JP4760331B2 - 後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車輌の車輪懸架装置に組み込まれたショックアブソーバに係り、特に4室のフリーピストン式シリンダ−ピストン装置を備え、一対の後輪のショックアブソーバが一対の前輪のショックアブソーバに対しクロスした関係にてシリンダ−ピストン装置に連結されている後輪クロス連結型のショックアブソーバシステムに関する改良に係わる。
左右一対の前輪および左右一対の後輪を有する4輪自動車等の車輌に於いて、各輪をそれぞれがショックアブソーバを組み込んだ車輪懸架装置により車体に懸架することは、この技術の分野に於いては周知である。また、そのような4つのショックアブソーバに段付きフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置を組み合わせ、一対の前輪に対する左右のショックアブソーバの作動油圧をフリーピストンの両側に作用させて互いに対向させ、これに重ねて同じフリーピストンの両側に一対の後輪に対する左右のショックアブソーバの作動油圧を作用させて互いに対向させること、或は一対の前輪に対する左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と一対の後輪に対する左右のショックアブソーバのうちの同じ一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する同じ他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とをフリーピストンにより対向させること、或は4つのショックアブソーバの作動油圧の対向状態を、平行連通状態と交叉連通状態の間に切り換わる切換弁により、車輌の運転状態に応じて上記2つのモードの間で切り換えることが、下記の特許文献1に記載されている。
特開2004-322755
4輪車が左折或は右折する如く操舵により旋回して進行方向を変えるとき、旋回の前期に於いては車体の前輪部が後輪部に比してより大きな角速度にて偏向し、旋回の後期の於いては車体の後輪部が前輪部に比してより大きな角速度にて偏向するので、旋回の前期に於いては車体の前輪部に作用する旋回外側への遠心力は車体の後輪部に作用する旋回外側への遠心力より大きく、旋回の後期に於いては車体の後輪部に作用する旋回外側への遠心力が車体の前輪部に作用する旋回外側への遠心力より大きくなる。従って、旋回に伴う車体の旋回外側へのロール傾動により左右一対の車輪間に生ずる接地荷重の旋回外側への偏りは、旋回の前期に於いては前輪に於いて後輪に於けるより大きく、旋回の後期に於いては後輪に於いて前輪に於けるより大きくなる。
従って、4輪車に上記の如く一対の前輪に対する左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と一対の後輪に対する左右のショックアブソーバのうちの同じ一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する同じ他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とをフリーピストンにより対向させた後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムが備えられていると、シリンダ−ピストン装置のフリーピストンに作用する左右一対の車輪間の接地荷重の差に基づく差圧は、旋回の前期には前輪に於いて後輪に於けるより大きく、旋回の後期には後輪に於いて前輪に於けるより大きくなる。従って、前輪ショックアブソーバ作動油圧に対するシリンダ−ピストン装置の受圧面積と後輪ショックアブソーバ作動油圧に対するシリンダ−ピストン装置の受圧面積とがほぼ等しいとすると、フリーピストンは、旋回の前期には旋回の外側より内側へ向かう第一の方向へ変位し、旋回の後期には前記第一の方向とは反対の第二の方向へ変位する。
ところで、路面に対する車輪のグリップを左右する車輪のコーナリングフォースは、左右の車輪間に於ける接地荷重の移動により影響される。即ち、コーナリングフォースは接地荷重の増加に応じて増加するが、車輪の接地荷重の増加に対するコーナリングフォースの増加は、図4に示す如く、飽和へ向けて上方へ凸型に湾曲する非線形特性を呈するので、左右の車輪間の接地荷重の配分が50:50の均等状態からより大きく偏倚するにつれて、左右の車輪のコーナリングフォースの合計はより小さくなる。図には、旋回時の旋回内側と旋回外側の接地荷重の割合が50:50より:40:60、30:70、20:80へと次第に旋回外側へ偏倚して行くに連れて左右両輪のコーナリングフォースの合計が次第に低下していく状態を示す。4輪車は、旋回時に、後輪のコーナリングフォースが大きいとアンダーステア傾向を呈し、後輪のコーナリングフォースが小さいとオーバーステア傾向を呈する。
本発明は、車輌の左折や右折の如き操舵による旋回時に、旋回の前期から後期にかけて、前後左右の車輪間での接地荷重の移動に関連して後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムのシリンダ−ピストン装置に於けるフリーピストンがそれに掛かるショックアブソーバ作動油圧差の変遷により左右に往復動することと、左右の後輪間での接地荷重の移動がもたらすアンダーステア/オーバーステア傾向とに着目して、車輌の操舵による旋回特性を制御することを課題としている。
上記の課題を解決するものとして、本発明は、左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、前記一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と前記一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置とを含む後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムを有する車輌にして、車輌旋回時のアンダーステア状態またはオーバーステア状態に応じて旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバと前記シリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路に設けられた絞り弁の絞り度が増大されまたは低減されることにより、旋回の前期に旋回外側の前輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の前輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置より旋回外側の後輪のショックアブソーバへ移転したショックアブソーバ作動油が旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の後輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置へ戻る流れに対する抵抗が増大または低減され、これによって旋回の後期に於ける旋回内側の後輪より旋回外側の後輪への車輪接地荷重の移転の度合が大きくまたは小さくされるようになっていることを特徴とする車輌を提案するものである。
上記の如く、左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置とを含む後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムを有する車輌に於いて、車輌旋回時のアンダーステア状態またはオーバーステア状態に応じて旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバとシリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路に設けられた絞り弁の絞り度が増大されまたは低減されるようになっていれば、旋回の前期に旋回外側の前輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の前輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置より旋回外側の後輪のショックアブソーバへ移転したショックアブソーバ作動油が旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の後輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置へ戻ろうとするとき、左右の後輪ショックアブソーバとシリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路に従来より設けられている絞り弁をそのまま用いて旋回外側の後輪のショックアブソーバから前記シリンダ−ピストン装置へ戻る流れに対する抵抗を増大または低減させ、旋回の後期に於ける旋回内側の後輪より旋回外側の後輪への接地荷重の移動を増大させまたは低減させ、旋回時のアンダーステア傾向またはオーバーステア傾向を抑制することができる。
即ち、上記の如き後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムのシリンダ−ピストン装置に於いて、旋回の前期に旋回外側より旋回内側へ向かう第一の方向へフリーピストンが変位したときシリンダより旋回外側後輪のショックアブソーバへ向けて押し出された作動油が、旋回の後期にフリーピストンを前記第一の方向と反対の第二の方向へ変位させてシリンダへ戻ろうとするとき、旋回外側後輪のショックアブソーバとシリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路の絞り度が増大されれば、その戻りが抑制される分、車体の後輪部が遠心力により旋回外側へ向けて付勢されることによる旋回外側後輪の旋回内側後輪に比しての接地荷重の増大はより大きくなり、旋回内側後輪より旋回外側後輪への接地荷重のより大きな移動が生ずる。これは後輪のコーナリングフォースを減じて車輌の旋回を促し、アンダーステア傾向を抑制する。また逆に、このとき旋回外側後輪のショックアブソーバとシリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路の絞り度が低減されれば、車体の後輪部が遠心力により旋回外側へ向けて付勢されることによる旋回外側後輪の旋回内側後輪に比しての接地荷重の増大はより小さくなり、旋回内側後輪より旋回外側後輪への接地荷重の移動はより小さくなる。これは後輪のコーナリングフォースを増大させて車輌のオーバーステア傾向を抑制する。
図1は、本発明による車輌の一つの実施の形態を本発明に係る構成の要部について示す概略図である。但し、本発明は、ショックアブソーバの制御に関するソフトウェア的事項を発明の要旨とするものであり、図1に現れている構成自身は公知のものである。
図1に於いて、10fl,10fr,10rl,10rrはそれぞれ左前輪、右前輪、左後輪、右後輪であり、各車輪はそれぞれサスペンションアーム12fl,12fr,12rl,12rrにより車体14に対し上下に変位可能に懸架されており、それぞれショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrによりその車体に対する上下の変位が緩衝されるようになっている。尚、図には示されていないが、この技術の分野に於いては周知の通り、サスペンションアーム12fl,12fr,12rl,12rrには、ショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrに並列に配置されたサスペンションスプリングも作用しており、各車輪はサスペンションスプリングとショックアブソーバの並列組合せにより車体に対し懸架されている。
ショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrにはそれぞれ油路18fl,18fr,18rl,18rrが接続されており、これらの油路にはそれぞれ蓄圧室20fl,20fr,20rl,20rr、絞り弁22fl,22fr,22rl,22rr、圧力センサ24fl,24fr,24rl,24rrが接続されている。
26はマイクロコンピュータを備えた車輌の電子制御装置(ECU)であり、本発明に係る制御だけでなく、車輌の自動制御に関する種々の演算を行う電子頭脳である。電子制御装置26には、圧力センサ24fl,24fr,24rl,24rrよりショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrの各々の作動油圧Pfl,Pfr,Prl,Prrを示す信号、操舵角センサ28により検出された操舵角を示す信号、図には示されていない車速センサ、前後加速度センサ、横加速度センサ、ヨーレートセンサより車速、前後加速度、横加速度、ヨーレートを示す信号が送られる他、電子制御装置26による車輌の自動制御のために必要なその他の種々の信号がそれらの信号発生装置より送られるようになっている。
ショックアブソーバ16flの作動油圧は油路18flを経てシリンダ30とフリーピストン32を備えたシリンダ−ピストン装置34の油圧室36flに導入され、ショックアブソーバ16frの作動油圧は油路18frを経てシリンダ−ピストン装置34の油圧室36frに導入され、ショックアブソーバ16rlの作動油圧は油路18rlを経てシリンダ−ピストン装置34の油圧室36rlに導入され、ショックアブソーバ16rrの作動油圧は油路18rrを経てシリンダ−ピストン装置34の油圧室36rrに導入されている。
シリンダ−ピストン装置34のフリーピストン32は、中央の大径ピストン部とその両側にある一対の同径の小径ピストン部とが互いにシャフトにて連結された段付きピストンであり、シリンダ30は、大径ピストン部が係合する中央の大径シリンダ部とその両側にあって前記一対の小径ピストン部が係合する一対の同径の小径シリンダ部とを有する段付きシリンダである。
図1より明らかな通り、左右の前輪に作用するショックアブソーバの作動油圧はフリーピストンに対し左右の対応する端面に付与されており、左右の後輪に作用するショックアブソーバの作動油圧はフリーピストンに対し左右逆に対応する端面に付与されており、従って、車輌が左旋回することにより車体が遠心力により右方へ傾動し、右前輪のショックアブソーバの作動油圧が左前輪のショックアブソーバの作動油圧より上昇してフリーピストンを図にて左方へ付勢するときには、右後輪のショックアブソーバの作動油圧が左後輪のショックアブソーバの作動油圧より上昇してフリーピストンを図にて右方へ付勢する。
今、図示の如く左右の小径ピストン部は同径のDeであるとし、中央の大径ピストン部の直径をDcとし、シャフトの直径をDsとすると、図にて左端の小径ピストン部は、その左面に油圧室36flの油圧Pflを受け、(π/4)De2×Pflの力にて図にて右方へ付勢される。図にて右端の小径ピストン部は、その右面に油圧室36frの油圧Pfrを受け、(π/4)De2×Pfrの力にて図にて左方へ付勢される。中央の大径ピストン部は、その右面に油圧室36rlの油圧Prlを受け、(π/4)(Dc2−Ds2)×Prlの力にて図にて左方へ付勢されるが、その付勢力の一部は同油圧がそれとシャフトにて連結された右端の小径ピストン部に図にて右方へ作用することによる(π/4)(De2−Ds2)×Prlの力にて相殺されるので、ピストン全体としては、油圧Prlにより(π/4)(Dc2−De2)×Prlの力にて図にて左方へ付勢される。同様にして、ピストン全体としては、油圧Prrにより(π/4)(Dc2−De2)×Prrの力にて図にて右方へ付勢される。
従って、今、車輌が左旋回するとし、右側のショックアブソーバ作動油圧Pfr、Prrがそれぞれ左側のショックアブソーバ作動油圧Pfl、Prlより高くなっているとき、フリーピストンが左方へ変位するか右方へ変位するかは、(π/4)De2×(Pfr−Pfl)と(π/4)(Dc2−De2)×(Prr−Prl)のどちらが大きいか、即ち、ΔFf=(Pfr−Pfl)De2、ΔFr=(Prr−Prl)(Dc2−De2)とすると、ΔFfとΔFrの対比によって左右され、ΔFf>ΔFrであるときにはフリーピストンは図にて左方へ変位し、ΔFf<ΔFrであるときにはフリーピストンは図にて右方へ変位する。
4輪車が左折または右折する如く操舵されて旋回するとき、前述の通り旋回の前期に於いては、一対の前輪間の接地荷重の差は一対の後輪間の接地荷重の差より大きくなり、これに対し旋回の後期に於いては、一対の後輪間の接地荷重の差は一対の前輪間の接地荷重の差より大きくなる。
従って、上記の如きピストンーシリンダ装置に於いて、De2と(Dc2−De2)の値がほぼ等しいとすると、左方への旋回に於いては、旋回の前期にΔFfがΔFrより大きくなってフリーピストンは図にて左方へ変位する。その後、左旋回が後期に入ると、一対の前輪間の接地荷重の差が縮小すると同時に一対の後輪間の接地荷重の差が増大し、ΔFfに対しΔFrが優勢となり、フリーピストンは図にて右方へ変位しようとする。このとき、絞り弁22rrの絞り度が高いと、右後輪のショックアブソーバ16rrよりシリンダ室36rrへ向かう作動油は流れにくく、フリーピストンもさほど右方へ変位せず、シリンダ室36rlより左後輪のショックアブソーバ16rlへ向かう作動油の流れも抑えられ、旋回の遠心力により増大した旋回外側後輪の接地荷重が旋回内側後輪へ向かう移動量は小さくなる。尚、これは、左右の後輪の接地荷重配分として見れば、絞り弁22rrの絞り度が高められることにより、旋回により旋回内側の車輪に対比して旋回外側の車輪の接地荷重がより大きく増大することであり、50:50の接地荷重配分から出発して見れば、旋回による旋回内側車輪から旋回外側車輪への接地荷重の移動はより増大することである。これに対し、このとき、絞り弁22rrの絞り度が低いと、右後輪のショックアブソーバ16rrよりシリンダ室36rrへ向かう作動油は流れやすく、それに伴ってフリーピストンが右方へ変位し、シリンダ室36rlより押し出された作動油が左後輪のショックアブソーバ16rlへ向けて流れることにより、旋回により旋回外側後輪にて増大した接地荷重の旋回外側後輪より旋回内側後輪への移動がより大きく行われる。
こうして旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバとシリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路の絞り度が増大されれば、旋回外側後輪より旋回内側後輪への接地荷重の移動は小さく、左右の車輪間に於ける接地荷重の偏りは大きくなり、後輪全体としてのコーナリングフォースは小さくなり、車輌は旋回しやすくなる。これに対し、旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバとシリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路の絞り度が低減されれば、旋回外側後輪より旋回内側後輪へより大きな接地荷重の移動が生じ、左右の車輪間に於ける接地荷重の偏りは小さくなり、後輪全体としてのコーナリングフォースは大きくなり、車輌は旋回しにくくなる。
図2は、上記の如きショックアブソーバの制御を一つの実施の形態について示すフローチャートである。かかるフローチャートに沿った制御は、電子制御装置26により車輌の運転開始から始まって数10〜数100ミリセカンドの周期にて繰り返されてよい。
制御が開始されると、先ず、ステップ10にて、フラグFが1であるか否かが判断される。フラグFは制御の開始時にはその都度0にリセットされ、制御が後述のステップ80に至ったとき1にセットされるものである。従って、制御が最初にこのステップに至ったときには、答はノー(N)であり、制御はステップ20へ進む。
ステップ20に於いては、操舵角θの絶対値がある所定の下限値θo以上であるか否かが判断される。操舵角θについて絶対値を用いたのは、左旋回と右旋回とでθの値が正または負とされるためである。ここでは左旋回時の操舵角を正の値とし、右旋回時の操舵角を負の値とする。下限値θoは、操舵角θの絶対値がそれ以下であるようなときには以下の制御は行われるには及ばないような或る小さな操舵角である。従って、答がノーであればこの回の制御はこれにて終了する。答がイエス(Y)であれば、制御はステップ30へ進む。
ステップ30に於いては、前後加速度Gx(前後Gx)がある所定の下限値Gxo以上であるか否かが判断される。下限値Gxoもまた、前後加速度Gxの値がそれ以下であるときには以下の制御は行われるには及ばないような或る小さな前後加速度の値である。従って、答がノーであればこの回の制御はこれにて終了する。答がイエスであれば、制御はステップ40へ進む。
ステップ40に於いては、横加速度Gy(横Gy)がある所定の下限値Gyo以上であるか否かが判断される。横加速度Gyも左旋回または右旋回に応じて正または負となる。下限値Gyoもまた、横加速度Gyの絶対値がそれ以下であるときには以下の制御は行われるには及ばないような或る小さな値である。従って、答がノーであればこの回の制御はこれにて終了する。答がイエスであれば、制御はステップ50へ進む。
ステップ50に於いては、操舵角θが正であるか否かが判断される。これは、操舵による旋回が左旋回であるか右旋回であるかを判別するものである。答がイエス、即ち左旋回であれば、制御はステップ60へ進み、旋回方向係数Kが1とされ、また、答がノー、即ち右旋回であれば、制御はステップ70へ進み、旋回方向係数Kが−1とされる。いずれにしても、次いで、制御はステップ80へ進み、フラグFが1にセットされる。ここでフラグFが1にセットされると、以後のフローに於いて、ステップ10の答はイエスとなるので、ステップ20〜80はパイパスされる。
次いで、制御はステップ90へ進み、車速V、操舵角θ、操舵装置のギヤ比N、ホイールベースL、スタビリティファクタKh、横加速度Gyに基づいて車輌がオーバーステア状態でもなくアンダーステア状態でもなく正規に操舵旋回されるときのヨーレートが目標ヨーレートγtとして算出される。目標ヨーレートγtは、γt=V・θ/(N・L)−Kh・Gy・Vとして算出されてよい。
次いで、制御はステップ100へ進み、目標ヨーレートγtとヨーレートセンサにて検出された実ヨーレートγの差Δγが算出される。ヨーレートもまた左旋回時には正の値とされ、右旋回時には負の値とされるので、目標ヨーレートと実ヨーレートの偏差は、上記の旋回方向係数Kを組み入れてΔγ=K(γt−γ)として算出される。Δγが正の値であるということは、車輌の操舵による旋回がアンダーステア気味であるということであり、Δγが負の値であるということは、車輌の操舵による旋回がオーバーステア気味であるということである。
次いで、制御はステップ110へ進み、ヨーレート偏差Δγの値に基づいて旋回外側後輪ショックアブソーバの絞り弁に対する絞り度の目標値φtがΔγの関数fa(Δγ)の値として求められる。これは図3に示す如きマップを参照して行われてよい。図3のマップに示す如く、旋回外側後輪のショックアブソーバに対する絞り弁22rrまたは22rlがある中間的絞り度φoに絞られた状態で、車輌が標準的な路面上にて標準的な操舵旋回がなされたとき、実ヨーレートγが目標をヨーレートγtに一致するよう、目標ヨーレートの設定がなされていれば、Δγが0より大きくなるに連れて目標絞り度φtをφoより増大させてアンダーステア傾向を抑制し、またΔγが0より小さくなるにつれて目標絞り度φtをφoより低減させてオーバーステア傾向を抑制することができる。
次いで、制御はステップ120へ進み、上記の旋回方向係数Kが1であるか否かが判断される。答がイエスであれば、旋回は左旋回であり、このときには制御はステップ130へ進み、絞り弁22rrの絞り度が制御される。また答がノーであれば、制御は右旋回であり、このときには制御はステップ140へ進み、絞り弁22rlの絞り度が制御される。
尚、上に説明した実施の形態の於いては、後輪のショックアブソーバの作動油路の絞りを変更することによりアンダーステア傾向またはオーバーステア傾向を抑制しているが、車輌がアンダーステア傾向またはオーバーステア傾向となったことが検出された場合、前輪を含む各輪のショックアブソーバの作動油路の制御により前後の減衰力配分をアンダーステア傾向またはオーバーステア傾向を抑制するように変更してもよく、或いは前後輪に備えられたロール剛性可変手段により前後のロール剛性配分をアンダーステア傾向またはオーバーステア傾向を抑制するように変更する構成にしてもよい。特に、後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌においては、旋回初期に前輪側の接地荷重が大きくなるため、オーバーステア傾向となるので、旋回初期に減衰力配分またはロール剛性配分をアンダーステア方向に変更する構成にしてもよい。
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
本発明による車輌の一つの実施の形態を本発明に係る構成の要部について示す概略図。 本発明によるショックアブソーバの制御を一つの実施の形態について示すフローチャート。 図2のフローチャートのステップ110にて参照されるマップの例を示す図。 左右一対の車輪間に於ける接地荷重の配分とコーナリングフォースの関係を示す図。
符号の説明
10fl,10fr,10rl,10rr…左前輪、右前輪、左後輪、右後輪、12fl,12fr,12rl,12rr…サスペンションアーム、14…車体、16fl,16fr,16rl,16rr…ショックアブソーバ、18fl,18fr,18rl,18rr…油路、20fl,20fr,20rl,20rr…蓄圧室、22fl,22fr,22rl,22rr…絞り弁、24fl,24fr,24rl,24rr…圧力センサ、26…電子制御装置(ECU)、28…操舵角センサ、30…シリンダ、32…フリーピストン、34…シリンダ−ピストン装置、36fl,36fr,36rl,36rr…油圧室

Claims (2)

  1. 左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、前記一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と前記一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置とを含む後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムを有する車輌にして、車輌旋回時のアンダーステア状態に応じて旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバと前記シリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路に設けられた絞り弁の絞り度が増大されることにより、旋回の前期に旋回外側の前輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の前輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置より旋回外側の後輪のショックアブソーバへ移転したショックアブソーバ作動油が旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の後輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置へ戻る流れに対する抵抗が増大され、これによって旋回の後期に於ける旋回内側の後輪より旋回外側の後輪への車輪接地荷重の移転の度合が大きくされるようになっていることを特徴とする車輌。
  2. 左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、前記一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と前記一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置とを含む後輪クロス連結型ショックアブソーバシステムを有する車輌にして、車輌旋回時のオーバーステア状態に応じて旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバと前記シリンダ−ピストン装置とを連結する作動油路に設けられた絞り弁の絞り度が低減されることにより、旋回の前期に旋回外側の前輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の前輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置より旋回外側の後輪のショックアブソーバへ移転したショックアブソーバ作動油が旋回の後期に旋回外側の後輪のショックアブソーバ作動油圧が旋回内側の後輪のショックアブソーバ作動油圧より高くなることによって前記シリンダ−ピストン装置へ戻る流れに対する抵抗が低減され、これによって旋回の後期に於ける旋回内側の後輪より旋回外側の後輪への車輪接地荷重の移転の度合が小さくされるようになっていることを特徴とする車輌。
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