JP4756485B2 - ゴルフボール - Google Patents

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本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、センター、中間層、カバー及びディンプルを備えたゴルフボールに関する。
ゴルフボールに対するゴルファーの最大の関心事は、飛行性能である。ゴルファーは特に、ドライバーでのショットにおける飛距離を重視する。ゴルファーはまた、ロングアイアン及びミドルアイアンでのショットにおける飛距離も重視する。飛行性能は、反発性能に大きく依存する。
飛行性能は、ディンプルにも大きく依存する。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。乱流剥離によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流剥離によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。抗力の低減及び揚力の向上は、「ディンプル効果」と称される。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。
ゴルフボールにとって、飛距離と共に、空力的対称性も重要である。空力的対称性に優れたゴルフボールでは、飛距離が打点に依存しない。ゴルファーは、このゴルフボールを目標地点に落下させやすい。米国ゴルフ協会が定めるルールへの適合の観点からも、空力的対称性は重要である。
飛距離及び空力的対称性の観点から、ディンプルパターンに関する種々の提案がなされている。特開平4−109968号公報には、半球が6個のユニットに区画されたディンプルパターンが開示されている。特開2004−243124公報には、極近傍領域の区画に八面体が用いられ、かつ赤道近傍領域の区画に二十面体が用いられたディンプルパターンが開示されている。
ゴルファーは、ゴルフボールのスピン性能も重視する。バックスピンの速度が大きいと、ランが小さい。ゴルファーにとって、バックスピンのかかりやすいゴルフボールは、目標地点に静止させやすい。サイドスピンの速度が大きいと、ゴルフボールは曲がりやすい。ゴルファーにとって、サイドスピンのかかりやすいゴルフボールは、意図的に曲げやすい。スピン性能に優れたゴルフボールは、コントロール性能に優れている。上級ゴルファーは、特にショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能を重視する。
アイアンでのショットでは、ゴルフボールがクラブのフェースと擦れ合う。この擦れ合いにより、ゴルフボールの表面に傷がつくことがある。大きな傷がついたゴルフボールは、もはや使用に耐えない。ゴルフボールにとって、耐擦傷性能も重要である。
近年のゴルフボールの主流は、センター、中間層及びカバーを備えたスリーピースボールである。飛行性能、スピン性能及び耐擦傷性能の観点から、スリーピースボールに関する種々の提案がなされている。特開2002−315848公報には、コアの圧縮変形量、中間層及びカバーの硬度並びに中間層及びカバーの厚みに工夫がなされたゴルフボールが開示されている。特開2005−224514公報には、コアの圧縮変形量、中間層及びカバーの硬度、中間層及びカバーの厚み並びにディンプルの深さに工夫がなされたゴルフボールが開示されている。
特開平4−109968号公報 特開2004−243124公報 特開2002−315848公報 特開2005−224514公報
ゴルファーのゴルフボールに対する要求は、近年ますますエスカレートしている。諸性能の高次元でのバランスが、切望されている。本発明の目的は、飛距離、空力的対称性、スピン性能及び耐擦傷性能に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、球状のコアと、このコアの外側に位置するカバーとを備える。このコアは、球状のセンターと、このセンターの外側に位置する中間層とを備える。カバーの厚みTcは、1.2mm以下である。このカバーの硬度Hcは、中間層の硬度Hmよりも小さい。差(Hm−Hc)は、15以上である。このゴルフボールの表面の、北半球及び南半球のそれぞれは、極近傍領域と、赤道近傍領域と、この極近傍領域及び赤道近傍領域の間に位置する調整領域とを備える。この極近傍領域、赤道近傍領域及び調整領域のそれぞれは、多数のディンプルを備える。極近傍領域のディンプルパターンは、極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットからなる。赤道近傍領域のディンプルパターンは、極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットからなる。極近傍領域のユニットの数は赤道近傍領域のユニットの数と異なる。調整領域のディンプルパターンは、極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットに区画不可能なものであるか、又は極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットからなりかつこのユニットの数が極近傍領域及び赤道近傍領域のユニットの数とは異なるものである。
好ましくは、カバーの厚みTcは、0.8mm以下である。好ましくは、カバーの厚みTc(mm)とカバーの硬度Hcとの積(Tc・Hc)は、25以下である。好ましくは、カバーの硬度Hcは15以上50以下であり、中間層の厚みTmとカバーの厚みTcとの和(Tm+Tc)は2.5mm以下である。好ましくは、ゴルフボールの圧縮変形量D3は、2.0mm以上3.0mm以下である。
好ましくは、中間層の樹脂組成物における基材ポリマーの主成分はアイオノマー樹脂であり、カバーの樹脂組成物における基材ポリマーの主成分は熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。
好ましくは、極近傍領域と調整領域との境界線はその緯度が20°以上40°以下である緯線であり、調整領域と赤道近傍領域との境界線はその緯度が20°以上40°以下である緯線である
好ましくは、極近傍領域のユニットの数は4以上であり、赤道近傍領域のユニットの数は4以上である。
好ましくは、ディンプルの総数は360個以下であり、全てのディンプルの面積の合計の、仮想球の表面積に対する比率は、75%以上である。
好ましくは、極近傍領域のユニットの数は奇数であり、赤道近傍領域のユニットの数は偶数である。
軟質なカバーを備えた従来のゴルフボールでは、このカバーがスピン性能に寄与する。この軟質カバーは、反発性能を阻害するおそれがある。従来のゴルフボールでは、薄いカバーが採用されることにより、カバーによる反発性能の阻害が抑制されている。しかし、薄すぎるカバーは、スピン性能に十分には寄与し得ない。本発明に係るゴルフボールでは、その硬度Hcが極めて小さいカバーが採用されることにより、薄いにもかかわらず、カバーがスピン性能に寄与する。このカバーは、耐擦傷性能及び打球感にも寄与しうる。薄いカバーにより、優れた反発性能が達成されうる。反発性能とディンプル効果との相乗効果により、このゴルフボールでは大きな飛距離が得られる。このゴルフボールのディンプルパターンは、空力的対称性にも寄与する。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された一部切り欠き断面図である。このゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する補強層6と、この補強層6の外側に位置するカバー8とを備えている。コア4は、球状のセンター10と、このセンター10の外側に位置する中間層12とを備えている。カバー8の表面には、多数のディンプル14が形成されている。カバー8の表面のうちディンプル14以外の部分は、ランド16である。このゴルフボール2は、カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
このゴルフボール2の直径は、40mmから45mmである。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45.00g以上がより好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
センター10は、ゴム組成物が架橋されることで得られる。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが挙げられる。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合は、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。具体的には、全基材ゴムに占めるポリブタジエンの比率が50質量%以上、特には80質量%以上とされるのが好ましい。シス−1,4結合の比率が40%以上、特には80%以上であるポリブタジエンが特に好ましい。
センター10の架橋には、共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。高い反発性能が得られるという理由から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
共架橋剤として、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と酸化金属とが配合されてもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。この塩が、架橋反応に寄与する。好ましいα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。好ましい酸化金属としては、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが挙げられる。
共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上50質量部以下が好ましい。配合量が10質量部以上に設定されることにより、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、配合量は15質量部以上がより好ましい。配合量が50質量部以下に設定されることにより、優れた打球感が達成されうる。この観点から、配合量は45質量部以下がより好ましい。
センター10に用いられるゴム組成物には、共架橋剤と共に有機過酸化物が配合されるのが好ましい。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましい。配合量が0.1質量部以上に設定されることにより、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、配合量は0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。配合量が3.0質量部以下に設定されることにより、優れた打球感が達成されうる。この観点から、配合量は2.5質量部以下がより好ましい。
センター10に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、センター10の意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、単なる比重調整のみならず架橋助剤としても機能する。センター10には、硫黄、硫黄化合物、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。センター10に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
センター10の中心硬度Hoは、20以上60以下が好ましい。中心硬度Hoが20以上であるセンター10により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、中心硬度Hoは27以上がより好ましく、32以上が特に好ましい。中心硬度Hoが60以下であるセンター10により、ドライバーでのショットにおける過剰なスピンが抑制される。この観点から、中心硬度Hoは53以下がより好ましく、48以下が特に好ましい。センター10が切断されて得られる半球の中心点に、ショアD型硬度計が押しつけられることにより、中心硬度Hoが測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「LA1」)が用いられる。
センター10の表面硬度Hs1は、40以上75以下が好ましい。表面硬度Hs1が40以上であるセンター10により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、表面硬度Hs1は48以上がより好ましく、54以上が特に好ましい。表面硬度Hs1が75以下であるセンター10により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、表面硬度Hs1は67以下がより好ましく、64以下が特に好ましい。球体(センター10、コア4又はゴルフボール2)の表面にショアD型硬度計が押しつけられることにより、表面硬度が測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「LA1」)が用いられる。
センター10の圧縮変形量D1は、1.5mm以上5.0mm以下が好ましい。圧縮変形量D1が1.5mm以上であるセンター10により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、圧縮変形量D1は2.0mm以上がより好ましい。後述されるように、このゴルフボール2のカバー8は薄い。このゴルフボール2が打撃されると、カバー8が薄いことに起因して、センター10が大きく変形する。圧縮変形量D1が5.0mm以下であるセンター10により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、圧縮変形量D1は4.5mm以下がより好ましく、4.0mm以下が特に好ましい。
圧縮変形量の測定では、まず球体(センター10、コア4又はゴルフボール2)が金属製の剛板の上に置かれる。次に、球体に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれた球体は、変形する。球体に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、圧縮変形量である。
センター10の直径は、25mm以上41.5mm以下が好ましい。センター10の質量は、25g以上42g以下が好ましい。センター10の架橋温度は、通常は140℃以上180℃以下である。センター10の架橋時間は、通常は10分以上60分以下である。センター10が2以上の層から形成されてもよい。
中間層12には、熱可塑性樹脂組成物が好適に用いられる。この樹脂組成物の基材ポリマーとしては、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが挙げられる。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。後述されるように、このゴルフボール2のカバー8は薄い。このゴルフボール2が打撃されると、カバー8が薄いことに起因して、中間層12が大きく変形する。アイオノマー樹脂を含む中間層12は、反発性能に寄与する。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに占めるアイオノマー樹脂の比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85%以上が特に好ましい。
好ましいアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい他のアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンと、アクリル酸又はメタクリル酸との共重合体である。
二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7318」、「ハイミランAM7329」及び「ハイミランMK7320」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」及び「サーリンAD8546」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。1価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂と2価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂とが併用されてもよい。
中間層12の樹脂組成物に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、中間層12の意図した比重が達成されるように適宜決定される。中間層12に、着色剤、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
中間層12の厚みTmは、0.3mm以上2.5mm以下が好ましい。厚みTmが0.3mm以上である中間層12により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、厚みTmは0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上が特に好ましい。厚みTmが2.5mm以下である中間層12により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、厚みTmは2.0mm以下がより好ましい。
中間層12の硬度Hmは、55以上72以下が好ましい。硬度Hmが55以上である中間層12により、優れた反発性能が達成されうる。しかも、硬度Hmが55以上である中間層12により、外剛内柔のコア4が達成される。このコア4は、ドライバーでのショットにおけるスピンの抑制に寄与する。これらの観点から、硬度Hmは58以上がより好ましく、60以上が特に好ましい。硬度Hmが72以下である中間層12により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、硬度Hmは70以下がより好ましく、68以下が特に好ましい。
本発明では、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して、中間層12の硬度Hm及びカバー8の硬度Hcが測定される。測定には、ショアD型硬度計が取り付けられた自動ゴム硬度計(高分子計器社の商品名「LA1」)が用いられる。測定には、熱プレスで成形された、中間層12(又はカバー8)と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
センター10及び中間層12からなるコア4の表面硬度Hs2は、50以上85以下が好ましい。表面硬度Hs2が50以上であるコア4により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、表面硬度Hs2は55以上がより好ましく、60以上が特に好ましい。表面硬度Hs2が85以下であるコア4により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、表面硬度Hs2は80以下がより好ましく、75以下が特に好ましい。
コア4の圧縮変形量D2は、1.8mm以上4.0mm以下が好ましい。圧縮変形量D2が1.8mm以上であるコア4により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、圧縮変形量D2は2.0mm以上がより好ましく、2.2mm以上が特に好ましい。後述されるように、このゴルフボール2のカバー8は薄い。このゴルフボール2が打撃されると、カバー8が薄いことに起因して、コア4が大きく変形する。圧縮変形量D2が4.0mm以下であるコア4により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、圧縮変形量D2は3.7mm以下がより好ましく、3.4mm以下が特に好ましい。
コア4と、補強層6又はカバー8との密着の観点から、コア4の表面に処理が施され、その粗度が高められることが好ましい。処理の具体例としては、ブラッシング、研磨等が挙げられる。
補強層6は中間層12とカバー8との間に介在し、両者の密着を高める。後述されるように、このゴルフボール2のカバー8は極めて薄い。薄いカバー8がクラブフェースのエッジで打撃されると、シワが生じやすい。補強層6により、シワが抑制される。
補強層6の基材ポリマーには、二液硬化型熱硬化性樹脂が好適に用いられる。二液硬化型熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂及びセルロース系樹脂が挙げられる。補強層6の機械特性(例えば破断強度)及び耐久性の観点から、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
二液硬化型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂がポリアミド系硬化剤で硬化されることで得られる。二液硬化型エポキシ樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールAD型エポキシ樹脂が例示される。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等のエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールFとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールAD型エポキシ樹脂は、ビスフェノールADとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。柔軟性、耐薬品性、耐熱性及び強靭性のバランスの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
ポリアミド系硬化剤は、複数のアミノ基と、1個以上のアミド基を有する。このアミノ基が、エポキシ基と反応し得る。ポリアミド系硬化剤の具体例としては、ポリアミドアミン硬化剤及びその変性物が挙げられる。ポリアミドアミン硬化剤は、重合脂肪酸とポリアミンとの縮合反応によって得られる。典型的な重合脂肪酸は、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸を多く含む天然脂肪酸類が触媒存在下で加熱されて合成されることで得られる。不飽和脂肪酸の具体例としては、トール油、大豆油、亜麻仁油及び魚油が挙げられる。ダイマー分が90質量%以上であり、トリマー分が10質量%以下であり、且つ水素添加された重合脂肪酸が好ましい。好ましいポリアミンとしては、ポリエチレンジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン及びそれらの誘導体が例示される。
エポキシ樹脂とポリアミド系硬化剤との混合において、エポキシ樹脂のエポキシ等量とポリアミド系硬化剤のアミン活性水素等量との比は、1.0/1.4以上1.0/1.0以下が好ましい。
二液硬化型ウレタン樹脂は、主剤と硬化剤との反応によって得られる。ポリオール成分を含有する主剤とポリイソシアネート又はその誘導体を含有する硬化剤との反応によって得られる二液硬化型ウレタン樹脂や、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有する主剤と活性水素を有する硬化剤との反応によって得られる二液硬化型ウレタン樹脂が用いられうる。特に、ポリオール成分を含有する主剤とポリイソシアネート又はその誘導体を含有する硬化剤との反応によって得られる二液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
主剤のポリオール成分としてウレタンポリオールが用いられることが、好ましい。ウレタンポリオールは、ウレタン結合と、少なくとも2以上のヒドロキシル基を有する。好ましくは、ウレタンポリオールは、その末端にヒドロキシル基を有する。ウレタンポリオールは、ポリオール成分のヒドロキシル基がポリイソシアネートのイソシアネート基に対してモル比で過剰になるような割合で、ポリオールとポリイソシアネートとが反応させられることによって得られうる。
ウレタンポリオールの製造に使用されるポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する。重量平均分子量が50以上2000以下、特には100以上1000以下のポリオールが好ましい。低分子量のポリオールとして、ジオール及びトリオールが挙げられる。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。トリオールの具体例としては、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとして、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)のようなポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)のような縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートのようなポリカーボネートポリオール;並びにアクリルポリオールが挙げられる。2種以上のポリオールが併用されてもよい。
ウレタンポリオールの製造に使用されるポリイソシアネートは、複数のイソシアネート基を有する。ポリイソシアネートの具体例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)のような芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)のような脂環式ポリイソシアネート;並びに脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。2以上のポリイソシアネートが併用されてもよい。耐候性の観点から、TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI及びH12MDIが好ましい。
ウレタンポリオール生成のためのポリオールとポリイソシアネートとの反応では、既知の触媒が用いられうる。典型的な触媒は、ジブチル錫ジラウリレートである。
補強層6の強度の観点から、ウレタンポリオールに含まれるウレタン結合の比率は0.1mmol/g以上が好ましい。補強層6のカバー8への追従性の観点から、ウレタンポリオールに含まれるウレタン結合の比率は5mmol/g以下が好ましい。ウレタン結合の比率は、原料となるポリオールの分子量の調整及びポリオールとポリイソシアネートとの配合比率の調整により調整されうる。
主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、ウレタンポリオールの重量平均分子量は4000以上が好ましく、4500以上がより好ましい。補強層6の密着性の観点から、ウレタンポリオールの重量平均分子量は10000以下が好ましく、9000以下がより好ましい。
補強層6の密着性の観点から、ウレタンポリオールの水酸基価(mgKOH/g)は15以上が好ましく、73以上がより好ましい。主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、ウレタンポリオールの水酸基価は130以下が好ましく、120以下がより好ましい。
主剤が、ウレタンポリオールとともに、ウレタン結合を有さないポリオールを含有してもよい。ウレタンポリオールの原料である前述のポリオールが、主剤に用いられうる。ウレタンポリオールと相溶可能なポリオールが好ましい。主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、主剤におけるウレタンポリオールの比率は、固形分換算で、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。理想的には、この比率は100質量%である。
硬化剤は、ポリイソシアネート又はその誘導体を含有する。ウレタンポリオールの原料である前述のポリイソシアネートが、硬化剤に用いられうる。
補強層6が、着色剤(典型的には二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液硬化型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
補強層6は、主剤及び硬化剤が溶剤に溶解又は分散した液が、中間層12の表面に塗布されることで得られる。作業性の観点から、スプレーガンによる塗布が好ましい。塗布後に溶剤が揮発し、主剤と硬化剤とが反応して、補強層6が形成される。好ましい溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブチルアルコール及び酢酸エチルが例示される。
シワの抑制の観点から、補強層6の厚みは3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。補強層6が容易に形成されるとの観点から、厚みは300μm以下、さらには100μm以下、さらには50μm以下、さらには20μm以下が好ましい。厚みは、ゴルフボール2の断面がマイクロスコープで観察されることで測定される。粗面処理により中間層12の表面が凹凸を備える場合は、凸部の直上で厚みが測定される。
シワの抑制の観点から、補強層6の鉛筆硬度は4B以上が好ましく、B以上がより好ましい。ゴルフボール2が打撃されたときの、カバー8から中間層12までの力の伝達ロスが小さいとの観点から、補強層6の鉛筆硬度は3H以下が好ましい。鉛筆硬度は、「JIS K5400」規格に準拠して測定される。
中間層12とカバー8とが十分に密着しており、シワが生じにくい場合は、補強層6が設けられなくてもよい。
カバー8の硬度Hcは、中間層12の硬度Hmよりも小さい。差(Hm−Hc)は、15以上である。このカバー8には、極めて軟質な材料が用いられている。ショートアイアンで打撃されたとき、このカバー8は、厚みTcが小さいにもかかわらず十分に変形する。この変形により、ショートアイアンのフェースとゴルフボール2との長い接触時間が達成される。長い接触時間により、大きなスピン速度が得られる。長い接触時間はまた、スピン速度のばらつきを抑制しうる。しかも、このカバー8により、優れた耐擦傷性能も達成されうる。さらに、このカバー8により、パター又はショートアイアンで打撃されたときの優れた打球感が達成されうる。これらの観点から、差(Hm−Hc)は20以上がより好ましく、25以上が特に好ましい。差(Hm−Hc)は45以下が好ましく、40以下が特に好ましい。好ましくは、ゴルフボール2の中心点からカバー8の表面までの硬度曲線における下限値は、カバー8において達成される。
カバー8の硬度Hcは、15以上50以下が好ましい。硬度Hcが15以上であるカバー8により、ドライバーでのショットにおいてスピンが抑制されうる。このカバー8は、ドライバーでのショットにおける飛距離に寄与しうる。この観点から、硬度Hcは20以上がより好ましく、25以上が特に好ましい。硬度Hcが50以下であるカバー8により、ショートアイアンでのショットにおいて大きなスピン速度が達成されうる。この観点から、硬度Hcは45以下がより好ましく、40以下が特に好ましい。
カバー8には、熱可塑性樹脂組成物が好適に用いられる。この樹脂組成物の基材ポリマーとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリスチレンエラストマー及びアイオノマー樹脂が挙げられる。特に、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、軟質である。熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるカバー8を備えたゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は、大きい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるカバー8は、ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能に寄与する。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、カバー8の耐擦傷性能にも寄与する。さらに、熱可塑性ポリウレタンエラストマーにより、パター又はショートアイアンで打撃されたときの優れた打球感が達成されうる。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーと他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、コントロール性能の観点から、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに占める熱可塑性ポリウレタンエラストマーの比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。ポリウレタン成分の硬化剤としては、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。特に、脂環式ジイソシアネートが好ましい。脂環式ジイソシアネートは主鎖に二重結合を有さないので、カバー8の黄変が抑制される。しかも、脂環式ジイソシアネートは強度に優れるので、カバー8の傷つきが抑制される。2種以上のジイソシアネートが併用されてもよい。
脂環式ジイソシアネートとしては、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)が例示される。汎用性及び加工性の観点から、H12MDIが好ましい。
芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びトルエンジイソシアネート(TDI)が例示される。脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が例示される。
材料硬度が42以下、さらには38以下である熱可塑性ポリウレタンエラストマーが、特に好ましい。このエラストマーにより、カバー8の小さな硬度Hcが達成されうる。材料硬度の測定には、ポリマー単体からなるシートが用いられる。測定方法は、中間層12の硬度Hmの測定方法と同等である。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの具体例としては、BASFジャパン社の商品名「エラストランXNY80A」、「エラストランXNY85A」、「エラストランXNY90A」、商品名「エラストランXNY97A」、商品名「エラストランXNY585」及び商品名「エラストランXKP016N」;並びに大日精化工業社の商品名「レザミンP4585LS」及び商品名「レザミンPS62490」が挙げられる。小さな硬度Hcが達成されうるとの観点から、「エラストランXNY80A」、「エラストランXNY85A」及び「エラストランXNY90A」が特に好ましい。
カバー8には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が、適量配合される。比重調整の目的で、カバー8にタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末が配合されてもよい。
カバー8の厚みTcは、1.2mm以下である。前述のように、カバー8は軟質である。軟質なカバー8は、ゴルフボール2の反発係数の面では不利である。ドライバーでのショットでは、ゴルフボール2の中間層12及びセンター10も大きく変形する。厚みTcが1.2mm以下に設定されることにより、カバー8が軟質であっても、ドライバーでのショットにおける反発係数にカバー8が大幅な悪影響を与えることがない。中間層12にアイオノマー樹脂が用いられることで、ドライバーでのショットにおける優れた飛行性能が達成されうる。
飛行性能の観点から、厚みTcは0.8mm以下がより好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。過小なスピン速度の抑制の観点から、厚みTcは0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。
ゴルフボール2の圧縮変形量D3は、2.0mm以上3.0mm以下が好ましい。圧縮変形量D3が2.0mm以上であるゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、過剰なスピンが生じない。この観点から、圧縮変形量D3は2.1mm以上がより好ましく、2.2mm以上が特に好ましい。圧縮変形量D3が3.0mm以下であるゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、圧縮変形量D3は2.9mm以下がより好ましく、2.8mm以下が特に好ましい。
好ましくは、カバー8の硬度Hcは、センター10の中心硬度Hoよりも小さい。このゴルフボール2では、カバー8がスピン性能及び耐擦傷性能に寄与し、コア4が反発性能に寄与しうる。差(Ho−Hc)は1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が特に好ましい。差(Ho−Hc)は30以下が好ましく、25以下が特に好ましい。
カバー8の厚みTc(mm)とカバー8の硬度Hcとの積(Tc・Hc)は、25以下が好ましい。積(Tc・Hc)が25以下であるカバー8により、スピン性能と反発性能とが両立されうる。この観点から、積(Tc・Hc)は24以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。ドライバーでのショットにおける過剰なスピンが抑制されるとの観点から、積(Tc・Hc)は5以上が好ましく、10以上が特に好ましい。
ゴルフボール2の圧縮変形量D3に対するコア4の圧縮変形量D2の比(D2/D3)は、0.98以上1.10以下が好ましい。比(D2/D3)が0.98以上であるゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、過剰なスピンが生じない。この観点から、比(D2/D3)は0.99以上がより好ましく、1.00以上が特に好ましい。比(D2/D3)が1.10以下であるゴルフボール2は、ショートアイアンでのショットにおけるスピン性能に優れる。この観点から、比(D2/D3)は1.09以下がより好ましく、1.08以下が特に好ましい。
中間層12の厚みTmとカバー8の厚みTcとの和(Tm+Tc)は、2.5mm以下が好ましい。和(Tm+Tc)が2.5mm以下であるゴルフボール2では、センター10によって優れた反発性能が達成されうる。この観点から、和(Tm+Tc)は2.4mm以下がより好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。和(Tm+Tc)は、0.4mm以上が好ましい。
コア4の表面硬度Hs2は、センター10の中心硬度Hoよりも大きい。このコア4は、外剛内柔タイプである。このコア4により、ドライバーでのショットにおける過剰なスピンが抑制される。この観点から、差(Hs2−Ho)は15以上が好ましく、20以上がより好ましい。差(Hs2−Ho)は、30以下が好ましい。
図2は、図1のゴルフボール2が示された拡大正面図である。この図2には、2つの極点P、2つの第一緯線18、2つの第二緯線20及び赤道22が画かれている。極点Pの緯度は90°であり、赤道22の緯度は0°である。第一緯線18の緯度は、第二緯線20の緯度よりも大きい。
このゴルフボール2は、赤道22よりも上の北半球Nと、赤道22よりも下の南半球Sとからなる。北半球N及び南半球Sのそれぞれは、極近傍領域24、赤道近傍領域26及び調整領域28を備えている。第一緯線18は、極近傍領域24と調整領域28との境界線である。第二緯線20は、赤道近傍領域26と調整領域28との境界線である。極近傍領域24は、極点Pと第一緯線18との間に位置する。赤道近傍領域26は、第二緯線20と赤道22との間に位置する。調整領域28は、第一緯線18と第二緯線20との間に位置する。換言すれば、調整領域28は、極近傍領域24と赤道近傍領域26との間に位置する。
極近傍領域24、赤道近傍領域26及び調整領域28は、それぞれ多数のディンプル14を備えている。図2から明らかなように、全てのディンプル14の平面形状は円である。第一緯線18又は第二緯線20と交差するディンプル14では、このディンプル14の中心位置に基づき、所属する領域が決定される。第一緯線18と交差するディンプル14であって、その中心が極近傍領域24に位置するディンプル14は、極近傍領域24に所属する。第一緯線18と交差するディンプル14であって、その中心が調整領域28に位置するディンプル14は、調整領域28に所属する。第二緯線20と交差するディンプル14であって、その中心が赤道近傍領域26に位置するディンプル14は、赤道近傍領域26に所属する。第二緯線20と交差するディンプル14であって、その中心が調整領域28に位置するディンプル14は、調整領域28に所属する。ディンプル14の中心とは、ディンプル14の最深部とゴルフボール2の中心とを結ぶ直線が仮想球と交差する点である。仮想球は、ディンプル14が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。
図3、4及び5は、図2のゴルフボール2が示された平面図である。図3には、第一緯線18及び第二緯線20と共に、5つの第一経線30が示されている。この図3において第一緯線18に囲まれているのが、極近傍領域24である。極近傍領域24は、5つのユニットUpに区画されうる。ユニットUpは、球面三角形である。ユニットUpの輪郭は、第一緯線18の一部と2つの第一経線30とからなる。図3では、1つのユニットUpに関し、符号A、B、E及びFによりディンプル14の種類が示されている。極近傍領域24は、直径が4.55mmであるディンプルAと、直径が4.45mmであるディンプルBと、直径が3.85mであるディンプルEと、直径が3.00mmであるディンプルFとを備えている。
5つのユニットUpのディンプルパターンは、72°回転対称である。換言すれば、あるユニットUpのディンプルパターンが極点Pを中心として経度方向に72°回転すると、隣のユニットUpのディンプルパターンと実質的に重なる。ここで「実質的に重なる」状態には、一方のディンプル14が他方のディンプル14と完全に一致する状態のみならず、一方のディンプル14が他方のディンプル14と多少ずれる状態も含まれる。ここで「多少ずれる状態」には、一方のディンプル14の中心が他方のディンプル14の中心から多少離れた状態が含まれる。一方のディンプル14の中心と他方のディンプル14の中心との距離は、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。ここで「多少ずれる状態」には、一方のディンプル14の寸法が他方のディンプル14の寸法とは多少異なる状態が含まれる。寸法差は0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましい。寸法とは、ディンプル14の輪郭に画かれうる最長線分の長さを意味する。円形ディンプル14の場合は、その寸法は直径と一致する。
図4には、第一緯線18及び第二緯線20と共に、6つの第二経線32が示されている。この図4において第二緯線20の外側が、赤道近傍領域26である。赤道近傍領域26は、6つのユニットUeに区画されうる。ユニットUeは、球面台形である。ユニットUeの輪郭は、第二緯線20の一部、2つの第二経線32及び赤道22(図2参照)の一部からなる。図4では、1つのユニットUeに関し、符号AからFによりディンプル14の種類が示されている。極近傍領域24は、直径が4.55mmであるディンプルAと、直径が4.45mmであるディンプルBと、直径が4.25mmであるディンプルCと、直径が4.10mmであるディンプルDと、直径が3.85mであるディンプルEと、直径が3.00mmであるディンプルFとを備えている。
6つのユニットUeのディンプルパターンは、60°回転対称である。換言すれば、あるユニットUeのディンプルパターンが極点Pを中心として経度方向に60°回転すると、隣のユニットUeのディンプルパターンと実質的に重なる。赤道近傍領域26のディンプルパターンは、3つのユニットにも区画されうる。この場合、各ユニットのディンプルパターンは、120°回転対称である。赤道近傍領域26のディンプルパターンは、2つのユニットにも区画されうる。この場合、各ユニットのディンプルパターンは、180°回転対称である。赤道近傍領域26のディンプルパターンは、3つの回転対称角度(すなわち60°、120°及び180°)を有する。回転対称角度を複数有する領域では、最も小さい回転対称角度(この例では60°)に基づき、ユニットUeが区画される。
図5には、第一緯線18及び第二緯線20が示されている。この図5において第一緯線18と第二緯線20とに囲まれているのが、調整領域28である。図5には、調整領域28が備えるディンプル14に関し、符号A、D及びEによりその種類が示されている。調整領域28は、直径が4.55mmであるディンプルAと、直径が4.10mmであるディンプルDと、直径が3.85mであるディンプルEとを備えている。
調整領域28のディンプルパターンは、平面視において、X−X線に対して線対称である。このディンプルパターンは、X−X線以外に対称線を有さない。極点Pを中心とした0°以上360°未満の回転では、ディンプルパターン同士の重なりは生じない。換言すれば、調整領域28のディンプルパターンは、互いに回転対称である複数のユニットに区画されえない。
調整領域28のディンプルパターンが、回転対称である複数のユニットに区画されうるものでもよい。この場合、調整領域28のユニットの数は、極近傍領域24のユニットUpの数と異なる必要があり、さらに、赤道近傍領域26のユニットUeの数とも異なる必要がある。
このゴルフボール2では、極近傍領域24のユニットUpの数Npが5であり、赤道近傍領域26のユニットUeの数Neが6である。両者は、異なっている。数Npと数Neとが異なっているディンプルパターンは、変化に富んでいる。このゴルフボール2では、飛行中の空気の流れがよく乱される。このゴルフボール2は、飛行性能に優れる。数Npと数Neとの組み合わせ(Np,Ne)は、(5,6)には限られない。他の組み合わせとしては、(2,3)、(2,4)、(2,5)、(2,6)、(3,2)、(3,4)、(3,5)、(3,6)、(4,2)、(4,3)、(4,5)、(4,6)、(5,2)、(5,3)、(5,4)、(6,2)、(6,3)、(6,4)及び(6,5)が例示される。
理由の詳細は不明であるが、本発明者の得た知見によれば、数Np及び数Neの一方が奇数であり、他方が偶数である場合に、大きなディンプル効果が得られる。さらに、数Npと数Neとの差が1であるとき、特に大きなディンプル効果が得られる。この差が1である組み合わせとしては、(2,3)、(3,2)、(3,4)、(4,3)、(4,5)、(5,4)、(5,6)及び(6,5)が例示される。
ディンプル効果の観点から、極近傍領域24が十分な面積を有し、かつ赤道近傍領域26が十分な面積を有することが好ましい。赤道近傍領域26の面積の観点から、第一緯線18及び第二緯線20の緯度は20°以上が好ましく、25°以上がより好ましい。極近傍領域24の面積の観点から、第一緯線18及び第二緯線20の緯度は40°以下が好ましく、35°以下がより好ましい。第一緯線18は、無数の緯線から任意に選択されうる。第二緯線20も、無数の緯線から任意に選択されうる。
ディンプル効果への極近傍領域24の寄与の観点から、ディンプル14の総数に対する極近傍領域24に存在するディンプル14の数の比率は20%以上が好ましく、25%以上がより好ましい。この比率は、40%以下が好ましい。
ディンプル効果への赤道近傍領域26の寄与の観点から、ディンプル14の総数に対する赤道近傍領域26に存在するディンプル14の数の比率は40%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。この比率は、65%以下が好ましい。
もし極近傍領域24が境界線を挟んで赤道近傍領域26と隣接すると、ユニットの数の相違に起因して、この境界線の近傍においてディンプル14が密に配置され得ない。この場合、境界線の近傍に広いランド16が存在する。広いランド16は、ディンプル効果を阻害する。本発明に係るゴルフボール2では、極近傍領域24と赤道近傍領域26との間に調整領域28が存在する。この調整領域28では、ユニットの数に拘泥されることなくディンプル14が配置されうるので、ランド16の面積が抑制されうる。この調整領域28により、高い占有率(後に詳説)が達成される。
占有率の観点から、調整領域28が十分な面積を有することが好ましい。この観点から、第一緯線18の緯度と第二緯線20の緯度との差は、5°以上が好ましい 。調整領域28が広すぎると、数Npと数Neとの差によるディンプル効果が損なわれる。ディンプル効果の観点から、第一緯線18の緯度と第二緯線20の緯度との差は、15°以下が好ましく、10°以下がより好ましい。
占有率の観点から、ディンプル14の総数に対する調整領域28に存在するディンプル14の数の比率は5%以上が好ましく、8%以上がより好ましい。数Npと数Neとの差によるディンプル効果の観点から、この比率は20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、16%以下が特に好ましい。
極近傍領域24がユニットUpに区画され、さらに赤道近傍領域26がユニットUeに区画されたゴルフボール2では、回転によりパターンの周期が生じる。ユニットUpの数Np及びユニットUeの数Neが多いほど、周期は短い。数Np及び数Neが少ないほど、周期は長い。適切な周期は、ディンプル効果を高める。適切な周期の観点から、数Np及び数Neは4以上6以下が好ましく、5以上6以下が特に好ましい。数Np及び数Neの最も好ましい組み合わせ(NP,Ne)は、(5,6)及び(6,5)である。図2から図5に示されたゴルフボール2では、(Np,Ne)は(5,6)である。
空力的対称性の観点から、北半球Nのディンプルパターンと南半球Sのディンプルパターンとが等価であることが好ましい。赤道22を含む平面に対して北半球Nのディンプルパターンと鏡面対称であるパターンが、南半球Sのディンプルパターンと実質的に重なるとき、両パターンは等価である。赤道22を含む平面に対して北半球Nのディンプルパターンと鏡面対称であるパターンが、極点Pを中心として回転させられたときに南半球Sのディンプルパターンと実質的に重なるときも、両パターンは等価である。
十分なディンプル効果が得られるとの観点から、ディンプル14の総数は200個以上が好ましく、260個以上が特に好ましい。個々のディンプル14が十分な直径を備えうるとの観点から、総数は500個以下が好ましく、360個以下がより好ましく、350個以下が特に好ましい。
図6は、図1のゴルフボール2の一部が示された拡大断面図である。この図6には、ディンプル14の最深部及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った断面が示されている。図6における上下方向は、ディンプル14の深さ方向である。図4において二点鎖線34で示されているのは、仮想球である。ディンプル14は、仮想球34から凹陥している。ランド16は、仮想球34と一致している。
図6において両矢印Diで示されているのは、ディンプル14の直径である。この直径Diは、ディンプル14の両側に共通の接線Tが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル14のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル14の輪郭を画定する。直径Diは、2.00mm以上6.00mm以下が好ましい。直径Diが2.00mm以上に設定されることにより、大きなディンプル効果が得られる。この観点から、直径Diは2.20mm以上がより好ましく、2.40mm以上が特に好ましい。直径Diが6.00mm以下に設定されることにより、実質的に球であるというゴルフボール2の本来的特徴が維持される。この観点から、直径Diは5.80mm以下がより好ましく、5.60mm以下が特に好ましい。
ディンプル14の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、輪郭線に囲まれた領域の面積である。円形ディンプル14の場合、面積sは下記数式によって算出される。
s = (Di / 2) ・ π
図1から図6に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は16.26mmであり、ディンプルBの面積は15.55mmであり、ディンプルCの面積は14.19mmであり、ディンプルDの面積は13.20mmであり、ディンプルEの面積は11.64mmであり、ディンプルFの面積は7.07mmである。
本発明では、全てのディンプル14の面積sの合計の、仮想球34の表面積に対する比率は、占有率と称される。十分なディンプル効果が得られるとの観点から、占有率は75%以上が好ましく、78%以上がより好ましく、81%以上が特に好ましい。占有率は、90%以下が好ましい。図2から図6に示されたゴルフボール2では、ディンプル14の合計面積は4675.2mmである。このゴルフボール2の仮想球34の表面積は5728.0mmなので、占有率は81.6%である。
本発明において「ディンプルの容積」とは、ディンプル14の輪郭を含む平面とディンプル14の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル14の総容積は250mm以上が好ましく、260mm以上がより好ましく、270mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は400mm以下が好ましく、390mm以下がより好ましく、380mm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル14の深さは0.05mm以上が好ましく、0.08mm以上がより好ましく、0.10mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、深さは0.60mm以下が好ましく、0.45mm以下がより好ましく、0.40mm以下が特に好ましい。深さは、接線Tとディンプル14の最深部との距離である。
本発明では、ディンプル14の各部位のサイズは、塗料が塗布されていないゴルフボール2において測定される。塗装層が除去された後のゴルフボール2において、サイズが測定されてもよい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、31.5質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、0.9質量部のジクミルパーオキサイド、0.3質量部のジフェニルジスルフィド及び適量の硫酸バリウムを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で15分間加熱して、直径が39.0mmであるセンターを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(前述のハイミラン1605)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述のハイミランAM7329)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形法にてセンターの周りに被覆し、中間層を得た。中間層の厚みTmは、1.6mmであった。
二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、40℃雰囲気下で24時間保持して、補強層を得た。
80質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述のエラストランXNY80A)、20質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(三菱化学社の商品名「ラバロンSR04」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、センター、中間層及び補強層からなる球体を被覆した。この球体及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形法にて厚みが0.3mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。このカバーの周りにペイント層を形成して、実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.8mmでり、質量は45.5gであった。このゴルフボールは、図2から図5に示されたディンプルパターンを有する。ディンプルの仕様の詳細が、下記表2及び表3に示されている。
[実施例2から8並びに比較例1及び4]
材料、センターの直径、中間層の厚みTm及びカバーの厚みTcを下記の表1、4及び5に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から8並びに比較例1及び4のゴルフボールを得た。
[比較例2]
ファイナル金型を変更し、その仕様が下記表2、3及び5に示されるディンプルを形成した他は実施例3と同様にして、比較例2のゴルフボールを得た。図7はこのゴルフボールが示された正面図であり、図8はその平面図である。このゴルフボールの北半球及び南半球は、120°回転対称のユニットUを備えている。北半球及び南半球のそれぞれにおいて、ユニットUの数は3である。図8では、1つのユニットに関し、符号AからHによってディンプルの種類が示されている。
[比較例3]
ファイナル金型を変更し、その仕様が下記表2、3及び5に示されるディンプルを形成した他は実施例3と同様にして、比較例3のゴルフボールを得た。図9はこのゴルフボールが示された正面図であり、図10はその平面図である。このゴルフボールの北半球及び南半球は、72°回転対称のユニットUを備えている。北半球及び南半球のそれぞれにおいて、ユニットUの数は5である。図10では、1つのユニットに関し、符号AからGによってディンプルの種類が示されている。
[ドライバーでのショット]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、メタルヘッドを備えたドライバーを装着した。ヘッド速度が50m/secである条件でゴルフボールを打撃し、打撃直後のボール速度及びスピン速度並びに飛距離(発射地点から静止地点までの距離)を測定した。10回の測定の平均値が、下記の表4及び5に示されている。
[ショートアイアンでのショット]
上記スイングマシンに、アプローチウエッジを装着した。ヘッド速度が21m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃して、打撃直後のスピン速度を測定した。10回の測定の平均値が、下記の表4及び5に示されている。
[打球感の評価]
上級ゴルファーに、ドライバーでゴルフボールを打撃させた。このゴルファーに、下記の基準に基づき打球感を格付けさせた。
A:衝撃が小さくて良好
B:普通
C:衝撃が大きくて不良
この結果が、下記の表4及び5に示されている。
[耐擦傷性能の評価]
上記スイングマシンに、ピッチングウエッジを装着した。ヘッド速度が36m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃した。このゴルフボールの表面を目視観察し、下記の基準に基づき格付けした。
A:傷がほとんどない
B:傷があり、毛羽がある
C:大きな傷があり、毛羽が目立つ
この結果が、下記の表4及び5に示されている。
[耐久性の評価]
上記スイングマシンに、ドライバーを装着した。ヘッド速度が50m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを繰り返し打撃した。ゴルフボールが破損するまでの打撃回数をカウントした。この結果が、実施例3が100とされたときの指数として下記の表4及び5に示されている。
[空力的対称性の評価]
ツルテンパー社のスイングマシンに、チタンヘッドを備えたドライバー(住友ゴム工業株式会社の商品名「XXIO」、シャフト硬度:X、ロフト角:9°)を装着した。ヘッド速度が49m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃した。発射地点から落下地点までの距離を測定した。テスト時は、ほぼ無風であった。ポール打ち及びシーム打ちそれぞれ20回の測定の平均値を算出した。ポール打ちでは、赤道を含む平面上にある直線がバックスピンの回転軸となるように、ゴルフボールが打撃される。シーム打ちでは、両極点を結ぶ直線がバックスピンの回転軸となるように、ゴルフボールが打撃される。空力的対称性につき、下記の基準に基づき格付けした。
A:ポール打ちの飛距離とシーム打ちの飛距離の差が2m未満
B:ポール打ちの飛距離とシーム打ちの飛距離の差が2m以上5m未満
C:ポール打ちの飛距離とシーム打ちの飛距離の差が5m以上
この結果が、下記の表4及び5に示されている。
Figure 0004756485
Figure 0004756485
Figure 0004756485
Figure 0004756485
Figure 0004756485
表4及び5から明らかなように、実施例のゴルフボールは、飛距離、スピン性能、耐擦傷性能、打球感、耐久性及び空力的対称性の全てにおいて優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフ競技での使用に特に適している。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。 図2は、図1のゴルフボールが示された拡大正面図である。 図3は、図2のゴルフボールが示された平面図である。 図4は、図2のゴルフボールが示された平面図である。 図5は、図2のゴルフボールが示された平面図である。 図6は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図7は、比較例2のゴルフボールが示された正面図である。 図8は、図7のゴルフボールが示された平面図である。 図9は、比較例3のゴルフボールが示された正面図である。 図10は、図9のゴルフボールが示された平面図である。
符号の説明
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・補強層
8・・・カバー
10・・・センター
12・・・中間層
14・・・ディンプル
16・・・ランド
18・・・第一緯線
20・・・第二緯線
22・・・赤道
24・・・極近傍領域
26・・・赤道近傍領域
28・・・調整領域
30・・・第一経線
32・・・第二経線
34・・・仮想球
A−F・・・ディンプル
N・・・北半球
P・・・極点
S・・・南半球
U、Up、Ue・・・ユニット

Claims (9)

  1. 球状のコアと、このコアの外側に位置するカバーとを備えており、
    このコアが、球状のセンターと、このセンターの外側に位置する中間層とを備えており、
    このカバーの厚みTcが1.2mm以下であり、
    このカバーのショアD硬度Hcが中間層のショアD硬度Hmよりも小さく、差(Hm−Hc)が15以上であり、
    その表面の北半球及び南半球のそれぞれが、極近傍領域と、赤道近傍領域と、この極近傍領域及び赤道近傍領域の間に位置する調整領域とを備えており、
    この極近傍領域、赤道近傍領域及び調整領域のそれぞれが、多数のディンプルを備えており、
    極近傍領域のディンプルパターンが、極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットからなり、
    赤道近傍領域のディンプルパターンが、極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットからなり、
    極近傍領域のユニットの数が奇数であって赤道近傍領域のユニットの数が偶数であり、
    極近傍領域のユニットの数と赤道近傍領域のユニットの数との差が1であり、
    調整領域のディンプルパターンが、極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットに区画不可能なものであるか、又は極点を中心として互いに回転対称である複数のユニットからなりかつこのユニットの数が極近傍領域及び赤道近傍領域のユニットの数とは異なるものであるゴルフボール。
  2. 上記カバーの厚みTcが0.8mm以下である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記カバーの厚みTc(mm)とカバーのショアD硬度Hcとの積(Tc・Hc)が25以下である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 上記カバーのショアD硬度Hcが15以上50以下であり、中間層の厚みTmとカバーの厚みTcとの和(Tm+Tc)が2.5mm以下である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 初荷重が98Nであり終荷重が1274Nである条件で測定された圧縮変形量D3が2.0mm以上3.0mm以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
  6. 上記中間層が樹脂組成物からなり、この中間層の樹脂組成物における基材ポリマーの主成分がアイオノマー樹脂であり、
    上記カバーが樹脂組成物からなり、このカバーの樹脂組成物における基材ポリマーの主成分が熱可塑性ポリウレタンエラストマーである請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
  7. 上記極近傍領域と調整領域との境界線がその緯度が20°以上40°以下である緯線であり、調整領域と赤道近傍領域との境界線がその緯度が20°以上40°以下である緯線である請求項1から6のいずれかに記載のゴルフボール。
  8. 上記極近傍領域のユニットの数が4以上であり、赤道近傍領域のユニットの数が4以上である請求項1から7のいずれかに記載のゴルフボール。
  9. 上記ディンプルの総数が360個以下であり、全てのディンプルの面積の合計の、仮想球の表面積に対する比率が75%以上である請求項1から8のいずれかに記載のゴルフボール。
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