JP4759869B2 - 印刷装置、電圧管理装置及び電圧管理方法 - Google Patents

印刷装置、電圧管理装置及び電圧管理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子機器に関するものであり、特に動作時に消費電力の大きい印刷装置(コピー装置、ファックス装置、プリンタ等を含む)に関する。また、本発明は、印刷装置、ATM等の電子機器において、使用可能な電子機器の電源電圧の管理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器が安定して動作するためには、一定の電圧が安定して供給されることが必要である。そのための駆動源として電源が設けられ、電源から正しい電圧が供給されているかどうかが常時監視される。電圧は、電圧管理装置(電圧管理部)により管理され、電圧異常が発生すると電圧異常の種類に応じて、電子機器の動作を一時停止する等の必要な措置が取られる。
【0003】
最近の電子機器においては、例えば一定時間入力操作がないとき表示部の輝度を下げる等、非動作の状態が一定時間継続したときに電子機器の一部の電源供給またはクロック等を停止することにより省電力化(このような状態を省電力モードと呼ぶ)を図っているものもある。省電力モード中は、装置の一部だけが動作可能状態に維持され、他の大部分への電源の供給が一時的に停止されて、電子機器が休眠状態にある。また、省電力モードの一態様として、消費電力の大きいCPUのクロックを停止するものも存在する。CPUのクロックが停止している省電力モード時には、CPUの割り込みポート等、一部の限られた部分のみがアクティブ状態に保たれる(CPU自体は、演算処理等を実行できる状態にない)。省電力モードの解除は、解除要因(ウェイクアップイベントと呼ぶ)に基づいて割込信号を発生させることによりCPUを起動することにより行う。
【0004】
このような省電力モードへの移行が可能な電子機器では、低電圧/高電圧異常の発生をウェイクアップイベントの一つとして設定するとともに、印刷動作時及び省電力モード時のいずれのモードにおいても、電圧レベルをゲートアレイ等により監視している。電源電圧が高低それぞれの閾値レベルを超えると、CPUの外部割込み端子に割込信号が出力されることによりCPUが起動されて、電圧異常に対する対応処理が実行される。電源電圧異常への対応処理としては、エラーログを記録するほか、例えばプリンタの印刷中に低電圧異常が発生した場合には、印刷を一時中止して電圧の回復を待ち、電圧回復後に印刷を実行する等の措置が実行される。また、特に電源電圧が高すぎる場合(高電圧異常)には、警告または電源の緊急切断等の措置が必要になることもある。
【0005】
省電力モード時においては、装置全体が動作を停止している状態であり電力の消費が極めて少ないため、電源その他の部分が正常な状態である限り電圧の低下は発生しない。そのため省電力モード時においては、小さな電圧低下であっても何らかの異常状態が発生しているおそれがある。したがって、省電力モード時における電圧異常の監視は、小さな電圧低下をも検知可能でなければならない。そのため、従来技術の電源電圧の監視においては、小さな電圧低下であっても低電圧異常として検知することができるように、低電圧異常を検知するための基準電圧(閾値電圧)を公称電圧値に近い値に設定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電子機器によっては、静止時と動作時では消費電力に大きな差があるものもある。また、動作状況(印刷内容等)により消費電流のばらつきが大きいものもある。特に、コピー、ファックス、プリンタ等の電子機器では、印刷内容により消費電流に大きなばらつきがあり、通常予定されている正常な動作においても瞬間的に大電流が流れて、大きな電圧降下が発生する場合もある。そのため、低電圧異常を判定するための閾値電圧が公称電圧値に近い高い値に設定されていると、このような瞬間消費電流のばらつきが大きい電子機器においては、動作中の電圧降下に起因する電圧異常の割込処理を行う頻度が高くなり、ファームウェア処理効率の低下、及び電子機器の動作速度の低下が起こるという問題があった。
【0007】
例えば、ラインサーマルプリンタのように消費電流の多い電子機器では、1ライン中の全ドットを同時印刷するような高デューティ印刷を実行すると、消費電流が大きくなるために急激な電圧降下が起こる。大きな電圧低下は印字品質にも影響するため、このような場合には印刷を一時停止して、電圧の回復を待って印刷を再開する必要がある。このような1ライン中の全ドットを同時印刷するような印刷は発生頻度の低い特殊な印刷であるため、印刷停止時間が多少伸びても大きな問題とはならない。
【0008】
しかし、印刷内容に応じて印刷密度は変化し、比較的印刷密度の濃い印刷が実行された場合であっても印刷内容に応じた電圧降下は発生する。このような印刷に伴う比較的小さな電圧降下は印刷動作中頻繁に発生する。従って、印刷モード中も省電力モードと同じ閾値電圧で低電圧異常の判定を行なうとすると、印刷に伴う電圧降下をも低電圧異常として検知してしまうことになる。そのため、印字密度の濃い印刷を実行する度に、低電圧異常と判断されて割込み処理が行われることになり、印刷速度が大幅に低下する。
【0009】
印刷に伴う電圧降下は、電力供給能力の高い電源を使用することにより解消可能である。しかし、電源の過剰能力はコストアップ要因となるため、最大消費電力及び動作環境等を勘案して適正な電源を採用することが望ましい。電子機器の開発メーカーは、最大消費量、動作環境、求められる印刷速度等を勘案して適切な電力供給能力を有する電源を使用することを推奨するが、電源コストは電子機器の全体コストに大きな影響を与えるため、購入者側で電力供給能力の劣る低コストの電源の使用を希望することもある。電力供給能力が劣る電源が使用された場合には電圧降下が大きくなり、頻繁に電圧異常による割込みが発生し、印刷速度が低下する可能性がより高くなる。
【0010】
本発明は、これらの点に鑑みて成されたものであり、動作モードに応じて異なる電源電圧管理を行なう印刷装置を提供することをその目的の1つとする。
【0011】
また、本発明は省電力モードにおいては正確な電源異常の監視を可能にしつつ、印刷動作時には所定の電圧降下を電圧異常としない印刷装置を提供することをその目的の1つとする。
【0012】
さらに本発明は、正確な電源異常の監視を可能にしつつ、動作に伴う所定範囲の電圧降下を電圧異常としない印刷装置の電圧管理装置を提供することをその目的の1つとする。
【0013】
本発明は、さらに、動作モードに応じて異なる電源電圧管理を行なう電子機器の電圧管理方法を提供することをその目的の1つとする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、電子機器の動作モードに応じて異なる閾値電圧を用いて低電圧異常の判定を行うことにより、上記課題を達成した。すなわち、動作停止状態と、稼動状態とに分けて異なる閾値電圧を用いて低電圧異常を検出することにより、停止状態には比較的厳格な電圧異常の検出を可能にし、動作時には、所定の電圧降下を超える電圧低下があったときのみ電圧低下異常とすることにより正確な電圧異常判断を可能にしつつ、正常な電圧降下を電圧異常としないことを可能にした。以下に本発明の態様を説明する。
【0015】
本発明の第1の態様にかかる印刷装置は、各部に電力を供給する電源と、電源から供給される電圧を監視して、電源電圧が第1の閾値電圧以下となったときに第1の低電圧検知信号を出力し、電源電圧が第1の閾値電圧より低い第2の閾値電圧以下となったときに第2の低電圧検知信号を出力する電圧監視部と、第1の低電圧検知信号に基づいて、第1の対応処理を実行する第1の電圧管理部と、前記第2の低電圧検知信号に基づいて第2の対応処理を実行する第2の電圧管理部と、第1の動作モード時に前記第1の電圧管理部を動作可能にし、第2の動作モード時に前記第1の電圧管理部を動作不能にするよう前記第1の電圧管理部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。この態様により、印刷装置の動作モードに応じて、低電圧異常の検出レベルを変更することができ、動作モードに対応した適切な電圧異常の監視及び電圧異常対応処理が可能となる。
【0016】
本発明の第2の態様にかかる印刷装置は、制御部が、第1の動作モード時に電圧管理部を動作可能にするとともに第2の電圧管理部を動作不能にし、第2の動作モード時に第2の電圧管理部を動作可能にするとともに第1の電圧管理部を動作不能にするよう第1の電圧管理部及び第2の電圧管理部を制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の態様にかかる印刷装置は、制御部が、省電力モードを第1動作モードとし、通常動作モードを第2の動作モードとして第1の電圧管理部及び第2の電圧管理部を制御することを特徴とする。これにより、省電力モード時には、僅かな電圧降下が発生しても電圧異常としつつ、通常動作モードでは、僅かな電圧降下では電圧異常とはしない等の電圧管理が可能となる。
【0018】
本発明の第4の態様にかかる印刷装置は、制御部が、非印刷時を第1の動作モードとし、印刷動作時を第2の動作モードとして、第1の電圧管理部及び前記第2の電圧管理部を制御することを特徴とする。これにより、通常動作モードであっても非印刷時には、第1の閾値により電圧を監視可能となり、通常動作モードであってもより厳格な電圧監視が可能となる。
【0019】
本発明の第5の態様にかかる印刷装置は、第1の電圧管理部が、第1の低電圧検知信号を受信したときに制御部に割込信号を送信し、省電力モード中の制御部を通常動作モードに復帰させ、該制御部の制御に基づき第1の対応処理を実行することを特徴とする。これにより省電力モード中であっても電圧異常を検知したときには割込み処理によるCPUを復帰させて異常対応処理を実行させることが可能となる。
【0020】
本発明の第6の態様にかかる印刷装置は、第2の対応処理が、印刷動作を一定期間停止することであることを特徴とする。これにより、印刷動作中に印刷品質に影響するような電圧低下が発生したときには、印刷を一時停止し、電圧の回復を待つことが可能となる。
【0021】
本発明の第1の態様にかかる電圧管理装置は、少なくとも第1の閾値電圧、及び前記第1の閾値電圧より低い電圧の第2の閾値電圧に基づき電源電圧を監視して、電源電圧が前記第1及び第2の閾値電圧以下のときにそれぞれ第1の低電圧検知信号及び第2の低電圧検知信号を出力する電圧監視部と、第1の動作モード時に、第1の低電圧検知信号の受信に基づいて第1の対応処理を実行する第1の電圧管理部と、第2の動作モード時に、第2の低電圧検知信号に基づいて第2の対応処理を行う第2の電圧管理部と、を具備することを特徴とする。この電圧管理装置により、電子機器の動作モードに応じて、電圧監視のための閾値電圧を2以上設けることが可能となる。また、プリンタに限らず各種電子機器に電子管理装置を適用可能であり、各種電子機器の電源電圧をそれぞれの動作モードに応じて適切な閾値で監視可能となる。
【0022】
本発明の第2の態様にかかる電圧管理装置は、第1の動作モードが省電力モードであり、第2の動作モードが通常動作モードであることを特徴とする。
【0023】
本発明の第1の態様にかかる電圧管理方法は、(a)第1の閾値電圧に基づいて電源電圧を確認し、電圧異常と判定したときに第1の電圧異常信号を出力する工程と、(b)第1の閾値電圧より低い電圧の第2の閾値電圧に基づいて電源電圧を確認し、電圧異常と判定したときに第2の電圧異常信号を出力する工程と、(c)第1の動作モード時において、第1の電圧異常信号を受信したときに第1の電圧異常対応処理を実行する工程と、(d)第2の動作モード時において、前記第2の電圧異常信号を受信したときに第2の電圧異常対応処理を実行する工程とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明の第2の態様にかかる電圧管理方法は、工程(c)が、省電力モード時において、第1の電圧異常信号を受信したときに第1の電圧異常対応処理を実行する工程からなり、工程(d)が、通常動作モード時において、第2の電圧異常信号を受信したときに第2の電圧異常対応処理を実行する工程からなることを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の態様にかかる電圧管理方法は、工程(c)が、省電力モード時及び通常動作モードの非印刷時において、第1の電圧異常信号を受信したときに第1の電圧異常対応処理を実行する工程からなり、工程(d)が、通常動作モードの印刷動作中時において、第2の電圧異常信号を受信したときに第2の電圧異常対応処理を実行する工程からなることを特徴とする。
【0026】
本発明の第4の態様にかかる電圧管理方法は、工程(c)が、省電力モード時に第1の電圧異常信号を受信したときに、CPUを通常動作モードに復帰させるための割込処理を行うことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
以下の説明では、ラインサーマルプリンタに本発明を適用した例を説明する。
しかし、これは本発明の典型的な適用分野として、瞬間消費電力が大きいラインサーマルプリンタを使用して説明するものであり、本発明の印刷装置がラインサーマルプリンタに限定されることを意味するものではない。また、本明細書において印刷装置とは、プリンタに限らず、コピー、ファックス等の画像を用紙上に出力する装置も含まれる。さらに、本発明の電圧管理装置はこれら以外の他の電子機器への適用も可能である。
【0029】
図1を用いて、本発明の印刷装置の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷装置10を示す機能ブロック図である。図1では、本発明の特徴を明確にするために、印刷機構等の記載は省略している。印刷装置10は、電源11を有しており、電源11は印刷装置10の各部に電力を供給する。図1の電圧監視部12は、第1の閾値電圧監視部13及び第2の閾値電圧監視部14とから構成されており、第1の閾値電圧監視部13及び第2の閾値電圧監視部14には、電源11から電源電圧が供給されている。第1の閾値電圧監視部13は第1の閾値電圧より電源電圧が低下していないかを確認し、第2の閾値電圧監視部14は第2の閾値電圧より電源電圧が低下していないかを確認する。第1の閾値電圧は電源負荷が小さい場合における電源電圧監視用の閾値電圧であり、電源の公称電圧よりやや低い値が設定される。第2の閾値電圧は、電源負荷がかかったときの電圧監視用閾値電圧であり、第1の閾値電圧よりもさらに低い電圧が設定されている。
【0030】
尚、電源電圧は、通常、低電圧異常だけでなく高電圧異常についても監視されているが、図1では、本発明が主として低電圧異常処理に関するものであるため、説明の便宜上、高電圧異常の監視については省略している。
【0031】
第1の閾値電圧監視部13は、電源電圧が第1の閾値電圧より低下していないかどうかを監視している。電源電圧が第1の閾値電圧より低下していることを検知すると、第1の閾値電圧監視部13から電圧低下検知信号が第1の電圧管理部15に出力される。第1の電圧管理部15の第1の低電圧異常検出部17は、第1の閾値電圧監視部13からの電圧低下検知信号に基づき、第1の低電圧異常信号を第1の対応処理部18に送信する。第1の対応処理部18は、これに基づき低電圧異常状態に対応する処理、例えば、エラー表示及びエラーログの作成等の対応処理を、実行する。
【0032】
一方、第2の閾値電圧監視部14は電源電圧が第2の閾値電圧より低下していないか監視し、電源電圧が第2の閾値電圧より低下している場合には電圧低下検知信号を第2の電圧管理部16に出力する。第2の電圧管理部16の第2の低電圧異常検出部19は、第2の閾値電圧監視部14からの電圧低下検知信号を受信すると、第2の低電圧異常信号を第2の対応処理部20に出力する。第2の対応処理部20は、第2の低電圧異常信号を受信すると、第2の低電圧異常状態に対応する処理を実行する。
【0033】
第1の対応処理部18には制御部21から制御信号が入力されている。制御部21からの制御信号は、第1の対応処理部18の動作を可能にし、または不能にすることができる。制御部18は、プリンタの動作モードに応じて、第1の対応処理部18の動作を停止させるかどうかを決定する。前述の通り、第1の閾値電圧は第2の閾値電圧より高い値が設定されているため、例えば、省電力モード時においては、第1の対応処理部18を動作可能にして、通常動作モードでは動作不能にする。または、印刷時のみ第1の対応処理部18を動作不能にし、他のモードでは動作可能にする。このようにすることにより、電圧負荷の小さい省電力モード時または非印刷時には、比較的高い閾値で低電圧異常を監視して回路等の不具合による低電圧異常の認識を可能としつつ、印刷動作により発生する認容可能な電圧降下を低電圧異常と判定することを防止することができる。
【0034】
図2は本発明の他の実施態様にかかる印刷装置10−1を示す機能プロック図である。印刷装置10−1では、CPU31、RAM32、ROM33、及び制御プログラムとにより、装置全体が制御される。制御プログラムは、ROM33及びRAM32に記憶されている。従って、図1の制御部21、第1の電圧管理部15と第2の電圧管理部16の一部は、CPU31、RAM32及びROM33により構成されている。
【0035】
CPU31は、ROM33又はRAM32に記憶されている制御プログラムに基づき、バス35に接続されている入出力インタフェース40を介して入力装置41、表示装置42及び印刷機構22を制御する。印刷データ等は、外部接続インタフェース34を介して、PC、ホスト装置、その他の外部装置から受信する。受信データは、RAM32に記憶され、CPU31の制御の下、印刷機構22により印刷が行われる。印刷機構22は印刷機構駆動回路44、印刷ヘッド45、駆動モータ46及びプランジャ47等から構成されている。
【0036】
一方、電源11は各部に電力を供給しており、その出力電圧は電圧監視部12により監視されている。23は、省電力モード状態から通常動作モードに復帰させるためCPU31を起動するウェイクアップイベント発生部である。図2では、電圧異常25、その他の要因24がウェイクアップイベントとして例示してある。低電圧異常及び高電圧異常が発生すると、ウェイクアップイベントとして電圧異常25が生成され、割込要因無効設定部27を介してCPU31に割込信号が送信される。その他の要因24として、種々のウェイクアップイベントにより割込みが発生するが、本発明とは直接関連しないので、説明を省略する。
【0037】
割込要因無効設定部27は、ウェイクアップイベント発生部23からのウェイクアップイベントを選択的に無効にする(無能化する)ことができる。割込要因無効設定部27は、無効とされたウェイクアップイベントが発生しても、CPU31に割込信号を送出しない。割込要因無効設定部27の設定は、バス35を介してCPU31により行われる。CPU31は制御プログラムに基づく制御の下、通常動作モードまたは印刷実行中、ウェイクアップイベント発生部23中の電圧異常25を無能化する。従って、通常動作モード中又は印刷中に電圧異常25に基づくウェイクアップイベントが発生しても割込みは行われない。ここで、割込要因無効設定部27の無能化の設定を、電圧異常25中の低電圧異常に限定して無能化するようにすることも可能である。この場合に、第1の閾値電圧に基づく第1の低電圧異常の場合にのみ、割込みを無能化することも可能である。
【0038】
26は電圧異常割込制御部であり、通常動作モード時または印刷中の電圧異常時に、電圧監視部12からの電圧異常信号にもとづいて割込み信号を発生させる。特に低電圧異常に関しては、第2の閾値に基づく第2の低電圧異常信号により割込信号を出力する。電圧異常割込制御部26は、ゲートアレイにより通常動作モード時または印刷時の電圧異常の監視するよう構成しても、ファームウェアにより定期的に電圧確認処理を行うよう構成しても良い。また、図2に破線で示すように、電圧異常が発生したときに印刷機構駆動回路44を直接制御して、印刷を一時停止させるようなゲートアレイ29を設けることも可能である。
【0039】
図3を用いて、電源電圧の変動と電圧制御動作の関係を具体的に説明する。図3は、電源電圧の変動例を示すグラフであり、電源電圧の変動電圧を強調して示している。▲1▼は、印刷中の電源電圧の変化を示すグラフであり、印刷濃度の高い印刷が行われると大電流が流れて電源電圧が低下し、印刷濃度が低いと電圧低下は少ない。省電力モード時には、印刷に伴う電圧低下は発生しないので、何らかの異常が発生しない限り電圧降下は起こらない。したがって、省電力モード中に第1の閾値電圧まで下がった場合には、電圧異常状態と判断し、電圧異常によるウェイクアップイベントが発生したものとして、CPUへ割込信号を出力する。割込み信号によりCPUが起動されると、割込み処理ルーチンが実行されて、電圧低下異常に対処する所定の処理が行われる。
【0040】
これに対し、印刷中には、印刷のために消費される電流に応じて電圧降下が起こる。電圧の変動は、駆動される印刷ヘッド45(図2参照)の数、すなわち印刷密度により変動する。
【0041】
特に印刷ヘッドの消費電流の大きいサーマルヘッドを使用したラインサーマルプリンタの場合には、同時に多数のヘッドが駆動される場合があり、電圧降下が大きくなり易い。このような印刷装置において、第1の閾値電圧に基づき低電圧異常を判定すると、印刷密度が所定値を超える度に低電圧異常と判定され、印刷動作上は特に問題がないにも拘わらず、不必要な割込み処理が実行されることになる。
【0042】
そのため、本発明では、通常動作モードまたは印刷中は第1の閾値電圧では低電圧異常を判定せず、より低い第2の閾値電圧により低電圧異常を判定するようにした。これにより通常の印字では、頻繁に低電圧異常と判定されることが無くなる。
【0043】
ただし、ラインサーマルプリンタ等において1ラインの全ドットを同時に駆動する場合等には、第2の閾値以下の電圧降下が発生する場合もある。このような大きな電圧低下は、印刷品質にも影響を及ぼす可能性があるので、このような場合には、▲2▼に示すように所定の短い期間印刷を停止することにより電源電圧の回復を待ち、電圧回復後に印刷を続行する。電圧の回復を判定する回復電圧は、図3に示すように、その後の動作等を勘案して、第1の閾値よりも十分高い値に設定される。1ラインの全ドット印刷のような特殊な印刷は稀であるので、第2の閾値電圧より電圧が低下した場合に印刷を一時停止しても印刷速度全体に与える影響は小さい。これに対し、印刷中の低電圧異常を第1の閾値電圧により判定すると、▲3▼及び▲4▼に示すように頻繁にCPUへの割込み及び印刷の一時停止が発生することになり、印刷速度に大きな影響を及ぼすことになる。本発明は、このような印刷品質に影響の少ない低レベルの電圧降下では、電圧異常と判定しないようにすることにより、電圧降下による不必要な割込み処理を制限し、印刷速度の向上を図るものである。
【0044】
図4は、本発明にかかる電圧管理装置による電圧管理処理手順を示すフローチャートである。
【0045】
まず現在の動作モードが、通常動作モード)であるかが確認され(S101)、通常動作モードでなければ(S101;No)、第1の閾値電圧により低電圧異常かどうかが確認される(S102)。低電圧異常を検出すると(S102;Yes)、ウェイクアップイベントに基づく割込みを行い、CPUを起動する(S103)。CPUが起動されると第1の閾値電圧に基づく低電圧異常に対処するための対応処理が実行される(S104)。この対応処理としては、例えば、電圧エラー表示、エラーログの保存等を行う。また、電源オフを待っても良い。その後、オペレータ等によるエラー回復処理が実行されたことを確認すると(S105;Yes)、再び工程S101の処理に戻る。 工程S101において、通常動作モード中であることが確認されると(S101;Yes)、第2の閾値電圧に基づいて低電圧異常の検出が行なわれる(S106)。第2の閾値電圧に基づき低電圧異常であると判断された場合には(S106;Yes)、印刷を一時停止させる(S107)とともにエラーログの保存等の電源異常対応処理を行っても良い(S108)。その後、電圧回復を待って工程S101に戻り、一時停止中の印刷を再開する。
【0046】
尚、工程S101の確認工程において、通常動作モードかどうかを確認するのではなく、印刷中(印刷モード)であるかどうかを確認するように構成してもよい。この構成の場合には、印刷中以外の低電圧異常は、第1の閾値電圧を基準電圧として判定されることになる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、動作停止状態と稼動状態とに応じて異なる閾値電圧を用いて低電圧異常を検出することにより、動作停止状態では厳格な電圧異常の検出を可能にし、動作時には所定の電圧降下を超える電圧低下があったときのみ電圧低下異常とすることにより、正確な電圧異常判断を可能にしつつ、所定の範囲の電圧降下を電圧異常としない印刷装置を提供可能となった。また、本発明により、所定範囲内の電圧降下が発生しても、印刷品質を一定に維持し、かつ印刷速度を所定の範囲内に維持可能な印刷装置を提供することができた。さらに本発明の電圧管理装置によると、正確な電源異常の監視を可能にしつつ、動作に伴う所定範囲の電圧降下を電圧異常としないことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷装置を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の電圧管理装置を用いたプリンタの主要部を示すブロック図である。
【図3】印刷装置の印刷動作に伴う電圧の変動例を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる電圧管理装置による電圧管理処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 印刷装置
11 電源
12 電圧監視部
13 第1の閾値電圧監視部
14 第2の閾値電圧監視部
15 第1の電圧管理部
16 第2の電圧管理部
22 印刷機構
23 ウェイクアップイベント発生部
26 電圧異常割込制御部
27 割込要因無効設定部
29 ゲートアレイ
35 バスライン

Claims (11)

  1. 各部に電力を供給する電源を備えた印刷装置であって、
    前記電源から供給される電圧を監視して、電源電圧が第1の閾値電圧以下のときに第1の低電圧検知信号を出力し、電源電圧が前記第1の閾値電圧より低い第2の閾値電圧以下のときに第2の低電圧検知信号を出力する電圧監視部と、
    前記第1の低電圧検知信号に基づいて、第1の対応処理を実行する第1の電圧管理部と、
    前記第2の低電圧検知信号に基づいて、第2の対応処理を実行する第2の電圧管理部と、
    前記第1の電圧管理部を動作可能または動作不能にするよう前記第1の電圧管理部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記第1の電圧管理部を前記印刷装置の動作モードに応じて動作可能または動作不能に制御し、前記第2の電圧管理部を前記印刷装置の動作モードによらず動作するよう制御することを特徴とする印刷装置。
  2. 前記動作モードは、省電力モードおよび通常動作モードを含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記動作モードは、非印刷時および印刷動作時を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  4. 前記第1の電圧管理部は、前記第1の低電圧検知信号を受信したときに前記制御部に割込信号を送信し、省電力モード中の前記制御部を通常動作モードに復帰させ、該制御部の制御に基づき前記第1の対応処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
  5. 前記第2の対応処理は、印刷動作を一定期間停止することであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷装置。
  6. 少なくとも第1の閾値電圧、及び前記第1の閾値電圧より低い電圧の第2の閾値電圧に基づき電源電圧を監視して、電源電圧が前記第1及び第2の閾値電圧以下のときにそれぞれ第1の低電圧検知信号及び第2の低電圧検知信号を出力する電圧監視部と、
    第1の低電圧検知信号の受信に基づいて第1の対応処理を実行する第1の電圧管理部と、
    第2の低電圧検知信号に基づいて第2の対応処理を行う第2の電圧管理部と、
    前記第1の電圧管理部を動作可能または動作不能にするよう前記第1の電圧管理部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記第1の電圧管理部を前記印刷装置の動作モードに応じて動作可能または動作不能に制御し、前記第2の電圧管理部を前記印刷装置の動作モードによらず動作するよう制御する電子機器の電圧管理装置。
  7. 前記動作モードは省電力モードおよび通常動作モードを含むことを特徴とする請求項6に記載の電子機器の電圧管理装置。
  8. 以下の工程を具備することを特徴とする電圧管理方法。
    (a) 第1の閾値電圧に基づいて電源電圧を確認し、電圧異常と判定したときに第1の電圧異常信号を出力する工程と、
    (b) 前記第1の閾値電圧より低い電圧の第2の閾値電圧に基づいて電源電圧を確認し、電圧異常と判定したときに第2の電圧異常信号を出力する工程と、
    (c) 動作モードに応じて、前記第1の電圧異常信号を受信したときに第1の電圧異常対応処理を実行する工程と、
    (d) 動作モードによらず、前記第2の電圧異常信号を受信したときに第2の電圧異常対応処理を実行する工程。
  9. 前記工程(c)は、省電力モード時に前記第1の電圧異常信号を受信したときに、CPUを通常動作モードに復帰させるための割込処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の電圧管理方法。
  10. 請求項8に記載の電圧管理方法の各工程を、コンピュータが実現する実行命令セット及びデータセットを備えることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
  11. 請求項8に記載の電圧管理方法の各工程を、コンピュータが実現する実行命令セット及びデータセットを備えるコンピュータ・プログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な情報記録媒体。
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