JP5482166B2 - 画像形成装置、制御装置、およびプログラム - Google Patents
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例えば特許文献1には、定着装置の用紙搬送方向下流側に、平板形状の搬送ガイドとその下面に複数枚のフィンを有したヒートシンクからなる冷却装置を配置し、搬送ガイドの熱をヒートシンクのフィンへ伝熱させ、フィンより空気中へ放熱させる構成が記載されている。
本発明は、一部が定着装置と冷却装置との間の領域に残留した状態で停止した用紙を取り除く際に用紙に損傷が生じることを抑制することを目的とする。
請求項3に記載の発明は、前記定着部と前記冷却部との間に配置され、前記用紙の搬送方向に関する当該用紙の先端および後端の通過を検知する検知部をさらに備え、前記認識手段は、何れかの用紙搬送路で何れかの用紙に紙詰まりが発生したことを認識することにより、当該紙詰まりの発生時が、前記検知部が前記用紙の先端の通過を検知してから予め定められた時間が経過し、かつ当該検知部が当該用紙の後端の通過を未だ検知していない時点、および、当該検知部が当該用紙の後端の通過を検知してから予め定められた時間が経過した時点の何れかに該当するか否かを判断し、当該紙詰まりの発生時が当該時点の何れかに該当すると判断した場合に、前記状態で当該用紙が停止していると認識することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記用紙移動手段は、連続して搬送される前記用紙の前記搬送方向における当該用紙相互間の間隔を、当該用紙の前記移動量の上限値として設定されたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、操作者により前記定着部の前記自装置からの取り出し操作が行われた場合に前記冷却部の当該自装置からの取り出し操作を不能にし、かつ、操作者により当該冷却部の当該自装置からの取り出し操作が行われた場合に当該定着部の当該自装置からの取り出し操作を不能にする機構をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
を実現させるためのプログラムである。
請求項10に記載の発明は、前記画像形成装置に、連続して搬送される前記用紙の前記搬送方向における当該用紙相互間の間隔を当該用紙の前記移動量の上限値として、前記用紙移動手段を制御する機能をさらに実現させるためのものであることを特徴とする請求項9記載のプログラムである。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、用紙に損傷が発生し難くなる構成をより容易に実現することができる。
請求項3の発明によれば、用紙の搬送方向先端側の一部が冷却部に進入し、かつ、用紙の搬送方向後端側の一部が定着部と冷却部との間に位置する状態を、検知部からの検知信号だけで認識することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、用紙相互に重なりが生じることを抑えることができ、双方の用紙に形成されたトナー画像に画像不良を引き起こすことを抑制することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置の姿勢が不安定となることを抑制することができる。
請求項7の発明によれば、用紙の搬送方向先端側の一部が冷却部に進入し、かつ、用紙の搬送方向後端側の一部が定着部と冷却部との間に位置する状態を、検知部からの検知信号だけで認識することができる。
請求項8の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、用紙の移動を円滑に行うことができ、用紙に損傷が発生し難くなる構成を実現し、一部が定着装置と冷却装置との間の領域に残留した状態で停止した用紙を取り除く際に、用紙に損傷が生じることを抑制することができる。
請求項9の発明によれば、用紙の搬送方向先端側の一部が冷却部に進入し、かつ、用紙の搬送方向後端側の一部が定着部と冷却部との間に位置する状態を、検知部からの検知信号だけで認識することができる。
請求項10の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、用紙相互に重なりが生じることを抑えることができ、双方の用紙に形成されたトナー画像に画像不良を引き起こすことを抑制することができる。
<画像形成装置の説明>
図1は本実施の形態に係る定着装置(定着ユニット)60が適用される画像形成装置1の構成例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂「タンデム型」のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作制御や例えばパーソナルコンピュータ(PC)等との通信、画像データに対して行う画像処理等を実行する主制御部50と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部90と、を備えている。
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、並列的に配置される6つの画像形成ユニット11C,11M,11HC,11HM,11Y,11K(以下、「画像形成ユニット11」)を備えている。各画像形成ユニット11は、機能部材として、例えば、静電潜像が形成され、その後に各色トナー像が形成される感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器13と、帯電器13により帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16と、を備えている。
各画像形成ユニット11の現像器15各々は、各色トナーを貯蔵するトナー容器17C,17M,17HC,17HM,17Y,17K(以下、「トナー容器17」)とトナー搬送路(不図示)で連結されている。そして、トナー搬送路中に設けられた補給用スクリュー(不図示)によりトナー容器17から現像器15に各色トナーが補給されるように構成されている。
加えて、画像形成部10は、定着ユニット60にて用紙上に定着された各色トナー像を冷却し、用紙上への各色トナー像の定着を促進する冷却部の一例としての冷却ユニット80と、用紙の曲がり(カール)を矯正するカール矯正ユニット85と、を備えている。
なお、本実施の形態の画像形成装置1では、画像形成ユニット11、中間転写ベルト20、一次転写ロール21、および二次転写ロール22によりトナー像形成手段が構成される。また、二次転写ロール22が配置され、中間転写ベルト20上の各色トナー像が用紙に二次転写される領域を、以下、「二次転写領域Tr」という。
また、画像形成部10は、用紙搬送系として、用紙を収容する複数(本実施の形態では2個)の用紙収容容器40A,40Bと、この用紙収容容器40A,40Bに収容された用紙を繰り出して搬送する繰出しロール41A,41Bと、用紙収容容器40Aからの用紙を搬送する第1搬送路R1と、用紙収容容器40Bからの用紙を搬送する第2搬送路R2と、を備えている。さらに、画像形成部10は、用紙収容容器40Aおよび用紙収容容器40Bからの用紙を二次転写領域Trに向けて搬送する第3搬送路R3と、を備えている。加えて、画像形成部10は、二次転写領域Trにて各色トナー像が転写された用紙を定着ユニット60、冷却ユニット80、およびカール矯正ユニット85を通過するように搬送する第4搬送路R4と、カール矯正ユニット85からの用紙を画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部44に向けて搬送する第5搬送路R5と、を備えている。
第1搬送路R1から第5搬送路R5は、それぞれに沿って搬送ロールや搬送ベルトが配置され、送られてくる用紙を順次、搬送する。
また、画像形成部10は、両面搬送系として、定着ユニット60で第1面に各色トナー像が定着された用紙を一旦保持する中間用紙収容容器42と、カール矯正ユニット85からの用紙を中間用紙収容容器42に向けて搬送する第6搬送路R6と、中間用紙収容容器42に収容された用紙を上記の第3搬送路R3に向けて搬送する第7搬送路R7と、を備えている。さらに、画像形成部10は、カール矯正ユニット85の用紙搬送方向下流側に配置され、用紙を用紙積載部44に向けて搬送する第5搬送路R5と中間用紙収容容器42に搬送する第6搬送路R6とに選択的に振り分ける振分機構部43と、中間用紙収容容器42に収容された用紙を繰り出して第7搬送路R7に向けて搬送する繰出しロール45と、を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1での基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成部10の画像形成ユニット11各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりC色,M色,HC色,HM色,Y色,K色の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に一次転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印方向)に伴って二次転写ロール22が配置された二次転写領域Trに搬送される。
二次転写領域Trでは、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された合成トナー像が用紙に一括して二次転写される。
なお、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、およびベルトクリーナ26によって除去される。
二次転写領域Trでは、第1面の場合と同様にして、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された第2面の各色トナー像が用紙に一括して二次転写される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
次に、本実施の形態の画像形成装置1に用いられる定着ユニット60について説明する。
図2は、本実施の形態の定着ユニット60の構成を説明するための断面構成図である。この定着ユニット60は、用紙を加熱する定着ベルトモジュール61と、定着ベルトモジュール61に対して接離自在に構成された加圧ロール62とで主要部が構成されている。
定着ベルトモジュール61は、定着ベルト610と、定着ベルト610を張架しながら回転動作し、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接(互いに押圧されながら接触)する領域であるニップ部Nにて定着ベルト610を内側から加熱する定着ロール611と、定着ベルト610を内側から張架しながら定着ベルト610を加熱する内部加熱ロール612、定着ベルト610を外側から張架しながら定着ベルト610を加熱する外部加熱ロール613と、を備えている。また、定着ベルトモジュール61は、定着ロール611と内部加熱ロール612との間(ニップ部Nの上流側)で定着ベルト610を張架する張架ロール614と、ニップ部N内の下流側領域であって定着ロール610の近傍位置に配置された剥離パッド64と、ニップ部Nの下流側において定着ベルト610を張架する張架ロール615と、を備えている。
定着ロール611は、例えばアルミニウムやSUSで形成された円筒状ロールであり、図示しない駆動モータからの回転駆動力を受けて、図中矢印方向に回転する。そして、定着ロール611の内部に配置された加熱源としての例えば3本のハロゲンヒータ71により、定着ロール611は予め定められた温度(例えば、150℃)に加熱される。
また、内部加熱ロール612は、その両端部に定着ベルト610を内側から外側に向けて押圧するバネ部材(不図示)が配置され、定着ベルト610全体の張力を例えば15kgfに設定している。
さらには、内部加熱ロール612には、定着ベルト610の蛇行(ベルトウォーク)を制御するための機構が設けられている。すなわち、内部加熱ロール612の近傍には、定着ベルト610の端部位置(エッジ位置)を検知するベルトエッジ位置検知機構(不図示)が配置されている。また、内部加熱ロール612には、内部加熱ロール612の一方の端部を内部加熱ロール612の軸方向と直行する方向に変位させる変位機構(不図示)が設けられている。そして、この変位機構は、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて内部加熱ロール612の一方の端部を変位させることで定着ベルト610を内部加熱ロール612の軸方向に変位させる。それにより、定着ベルト610のベルトウォークを制御している。
このように、本実施の形態の定着ユニット60では、定着ロール611と内部加熱ロール612と外部加熱ロール613とによって定着ベルト610が加熱される構成を採用している。
次に、本実施の形態の定着ユニット60での定着動作について説明する。
画像形成装置1の二次転写領域Tr(図1参照)において合成トナー像(未定着トナー像)が静電転写された用紙は、第4搬送路R4(図1参照)に沿って定着ユニット60のニップ部N(図2参照)に向けて搬送される。そして、ニップ部Nを通過する用紙表面の未定着トナー像は、主としてロールニップ部N1に作用する圧力と熱とにより用紙に定着される。
その結果、本実施の形態の定着ユニット60では、高速で連続通紙されても定着温度が略一定に維持される。また、高速での定着動作の開始時に定着温度が落ち込む現象(所謂「温度ドループ現象」)の発生が抑制される。特に、熱容量の大きな厚紙等に対する定着においても、定着温度の維持および温度ドループの発生が抑制され、さらには、紙種に対応させて定着温度を途中で切り替える(定着温度のアップおよびダウンの双方を含む。)必要がある場合にも、定着ベルト610は熱容量が小さいので、ハロゲンヒータ71、さらにはハロゲンヒータ72、ハロゲンヒータ73の出力調整により、温度の切り替えを容易としている。
そのため、ロールニップ部N1において定着ロール611の曲率のもとで加熱加圧された用紙は、剥離パッドニップ部N2において加圧ロール62による相反する方向に向いた曲率に進行方向が変化させられる。その際に、用紙上のトナー像と定着ベルト610表面との間で微小なマイクロスリップが生じる。それによって、トナー像と定着ベルト610との付着力が弱められ、用紙は定着ベルト610から剥離され易い状態が形成される。このように、剥離パッドニップ部N2は、最終の剥離工程で確実に剥離が行なわれるための準備工程にも位置付けられる。
次に、画像形成装置1内の用紙搬送系および両面搬送系の何れかの用紙搬送路中において紙詰まりが生じ、定着ユニット60と冷却ユニット80との間に用紙の一部が残留した状態で用紙が停止された場合について説明する。
本実施の形態の画像形成装置1では、用紙搬送系および両面搬送系の複数箇所に用紙の通過を検知する検知部の一例としての用紙検知センサを配置し、主制御部50が常時、用紙検知センサからの検知信号に基づいて用紙搬送系および両面搬送系での用紙の通過状況を監視している。そして、主制御部50は、用紙搬送系および両面搬送系の何れかの用紙搬送路中において紙詰まり(以下、「ジャム」)が発生したと認識した場合には、用紙搬送系および両面搬送系すべての用紙搬送動作を直ちに停止させる。その際に、本実施の形態の主制御部50は、定着ユニット60と冷却ユニット80との間に配置した定着後用紙検知センサ70(次段の図3参照)からの検知信号に基づき、冷却ユニット80に用紙の先端側の一部が進入しており、かつ定着ユニット60と冷却ユニット80との間に用紙の後端側の一部が残留した状態で、用紙が停止しているか否かを判断する。そして、この状態で用紙が停止していると認識した場合には、主制御部50は、冷却ユニット80の動作を制御し、定着ユニット60の筐体の側部壁等によって用紙の取り除きが阻害されない位置まで用紙を冷却ユニット80側に移動させる。このように、主制御部50は、冷却ユニット80に用紙の先端側の一部が進入しており、かつ定着ユニット60と冷却ユニット80との間に用紙の後端側の一部が残留した状態で用紙が停止していることを認識する認識手段の一例として機能する。
また、定着ユニット60の下流側に位置する冷却ユニット80は、図3に示したように、用紙の上下面を挟みながら搬送する搬送ベルト81,82、外部に設けられたファンからの送風を受けて搬送ベルト81,82を冷却する複数のフィンからなるヒートシンク83、さらには搬送ベルト81,82それぞれを張架しながら回転移動させる複数の張架ロール等を備える。そのため、冷却ユニット80も、定着ユニット60と同様に重量が大きい。
そのため、本実施の形態の画像形成装置1においては、定着ユニット60および冷却ユニット80の双方を同時に引き出すことができない機構(不図示)が組み込まれている。すなわち、本実施の形態の画像形成装置1において定着ユニット60をZ1方向に引き出す操作を行うと、冷却ユニット80をZ2方向に引き出す操作ができない。また、冷却ユニット80をZ2方向に引き出す操作を行うと、定着ユニット60をZ1方向に引き出す操作ができない。
また、この状態で定着ユニット60を引き出すとすると、定着ユニット60が引き出し方向(Z1方向)に移動する際に、例えば定着ユニット60の筐体の引き出し方向とは反対側の側部壁等が、定着ユニット60と冷却ユニット80との間に残留している用紙部分に損傷を与える場合がある。
そのため、本実施の形態の主制御部50は、用紙の先端側の一部が冷却ユニット80に進入し、かつ定着ユニット60と冷却ユニット80との間に用紙の後端側の一部が残留している場合には、例えば冷却ユニット80を引き出すと用紙に損傷が発生するものと想定する。そして、制御手段としても機能する主制御部50は、用紙移動手段としても機能する冷却ユニット80の動作を制御し、定着ユニット60の筐体の側部壁等によって用紙の取り除きが阻害されない位置まで用紙を冷却ユニット80側に移動させる。その場合の用紙の移動量は、例えば連続的に搬送された用紙が相互に重ならないように、連続搬送時に設定される用紙間の間隔が用紙の移動量の上限値として設定される。また、その場合の用紙の搬送速度は、ジャム発生時に設定していたプロセス速度と同じ速度であってもよいし、異なる速度であってもよい。
主制御部50は、例えば冷却ユニット80を引き出すことで用紙に損傷が発生すると想定される用紙の停止位置を、定着ユニット60と冷却ユニット80との間に配置した定着後用紙検知センサ70からの検知信号に基づき判断している。
すなわち、主制御部50は、(1)用紙の先端が通過することで定着後用紙検知センサ70がオンされた時点からの時間が予め定められた時間以上を経過し、かつ、未だ用紙の後端が通過していないために定着後用紙検知センサ70がオフされていない時点において、用紙搬送系および両面搬送系の何れかの用紙搬送路中においてジャムの発生を検知した場合、および、(2)用紙の後端が通過することで定着後用紙検知センサ70がオフされた時点からの時間が予め定められた時間以内の時点において、用紙搬送系および両面搬送系の何れかの用紙搬送路中においてジャムの発生を検知した場合の何れかにおいては、例えば冷却ユニット80を引き出すと、用紙に損傷が発生すると想定される位置に用紙が停止していると認識する。それにより、主制御部50は、定着後用紙検知センサ70からの検知信号がこの(1)および(2)の2つの条件の何れかに一致する場合には、冷却ユニット80に対して用紙を冷却ユニット80側に予め定められた距離だけ移動させる制御を行う。
図4に示したように、用紙の先端Pinが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点から予め定められた時間以上を経過すると、用紙の先端Pinを含む用紙の一部が冷却ユニット80の搬送ベルト81,82に上下面を挟まれた状態となる。またその時点で、用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過していないので、用紙の後端Poutを含む用紙の一部は、定着後用紙検知センサ70よりも定着ユニット60側に位置している。そのため、この時点でジャムが発生すると、用紙の先端Pinを含む用紙の一部が冷却ユニット80の搬送ベルト81,82に上下面を挟まれ、かつ、用紙の後端Poutを含む用紙の一部が定着後用紙検知センサ70よりも定着ユニット60側に位置して、用紙は停止する。なお、図4では、用紙の後端Poutが定着ユニット60から搬出された位置にある状態で示したが、用紙の後端Poutが定着ユニット60を通過中である場合もある。
なお、用紙の先端Pinが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点から予め定められた時間以内では、未だ定着ユニット60を通過中の部分が用紙全体の中で大きな部分を占める。それにより、この状態で用紙の後端Pout側を定着ユニット60の筐体の側部壁77等によってその移動が阻まれない位置まで冷却ユニット80側に移動させるとすると、例えば冷却ユニット80内やカール矯正ユニット85内において移動対象となる用紙以前に搬送されている用紙との重なり等が生じ、双方の用紙に形成されたトナー画像に画像乱れ等の画像不良を引き起こすおそれがある。そのため、この状態では用紙を定着ユニット60の筐体の側部壁77等によってその移動が阻まれない位置まで冷却ユニット80側に移動させる動作は行わない。
図5に示したように、用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点から予め定められた時間以内では、用紙の後端Poutを含む用紙の一部は、定着ユニット60と冷却ユニット80との間であって定着ユニット60の筐体の側部壁77等に干渉する位置に停止している。また、この場合も、用紙の先端Pinを含む用紙の一部は、冷却ユニット80の搬送ベルト81,82に上下面を挟まれた位置に停止している。そのため、この時点でジャムが発生すると、用紙の先端Pinを含む用紙の一部が冷却ユニット80の搬送ベルト81,82に上下面を挟まれ、かつ、用紙の後端Poutを含む用紙の一部が定着ユニット60の筐体の側部壁77等と並ぶ位置において、用紙は停止する。
なお、用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点から予め定められた時間を経過すると、用紙の後端Poutを含む用紙全体が定着ユニット60の筐体の側部壁77等によってその移動が阻まれる位置を通過する。そのため、この状態では用紙を定着ユニット60の筐体の側部壁77等によってその移動が阻まれない位置まで冷却ユニット80側に移動させる動作は行わない。
ところで、本実施の形態の画像形成装置1においては、定着性能を高める観点から、画像形成時に使用する用紙の種類(例えば、用紙の厚さ)等に応じて、画像形成装置1のプロセス速度を変更するように構成されている。例えば、用紙の厚さが厚いほどプロセス速度を遅く設定して、熱容量の比較的大きな厚紙等を使用した場合の定着性能を高めている。また、例えば用紙の厚さが薄いほどプロセス速度を速く設定して、熱容量の比較的小さな普通紙等を使用した場合に、定着性能の低下を抑えながら生産性の向上を図っている。
このように複数のプロセス速度の中から用紙の種類等に応じてプロセス速度を選択して設定する構成では、単位時間当たりの用紙の搬送距離が異なる。それにより、定着ユニット60と冷却ユニット80との間における用紙に損傷が発生すると想定される位置に用紙が停止していると主制御部50が判断する時間、すなわち用紙の先端Pinが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点からの時間(第1の時間T1)と、用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点からの時間(第2の時間T2)とは、プロセス速度に対応させて異なる時間に設定されている。そして、主制御部50は、ジャム発生時に設定していたプロセス速度に応じて、上記した(1)および(2)の2つの条件の何れかに一致するかを判断する。
例えば、主制御部50は、ジャム発生時に設定していたプロセス速度がPS2(mm/s)であった場合には、図6に示したテーブルを記憶するNVMから第1の時間T1としてT1_2(ms)、第2の時間T2としてT2_2(ms)を読み出す。そして、用紙の先端Pinが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点から時間T1_2(ms)以上を経過し、かつ用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過していない時点でジャムが発生したか(上記(1)の場合)、または、用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した時点から時間T2_2(ms)以内にジャムが発生したか(上記(2)の場合)、の何れかに一致するか否かを判断する。これらの何れかに一致する場合には、主制御部50は、冷却ユニット80の動作を制御し、用紙を定着ユニット60の筐体の側部壁77等によってその移動が阻まれない位置まで冷却ユニット80側に移動させる。
次に、紙詰まり(ジャム)が発生した際に主制御部50が行う処理について説明する。
図7は、ジャムが発生した際に主制御部50が行う処理の内容の一例を示したフローチャートである。
図7に示したように、主制御部50は、用紙搬送系および両面搬送系(第1搬送路R1〜第7搬送路R7)の何れかの用紙搬送路におけるジャムの発生を監視する(S101)。主制御部50は、何れかの用紙搬送路でジャムが発生したと判断した場合には(S101でYes)、用紙搬送系および両面搬送系すべての用紙搬送動作を停止させる(S102)。
続いて、取得手段としても機能する主制御部50は、定着ユニット60と冷却ユニット80との間に配置した定着後用紙検知センサ70から検知信号を取得する(S104)。そして、取得した検知信号を解析し、用紙の先端Pinが定着後用紙検知センサ70を通過した時点からジャム発生時までの経過時間Tinが第1の時間T1の経過時または第1の時間T1を経過した後であるか否かを判断する(S105)。用紙の先端Pinが定着後用紙検知センサ70を通過した時点から第1の時間T1を経過する前にジャムが発生した場合には(S105でNo)、主制御部50は、ステップ107以降の処理を行う。
一方、主制御部50は、用紙の先端Pinが定着後用紙検知センサ70を通過した時点から第1の時間T1の経過時または第1の時間T1を経過した後にジャムが発生した場合には(S105でYes)、用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過する前にジャムが発生したか否かを判断する(S106)。用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過した以後にジャムが発生した場合には(S106でNo)、主制御部50は、ステップ107以降の処理を行う。また、用紙の後端Poutが定着後用紙検知センサ70の配置位置を通過する前にジャムが発生した場合には(S106でYes)、主制御部50は、冷却ユニット80の動作を制御し、用紙を定着ユニット60の筐体の側部壁77等によってその移動が阻まれない位置まで冷却ユニット80側に移動させる(S108)。
次の図8は、ジャムが発生した際の処理を行う主制御部50の内部構成を示すブロック図である。図8に示したように、主制御部50は、ジャムが発生した際の処理を実行するに際して、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行するCPU501、CPU501の作業用メモリ等として用いられるRAM502、CPU501での処理に使用される各種設定値等が格納されるROM503、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(NVM)504、画像形成部10やUI部90等の各構成部との信号の入出力を制御するインターフェース(I/F)505を備えている。
そして、CPU501が、処理プログラムを外部記憶部(不図示)から主記憶装置(RAM502)に読み込み、主制御部50内の機能を実現させる。
本実施の形態の画像形成装置1においては、定着ユニット60の筐体78の側部壁77の冷却ユニット80側の位置に、定着ユニット60と冷却ユニット80との間に残留している用紙部分の引き出しが円滑に行われるように、用紙誘導部材76を配置している。
図9は、定着ユニット60に設けられた用紙誘導部材76を説明する図である。図9に示すように、定着ユニット60の筐体78の引き出し方向(図3のZ1方向も参照)側を構成する側部壁77には、冷却ユニット80側にて用紙搬送路(第4搬送路R4)に並行して用紙誘導部材76が配置されている。そして、用紙誘導部材76には、用紙が停止している用紙搬送路(第4搬送路R4:画像形成装置1内部)から引き出し方向(Z2方向:画像形成装置1外部)に向かって鉛直上方(図9の紙面の上方)に向けて傾斜する傾斜面76aが形成されている。この傾斜面76aは、第4搬送路R4を搬送される用紙を冷却ユニット80に向けて誘導するガイド部材75から、側部壁77の高さ位置76bまたはこの高さ位置76bを越える位置まで連なる段差のない滑らかな平面または曲面で形成されている。それにより、用紙の後端Poutが用紙誘導部材76の最も定着ユニット60側の位置Kよりも冷却ユニット80側に位置して停止している場合には、用紙が冷却ユニット80に伴われて引き出し方向(Z2方向)に移動するに際し、この傾斜面76aを通過することとなるので、用紙の移動が側部壁77によって阻害されることがない。そのため、用紙には側部壁77との接触に起因する破れやしわ等の損傷が発生し難くなる。
このように、本実施の形態では、用紙を移動させる際の移動量として、例えば用紙が連続的に搬送される際の用紙間の間隔を上限値とし、用紙の後端Poutが用紙誘導部材76の最も定着ユニット60側の位置Kよりも冷却ユニット80側に位置するまでの移動量を下限値として設定している。それにより、用紙相互の重なりにより、双方の用紙に形成されたトナー画像に画像乱れ等の画像不良を引き起こすことを抑制している。また、用紙が冷却ユニット80に伴われて引き出し方向(Z2方向)に移動するに際しては、用紙誘導部材76の傾斜面76aを通過することとなるので、用紙に損傷が発生するのを抑制している。
この場合には、図10に示すように、用紙の後端Poutが定着ユニット60の筐体78の側部壁77によってその移動が阻まれることにより、用紙の後端Poutには折れじわ(図10のQ)等の損傷が発生し易い。
また、次の図11は、用紙の後端Poutが用紙誘導部材76の最も定着ユニット60側の位置Kよりも冷却ユニット80側に位置している場合に、用紙が冷却ユニット80に伴われて引き出し方向(Z2方向)に移動した場合を示した図である。
この場合には、図11に示すように、用紙の後端Poutが用紙誘導部材76の傾斜面76aによって円滑に誘導されるので、用紙の後端Poutに損傷が発生し難い。
Claims (10)
- 用紙上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段にて形成された前記トナー像を前記用紙に定着する定着部と、
前記定着部にて前記トナー像が定着された前記用紙を冷却する冷却部と、
前記用紙の搬送方向先端側の一部が前記冷却部に進入し、かつ、当該用紙の搬送方向後端側の一部が前記定着部と当該冷却部との間に位置する状態で当該用紙が停止していることを認識する認識手段と、
前記定着部と前記冷却部との間に配置され、前記用紙を自装置内部から自装置外部に誘導する用紙誘導部と、
前記認識手段が前記状態で前記用紙が停止していることを認識することにより、自装置から前記冷却部を引き出すことで行われる当該用紙の除去が前記定着部に起因して阻害されることのない位置まで当該用紙を前記冷却部側に移動させる用紙移動手段と
を備え、
前記用紙移動手段は、前記用紙の後端が前記用紙誘導部の前記定着部側端部よりも当該用紙の搬送方向下流側に移動するまでの移動量を、当該用紙の当該移動量の下限値として設定されたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記用紙誘導部は、前記用紙を誘導する傾斜面を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記定着部と前記冷却部との間に配置され、前記用紙の搬送方向に関する当該用紙の先端および後端の通過を検知する検知部をさらに備え、
前記認識手段は、何れかの用紙搬送路で何れかの用紙に紙詰まりが発生したことを認識することにより、当該紙詰まりの発生時が、前記検知部が前記用紙の先端の通過を検知してから予め定められた時間が経過し、かつ当該検知部が当該用紙の後端の通過を未だ検知していない時点、および、当該検知部が当該用紙の後端の通過を検知してから予め定められた時間が経過した時点の何れかに該当するか否かを判断し、当該紙詰まりの発生時が当該時点の何れかに該当すると判断した場合に、前記状態で当該用紙が停止していると認識することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記用紙移動手段は、連続して搬送される前記用紙の前記搬送方向における当該用紙相互間の間隔を、当該用紙の前記移動量の上限値として設定されたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 操作者により前記定着部の前記自装置からの取り出し操作が行われた場合に前記冷却部の当該自装置からの取り出し操作を不能にし、かつ、操作者により当該冷却部の当該自装置からの取り出し操作が行われた場合に当該定着部の当該自装置からの取り出し操作を不能にする機構をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- トナー像を用紙に定着する定着部と当該定着部にて当該トナー像が定着された当該用紙を冷却する冷却部と当該定着部および当該冷却部を収容する装置本体とを含む画像形成装置を制御する制御装置であって
前記装置本体にて、前記トナー像が定着された前記用紙の搬送方向先端側の一部が前記冷却部に進入し、かつ、当該用紙の搬送方向後端側の一部が前記定着部と当該冷却部との間に位置する状態で当該用紙が停止していることを認識する認識手段と、
前記認識手段が前記状態で前記用紙が停止していることを認識することにより、当該用紙を移動させる用紙移動手段を、前記装置本体から前記冷却部を引き出すことで行われる当該用紙の除去が前記定着部に起因して阻害されることのない位置まで当該用紙を前記冷却部側に移動させるように制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記用紙の後端が、前記定着部と前記冷却部との間に配置されるとともに当該用紙を前記装置本体の内部から当該装置本体の外部に誘導する用紙誘導部の当該定着部側端部よりも当該用紙の搬送方向下流側に移動するまでの移動量を、当該用紙の当該移動量の下限値として前記用紙移動手段を制御することを特徴とする制御装置。 - 前記定着部と前記冷却部との間に配置され、前記用紙の搬送方向に関する当該用紙の先端および後端の通過を検知する検知部からの検知信号を取得する取得手段をさらに備え、
前記認識手段は、何れかの用紙搬送路で何れかの用紙に紙詰まりが発生したことを認識することにより、当該紙詰まりの発生時が、前記取得手段での前記用紙の先端の通過を示す前記検知信号の取得から予め定められた時間が経過し、かつ当該取得手段での当該用紙の後端の通過を示す当該検知信号を未だ検知していない時点、および、当該取得手段での当該用紙の後端の通過を示す当該検知信号の取得から予め定められた時間が経過した時点の何れかに該当するか否かを判断し、当該紙詰まりの発生時が当該時点の何れかに該当すると判断した場合に、前記状態で当該用紙が停止していると認識することを特徴とする請求項6記載の制御装置。 - トナー像を用紙に定着する定着部と当該定着部にて当該トナー像が定着された当該用紙を冷却する冷却部と当該定着部および当該冷却部を収容する装置本体とを含む画像形成装置で用いられるプログラムであって、
前記トナー像が定着された前記用紙の搬送方向先端側の一部が前記冷却部に進入し、かつ、当該用紙の搬送方向後端側の一部が前記定着部と当該冷却部との間に位置する状態で当該用紙が停止していることを認識する機能と、
前記状態で前記用紙が停止していることを認識することにより、当該用紙を移動させる用紙移動手段を、前記装置本体から前記冷却部を引き出すことで行われる当該用紙の除去が前記定着部に起因して阻害されることのない位置まで当該用紙を前記冷却部側に移動させるように制御する機能と、
前記用紙の後端が、前記定着部と前記冷却部との間に配置されるとともに当該用紙を前記装置本体の内部から当該装置本体の外部に誘導する用紙誘導部の当該定着部側端部よりも当該用紙の搬送方向下流側に移動するまでの移動量を、当該用紙の当該移動量の下限値として前記用紙移動手段を制御する機能と
を実現させるためのプログラム。 - 前記画像形成装置に、
前記定着部と前記冷却部との間に配置され、前記用紙の搬送方向に関する当該用紙の先端および後端の通過を検知する検知部からの検知信号を取得する機能と、
何れかの用紙搬送路で何れかの用紙に紙詰まりが発生したことを認識する機能と、
前記紙詰まりの発生時が、前記用紙の先端の通過を示す前記検知信号の取得から予め定められた時間が経過し、かつ当該用紙の後端の通過を示す当該検知信号を未だ検知していない時点、および、当該用紙の後端の通過を示す当該検知信号の取得から予め定められた時間が経過した時点の何れかに該当するか否かを判断する機能と、
前記紙詰まりの発生時が前記時点の何れかに該当すると判断した場合に、前記状態で前記用紙が停止していると認識する機能と
をさらに実現させるためのものであることを特徴とする請求項8記載のプログラム。 - 前記画像形成装置に、
連続して搬送される前記用紙の前記搬送方向における当該用紙相互間の間隔を当該用紙の前記移動量の上限値として、前記用紙移動手段を制御する機能をさらに実現させるためのものであることを特徴とする請求項9記載のプログラム。
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