JPH11352305A - 反射防止光学部材及び防汚層の形成方法 - Google Patents

反射防止光学部材及び防汚層の形成方法

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JPH11352305A
JPH11352305A JP10163240A JP16324098A JPH11352305A JP H11352305 A JPH11352305 A JP H11352305A JP 10163240 A JP10163240 A JP 10163240A JP 16324098 A JP16324098 A JP 16324098A JP H11352305 A JPH11352305 A JP H11352305A
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JP
Japan
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antireflection
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Application number
JP10163240A
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English (en)
Inventor
Koichi Ohata
浩一 大畑
Noritoshi Tomikawa
典俊 富川
Jiro Watanabe
二郎 渡辺
Mitsuo Asai
光雄 浅井
Hitoshi Uehara
仁 上原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Toppan Inc
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 指紋などの汚れの付着を防止し、付着しても
容易に拭き取れる耐久性の優れた防汚層を形成した反射
防止光学部材及びこの防汚層の形成方法を提供する。 【解決手段】 透明基材上の少なくとも片面に反射防止
層を有する反射防止光学部材において、最表面上に特定
の有機ケイ素化合物(一般式1)、及び他の特定の有機
ケイ素化合物(一般式2、3)を含有する防汚剤からな
る防汚層をドライコーテイング法により形成した反射防
止光学部材。前記防汚剤を多孔性成型物中に含浸させ、
真空中において、それを加熱し、蒸発させ、前記反射防
止層上に成膜し、必要ならば加熱、加湿、紫外線照射、
又は電子線照射等を行う。 【化1】 【化2】 【化3】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレイ(液
晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクショ
ンテレビ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ
等)の表示画面表面に適用される反射防止光学部材及び
防汚層の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多くのディスプレイは、室内外を問わず
外光などが入射するような環境下で使用される。この外
光などの入射光は、ディスプレイ表面等において正反射
され、反射像が表示光と混合し表示品質を低下させ、表
示画像を見にくくしている。特に、最近のオフィスのO
A化に伴い、コンピューターを使用する頻度が増し、デ
ィスプレイと相対していることが長時間化した。これに
より反射像等による表示品質の低下は、目の疲労など健
康障害等を引き起こす要因とも考えられている。
【0003】更には、近年ではアウトドアライフの普及
に伴い、各種ディスプレイを室外で使用する機会が益々
増える傾向にあり、表示品質をより向上して表示画像を
明確に認識できるような要求が出てきている。
【0004】これらの要求を満たす為の例として、透明
基材の表面に、金属酸化物などから成る高屈折率層と低
屈折率層を積層した、或いは無機や有機フッ素化合物な
どの低屈折率層を単層で形成した可視光の広範囲にわた
り反射防止効果を有する反射防止光学部材をディスプレ
イ表面に張り合わせる等して利用することが知られてい
る。
【0005】これとは別に、透明プラスチックフィルム
基材の表面に透明な微粒子を含むコーティング層を形成
し、凹凸状の表面により外光を乱反射させるなどして
も、同様の効果を得られることが知られている。
【0006】一方、上記反射防止光学部材には、人が使
用することによって、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚
れが付着する場合が多い。そのような汚れは、一度付着
すると除去することは容易ではなく、付着した汚れが目
立つため問題があった。
【0007】そこで、これら汚れの問題を解決する手段
として、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやす
い性能を持つ防汚層を反射防止光学部材の表面に設ける
工夫が考案されている。
【0008】例えば、特開昭64−86101号公報に
は、基材の表面に、主として二酸化珪素からなる反射防
止膜を設け、更にその表面に有機珪素置換基を含む化合
物で処理した耐汚染性、耐擦傷性の反射防止膜物品が提
案されている。特開平4−338901号公報には、同
様に基材表面に末端シラノール有機ポリシロキサンを皮
膜した耐汚染性、耐擦傷性のCRTフィルターが提案さ
れている。また、特公平6−29332号公報には、プ
ラスチック表面にポリフルオルアルキル基を含むモノ及
びジシラン化合物及びハロゲン、アルキルまたはアルコ
キシのシラン化合物とからなる反射防止膜を有する低反
射率及び防汚性のプラスチックが提案されている。更
に、特開平7−16940号公報には、パーフルオロア
ルキル(メタ)アクリレートとアルコキシシラン基を有
する単量体との共重合体を二酸化珪素を主とする光学薄
膜上に形成した光学物品が提案されている。
【0009】しかし、前記に示された技術においては、
この防汚性が不十分であり、特に、指紋、皮脂、汗、化
粧品などの汚れに対して拭き取りにくく、また、使用と
ともに防汚性能が大きく低下するために、防汚性と耐久
性に優れた反射防止光学部材が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
防汚層の形成技術においては、防汚性が不十分であり、
特に、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが拭き取りに
くく、また、使用とともに防汚性能が大きく低下する。
このため、防汚性と耐久性に優れた反射防止光学部材が
望まれている。
【0011】本発明は、以上のような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、本発明の第1の目的は、
反射防止光学部材の表面に、指紋、皮脂、汗、化粧品な
どの汚れが付着することを防止し、また、付着しても容
易に拭き取れるようにする優れた防汚性を有する防汚層
を高い耐久性で形成した反射防止光学部材を提供するこ
とであり、本発明の第2の目的は、このような防汚層を
反射防止光学部材の反射防止層上に形成する方法を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
請求項1の発明は、透明基材上の少なくとも片面に反射
防止層を有する反射防止光学部材において、最表面上に
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物、及び、下記
一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を含有する防
汚剤からなる防汚層がドライコーテイング法により形成
されていることを特徴とする反射防止光学部材である。
【0013】
【化4】
【0014】(ここに、Rf は炭素数1〜10のパーフ
ロロアルキル基、R1 は炭素数2〜10の2価炭化水素
基である。)
【0015】
【化5】
【0016】〔式中、R2 は互いに同一又は異種の炭素
数1〜10の1価炭化水素基、R3 は下記一般式(3)
【0017】
【化6】
【0018】(ここに、R6 は炭素数2〜10の2価炭
化水素基、R7 は炭素数1〜10の1価炭化水素基、a
は0〜2の整数である。)で表される加水分解性基、R
4 はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の1
価炭化水素基、R5 はR3 又はR4 を示すが、各R5
互いに同一であっても異なっていてもよい。kは0〜1
00、mは0〜100、nは0〜5の整数であるが、n
は0の場合、R5 の少なくとも1個はR3 である。〕
【0019】本発明の請求項2の発明は、透明基材上の
少なくとも片面に反射防止層を有する反射防止光学部材
の前記反射防止層上に請求項1記載の防汚剤からなる防
汚層を形成する際、請求項1記載の防汚剤を多孔性成型
物中に含浸させ、真空中において、それを加熱し、蒸発
させ、前記反射防止層上に成膜し、必要ならば加熱、加
湿、紫外線照射、又は電子線照射等を行うことを特徴と
する防汚層の形成方法である。
【0020】本発明の請求項3の発明は、請求項2記載
の防汚層の形成方法において、前記多孔性成型物が、S
iO2 , TiO2 , ZrO2 , MgO, Al23 , C
aSO4 , Cu, Fe, Al, ステンレス,カーボンな
ど、又はその混合物から成ることを特徴とする。
【0021】本発明の請求項4の発明は、請求項2ある
いは請求項3記載の防汚層の形成方法において、請求項
1記載の防汚剤を含浸させた多孔性成型物を加熱して請
求項1記載の防汚剤を蒸発させる為の加熱方法が、抵抗
加熱法、EB加熱法、光加熱法であることを特徴とす
る。
【0022】本発明の請求項5の発明は、請求項1記載
の反射防止光学部材あるいは請求項2から請求項4のい
ずれかに記載の防汚層の形成方法において、前記透明基
材が、有機基材である透明プラスチック基材、又は無機
基材であるガラス板であることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の反射防止光学部材は、透明基材上の少なくとも
片面に反射防止層を有する反射防止光学部材であって、
最表面上に形成される防汚層は、前記一般式(1)で表
される有機ケイ素化合物、及び、前記一般式(2)で表
される有機ケイ素化合物を含有する防汚剤がドライコー
テイング法により形成されている。
【0024】前記一般式(1)において、Rf は炭素数
1〜10、好ましくは炭素数4〜10のパーフロロアル
キル基であり、CF3 −基, C49 −基, C817
基等を例示することができる。R1 は炭素数2〜10の
2価炭化水素基であり、エチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン
基、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基、フェ
ニレン基等のアリーレン基などを例示することができ、
特にエチレン基、プロピレン基、フェニレン基が好まし
い。
【0025】また、前記一般式(2)で表されるR2
互いに同一又は異種炭素数1〜10の1価炭化水素基で
あり、メチル基、エチル基、プロヒル基、ブチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シク
ロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル
基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアル
ケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベン
ジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げ
られ、特にメチル基、エチル基、フェニル基、フェニル
エチル基が好ましい。R3 は前記一般式(3)で示され
る加水分解基である。
【0026】ここで、R6 は炭素数2〜10の2価炭化
水素基であり、2価炭化水素基としては、R1 で例示し
たと同様のものが例示される。また、R7 は炭素数1〜
10の1価炭化水素基であり、R2 は同様のものが例示
されるが、メチル基であることが好ましい。aは0、1
又は2、好もしくは0又は1である。
【0027】また、前記一般式(2)において、R4
炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、R2 で例示し
たと同様のものを挙げることができるが、これはその炭
素原子に結合した水素原子の一部又は全部がフッ素原子
にて置換されていてもよく、このような置換基として、
1 と同様なものが挙げられ、トリフロロプロピル基等
を例示することができる。
【0028】更に、R5 はR3 又はR4 を示し、各R5
は互いに同一であっても異なっていてもよいが、nが0
の場合、少なくとも1個のR5 はR3 である。またkは
0〜100、好ましくは0〜60、mは0〜100、好
ましくは0〜60、nは0〜5である。上述したよう
に、n=0の場合、R5 の少なくとも1個はR3 であ
り、従って前記一般式(2)の化合物は、分子中に少な
くとも1個のR3 (加水分解性基)を含み、またフロロ
アルキル基を有してもよいシロキサンである。
【0029】前記一般式(1)の有機ケイ素化合物と、
前記一般式(2)の有機ケイ素化合物の混合比は、特に
制限はないが、重量比として1.0:0.1〜0.1:
1.0、特には、0.5:1.0〜1.0:0.5が望
ましい。この場合、前記一般式(1)の有機ケイ素化合
物が少ないと、特に、撥油性が劣り、前記一般式(2)
の有機ケイ素化合物が少ないと、基材表面に粘着感が出
て、それぞれ、目的とする防汚性が発揮されず、好まし
くない場合が生じる。
【0030】本発明において用いられる透明基材とは、
有機基材、あるいは無機基材の通常の光学部材用材料と
して用いられるものである。無機基材としては、主にガ
ラス板があげることができる。
【0031】有機基材のうち、透明プラスチック基材と
しては、種々の有機高分子からなる基材をあげることが
できる。通常、光学部材として使用される基材は、透明
性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、
耐熱性、耐久性などの諸物性の点から、ポリオレフィン
系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル
系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等)、ポリアミド系(ナイロン−6、ナイロン−
66等)、ポリスチレンポリ塩化ビニル、ポリイミド、
ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ア
クリル、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジア
セチルセルロース、セロファン等)等、或いはこれらの
有機高分子の共重合体などからなっているが、本発明が
透明基材とする透明プラスチック基材としてもこれらの
基材をあげることができる。
【0032】これらの有機基材を構成する有機高分子
に、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を含
有させたものも使用することができる。また、透明基材
とする無機基材あるいは有機基材の形状は、特に限定さ
れるものではないが、通常、光学部材として使用される
透明プラスチック基材はフィルム状をなしており、本発
明の反射防止光学部材もこれらフィルム状又はシート状
のものを透明基材とすることができる。このフィルム状
またはシート状の基材としては、単層、あるいは複数の
有機高分子を積層したものでも良い。また、その厚み
は、特に限定されるものではないが、0.01〜5mm
が好ましい。
【0033】また、無機基材、あるいは有機基材上の反
射防止層となる無機化合物層を形成する無機化合物とし
ては、金属酸化物〔酸化珪素(二酸化珪素、一酸化珪素
等)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタ
ン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化トリウム、酸化
アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イッ
トリウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ITO(Indium T
in Oxide)等〕、金属ハロゲン化物〔フッ化マグネシウ
ム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化ラン
タン、フッ化セリウム、フッ化リチウム、フッ化トリウ
ム等〕等をあげることができる。
【0034】これら無機化合物からなる無機化合物層
は、単層または多層の薄膜等が挙げられ、これらはウェ
ットコーティンク法(ディップコーティング法、スピン
コーティング法、フローコーティング法、スプレーコー
ティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティ
ンク法等)、PVD(Physical Vapor Deposition) 法
(真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)、
CVD(Chemical Vapo r Deposition )法等の公知の方
法により形成される。
【0035】また、透明プラスチック基材と反射防止層
となる無機化合物層との間に、ハードコート層を設けて
も良い。このハードコート層を設けることにより、基材
表面の硬度が向上すると共に、基材表面が平滑になり、
透明プラスチック基材と無機化合物層との密着が向上す
るために、鉛筆等の荷重のかかる引っ掻きによる傷を防
止し、また、透明プラスチック基材屈曲による無機化合
物層のクラック発生を抑制することができ、反射防止光
学部材の機械的強度が改善できる。ハードコート層は透
明性と適度な硬度と機械的強度があれば、特に限定され
るものではない。電離放射線や紫外線の照射による硬化
樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に、紫外線照射硬
化型アクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、熱硬化型ポリ
シロキサン樹脂が好ましい。これらの樹脂は透明プラス
チック基材と屈折率が同等もしくは近似していることが
より好ましい。膜厚は3mm以上あれば十分な強度とな
るが、透明性、塗工精度、取り扱いから5〜7mmの範
囲が好ましい。
【0036】前記ハードコート層に平均粒子径0.01
〜3mmの無機或いは有機物微粒子を混合分散させる。
または表面形状を凹凸させることで一般的にアンチグレ
アと呼ばれる光拡散性処理を施すことが出来る。これら
の微粒子は透明であれば特に限定されるものではない
が、低屈折率材料が好ましく、酸化ケイ素、フッ化マグ
ネシウムが安定性、耐熱性等で好ましい。これらのハー
ドコート層は均一に塗布されるものであれば、塗布方法
はいかなる方法でも構わない。
【0037】本発明の反射防止光学部材の反射防止層上
に形成される防汚層は、前記一般式(1)で表される有
機ケイ素化合物、及び、前記一般式(2)で表される有
機ケイ素化合物を含有する防汚剤をドライコーテイング
法により前記反射防止層上に成膜して形成される。
【0038】防汚層形成時の作業環境や、防汚層の膜厚
の制御の点から、希釈溶媒を必要としないドライコーテ
ィング法によることが好ましく、特に、真空蒸着法によ
ることが好ましい。ドライコーティング法によると、従
来困難であった防汚層の膜厚をオングストロームオーダ
ーで正確に制御することができ、所望の防汚層を有する
光学部材を提供できる。さらに、反射防止膜を有する光
学部材については、色設定が難しい反射防止層の干渉色
を変化させることなく、容易に防汚性を付与することが
可能である。
【0039】なお、防汚層をドライコーティング法によ
り形成する場合、その膜厚は防汚剤の蒸発量に依存して
変化する。従って、防汚層の膜厚を制御するためには、
防汚剤の蒸発量を正確に制御することが好ましい。ドラ
イコーティンク法により、反射防止層上に防汚層を成膜
した後は、必要に応じて、加熱、加湿、光照射、電子線
照射等を行ってもよい。
【0040】前記防汚剤を用いて作製した防汚層の膜厚
は、特に限定されるものではないが、防汚性、耐擦傷
性、及び、光学部材の光学性能の点から、10〜500
Åが好ましい。
【0041】本発明で用いるドライコーテイング法は特
に限定されないが、前記防汚剤を多孔性成型物中に含浸
させ、真空中において、それを加熱し、蒸発させ、反射
防止層上に成膜して形成する方法は好ましく使用でき
る。反射防止層上に成膜した後必要ならば、加熱、加
湿、紫外線照射、電子線照射等を行う。
【0042】多孔性成型物の成分としては、SiO2 ,
TiO2 , ZrO2 , MgO ,Al23 , CaSO
4 ,Cu, Fe, Al, ステンレス,カーボンなど、又
はその混合物から成る。これらの材料は、例えば、通常
は5μm〜20μmまでの範囲の粒径を有する細かく分
割された形状を有し、ペレット化し、次にこれらのペレ
ットを各材料の通常行われる方法で焼結することにより
調整される。
【0043】ペレットの焼結工程は、一般的には1〜1
0時間にわたり、700〜1400℃の温度で行われ
る。一次粒子の粒径、濃厚化、及び焼結条件によって、
得られる多孔性成型物は30〜60%の空孔率を有す
る。
【0044】本発明の反射光学部材と偏向フィルム等の
機能性光学部材をラミネートに代表される貼り合わせる
ことにより、反射防止機能を有する光学機能性部材とな
る。
【0045】上記の反射防止光学部材や反射防止部材を
貼り合わせた機能性光学部材を粘着剤、接着剤等を用い
て各種ディスプレイ(液晶ディスプレイ、CRTディス
プレイ、プロジェクションテレビ、プラズマディスプレ
イ、ELディスプレイ等)の表示画面表面の前面板のガ
ラス板、プラスチック板、偏光板等と貼り合わせること
によって、反射防止性を有し、指紋、皮脂、汗、化粧品
などの汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやすい
性能を持ち、その効果の耐久性に優れ、画像認識性の高
い表示装置となる。
【0046】
【作用】本発明の反射防止光学部材は、従来の技術で作
製したものより、反射防止性能を損なわせることがな
く、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着しにく
く、付着しても拭き取りやすい性能を持ち、その効果の
耐久性に優れている。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。 〈実施例1〉 〔(1)反射防止膜付きPET フィルムの作製〕PETフ
ィルム(厚さ:100mm)上に、単官能性アクリル樹
脂をマイクログラビア法を用いて塗布し、120Wのメ
タハライドランプを20cmの距離から10sec照射
することにより、ハードコート層を形成させた。その
後、ハードコート層付きPETフィルム上にプラズマア
シスト蒸着法により、TiO2 ,SiO2 , TiO2 ,
SiO2 の順序に成膜し、反射防止層を作製した。各層
の屈折率n、形状膜厚d、及び光学膜厚ndは、PET
フィルム(n=1.63)、ハードコート層(n=1.
55, d=約5mm)、TiO2 (n=2.30,nd
=60nm)、SiO2 (n=1.46,nd=40n
m)、TiO2 (n=2.30, nd=110nm)、
SiO2 (n=1.46, nd=140nm)とした。
光学膜厚は、光学式膜厚モニターにより監視し、目的光
量値に達した時に成膜を止め、所定の光学膜厚を得た。
【0048】〔(2)多孔性成型物の作製〕粒径1〜1
0μmのAl23 を水圧プレスを使って直径6mm、
高さ4mmのペレットを作製した。次にこのペレットを
1200℃で14時間にわたり焼結した。焼結され、成
形された物品は約40%の空孔率を有する。
【0049】〔(3)防汚剤の作製〕一般式(4)で表
される有機ケイ素化合物5g、及び一般式(5)で示さ
れる有機ケイ素化合物5gをパーフルオロヘキサンで1
0wt%に希釈し、防汚剤を作製した。これに上記多孔
性成型物を浸し、完全に飽和状態になるよう含浸させ
る。この溶液から取り出し、溶剤を蒸発させた後、各ペ
レットは約2wt%の防汚剤を含有している。
【0050】
【化7】
【0051】
【化8】
【0052】〔(4)防汚層の作製〕前記ペレットをモ
リブデンボート上に乗せ、真空蒸着法(抵抗加熱法)に
より、前記反射防止膜付きPETフィルム上に成膜し、
防汚層を作製した。真空蒸着機内を5×10-5Torr
以下に真空排気した後、ボートを400℃に加熱し、防
汚剤を蒸発させた。
【0053】〈比較例1〉防汚剤としてCF3 (CF
27 (CH22 Si(NH)3/2 〔KP801M:
信越化学工業(株)製〕を用いた。実施例1と同様にし
て反射防止膜付きPETフィルム上に防汚層を作製し
た。上記の実施例1、比較例1において得られた反射防
止光学部材について下記の各種物性評価方法により評価
した結果を表1に示す。
【0054】(a)接触角測定:接触角計〔CA−X
型:協和界面科学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20
℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作
り、これを基材(固体)の表面に接触させて液滴を作っ
た。接触角とは、固体と液体が接する点における液体表
面に対する接線と固体表面がなす角で、液体を含む方の
角度で定義した。液体には、蒸留水とn−ヘキサデカン
を使用した。
【0055】(b)転落角測定:転落角計〔CA−X
型:協和界面科学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20
℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作
り、これを水平な基材(固体)表面上に接触させて液滴
を作った。次にこの固体試料を徐々に傾けていくと、液
滴は徐々に変形し、傾斜角度がある角度に達したとき、
液滴は下方へ滑り出す。このときの傾斜角度を転落角と
した。液体には、蒸留水とn−ヘキサデカンを使用し
た。
【0056】(c)油性ペンの付着性:基材表面に油性
ペン(マジックインキ:細書き用no. 500)を用い
て、長さ1cmの直線を書き、その付き易さあるいは目
立ち易さを目視判定を行った。判定基準を以下に示す。 ○:油性ペンが球状にはじいている。 ×:油性ペンがはじかず、書ける。
【0057】(d)油性ペンの拭き取り性:基材表面に
付着した油性ペンをセルロース製不織布〔ベンコットM
−3:旭化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さを目
視判定を行った。判定基準を以下に示す。 ○:油性ベンを完全に拭き取ることが出来る。 △:油性ベンの拭き取り跡が残る。 ×:油性ベンを拭き取ることが出来ない。
【0058】(e)指紋の付着性:基材表面に指を数秒
押しつけて、指紋を付着させ、その付き易さあるいは目
立ち易さを目視判定を行った。判定基準を以下に示す。 ○:指紋の付着が少なく、付いた指紋が目立たない。 ×:指紋の付着が認識できる。
【0059】(f)指紋の拭き取り性:基材表面に付着
した指紋をセルロース製不織布〔ベンコットM−3:旭
化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さを目視判定を
行った。判定基準を以下に示す。 ○:指紋を完全に拭き取ることが出来る。 △:指紋の拭き取り跡が残る。 ×:指紋の拭き取り跡が拡がり、拭き取ることが出来な
い。
【0060】(g)耐摩耗性:基材表面をセルロース製
不織布〔ベンコットM−3:旭化成(株)製〕で荷重5
00gfで100回擦った後に、前記各種物性評価を行
った。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】本発明の反射防止光学部材は、従来の技
術で作製したものより、反射防止性能を損なわせること
がなく、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着しに
くく、付着しても拭き取りやすい性能を持ち、その効果
の耐久性に優れている。
【0063】本発明で用いる希釈溶媒を必要としないド
ライコーテイング法によれば、防汚層形成時の作業環境
や、防汚層の膜厚の制御の点から好ましい。ドライコー
ティング法によると、従来困難であった防汚層の膜厚を
オングストロームオーダーで正確に制御することがで
き、所望の防汚層を有する光学部材を提供できる。さら
に、反射防止膜を有する光学部材については、色設定が
難しい反射防止層の干渉色を変化させることなく、容易
に防汚性を付与することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 3/00 112 C09K 3/00 112F (72)発明者 渡辺 二郎 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 浅井 光雄 群馬県碓井郡松井田町人見1−10 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (72)発明者 上原 仁 群馬県碓井郡松井田町人見1−10 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基材上の少なくとも片面に反射防止
    層を有する反射防止光学部材において、最表面上に一般
    式(1)で表される有機ケイ素化合物、及び、下記一般
    式(2)で表される有機ケイ素化合物を含有する防汚剤
    からなる防汚層がドライコーテイング法により形成され
    ていることを特徴とする反射防止光学部材。 【化1】 (ここに、Rf は炭素数1〜10のパーフロロアルキル
    基、R1 は炭素数2〜10の2価炭化水素基である。) 【化2】 〔式中、R2 は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の
    1価炭化水素基、R3 は下記一般式(3) 【化3】 (ここに、R6 は炭素数2〜10の2価炭化水素基、R
    7 は炭素数1〜10の1価炭化水素基、aは0〜2の整
    数である。)で表される加水分解性基、R4 はフッ素原
    子を含んでいてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素
    基、R5 はR3 又はR4 を示すが、各R5 は互いに同一
    であっても異なっていてもよい。kは0〜100、mは
    0〜100、nは0〜5の整数であるが、nは0の場
    合、R5 の少なくとも1個はR3 である。〕
  2. 【請求項2】 透明基材上の少なくとも片面に反射防止
    層を有する反射防止光学部材の前記反射防止層上に請求
    項1記載の防汚剤からなる防汚層を形成する際、請求項
    1記載の防汚剤を多孔性成型物中に含浸させ、真空中に
    おいて、それを加熱し、蒸発させ、前記反射防止層上に
    成膜し、必要ならば加熱、加湿、紫外線照射、又は電子
    線照射等を行うことを特徴とする防汚層の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記多孔性成型物が、SiO2 , TiO
    2 , ZrO2 , MgO, Al23 , CaSO4 , C
    u, Fe, Al, ステンレス,カーボンなど、又はその
    混合物から成ることを特徴とする請求項2記載の防汚層
    の形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の防汚剤を含浸させた多孔
    性成型物を加熱して請求項1記載の防汚剤を蒸発させる
    為の加熱方法が、抵抗加熱法、EB加熱法、光加熱法で
    あることを特徴とする請求項2あるいは請求項3記載の
    防汚層の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記透明基材が、有機基材である透明プ
    ラスチック基材、又は無機基材であるガラス板であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の反射防止光学部材あるい
    は請求項2から請求項4のいずれかに記載の防汚層の形
    成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004046230A1 (ja) * 2002-11-20 2004-06-03 Kimoto Co., Ltd. 指紋消去性フィルム
JP2007168218A (ja) * 2005-12-21 2007-07-05 Toppan Printing Co Ltd 導電性積層体及びディスプレイ

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