JP3197331B2 - 車両用サスペンション制御装置 - Google Patents

車両用サスペンション制御装置

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JP3197331B2
JP3197331B2 JP12226692A JP12226692A JP3197331B2 JP 3197331 B2 JP3197331 B2 JP 3197331B2 JP 12226692 A JP12226692 A JP 12226692A JP 12226692 A JP12226692 A JP 12226692A JP 3197331 B2 JP3197331 B2 JP 3197331B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、旋回走行時に車両に作
用する力に応じて車両の前後ロール剛性を変化させ、機
敏な回頭性と安定した走行性との両立を可能とする車両
用サスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用サスペンション制御装置と
しては、例えば、特開昭62−198511号公報に記
載されているものがある。この従来例は、車両に生じる
ヨーレートをもとに車体が回頭動作状態であるか収束動
作状態であるかを判定し、車両のステア特性を、車体回
頭動作時にはオーバーステア又はニュートラルステア特
性となり、収束時にはアンダーステア特性となるよう
に、前後輪のロール剛性を独立に制御することにより、
機敏な回頭運動と安定した走行との両立を可能とするよ
うにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の車両用サスペンション制御装置にあっては、ヨーレ
ートの絶対値の微分値を所定設定値と比較することによ
り、現に回頭状態であるか収束状態であるかの旋回状態
判定を行っているため、例えば車線変更時などに、実際
運転者は、すでに操舵を切り戻し収束状態に入っている
にも関わらず、回頭状態であると判定され、ヨーレート
が減少して初めて収束状態であると判定されることにな
り、その後車両のステア特性がアンダーステア化される
ようになっている。したがって、収束状態の検出が遅く
アンダーステア化するタイミングが遅いので、旋回時に
機敏な収束性が得られないという未解決の課題がある。
【0004】また、ステア特性を変更する際に、ロール
剛性配分の変更を設定値により行っているため、ロール
剛性の変化が連続的でなく、したがって、ステア特性の
切り換えが唐突でステア特性のつながりに欠けるという
未解決の課題もある。そこで、この発明は、上記従来例
の未解決の課題に着目してなされたものであり、旋回走
行時において、回頭収束の判定を的確に行い、回頭動作
時の舵の効きを確保したうえで収束動作時に機敏な収束
性を得ることのできるサスペンション制御装置を提供す
ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は車両に作用する横加速度に応じて発生
する左右荷重移動量の前後配分比を可変できる車両用サ
スペンション制御装置において、旋回時に車両に作用す
る力によって旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、
該旋回状態検出手段の旋回状態検出値をハイパス・フィ
ルタ処理した値から旋回度合が強まる方向の成分を抽出
する旋回度合成分抽出手段と、車両の操舵角速度を検出
する操舵角速度検出手段と、前記旋回状態検出手段の旋
回状態検出値と前記操舵角速度検出手段の操舵角速度検
出値とに基づき回頭状態における収束開始を検出した後
の収束度合を検出する収束度合検出手段と、当該収束度
合検出手段で検出した収束度合及び前記旋回度合成分抽
出手段で抽出した旋回度合成分に応じて前記左右荷重移
動量の前後配分比を前側の配分比が増すよう制御する荷
重配分制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
【作用】この発明においては、車両に作用する横加速度
に応じて発生する左右荷重移動量の前後配分比を可変で
きる車両用サスペンション制御装置において、旋回状態
検出手段及び操舵角速度検出手段にり旋回時に車両に
作用する力と操舵角速度とを検出し、これら検出値に基
づき収束度合検出手段によって車両の回頭状態における
収束開始を検出した後の収束度合、つまり、回頭状態の
終期においてどの程度収束しているのかを表す収束度合
を検出する。これは、例えば車両に作用する力の作用方
向と操舵される方向とから回頭状態であるかどうかを検
出すると共にそのときの操舵角速度の大きさに基づき検
出する。そして、収束度合検出手段で検出した収束度合
と旋回度合成分抽出手段で抽出した旋回度合が強まる方
向の成分である旋回度合成分とに基づいて、左右荷重移
動量の前後配分比を前側の配分比が増すように制御す
る。これにより、回頭状態においてその収束開始が検出
されるとこの収束開始後の収束度合に応じて車両のステ
ア特性がアンダーステア化されるから、旋回走行時の車
両の収束性の向上と安定した走行性の確保とを両立させ
ることが可能となる。
【0007】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図2は、この発明の第1実施例を示す概略構成
図である。図中、10FL〜10RRは前左〜後右車
輪、12は車輪側部材、14は車体側部材を各々示し、
16は能動型サスペンションを示す。
【0008】能動型サスペンション16は、車体側部材
14と各車輪側部材12との間に各別に装備された流体
圧シリンダとしての油圧シリンダ18FL〜18RR
と、この油圧シリンダ18FL〜18RRの作動油圧を
各々調整する圧力制御弁20FL〜20RRと、本油圧
系の油圧源22と、この油圧源22及び圧力制御弁20
FL〜20RR間に介挿された蓄圧用のアキュムレータ
24,24と、車体の横方向に作用する横加速度を検出
する横加速度センサ26と、操舵角を検出する操舵角セ
ンサ27と、これら横加速度センサ26の横加速度検出
値YG 及び操舵角センサ27の操舵角検出値θが入力さ
れ、各圧力弁に対する圧力指令値を演算し、該演算値に
基づき圧力制御弁20FL〜20RRの出力圧を個別に
制御するコントローラ(指令値演算手段)30とを有し
ている。
【0009】また、この能動型サスペンション16は、
油圧シリンダ18FL〜18RRに対して車輪側部材1
2及び車体側部材14間に個別に並列装備されたコイル
スプリング36,…,36と、油圧シリンダ18FL〜
18RRの後述する圧力室Lに個別に連通した絞り弁3
2及び振動吸収用のアキュムレータ34とを含む。ここ
で、各コイルスプリング36は、比較的低いバネ定数で
あって車体の静荷重を支持するようになっている。
【0010】油圧シリンダ18FL〜18RRの各々は
シリンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ
18aには、ピストン18cにより閉塞された上側圧力
室Lが形成されている。そして、シリンダチューブ18
aの上端が車体側部材14に取り付けられ、ピストンロ
ッド18bの下端が車輪側部材12に取り付けられてい
る。
【0011】また、圧力制御弁20FL〜20RRの各
々は、円筒状の挿通孔内に摺動可能に収容されたスプー
ルを有する弁ハウジングと、この弁ハウジングに一体に
設けられた比例ソレノイドとを有するパイロット操作形
に形成されている。この圧力制御弁20FL〜20RR
の作動油に対する供給ポート及び戻りポートが油圧配管
38,39を介して油圧源22の作動油供給側及び作動
油戻り側に連通され、出力ポートが油圧配管40を介し
て油圧シリンダ18FL〜18RRの圧力室Lの各々に
連通されている。
【0012】このため、比例ソレノイドに供給する励磁
電流Iの値を制御することにより、この励磁電流Iによ
る推力と出力ポート側の出力圧に基づき形成されたパイ
ロット圧とを平衡させて調圧し、結局、励磁電流Iに応
じた出力圧Pを出力ポートから油圧シリンダ18FL
(〜18RR)の圧力室Lに供給できるようになってい
る。
【0013】ここで、出力圧Pは、励磁電流Iが零であ
るときに所定のオフセット圧力POを出力し、この状態
から励磁電流Iが正方向に増加すると、これに所定の比
例ゲインK1 をもって増加し、油圧源22の圧力P2
達すると飽和する。また励磁電流Iが負方向に増加する
と、これに比例して出力圧Pが減少する。一方、横加速
度センサ26は、直進走行状態から右操舵したときに正
となり、反対に、左操舵したときに負となる横加速度に
比例した電圧でなる横加速度検出値YG を出力する。ま
た、操舵角センサ27は、操舵角に応じた電圧出力でな
る操舵角検出値θを出力する。
【0014】コントローラ30は、図3に示すように、
横加速度センサ26の横加速度検出値YG と操舵角セン
サ27の操舵角検出値θとが入力され、操舵角センサ2
7の操舵角検出値θから操舵角速度θ′を算出する微分
器80と、該操舵角速度θ′と横加速度センサ26の横
加速度検出値YG とに基づき回頭収束の動作状態を判定
し、その回頭又は収束の動作状態に応じて左右荷重移動
量を決定するロール剛性フロント配分αを制御するロー
ル剛性配分制御回路70と、ロール剛性配分制御回路7
0のロール剛性フロント配分αをもとに、横加速度検出
値YG をα倍する前輪側ロール剛性配分調整器60F
と、ロール剛性配分制御回路70のロール剛性フロント
配分αをもとに横加速度検出値YG を(1−α)倍する
後輪側ロール剛性配分調整器60Rと、ロール剛性配分
調整器60Fの出力値を所定のゲインKYG倍した出力電
圧VF を出力する前輪側ゲイン調整器50Fと、後輪側
ロール剛性配分調整器60Rの出力値を所定のゲインK
YG倍した出力電圧VR を出力する後輪側ゲイン調整器5
0Rと、前輪側ゲイン調整器50Fの出力電圧VF の符
号を反転する符号反転器52Fと、後輪側ゲイン調整器
50Rの出力電圧VRの符号を反転する符号反転器52
Rとを備える。
【0015】そして、前輪側ゲイン調整器50Fの出力
電圧VF 及び後輪側ゲイン調整器50Rの出力電圧VR
は、前輪側ゲイン調整器50Fの出力電圧VF を電流値
に変換する例えばフローティング型定電流回路で構成さ
れる駆動回路51FLと、前輪側ゲイン調整器50Fの
出力電圧VF が符号反転器52Fを介して入力され、こ
れを電流値に変換する駆動回路51FLと同様の駆動回
路51FRと、後輪側ゲイン調整器50Rの出力電圧V
R を電流値に変換する、駆動回路51FL,51FRと
同様の駆動回路51RLと、後輪側ゲイン調整器50R
の出力電圧VRが符号反転器52Rを介して入力され、
これを電流値に変換する駆動回路51FL〜51RLと
同様の駆動回路51RRとにそれぞれ入力され、各駆動
回路51FL〜51RRから出力される励磁電流IFL
RRは各圧力制御弁20FL〜20RRの比例ソレノイ
ドに入力される。
【0016】ここで、ロール剛性配分制御回路70は、
横加速度検出値YG と操舵角速度θ′とを入力し、これ
ら入力値をもとに回頭又は収束の状態判定を行い、その
判定結果に応じて、横加速度演出値YG に基づきロール
剛性フロント配分αを変更し出力する。次に、上記実施
例の動作をロール剛性配分制御回路70の処理手段を示
す図4のフローチャートを伴って説明する。
【0017】車両が旋回を行うと横加速度センサ26で
横加速度を検出し、検出した横加速度検出値YG と操舵
角センサ27で検出した操舵角検出値θから算出した操
舵角速度θ′とをもとに、図4に示す処理が行われる。
先ず、ステップS1及びステップS2で横加速度センサ
26の横加速度検出値YG 及び操舵角センサ27の操舵
角検出値θから求めた操舵角速度θ′を読み込む。ステ
ップS3に移行し、横加速度検出値YG の絶対値|YG
|を求め、次いで、ステップS4で、横加速度検出値Y
G の絶対値|YG |をハイパス・フィルタ処理すること
により、横加速度の変化分|YG |′(=d|YG |/
dt)をを求める。そしてステップS5に移行し、横加
速度の変化分|YG |′が正の値(|YG |′>0)で
あるか否かの判断を行い、|YG |′>0であるときに
はステップS7へ移行し、|YG |′≦0であるときに
はステップS6に移行して|YG |′=0とし、旋回度
合が強まる方向の成分である横加速度の増加側成分のみ
を取り出した後、ステップS7へ移行する。
【0018】ステップS7では、横加速度検出値YG
操舵角速度θ′との相関関係により回頭収束の判定を行
い状態係数γを設定する。この回頭収束判定は、図5の
フローチャートに示すように、先ず、ステップS71で
横加速度検出値YG と操舵角速度θ′との積が負の値
(YG ・θ′<0)であるか否かを判断する。YG
θ′<0であるときには、収束状態であると判定してス
テップS73に移行し、旋回状態を表す状態係数γをγ
=1としてステップS8に移行する。ステップS71で
G ・θ′≧0であるときには、回頭状態であると判定
し、ステップS72に移行し、操舵角速度θ′の絶対値
|θ′|が任意に設定した操舵角速度の設定値Sの絶対
値|S|よりも大きい(|θ′|>|S|)か否かを判
断し、|θ′|>|S|であるときには、回頭初期状態
であると判定し、ステップS74に移行して状態係数γ
をγ=0とし、ステップS8に移行する。
【0019】ステップS72で|θ′|≦|S|である
ときには、回頭状態から収束状態へ又は収束状態から回
頭状態へ移行しているものとし、ステップS75に移行
し、下記の (1)式により状態係数γを設定し、ステップ
S8に移行する。 ステップS8では、状態係数γに、横加速度の増加分|
G |′と調整ゲインKとを乗じて、ロール合成配分補
正値Δαを求める(下記 (2)式)。
【0020】Δα=K・γ・|YG |′ …… (2) 次いでステップS9に移行し、ロール合成配分補正値Δ
αが、Δα>ΔαMAXであるか否かを判断し、Δα>Δ
αMAX であるときには、ステップS10に移行してΔα
=ΔαMAX とした後、ステップS11に移行し、Δα≦
ΔαMAX であるときには、直接ステップS11に移行す
る。ここで、ΔαMAX はサスペンション制御システムの
ロール剛性配分可変幅によって決まる値であり、ロール
剛性配分補正値Δαに、サスペンション制御システムの
ロール剛性配分可変幅に合わせてリミッターをかけるも
のである。
【0021】ステップS11では、ロール剛性配分補正
値Δαに予め設定されたロール剛性フロント配分値であ
るロール剛性基本配分α0 を加算してロール剛性フロン
ト配分αを算出し、次いで、ステップS12でロール剛
性フロント配分αをロール剛性配分調整器60F及び6
0Rに出力する。なお、ロール剛性基本配分α0 は、所
望とするステア特性に応じて、0<α0<1の範囲で任
意に設定することができ、例えば、直進走行時にニュー
トラルステア特性とする場合には、α0 =0.5に設定
する。
【0022】ここで、横加速度センサ26が図1の旋回
状態検出手段に対応し、操舵角センサ27及び微分器8
0が操舵角速度検出手段に対応し、図4のステップS3
〜S6が旋回度合成分抽出手段に対応し、ステップS7
(図5のステップS71〜S75)が収束度合検出手段
に対応し、状態係数γが収束度合に対応し、ステップS
8〜S12が荷重配分制御手段に対応している。
【0023】次に、上記実施例の動作を、車両のS字路
走行時の挙動を示す図6を参照して説明する。今、時点
0 〜t1 間で、路面に凹凸がなく平坦な良路を車両が
直進走行しているものとする。この状態では、車体に横
方向加速度が生じていないので、図6(b)に示す如
く、横加速度センサ26の横加速度検出値YG は略零と
なる。また、操舵角センサ27の操舵角検出値θは直進
走行しているので略零となり、したがって、操舵角速度
θ′も略零となる(図6 (a))。
【0024】ここで、横加速度センサ26の横加速度検
出値YG は略零であるので、横加速度検出値YG の絶対
値|YG |も零となり(図6(c))、したがって、横
加速度の増加分|YG |′も零となる(図6(e))。
そして、ステップS7により回頭収束判定を行い状態係
数γを求めると、操舵角速度θ′は略零であるので、前
記(1)式よりγ=1となり、次いで、前記(2)式より
ロール剛性配分補正値Δαを算出すると、|YG |′=
0であるので、Δα=0となり、ロール剛性基本配分α
0 にロール剛性配分補正値Δαを加算し、ロール剛性フ
ロント配分αを算出するとα=α0 となる。
【0025】ここで、横加速度検出値YG は略零である
ので、前輪側ゲイン調整器50F及び後輪側ゲイン調整
器50Rの出力電圧VF 及びVR も略零となり、駆動回
路51FL〜51RRから出力される指令値としての励
磁電流IFL〜IRRも略零となり、各圧力制御弁20FL
〜20RRの比例ソレノイドの励磁コイルが非励磁状態
になる。
【0026】そこで、圧力制御弁20FL〜20RRか
ら所定のオフセット圧力P0 が各油圧シリンダ18FL
〜18RRの圧力室Lに出力され、車体は所定の車高値
をもってフラットな状態に支持される。また、この状態
において、路面から車輪10FL〜10RRを介して入
力する振動入力のうち、バネ上共振周波数に対応する比
較的低周波数の振動入力に対しては、各絞り弁32によ
って吸収される。
【0027】この直進走行状態から、時点t1 でステア
リングホイールを右切りして右旋回状態に移行すると、
操舵角速度θ′が設定値Sと等しくなるまでの回頭初期
の時点t1 〜t2 間で、操舵角速度θ′及び横加速度検
出値YG が徐々に増加し、操舵角速度θ′及び横加速度
の増加分|YG |′も増加する(図6(a)〜(e))。
【0028】次いで、ステップS7により回頭収束判定
を行い状態係数γを求めると、横加速度検出値YG と操
舵角速度θ′との積が正の値(YG ・θ′≧0)であ
り、操舵角速度θ′の絶対値|θ′|が設定値Sの絶対
値|S|以下(|θ′|≦|S|)であるので、状態係
数γは前記 (1)式により求められ、図6(f)に示す
如く状態係数γは、“1”から“0”へと徐々に減少す
る。求めた状態係数γをもとに、ロール剛性配分補正値
Δαを前記(2)式により求め、ロール剛性基本配分α
0 にロール剛性配分補正値Δαを加算して、ロール剛性
フロント配分αを算出する。
【0029】次いで、操舵角速度θ′が設定値Sを超
え、回頭中である時点t2 〜t3 間では、ステップS7
により回頭収束判定を行い状態係数γを求めると、横加
速度検出値YG と操舵角速度θ′との積が正の値(YG
・θ′≧0)であり、操舵角速度θ′の絶対値|θ′|
が設定値Sの絶対値|S|より大きい(|θ′|>|S
|)ので、状態係数γはγ=0となる。そして、ロール
剛性配分補正値Δαを求めると、Δα=0となり、ロー
ル剛性フロント配分αはα=α0 となる。よって、ロー
ル剛性フロント配分αの変更は行わず、ステア特性を例
えばニュートラルステア特性に維持する。
【0030】このとき、横加速度検出値YG は正の値
(YG >0)であり、算出したロール剛性フロント配分
αをもとに、横加速度ゲインYG にロール剛性フロント
配分α又は(1−α)と所定のゲインKYGを乗じた出力
電圧VF 及びVR が各々演算され、これが直接駆動回路
51FL及び51RLに供給され、これら駆動回路51
FL及び51RLで励磁電流IFL及びIRLに変換されて
左側圧力制御弁20FL、20RLの比例ソレノイドに
供給される。一方、右側圧力制御弁20FR、20RR
に対しては符号反転された指令値−VF 及び−VR が駆
動回路51FR、51RRで励磁電流−IFL及び−IRL
に変換されて各々供給される。
【0031】これによって、左側圧力制御弁20FL、
20RLの出力圧Pはオフセット圧力P0 より増加し、
これに応じて左側油圧シリンダ18FL、18RLの圧
力室Lの圧力が増加して車体のロールに抗する推力を発
生する。他方、右側圧力制御弁20FR、20RRの出
力圧Pはオフセット圧力P0 より低下し、これに伴って
右側油圧シリンダ18FR、18RRの圧力室Lの圧力
が低下してロールを助長しない推力に制御される。
【0032】続いて、操舵角速度θ′が設定値Sより小
さくなり“0”となるまでの、右旋回の回頭状態から収
束状態に移行している時点t3 〜t4 間では、横加速度
検出値YG と操舵角速度θ′との積が正の値(YG
θ′≧0)であり、操舵角速度θ′が、|θ′|≦|S
|であるので、状態係数γは前記(1)式により求めら
れ、図6(f)に示すように状態係数γは“0”から徐
々に“1”に復帰する。このため、前記(2)式で算出
されるロール剛性配分補正値Δαが“0”から正方向に
増加することになる。このロール剛性配分補正値Δαに
ロール剛性基本配分α0 を加算し、ロール剛性フロント
配分αを算出する。
【0033】また、車両が収束状態にある時点t4 〜t
5 間では、ステップS7により回頭収束判定を行うと、
横加速度検出値YG と操舵角速度θ′との積が負の値
(YG・θ′<0)となるので、状態係数γはγ=1と
設定される。このように、状態係数γがγ=1となるの
で、ロール剛性配分補正値Δαを前記(2)式により算
出したときに、ロール剛性配分補正値ΔαがΔαMAX
超える場合(Δα>ΔαMAX )があり、この場合は、Δ
α=ΔαMAX とする。そして、ロール剛性基本配分α0
にロール剛性配分補正値Δαを加算し、ロール剛性フロ
ント配分αを算出する。
【0034】ここで、ロール剛性配分補正値Δαが加算
されたロール剛性フロント配分αをもとに左右荷重移動
量の配分制御を行うと、横加速度検出値YG にロール剛
性フロント配分α又は(1−α)と所定のゲインKYG
乗じた出力電圧VF 及びVRが各々演算され、上述と同
様の制御が行われるが、この場合、ロール剛性基本配分
α0 に正のロール剛性配分補正値Δαを加算したロール
剛性フロント配分αをもとに制御が行われるので、左右
荷重移動量のフロント配分が横加速度のハイパス・フィ
ルタ処理値|YG |′の増加に応じて増加され、よっ
て、ステア特性がアンダーステア化され、収束動作時の
収束性を高めることができる。
【0035】右旋回に続いて、ステアリングホイールを
左切りして、左旋回状態に移行すると、操舵角速度θ′
が設定値Sと等しく、回頭動作状態である時点t5 で、
横加速度検出値YG と操舵角速度θ′との積が正の値
(YG ・θ′≧0)で、操舵角速度θ′が設定値Sと等
しい(|θ′|=|S|)ので、状態係数γは、γ=0
となる。ロール剛性配分補正値Δαを前記(2)式によ
り算出すると、Δα=0となり、ロール剛性フロント配
分αはα=α0 となる。
【0036】そして、操舵角速度θ′が、設定値Sと等
しくなってから0となる左旋回の回頭状態から収束状態
に移行するまでの時点t5 〜t6 間では、状態係数γを
求めると、横加速度検出値YG と操舵角速度θ′との積
が正の値(YG ・θ′≧0)であり、操舵角速度θ′が
|θ′|≦|S|であるので、状態係数γは前記(1)
式により求められ、図6(f)に示すように状態係数γ
が“0”から徐々に“1”に復帰する。このため、ロー
ル剛性配分補正値Δαを前記(2)式により算出する
と、ロール剛性配分補正値Δαが“0”から正方向に徐
々に増加することになり、ロール剛性配分補正値Δαが
ΔαMAX を超える場合(Δα>ΔαMAX )は上記と同様
にΔα=ΔαMAX とし、ロール剛性基本配分α0 を加算
し、ロール剛性フロント配分αを算出する。
【0037】さらに、左旋回が収束状態になった時点t
6 以降は、ステップS7により回頭収束判定を行うと、
横加速度検出値YG と操舵角速度θ′との積が負の値
(YG・θ′<0)であるので、状態係数γはγ=1と
なり、ロール剛性配分補正値Δαを前記(2)式により
算出してΔαがΔαMAX を超えないようΔαを設定し、
ロール剛性フロント配分αを算出する。
【0038】そして、上述と同様に、算出したロール剛
性フロント配分αをもとに、横加速度検出値YG にロー
ル剛性フロント配分α又は(1−α)と所定のゲインK
YGを乗じた出力電圧VF 及びVR が各々演算され、上述
と同様の制御が行われる。したがって、上記第1実施例
によれば、回頭初期状態であると判定した場合にはロー
ル剛性フロント配分αの変更は行わず、回頭状態から収
束状態へ移行しようとして回頭状態における収束が開始
した時点から、その収束度合つまり操舵角速度θ′と
加速度検出値YG のハイパス・フィルタ処理値|Y
G |′とに応じたロール剛性配分補正値Δαロール剛
性基本配分α0 加算する。よって、回頭初期状態であ
るときには、車両のステア特性が変更しないので舵の効
きを損なうことがなく、回頭状態から収束状態に移行す
るときには回頭状態の終期つまり回頭状態における収束
が開始した時点からステア特性がアンダーステア化され
るから旋回終了時の収束性を高めることができるうえ、
安定したロール姿勢で旋回を機敏に行うことができ、操
縦安定性を向上させることができる。
【0039】また、回頭状態から収束状態へといった状
態移行時には、ロール剛性配分補正値Δαが徐々に増加
又は減少するのでロール剛性フロント配分αは連続的に
変化し、したがってステア特性の変更を連続的に行うこ
とができる。図7 (a)〜(c)に、前述の右旋回から
左旋回への旋回を行ったときのロール剛性配分補正値Δ
α、ヨーレートΦ及び横加速度検出値YG を示す。図7
からも明らかなように、車両が収束状態に移行するとと
もにロール剛性配分補正値Δαは徐々に増加し、収束が
収まるにつれ減少する。ロール剛性配分補正値Δαによ
って車両のステア特性が徐々にアンダーステア化される
ので、車両に作用するヨーレート及び横加速度の収束が
機敏になる。
【0040】さらに、回頭収束の判定を横加速度検出値
G と操舵角速度θ′との相関関係によって行っている
ので、より的確に回頭収束の動作状態の判定を行うこと
ができ、したがって、ステア特性の変更も動作状態の判
定に伴い行うことができるので、収束性を高めることが
でき、さらに安定した走行性を得ることができる。因
に、従来例の場合には、図7に破線で示されているよう
に、車両が収束状態になったのち、ロール剛性配分補正
値Δαが算出されるので、ヨーレートΦ及び横加速度Y
G の旋回終了後の収束性が低下している。従来例に比較
して本発明では、ヨーレート及び横加速度の収束性が向
上しているのが明らかである。
【0041】なお、この第1実施例では、ステップS7
における旋回収束判定を図5の演算処理により行ってい
るが、図8に示すような、横加速度検出値YG と操舵角
速度θ′との積、操舵角速度θ′及び設定値Sの相関関
係を示すマップをコントローラ30内に記憶することに
より、旋回収束判定を行ってもよい。次に、この発明の
第2実施例を図9及び図10に基づいて説明する。
【0042】この第2実施例は、ヨーレートと操舵角速
度との相関関係から運転者の回頭収束の意思を判断する
ようにしたものであり、ヨーレートセンサ28を適用し
たものである。図9に、第2実施例の概略構成を、図2
との対応部分には同一符号を付して示す。ここで、コン
トローラ30内のロール剛性配分制御回路70は、ヨー
レート検出信号Φと操舵角速度θ′とを入力し、図10
に示すフローチャートにより、回頭又は収束の状態判定
を行い、その判定結果に応じてロール剛性フロント配分
αを変更し出力する。
【0043】次に、上記第2実施例の動作をロール剛性
配分制御回路70の処理手順を示す図10のフローチャ
ートを伴って説明する。第2実施例は、第1実施例が回
頭収束の判定を横加速度検出値YG により行っているの
に対し、ヨーレート検出信号Φにより、回頭収束の判定
を行っている点を除いては第1実施例と同じ動作であ
る。
【0044】まず、ステップS21及びステップS22
において、ヨーレートセンサ28のヨーレート検出信号
Φ及び操舵角センサ27の操舵角検出値θから求めた操
舵角速度θ′を読み込む。次いで、ステップS23に移
行し、ヨーレート検出信号Φの絶対値|Φ|を求め、ス
テップS24においてヨーレート検出信号Φの絶対値|
Φ|をハイパス・フィルタ処理することにより、ヨーレ
ートの変化分|Φ|′(=d|Φ|/dt)を求める。
そして、ステップS25に移行し、ヨーレート検出信号
Φの絶対値|Φ|′が正の値(|Φ|′>0)であるか
否かの判断を行い、|Φ|′>0であるときにはステッ
プS27へ移行し、|Φ|′≦0であるときには、ステ
ップS26に移行して|Φ|′=0とし、旋回度合が強
まる方向の成分であるヨーレートの増加側成分のみを取
り出した後、ステップS27へ移行する。
【0045】ステップS27では、ヨーレート検出信号
Φと操舵角速度θ′との相関関係により回頭収束の判定
を行う。先ず、ヨーレート検出信号Φと操舵角速度θ′
との積が負の値(Φ・θ′<0)であるか否かを判断す
る。Φ・θ′<0であるときには、収束状態であると判
定し、状態係数γをγ=1とする。Φ・θ′≧0である
ときには、回頭状態であると判定し、操舵角速度θ′の
絶対値|θ′|が任意に設定した操舵角速度の設定値S
の絶対値|S|よりも大きい(|θ′|>|S|)か否
かを判断し、|θ′|>|S|であるときには、回頭初
期状態であると判定し、状態係数γをγ=0とする。ま
た、|θ′|≦|S|であるときには、回頭状態から収
束状態へ、又は収束状態から回頭状態へ移行しているも
のとし、前記(1)式により状態係数γを設定する。
【0046】ステップS27で回頭収束の判定を行った
後、ステップS28に移行し、状態係数γに、ヨーレー
トの増加分|Φ|′と、調整ゲインKとを乗じて、ロー
ル合成配分補正値Δαを求める(下記(3)式)。 Δα=K・γ・|Φ|′ ……(3) 次いでステップS29に移行し、ロール合成配分補正値
Δαが、Δα>ΔαMA X であるか否かを判断し、Δα>
ΔαMAX であるときには、ステップS30に移行してΔ
α=ΔαMAX とした後ステップS31に移行し、Δα≦
ΔαMAX であるときには、直接ステップS31に移行す
る。
【0047】ここで、ΔαMAX はサスペンション制御シ
ステムのロール剛性配分可変幅によって決まる値であ
り、ロール剛性配分補正値Δαに、サスペンション制御
システムのロール剛性配分可変幅に合わせてリミッター
をかけるものである。ステップS31でロール剛性配分
補正値Δαにロール剛性基本配分α0 を加算してロール
剛性フロント配分αを算出し、次いで、ステップS32
でロール剛性フロント配分αをロール剛性配分調整器に
出力する。
【0048】なお、ロール剛性基本配分α0 は第1実施
例と同様に、所望とするステア特性に応じて0<α0
1の範囲で、任意に設定することができる。ここで、ヨ
ーレートセンサ28が図1の旋回状態検出手段に対応
し、操舵角センサ27が操舵角速度検出手段に対応し、
図10のステップS23〜S26が旋回度合成分抽出手
対応し、ステップS27が収束度合検出手段に対応
し、状態変数γが収束度合に対応し、ステップS28〜
S32が荷重配分制御手段に対応している。
【0049】したがって、車両が直進走行している状態
では、車体にヨーイングが生じないのでヨーレートセン
サ28のヨーレート検出信号Φは略零となり、操舵角速
度θ′も零である。また、上述のように、ヨーレート検
出信号の増加分|Φ|′を求めると|Φ|′は略零とな
る。ここで、ステップS27により回頭収束の判定を行
うとヨーレート検出信号Φ及び操舵角速度θ′は略零で
あるので、状態係数γはγ=1となり、ロール剛性配分
補正値Δαは零となる。したがって、ロール剛性フロン
ト配分αの変更を行わないので、車両のステア特性も変
わらない。
【0050】この状態で、ステアリングホイールを右切
り又は左切りして、旋回状態にすると、車体にヨーイン
グが生じ、これがヨーレートセンサ28によって検出さ
れる。そして、操舵角速度θ′とヨーレート検出信号Φ
との積が正の値(Φ・θ′≧0)のとき回頭状態である
と判定し、操舵角速度θ′の絶対値|θ′|が所定値S
の絶対値|S|よりも大きい(|θ′|>|S|)と
き、回頭初期状態であると判定して状態係数γをγ=0
とする。また、操舵角速度θ′の絶対値|θ′|が、|
θ′|≦|S|となるとき、回頭状態から収束状態へ、
又は収束状態から回頭状態へ状態移行を行っているもの
とし、前記 (1)式により状態係数γを求め、ロール剛性
配分補正値Δαを算出し、ロール剛性基本配分α0 と加
算してロール剛性フロント配分αを出力する。
【0051】そして、算出したロール剛性フロント配分
αをもとに、横加速度検出値YG にロール剛性フロント
配分α又は(1−α)と所定のゲインKYGとを乗じた出
力電圧VF 及びVR が各々演算され、第1実施例と同様
の制御が行われる。ここで、上記第1実施例と同様に、
回頭初期状態であると判定した場合には、ステア特性の
変更は行われないので舵の効きが損なわれることはない
が、回頭状態から収束状態に移行するときには、回頭状
態の終期、つまり回頭状態において収束が開始した時点
から、その収束の程度に応じて設定されるロール剛性配
分補正値Δαをロール剛性基本配分α 0 に加算したロー
ル剛性フロント配分αをもとに制御が行われるので、左
右荷重移動量が変化することになり、車両のステア特性
がアンダーステア化され、旋回終了時の収束性が向上す
る。
【0052】また、回頭状態から収束状態に、又は、収
束状態から回頭状態に移行するとき、ロール剛性配分補
正値Δαが徐々に増加又は減少しているのでロール剛性
フロント配分αも徐々に変化することになり、これによ
り車両のステア特性を連続的に変更することができる。
次に、この発明の第3実施例を、図11、図12及び図
13に基づいて説明する。この第3実施例は、前輪側に
設けたロール剛性可変スタビライザに本発明を適用した
ものである。
【0053】図11及び図12において、10FR及び
10FLは前輪であり、前輪10FR及び10FLはそ
れぞれ左右のサスペンションアーム116によって支持
されており、左右のサスペンションアーム116間にロ
ール剛性可変スタビライザ110が配設されている。ロ
ール剛性可変スタビライザ110は、図11に示すよう
に、トーションバーで構成されるスタビライザ本体11
2とその中央部に設けられたロール剛性可変機構117
とからなり、スタビライザ本体112はサスペンション
アーム116と連結する取付け部113aと取付け部1
13aから横方向へ伸びるねじれ部113bとから構成
されている。また、ロール剛性可変機構117は、図1
2に示すように、ねじれ部113bの径方向の外方に配
置された外筒114とねじれ部113bとは、外筒11
4の一方の端部115aで溶接され、他方の端部115
bはねじれ部113bに液密状態で相対回転可能に結合
されている。
【0054】外筒114内にはピストン124が摺動自
在に配設され、これによって外筒114の内部を2つの
流体室A,Bに区画しており、ピストン124は、その
内周面がスタビライザ本体112に、外周面が外筒11
4にそれぞれセレーション嵌合され、スタビライザ本体
112と外筒114とを相対回転不可に連結されてい
る。また、外筒114には位置センサ156が取りつけ
られており、この位置センサ156は超音波式位置セン
サであって、ピストン124の位置を検出するものであ
り、外筒114の端部115aからピストン124まで
の長さを検出し、これをピストン124の位置検出値L
として、制御装置100に出力する。
【0055】2つの流体室A、Bは4ポート3位置電磁
方向制御弁142を介して油圧源140と接続され、こ
の電磁方向制御弁142は、左右のソレノイド142a
及び142bが非励磁状態であるとき、図11に示すよ
うに中立位置にあって、油圧源140と流体室A、Bを
遮断する。一方、左側のソレノイド142aが励磁さ
れ、方向制御弁142が左切換位置にあるときには、油
圧源140と流体室Aとが連通され、油圧源140の圧
力流体が流体室Aに供給されてピストン124は外筒1
14の端部115aに向かって移動し、これにより流体
室Bの圧力流体が油圧源140に押し出される。また、
右側のソレノイド142bが励磁状態にある右切換位置
では、油圧源140と流体室Bとが連通され、油圧源1
40の圧力流体が流体室Bに供給されてピストン124
は外筒114の端部115bに向かって移動し、これに
より流体室Aの圧力流体が油圧源140に押し出され
る。
【0056】そして、電磁方向制御弁142は、横加速
度センサ26、操舵角センサ27及び位置センサ156
の検出信号に基づき、制御装置100により方向制御さ
れる。制御装置100は微分器80とロール剛性配分制
御回路70と駆動制御回路130とからなり、横加速度
センサ26の横加速度検出値YG 、操舵角センサ27の
操舵角検出値θ及び位置センサ156の位置検出値Lを
入力し、これら検出値に基づき方向制御弁142を作動
させる駆動電流CS1 及びCS2 を出力する。
【0057】ここで、ロール剛性配分制御回路70は操
舵角センサ27の操舵角検出値θを微分器80に通して
求めた操舵角速度θ′と横加速度センサ26の横加速度
検出値YG とを入力し、これらの検出値をもとに前記第
1実施例と同様にロール剛性フロント配分αを算出し、
駆動制御回路130に出力する。駆動制御回路130
は、ピストン124の位置Lに対するロール剛性可変ス
タビライザ110のロール剛性フロント配分αの関係を
表すマップを記憶している。このマップは、図13に示
すように、ピストン124が中立位置LN にあるときロ
ール剛性フロント配分がロール剛性基本配分α0 とな
り、ピストン124の位置Lが最大になったときにロー
ル剛性フロント配分αが最大となり、ピストン124の
位置Lが最小になったときにロール剛性フロント配分α
が零となるように設定されている。すなわち、ピストン
124の位置が、図12において右端にあるとき、すな
わち外筒114の端部115aに接近して位置するとき
ロール剛性が最小となり、外筒114の中央にあるとき
ロール剛性が中間となり、左端にあるとき、すなわち外
筒114の端部115bに接近して位置するときロール
剛性が最大となる。
【0058】そして、図13のマップから、ロール剛性
配分制御回路70で求めたロール剛性フロント配分αと
なるピストン124の設定位置LS を求め、位置センサ
156の位置検出値Lと設定位置LS とを比較し、位置
検出値Lが設定位置LS よりも大きい場合(L>
S )、駆動電流CS2 を出力して左側のソレノイド1
42aを励磁して方向制御弁142を左切換位置に移動
し、流体室Aと油圧源140とを連通し、油圧源140
の圧力流体を流体室Aに供給して、ピストン124を外
筒114の端部115aに向かって移動させる。逆に、
位置検出値Lが設定位置LS よりも小さい場合(L<L
S )は、駆動電流CS1 を出力して方向制御弁142を
右切換位置に移動し、流体室Bと油圧源140とを連通
し、油圧源140の圧力流体を流体室Bに供給して、ピ
ストン124を外筒114の端部115bに向かって移
動させる。
【0059】次に、上記第3実施例の動作を説明する。
今、ロール剛性可変スタビライザ110を左右の前輪間
に設置した車両が路面に凹凸がなく平坦な良路を直進走
行しているものとする。この状態では、前記第1実施例
と同様に、車体に横加速度が生じていないので、横加速
度センサ26の横加速度検出値YG は零となり、また、
操舵角センサ27の操舵角検出値θは零となる。この
時、横加速度センサ26の横加速度検出値YG と操舵角
センサ27の操舵角検出値θから求めた操舵角速度θ′
とをもとに回頭収束判定を行い、ロール剛性配分補正値
Δαを求めると、Δα=0となるのでロール剛性フロン
ト配分αの変更は行わない。よって、ピストン124を
移動させる必要はないので方向制御弁142を制御する
必要はなく、方向制御弁142は中立位置を保ち、ピス
トン124は外筒114の中央部に位置する。
【0060】この直進走行状態から、ステアリングホイ
ールを右切り又は左切りして旋回状態に移行すると、車
体に横加速度が発生し、横加速度センサ26の横加速度
検出値YG が増加する。また、操舵角センサ27の操舵
角検出値θも増加する。上述と同様に、横加速度検出値
G 及び操舵角検出値θから求めた操舵角速度θ′をも
とに、回頭収束判定を行う。回頭初期状態では、操舵角
速度θ′と横加速度検出値YG との積が正の値(YG
θ′≧0)で、かつ、操舵角速度θ′の絶対値|θ′|
が任意に設定した操舵角速度の設定値Sの絶対値|S|
よりも大きい(|θ′|>|S|)ので、状態係数γは
γ=0となる。よって、ロール剛性配分補正値ΔαはΔ
α=0となり、ロール剛性可変スタビライザ110のロ
ール剛性フロント配分αの変更は行わない。したがっ
て、ピストン124は外筒114の中央部に位置したま
まである。
【0061】また、回頭状態から収束状態へ、又は収束
状態から回頭状態へ移行している場合は、操舵角速度
θ′と横加速度検出値YG との積が正の値(YG ・θ′
≧0)で、かつ、操舵角速度θ′の絶対値|θ′|が、
設定値Sの絶対値|S|よりも小さい(|θ′|≦|S
|)ので、状態係数γは前記 (1)式により求められ、次
いで、前記 (2)式よりロール剛性配分補正値Δαを算出
し、算出したロール剛性配分補正値Δαをロール剛性基
本配分α0 に加算し、ロール剛性配分可変幅を超えない
ようリミッターをかけた後、ロール剛性フロント配分α
を算出する。
【0062】算出したロール剛性フロント配分αを図1
3のマップと照らし合わせ、ロール剛性フロント配分α
となるピストン124の設定位置LS を求め、この設定
位置LS と位置センサ156の位置検出値Lとを比較す
る。この場合、設定位置LSの方が位置センサ156の
位置検出値Lよりも大きいので(LS >L)、ピストン
124を外筒114の端部115b側に移動する必要が
あり、駆動制御回路130から駆動電流CS1 を出力
し、方向制御弁142を右切換位置に移動し、油圧源1
40と流体室Bを連通し、流体室Bに圧力流体を供給し
て、ピストン124の位置Lが設定位置LS と等しくな
るまで、ピストン124を外筒114の端部115b側
に移動させる。ピストン124の位置Lが設定位置LS
と等しくなったら、駆動制御回路130から駆動電流C
1 の出力を停止し、方向制御弁142を中立位置に移
動し、圧力流体を遮断する。ピストン124を外筒11
4の端部115b側に移動することにより剛性に寄与す
る外筒114の部分が長くなり、ロール剛性可変スタビ
ライザ110の剛性が増大し、前輪側のロール剛性が大
きくなり、車両のステア特性をアンダーステア化するこ
とができる。
【0063】次いで、横加速度センサ26の横加速度検
出値YG と操舵角センサ27の操舵角検出値θから求め
た操舵角速度θ′との積が負の値(YG ・θ′<0)と
なった時点で収束状態と判定し、状態係数γをγ=1と
してロール剛性配分補正値Δαを前記 (2)式より求
め、上記と同様にロール剛性可変幅を考慮しながらロー
ル剛性フロント配分αを算出し出力する。算出したロー
ル剛性フロント配分αと図13のマップとからピストン
124の設定位置LS を求め、外筒114に設置された
位置センサ156の位置検出値Lと求めた設定位置LS
とを比較し、この場合ロール剛性フロント配分αが増加
したので設定位置LS が位置検出値Lより大きくなり
(LS >L)、上記と同様にピストン124の位置を外
筒114の端部115b側に移動する必要があるので駆
動制御回路130から駆動電流CS1を出力し、方向制
御弁142を右切換位置に移動し、油圧源140と流体
室Bとを連通し、流体室Bに圧力流体を供給することに
よりピストン124を外筒114の端部115b側に移
動させる。ピストン124の位置Lが設定位置LS と等
しくなった時、駆動制御回路130から駆動電流CS1
の出力を停止し、方向制御弁142を中立位置に移動
し、圧力流体を遮断する。
【0064】この場合もロール剛性可変スタビライザ1
10の剛性が増大するので前輪側のロール剛性が大きく
なり、車両のステア特性がアンダーステア化される。し
たがって、ロール剛性可変スタビライザ110の前輪側
のロール剛性が増加することにより、車両のステア特性
をアンダーステア化することができるので収束性を向上
することができる。
【0065】この第3実施例によると、回頭収束判定を
行い、回頭初期状態であると判定した場合にはロール剛
性フロント配分αの変更は行わず、回頭状態から収束状
態に移行する場合、又は、収束状態から回頭状態に移行
する場合及び収束状態時に、ロール剛性可変スタビライ
ザ110のロール剛性フロント配分αを横加速度に応じ
て徐々に増加させることにより、車両のステア特性をア
ンダーステア化することによって、車両の旋回終了時の
収束性を高めることができる。
【0066】なお、第3実施例ではスタビライザの剛性
に寄与する長さを変化させることによりロール剛性を変
化させているが、本発明はこれに限らず、ロール剛性を
変化させることのできるものであれば、任意の構成のロ
ール剛性可変スタビライザに適用することができる。ま
た、後輪側にもロール剛性可変スタビライザを設けて、
前後のトータルロール剛性を一定に保ちながら前輪側の
分担率を変更するようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、旋回時に車両に作用する力と操舵角速度とに基づい
て回頭状態における収束開始を検出した後の収束度合を
検出し、この収束度合と旋回度合成分に応じて左右荷
重移動量の前後配分比をその前側配分比が増すように制
御するようにしたから、回頭状態においてその収束開始
が検出されたときにはこれ以後その収束度合に応じて車
両のステア特性をアンダーステア化することができ、よ
り早い時点でステア特性をアンダーステア化することが
できるから、回頭時に舵の効きを損なうことなく、旋回
終了時の収束性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略構成を示す基本構成図である。
【図2】本発明による車両用サスペンション制御装置の
第1の実施例を示す概略構成図である。
【図3】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】コントローラで行われる処理の一例を示すフロ
ーチャートである。
【図5】コントローラで行われる処理の一例を示すフロ
ーチャートである。
【図6】本発明の動作説明に供する波形図である。
【図7】本発明の動作説明に供する波形図である。
【図8】横加速度と操舵角速度との相関関係から回頭収
束の判定を行う判定図である。
【図9】本発明による車両用サスペンション制御装置の
第2の実施例を示す概略構成図である。
【図10】第2の実施例のコントローラで行われる処理
の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明による車両用サスペンション制御装置
の第3の実施例の制御装置を含むスタビライザの概略を
示す平面図である。
【図12】第3の実施例のスタビライザの要部を示す断
面図である。
【図13】ロール剛性配分に対するピストン位置の関係
を示す特性線図である。
【符号の説明】
12 車輪側部材 14 車体側部材 16 能動型サスペンション 18FL〜18RR 前左〜後右油圧シリンダ 20FL〜20RR 前左〜後右圧力制御弁 26 横加速度センサ 27 操舵角センサ 28 ヨーレートセンサ 30 コントローラ 70 ロール剛性配分制御回路 100 制御装置 110 ロール剛性可変スタビライザ 114 外筒 124 ピストン 130 駆動制御回路 142 4ポート3位置電磁方向制御弁 YG 横加速度検出値 α ロール剛性フロント配分 Δα ロール剛性配分補正値 γ 状態係数 θ 操舵角検出値 θ′ 操舵角速度 S 設定値 Φ ヨーレート検出信号
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 17/015

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に作用する横加速度に応じて発生す
    る左右荷重移動量の前後配分比を可変できる車両用サス
    ペンション制御装置において、旋回時に車両に作用する
    力によって旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、該
    旋回状態検出手段の旋回状態検出値をハイパス・フィル
    タ処理した値から旋回度合が強まる方向の成分を抽出す
    る旋回度合成分抽出手段と、車両の操舵角速度を検出す
    る操舵角速度検出手段と、前記旋回状態検出手段の旋回
    状態検出値と前記操舵角速度検出手段の操舵角速度検出
    値とに基づき回頭状態における収束開始を検出した後の
    収束度合を検出する収束度合検出手段と、当該収束度合
    検出手段で検出した収束度合及び前記旋回度合成分抽出
    手段で抽出した旋回度合成分に応じて前記左右荷重移動
    量の前後配分比を前側の配分比が増すよう制御する荷重
    配分制御手段とを備えたことを特徴とする車両用サス
    ペンション制御装置。
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