルス)とモータ反転信号を供給する。モータ駆動信号は、反転モータ56を回転させるために供給されるモータ制御信号であり、モータ反転信号は、反転モータ56の回転方向を切り替えるために供給されるモータ制御信号である。
このため、制御部55は、反転モータ56を駆動する場合は、反転モータ56にモータ駆動信号を供給し、反転モータ56を駆動しない場合は、反転モータ56にモータ駆動信号を供給しない。また、制御部55は、反転ロール対15を正回転させる方向で反転モータ56を回転(正回転)させる場合は、反転モータ56に供給するモータ反転信号をオフ状態とし、反転ロール対15を逆回転させる方向で反転モータ56を回転(逆回転)させる場合は、反転モータ56に供給するモータ反転信号をオン状態とする。
したがって、モータ反転信号をオフ状態としてモータ駆動信号を反転モータ56に供給すると、反転モータ56の回転にしたがって反転ロール対15が正回転し、モータ反転信号をオン状態としてモータ駆動信号を反転モータ56に供給すると、反転モータ56の回転にしたがって反転ロール対15が逆回転することになる。
続いて、制御部55によって制御される用紙反転装置の動作例について説明する。ここでは、複数枚の用紙を連続的に搬送する場合に、用紙の搬送方向で隣り合う2枚の用紙のうち、先行する側の用紙を先行用紙とし、これに続く用紙を後続用紙として説明する。また、ここでは用紙を表裏反転して排出する場合の動作について説明する。
[用紙反転装置の基本動作]
図4は制御部55による用紙反転装置の基本的な動作手順を示すフローチャートである。まず、制御部55は、用紙の先端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わると、そこから所定時間後に反転モータ56を駆動して反転ロール対15を正回転させる(ステップS1,S2)。所定時間は、用紙の先端が反転ロール対15に到達するまでの搬送所要時間よりも短い時間で設定される。
次に、制御部55は、用紙の後端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わると、そこから所定時間後に反転モータ56の駆動を一旦停止することにより、反転ロール対15の正回転を停止させる(ステップS3,S4)。これにより、用紙の後端が第1の反転分岐位置P1を通過して第1の反転基準位置P3に到達したところで用紙の搬送が停止する。
次に、制御部55は、モータ反転信号により反転モータ56の回転方向を切り替えて反転モータ56を駆動することにより、反転ロール対15を逆回転させる(ステップS5)。これにより、第4の用紙搬送路R4で用紙の搬送方向が反転(スイッチバック)されるため、用紙の先端と後端の位置関係が入れ替わった状態で用紙が第6の用紙搬送路R6へと送り出される。
次に、制御部55は、用紙の後端が用紙検知センサ42の検知位置を通過して用紙検知センサ42の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わると、そこから所定時間後に反転モータ56の駆動を停止することにより、反転ロール対15の逆回転を停止させる(ステップS6,S7)。これにより、用紙の後端が反転ロール対15を抜けた後に、反転ロール15の逆回転が停止する。
[用紙反転装置の第1動作例]
図5は本発明の第1実施形態に係る用紙反転装置の第1動作例を示すフローチャートである。この第1動作例においては、予め設定されたニップリリースタイミングの所定時間T1前のタイミングを「所定のタイミング」とし、当該所定のタイミングで用紙検知センサ42の出力信号を確認する(ステップS11,S12)。そして、用紙検知センサ42の出力信号がオン状態の場合(先行用紙の後端が用紙検知センサ42の検知位置を通過していない場合)は、反転ロール対15を離間させる制御モードに設定し(ステップS13)、用紙検知センサ42の出力信号がオフ状態の場合(先行用紙の後端が用紙検知センサ42の検知位置を通過していた場合)は、反転ロール対15を離間させない制御モードに設定する(ステップS14)。
ニップリリースタイミングは、第4の用紙搬送路R4への後続用紙の送り込みに先立って、反転ロール対15を離間させるためにソレノイド38の駆動を開始するタイミングである。ニップリリースタイミングは、搬送ロール対13の回転にしたがって第4の用紙搬送路R4へと送り込まれる後続用紙の先端が反転ロール対15に到達する理論上のタイミングから、反転ロール対15を離間させるために必要となる第1の動作時間と、反転ロール対15の回転方向を切り替えるために必要となる第2の動作時間とを差し引いたタイミングよりも少し前のタイミングに設定される。これに対して、制御部55は、ニップリリースタイミングから上記所定時間T1を減算したタイミングで、用紙検知センサ42の出力信号を確認する。
また、ニップリリースタイミングは、例えば、用紙検知センサ42や反転ロール対15よりも上流側に設けられた用紙検知センサ41の出力信号に基づいて設定することが可能である。具体的には、例えば、後続用紙の先端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わった時点からの時間経過をタイマーで計測し、このタイマーの計測値が予め設定された所定値に到達するタイミングを、ニップリリースタイミングとして設定することが可能である。
また、ニップリリースタイミングは、用紙検知センサ42や反転ロール対15よりも下流側に設けられた用紙検知センサ43の出力信号に基づいて設定することも可能である。具体的には、例えば、先行用紙の先端が用紙検知センサ43の検知位置を通過して用紙検知センサ43の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わった時点からの時間経過をタイマーで計測し、このタイマーの計測値が予め設定された所定値に到達するタイミングを、ニップリリースタイミングとして設定することが可能である。
上記ステップS13において、制御部55が反転ロール対15を離間させる制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになると、制御部55がソレノイド48を駆動して反転ロール対15を離間させる。このため、第4の用紙搬送路R4を先行用紙が完全に抜ける前に、後続用紙を第4の用紙搬送路R4に取り込める状態となる。
また、上記ステップS14において、制御部55が反転ロール対15を離間させない制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになっても、制御部55がソレノイド48を駆動せず、反転ロール対15は接触状態のままとなる。
[用紙反転装置の第2動作例]
図6は本発明の第1実施形態に係る用紙反転装置の第2動作例を示すフローチャートである。この第2動作例においては、後続用紙の先端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わってから所定時間T2後のタイミングを「所定のタイミング」とし、当該所定のタイミングで用紙検知センサ42の出力信号を確認する(ステップS21,S22)。そして、用紙検知センサ42の出力信号がオン状態の場合(先行用紙の後端が用紙検知センサ42の検知位置を通過していない場合)は、反転ロール対15を離間させる制御モードに設定し(ステップS23)、用紙検知センサ42の出力信号がオフ状態の場合(先行用紙の後端が用紙検知センサ42の検知位置を通過していた場合)は、反転ロール対15を離間させない制御モードに設定する(ステップS24)。
これにより、上記ステップS23において、制御部55が反転ロール対15を離間させる制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになると、制御部55がソレノイド48を駆動して反転ロール対15を離間させる。このため、第4の用紙搬送路R4を先行用紙が完全に抜ける前に、後続用紙を第4の用紙搬送路R4に取り込める状態となる。
また、上記ステップS24において、制御部55が反転ロール対15を離間させない制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになっても、制御部55がソレノイド48を駆動せず、反転ロール対15は接触状態のままとなる。
[用紙反転装置の第3動作例]
図7は本発明の第1実施形態に係る用紙反転装置の第3動作例を示すフローチャートである。この第3動作例においては、反転ロール対15の逆回転を開始してから所定時間T3後のタイミングを「所定のタイミング」とし、当該所定のタイミングで用紙検知センサ42の出力信号を確認する(ステップS31,S32)。そして、用紙検知センサ42の出力信号がオン状態の場合(先行用紙の後端が用紙検知センサ42の検知位置を通過していない場合)は、反転ロール対15を離間させる制御モードに設定し(ステップS33)、用紙検知センサ42の出力信号がオフ状態の場合(先行用紙の後端が用紙検知センサ42の検知位置を通過していた場合)は、反転ロール対15を離間させない制御モードに設定する(ステップS34)。
これにより、上記ステップS33において、制御部55が反転ロール対15を離間させる制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになると、制御部55がソレノイド48を駆動して反転ロール対15を離間させる。このため、第4の用紙搬送路R4を先行用紙が完全に抜ける前に、後続用紙を第4の用紙搬送路R4に取り込める状態となる。
また、上記ステップS34において、制御部55が反転ロール対15を離間させない制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになっても、制御部55がソレノイド48を駆動せず、反転ロール対15は接触状態のままとなる。
なお、ここでは反転ロール対15の逆回転によって用紙を第4の用紙搬送路4から第6の用紙搬送路R6へと送り出す場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、反転ロール対15の逆回転によって用紙を第4の用紙搬送路4から第5の用紙搬送路R5へと送り出す場合にも適用可能である。
[第2実施形態]
図8は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。図示した制御系の構成においては、上記第1実施形態と比較して、操作パネル57を付加した点にある。操作パネル57は、画像形成装置を使用する利用者が各種の情報を入力したり、利用者に対して各種の情報を表示したりするためのインターフェースとなるものである。操作パネル57は、例えば、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部とによって構成されるものである。
画像形成装置の利用者は、操作パネル57を用いて種々の情報を設定可能である。操作パネル57を用いて利用者により設定される設定情報の中には、用紙搬送方向の用紙間隔を決定する設定情報(パラメータ)が含まれる。例えば、画像形成装置が備える複数の給紙トレイに関する設定情報や、画像形成に使用する用紙の紙質に関する設定情報、さらには画像形成に適用する画像の色に関する設定情報などがある。
給紙トレイの設定情報は、例えば、手差しトレイと本体トレイで区別される設定情報である。本体トレイは、画像形成装置本体の内部に出し入れ可能に設けられる引き出し式のトレイと、画像形成装置本体に付属する大容量のトレイの両方を含むものである。用紙間隔は、手差し給紙トレイと本体トレイで比較すると、手差しトレイの方が本体トレイよりも広く設定される。
紙質の設定情報は、例えば、普通紙、薄紙、厚紙、OHPシートなどで区別される設定情報である。用紙間隔は、例えば、普通紙と厚紙で比較すると、普通紙の方が厚紙よりも狭く設定される。
画像色の設定情報は、例えば、白黒とフルカラーで区別される設定情報である。用紙間隔は、白黒とフルカラーで比較すると、白黒の方がフルカラーよりも狭く設定される。
こうした設定情報は、画像形成装置が画像形成動作を行なうたびに、制御部55で認識される。例えば、画像形成装置が複写機であれば、コピー用の操作画面として、図9(A)に例示するように、給紙トレイと画像色を選択する操作画面を操作パネル57に表示し、その操作画面上で利用者が選択した給紙トレイ(図例では本体トレイ1)と画像色(図例では白黒)を、コピー動作のための設定情報として制御部55で認識する。
また、給紙トレイの選択候補に含まれる各々のトレイに対しては、図9(B)に例示するように、用紙サイズに関する情報や、用紙の紙質に関する情報が、予め利用者によって設定される構成となっている。このうち、用紙サイズに関しては、用紙サイズを自動で検知するか、用紙サイズが非定形サイズであるかを特定する情報が設定され、用紙の紙質に関しては、普通紙、薄紙、厚紙、OHPシートの中からいずれか1つを特定する情報が設定されるようになっている。
これにより、例えば上記コピー用の操作画面で利用者が給紙トレイと画像色の選択を行なうことにより、コピー動作で使用する給紙トレイと、コピー動作に適用する画像色と、コピー動作で使用する用紙のサイズと、コピー動作で使用する用紙の紙質が、それぞれコピー動作のための設定情報として制御部55で認識される。
また、制御部55は、前述した用紙反転装置の基本動作のなかで、用紙搬送方向の用紙間隔を決定する設定情報(例えば、給紙トレイの設定情報、紙質の設定情報、画像色の設定情報など)に基づいて、ソレノイド48を駆動するかどうかを切り替える。
[用紙反転装置の動作例]
図10は本発明の第2実施形態に係る用紙反転装置の動作例を示すフローチャートである。この動作例においては、操作パネル57上で画像形成動作(コピー動作等)の開始を指示する開始ボタンが利用者に押されると、制御部55は、上述のように操作パネル57を用いて利用者により設定された設定情報を認識する(ステップS41,S42)。
次に、制御部55は、先ほど認識した設定情報が所定の条件を満たすかどうかを確認する(ステップS43)。この場合、制御部55は、予め画像形成装置のメモリ等に記憶される制御テーブルを参照することで、設定情報が所定の条件を満たすかどうかを確認する。ここで、制御テーブルが、例えば図11(A)のような内容で保持されている場合は、紙質が普通紙であり、かつ給紙トレイが本体トレイであることを所定の条件とする。
また、制御テーブルが図11(B)のような内容で保持されている場合は、紙質が普通紙であり、かつ用紙長さLが所定の長さL1を超えることを所定の条件とする。
また、制御テーブルが図11(C)のような内容で保持されている場合は、画像色が白黒であり、かつ用紙長さLが所定の長さL1を超えることを所定の条件とする。
また、制御テーブルが図11(D)のような内容で保持されている場合は、給紙トレイが手差しトレイであり、かつ用紙長さLが所定の長さL2(但し、L2>L1)を超えること、又は給紙トレイが本体トレイであり、かつ用紙長さLが所定の範囲(L1>L≧L2)であること、あるいは給紙トレイが本体トレイであり、かつ用紙長さLが所定の長さL2を超えることを、それぞれ所定の条件とする。
上記ステップS43において、設定情報が所定の条件を満たす場合は、反転ロール対15を離間させる制御モードに設定し(ステップS44)、設定情報が所定の条件を満たさない場合は、反転ロール対15を離間させない制御モードに設定する(ステップS45)。例えば、制御テーブルの内容が上記図11(A)のような内容であるとすると、紙質が普通紙であり、かつ給紙トレイが本体トレイである場合は、所定の条件を満たすと判断して反転ロール対15を離間させる制御モードに設定し、それ以外の場合は、所定の条件を満たさないと判断して、反転ロール対15を離間させない制御モードに設定する。
これにより、上記ステップS44において、制御部55が反転ロール対15を離間させる制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになると、制御部55がソレノイド48を駆動して反転ロール対15を離間させる。このため、第4の用紙搬送路R4を先行用紙が完全に抜ける前に、後続用紙を第4の用紙搬送路R4に取り込める状態となる。
また、上記ステップS45において、制御部55が反転ロール対15を離間させない制御モードに設定した場合は、予め設定されたニップリリースタイミングになっても、制御部55がソレノイド48を駆動せず、反転ロール対15は接触状態のままとなる。
また、制御部55は、ニップリリースタイミングを起点に反転ロール対15を離間させるにあたって、ソレノイド48の駆動開始タイミングを、用紙検知センサ41の出力信号(検知結果)に基づいて制御する。用紙検知センサ41は、第3の用紙搬送路R3を通して第4の用紙搬送路R4へと引き込まれる用紙の通過を検知する。このため、制御部55は、第4の用紙搬送路R4に引き込まれる用紙を基準としたタイミングでニップリリース動作を実行させることになる。
図12(A)は制御部55の制御に基づく用紙反転装置の第1動作例を示すタイミングチャートであり、図12(B)は制御部55の制御に基づく用紙反転装置の第2動作例を示すタイミングチャートである。第2動作例は第1動作例よりも用紙間隔が広い場合を想定している。
まず、各々の動作例においては、いずれも、先行用紙が用紙検知センサ41の検知位置を通過した後、後続用紙の先端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わると、制御部55は、用紙検知センサ41がオンしたタイミングから所定時間T4後にソレノイド48を駆動(オン)し、その後、後続用紙の後端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わると、制御部55は、用紙検知センサ41がオフしたタイミングでソレノイド48の駆動を停止(オフ)する。このため、ソレノイド48の駆動時間(オン状態に保持される時間)は、用紙間隔にかかわらず同じ時間T5となる。
図13(A)は用紙反転装置の第1比較動作例を示すタイミングチャートであり、図13(B)は用紙反転装置の第2比較動作例を示すタイミングチャートである。これらの比較動作例は、用紙検知センサ43の出力信号(検知結果)に基づいて、第4の用紙搬送路R4から第6の用紙搬送路R6へと送り出される用紙を基準としたタイミングでニップリリース動作を実行させるものである。第1比較動作例で想定している用紙間隔は、上述した第1動作例で想定している用紙間隔と同じであり、第2比較動作例で想定している用紙間隔は、上述した第2動作例で想定している用紙間隔と同じである。
まず、各々の比較動作例においては、いずれも、先行用紙の先端が用紙検知センサ43の検知位置を通過して用紙検知センサ43の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わったタイミングでソレノイド48を駆動(オン)し、その後、後続用紙の後端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わったタイミングでソレノイド48の駆動を停止(オフ)している。このため、ソレノイド48の駆動時間は、第1比較動作例では上記第1動作例及び第2動作例と同等の時間T6になるが、第2比較動作例ではそれよりも大幅に長い時間T7となる。
したがって、第4の用紙搬送路R4に引き込まれる用紙を基準としたタイミングでニップリリース動作を実行させる場合と、第4の用紙搬送路R4から送り出される用紙を基準としたタイミングでニップリリース動作を実行させる場合で比較すると、前者の方が後者よりもソレノイド48の駆動時間が短くなる。
また、各々の動作例において、制御部55は、用紙の先端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わったタイミングから所定時間T8後に、反転ロール対15を正回転させるべく反転モータ56の正回転を開始し、次いで、上記用紙の後端が用紙検知センサ41の検知位置を通過して用紙検知センサ41の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わったタイミングから所定時間T9(但し、T9<T8)後に、反転ロール対15の回転を一旦停止すべく反転モータ56を減速させて当該反転モータ45の正回転を停止した後、反転ロール対15を逆回転させるべく反転モータ56の逆回転を開始する。
そうした場合、図13(A),(B)に示す第1比較動作例及び第2比較動作例においては、反転モータ56の逆回転(反転ロール対15の逆回転による用紙の送り出し)を開始してから、ソレノイド48を駆動(ニップリリース)するまでの時間が、共に同じ時間T10となるのに対して、図12(A),(B)に示す第1動作例及び第2動作例においては、反転モータ56の逆回転を開始してから、ソレノイド48を駆動するまでの時間が、用紙間隔に応じて変化する。すなわち、反転ロール対15を逆回転させてからニップリリースするまでの時間を比較すると、第1動作例では、上記第1比較動作例及び第2比較動作例と同じ時間T10となるが、第1動作例よりも用紙間隔が広い第2動作例では、上記の時間T10よりも長い時間T11となる。こうした時間差は用紙間隔に依存する。このため、反転ロール対15を逆回転させてからニップリリースするまでの時間が、用紙間隔に応じて自動的に変更されることになる。
なお、上記図12(A),(B)に示す第1動作例及び第2動作例に基づく制御部55の制御方式は、前述した第1実施形態にも同様に適用可能である。
また、本発明は、用紙反転装置、当該用紙反転装置を備える用紙搬送装置、当該用紙搬送装置を備える画像処理装置として、それぞれ実現可能である。また、画像処理装置は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、複合機などの画像形成装置、又はイメージスキャナなどの画像読取装置として実現されるものである。画像形成装置は、用紙搬送装置によって搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段を、画像処理手段として備えるものとなる。画像読取装置は、用紙搬送装置(原稿搬送装置)によって搬送される用紙(原稿)の画像を読み取る画像読取手段を、画像処理手段として備えるものとなる。
用紙を反転させるための反転搬送路と、
前記反転搬送路上に正逆回転可能に設けられた一対の反転搬送部材と、
前記一対の反転搬送部材を離間させる駆動手段と、
前記反転搬送路上で用紙を検知する用紙検知手段と、
前記用紙検知手段の検知結果に基づいて、前記駆動手段を駆動するかどうかを切り替える制御手段とを備え、
前記制御手段は、所定のタイミングで前記用紙検知手段が用紙を検知していた場合は、前記駆動手段を駆動するように制御する
ことを特徴とする用紙反転装置。
この用紙反転装置によれば、先行用紙が反転搬送路に残っている状況でも後続用紙を反転搬送路に取り込める状態となるため、用紙の反転動作を効率良く行なうことができる。
用紙を反転させるための反転搬送路と、
前記反転搬送路上に正逆回転可能に設けられた一対の反転搬送部材と、
前記一対の反転搬送部材を離間させる駆動手段と、
前記反転搬送路上で用紙を検知する用紙検知手段と、
前記用紙検知手段の検知結果に基づいて、前記駆動手段を駆動するかどうかを切り替える制御手段とを備え、
前記制御手段は、所定のタイミングで前記用紙検知手段が用紙を検知していない場合は、前記駆動手段を駆動しないように制御する
ことを特徴とする用紙反転装置。
この用紙反転装置によれば、一対の反転搬送部材を離間させる必要のない状況では駆動手段を駆動しなくなるため、駆動手段の駆動に伴う消費電力や騒音の発生を低減することができる。
用紙を反転させるための反転搬送路と、
前記反転搬送路上に正逆回転可能に設けられた一対の反転搬送部材と、
前記一対の反転搬送部材を離間させる駆動手段と、
用紙搬送方向の用紙間隔を決定する設定情報に基づいて、前記駆動手段を駆動するかどうかを切り替える制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記設定情報が所定の条件を満たす場合は、前記駆動手段を駆動するように制御する
ことを特徴とする用紙反転装置。
この用紙反転装置によれば、先行用紙が反転搬送路に残っている状況でも後続用紙を反転搬送路に取り込める状態となるため、用紙の反転動作を効率良く行なうことができる。
用紙を反転させるための反転搬送路と、
前記反転搬送路上に正逆回転可能に設けられた一対の反転搬送部材と、
前記一対の反転搬送部材を離間させる駆動手段と、
用紙搬送方向の用紙間隔を決定する設定情報に基づいて、前記駆動手段を駆動するかどうかを切り替える制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記設定情報が所定の条件を満たさない場合は、前記駆動手段を駆動しないように制御する
ことを特徴とする用紙反転装置。
この用紙反転装置によれば、一対の反転搬送部材を離間させる必要のない状況では駆動手段を駆動しなくなるため、駆動手段の駆動に伴う消費電力や騒音の発生を低減することができる。
15…反転ロール対、15A…駆動ロール、15B…従動ロール、41,42,43…用紙検知センサ、47…支持アーム、48…ソレノイド、49…バネ、55…制御部、56…反転モータ、57…操作パネル、R4…第4の用紙搬送路(反転搬送路)