以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される電子写真式の画像形成装置の構成例を示す概略図である。画像形成装置1は、大きくは、画像読取装置2と、画像形成部3と、用紙搬送装置4とを備えた構成となっている。
画像読取装置2は、原稿の画像を読み取るものである。画像形成部3は、画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像データや外部の端末装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から送られた画像データに基づいて、記録媒体となる用紙に画像を形成(印刷)するものである。用紙搬送装置4は、画像の印刷に使用される用紙を搬送するものである。画像読取装置2は、画像形成装置本体5の上部に設けられている。画像形成部3は、画像形成装置本体5の内部に設けられている。用紙搬送装置4は、一部を除いて画像形成装置本体5の内部に設けられている。なお、画像形成装置1で画像の印刷に使用される用紙には、紙製のシート以外にも、OHPシートなどのプラスチック製のシートも含まれる。
画像読取装置2は、自動原稿搬送装置6を搭載する原稿押さえ部材7と、画像読取部8とを備えている。自動原稿搬送装置6は、被読取媒体となる原稿を1枚ずつ読取位置を経由するように搬送するものである。原稿押さえ部材7は、原稿台にセットされた原稿を上から押さえるもので、画像形成装置本体5の最上部に開閉自在に設けられている。画像読取部8は、原稿台にセットされた原稿の画像や自動原稿搬送装置6によって読取位置に搬送された原稿の画像を光学的に読み取るもので、例えば図示しない光源、ミラー、レンズ、撮像素子等を用いて構成される。
画像形成部3は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する4つの感光体ドラム9,10,11,12と、各々の感光体ドラム9〜12に対応する4つの一次転写ロール13,14,15,16と、中間転写体となる無端状の中間転写ベルト17とを備えた4連タンデム式のマシン構成となっている。
各々の感光体ドラム9〜12の周囲には、帯電器、潜像形成装置、現像器、クリーナー等が配置されている。帯電器は、感光体ドラムの表面を一様に帯電するものである。潜像形成装置は、帯電器によって帯電された感光体ドラムの表面をレーザ光で露光走査することにより、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成するものである。現像器は、二成分現像剤に含まれるトナーを感光体ドラムの表面に供給することにより、静電潜像をトナー画像に現像するものである。クリーナーは、感光体ドラムに残留する不要なトナーを除去するものである。
一次転写ロール13〜16は、それぞれに対応する感光体ドラム9〜12の近傍に中間転写ベルト17を介して対向する状態に配置されている。これらの一次転写ロール13〜16は、上述のように感光体ドラム9〜12に形成されたトナー画像を中間転写ベルト17に転写(一次転写)するものである。
中間転写ベルト17は、像保持体として設けられたものである。中間転写ベルト17は、複数のベルト支持ロールによってループ状に支持されている。中間転写ベルト17のループ途中には転写部18が設けられている。中間転写ベルト17は、当該中間転写ベルト17の走行経路上で反時計回り方向に走行するものとなっている。転写部18は、中間転写ベルト17から用紙に画像の転写が行なわれる部分である。転写部18は、一方のロールを二次転写ロールとし、他方のロールをベルト支持ロールとして、中間転写ベルト17を挟み込む一対のロールを用いて構成されている。二次転写ロールは、前述のように中間転写ベルト17に形成されたトナー画像を用紙に転写(二次転写)するものである。
また、画像形成部3は定着部19を有している。定着部19は、転写部18で用紙に転写されたトナー画像を定着させるものである。定着部19は、例えば一方のロールをヒータ内蔵の加熱ロールとし、他方のロールを加圧ロールとした一対のロールを用いて構成されている。
用紙搬送装置4は、上下に多段に配置された4つの用紙収容部21,22,23,24と、各々の用紙収容部21〜24から用紙を給紙する給紙部25と、給紙部25によって給紙された用紙を下から上に向けて垂直に搬送する垂直搬送部26と、垂直搬送部26によって搬送された用紙を転写時刻に合わせて転写部18に送り込むレジスト部27と、転写部18を通過した用紙を定着部19に送り込むバキューム搬送部28と、定着部19から送り出された用紙をスイッチバックで反転させる反転搬送部29と、反転搬送部29で反転させた用紙を再び給紙するために搬送する再給紙搬送部30と、片面印刷又は両面印刷を終えた用紙を排出する排出部31と、排出部31で排出された用紙を積載状態で収容する排出収容部32と、画像の印刷に使用する用紙を手差しで供給するための手差し供給装置33とを備えている。このうち、レジスト部27は、一対のレジストロールを用いて構成され、排出部31は、一対の排出ロールを用いて構成されている。反転搬送部29及び再給紙搬送部30は、両面印刷用搬送部として設けられたものである。
次に、上記構成からなる画像形成装置1の基本的な動作について説明する。
先ず、画像読取装置2によって原稿の画像が読み取られると、これによって得られた画像データを基に画像形成部3でトナー画像が形成される。画像形成部3では、4つの感光体ドラム9〜12を回転駆動しつつ、それぞれに対応する帯電器、潜像形成装置、現像器によって各感光体ドラム9〜12の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が形成される。このように形成された各色のトナー画像は、一次転写ロール13〜16によって順次、中間転写ベルト17に重ね転写される。これにより、中間転写ベルト17には、4色のトナーを重ね合わせた多色(フルカラー)のトナー画像が形成される。このように中間転写ベルト17に形成されたトナー画像は、当該中間転写ベルト17に保持されて転写部18に送り込まれる。ここではカラー印刷の場合を想定しているが、白黒印刷の場合はブラックのトナー画像だけを中間転写ベルト17に転写することになる。
一方、画像形成装置1の操作パネル等を用いて使用者により選択された用紙や、自動選択機能によって選択された用紙、あるいは手差し供給装置33から供給された用紙は、予め設定された転写時刻に転写部18に到達するように、当該転写時刻に合わせてレジスト部27から転写部18へと送り込まれる。例えば、使用者が選択した用紙が最上段の用紙収容部21に収容された用紙であるとすると、この用紙収容部21から給紙部25によって用紙が給紙されるとともに、当該給紙された用紙が垂直搬送部26を経由してレジスト部27に送り込まれる。そして、レジスト部27では、例えば、回転停止状態とされたレジストロールへの突き当てによって用紙の姿勢(傾き等)を修正した後、上記転写時刻に合わせてレジストロールの回転を開始することにより、転写部18に用紙を送り込む。
一方、各々の一次転写ロール13〜16によって中間転写ベルト17に転写されたトナー画像は、当該中間転写ベルト17の回転にしたがって転写部18へと送り込まれる。このとき、予め設定された転写時刻でトナー画像が転写部18に到達するように、各々の感光体ドラム9〜12に対する静電潜像の書き込み開始時刻が制御される。そして、転写部18においては、予め設定された転写時刻に合わせてトナー画像と用紙を同時に到達させるとともに、中間転写ベルト17から用紙へとトナー画像を転写する。
こうして中間転写ベルト17に保持されたトナー画像は、転写部18で用紙に転写(二次転写)される。その後、用紙はバキューム搬送部28によって定着部19に送られ、そこでトナー画像の定着処理が施される。これ以降の動作は、画像形成モードが片面印刷モードの場合と両面印刷モードの場合で異なる。
片面印刷モードとは、用紙の片面に画像を印刷する場合に適用される画像形成モードである。両面印刷モードとは、用紙の両面に画像を印刷する場合に適用される画像形成モードである。片面印刷モードで動作する場合は、上述のように定着器19でトナー画像の定着処理を行なった用紙を、排出部31から排出収容部32へと排出する。
両面印刷モードで動作する場合は、片面印刷を終えた用紙を反転搬送部29に送り込んだ後、再給紙搬送部30を経由して再びレジスト部27に用紙を送り込む。したがって、反転搬送部29及び再給紙搬送部30は、用紙の両面に画像を印刷するための搬送部となる。以降は、片面印刷の場合と同様の手順で用紙にトナー画像を転写・定着した後、用紙の排出を行なう。また、定着部19から送り出された用紙の表裏を反転して排出する場合は、定着部19から反転搬送部29を経由して排出部31へと用紙を送り出す。
図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御構成の一例を示すブロック図である。
画像形成制御部41は、画像形成装置1全体の処理動作を統括的に制御するものである。画像形成制御部41には、操作パネル42と、画像処理部43と、用紙検知センサ44と、給紙用モータ45と、搬送用モータ46と、反転用モータ47と、再給紙用モータ48と、搬送路切り替え用ソレノイド49と、リトラクト用ソレノイド50とが接続されている。
操作パネル42は、画像形成装置1を使用する使用者が各種の情報を入力したり、使用者に対して各種の情報を表示したりするためのインターフェースとなるものである。操作パネル42は、例えば、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部とによって構成されるものである。
画像処理部43は、画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像データや、外部の端末装置から送られた画像データに対して、所定の画像処理を施すことにより、当該画像データを印刷用のデータに変換するものである。
用紙検知センサ44は、用紙搬送装置4が備える用紙搬送路上で用紙の通過(先端通過、後端通過)を検知するものである。用紙検知センサ44は、用紙搬送路の適所に分散して設けられる。用紙検知センサ44は、例えば発光素子と受光素子を同一のセンサ面に設けた反射型のフォトセンサからなるもので、センサ面と近接して対向する位置(以下、「センサ検知位置」と記す)に用紙が存在するときはオン状態となり、用紙が存在しないときはオフ状態となる。
したがって、用紙検知センサ44は、センサ検知位置を用紙の先端が通過した際にはオフ状態からオン状態に切り替わり、その後、センサ検知位置を用紙の後端が通過した際にはオン状態からオフ状態に切り替わる。ちなみに、用紙の先端とは、用紙搬送路上で用紙搬送方向の下流側を向いて配置される用紙端をいい、用紙の後端とは、用紙搬送路上で用紙搬送方向の上流側を向いて配置される用紙端をいう。
給紙用モータ45は、画像形成装置本体5内の各用紙収容部21〜24から用紙を個別に給紙するための駆動源となるものである。搬送用モータ46は、各々の用紙収容部21〜24から給紙された用紙や手差し供給装置33から供給された用紙を、垂直搬送部26、レジスト部27、転写部18、バキューム搬送部28を順に経由して、定着部19へと搬送するための駆動源となるものである。反転用モータ47は、反転搬送部29で用紙を反転させるための駆動源となるものである。再給紙用モータ48は、再給紙搬送部30で用紙を搬送するための駆動源となるものである。各々のモータ45,46,47,48は、必要に応じて複数個ずつ設けられるものである。また、搬送用モータ46は、レジスト部27の駆動源となるレジモータを含むものである。
搬送路切り替え用ソレノイド49は、用紙搬送路が分岐する部分(定着部19の下流側)で、用紙の進行方向を切り替えるための駆動源となるものである。リトラクト用ソレノイド50は、転写部18において、二次転写ロールを中間転写ベルト17から離間させるための駆動源となるものである。
図3は本発明の実施形態に係る画像形成装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、片面印刷モードで1枚の用紙に画像を印刷する場合を想定している。
まず、操作パネル42からの印刷開始命令や、外部の端末装置からの印刷開始命令を受けると、画像形成制御部41は、給紙用モータ45及び搬送用モータ46を駆動して、使用者が指定した用紙(又は自動で選択された用紙)の搬送を開始する(ステップS1)。例えば、使用者が指定した用紙が、最上段の用紙収容部21に収容された用紙であるとすると、この用紙収容部21から給紙部25によって用紙を給紙した後、垂直搬送部26を経由して用紙をレジスト部27に送り込む。レジスト部27では、例えば、用紙の到達に先立って回転停止状態とされたレジストロールへの突き当てによって用紙の姿勢(傾き等)を修正した後、予め設定された転写時刻に間に合うようにレジストロールの回転を開始する。これにより、画像形成制御部41は、予め設定された転写時刻に用紙を転写部18に到達させるように制御する。
一方、印刷の対象となる画像データは、画像処理部43で画像処理された後、潜像形成装置に送られて、レーザ光の露光走査を制御するための駆動信号として利用される。その場合、潜像形成装置による静電潜像の書き込み開始時刻は、当該書き込み開始時刻で書き込みを開始した静電潜像をトナー画像に現像し、このトナー画像を中間転写ベルト17に保持して転写部18へと送り込んだときの、転写部18に対するトナー画像の到達時刻を決定するものとなる。
転写部18に用紙が到達する時刻とは、中間転写ベルト17と二次転写ロールとの接触部分に用紙の先端が到達する時刻をいう。同様に、転写部18にトナー画像が到達する時刻とは、中間転写ベルト17と二次転写ロールとの接触部分にトナー画像の先端が到達する時刻をいう。トナー画像の先端とは、中間転写ベルト17の走行経路上でベルト走行方向の下流側を向いて配置される画像端をいう。
ここで、転写部18で用紙にトナー画像を転写する場合は、用紙の決められた位置に正確にトナー画像を転写するために、転写部18に対して用紙とトナー画像を同時に到達させる必要がある。したがって、画像形成制御部41は、中間転写ベルト17に保持されたトナー画像とこのトナー画像を転写すべき用紙を同じ転写時刻に転写部18に到達させるように制御する。
ただし、画像形成装置1においては、用紙が転写部18に到達する前に、何らかの理由で、中間転写ベルト17に保持されるトナー画像が当該トナー画像を転写すべき用紙と同時に転写部18に到達できない異常(以下、「遅延異常」と記す)が発生する場合がある。具体的には、例えば、画像処理部43で画像データに画像処理を施す際に、規定の制限時間内に画像処理が終了せず、潜像形成装置で静電潜像の書き込み開始できないか、開始したとしても開始時刻が遅れることがある。静電潜像の書き込み開始時刻が遅れた場合は、中間転写ベルト17で保持したトナー画像を転写部18に送り込んでも、当該トナー画像の到達時刻が用紙の到達時刻に間に合わないことになる。
そのため、画像形成制御部41は、上記ステップS1で用紙の搬送を開始した後、当該用紙が転写部18に到達するのに先立って、遅延異常が発生したかどうかを、例えば、規定の時刻に静電潜像の書き込みを開始できたかどうかによって判断する(ステップS2)。そして、画像形成制御部41は、遅延異常が発生しなかったと判断した場合は、通常処理に移行する。通常処理で画像形成動作を制御する場合は、転写部18で中間転写ベルト17から用紙にトナー画像を転写した後、バキューム搬送部28を経由して用紙を定着部19に送り込み、そこでトナー画像を用紙に定着した後、排出部31から排出収容部32へと用紙を排出することになる。
これに対して、画像形成制御部41は、上記ステップS2で遅延異常が発生したと判断すると、これに続いて、画像の印刷に使用している用紙の種類(例えば、操作パネル42で選択された用紙の種類など)が所定の紙種であるかどうかを判断する(ステップS3)。所定の紙種とは、画像の印刷に使用される用紙の表裏面のうち、画像形成装置1が最初に画像を印刷しようとする面(以下、「第1面」と記す)と反対側の面(以下、「第2面」と記す)に画像を印刷すると、使用者の意図した印刷結果が得られない紙種をいう。具体的には、裏紙と呼ばれる片面印刷使用済みの用紙や、予め下地となる画像が印刷されたプレプリント(事前印刷)用紙と呼ばれる用紙などが、所定の紙種として設定される。
上記ステップS3において、用紙の種類が所定の紙種であると判断すると、画像形成制御部41は、ジャム処理を実行する。このジャム処理では、用紙搬送装置4による用紙の搬送動作を含めて、画像形成装置本体5内のマシン動作(画像形成動作)を停止させるとともに、ジャムが発生した旨のエラーメッセージ等を操作パネル42に表示させる。
また、上記ステップS3において、用紙の種類が所定の紙種ではないと判断すると、画像形成制御部41は、搬送用モータ46の駆動を継続することにより、上述のように転写時刻に合わせて転写部18に送り込んだ用紙を、当該転写部18でトナー画像を転写することなく、バキューム搬送部28及び定着部19を経由して、反転搬送部29へと送り込む(ステップS4)。
この場合、画像形成制御部41は、通常処理の場合と同じ条件で用紙の搬送動作(搬送速度等)を制御するため、用紙は、反転搬送部29で用紙の搬送方向が反転されるまで、停止することなく搬送される。したがって、例えば複数枚の用紙に画像を印刷している途中で遅延異常が発生した場合でも、用紙搬送方向における用紙の間隔は、通常処理の場合と何ら変わらないことになる。
また、画像形成制御部41は、用紙が転写部18を通過するときに、転写部18に用紙が到達するのに先立って、リトラクト用ソレノイド50を駆動することにより、二次転写ロールを中間転写ベルト17から離間させ、その後、転写部18を用紙が完全に通過した段階で、リトラクト用ソレノイド50の駆動を停止して、二次転写ロールを元の位置に戻す。このため、転写部18を用紙が通過するときに、中間転写ベルト17にトナーが保持されていたとしても用紙にトナーが転移することがない。したがって、用紙は白紙のままで定着部19へと搬送される。
また、画像形成制御部41は、定着部19の加熱用ヒータをオフ状態にしたままで用紙を定着部19に送り、そこを通過させる。さらに、画像形成制御部41は、搬送路切り替え用ソレノイド49を駆動することにより、定着部19から送り出された用紙を反転搬送部29へと導くとともに、反転搬送部29への用紙の取り込みに先立って反転用モータ47を駆動する。
その後、画像形成制御部41は、反転搬送部29に取り込まれた用紙の後端位置が予め設定された位置に到達したことを検知すると、その段階で反転用モータ47の回転方向を反転させるとともに、再給紙用モータ48を駆動させることにより、用紙を反転搬送部29から再給紙搬送部30へと送り込む。そして、再給紙搬送部30で用紙搬送路に沿って用紙を搬送し、この用紙の先端が、再給紙搬送部30の下流側に設定された待機位置に到達したら、その段階で再給紙用モータ48の駆動を停止することにより、再給紙搬送部30で用紙を待機(停止)させる(ステップS5)。
次に、画像形成制御部41は、画像処理部43で画像データの画像処理を再度実行させた後(ステップS6)、その画像データを用紙に印刷するために再度設定された転写時刻に合わせて再給紙用モータ48の駆動を再開させることにより、それまで待機させていた用紙を再給紙搬送部30から転写部18に向けて搬送する(ステップS7)。
次に、画像形成制御部41は、上記ステップS7で転写部18に向けて送り込まれた用紙を、上記同様に搬送用モータ46の駆動により、レジスト部27を経由して転写部18に送り込む。そして、転写部18においては、用紙が到達する時刻に合わせて、中間転写ベルト17に保持されたトナー画像を転写部18に到達させ、そこで中間転写ベルト17から用紙にトナー画像を転写する(ステップS8)。
その後、画像形成制御部41は、転写部18からバキューム搬送部28を経由して定着部19に用紙を送り込み、そこでトナー画像を用紙に定着した後(ステップS9)、排出部31から排出収容部32へと用紙を排出させる(ステップS10)。
以上のとおり、画像形成制御部41は、片面印刷モードで1枚の用紙の第1面に画像を印刷する際に遅延異常が発生した場合に、この遅延異常が原因で画像を転写せずに両面印刷用搬送部に搬送された用紙の第2面に遅延異常となった画像を転写するように制御する。このため、遅延異常が発生しても、用紙は、白紙で機外に排出されることなく、通常処理と同様に画像が印刷された状態で機外に排出される。
図4及び図5は画像形成装置が両面印刷モードで動作する場合に適用される画像形成制御部の制御処理例を示す概念図であって、図4は両面印刷を行なう用紙の枚数が2枚の場合、図5は両面印刷を行なう用紙の枚数が6枚の場合を示している。
まず、図4を参照して、2枚の用紙に両面印刷を行なう場合の画像形成制御部41の具体的な処理形態について説明する。画像形成装置1においては、片面印刷モード及び両面印刷モードのいずれであっても、時間軸上で頁単位に印刷の期間が設定される。また、両面印刷モードで動作する場合は、用紙の処理枚数にかかわらず、基本的に、用紙の表面に画像を印刷するための印刷期間(図中、「表」と表記)と、用紙の裏面に画像を印刷するための印刷期間(図中、「裏」と表記)が、時間軸上で交互に並んで設定される。
ここでは、用紙収容部(21,22,23,24)から給紙部25によって給紙される用紙に対して、最初に画像が印刷される面(第1面)を用紙の表面とし、その反対側の面(第2面)を用紙の裏面とする。また、操作パネル42や外部の端末装置で使用者がいずれか1つの用紙収容部(21,22,23,24)を指定した場合に、この指定の用紙収容部から送られる用紙の給紙順序にしたがって1枚目の用紙、2枚目の用紙、3枚目の用紙、4枚目の用紙、…と区別するものとする。
2枚の用紙に両面印刷を行なう場合において、上述した遅延異常が発生しない場合、つまり通常処理の場合は、指定の用紙収容部から送られた1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷した後、1枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷する。
次に、2頁分の印刷期間を空けて、上記1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷した後、1頁分の印刷期間を空けて、上記2枚の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷する。
これに対して、指定の用紙収容部から送られた1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷しようとした際に、上記の遅延異常が発生した場合は、当該1枚目の用紙に画像を転写することなく、上述した手順で1枚目の用紙を反転搬送部29から再給紙搬送部30へと搬送し、その間に、1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた2枚目の用紙の表面に、上記遅延異常で1枚目の用紙に印刷できなかった1頁目の画像を印刷(転写、定着)する。すなわち、画像形成制御部41は、遅延異常が原因で画像を転写せずに両面印刷用搬送部に搬送された1枚目の用紙の後に転写部18に送り込まれる2枚目の用紙に対して、当該遅延異常となった1頁目の画像を転写するように制御する。
次に、3頁分の印刷期間を空けて、上記1枚目の用紙(遅延異常で画像を印刷できなかった用紙)の表面に3頁目の画像を印刷した後、上記2枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷する。その後、3頁分の印刷期間を空けて、上記1枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷する。通常処理の場合と比較すると、1枚目の用紙の第1面に印刷される画像と第2面に印刷される画像が表裏反転したかたちとなる。
一方、指定の用紙収容部から送られた1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷した後、1枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷しようとした際に、上記の遅延異常が発生した場合は、当該2枚目の用紙に画像を転写することなく、上述した手順で2枚目の用紙を反転搬送部29から再給紙搬送部30へと搬送し、その間に、2頁分の印刷期間を空けて上記1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷する。
次に、2頁分の印刷期間を空けて、上記2枚目の用紙(遅延異常で画像を印刷できなかった用紙)の表面に、上記遅延異常で2枚目の用紙に印刷できなかった3頁目の画像を印刷する。その後、4頁分の印刷期間を空けて、上記2枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷する。通常処理の場合と比較すると、2枚目の用紙の第1面に印刷される画像と第2面に印刷される画像が表裏反転したかたちとなる。
このように両面印刷モードで2枚の用紙に画像を形成している途中で遅延異常が発生した場合は、上記通常処理の場合に適用される用紙の印刷順序とは異なる順序で2枚の用紙の両面に画像を印刷することになる。
すなわち、通常処理の場合は、1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷→1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷といった順序で、2枚の用紙の両面に画像を印刷する。
これに対して、1枚目の用紙の表面に画像を印刷する際に遅延異常が発生した場合は、2枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷→1枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷→1枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷といった順序で、2枚の用紙の両面に画像を印刷する。
また、2枚目の用紙の表面に画像を印刷する際に遅延異常が発生した場合は、1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷→1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷といった順序で、2枚の用紙の両面に画像を印刷することになる。
続いて、図5を参照して、6枚の用紙に両面印刷を行なう場合の画像形成制御部41の具体的な処理形態について説明する。
6枚の用紙に両面印刷を行なう場合において、上述した遅延異常が発生しない場合、つまり通常処理の場合は、指定の用紙収容部から送られた1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷した後、1枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷する。
次に、2枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた3枚目の用紙の表面に5頁目の画像を印刷した後、上記1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷する。
次に、上記3枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた4枚目の用紙の表面に7頁目の画像を印刷した後、上記2枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷する。
次に、上記4枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた5枚目の用紙の表面に9頁目の画像を印刷した後、上記3枚目の用紙の裏面に6頁目の画像を印刷する。
次に、上記5枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた6枚目の用紙の表面に11頁目の画像を印刷した後、上記4枚目の用紙の裏面に8頁目の画像を印刷する。
次に、1頁分の印刷期間を空けて、上記5枚目の用紙の裏面に10頁目の画像を印刷した後、1頁分の印刷期間を空けて、上記6枚目の用紙の裏面に12頁目の画像を印刷する。
これに対して、指定の用紙収容部から送られた1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷してから、1枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷し、その後、2枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた3枚目の用紙の表面に5頁目の画像を印刷しようとした際に、上記の遅延異常が発生した場合は、当該3枚目の用紙に画像を転写することなく、上述した手順で3枚目の用紙を反転搬送部29から再給紙搬送部30へと搬送し、その間に上記1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷する。
次に、上記遅延異常となった3枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた4枚目の用紙の表面に5頁目の画像を印刷した後、上記2枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷する。すなわち、画像形成制御部41は、遅延異常が原因で画像を転写せずに両面印刷用搬送部に搬送された3枚目の用紙の後に転写部18に送り込まれる4枚目の用紙に対して、当該遅延異常となった5頁目の画像を転写するように制御する。
次に、上記4枚目の用紙との間に1頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた5枚目の用紙の表面に7頁目の画像を印刷した後、1頁分の印刷期間を空けて、上記3枚目の用紙(遅延異常で画像を印刷できなかった用紙)の表面に9頁目の画像を印刷する。
次に、上記4枚目の用紙の裏面に6頁目の画像を印刷した後、上記5枚目の用紙との間に3頁分の印刷期間を空けて指定の用紙収容部から送られた6枚目の用紙の表面に11頁目の画像を印刷する。
次に、上記5枚目の用紙の裏面に8頁目の画像を印刷した後、1頁分の印刷期間を空けて、上記3枚目の用紙の裏面に10頁目の画像を印刷し、その後、1頁分の印刷期間を空けて、上記6枚目の用紙の裏面に12頁目の画像を印刷する。
このように両面印刷モードで6枚の用紙に画像を形成している途中で遅延異常が発生した場合に関しても、上記通常処理の場合に適用される用紙の印刷順序とは異なる順序で6枚の用紙の両面に画像を印刷することになる。
すなわち、通常処理の場合は、1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷→3枚目の用紙の表面に5頁目の画像を印刷→1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷→4枚目の用紙の表面に7頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷→5枚目の用紙の表面に9頁目の画像を印刷→3枚目の用紙の裏面に6頁目の画像を印刷→6枚目の用紙の表面に11頁目の画像を印刷→4枚目の用紙に裏面に8頁目の画像を印刷→5枚目の用紙の裏面に10頁目の画像を印刷→6枚目の用紙の裏面に12頁目の画像を印刷といった順序で、6枚の用紙の両面に画像を印刷する。
これに対して、3枚目の用紙の表面に画像を印刷する際に遅延異常が発生した場合は、1枚目の用紙の表面に1頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の表面に3頁目の画像を印刷→1枚目の用紙の裏面に2頁目の画像を印刷→4枚目の用紙の表面に5頁目の画像を印刷→2枚目の用紙の裏面に4頁目の画像を印刷→5枚目の用紙の表面に7頁目の画像を印刷→3枚目の用紙の表面に9頁目の画像を印刷→4枚目の用紙の裏面に6頁目の画像を印刷→6枚目の用紙の表面に11頁目の画像を印刷→5枚目の用紙の裏面に8頁目の画像を印刷→3枚目の用紙の裏面に10頁目の画像を印刷→6枚目の用紙の裏面に12頁目の画像を印刷といった順序で、6枚の用紙の両面に画像を印刷する。
本発明は、電子写真方式で用紙に画像を形成するプリンタ装置、デジタル複写機、デジタル複合機等の画像形成装置に広く適用されるものである。
1…画像形成装置、3…画像形成部、4…用紙搬送装置、17…中間転写ベルト、18…転写部、19…定着部、29…反転搬送部、30…再給紙搬送部、41…画像形成制御部