JP2000009906A - 反射防止光学部材、防汚層の形成方法、光学機能性部材および表示装置 - Google Patents

反射防止光学部材、防汚層の形成方法、光学機能性部材および表示装置

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JP2000009906A
JP2000009906A JP10176427A JP17642798A JP2000009906A JP 2000009906 A JP2000009906 A JP 2000009906A JP 10176427 A JP10176427 A JP 10176427A JP 17642798 A JP17642798 A JP 17642798A JP 2000009906 A JP2000009906 A JP 2000009906A
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antireflection
optical
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JP10176427A
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English (en)
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Koichi Ohata
浩一 大畑
Noritoshi Tomikawa
典俊 富川
Jiro Watanabe
二郎 渡辺
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面に、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れの
付着を防止し、付着しても容易に拭き取れる優れた防汚
性の防汚層を高い耐久性で形成できる反射防止光学部材
を提供する。 【解決手段】透明基材上の少なくとも片面に反射防止層
を有する反射防止光学部材において、最表面上がRf
(OC36n −O−(CF2m −(CH2l
OOCNH−(CH2s −Si(OR)3 (但し、R
f は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロ
アルキル基、nは1〜50の整数、mは0〜3の整数、
lは0〜3の整数、sは1〜6の整数、但し、6≧m+
l>0、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で
表される有機シラン化合物からなることを特徴とする防
汚剤からなる防汚層が形成された反射防止光学部材を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレイ(液
晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクショ
ンディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプ
レイ等)の表示画面表面に適用される反射防止光学部
材、光学機能性部材及びこれらを有する表示装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】多くのディスプレイは、室内外を問わず
外光などが入射するような環境下で使用される。この外
光などの入射光は、ディスプレイ表面等において正反射
され、反射像が表示光と混合し表示品質を低下させ、表
示画像を見にくくしている。
【0003】特に、最近のオフィスのOA化に伴い、コ
ンピューターを使用する頻度が増し、ディスプレイと相
対していることが長時間化した。これにより反射像等に
よる表示品質の低下は、目の疲労など健康障害等を引き
起こす要因とも考えられている。
【0004】更には、近年ではアウトドアライフの普及
に伴い、各種ディスプレイを室外で使用する機会が益々
増える傾向にあり、表示品質をより向上して表示画像を
明確に認識できるような要求が出てきている。
【0005】これらの要求を満たす為の例として、透明
基材の表面に、金属酸化物などから成る高屈折率層と低
屈折率層を積層した、或いは無機や有機フッ素化合物な
どの低屈折率層を単層で形成した可視光の広範囲にわた
り反射防止効果を有する反射防止光学部材をディスプレ
イ表面に張り合わせる等して利用することが知られてい
る。
【0006】これとは別に、透明プラスチックフィルム
基材の表面に透明な微粒子を含むコーティング層を形成
し、凹凸状の表面により外光を乱反射させるなどして
も、同様の効果を得られることが知られている。
【0007】一方、上記反射防止光学部材には、人が使
用することによって、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚
れが付着する場合が多い。一般に、反射防止膜の表面エ
ネルギーは約60J/m2 と大きいために、そのような
汚れが付着しやすく、かつ、微細な凹凸があるため除去
することが容易ではない。また、そのような汚れが付着
した部分だけ高反射となり、汚れが目立つため問題があ
った。
【0008】そこで、これら汚れの問題を解決する手段
として、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやす
い性能を持つ防汚層を反射防止光学部材の表面に設ける
工夫が考案されている。
【0009】例えば、特開昭64−86101号公報に
は、基材の表面に、主として二酸化珪素からなる反射防
止膜を設け、更にその表面に有機珪素置換基を含む化合
物で処理した耐汚染性、耐擦傷性の反射防止膜物品が提
案されている。特開平4−338901号公報には、同
様に基材表面に末端シラノール有機ポリシロキサンを皮
膜した耐汚染性、耐擦傷性のCRTフィルターが提案さ
れている。
【0010】また、特公平6−29332号公報には、
プラスチック表面にポリフルオルアルキル基を含むモノ
及びジシラン化合物およびハロゲン、アルキルまたはア
ルコキシのシラン化合物とからなる反射防止膜を有する
低反射率および防汚性のプラスチックが提案されてい
る。更に、特開平7−16940号公報には、パーフル
オロアルキル(メタ)アクリレートとアルコキシシラン
基を有する単量体との共重合体を二酸化珪素を主とする
光学薄膜上に形成した光学物品が提案されている。
【0011】しかし、前記に示された技術においては、
この防汚性が不十分であり、特に、指紋、皮脂、汗、化
粧品などの汚れに対して拭き取りにくく、また、使用と
ともに防汚性能が大きく低下するために、防汚性と耐久
性に優れた反射防止光学部材が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
防汚層の形成技術においては、防汚性が不十分であり、
特に、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが拭き取りに
くく、また、使用とともに防汚性能が大きく低下する。
このため、防汚性と耐久性に優れた反射防止光学部材が
望まれている。
【0013】本発明は、以上のような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、反射防止光学部材の表面
に、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着すること
を防止し、また、付着しても容易に拭き取れるようにす
る優れた防汚性の防汚層を高い耐久性で形成できるよう
にすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
請求項1の発明は、透明基材上の少なくとも片面に反射
防止層を有する反射防止光学部材において、最表面上に
f ―(OC36 n ―O―(CF2m ―(CH
2l ―OOCNH―(CH2s ―Si(OR)3
(但し、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パ
ーフルオロアルキル基、nは1〜50の整数、mは0〜
3の整数、lは0〜3の整数、sは1〜6の整数、但
し、6≧m+l>0、Rは炭素数1〜10のアルキル基
を示す。)で表される有機シラン化合物からなることを
特徴とする防汚剤からなる防汚層が形成された反射防止
光学部材である。
【0015】本発明の請求項2の発明は、透明基材上の
少なくとも片面に反射防止層を有する反射防止光学部材
の前記反射防止層上に請求項1記載の防汚剤からなる防
汚層を形成する際、請求項1記載の防汚剤を多孔性成型
物中に含浸させ、真空中において、それを加熱し、蒸発
させ、前記反射防止層上に成膜し、必要ならば成膜後、
加熱、加湿、紫外線照射、電子線照射等を行うことを特
徴とする防汚層の形成方法である。
【0016】本発明の請求項3の発明は、請求項2記載
の防汚層の形成方法において、前記多孔性成型物がSi
2 ,TiO2 ,ZrO2 ,MgO,Al23 ,Ca
SO 4 ,Cu,Fe,Al,ステンレス,カーボンな
ど、又はその混合物から成ることを特徴とする。
【0017】本発明の請求項4の発明は、請求項2ある
いは請求項3記載の防汚層の形成方法において、請求項
1記載の防汚剤を含浸させた多孔性成型物を加熱して請
求項1記載の防汚剤を蒸発させる為の加熱方法が、抵抗
加熱法、EB加熱法、光加熱法であることを特徴とす
る。
【0018】本発明の請求項5の発明は、請求項1記載
の反射防止光学部材あるいは請求項2から請求項4のい
ずれかに記載の防汚層の形成方法において、前記透明基
材が有機基材である透明プラスチック基材、又は無機基
材であるガラス板であることを特徴とする。
【0019】本発明の請求項6の発明は、請求項1ある
いは請求項5記載の反射防止光学部材において、前記反
射防止光学部材と機能性光学部材とが貼り合わせた光学
機能性部材であることを特徴とする。
【0020】本発明の請求項7の発明は、請求項6記載
の光学機能性部材において、前記機能性光学部材が偏光
板であることを特徴とする。
【0021】本発明の請求項8の発明は、請求項6から
請求項7のいずれかに記載の光学機能性部材において、
粘着剤、接着剤等の接着層を備えている事を特徴とす
る。
【0022】本発明の請求項9の発明は、請求項8記載
の光学機能性部材において、ディスプレイの表示画面表
面の前面板の表面に貼り合わせたことを特徴とする。
【0023】本発明の請求項10の発明は、請求項9記
載のディスプレイが液晶ディスプレイ、CRTディスプ
レイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディス
プレイ、ELディスプレイのいずれかであることを特徴
とする表示装置。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
透明基材上の少なくとも片面に反射防止層を有する反射
防止光学部材において、最表面上に形成される防汚層
は、Rf ―(OC36n ―O―(CF2m―(C
2l ―OOCNH―(CH2s ―Si(OR)3
(但し、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パ
ーフルオロアルキル基、nは1〜50の整数、mは0〜
3の整数、lは0〜3の整数、sは1〜6の整数、但
し、6≧m+l>0、Rは炭素数1〜10のアルキル基
を示す。)で表される有機シラン化合物(以下(化1)
と称す。)を含有することを特徴とする防汚剤より構成
される。
【0025】本発明において用いられる透明基材とは、
有機基材、あるいは無機基材の通常の光学部材用材料と
して用いられるものである。
【0026】無機基材としては、主にガラス板があげる
ことができる。有機基材のうち、透明プラスチック基材
としては、種々の有機高分子からなる基材をあげること
ができる。通常、光学部材として使用される基材は、透
明性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃
性、耐熱性、耐久性などの諸物性の点から、ポリオレフ
ィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエス
テル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート等)、ポリアミド系(ナイロン−6、ナイロ
ン−66等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイ
ミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコー
ル、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロー
ス、ジアセチルセルロース、セロファン等)等、或いは
これらの有機高分子の共重合体などからなっているが、
本発明が透明基材とする透明プラスチック基材としても
これらの基材をあげることができる。
【0027】これらの有機基材を構成する有機高分子
に、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を含
有させたものも使用することができる。
【0028】また、透明基材とする無機基材あるいは有
機基材の形状は、特に限定されるものではないが、通
常、光学部材として使用される透明プラスチック基材は
フィルム状をなしており、本発明の反射防止光学部材も
これらフィルム状又はシート状のものを透明基材とする
ことができる。このフィルム状またはシート状の基材と
しては、単層、あるいは複数の有機高分子を積層したも
のでも良い。また、その厚みは、特に限定されるもので
はないが、0.01〜5mmが好ましい。
【0029】また、無機基材、あるいは有機基材上の反
射防止層となる無機化合物層を形成する無機化合物とし
ては、金属酸化物〔酸化珪素(二酸化珪素、一酸化珪素
等)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタ
ン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化トリウム、酸化
アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イッ
トリウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ITO(Indi
um Tin Oxide)等〕、金属ハロゲン化物
〔フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ナト
リウム、フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化リチ
ウム、フッ化トリウム等〕等をあげることができる。
【0030】これら無機化合物からなる無機化合物層
は、単層または多層の薄膜等が挙げられ、これらはウェ
ットコーティング法(ディップコーティング法、スピン
コーティング法、フローコーティング法、スプレーコー
ティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティ
ング法等)、PVD(Physical VaporD
eposition)法(真空蒸着法、反応性蒸着法、
イオンビームアシスト法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法等)、CVD(Chemical Va
por Deposition)法等の各種公知の方法
により形成される。
【0031】また、透明プラスチック基材と反射防止層
となる無機化合物層との間に、ハードコート層を設けて
も良い。このハードコート層を設けることにより、基材
表面の硬度が向上すると共に、基材表面が平滑になり、
透明プラスチック基材と無機化合物層との密着が向上す
るために、鉛筆等の荷重のかかる引っ掻きによる傷を防
止し、また、透明プラスチック基材屈曲による無機化合
物層のクラック発生を抑制することができ、反射防止光
学部材の機械的強度が改善できる。ハードコート層は透
明性と適度な硬度と機械的強度があれば、特に限定され
るものではない。電離放射線や紫外線の照射による硬化
樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に、紫外線照射硬
化型アクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、熱硬化型ポリ
シロキサン樹脂が好ましい。これらの樹脂は透明プラス
チック基材と屈折率が同等もしくは近似していることが
より好ましい。膜厚は3μm以上あれば十分な強度とな
るが、透明性、塗工精度、取り扱いから5〜7μmの範
囲が好ましい。
【0032】前記ハードコート層に平均粒子径0.01
〜3μmの無機或いは有機物微粒子を混合分散させる。
または表面形状を凹凸させることで一般的にアンチグレ
アと呼ばれる光拡散性処理を施すことが出来る。
【0033】これらの微粒子は透明であれば特に限定さ
れるものではないが、低屈折率材料が好ましく、酸化ケ
イ素、フッ化マグネシウムが安定性、耐熱性等で好まし
い。これらのハードコート層は均一に塗布されるもので
あれば、塗布方法はいかなる方法でも構わない。
【0034】前記防汚剤を多孔性成型物中に含浸させ、
真空中において、それを加熱し、蒸発させ、反射防止層
上に成膜する。必要ならば、加熱、加湿、紫外線照射、
電子線照射等を行う。
【0035】前記防汚剤を含浸させた多孔性成型物を加
熱して防汚剤を蒸発させるための加熱方法としては、抵
抗加熱法、EB加熱法、光加熱法が有効である。
【0036】多孔性成型物の成分としては、SiO2
TiO2 ,ZrO2 ,MgO,Al 23 ,CaSO
4 ,Cu,Fe,Al,ステンレス,カーボンなど、又
はその混合物から成る。これらの材料は、例えば、通常
は5〜20μmまでの範囲の粒径を有する細かく分割さ
れた形状を有し、ペレット化し、次にこれらのペレット
を各材料の通常行われる方法で焼結することにより調整
される。
【0037】ペレットの焼結工程は、一般的には1〜1
0時間にわたり、700〜1400℃の温度で行われ
る。一次粒子の粒径、濃厚化、および焼結条件によっ
て、得られる多孔性成型物は30〜60%の空孔率を有
する。
【0038】一方、防汚層形成時の作業環境や、防汚層
の膜厚の制御の点から、希釈溶媒を必要としないドライ
コーティング法によることが好ましく、特に、真空蒸着
法によることが好ましい。ドライコーティング法による
と、従来困難であった防汚層の膜厚をオングストローム
オーダーで正確に制御することができ、所望の防汚層を
有する光学部材を提供できる。さらに、反射防止膜を有
する光学部材については、色設定が難しい反射防止層の
干渉色を変化させることなく、容易に防汚性を付与する
ことが可能である。
【0039】なお、防汚層をドライコーティング法によ
り形成する場合、その膜厚は防汚剤の蒸発量に依存して
変化する。従って、防汚層の膜厚を制御するためには、
防汚剤の蒸発量を正確に制御することが好ましい。
【0040】防汚剤の蒸発量は、多孔性成型物中の防汚
剤含浸量と、成膜時の加熱条件によって決まる。
【0041】前記防汚剤を用いて作製した防汚層の膜厚
は、特に限定されるものではないが、防汚性、耐擦傷
性、及び、光学部材の光学性能の点から、10〜500
Åが好ましい。
【0042】本発明の反射防止光学部材と偏光板などの
機能性光学部材等を、ラミネートに代表される貼り合わ
せ技術で貼り合わせることにより、反射防止機能を有す
る光学機能性部材となる。
【0043】これらの反射防止光学部材や反射防止光学
部材を貼り合わせた光学機能性部材を、粘着剤、接着剤
等を用いて各種ディスプレイ(液晶ディスプレイ、CR
Tディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラ
ズマディスプレイ、ELディスプレイ等)の表示装置の
前面板のガラス板、プラスチック板、偏光板等と貼り合
わせることによって、反射防止性を有し、反射防止光学
部材の表面に、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付
着することを防止し、また、付着しても容易に拭き取れ
るようにする優れた防汚性の防汚層を高い耐久性で形成
され、画像認識の高い表示装置となる。
【0044】本発明の反射防止光学部材は、従来の技術
で作製したものより、反射防止性能を損なわせることが
なく、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着しにく
く、付着しても拭き取りやすい性能を持ち、その効果の
耐久性に優れている。
【0045】また、本発明の反射防止光学部材と偏光板
などの機能性光学部材と貼り合わせることにより得られ
た光学機能性部材、更には、各種ディスプレイ(液晶デ
ィスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションデ
ィスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ
等)の表示装置の前面板等に貼り合わせることにより、
反射防止光学部材の表面に、指紋、皮脂、汗、化粧品な
どの汚れが付着することを防止し、また、付着しても容
易に拭き取れるようにする優れた防汚性の防汚層を高い
耐久性で形成され、画像認識の高い表示装置となる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0047】〈実施例1〉 〔(1)反射防止膜付きTACフィルムの作製〕TAC
フィルム(厚さ:80μm)上に、単官能性アクリル樹
脂をマイクログラビア法を用いて塗布し、120Wのメ
タハライドランプを20cmの距離から10sec照射
することにより、ハードコート層を形成させた。その
後、ハードコート層付きTACフィルム上にプラズマア
シスト蒸着法により、TiO2 ,SiO2 ,TiO2
SiO2 の順序に成膜し、反射防止層を作製した。各層
の屈折率n、形状膜厚d、及び光学膜厚ndは、TAC
フィルム(n=1.49)、ハードコート層(n=1.
51,d=約5mm)、TiO2 (n=2.30,nd
=60nm)、SiO2 (n=1.46,nd=40n
m)、TiO2 (n=2.30,nd=110nm)、
SiO2 (n=1.46,nd=140nm)とした。
光学膜厚は、光学式膜厚モニターにより監視し、目的光
量値に達した時に成膜を止め、所定の光学膜厚を得た。
【0048】〔(2)多孔性成型物の作製〕粒径1〜1
0μmのAl23 を水圧プレスを使って直径6mm、
高さ4mmのペレットを作製した。次にこのペレットを
1200℃で14時間にわたり焼結した。焼結され、成
形された物品は約40%の空孔率を有する。
【0049】〔(3)防汚剤の作製〕C37 ―(OC
3624―O―(CF22 ―CH2 ―OOCNH
(CH 23 Si(OCH33 で表される有機ケイ素
化合物5gをパーフルオロヘキサンで10wt%に希釈
し、防汚剤を作製した。これに上記多孔性成型物を浸
し、完全に飽和状態になるよう含浸させる。この溶液か
ら取り出し、溶剤を蒸発させた後、各ペレットは約2w
t%の防汚剤を含有している。
【0050】〔(4)防汚層の作製〕前記ペレットをモ
リブデンボート上に乗せ、真空蒸着法(抵抗加熱法)に
より、前記反射防止膜付TACフィルム上に成膜し、防
汚層を作製した。真空蒸着機内を5×10-5Torr以
下に真空排気した後、ボートを400℃に加熱し、防汚
剤を蒸発させた。
【0051】〈比較例1〉CF3 (CF27 (CH
22 Si(NH)3/2 〔KP801M:信越化学工業
(株)製〕を用いて、実施例1と同様にして反射防止膜
付きTACフィルム上に防汚層を作製した。
【0052】上記の実施例、比較例において、各種物性
評価方法と結果(表1)を以下に示す。
【0053】(a)接触角測定:接触角計〔CA−X
型:協和界面科学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20
℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作
り、これを基材(固体)の表面に接触させて液滴を作っ
た。接触角とは、固体と液体が接する点における液体表
面に対する接線と固体表面がなす角で、液体を含む方の
角度で定義した。液体には、蒸留水とn−ヘキサデカン
を使用した。
【0054】(b)転落角測定:転落角計〔CA−X
型:協和界面科学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20
℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作
り、これを水平な基材(固体)表面上に接触させて液滴
を作った。次にこの固体試料を徐々に傾けていくと、液
滴は徐々に変形し、傾斜角度がある角度に達したとき、
液滴は下方へ滑り出す。このときの傾斜角度を転落角と
した。液体には、蒸留水とn−ヘキサデカンを使用し
た。
【0055】(c)油性ペンの付着性:基材表面に油性
ペン(マジックインキ(登録商標):細書き用no.5
00)を用いて、長さ1cmの直線を書き、その付き易
さあるいは目立ち易さを目視判定を行った。判定基準を
以下に示す。 ○:油性ペンが球状にはじいている。 ×:油性ペンがはじかず、書ける。
【0056】(d)油性ペンの拭き取り性:基材表面に
付着した油性ペン(マジックインキ(登録商標):細書
き用no.500)をセルロース製不織布〔ベンコット
M−3:旭化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さを
目視判定を行った。判定基準を以下に示す。 ○:油性ペンを完全に拭き取ることが出来る。 △:油性ペンの拭き取り跡が残る。 ×:油性ペンを拭き取ることが出来ない。
【0057】(e)指紋の付着性:基材表面に指を数秒
押しつけて、指紋を付着させ、その付き易さあるいは目
立ち易さを目視判定を行った。判定基準を以下に示す。 ○:指紋の付着が少なく、付いた指紋が目立たない。 ×:指紋の付着が認識できる。
【0058】(f)指紋の拭き取り性:基材表面に付着
した指紋をセルロース製不織布〔ベンコットM−3:旭
化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さを目視判定を
行った。判定基準を以下に示す。 ○:指紋を完全に拭き取ることが出来る。 △:指紋の拭き取り跡が残る。 ×:指紋の拭き取り跡が拡がり、拭き取ることが出来な
い。
【0059】(g)耐摩耗性:基材表面をセルロース製
不織布〔ベンコットM−3:旭化成(株)製〕で荷重5
00gfで100回擦った後に、前記各種物性評価を行
った。
【0060】
【表1】
【0061】(括弧内:耐摩耗性試験後の特性)
【0062】
【発明の効果】本発明の反射防止光学部材は、従来の技
術で作製したものより、反射防止性能を損なわせること
がなく、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着しに
くく、付着しても拭き取りやすい性能を持ち、その効果
の耐久性に優れている。
【0063】また、本発明の反射防止光学部材と偏光板
などの機能性光学部材と貼り合わせることにより得られ
た光学機能性部材、更には、各種ディスプレイ(液晶デ
ィスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションデ
ィスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ
等)の表示装置の前面板等に貼り合わせることにより、
反射防止光学部材の表面に、指紋、皮脂、汗、化粧品な
どの汚れが付着することを防止し、また、付着しても容
易に拭き取れるようにする優れた防汚性の防汚層を高い
耐久性で形成され、画像認識の高い表示装置となる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA00 AA02 BB02 BB11 CC03 CC09 CC42 DD02 DD03 DD04 DD05 DD06 DD07 EE05 4F100 AA17B AA17C AA37B AA37C AB01B AB01C AG00A AH06B AH06C AK01A AK25 AR00A AR00B AR00C AR00D AR00E BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA10B BA10C BA10D CA30 CB00 DJ00B DJ00C EH662 EJ421 EJ521 EJ591 EJ821 GB41 JB12 JL00 JL06B JL06C JL11E JN00D JN01A JN06B JN06C JN10D 4J038 DL031 DL071 GA12 GA15 JC32 NA05 NA19 PB08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基材上の少なくとも片面に反射防止層
    を有する反射防止光学部材において、最表面上にRf
    (OC36n ―O―(CF2m ―(CH2l
    OOCNH―(CH2s ―Si(OR)3 (但し、R
    f は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロ
    アルキル基、nは1〜50の整数、mは0〜3の整数、
    lは0〜3の整数、sは1〜6の整数、但し、6≧m+
    l>0、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で
    表される有機シラン化合物からなることを特徴とする防
    汚剤による防汚層が形成された反射防止光学部材。
  2. 【請求項2】請求項1記載の防汚剤を、多孔性成型物中
    に含浸させ、真空中において、それを加熱し、蒸発さ
    せ、反射防止層上に成膜し、必要ならば加熱、加湿、紫
    外線照射、又は電子線照射等を行う防汚層の形成方法。
  3. 【請求項3】多孔性成型物が、SiO2 ,TiO2 ,Z
    rO2 ,MgO,Al23 ,CaSO4 ,Cu,F
    e,Al,ステンレス,カーボンなど、又はその混合物
    から成ることを特徴とする請求項2記載の防汚層の形成
    方法。
  4. 【請求項4】多孔性成型物中の請求項1記載の防汚剤を
    蒸発させる為の加熱方法は、抵抗加熱法、EB加熱法、
    光加熱法であることを特徴とする請求項2,3いずれか
    記載の防汚層の形成方法。
  5. 【請求項5】透明基材には有機基材である透明プラスチ
    ック基材、又は無機基材であるガラス板である請求項1
    記載の反射防止光学部材。
  6. 【請求項6】請求項1,5いずれか記載の反射防止光学
    部材と機能性光学部材とが貼り合わせた光学機能性部
    材。
  7. 【請求項7】機能性光学部材が偏光板である請求項6記
    載の光学機能性部材。
  8. 【請求項8】粘着剤、接着剤等の接着層を備えた請求項
    6、7いずれか記載の光学機能性部材。
  9. 【請求項9】ディスプレイの表示画面表面の前面板の表
    面に貼り合わせた請求項8記載の光学機能性部材。
  10. 【請求項10】ディスプレイが液晶ディスプレイ、CR
    Tディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラ
    ズマディスプレイ、ELディスプレイのいずれかである
    請求項9記載の表示装置。
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