JP4760237B2 - 光学部品及びそれを用いた投射型画像表示装置 - Google Patents

光学部品及びそれを用いた投射型画像表示装置 Download PDF

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反射防止膜を形成したレンズ等の光学部品、及びそれを用いた投射型画像表示装置に関する。
カメラや望遠鏡等に用いられるレンズは空気との界面で屈折率の違いにより生じる反射により光がロスするため、また外光が強い環境では反射による映り込みが大きいため、受光面、及び出光面には反射防止膜が形成されている。
光源として大光量を照射する超高圧水銀ランプ等を用い、液晶表示素子等の映像表示素子を介して投写画像をスクリーンに表示する投写型画像表示装置として、液晶プロジェクタ,背面投写型液晶プロジェクションテレビが企業,一般家庭に普及し始めている。
液晶プロジェクタの光学系を簡単に説明すると、光源であるランプから出力された光は複数のレンズ,偏光変換素子,ダイクロイックミラー,映像表示素子等を通って色合成プリズムで合成され、投射レンズを介してスクリーンに画像として表示される。
また背面投写型液晶プロジェクションテレビの場合は投射レンズから出力された画像光が背面ミラーで方向を修正され、前面板に投射されることにより画像を表示する。
このように種々の光学部品を介して光が進むので、各部品の受光面、及び出光面で反射が大きい場合は、その分光量が小さくなり、結果として画像が暗くなる等の問題がある。そのため、各部品の受光面、及び出光面には反射防止膜が設けられている。
しかし、現行の光学部品に用いられる反射防止膜はほとんどが蒸着により形成するため、真空プロセスが必要である。また、反射防止膜には多層型と単層型があり、多層型の方が反射防止性能には優れるものの製造工程が増えるため、できれば単層のものが切望されている。
そこで、以下に単層型の反射防止膜の設計指針を概説する。
レンズ等の光学部材に用いられる部材としてはガラス(屈折率は1.5〜1.54),アクリル樹脂(屈折率は1.49),PET樹脂(屈折率は1.56)等の透明なものが挙げられる。これら部材の屈折率をn1、空気の屈折率をn0としたとき、反射率Rは下記式で表される。
R={(n1−n0)/(n1+n0)}2 …(1)
なお空気の屈折率n0は通常1.0であるためこの式は下記のようになる。
R={(n1−1)/(n1+1)}2 …(2)
この式にガラス,アクリル樹脂,PET樹脂の屈折率を当てはめるとそれぞれの透明部材の片面における反射率は、ガラスが3.9〜4.0% 、アクリル樹脂が3.9%、PET樹脂が4.8% となる。この反射率を抑えるため部材表面に適正な膜厚で単層構造の反射防止膜を設けた場合、反射率R′は、空気層の屈折率n0 ,最表面基板の屈折率n1 ,膜の屈折率n2 とすると、
R′={(n2 2−n0×n1)/(n2 2+n0×n1)}2 …(3)
から求められる。空気の屈折率n0は通常1.0であるため、
R′={(n2 2−n1)/(n2 2+n1)}2 …(4)
となり、n2 2=n1 のとき、すなわちn2=√n1 のとき理論的に反射率は0%になる。
これをあてはめれば、ガラスに適用するための反射防止膜の屈折率は1.22 前後のものが好適となる。しかしながら、現状の材料では、比較的屈折率の低いといわれるフッ素系の樹脂であっても約1.34 程度、無機材料のうち特に低屈折率で知られるフッ化マグネシウムでも約1.38 程度であり、単層で十分な反射防止を得ることは極めて困難であった。
近年、単層膜で屈折率をより低くする方法が提案されており、その1つに下記特許文献1に記載のエアロゲル薄膜がある。エアロゲル薄膜は内部に空洞のある微粒子(中空微粒子)と、この中空微粒子を保持するバインダーを有した薄膜である。このエアロゲル薄膜の内部の空洞は、実質的に空気と同じ屈折率(屈折率1.0 )であるため、その中空微粒子の材質や中空微粒子を保持するバインダーの屈折率が大きくても、膜としてみれば結果的に空気に近い屈折率となる。即ち、この膜を基板に形成することで反射率を低減できるというものである。
また、エアロゲルとは別の方法で、単層膜で屈折率をより低くする方法の1つに、下記特許文献2に記載の低屈折率膜がある。これは、空気に近い側に有機超微粒子の表面が露出し、表面に凹凸を生じさせることで、表面の密度を下げ、結果として屈折率の低い膜を形成すると開示されている。
また、別の方法では、下記特許文献3に記載のハニカム構造の細孔を有する低屈折率膜がある。これは、ハニカム状に形成された複数の細孔が、シリカ微粒子を貫通するようにかつ互いに平行に形成されることにより、シリカ微粒子自体の強度を低下させること無く、最大の空隙率を得ることができる。これによって、機械的強度に優れた低屈折率膜を形成することができると開示されている。
特開2003−201443号公報 特開平7−92305号公報 特開2004−83307号公報
現状のフッ化マグネシウム等を用いた多層反射防止膜では、表面が凹面、或いは凸面のレンズに対する密着性が低く、長期使用で剥離することがある。特に材質がアクリルの場合、この傾向が著しい。
更に上記特許文献1に記載のエアロゲル薄膜では、空孔率が高いため膜の機械的強度が低くなるという課題がある。膜の物理的強度は中空微粒子の物理的強度に大きく依存する。屈折率を低下させるためには、中空微粒子の空孔を大きくする必要があり、このために中空微粒子の殻を薄くしたエアロゲル薄膜では物理的強度向上が困難である。また、中空微粒子の殻を厚くして空孔を大きくした場合では、粒子サイズが大きくなるため可視光で散乱しやすくなり、透過率が低下するので現実的ではない。更に、超臨界炭酸を用いる製造プロセス上の特殊性もネックである。特に平坦ではなく凹凸のあるレンズ等の光学部品にとって、製膜技術の検討も必須となる。
また、上記特許文献2に記載の低屈折率膜と上記特許文献3に記載のハニカム構造の細孔を有する低屈折率膜では、架橋や重合によって膜の機械的強度は高いと考えられるが、膜表面の凹凸に汚れが入り込むことで屈折が高くなる可能性がある。また、これらの構造では、屈折率が1.3 から1.4 程度であり、理想的な値(1.3未満)とは乖離がある。
本発明の目的は、上記に挙げた課題を解決するためのものである。即ち、高い反射防止能と物理的強度とを両立する反射防止膜を有する光学部品,画像表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するための一手段は下記の通りである。
光を透過、或いは一部反射することを特徴とする光学部品において、光の受光面、或いは光の出光面に反射防止膜を有し、その反射防止膜が無機酸化物粒子とバインダーから構成され、その反射防止膜の厚さが60〜190nmであり、且つ反射防止膜が5〜200nmの大きさの空隙を有する構成とする。
また、無機酸化物粒子は酸化ケイ素粒子であり、且つバインダーがケイ素化合物からなる構成とする。
また、粒子の長軸の径は190nm以下であり、且つ短軸の径は膜厚よりも小さい構成とする。
また、反射防止膜表面に含フッ素化合物からなる層を有する構成とする。
また、フッ素化合物は(化1)構造であり、且つ前記層は化学結合により下地と結合している構成とする。
また、反射防止膜中にポリアルキレングリコール鎖を有する有機化合物が添加されている構成とする。
また、反射防止膜中に塩構造を有する有機化合物が添加されている構成とする。
また、光学部品がレンズ,偏光変換素子,ダイクロイックミラー,映像表示素子,色合成プリズム,ランプの管球,背面ミラー,前面板を有する構成とする。
また、光源からの光束を反射させて出射し、該光源からの出射光束を表示素子で光強度変調して、該光強度変調された映像光を投射レンズで拡大して表示する投射型画像表示装置において、その装置の内部に組み込まれている複数のレンズ,偏光変換素子,ダイクロイックミラー,映像表示素子,色合成プリズム,ランプの管球,背面ミラー,前面板の少なくとも1つの部品の少なくとも1つの受光面に上述した構成の反射防止膜が形成されている構成とする。
高い反射防止能と物理的強度とを両立する反射防止膜を有する光学部品、及び画像表示装置を提供できる。
我々は種々の製膜材料・方法を検討した結果、無機酸化物粒子とバインダーから形成される膜において、バインダーに、或いはバインダーと無機酸化物粒子の間に5〜200
nmの大きさの空隙を持たせる方法を見出した。この膜はバインダーの屈折率より小さな値を示すと同時に、膜内部に空隙を有しているにもかかわらず空隙を持たない無機酸化物粒子を用いているため物理的強度に優れ、アクリル,ガラス等の透明部材への密着性が高いことも判明し、この膜を有するレンズ等の光学部品は表面の反射が少なく光透過性が高くなるとともに、膜の表面への密着性にも優れるため物理的強度が高いことがわかった。
また膜中の空隙も膜中に均一に存在するのではなく、基板表面よりも反射防止膜表面近傍に局在化しているため、膜厚に多少の差があっても反射防止機能が発揮されるとともに、その機能は広い波長域の光に対して得られることがわかった。
更に膜材料として無機酸化物微粒子として酸化ケイ素微粒子を用い、バインダーとして加水分解性残基を有するケイ素化合物(シリカゾル)を用いた膜は、バインダーである酸化ケイ素の屈折率よりもかなり小さな値(具体的には屈折率1.33 以下)を示すと同時に、内部に空隙を有しているにもかかわらず物理的強度に優れていることもわかった。
加えてこの膜は基板への密着性も高い。特に部材がアクリル等の樹脂の場合はフッ化マグネシウムやフッ素系樹脂等、従来用いられてきた反射防止膜に比べて著しく高いことがわかった。
その他、この膜は表面抵抗が非常に小さいため、冬のように低湿度条件でもチリ等の埃が付着しにくいという効果も発揮することがわかった。
以下、本発明の実施形態及び実施例について、図面を用いて詳細に説明するが、本発明を用いた種々の変更は可能であり、実施形態,実施例に限定されることは無い。
本実施形態に係る光学部品の幾つかの例を図1に示す。
それぞれの表面に反射防止膜1が設けられている。レンズ,偏光変換素子等は入射光2の受光面と出射光3の出光面の両面に反射防止膜が設けられる。ダイクロイックミラーは入射光の受光面はミラー面4の反射率を高める必要があるので出光面にのみ反射防止膜が設けられる。なおレンズはこの図では凸レンズであり、端部に光学系への固定部分5があるものを示している。
本実施形態に係る光学部品表面に設ける反射防止膜は無機酸化物微粒子とバインダーから形成されている。バインダーは反射防止膜のバインダーとして機能するものである。また基本的にこの膜は少なくとも無機酸化物粒子、及びバインダーと溶媒を混合した塗料を基板に塗布・加熱によって製膜する。バインダーがシリカゾル,エポキシ樹脂モノマー,メラミン樹脂モノマー等の熱硬化性物質の場合は重合、即ち塗膜の熱硬化を促進するための触媒も塗料に極少量添加される。また、本実施形態にかかわる反射防止膜は、単層プロセスで形成可能であるが、多層プロセスで形成しても良い。
本実施形態に係る光学部品表面に設ける反射防止膜の形成方法の概略について図1を用いて説明する。
まず基板6に塗料7を塗布し塗膜を形成する。そして速やかに加熱する。このとき塗膜内では溶媒が急激に気化し、膜に気泡8を生じさせる。この状態で塗膜を固化させると気泡部分が空隙9として保持され、本実施形態に係る反射防止膜1が形成されることとなる。
図3は本実施形態の反射防止膜の一例についての断面写真であり、アクリル基板上に反射防止膜が形成されたものである。
無機酸化物は酸化ケイ素の粒子であり、バインダーとしてはシリカゾルを用いている。アクリル基板上には低屈折率膜が形成されており、更にその上にはカーボンが形成されている。なおここでカーボンは測定における断面のサンプルを作成する際、断面が破断しないようにするためにのみ形成したものであり、本実施形態に係る反射防止膜の効果には影響を与えていない。
図3では低屈折率膜の内部に幾つかの空隙10が存在していることが確認できる。空隙の形状は不定形ではあるが、大きさとしては長軸がおおよそ5〜150nmとなっている。なおここで長軸とはそれぞれの空隙内において最も長く取れる距離を結んだ軸をいい、長軸の長さとは、その距離をいうこととする。
ここで、空隙であることを確認するため空隙と空隙でない部分の元素の存在強度について測定した。この結果を図4に示す。
図4の結果、空隙は空隙でない部分に比べて炭素,酸素,ケイ素等の存在強度小さいことがわかった。このことからも空隙の存在を確認できた。
膜のバインダーである酸化ケイ素(屈折率は約1.5 )と空隙(屈折率は約1.0 )の膜中に占める割合を変えることで屈折率が制御できる。具体的には空隙の割合が大きくなるほど屈折率が小さくなる。
また熱硬化中の塗膜中での溶媒の気化が空隙形成に寄与することから用いる溶媒の沸点、及び基板に塗料を塗布後の熱硬化温度によっても空隙の形成は制御できる。
更に図3にその傾向が見出せるが、空隙は膜の比較的上部(最表面に近い部分)に多く形成している。これは熱硬化、即ち加熱によって基板上の塗料内部で形成を始めた気泡が、表面近傍に上がってくるためと考えられる。即ちこれは、基板側から徐々に屈折率が低くなる傾向を有すること、一層であってもその層内に屈折率の傾きを有していることを意味する。この結果基板側ではより基板に近い屈折率を有することを意味し、基板側でない表面側ではより空気に近い屈折率を有していることとなる。この結果、基板と反射防止膜との界面での反射,空気と反射防止膜界面での各反射を一層で低減させることができるのである。
上記性質により、同じ組成の塗料を用いて厚さの異なる膜を形成した場合、熱硬化条件が同じ時は薄い膜ほど屈折率が低い傾向がある。これは表面近傍に多くの空隙が形成しやすいためである。
もし、空隙を表面近傍だけではなく内部にも多く形成させるためには、複層化する方法も考えられる。これにより、空隙が表面近傍だけでなく内部にも形成されるので、膜の物理的強度がいっそう向上する。
また図3の断面写真から、空隙は膜内部には存在するが、膜表面には少ないため耐擦性にも優れるといえる。空隙が膜表面に多いと膜表面の凹凸が大きくなり、それによって布などで拭いたときに引っ掛かりやすくなるが、表面凹凸が小さいと引っ掛かりが少なくなるので、膜が剥がれたり傷ついたりしにくくなるためである。
以下に塗料材料の説明、及び製膜の詳細を記述する。
(1)塗料材料
塗料材料はバインダー,無機酸化物微粒子,溶媒からなる。これらに関して下記に記述する。
(1−1)バインダー
塗膜材料としては、透明性の高い有機系或いは無機系の高分子材料,高分子化可能な材料が挙げられる。レンズ基材が樹脂の場合、有機系の塗膜材料を選択すると、用いる溶媒によって基板が膨潤,変形或いは溶解することがある。また硬度も無機系のものの方が高い傾向がある。そのため無機系の材料が好適である。無機系の材料の場合、低屈折率の材料の方が反射防止膜を形成する際には有利となる。低屈折率の材料としてはケイ素系の材料が好適である。
有機系の高分子材料としては、熱可塑性の高分子材料が挙げられる。具体的にはアクリル樹脂,ポリスチレン,スチレン−アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,ポリ塩化ビニル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。有機系の高分子化可能な材料としては、熱硬化性の高分子材料が挙げられる。具体的には脂肪族骨格のポリアミック酸誘導体等が挙げられる。
無機系の高分子材料としては、加水分解性残基を有するケイ素化合物(一般名はシリカゾル)、加水分解性残基を有するチタン化合物(一般名はチタニアゾル)等が挙げられる。これらはアルコキシシラン、あるいはアルコキシチタンが分子量数千程度に重合した化合物であり、アルコール系の溶媒に可溶の状態である。これらを加熱することにより酸化ケイ素、或いは酸化チタンのバインダーを形成できる。無機系の高分子化可能な材料としてはアミノ基やクロル基,メルカプト基等各種置換基を有するアルコキシシラン等が挙げられる。具体的な材料は後述する加水分解性残基を有するケイ素化合物の記述の中で示す。
上述したようにバインダーとしてはケイ素系の材料が好適である。具体的には加水分解性残基を有するケイ素化合物が好適である。これについて下記に詳細を記述する。
加水分解性残基を有するケイ素化合物の一つとしてシリカゾルが挙げられる。これは加熱によって酸化ケイ素に変化する物質である。形成される酸化ケイ素の光透過性が高いため、画像表示装置に用いる反射防止膜には好適である。またアクリルやポリカーボネート等の樹脂よりも酸化ケイ素微粒子を膜内部に分散させやすい。酸化ケイ素微粒子を膜内部で分散させられない場合、即ち凝集すると、膜が濁ってしまい、入射光が散乱し、光の透過率を低下させてしまうため好ましくない。次にシリカゾルの一般的な調製方法は以下の通りである。テトラアルコキシシランを弱酸性条件で加温するとアルコキシ基が加水分解して水酸基となり、これが近傍のアルコキシシラン基と反応しケイ素−酸素−ケイ素の結合を形成しながら高分子量化したものを示す。一般に平均分子量は数千にする。平均分子量が低すぎると(分子量数百の場合)、その後の加熱で酸化ケイ素の膜を形成する際、一部が揮発する問題が生じる。また平均分子量が高すぎると(分子量数万以上の場合)用いる溶媒に不溶となるため塗料化したとき、析出するという問題を生じる。
シリカゾルを作製する際用いられるテトラアルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトライソプロポキシシラン,テトライソブトキシシラン,テトラブトキシシラン等が挙げられる。これ以外にはアルコキシシラン基の代わりに塩素基を有するケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素等も挙げられる。
シリカゾル以外に加水分解性残基を有するケイ素化合物としては、テトラアルコキシシラン以外に、アミノ基やクロル基,メルカプト基等を有する化合物を含まれる。具体的には3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(1−2)無機酸化物粒子
無機酸化物粒子としては酸化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化セリウム等の無色、或いは白色の粒子が挙げられる。大きさとしては膜の平坦性を高める点で、粒子の短軸が平均膜厚以下になることが望ましい。また上記の中では低屈折率の膜が得やすいという点で、比較的屈折率の低い酸化ケイ素(屈折率は約1.5〜1.7),酸化アルミニウム(屈折率は約1.7〜1.9)等が好適である。そこで特に酸化ケイ素粒子について詳細を記述する。
無機酸化物粒子は球形の場合、膜に入射した光が散乱しないよう粒子径は波長の1/2以下が望ましい。可視光の波長領域が380nm〜780nmであるので、この範囲で散乱しないための粒子径は190nm以下が望ましい。酸化ケイ素微粒子は球形の場合、膜に入射した可視光(波長としては380〜760nm)が散乱しないよう平均粒子径は
190nm以下が望ましい。可視領域については、納谷嘉信著,1984年2月10日第2版 産業色彩学,朝倉書店,2ページに記載がある。これ以上になると入射した光が散乱するため膜が濁って見え、ディスプレイ関係への適用に不具合を生じる場合がある。また酸化ケイ素微粒子が鎖状の場合も上記と同様の理由で太さ(延伸方向に対して垂直な断面における太さ)を190nm以下にする必要にすることが望ましい。なお酸化ケイ素微粒子の粒子径は小さいほど透明性が向上する。そのため望ましくは平均粒子径100nm以下が好適である。
また、無機酸化物微粒子は、粒子径の異なるもの、あるいは形状の異なるものを複数種類用いても構わない。例えば棒状、或いは鎖状の粒子を用いる場合は、光の透過率を下げないため短軸が100nm以下、透過率の減少が1%以下となるためにはできれば40
nm以下が望ましい。
ところで用いるバインダーである加水分解性残基を有するケイ素化合物、及び溶媒への分散性も不十分であると、凝集により大きな二次粒子になってしまい、やはり膜が濁って見えてしまうという問題がある。そこで、できれば酸化ケイ素微粒子を良好に分散できる溶媒を使用するのが良いのであるが、基板の種類によってはそのような溶媒を使用できない場合も考えられる。そこでそのような場合には分散剤を添加する。具体的には非イオン性の分散剤が好適である。イオン性の分散剤の一部は加水分解性残基を有するケイ素化合物の重合を促進してしまう場合があり、基板への塗布前に塗料の粘度が著しく高まり、場合によってはゲル状、或いは完全に固体まで硬化してしまい、塗布できなくなってしまうこともあるので使用にあたってはこのような現象を生じないか否か確認することが望まれる。また分散剤を用いた場合、膜の強度が低下する傾向があるので、分散剤は可能な限り使用しないか、使用するとしてもなるべく少量にするよう検討することが望まれる。
酸化ケイ素微粒子としては予め分散媒に分散しているコロイダルシリカが好適である。コロイダルシリカ中の微粒子は表面に水酸基を多数有しているため親水性が高い。またこれらを部材として形成した反射防止膜は親水性であると同時に極めて抵抗が低い。具体的には1×1010〜10×1010Ω程度である。この値はガラス,アクリル樹脂,ポリカーボネート樹脂,PET樹脂等の1万分の1〜百万分の1と非常に小さい。そのため、チリ等の埃が付着しにくい。そのため、本発明の膜を透明な面に設けた温室等では光の入射量が増え、植物の発育時間の短縮につながる。画像形成装置の場合は乾燥した室内でも長時間表面にチリが付着しないため鮮明な画像を楽しむことが可能になる。また本発明の膜を設けた透明な基板はチリ等の埃が付着しにくいので、クリーンルーム等の壁,パーティション等、室内建材として有効である。
更に表面に水酸基が多く存在するため、通常のガラス板等に比べてアルコキシシラン基を有する化合物を多くの割合結合できる。そのため後述するアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物系、或いはパーフルオロアルキル化合物系の撥液剤を通常のガラス等の基板に比べて多くの割合結合させることができる。そのため通常のガラス板等に比べて撥液性を向上できる点で好適である。また、後述するアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物系、或いはパーフルオロアルキル化合物系の撥液剤を処理し、撥液性を持たせることも可能である。
コロイダルシリカのうち反射防止膜の構成部材として好適な酸化ケイ素微粒子は不定形のものである。膜の存在割合が同じ場合、真球のものに比べて形成される膜の屈折率を低減しやすい。膜のバインダー、いわゆる保持体はシリカゾルであり、酸化ケイ素は膜の保持体としての機能は極めて低い。そのためシリカゾルが無ければ膜としての形状を保つことは難しく、単なる粉体状態となる。そのため膜の物理的強度を高めるためには、酸化ケイ素の膜中での存在割合は小さい方が好適である。球状の酸化ケイ素を用いた場合に比べて鎖状の酸化ケイ素を用いた方が屈折率の低い膜を形成できる理由は定かではないが、膜中では球状のものに比べて空隙を形成しやすい形態を採っているのではないかと推定される。
酸化ケイ素以外に屈折率が小さく好適な酸化アルミニウムに関しても表面に水酸基を多数有するアルミナゾルは低抵抗率の膜を形成する点で好適である。
(1−3)溶媒
塗料の溶媒はバインダーを溶解、或いは一様に分散できるものが有効である。
但し、基板が樹脂の場合、ケトン系,エーテル系、或いはエステル系溶媒は基板を膨潤,変形,溶解する場合があるので、注意を要する。前述のバインダーとして好適の加水分解性残基を有するケイ素化合物と、無機酸化物微粒子として好適である酸化ケイ素微粒子を有する塗料の場合はアルコール系の溶媒が好適である。具体的にはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、tert−ペンタノール等が挙げられる。アルコール系溶媒はポリカーボネート,アクリル等で形成される基板を膨潤,変形,溶解させにくいので好適である。またアルコール系溶媒については炭素数の大きなアルコールは沸点が高くなる傾向がある。また枝分かれが多くなるほど沸点は低くなる傾向がある。後述する製膜の際、熱硬化の温度より沸点が若干低い方が屈折率の低い膜が形成しやすい。これは膜内部に溶媒の気化に伴って発生する空隙の膜に占める体積が増えるためである。
(1−4)分散剤
無機酸化物粒子は凝集すると、入射してくる光を散乱する。そのため透過率が低下する、或いは膜が濁る等の問題がある。特に無機物粒子の直径が60nm以上の場合、この傾向が著しく見られる。これは、わずかな個数で凝集しても、その凝集体の長軸が100
nm以上になり、可視領域の光の透過性を妨げてしまうためである。そこで、分散剤を添加することで粒子の凝集を抑制することが可能となる。
実際、凸レンズに反射防止膜を形成する際に、粒子径が60nmの酸化ケイ素粒子を用いた場合、分散剤を添加しない塗料で反射防止膜を形成すると、波長550nmの光の透過率は97%であったが、塗料中にポリアルキレングリコール鎖を有する分散剤を反射防止膜の固形分の1重量%加えたところ、光の透過率は99%に向上し、分散剤の効果が確かめられた。なおポリアルキレングリコール鎖を有する分散剤の代わりに末端がスルホン酸アンモニウム塩構造の分散剤を用いても同様の効果を確認できた。
分散剤の添加量としては反射防止膜の固形分の0.1 〜5重量%程度であるが、粒子の添加割合等によって適宜添加量は制御する。
分散剤としては非イオン性,イオン性の界面活性剤が有効である。
(i)非イオン性の界面活性剤
非イオン性の界面活性剤としてはポリアルキレングリコール鎖を有する化合物が挙げられる。ポリアルキレングリコール鎖は親水性を有し、無機酸化物粒子表面の水酸基,酸素原子等の吸着、或いは近傍に局在化する。一方ポリアルキレングリコール鎖以外の部分は溶媒に親和性のある構造、例えばアルキル鎖,アルキレン鎖等が望ましい。
ポリエチレングリコール鎖として具体的には繰り返し構造が、オキシエチレンユニット,オキシプロピレンユニットといったユニット内の炭素数が3以下が望ましい。ユニット内の炭素数が4以上の場合は、親水性が下がる傾向があるため、分散剤としての添加量を大きくする必要がある。その場合、膜内の空隙が添加した分散剤によって塞がれ屈折率が低くならず、反射防止性能に影響を与える可能性がある。
(ii)イオン性の界面活性剤
イオン性の界面活性剤としては、アニオン部位がスルホン酸イオン,カルボン酸イオンとなっているものが望ましい。カチオン部位はアルカリ金属イオン、具体的にはナトリウムイオン,カリウムイオン,リチウムイオン、又はアルカリ土類金属イオン、具体的にはマグネシウムイオン,カルシウムイオン、その他アンモニウムイオン等が望ましい。
(2)製膜方法
本実施形態の低屈折率膜は基板の前処理,塗布,加熱によって形成される。単層プロセスで形成可能であり、多層プロセスで形成しても良い。更に耐擦性を向上させるため、加熱後の後処理を行うこともある。これらの詳細について記述する。
(2−1)前処理
前処理では塗料を均一に付着させるため、基板の洗浄,基板の濡れ性向上を行う。
(i)基板の洗浄
基板の洗浄では基板に付着している汚れを良く溶かす、或いは良く除去できる溶媒,洗浄剤等を用いる。但し基板が樹脂の場合、例えばアクリルやポリカーボネートの場合は表面を溶解することによる曇りを発生させるような溶媒(テトラヒドロフラン,ジオキサン等)よりもメタノール,エタノール,プロパノール,ブタノール等のアルコール系溶媒が望ましい。基板がガラスの場合は塩基性の溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液等)に浸漬して表面を薄くエッチングすることで汚れも一緒に除去することも可能である。
(ii)基板の濡れ性向上
基板の濡れ性を向上することで塗料が均一に塗布されるため、膜厚にばらつきが少なくなり、光学特性が良好となる。また、基板と膜との密着性が向上するので膜強度向上につながる。基板の濡れ性を向上させるには、プラズマ照射装置等の機器による表面改質方法と、酸,塩基溶液等を用いて表面を化学的に改質する方法が挙げられる。
・機器による表面改質方法
この範疇の方法としては酸素プラズマ照射,オゾン雰囲気に放置,UV照射等が挙げられる。いずれも活性な酸素が基板表面に作用し、水酸基やカルボキシル基等を生成する。これらの基は親水性なので、これらの基が生成した表面は濡れ性が向上する。そのため塗布により均一な厚さの膜を得やすくなる。なおUV照射はUVによって空気中の酸素が活性な状態に変化し、これが表面を改質するものであるから、酸素プラズマ照射,オゾン雰囲気に放置と類似の効果が得られるものである。これ以外の方法としてはアルゴンプラズマが挙げられる。アルゴンプラズマを照射しても濡れ性は向上する。ただプラズマ発生装置の高周波電源の出力が同じ場合は酸素プラズマより照射時間を長めにする必要がある。
・化学的に改質する方法
ガラスは水酸化ナトリウム水溶液に浸漬すると表面のケイ素−酸素の結合が切断し水酸基を生成するため濡れ性が向上する。アクリル板もガラスと同様塩基に浸漬すると濡れ性が向上するがこの原理は表面のエステル基が加水分解し、水酸基、或いはカルボキシル基が露出することによって親水性が向上するというものである。
(2−2)塗布方法
塗布はスピンコート,ディップコート,バーコート,アプリケーターによるコート,スプレーコート,フローコート等特に限定は無い。適切な膜厚に制御するために塗料の濃度、及びそれぞれ個別の塗布方法の条件を適正化する必要がある。スピンコートの場合は回転数と回転時間が膜厚に影響を与える。特に回転数の影響が大きく、回転数を高めるほど膜は薄くなる傾向がある。ディップコートの場合は浸漬時間と引き上げ速度が膜厚に影響を与える。特に引き上げ速度の影響が大きく、引き上げ速度を小さくするほど膜は薄くなる傾向がある。バーコートの場合は適切な番数、アプリケーターによるコートの場合はギャップの大きさ、スプレーコートの場合はスプレーの移動速度、フローコートの場合は基板を保持する際の角度と用いる塗料の使用量などが個別の塗布条件である。
塗布の際の目標膜厚は60〜190nmが望ましい。理論的に膜厚tは入射する光の波長λ、光が入射する媒体(透明基板、及び本発明の反射防止膜の屈折率)をnとしたとき、t=λ/4nとなる場合に反射率が最小になる。
入射する光が可視光領域(380〜760nm)で、媒体の屈折率が空気(屈折率が約1.0)から比較的高屈折率の透明ガラス基板(屈折率が約1.7)までを部材の使用範囲と考えた場合、望ましい最小膜厚は380/(4×1.7)=56nm である。56nm未満の場合は可視光領域の光が入射した場合、十分に反射率に影響を与えることができなくなる。塗膜を製膜する場合の膜厚分布も考慮すると最小膜厚は56nmよりやや大きめの60nmを狙うことが望ましい。一方最大膜厚は760nm/(4×1.0 )=190nmなので、190nmが望ましい。以上の条件より本発明の膜厚は60〜190nmが適切と考えられる。また、人間の視感度には個人差があるが、納谷嘉信著,1984年2月10日第2版 産業色彩学,朝倉書店,4〜8ページに記載の明所視比視感度曲線で、相対分光感度の極大値の波長、つまり明るい環境で人間の視感度が最も高い波長(λ)は555nm付近である。また、反射率を理論的に0%にできる反射防止膜の屈折率は、適用する基板の屈折率で決まり、基板の屈折率の平方根が反射防止膜の屈折率となる。モニターなど画像表示装置に適用されている基板には、ガラス,アクリル樹脂,PET樹脂等が挙げられ、屈折率1.50〜1.54のガラスに対しては屈折率1.22〜1.24、屈折率1.49 のアクリル樹脂に対しては屈折率1.22、屈折率1.56のPET樹脂に対しては屈折率1.25 の反射防止膜を用いることが望まれる。以上より、555nmの波長において、屈折率1.5 の基板の反射光を理論的に0%にできる反射防止膜の膜厚は、
116nmである。反射防止膜なしでの基板片面の反射率は約4%あるので、少なくとも反射率を4%以下にできる反射防止膜の膜厚は90nmから140nmの範囲である。
(2−3)加熱
塗布工程後、溶媒を揮発させる、或いはバインダーによっては重合を進行させるために加熱を行う。加熱温度を溶媒の沸点以上にすることで膜内に気泡が発生し、最終的に空隙として膜中に残り、結果として膜の屈折率を低減する。
ところで、加熱温度は溶媒の沸点以外に基材の耐熱温度以下にする必要があり、またバインダーとして熱硬化性の材料を用いた場合は熱硬化温度以上にする必要がある。そのためこれら要求を満たすよう溶媒の選定,基材の選定,バインダー材料の選定を行う必要がある。更に加熱後の冷却で膜と基板の体積収縮率に差があると、膜の剥離,基板の変形等の問題が起こる可能性があるので、基板と膜は材質の似通ったもの、或いは線膨張率の近いものを選択することが望ましい。この観点で考えていくと、バインダーとして好適なシリカゾル,無機酸化物微粒子として好適な酸化ケイ素微粒子を用いた場合、加熱により形成される膜は酸化ケイ素になるので、線膨張率が近いガラス、或いは石英が基板材料として好適といえる。
(2−4)後処理概要
熱硬化によって本発明の反射防止膜は形成されるが、これに撥液性を有する含フッ素化合物からなる層が形成されることによって、表面の防汚性が向上する。ただし撥液性を有する含フッ素化合物からなる層の厚さは形成された反射防止膜の反射防止効果を低下させることがないよう、極めて薄く製膜する必要がある。具体的には(2−2)のところで述べたよう56nm未満にすることで反射率への影響を逃れることができる。なお人間の視感度の高い555nmの波長において、反射率への影響が1%未満となる撥液層の膜厚は、我々の検討では6nm未満であった。
なお撥液性を有する含フッ素化合物からなる層の形成形態は下記2種類挙げられる。
・撥液性を有する含フッ素化合物からなる塗膜
撥液性を有する含フッ素化合物からなる塗膜を形成する方法である。表面を塗膜で被覆することにより撥液性を発揮するものである。そのため、反射防止膜が低抵抗の場合、撥液性の含フッ素化合物が被覆されるため、表面抵抗が高まり、結果的にチリ等の埃を付着しやすくなる。
この膜を形成する材料としては、サイトップ(旭硝子社製),INT304VC(INTスクリーン社製)等が挙げられる。これらを溶媒で希釈後、塗布し、加熱することにより溶媒を揮発させ、場合によっては熱硬化させることにより製膜する。
・パーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を結合
末端に水酸基等と結合可能なアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を反射防止膜に結合させる方法である。具体的には(化1)下記で示されるような化合物を反射防止膜に結合される。
この場合、反射防止膜表面を完全に被覆するのではなく、反射防止膜上に草のようにパーフルオロポリエーテル鎖、或いはパーフルオロアルキル鎖が生えているような状況になる。反射防止膜の表面が完全に被覆されているわけではないので膜が1011Ω以下の低抵抗の場合、この方法を行った後も膜は低抵抗性を維持することが可能となる。
更にこれらパーフルオロポリエーテル鎖、或いはパーフルオロアルキル鎖を表面に形成することで、表面の潤滑性も向上する。そのため、擦れによる表面の物理的ダメージを緩和し、耐擦性の高い表面を形成することができる。
以上より、防汚性以外に表面の低抵抗の維持,耐擦性向上を図れる点で、撥液層を形成する際は、末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を用いる方法が有利である。
(2−5)後処理で用いる撥液剤
(2−4)で記述したように撥液剤としては末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物が有効である。下記に撥液剤、及び撥液膜形成方法を示す。
撥液剤
末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物としては具体的には以下の化合物1〜12があげられる。
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このうち化合物1〜8は以下に示す合成方法を実行することで得られる。化合物9〜
12は化合物名がそれぞれ1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,
1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランとしてヒドラス化学社より上市されている。またその他の市販材料としてはダイキン工業社製オプツールDSXが挙げられる。また化合物1〜4はフッ素鎖がパーフルオロポリエーテルであり、このフッ素鎖を有する化合物から形成される撥液膜は水以外にオイルやタバコの煙等に長期(1000時間)にわたって接触しても撥水性が殆ど低下しない(低下量は5°以下)という特徴がある。これら化合物を一般式で表すと以下のようになる。
Figure 0004760237
上記化合物を用いることで、エンジンオイルやガソリン等の汚染が懸念される環境においても防汚性の高い反射防止膜が形成可能となる。
化合物5〜12はオイルやタバコの煙に長期(1000時間)にわたって接触すると、水との接触角が浸漬前(約110°)から基材の接触角とほぼ同じレベルまで低下する。
(化合物1の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)を3M社製PF−5080(100重量部)に溶解し、これに塩化チオニル(20重量部)を加え、攪拌しながら48時間還流する。塩化チオニルとPF−5080をエバポレーターで揮発させクライトックス157FS−Lの酸クロライド(25重量部)を得る。これにPF−5080(100重量部),チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部),トリエチルアミン(3重量部)を加え、室温で20時間攪拌する。反応液を昭和化学工業製ラジオライト ファインフローAでろ過し、ろ液中のPF−5080をエバポレーターで揮発させ、化合物1(20重量部)を得た。
(化合物2の合成)
チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部)の代わりにチッソ(株)製サイラエースS360(3重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物2(20重量部)を得た。
(化合物3の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製デムナムSH(平均分子量3500)(35重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物3(30重量部)を得た。
(化合物4の合成)
チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部)の代わりにチッソ(株)製サイラエースS360を用い、デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製デムナムSH(平均分子量3500)(35重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物4(30重量部)を得た。
(化合物5の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製7H−ドデカフルオロヘプタン酸(分子量36.06) (3.5重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物5(3.5重量部)を得た。
(化合物6の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製7H−ドデカフルオロヘプタン酸(分子量346.06) (3.5重量部)を用い、チッソ(株)社サイラエースS310(2重量部)の代わりにチッソ
(株)社サイラエースS320(2重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物6(3.5重量部)を得た。
(化合物7の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製9H−ヘキサデカフルオロノナン酸(分子量446.07)
(4.5 重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物7(4.5重量部)を得た。
(化合物8の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量200)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製9H−ヘキサデカフルオロノナンサン(分子量446.07)
(4.5 重量部)を用い、チッソ(株)製サイラエースS310(2重量部)の代わりにチッソ(株)サイラエースS320(2重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物8(4.5重量部)を得た。
(b)撥液膜形成方法
末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を用いる撥液膜形成方法は以下の通りである。
まず末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を溶媒に溶解する。濃度は塗布方法によっても異なってくるが、概ね0.01〜1.0重量%程度である。アルコキシシラン基は溶媒中の水分、或いは空気中から溶媒に入り込んでくる水分によっても徐々に加水分解されるので、溶媒は脱水するか、フッ素系の溶媒のように水を溶解しにくいものを選択することが望ましい。フッ素系の溶媒として具体的には3M社のFC−72,FC−77,PF−5060,PF−5080,HFE−7100,HFE−7200,デュポン社製バートレルXF等が挙げられる。こうしてパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を溶解した液(以後撥液処理剤と記述)を調製する。
次に反射防止膜表面に撥液処理剤を塗布する。塗布の方法はディップコート,スピンコート等通常の塗布方法を用いる。次に加熱する。加熱はアルコキシシラン残基が表面の水酸基等と結合を形成するのに必要な条件であり、通常120℃では10分間程度、100℃では30分間程度行うことで完了する。90℃では1時間程度である。常温でも進行するがかなりの時間を要する。
最後にフッ素系の溶媒で表面をリンスし、余分な撥液剤を除去することで撥液処理が完了する。リンスの際使用する溶媒は撥液処理剤の説明で提示した溶媒が使用できる。
(3)レンズ,プロジェクタ等への使用について
図5にフロントプロジェクタタイプの画像表示装置の光学系の模式図を示す。
以下にランプから出力された光が画像光となるまでの順序を示す。
ランプ11より発生した白色光はリフレクタ12により集められ、凹レンズ13を介して第1レンズアレイ14へと出射される。第1レンズアレイは、入射した光束を複数の光束に分割して効率良く第2レンズアレイ15と偏光変換素子16を通過させるように導く。第2レンズアレイは、構成するレンズセルそれぞれが、対応する第1レンズアレイのレンズセルの像を、赤緑青(RGB)の3原色に対応する映像表示素子2R17、及び2G18,2B19側に投影する。これら第1レンズアレイの各レンズセルの投影像を集光レンズ20、及びコンデンサレンズ10R21、及び10G22,10B23,第1リレーレンズ24,第2リレーレンズ25により各映像表示素子2R,2G,2B上に重ね合わせる。また光学系内で光の方向を変えるためのミラー26〜29も設ける。上記過程において、ダイクロイックミラー30,31により光源で発生した白色光はRGBの3原色に分離され、それぞれ対応する映像表示素子2R,2G,2Bに照射される。映像表示素子2R,2G,2B上の映像は色合成プリズム32によって色合成され、更に投射レンズ
33によってスクリーン34上へと投射されることにより大画面映像を形成する。また第1リレーレンズ,第2リレーレンズは映像表示素子2R,2Gに比べて映像表示素子2Bの光源からの光路が長くなっていることを補うためのものである。更にコンデンサレンズ10R,10G,10Bは投射レンズによる効率良い投射を行うために映像表示素子2R,2G,2B通過後の光線の広がりを抑えるものである。
以上のように出力された光はランプの管球と、集光レンズ,リレーレンズ,コンデンサレンズ等の各種レンズと、レンズアレイと、偏光変換素子と、映像表示素子と、色合成プリズムを通過するため、これらの光通過面、即ち、受光面と出光面の両面に反射防止膜が設けられることにより、表面の反射が抑えられ、光透過性が向上する。また、ダイクロイックミラーの光透過面も同様に反射防止膜を設けることによって表面の反射が抑えられ、光透過性が向上する。
図6にリアプロジェクションタイプの画像表示装置の光学系の模式図を示す。
ハウジング35内には光学ユニット36(図5の光学系のスクリーンを除く部分)と背面ミラー37がある。光学ユニットから出た光は反射鏡で向きを変えた後、スクリーン
38に投射される。こうしてスクリーンには画像が表示される。
スクリーンの光透過面は両面とも反射防止膜を設けることにより、表面の反射が抑えられ、光透過性が向上する。
背面ミラーのミラー面39がガラス板40の片面(図6のハウジング側)に設けてある場合、光学ユニットから出た入射光41は図7のようにガラス表面で画像光42と反射光43に分かれてスクリーンに投射されるため、画像が二重に見え、結果的に精細度を低下させる問題がある。
そこで、ガラスの入射光側に反射防止膜44を設けることで反射光を低減でき、結果として精細度の低下を抑制できることも確認した。
(4)その他の用途
本実施形態の反射防止膜はガラスやポリカーボネート,アクリル樹脂等の透明基材上に形成できる。
そのため太陽光を反射せず効率良く取り込むことが望まれる用途に有効である。この用途としてはまず種々の光学機器に用いられるレンズ,光学フィルタ等の光を透過する部品が挙げられる。これらの用途としては、液晶プロジェクタ,顕微鏡,望遠鏡,カメラ,ビデオやDVDを用いた画像記録装置等が挙げられる。そのほか植物等の安定的で急速な成長を図るため温室等の透明壁への適用が挙げられる。或いは反射(映り込み)を抑制し、視認性を向上させるため動植物,昆虫,魚介類等の観察・鑑賞等を目的とする水槽等の透明壁への適用が挙げられる。
また同様に反射(映り込み)を抑制し、視認性を向上させるため本発明はテレビジョンや携帯電話,ナビシステム,車両の速度や回転数等の表示等で用いられる液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,有機発光(有機EL)ディスプレイといった画像表示装置への適用が挙げられる。具体的にはそれら表示装置の表示部位の最表面に形成するのが好適である。
加えて太陽光の発電効率を向上させるため太陽電池パネル表面に形成される反射防止膜への適用が挙げられる。太陽光以外にレーザー等の光も効率良く入射できるので光記録媒体の最表面に対しても有効である。
反射防止以外に膜が低抵抗のため、チリ等の埃がつきにくい特徴もあるので、湿度が低い冬や、粉塵の多い環境下でも光透過性は向上し、視認性も向上する。加えて撥液性を付与することで、防汚性も向上するので、この効果も結果として光透過性は向上し、視認性も向上する。これら特徴を有するので本発明の膜を有する透明基板はクリーンルームの壁、或いはパーティション等室内建材としても有効である。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
初めに凸レンズに反射防止膜を形成する方法を示す。
(1)洗浄
直径100mmのアクリル樹脂製レンズを水の入っている水槽に入れ、内部を超音波洗浄器で振動させた後、蒸留水でリンスして、レンズの表面の汚れを除去する。
(2)反射防止塗料調製
バインダーとしてシリカゾル溶液(主溶媒は水,アルコキシシラン重合物は10重量%含有)(2重量部),無機酸化物粒子として長軸の平均長さが約60nmの酸化ケイ素の5重量%分散液(35重量部)、これに水(80重量部)を混合することで反射防止膜を形成するための塗料(以後反射防止塗料と記述)が調製される。
(3)反射防止塗料塗布
この塗料を(1)の洗浄を施したレンズにスピンコートで塗布する。塗布された塗料は目視ではレンズ上にほぼ均一に広がった。
(4)加熱
スピンコート後、速やかにレンズを90℃に制御した恒温槽中にいれ、10分間加熱する。これによりシリカゾルが酸化ケイ素に変化し、熱硬化が完了する。こうして表面に反射防止膜の形成されたガラス板が完成する。
(5)裏面への処理
表面に反射防止膜の形成されたガラス板を裏返し、上記(1)(3)(4)の処理を行い、裏面へも表面と同様の反射防止膜を形成した。
(6)評価実験
ガラス板に形成された反射防止膜の膜厚と屈折率をエリプソメトリィで測定したところ、それぞれ120nmと1.25であった。
反射防止膜を形成したレンズの反射率を測定した。測定の際、波長は人間の視感度が最も高いと言われる550nmでの反射率を調べた。その結果、反射防止膜を設けたレンズの反射率は0.5%であった。反射防止膜が無いアクリル樹脂製レンズの反射率は約8%であり、膜が反射防止機能を有していることを確認した。
また550nmでの光の透過率を調べた。その結果、反射防止膜を設けたレンズの透過率は99%であった。反射防止膜が無いアクリル樹脂製レンズの透過率は約92%であり、膜が光の透過性向上の機能を有していることを確認した。
形成した反射防止膜の断面をTEMで観察したところ、図3に示すように大きさが5〜150nmの空隙が確認された。また、膜断面を観察すると、基板側では空隙が少なく、表面側へ行くに従い空隙の割合が増加していた。これにより、基板側では膜素材の屈折率に近く、表面側では空気に近い屈折率の膜を得ることができた。これにより各界面における屈折率差少なくし、それぞれの界面における反射を防止できると推測される。なお以下の実施例においても膜中の空隙の分布は同様であった。
反射防止膜を形成したレンズの表面抵抗率を測定したところ、温度20℃,湿度50%の条件において1×1010Ωであった。測定はASTM D−257に準拠して行った。なお反射防止膜を形成していないレンズの表面抵抗率は1×1016Ω以上であった。そのため、反射防止膜付きのレンズの方が、反射防止膜の無いレンズに比べて帯電しにくく、ほこりがつきにくかった。
次に反射防止膜の密着性を調べるため、クロスハッチ試験を行った。その結果、テープによる剥離は全く見られなかった。
アクリル樹脂製のレンズを同じ大きさのガラス製のレンズに代える以外は実施例1の
(1)〜(5)と同様にして反射防止膜を形成したレンズを形成した。
実施例1の(6)と同様の評価を行ったところ、膜厚,屈折率はそれぞれ120nmと1.25であった。550nmにおける反射率は0.5%であった。反射防止膜が無いガラス製レンズの反射率は約8%であり、膜が反射防止機能を有していることを確認した。
また550nmでの光の透過率を調べた。その結果、反射防止膜を設けたレンズの透過率は99%であった。反射防止膜が無いアクリル樹脂製レンズの透過率は約92%であり、膜が光の透過性向上の機能を有していることを確認した。
実施例1と同様に反射防止膜を形成したレンズの表面抵抗率を測定したところ、温度
20℃,湿度50%の条件において1×1010Ωであった。なお反射防止膜を形成していないレンズの表面抵抗率は1×1012Ωであった。そのため、反射防止膜付きのレンズの方が、反射防止膜の無いレンズに比べて帯電しにくく、ほこりがつきにくかった。
実施例1と同様に反射防止膜の密着性を調べるため、クロスハッチ試験を行った。その結果、テープによる剥離は全く見られなかった。
〔比較例1〕
反射防止膜の部材をフッ化マグネシウムに、また製膜を塗布ではなく蒸着にする以外は実施例1の(1)〜(5)と同様にして、反射防止膜付きのレンズを形成する。
実施例1の(6)と同様の評価を行ったところ、膜厚,屈折率はそれぞれ120nmと1.38 であった。550nmにおける反射率は3%であった。反射防止膜が無いアクリル樹脂製レンズの反射率は約8%であり、膜が反射防止機能を有していることを確認したが、実施例1のレンズほどの反射防止機能はなかった。
また550nmでの光の透過率を調べた。その結果、反射防止膜を設けたレンズの透過率は96%であった。反射防止膜が無いアクリル樹脂製レンズの透過率は約92%であり、膜が光の透過性向上の機能を有していることを確認したが、実施例1のレンズほどの光透過性向上機能はなかった。
実施例1と同様に反射防止膜を形成したレンズの表面抵抗率を測定したところ、温度
20℃,湿度50%の条件において2×1014Ωであった。そのため、実施例1で形成したレンズに比べて帯電しやすくほこりがつきやすかった。
実施例1と同様に反射防止膜の密着性を調べるため、クロスハッチ試験を行った。その結果、テープを貼った全領域で反射防止膜の剥離が観察された。
以上より本発明のレンズは従来のフッ化マグネシウム製反射防止膜付きのレンズに比べて光の透過率が高く、ほこりがつきにくく、密着性の高い反射防止膜を有することが確認された。
〔比較例2〕
反射防止膜の部材をフッ化マグネシウムに、また製膜を塗布ではなく蒸着にする以外は実施例2と同様にして、反射防止膜付きのレンズを形成する。
実施例1の(6)と同様の評価を行ったところ、膜厚,屈折率はそれぞれ120nmと1.38 であった。550nmにおける反射率は3%であった。反射防止膜が無いガラス製レンズの反射率は約8%であり、膜が反射防止機能を有していることを確認したが、実施例2のレンズほどの反射防止機能はなかった。
また550nmでの光の透過率を調べた。その結果、反射防止膜を設けたレンズの透過率は96%であった。反射防止膜が無いガラス樹脂製レンズの透過率は約92%であり、膜が光の透過性向上の機能を有していることを確認したが、実施例2のレンズほどの光透過性向上機能はなかった。
実施例2と同様に反射防止膜を形成したレンズの表面抵抗率を測定したところ、温度
20℃,湿度50%の条件において2×1014Ωであった。そのため、実施例2で形成したレンズに比べて帯電しやすくほこりがつきやすかった。
実施例2と同様に反射防止膜の密着性を調べるため、クロスハッチ試験を行った。その結果、反射防止膜の剥離が観察された部分は全体の50%の部分であった。
以上より本発明のレンズは従来のフッ化マグネシウム製反射防止膜付きのレンズに比べて光の透過率が高く、ほこりがつきにくく、密着性の高い反射防止膜を有することが確認された。
レンズの代わりに偏光変換素子の受光面,出光面の両面に実施例1と同様の反射防止膜を形成する以外は、実施例1と同様にして反射防止膜付きの偏光変換素子を形成する。その結果、この偏光変換素子は反射防止膜の無いものに比べて、550nmでの光の透過率が約7%向上していることを確認した。また従来用いられているフッ化マグネシウム製の反射防止膜付きの偏光変換素子に比べても約3%光の透過率が向上していることを確認した。
レンズの代わりに映像表示素子の受光面,出光面の両面に実施例1と同様の反射防止膜を形成する以外は、実施例1と同様にして反射防止膜付きの映像表示素子を形成する。その結果、この映像表示素子は反射防止膜の無いものに比べて、550nmでの光の透過率が約7%向上していることを確認した。また従来用いられているフッ化マグネシウム製の反射防止膜付きの映像表示素子に比べても約3%光の透過率が向上していることを確認した。
レンズの代わりに色合成プリズムの受光面(3面),出光面の計4面に実施例1と同様の反射防止膜を形成する以外は、実施例1と同様にして反射防止膜付きの色合成プリズムを形成する。その結果、この色合成プリズムは反射防止膜の無いものに比べて、550
nmでの光の透過率が約7%向上していることを確認した。また従来用いられているフッ化マグネシウム製の反射防止膜付きの色合成プリズムに比べても約3%光の透過率が向上していることを確認した。
レンズの代わりにダイクロイックミラーの出光面に実施例1と同様の反射防止膜を形成する以外は、実施例1と同様にして反射防止膜付きのダイクロイックミラーを形成する。ただしミラー面である受光面には反射防止膜は設けない。その結果、このダイクロイックミラーは反射防止膜の無いものに比べて、550nmでの光の透過率が約7%向上していることを確認した。また従来用いられているフッ化マグネシウム製の反射防止膜付きのダイクロイックミラーに比べても約3%光の透過率が向上していることを確認した。
実施例1〜6で作製した反射防止膜付きの光学部品に撥液処理を行う。
(1)撥液処理液調製
始めに化合物1〜12の0.5 重量%溶液 (溶媒は3M社製フロリナートPF−5080)を調製する。これらを撥液処理液とする。また化合物1の0.1 重量%PF−5080溶液を撥液処理液[1]、化合物2の0.1重量%PF−5080溶液を撥液処理液[2],……化合物12の0.1重量%PF−5080溶液を撥液処理液[12]とする。
次に比較のため、旭硝子社製サイトップCTL−107Mの0.1% 溶液を撥液処理剤[13]として用いた。
(2)撥液処理方法
撥液処理液[1]〜[12]を用いた場合
撥液処理液中にそれぞれの光学部品を3分間浸漬する。光学部品を取り出し、内部を
95℃に加熱された恒温漕に30分間放置する。光学部品を取り出し、PF−5080で表面をリンスし、余分な撥液処理液を除去することで処理が完了する。
撥液処理液[13]を用いた場合
撥液処理液中にそれぞれの光学部品を3分間浸漬する。光学部品を取り出し、内部を
95℃に加熱された恒温漕に90分間放置する。光学部品を取り出し、処理が完了する。
(3)撥液性評価
撥液処理の完了した光学部品の表面の撥液性を水との接触角で評価した。結果を表1〜表6に示す。
Figure 0004760237
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また撥液処理前の水との接触角、及び撥液処理前後の屈折率と反射率,表面抵抗も併記する。
撥液処理前はいずれも反射防止膜も水に対する接触角は10°未満であった。しかし、撥液処理をすることにより、いずれの膜も接触角が大きくなった。屈折率,反射率も撥液処理前後で変化が無いことから、撥液処理はこれら光学特性に関わる性能を低下することがないことが示された。
ただし、サイトップCTL−107Mの0.1% 溶液で処理したもののみ抵抗が高くなった。これはサイトップCTL−107Mが反射防止膜表面をほぼ完全に被覆するのに対して、化合物1〜12は反射防止膜表面の所々にアルコキシシラン基を介して撥液性のフッ素系鎖が結合するため、結果的に反射防止膜を完全に被覆しなくなるため抵抗がほとんど変わらなかったと考えられる。膜抵抗が上昇すると、結果的に帯電しやすい膜になるため、チリや埃が付着しやすい問題が出てくるので、膜抵抗を高めない化合物1〜12は膜にチリや埃付着しにくい状態を維持できる点で好適である。
以上より撥液処理する際は、撥液性を付与されても膜抵抗を高めない点で末端にアルコキシシラン基を有するフッ素系化合物が好適であることが示された。
なお撥液処理に用いる化合物で比べてみると、化合物1〜4を用いた場合に接触角が高い傾向があり、最低でも実施例2の膜に化合物1、あるいは2で処理した場合の106°であった。特に化合物3,4を用いた場合は接触角が高く、いずれの膜でも接触角110°を示した。接触角が高いということは、防汚性に優れるということであるから、なるべく高いことが望まれる。化合物1〜4はパーフルオロポリエーテル鎖を有する化合物であり、他はパーフルオロアルキル鎖、あるいはフルオロアルキル鎖を有する化合物である。このことからパーフルオロポリエーテル鎖を有する化合物で撥液処理する方が撥液性の優れた膜を形成することが可能であることが示された。
反射防止塗料を塗布する際、スピンコートではなくディップコートする以外は実施例1と同様にして反射防止膜付きのレンズを形成した。このレンズを実施例1の(6)と同様に調べたところ、同様の結果を得た。よって塗布方法はスピンコートにとらわれる必要が無く、ディップコート等でも形成可能であることが示された。
レンズの代わりにランプをディップコートする以外は実施例8と同様の操作を行い、表面に反射防止膜付きのランプを形成する。このランプは反射防止膜無しのものに比べて
550nmでの光の強度が約3%向上していることを確認した。
実施例1〜6,9で形成した光学部品を用いて図5に示す光学系を有する画像表示装置を作製し、画像を表示したところ、従来のフッ化マグネシウム製反射防止膜付きの光学部品を用いた画像表示装置に比べて輝度が約1.5 倍向上した画像を形成することができた。これは反射防止膜の光透過率向上の効果が効いているためと考える。
なお、フッ化マグネシウム製反射防止膜を設けない場合は、従来の輝度の73%まで低下した。
本発明の光学部品の例である。 本発明で用いる反射防止膜の形成方法の概略である。 本発明で用いる反射防止膜の断面写真である。 本発明で用いる反射防止膜内の元素の存在強度である。(A)本発明で用いる反射防止膜の島状の領域における元素の存在強度。(B)本発明で用いる反射防止膜の島状の領域以外における元素の存在強度。 本発明の液晶プロジェクタタイプの画像表示装置の光学系の模式図である。 本発明のリアプロジェクションタイプの画像表示装置の模式図である。 本発明のリアプロジェクションタイプの画像表示装置の背面ミラーとその近傍の模式図である。
符号の説明
1,44…反射防止膜、2,41…入射光、3…出射光、4,39…ミラー面、5…光学系への固定部分、6…基板、7…塗料、8…気泡、9,10…空隙、11…ランプ、
12…リフレクタ、13…凹レンズ、14…第1レンズアレイ、15…第2レンズアレイ、16…偏光変換素子、17…映像表示素子2R、18…映像表示素子2G、19…映像表示素子2B、20…集光レンズ、21…コンデンサレンズ10R、22…コンデンサレンズ10G、23…コンデンサレンズ10B、24…第1リレーレンズ、25…第2リレーレンズ、26〜29…ミラー、30,31…ダイクロイックミラー、32…色合成プリズム、33…投射レンズ、34,38…スクリーン、35…ハウジング、36…光学ユニット、37…背面ミラー、40…ガラス板、42…画像光、43…反射光。


Claims (9)

  1. 光を透過、或いは一部反射する光学部品において、
    前記光学部品の表面に反射防止膜を有し、
    前記反射防止膜が無機酸化物粒子とバインダーから構成され、
    且つ前記反射防止膜の厚さが60〜190nmであり、
    且つ前記反射防止膜が5〜200nmの大きさの空隙を有し、
    前記反射防止膜中に分散剤が添加されており、
    前記分散剤はポリアルキレングリコール鎖を有する有機化合物または塩構造を有する有機化合物であり、
    前記分散剤の添加量は前記反射防止膜の固形分の0.1〜5重量%であり、
    前記反射防止膜について、前記光学部品側から前記反射防止膜の表面側へ行くに従い前記空隙の割合が増加することを特徴とする光学部品。
  2. 前記無機酸化物粒子は酸化ケイ素粒子であり、
    且つ前記バインダーがケイ素化合物からなることを特徴とする請求項1記載の光学部品。
  3. 前記粒子の長軸の径は190nm以下であり、
    且つ短軸の径は膜厚よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の光学部品。
  4. 前記反射防止膜表面に含フッ素化合物からなる層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部品。
  5. 前記含フッ素化合物は下記構造であり、且つ前記含フッ素化合物からなる層は化学結合により前記反射防止膜と結合していることを特徴とする請求項4に記載の光学部品。
    〔化1〕
    [[F{CF(CF3)−CF2O}n−CF(CF3)]−X−Si(OR)3(14≦n≦21)
    F(CF2CF2CF2O)n}−(CF2)2−X−Si(OR)3(14≦n≦21)
    {H(CF2)n}−Y1−Si(OR)3(n=6、8)
    (CF2)n}−Y2−Si(OR)3(n=6、8)
    Xはパーフルオロポロエーテル鎖とアルコキシシラン残基との結合部位でCONH−(CH2)3
    1,Y2はパーフルオロアルキル基とアルコキシシラン残基との結合部位でY1はCONH−(CH2)3、Y2は(CH2)2、Rはアルキル基。
  6. 前記光学部品がレンズ,偏光変換素子,ダイクロイックミラー,映像表示素子,色合成プリズム,ランプの管球,背面ミラー,前面板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部品。
  7. 前記含フッ素化合物からなる層の厚さは56nm未満であることを特徴とする請求項4に記載の光学部品
  8. 前記反射防止膜は単層であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学部品
  9. 光源からの光束を反射させて出射し、該光源からの出射光束を表示素子で光強度変調して、該光強度変調された映像光を投射レンズで拡大して表示する投射型画像表示装置において、
    前記投射型画像表示装置の内部に組み込まれている複数のレンズ,偏光変換素子,ダイクロイックミラー,映像表示素子,色合成プリズム,ランプの管球,背面ミラー,前面板の少なくとも1つの部品の少なくとも1つの受光面に請求項1〜のいずれか1項に記載の光学部品が形成されていることを特徴とする投射型画像表示装置。
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