複写機、プリンタ等の画像形成装置では、シートの搬送中にジャムが発生した場合に、シートの搬送を停止してジャムシートを取り除く必要がある。また、ジャムシートを取り除くには、ジャムシートの停止位置でシート搬送路を開放する必要がある。このため、従来の画像形成装置では、ジャムシートの除去性(ジャムクリア性)を考慮したマシン構成となっている。
また、シートの両面に画像を形成するモード(両面モード)を備える画像形成装置には、画像形成部で片面に画像が形成されたシートを反転させるシート反転部と、このシート反転部で反転させたシートを再び画像形成部に送り込む再搬送部が設けられている。この種の画像形成装置のなかで、特に中速機や高速機に属する画像形成装置では、ジャムクリア性を良好にするために、画像形成装置本体内にジャムクリアユニットとして2つのユニットを設けるとともに、当該2つのユニットを画像形成装置本体に対して引き出し可能とした「2ユニット構造」が主流となっている。
図2は2ユニット構造を採用した従来の画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示のように、画像形成装置本体(以下、装置本体)51の内部には複数のシート収容トレイ52,53,54,55が組み込まれている。また、シート収容トレイ52の近傍には、シート供給用のロールとして、呼び出しロール56と送り出しロール57が配置されている。これと同様に、他のシート収容トレイ53,54,55の近傍にも、それぞれシート供給用のロール58〜63が配置されている。
また、装置本体51の内部には、画像形成の対象となるシートを搬送するためのシート搬送路が形成されている。このシート搬送路を複数のシート搬送路R11〜R16に分けて考えると、シート搬送路R11上には複数の搬送ロール64〜69が配置されている。シート搬送路R12上には、プレレジストロール70と、レジストロール71と、感光体ドラム72と、転写ロール(BTR)73と、加熱定着ロール74と、排出ロール75が配置されている。シート搬送路R13上には搬送ロール76が配置されている。シート搬送路R14上には反転ロール77が配置されている。シート搬送路R15上には複数の搬送ロール78〜80が配置されている。シート搬送路R16上には搬送ロール81が配置されている。
さらに、装置本体51には手差しトレイ82と排出トレイ83が取り付けられている。手差しトレイ82の取付部位には、手差し供給用のロールとして、呼び出しロール84と送り出しロール85が配置されている。また、装置本体51は仕切板86を境に上側本体51Aと下側本体51Bに分かれている。上側本体51Aには、上述したプレレジストロール70、レジストロール71、感光体ドラム72、転写ロール73、加熱定着ロール74、排出ロール75、搬送ロール76、反転ロール77、搬送ロール78〜80、搬送ロール81が組み込まれている。下側本体51Bには、上述したシート収容トレイ52〜55、シート供給用のロール56〜63、搬送ロール64〜69が組み込まれている。
また、上側本体51Aの内部には、ジャムクリアユニットとなる2つのユニット87,88が設けられている。一方のユニット87は、プレレジストロール70、レジストロール71、転写ロール73、加熱定着ロール74、搬送ロール76、搬送ロール81を含んだ構成となっている。他方のユニット88は、反転ロール77、搬送ロール78〜80を含んだ構成となっている。各々のユニット87,88は、ジャムシートの除去を容易に行えるように、上側本体51Aに対して引き出し可能に構成されている。
したがって、ジャム発生時にシート搬送路R12にジャムシートが停止した場合は、上側本体51Aから一方のユニット87を引き出すことにより、シート搬送路R12をユニット87の上側に開放させることができるため、シート搬送路R12からジャムシートを取り除くことができる。また、ジャム発生時にシート搬送路R14やシート搬送路R15にジャムシートが停止した場合は、上側本体51Aから他方のユニット88を引き出すことにより、シート搬送路R14とシート搬送路R15をそれぞれユニット88の上側と下側に開放させることができるため、シート搬送路R14やシート搬送路R15からジャムシートを取り除くことができる。
ただし、上述のような2ユニット構造を採用した場合は、2つのユニット87,88に跨ってジャムシートが停止するようなジャム(以下、跨ぎジャム)が発生した場合に、各々のユニット87,88を別々に引き出すとジャムシートが破れてしまう。そこで、従来技術の1つとして、例えば特許文献1には、跨ぎジャムが発生した場合に、画像形成装置本体から2つのユニットを一体的に引き出すことでジャムシートの破れを回避する技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、2つのユニットに跨ったジャムシートの存在を検知するための跨ぎジャム検知センサや、2つのユニットを一体的に引き出すためのユニット結合機構を新たに設ける必要がある。このため、画像形成装置の低コスト化や省スペース化を図るうえで問題がある。
そこで、他の従来技術として、例えば特許文献2には、上記2つのユニット87,88を一体化することにより、画像形成装置本体に対して1つのジャムクリアユニットを引き出し可能とした「1ユニット構造」を採用したものが提案されている。この従来技術を採用すれば、上述した跨ぎジャム検知センサやユニット結合機構が不要となるため、画像形成装置の低コスト化や省スペース化の問題を解消することができる。
特開平8−335021号公報
特開2005−99602号公報
以下、本発明の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示のように、装置本体1の内部には複数のシート収容トレイ2,3,4,5が組み込まれている。シート収容トレイ2,3,4,5は、それぞれ所定枚数のシートを積載状態に収容するものである。各々のシート収容トレイ2〜5は、収容対象となるシートのサイズや種類によってトレイ全体のサイズが異なるものの、基本的には同様の構成となっている。シート収容トレイ2,3は、水平方向に横並びの状態(隣り合う状態)でシート収容トレイ4の下方に配置され、シート収容トレイ5は、シート収容トレイ4の上方に配置されている。
シート収容トレイ2の近傍には、シート供給用のロールとして、呼び出しロール6と送り出しロール7が配置されている。呼び出しロール6は、シート収容トレイ2に収容されたシートの最上面に接触して回転することにより、シート収容トレイ2からシートを呼び出すものである。送り出しロール7は、呼び出しロール6によって呼び出されたシートを一枚ずつ捌きながら送り出すものである。これと同様に、他のシート収容トレイ3,4,5の近傍にも、それぞれシート供給用のロール8〜13が配置されている。
また、装置本体1の内部には、画像形成の対象となるシートを搬送するためのシート搬送路が形成されている。このシート搬送路を複数のシート搬送路R1〜R6に分けて考えると、第1のシート搬送路R1上には複数の搬送ロール14〜19が配置されている。これらの搬送ロール14〜19は、第1のシート搬送路R1に沿ってシートを搬送するものである。
第2のシート搬送路R2上には、プレレジストロール20と、レジストロール21と、感光体ドラム22と、転写ロール23と、加熱定着ロール24と、搬送ロール25と、排出ロール26が配置されている。プレレジストロール20は、第1のシート搬送路R1から送り込まれたシートや、手差しで供給されたシート、あるいは第5のシート搬送路R5を通して送り込まれたシートを、それぞれ第2のシート搬送路R2に沿って搬送するものである。レジストロール21は、画像形成の対象となるシートを画像転写位置に送り込むとともに、この送り込みに際してシートと画像(トナー画像)の位置を合わせるために、第2のシート搬送路R2に沿ってプレレジストロール21により送り込まれたシートのスキューを補正するとともに、このスキュー補正したシートを所定のタイミングで画像転写位置に送り込むものである。
感光体ドラム22は、像担持体となるもので、図の反時計回り方向に回転駆動されるものである。感光体ドラム22の周囲には、感光体ドラム22の表面を一様に帯電する帯電器(不図示)と、この帯電器で帯電された感光体ドラム22の表面をレーザビームで露光走査して静電潜像を書き込む潜像書き込み装置(不図示)と、この潜像き込み装置によって静電潜像が書き込まれた感光体ドラム22の表面にトナーを供給して現像する現像器(不図示)と、この現像器で現像されたトナー画像をシートに転写する転写ロール23と、シートに転写されずに感光体ドラム22の表面に残った不要トナーを除去するクリーナー(不図示)と、感光体ドラム22の表面を除電する除電器(不図示)が、それぞれ感光体ドラム22の回転方向に順に配置されている。
ここで、画像転写位置とは、シートに画像が転写される位置をいう。本実施形態に係る画像形成装置では、感光体ドラム22に担持されたトナー画像が転写ロール23によってシートに転写されることから、感光体ドラム22と転写ロール23の対向部分が画像転写位置となる。また、レジストロール21は、感光体ドラム22に担持されたトナー画像が、当該感光体ドラム22の回転によって転写ロール23との対向部分に到達するタイミングに合わせてシートを画像転写位置に送り込むレジスト手段となる。このため、レジストロール21によるシートの送り込みタイミングは、画像転写位置にトナー画像が到達するタイミングに合わせて制御される。
加熱定着ロール24は、画像転写位置を通過したシートに画像(トナー画像)を定着させる定着手段となるものである。加熱定着ロール24は、例えば加熱ロールと加圧ロール(ピンチロール)によって構成されるもので、画像転写位置でトナー画像が転写されたシート面に加熱ロールが接触し、その反対側のシート面に加圧ロールが接触するように配置されている。搬送ロール25は、加熱定着ロール24から送り出されたシートを搬送するものである。排出ロール26は、画像形成済みのシートを装置本体1の外部に排出するものである。
第3のシート搬送路R3上には搬送ロール27が配置されている。搬送ロール27は、搬送ロール25によって送り込まれたシートを第3のシート搬送路R3に沿って搬送するものである。第4のシート搬送路R4上には反転手段となる反転ロール28が配置されている。反転ロール28は、搬送ロール27によって送り込まれたシートをスイッチバック方式で反転させるために、双方向に回転(正回転/逆回転)可能に設けられている。
第5のシート搬送路R5上には、再搬送手段となる複数の搬送ロール29〜31が配置されている。搬送ロール29〜31は、反転ロール28で反転されたシートを画像転写位置に向けて搬送するものである。さらに詳述すると、搬送ロール29〜31は、第5のシート搬送路R5に沿ってシートを搬送するとともに、第5のシート搬送路R5から第2のシート搬送路R2へとシートを送り込むことにより、画像転写位置に向けてシートを搬送するものである。第6のシート搬送路R6上には搬送ロール32が配置されている。搬送ロール32は、反転ロール28で反転されたシートを第6のシート搬送路R6を通して排出ロール26に送り込むものである。
さらに、装置本体1には手差しトレイ33と排出トレイ34が取り付けられている。手差しトレイ33は、装置本体1の内部に手差しでシートを供給するときに用いられるものである。排出トレイ34は、排出ロール26によって装置本体1から排出されたシートを収容(スタック)するものである。手差しトレイ33の取付部位には、手差し供給用のロールとして、呼び出しロール35と送り出しロール36が配置されている。呼び出しロール35は、手差しトレイ33にセット(載置)されたシートの上面に接触して回転することにより、手差しトレイ33からシートを呼び出すものである。送り出しロール36は、呼び出しロール35によって呼び出されたシートを一枚ずつ捌きながら送り出すものである。
また、装置本体1は仕切板37を境に上側本体1Aと下側本体1Bに分かれている。仕切板37は、上側本体1Aの底板に相当するものであってもよいし、下側本体1Bの天板に相当するものであってもよい。上側本体1Aには、上述したプレレジストロール20、レジストロール21、感光体ドラム22、転写ロール23、加熱定着ロール24、搬送ロール25、排出ロール26、搬送ロール27、反転ロール28、搬送ロール29〜31、搬送ロール32が組み込まれている。下側本体1Bには、上述したシート収容トレイ2〜5、シート供給用のロール6〜13、搬送ロール14〜19が組み込まれている。
また、上側本体1Aの内部には1つのジャムクリアユニット38が設けられている。つまり、本実施形態に係る画像形成装置では、従来のような2ユニット構造(図2参照)ではなく、1ユニット構造を採用している。ジャムクリアユニット38は、ジャム発生時にシート搬送路からジャムシートを除去できるように一体化(ユニット化)されたものである。ジャムクリアユニット38は、少なくともレジストロール(レジスト手段)21と加熱定着ロール(定着手段)24と反転ロール(反転手段)28と搬送ロール(再搬送手段)29〜31とを含んで一体化されるものであるが、ここではさらにプレレジストロール20と転写ロール23と搬送ロール25,27と搬送ロール32とを含んで一体化されている。
こうした1ユニット構造を採用することにより、2ユニット構造に比較して跨ぎジャムの発生箇所が少なくなる。すなわち、レジスト手段、定着手段及び反転手段と再搬送手段とを別々のユニットで構成した2ユニット構造を採用すると、2つのユニット間で跨ぎジャムが発生するが、レジスト手段、定着手段、反転手段及び再搬送手段を1つのユニットで構成した1ユニット構造を採用した場合は、そうした跨ぎジャムの発生がなくなる。このため、上側本体1Aの内部では跨ぎジャムの発生箇所が少なくなり、これに伴って跨ぎジャム検知センサやユニット結合機構も不要になるため、画像形成装置の低コスト化や省スペース化を図るうえで有利になる。
ジャムクリアユニット38は、上側本体1Aに対して、例えば図示しないガイドレール等を用いて引き出し可能(出し入れ可能)に構成されている。このため、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出すと、ジャムクリアユニット38に搭載された各々の部材も当該ジャムクリアユニット38と同時(一緒)に装置本体1の外側(ユーザから見て手前側)に引き出される。ジャムクリアユニット38の引き出しは、上側本体1Aの前面を覆うフロントカバー(不図示)を開いた状態で行われる。
また、上述した複数のシート搬送路R1〜R6のうち、第1のシート搬送路R1は、各々のシート収容トレイ2,3,4,5を起点として下側本体1Bに形成されている。第1のシート搬送路R1は、上側本体1Aと下側本体1Bとの境界部で第2のシート搬送路R2に接続されている。第2のシート搬送路R2は、プレレジストロール20、レジストロール21、画像転写位置(感光体ドラム22と転写ロール23の対向部分)、加熱定着ロール24、搬送ロール25、排出ロール26を順に経由するように形成されている。第3のシート搬送路R3は、搬送ロール25と排出ロール26の間で第2のシート搬送路R2から下方に分岐するように形成されている。第3のシート搬送路R3の終端部は、反転ロール28の手前で第4のシート搬送路R4に接続されている。
第4のシート搬送路R4は、ジャムクリアユニット38の底部とこれに対向する仕切板37とを用いて形成されている。仕切板37は、装置本体1側の部材として、上側本体1Aと下側本体1Bに仕切るものである。仕切板37は、装置本体1のフレーム部分(不図示)に水平に取り付けられている。また、ジャムクリアユニット38の底部と仕切板37とは、上下方向で所定(例えば、数mm程度)のギャップを介して対向しており、このギャップ部分で第4のシート搬送路R4が形成されている。また、第4のシート搬送路R4は、第3のシート搬送路R3から連続するように形成されている。反転ロール28は、第4のシート搬送路R4の入口部分に配置されている。
第5のシート搬送路R5は、第3のシート搬送路R3から第4のシート搬送路R4に遷移するシート搬送路の途中から横方向(図の左方向)に分岐するように形成され、その終端部はプレレジストロール20の手前(上流側)で第2のシート搬送路R2に合流している。また、第5のシート搬送路R5は、第4のシート搬送路R4との間で略U字形を形成するように第3のシート搬送路R3から分岐し、そこから斜め下向きに延在した後、水平方向に延在している。したがって、上下方向でみると、上側本体1A内に形成されたシート搬送路は、第3のシート搬送路R3と第6のシート搬送路R6を除くと、レジストロール21から画像転写位置を経由して加熱定着ロール24に至る第2のシート搬送路R2を上層、第5のシート搬送路5を中層、第4のシート搬送路R4を下層とした3層構造になっている。すなわち、第5のシート搬送路5の上側には第2のシート搬送路R2が配置され、第5のシート搬送路R5の下側には第4のシート搬送路R4が配置されている。
第5のシート搬送路R5は、図示しない上下一対のシュート部材を用いてジャムクリアユニット38に形成されている。また、第5のシート搬送路R5を形成する下側のシュート部材(不図示)は、仕切板37との対向部分で第4のシート搬送路R4を形成するシュート部材を兼ねた構成となっている。つまり、第5のシート搬送路R5を形成する下側のシュート部材は、上下両方にシュート面を有する構造になっている。そして、上側のシュート面は第5のシート搬送路R5を形成し、下側のシュート面は第4のシート搬送路R4を形成するように配置されている。
また、第5のシート搬送路R5を形成する下側のシュート部材の下面は、ジャムクリアユニット38の底部に露出し、これに対向する仕切板37との間で第4のシート搬送路R4を形成している。さらに、第5のシート搬送路R5を形成する下側のシュート部材は、ジャムクリアユニット38の底部に開閉可能に取り付けられている。そして、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出したときに、ジャムクリアユニット38の底部でシュート部材を下向きに開くことにより、第5のシート搬送路R5をジャムクリアユニット38の下側に開放可能な構成となっている。
第6のシート搬送路R6は、第3のシート搬送路R3から第4のシート搬送路R4に遷移するシート搬送路の途中で且つ第5のシート搬送路R5よりも手前の位置から上方に分岐するように形成されている。また、第6のシート搬送路R6の終端部は、排出ロール26の手前で第2のシート搬送路R2に合流している。
以上のことから、第1のシート搬送路R1は、シート収容トレイ2〜5に収容されたシートを画像転写位置に送り込むための供給搬送路となる。第2のシート搬送路R2は、第1のシート搬送路R1を通して送り込まれたシートや、手差しトレイ33を用いて供給されたシート、あるいは第5のシート搬送路R5を通して送り込まれたシートを、それぞれ画像転写位置を通過するように搬送するための主搬送路となる。第3のシート搬送路R3は、画像転写位置を通過したシートを反転ロール28に送り込むために、第2のシート搬送路R2と第4のシート搬送路R4とを中継する中継搬送路となる。第4のシート搬送路R4は、第3のシート搬送路R3を通して送り込まれたシートを反転ロール28で反転させるための反転搬送路となる。第5のシート搬送路R5は、画像転写位置を通過したシートを再び画像転写位置に送り込むための再搬送路(循環搬送路)となる。第6のシート搬送路R6は、反転ロール28によって反転されたシートを排出ロール26に送り込むための反転排出搬送路となる。
これに対して、ジャムクリアユニット38は、第1のシート搬送路R1の全部と第4のシート搬送路R4の大部分(水平搬送路)を除く他のシート搬送路、すなわち第2のシート搬送路R2と第3のシート搬送路R3と第5のシート搬送路R5と第6のシート搬送路R6とを含む構成となっている。したがって、上側本体1Aに形成されるシート搬送路は、装置本体1にジャムクリアユニット38を差し込んだ状態では、上述のように第2のシート搬送路R2と第4のシート搬送路R4と第5のシート搬送路R5による3層構造となるが、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出した状態では、第2のシート搬送路R2と第5のシート搬送路R5によるる2層構造となる。この理由は、装置本体1にジャムクリアユニット38を差し込んだ状態では、ジャムクリアユニット38の底部と仕切板37が対向することにより、その間(ギャップ部分)に第4のシート搬送路R4が形成されるが、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出した状態では、ジャムクリアユニット38の底部と仕切板38とが対向せず、第4のシート搬送路R4が自然に開放されるためである。
続いて、上記構成からなる画像形成装置の動作について説明する。まず、画像形成に用いられるシートが、例えばシート収容トレイ2に収容されている場合は、このシート収容トレイ2に対応する呼び出しロール6及び送り出しロール7の回転により、シート収容トレイ2に収容されたシートが最上位から順に一枚ずつ送り出される。
ちなみに、シート収容トレイ3からシートを供給する場合は、このシート収容トレイ3に対応する呼び出しロール8及び送り出しロール9の回転により、シート収容トレイ3に収容されたシートを最上位から順に送り出すことになる。また、シート収容トレイ4からシートを供給する場合は、このシート収容トレイ4に対応する呼び出しロール10及び送り出しロール11の回転により、シート収容トレイ4に収容されたシートを最上位から順に送り出し、シート収容トレイ5からシートを供給する場合は、このシート収容トレイ5に対応する呼び出しロール12及び送り出しロール13の回転により、シート収容トレイ5に収容されたシートを最上位から順に送り出すことになる。また、手差しトレイ33からシートを供給する場合は、この手差しトレイ33に対応する呼び出しロール35及び送り出しロール36の回転により、手差しトレイ33にセットされたシートを送り出すことになる。
シート収容トレイ2から送り出されたシートは、第1のシート搬送路R1を搬送ロール14,17,18,19の回転により搬送されるとともに、第1のシート搬送路R1から第2のシート搬送路R2へと進んでプレレジストロール20の回転によりレジストロール21に送り込まれる。このとき、レジストロール21の回転は、プレレジストロール20によるシートの送り込みに先立って停止状態とされる。このため、プレレジストロール20によって送り込まれたシートの先端部は回転停止状態のレジストロール21のニップ部分に突き当てられる。また、この突き当て状態でプレレジストロール20によりシートを所定量だけ送り込むことにより、レジストロール21の手前でシートがループ状に撓んだ状態、すなわちシートのスキューが補正された状態となり、この状態でシートが一時停止する。
その後、潜像書き込み装置(不図示)によって感光体ドラム22の表面に書き込まれた静電潜像がトナー画像に現像されて画像転写位置に到達するタイミングに合わせて、例えばレジストロール駆動用のクラッチをオン動作させることにより、レジストロール21の回転を開始する。これにより、スキュー補正されたシートは、レジストロール21の回転にしたがって画像転写位置へと送り込まれる。そして、画像転写位置においては、レジストロール21によって送り込まれたシートが、感光体ドラム22と転写ロール23の対向部分を通過するように移動する。このとき、シートの先端が画像転写位置(感光体ドラム22と転写ロール23の対向部分)に到達するタイミングに合わせて、感光体ドラム22上のトナー画像が画像転写位置に到達し、そこで転写ロール23がトナーと逆極性の電荷を付与することにより、感光体ドラム22表面のトナー画像がシートの第1面に転写される。
その後、シートは加熱定着ロール24に送り込まれ、そこで加熱定着ロール24の加熱作用と加圧作用によりシートの第1面にトナー画像が定着される。次いで、加熱定着ロール24から送り出されたシートは、搬送ロール25の回転により排出ロール26に送り込まれるとともに、排出ロール12の回転によって排出トレイ34に排出される。以上の動作は、シートの片面に画像を形成するモード(片面モード)で適用されるものである。
両面モードの場合は、画像転写位置を経由して加熱定着ロール24から送り出されたシートが、図示しない搬送路切り替え手段により、搬送ロール25の回転にしたがって第2のシート搬送路R2から第3のシート搬送路R3へと案内され、そこで搬送ロール27の回転により反転ロール28へと送り込まれる。次に、シートは、反転ロール28にニップされたまま、反転ロール28の正回転によって第4のシート搬送路R4に取り込まれる。そして、シートの後端が第5のシート搬送路R5への分岐位置を通過すると、シートをニップしたままの状態で反転ロール28の正回転が停止する。次いで、シートは、反転ロール28の逆回転により、それまでとは逆方向に搬送される。このとき、図示しない搬送路切り替え手段により、シートは第5のシート搬送路R5へと案内される。
その後、シートは、第5のシート搬送路R5に沿って搬送ロール29から搬送ロール30を経由して搬送ロール31に送り込まれる。次いで、シートは、搬送ロール31の回転により第2のシート搬送路R2との合流位置に到達し、そこから再びプレレジストロール20へと送り込まれる。以後、上記同様の手順でシートの第2面にトナー画像の転写及び定着が行われる。次いで、シートは、片面モードの場合と同様に搬送ロール25の回転により排出ロール26に送り込まれるとともに、排出ロール12の回転によって排出トレイ34に排出される。
また、上述した片面モード又は両面モードにおいて、シートを表裏反転して排出トレイ34に排出する場合は、画像転写位置を経由して加熱定着ロール24から送り出されたシートが、図示しない搬送路切り替え手段により、搬送ロール25の回転にしたがって第2のシート搬送路R2から第3のシート搬送路R3へと案内され、そこで搬送ロール27の回転により反転ロール28へと送り込まれる。次に、シートは、反転ロール28にニップされたまま、反転ロール28の正回転によって第4のシート搬送路R4に取り込まれる。そして、シートの後端が第6のシート搬送路R6への分岐位置を通過すると、シートをニップしたままの状態で反転ロール28の正回転が停止する。
次いで、シートは、反転ロール28の逆回転により、それまでとは逆方向に搬送される。このとき、図示しない搬送路切り替え手段により、シートは第6のシート搬送路R6へと案内される。その後、シートは、搬送ロール32の回転により第6のシート搬送路R6に沿って搬送される。次いで、シートは、第2のシート搬送路R2との合流位置で排出ロール26に取り込まれ、この排出ロール26の回転によって排出トレイ34に排出される。
このような画像形成動作中にシートのジャムが発生すると、上述したシート搬送路R1〜R6のうち、いずれかの箇所にジャムシートが停止した状態となる。このとき、プレレジストロール20から画像転写位置を経由して排出ロール26に至る第2のシート搬送路R2(主搬送路)の途中にジャムシートが停止していた場合は、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出して第2のシート搬送路R2を上側に開放することにより、第2のシート搬送路R2からジャムシートを取り除くことができる。
また、第4のシート搬送路R4にジャムシートが停止していた場合は、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出すことで、ジャムクリアユニット38の底部と仕切板37との位置関係がユニット引き出し方向に大きくずれる。このため、第4のシート搬送路R4を形成するジャムクリアユニット37の底部が装置外部に露出した状態となる。したがって、第4のシート搬送路R4にジャムシートが停止した場合は、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出すだけで、第4のシート搬送路R4からジャムシートを取り除くことができる。
また、第5のシート搬送路R5にジャムシートが停止していた場合は、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出した後、第5のシート搬送路R5を形成する下側のシュート部材(不図示)を開いて第5のシート搬送路R5を下側に開放させることにより、第5のシート搬送路R5からジャムシートを取り除くことができる。したがって、3層構造をなすシート搬送路R2,R4,R5のいずれの箇所にジャムシートが停止した場合でも、各々のシート搬送路R2,R4,R5を適宜開放してジャムシートを取り除くことができる。このため、低コスト化や省スペース化に有利な1ユニット構造を採用しても、良好なジャムクリア性を実現することができる。
また、反転手段となる反転ロール28を、反転搬送路となる第4のシート搬送路R4の入口部分に配置しているため、反転手段で反転中に停止したジャムシートを取り除く場合に、装置本体1からジャムクリアユニット38を引き出すことで、ジャムシートが反転手段から垂れ下がった状態となる。したがって、反転搬送路からのジャムシートの除去作業が容易になる。
また、再搬送路(第5のシート搬送路R5)を形成する下側のシュート部材を兼用して反転搬送路(第4のシート搬送路R4)を形成することにより、部品点数を削減することができる。
1…装置本体、21…レジストロール、22…感光体ドラム、23…転写ロール、24…加熱定着ロール、28…反転ロール、29〜31…搬送ロール、37…仕切板、38…ジャムクリアユニット、R2…第2のシート搬送路(主搬送路)、R4…第4のシート搬送路(反転搬送路)、R5…第5のシート搬送路(再搬送路)