JP4753326B2 - ダイアフラムを製造する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイアフラムを製造する方法であって、第1のステップで、p型ドーピングされたシリコン基板の前面に、n型ドーピングされたエピタキシャル層を成膜し、第2のステップで、シリコン基板の裏面から切欠きをエッチングする形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
すでに公知となっているダイアフラム製造法では、p型ドーピングされた基板上に、n型ドーピングされたエピタキシャル層が成膜される。次のステップでは、基板の裏面から切欠きのエッチングが行われる。この場合、エッチングは、基板層とエピタキシャル層との間のpn接合部で停止する。このようにして形成された切欠きによって、ダイアフラムの幾何学的な寸法が決定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、ダイアフラムを製造する方法を改善して、ダイアフラムの正確な厚さを大きな精度で調整することができるようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の方法では、第2のステップの前に、ダイアフラムの領域内でエピタキシャル層の一部分にp型ドーピング部を形成し、第2のステップの時に、p型ドーピングされたシリコンをエッチングしかつn型ドーピングされたシリコンをエッチングしないエッチングプロセスを使用するようにした。
【0005】
【発明の効果】
請求項1の特徴部に記載した特徴を備えた本発明によるダイアフラム製造法は従来のものに比べて、ダイアフラムの厚さを減じることができるという利点を有している。この場合、エピタキシャル層の厚さを減じる必要はない。
【0006】
請求項2以下に記載した特徴によって別の利点が得られる。マスクの使用と、基板内へのドーピング材料の導入とによって、エピタキシャル層内へのp型ドーピング部の導入が特に簡単に行われる。この場合、ガス相からならびに注入もしくは打込みによってドーピング材料を導入することができる。さらに、マスクによって、p型ドーピング部の、パターン化された成膜も可能である。さらに、p型ドーピング部の導入によって、部分領域でのみ、特にダイアフラムの縁部領域を薄く形成することも可能となる。ダイアフラムの唯一の領域が、n型ドーピング部の導入によって厚く形成されていてもよい。この場合、ダイアフラムの中央領域が厚く形成されかつ縁部領域が薄く形成されていると特に有利である。なぜならば、応力が縁部領域に集中されるからである。エピタキシャル層内へのピエゾ抵抗素子および集積回路の導入によって、ダイアフラム内の応力状態を検出するセンサを提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【0008】
図1には、単結晶形のシリコン基板1が示してある。このシリコン基板1の上面は、パターン化されたマスキング層2によって被覆されている。単結晶形のシリコン基板1は、p型ドーピング部を有する基板である。マスキング層2のためには、半導体技術における従来のマスキング層、たとえば酸化ケイ素、窒化ケイ素またはこれらの材料の混合物が使用される。マスキング層2のパターン化は、感光剤層の塗布に続く、この感光剤層への露光プロセスとマスキング層2のエッチングとによって行われる。
【0009】
次いで、後続のプロセスステップでは、ドーピング材料3がシリコン基板1の上面に導入される。この場合、マスキング層2が、単結晶形のシリコン基板1の上面の所定の領域を被覆しているので、この領域にはドーピング材料3は導入されない。図2には、このようにして導入されたドーピング材料3が示してあり、さらに、図2では、もはや不要のマスキング層2が再び除去されている。ドーピング材料3は、同じくp型ドーピング部である。しかし、このp型ドーピング部は、シリコン基板1のドーピング部よりも高濃度である。シリコン基板1の上面へのドーピング材料3の導入は、たとえば適当なドーピング材料による上面への注入もしくは打込みによって行われてもよい。別の可能性としては熱処理が考えられる。この熱処理では、シリコン基板1の上面に、p型ドーピング部のためのドーピング材料が高濃度で提供され、これによって、シリコン基板1へのドーピング材料の拡散が行われる。
【0010】
次のステップでは、n型ドーピングされたエピタキシャル層4が成膜される。図3から分かるように、この場合、拡散プロセスによってエピタキシャル層4内へのp型ドーピング部3の分散も行われる。これによって、p型ドーピングされた領域3は、シリコン基板1内で部分的に延在しかつエピタキシャル層4内へ部分的に侵入している。したがって、p型ドーピング部3はシリコン基板1とエピタキシャル層4との間の境界面に配置されていて、それぞれ両方の領域内へ侵入している。その後、p型ドーピング部3のこの侵入によって、n型ドーピングされたエピタキシャル層4とp型ドーピング部3との間にpn接合部が形成される。このpn接合部は、エピタキシャル層4内への付加的なp型ドーピング部3の導入によって形成されている。これは、後続のエッチングステップのために重要である。
【0011】
さらに次のプロセスステップは、ダイアフラムの実用的な使用のために重要である。たとえば、付加的なプロセスステップによって、ピエゾ抵抗素子5または回路10がエピタキシャル層4内に形成される。
【0012】
次のステップでは、シリコン基板1の下面から切欠き6のエッチングが行われる。この状態は図4に示してある。切欠き6によって、n型ドーピングされたエピタキシャル層4から成るダイアフラム領域20が形成される。この場合、切欠き6の幾何学的な大きさによってダイアフラム20の大きさが決定される。ここでは、ダイアフラム20の厚さは、n型ドーピングされたエピタキシャル層4の厚さによって形成されていて、p型ドーピング部3がエピタキシャル層4内へ侵入した厚さだけ減じられている。したがって、エピタキシャル層4の厚さが予め設定されている場合には、ダイアフラム領域20は、付加的なドーピング部3の使用によって減じられる。これは、切欠き6のためのエッチングプロセスが、p型ドーピングされたシリコン基板1と、n型ドーピングされたエピタキシャル層4の材料との間で終了しているという理由に起因している。切欠き6のエッチングのためには、電気化学的なエッチング法が使用される。このエッチング法の場合には、相応する電圧の印加によって、p型ドーピングされたシリコンと、n型ドーピングされたシリコンとの間のpn接合部でエッチングストップが達成される。pn接合部にわたって印加される逆方向バイアス電圧は、たとえば白金(Pt)のような基準電極を用いて水酸化カリウム(KOH)内でエッチングする場合、電位がp型領域内ではエッチングストップ電位よりも小さく(エッチングされる)かつn型領域内ではエッチングストップ電位よりも大きい(エッチングされない)ように選択される。
【0013】
したがって、エピタキシャル層4の厚さが予め設定されている場合には、ダイアフラム領域20の厚さは、エピタキシャル層4よりも薄膜状に形成することができるということが達成される。このようなp型ドーピング部3のドーピング部プロファイルは、n型ドーピングされたシリコンから成るエピタキシャル層4内で極めて正確にコントロールすることができるので、ダイアフラム20の厚さも正確にコントロールすることができる。ダイアフラム20の厚さのこのような減少は、別のプロセスによってエピタキシャル層4の厚さが予め設定されている場合、たとえば回路10の導入のために、エピタキシャル層4の所定の層厚さが必要である場合には特に有利である。
【0014】
たとえばエピタキシャル層4をダイアフラム領域20でのみ時間的に制御してエッチングするような、ダイアフラム20の厚さを減じるための別の方法における問題点は、これによって、ダイアフラム20の正確な厚さを小さな精度でしか調整することができないということである。このようなプロセスの変動は、相応するp型ドーピング部3がエピタキシャル層4内に形成されることによって生じる変動よりも著しく大きい。
【0015】
図5および図6には、本発明による方法の別の実施例が示してある。図5には、符号1でシリコン基板が、符号4でエピタキシャル層が、符号5でピエゾ抵抗素子が再び示してある。さらに、p型ドーピング部3が設けられているが、このp型ドーピング部3は、ダイアフラム領域20全体にわたって延在しておらず、縁部領域にのみ形成されている。この場合、p型ドーピング部3は、ダイアフラム領域20の縁部領域全体を取り囲んでいる。これに対して、ダイアフラム領域20の中央には、高濃度のn型ドーピング部8が設けられている。このn型ドーピング部8は、p型ドーピング部3を導入するために説明したのと同じプロセスで導入される。次いで、すでに説明したような後続の電気化学的なエッチングでは、図6に示したようなダイアフラム領域20が提供される。縁部領域(つまり、p型ドーピング部3が設けられていた領域)では、ダイアフラム20の厚さは、エピタキシャル層4の本来の厚さよりも薄く形成されているのに対して、中央領域(つまり、高濃度のn型ドーピング部8が導入されていた領域)ではダイアフラム領域20は、エピタキシャル層4の本来の厚さよりも厚く形成されている。したがって、唯一の領域の厚さは確実に拡大されるのに対して、他の領域の厚さは縮小されるダイアフラム領域20を形成することができる。これは、圧力センサのために使用されるダイアフラム領域20の場合に特に有利である。なぜならば、図6にも同様に示したピエゾ抵抗素子5の領域に、特に高い機械的応力が生ぜしめられ得るからである。この場合、厚膜状の中央領域をダイアフラム領域20の中央に使用することによって、このようなセンサの直線性が改善される。
【0016】
図7および図8には、本発明による方法の別の実施例が示してある。図7には、符号1でシリコン基板が、符号4でエピタキシャル層が、符号5でピエゾ抵抗素子が再び示してある。さらに、図5および図6と同様に、縁部領域でのみ形成されているp型ドーピング部3が設けられている。この場合、p型ドーピング部3は、ダイアフラム領域20の縁部領域全体を取り囲んでいる。図5および図6と同様に、ダイアフラム領域20の中央には、高濃度のn型ドーピング部8が設けられている。ダイアフラム領域20の縁部領域全体は、高濃度のn型ドーピング部8によってさらに付加的に取り囲まれる。図8で見ることができるように、外縁部が厚膜状に形成されていて、この外縁部に続く内縁部(ピエゾ抵抗素子の下側)が薄膜状に形成されていて、中央領域で再び厚膜状に形成されているダイアフラム領域20が形成される。図8に示したダイアフラム領域20は、図6に示したダイアフラム領域20とは異なり、ダイアフラム領域20の外縁部が付加的に厚膜状に形成されている。この構成によって、切欠き6のエッチング時に、シリコン基板1の厚さ変動はそれほど重要ではなくなる。ダイアフラム領域20の、このような変化形による拡大部は、厚膜状の領域に位置しているので、ダイアフラム領域20の機械的な特性はほとんど影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダイアフラム製造法を示す図であって、単結晶シリコン基板がマスキング層で被覆されている。
【図2】本発明によるダイアフラム製造法を示す図であって、ドーピング材料が導入されておりかつ不要なマスキング層が除去されている。
【図3】本発明によるダイアフラム製造法を示す図であって、エピタキシャル層内へドーピング材料が分散されている。
【図4】本発明によるダイアフラム製造法を示す図であって、切欠きがエッチングされている。
【図5】本発明によるダイアフラム製造法の第1の変化実施例を示す図である。
【図6】本発明によるダイアフラム製造法の第1の変化実施例を示す図であって、切欠きがエッチングされている。
【図7】本発明によるダイアフラム製造法の第2の変化実施例を示す図である。
【図8】本発明によるダイアフラム製造法の第2の変化実施例を示す図であって、切欠きがエッチングされている。
【符号の説明】
1 シリコン基板、 2 マスキング層、 3 ドーピング材料またはp型ドーピング部、 4 エピタキシャル層、 5 ピエゾ抵抗素子、 6 切欠き、
8 n型ドーピング部、 10 回路、 20 ダイアフラム領域
Claims (6)
- ダイアフラムを製造する方法であって、第1のステップで、p型ドーピングされたシリコン基板(1)の前面に、n型ドーピングされたエピタキシャル層(4)を成膜し、第2のステップで、シリコン基板(1)の裏面から切欠き(6)をエッチングする形式のものにおいて、第2のステップの前に、ダイアフラム(20)の領域内でエピタキシャル層(4)の一部分にp型ドーピング部(3)を形成し、第2のステップの時に、p型ドーピングされたシリコンをエッチングしかつn型ドーピングされたシリコンをエッチングしないエッチングプロセスを使用し、p型ドーピング部(3)をダイアフラム(20)の部分領域にわたってのみ延在させ、前記エッチングプロセスによってダイアフラム(20)の厚さを高濃度のn型ドーピング部(8)の領域で拡大しかつp型ドーピング部(3)の領域で縮小し、高濃度のn型ドーピング部(8)をダイアフラム(20)の中央領域内へ導入することを特徴とする、ダイアフラムを製造する方法。
- 第1のステップの前にマスク(2)を形成し、シリコン基板(1)の、マスク(2)によって被覆されていない領域内にドーピング材料を導入する、請求項1記載の方法。
- p型ドーピング部(3)をダイアフラム(20)の縁部領域にわたって延在させる、請求項1記載の方法。
- 高濃度のn型ドーピング部(8)をダイアフラム(20)の縁部領域にわたって導入する、請求項1記載の方法。
- エピタキシャル層(4)内へピエゾ抵抗型の抵抗素子(5)を導入する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- エピタキシャル層(4)内へ集積回路(10)を導入する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
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