JP4748067B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法および製造装置 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法および製造装置 Download PDF

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本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法およびそれに用いられる製造装置に関するものである。
従来、炭化珪素単結晶の製造方法として、例えば、特許文献1、2に示されるように、種結晶を原料ガス供給側から離れる方向に相対移動させながら、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる方法がある。この方法は、炭化珪素単結晶を、その成長方向において長く成長(長尺成長)させることを実現させるものである。
具体的には、特許文献1に記載の技術は、特許文献1の第1図に示されるように、種結晶保持具2とガイド6とがほぼ接触した状態で、種結晶保持具2を相対移動させている。一方、特許文献2に記載の技術は、特許文献2の第1図および段落「0058」に記載されているように、円筒部材18の内周面と台座12の拡径部(円板部)12bの外周面が接する状態で摺動させて、台座12を相対移動させている。
一方、種結晶を相対移動させながら炭化珪素単結晶を成長させる方法ではないが、他の炭化珪素単結晶の製造方法として、例えば、特許文献3に示されるように、種結晶の台座と、単結晶の成長方向をガイドするガイド部とが一体となった結晶成長容器を用いる方法がある。
特開2001−226197号公報 特開2006−089365号公報 特許第3719866号公報
上記した特許文献1、2に代表されるように、種結晶を相対移動させながら炭化珪素単結晶を成長させる方法では、主に下記の2つの問題点があるため、安定した単結晶の長尺成長が困難となるおそれがある。
すなわち、第1の問題点は、従来の種結晶を相対移動させながら炭化珪素単結晶を成長させる方法では、種結晶をガイド部材から離れる方向に相対移動させているので、炭化珪素単結晶の直径が拡大して、成長した単結晶がその周囲に位置するガイド部材に当たった場合、種結晶の相対移動が阻害されてしまうことである。
また、第2の問題点は、上記した方法では、気体から固体への相変化を利用して結晶成長させているので、種結晶以外に場所においても結晶が析出することがあり、種結晶移動機構のすり合わせ部に結晶が付着してしまうと、それによって種結晶の相対移動が阻害されてしまうことである。例えば、特許文献1では、種結晶保持具2とガイド6が、種結晶移動機構のすり合わせ部であり、種結晶保持具2とガイド6との間に結晶が析出することで、種結晶保持具2の移動が阻害される。一方、特許文献2では、円筒部材18の内周面と台座12の拡径部12bの外周面とがすりあわせ部であり、これらの間に結晶が析出することで、種結晶保持具2の移動が阻害される。
なお、第1の問題点の解決方法としては、特許文献3のように、台座とガイド部材とが一体となった結晶成長容器を用いて、種結晶とガイド部材とを同時に移動させる方法が考えられる。しかしながら、この方法だけでは、第2の問題点を解決することができない。
本発明は、上記点に鑑み、成長した単結晶自体による種結晶の相対移動の阻害およびすりあわせ部での結晶析出による種結晶の相対移動の阻害を抑制できる炭化珪素単結晶の製造方法およびその方法に用いられる製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、内部が中空である筒形状であって、発熱してその内部を加熱するヒータ部材(6)と、種結晶が設置される台座(7a)と、種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、台座側が閉塞され、台座が位置する側とは反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)とを用い、ヒータ部材の内部に結晶成長容器を配置するとともに、供給された原料ガスが結晶成長容器とヒータ部材との間を通過しないように、結晶成長容器の一部(14)をヒータ部材の内壁に接触させておき、ヒータ部材の種結晶側に、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度で発熱する結晶成長温度領域(6a)が位置し、ヒータ部材の原料ガス供給側に、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度で発熱する結晶未成長温度領域(6b)が位置するように、ヒータ部材(6)を発熱させ、結晶成長容器の一部(14)がヒータ部材の結晶未成長温度領域(6b)と接触した状態を維持するように一部をすり動かしながら、ヒータ部材に対して種結晶が原料ガス供給側から離れる方向に、結晶成長容器を相対移動させて、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることを第1の特徴としている。
これによれば、種結晶に原料ガスを供給して炭化珪素単結晶を成長させる際に、台座とガイド部材が一体となった結晶成長容器を相対移動させているので、成長した炭化珪素単結晶がガイド部材に当たっても、結晶成長容器の相対移動が阻害されないので、単結晶を長尺成長させ続けることができる。
また、結晶成長容器を相対移動させる際、結晶成長容器の一部をヒータ部材の内壁に接触した状態ですり動かしているので、結晶成長容器とヒータ部材との間に、原料ガスの一部が流入して結晶が析出することを抑制できる。さらに、結晶成長容器の一部をヒータ部材の内壁に接触した状態ですり動かすときでは、結晶成長容器の一部がヒータ部材の結晶未成長温度領域と接触する状態を維持しているので、結晶成長容器の一部とヒータ部材との接触部分で、原料ガスから結晶が析出することを抑制できる。これらの結果、安定した単結晶の長尺成長が可能となる。
そして、この炭化珪素単結晶の製造方法においては、例えば、ヒータ部材の内部に種結晶に対向して配置され、種結晶に供給する原料ガスを加熱するための筒状の容器であって、外径がガイド部材(7b)の内径よりも小さい第1部分(8a)と、外径が第1部分と異なり、かつ、内部に原料ガスを所定条件で加熱する空間を構成する第2部分(8b)とを有する原料ガス加熱容器(8)を用い、原料ガス加熱容器の第1部分と第2部分のうち、第1部分のみをガイド部材の内部に配置した状態として、炭化珪素単結晶の成長を開始させることが好ましい。
また、本発明では、種結晶が設置される台座(7a)と、種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、台座側が閉塞され、台座が位置する側の反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)と、種結晶側が開口しており、種結晶側と反対側に底を有する筒状であって、内部に炭化珪素原料粉末(31)が収容される原料容器(32)とを用い、結晶成長容器の内壁(34)の一部(35)が原料容器の外壁(33)に接触した状態として、結晶成長容器の内側に原料容器を配置し、原料容器が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度となる結晶未成長温度領域を有するとともに、結晶成長容器のうち、結晶未成長温度領域よりも種結晶側に位置する部分が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度となるように、結晶成長容器および原料容器を加熱して、炭化珪素原料粉末を昇華させることによって原料ガスを種結晶に供給し、結晶成長容器の一部(35)が原料容器(32)の結晶未成長温度領域と接触した状態を維持するように一部をすり動かしながら、種結晶が原料容器から離れる方向に、結晶成長容器を相対移動させて、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることを第2の特徴としている。
これによれば、種結晶に原料ガスを供給して炭化珪素単結晶を成長させる際に、台座とガイド部材が一体となった結晶成長容器を相対移動させているので、成長した炭化珪素単結晶がガイド部材に当たっても、結晶成長容器の相対移動が阻害されないので、単結晶を長尺成長させ続けることができる。
また、結晶成長容器を相対移動させる際、結晶成長容器の一部を原料容器の外壁に接触した状態ですり動かしているので、結晶成長容器と原料容器との間に、原料ガスの一部が流入して結晶が析出することを抑制できる。さらに、結晶成長容器の一部を原料容器の外壁に接触した状態ですり動かすときでは、結晶成長容器の一部が原料容器の結晶未成長温度領域と接触する状態を維持しているので、結晶成長容器の一部と原料容器との接触部分で、原料ガスから結晶が析出することを抑制できる。これらの結果、安定した単結晶の長尺成長が可能となる。
そして、この炭化珪素単結晶の製造方法においては、結晶成長容器として、台座側に位置し、内径が種結晶の外径とほぼ同じ大きさであり、ガイド部材として機能する第1部分(7b)と、第1部分よりも種結晶から離れた側に位置し、内径が第1部分と異なっており、かつ、内径が原料容器の外径と同じ大きさである第2部分(47)とを有する結晶成長容器(7)を用い、結晶成長容器の第1部分(7b)と第2部分(47)のうち、第2部分の内側にのみ原料容器(32)を配置し、第2部分(47)の内壁を原料容器の外壁に接触させた状態で、炭化珪素単結晶を成長させることが好ましい。
また、第1、第2の特徴において、結晶成長容器として、台座の種結晶設置面の端部(22、42)とガイド部材(7b)との間に隙間(23、43)が設けられており、隙間を介して、ガイド部材によって取り囲まれた第1空間(24、44)と連通する第2空間(25、45)を内部に形成している結晶成長容器(7)を用い、
種結晶に向けて供給された原料ガスの一部が種結晶とガイド部材との間を通って第2空間に導入されるガス流れを形成させながら、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることができる。
これによれば、種結晶上に成長する炭化珪素単結晶とガイド部材との間を流れ、第2空間に流入する原料ガスの流れを形成することができるので、炭化珪素単結晶をガイド部材に固着させることなく成長させることができる。この結果、歪みがない高品質の炭化珪素単結晶が得られる。
また、第1、第2の特徴において、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させるとき、炭化珪素単結晶の成長速度と同じ速度で、炭化珪素単結晶の成長方向とは逆の方向に、結晶成長容器を移動させることが好ましい。
これにより、炭化珪素単結晶の成長面の位置を一定に保つことができ、成長面での温度、ガスの流れなどの成長条件を一定に保つことができるので、高品質な長尺結晶を成長させることができるからである。
また、本発明は、内部が中空である筒形状であって、発熱してその内部を加熱するヒータ部材(6)と、ヒータ部材の内部に配置され、種結晶が設置される台座(7a)と、種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、台座側が閉塞され、台座が位置する側とは反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)と、結晶成長容器をヒータ部材に沿った方向に相対移動させる移動手段(13)とを備え、ヒータ部材は、種結晶側に原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度である結晶成長温度領域(6a)を有し、原料ガス供給側に原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度である結晶未成長温度領域(6b)を有して発熱するようになっており、結晶成長容器は、供給された原料ガスが結晶成長容器とヒータ部材との間を通過しないように、ヒータ部材の内壁に接触する接触部(14)を有しており、移動手段によって結晶成長容器が相対移動する場合に、接触部(14)が、ヒータ部材の結晶未成長温度領域(6b)と接触した状態ですり動きながら移動するようになっていることを第3の特徴としている。
この第3の特徴である炭化珪素単結晶の製造装置は、第1の特徴である炭化珪素単結晶の製造方法に用いられるものである。
この炭化珪素単結晶の製造装置において、例えば、原料ガス加熱容器は、筒状の容器であって、外径がガイド部材(7b)の内径よりも小さい第1部分(8a)と、外径が第1部分と異なり、かつ、内部に原料ガスを所定条件で加熱する空間を構成する第2部分(8b)とを有する形状であり、炭化珪素単結晶の製造開始状態では、原料ガス加熱容器の第1部分と第2部分のうち、第1部分のみがガイド部材の内部に配置されるようになっていることが好ましい。
また、本発明は、種結晶が設置される台座(7a)と、種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、台座側が閉塞され、台座が位置する側の反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)と、種結晶側が開口しており、種結晶側と反対側に底を有する筒状であって、内部に炭化珪素原料粉末(31)が収容される原料容器(32)と、結晶成長容器および原料容器を加熱する加熱手段(6)と、結晶成長容器を原料容器から離れる方向に相対移動させる移動手段(13)とを備え、結晶成長容器および原料容器は、結晶成長容器の内壁(34)の一部(35)が原料容器の外壁(33)に接触した状態で、結晶成長容器の内側に原料容器が配置されており、加熱手段は、原料容器が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度となる結晶未成長温度領域を有するとともに、結晶成長容器のうち、結晶未成長温度領域よりも種結晶側に位置する部分が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度となるように、結晶成長容器および原料容器を加熱するようになっており、移動手段によって結晶成長容器が相対移動する場合に、結晶成長容器の一部(35)が原料容器の結晶未成長温度領域と接触した状態ですり動きながら移動するようになっていることを第4の特徴としている。
この第4の特徴である炭化珪素単結晶の製造装置は、第2の特徴である炭化珪素単結晶の製造方法に用いられるものである。
この炭化珪素単結晶の製造装置において、結晶成長容器(7)は、台座側に位置し、内径が種結晶の外径とほぼ同じ大きさであり、ガイド部材として機能する第1部分(7b)と、第1部分よりも種結晶から離れた側に位置し、内径が第1部分と異なっており、かつ、内径が原料容器の外径と同じ大きさである第2部分(47)とを有しており、原料容器(32)は、結晶成長容器の第1部分(7b)と第2部分(47)のうち、第2部分の内側にのみ配置されており、移動手段によって結晶成長容器が相対移動する場合に、第2部分(47)の内壁が原料容器(32)の外壁に接触した状態で、結晶成長容器が相対移動するようになっていることが好ましい。
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
図1(a)に、本発明の第1実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示し、図1(b)に製造装置内の温度分布を示す。
本実施形態の製造装置は、単結晶の成長方法として、原料ガスを真空容器の外部から供給し、成長した結晶を連続的に引き上げながら単結晶を成長させるガス成長法を採用したものである。
まず、本実施形態の製造装置の概略構成を説明すると、図1に示すように、炭化珪素単結晶の製造装置は、真空容器1と、真空容器1の外周に配置された加熱コイル2と、真空容器1の下端側に設けられた排気管3と、真空容器1の下端側に設けられた原料ガス供給手段としての原料ガス導入管4とを備えている。そして、真空容器1の内部に断熱材5とヒータ部材6が配置されており、ヒータ部材6の内側に、内部に設置された種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる結晶成長容器7と、種結晶に供給する原料ガスを加熱するための原料ガス加熱容器8とが配置された構成となっている。
真空容器1は、内部を真空状態に維持するための円筒状の容器であり、図示しない真空ポンプ等の排気手段によって排気管3から内部の気体が排出され、原料ガス導入管4から内部に原料ガス等が供給される。なお、排気管3を真空容器1の上部に設けても良い。
加熱コイル2は、誘導加熱によりヒータ部材6を加熱する高周波誘導コイルであり、真空容器1の外周に巻回されている。加熱コイル2は、例えば、上側半分の上側コイル2aと、下側半分の下側コイル2bとから構成され、両者は独立して、加熱制御が可能となっている。
断熱材5としては、真空容器1の側面を覆う円筒状の側面断熱材5aと、真空容器1の下部を覆うように、真空容器1の下方に配置された下側断熱材5bと、結晶成長容器7の上面を覆う上側断熱材5cとが用いられる。
下側断熱材5bの上面には、ヒータ部材6と原料ガス加熱容器8が設置されている。また、下側断熱材5bには、原料ガス導入管4に連通し、原料ガスを流通させるための原料ガス通路9が設けられている。また、下側断熱材5bは、側面断熱材5aの内壁との間に排気管3に連通する排気経路10を構成するように、側面断熱材5aの内壁と所定間隔を設けて配置されている。
ヒータ部材6は、内部が中空である筒形状であって、発熱してその内部を加熱するものであり、後述するように、種結晶に供給する原料ガスおよび結晶成長空間を加熱するものである。本実施形態では、ヒータ部材6は、加熱コイル2による誘導加熱によって発熱するようになっており、耐熱性および導電性を有する材料、例えば、黒鉛で構成されている。なお、ヒータ部材6としては、黒鉛のみに限らず、黒鉛の他にダイヤモンド等の黒鉛と異なる結晶構造を含むカーボン材料や、ダイヤモンド等の黒鉛と異なる結晶構造のみからなるカーボン材料で構成されたものや金属材料等を採用してもよい。
ヒータ部材6は、例えば、円筒状であり、ヒータ部材6の外壁面と下側断熱材5bの外壁面の位置が一致している。そして、ヒータ部材6の下端部には、ヒータ部材6の内側に供給された原料ガスの一部を、ヒータ部材6の外側に排出して排気管3に導くための開孔部11が設けられている。
ヒータ部材6の温度プロファイルについて説明すると、図1(b)に示すように、ヒータ部材6は、原料ガス加熱容器8よりも図中上側の上側領域6aが結晶成長領域となり、上側領域6aよりも下側であって原料ガス加熱容器8の側壁に対向する下側領域6bが結晶未成長領域となる温度で発熱するようになっている。
ここで、図1(b)中の過飽和/未飽和境界温度とは、結晶成長容器7にSi含有ガスとC含有ガスとを含む原料ガスを供給する際であって、Si含有ガスとC含有ガスの分圧が所定の大きさであるときに、Si含有ガスとC含有ガスが固体の炭化珪素として析出する速度と固体の炭化珪素からSi含有ガスとC含有ガスとして昇華、エッチングする速度が等しく平衡状態となる温度を意味する。そして、結晶成長領域となる温度とは、過飽和/未飽和境界温度よりも低温であり、雰囲気中のSiC成分が過飽和であるために、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度を意味する。一方、結晶未成長領域となる温度とは、この過飽和/未飽和境界温度よりも高温であり、雰囲気中のSiC成分が未飽和であるために、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出しない温度を意味し、言い換えると、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度を意味する。
なお、図1(b)に示す温度分布のうち、実線部分がヒータ部材の温度であり、破線部分が下側断熱材5bの温度である。
結晶成長容器7は、種結晶12が設置される台座7aと、種結晶12から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材7bとが一体となった容器である。種結晶12としては、炭化珪素単結晶基板が用いられる。ガイド部7bは、ヒータ部材6と平行である。
そして、ガイド部材7bは台座7aよりも結晶成長方向側に位置しており、結晶成長容器7は、台座7a側が閉塞され、台座が位置する側とは反対側が開口した筒形状となっている。本実施形態では、結晶成長容器7は、台座7aを上底とし、ガイド部7bを側筒とする有底円筒形状であり、台座7aの種結晶設置面端部からガイド部7bが直に連なっている。
結晶成長容器7は、図中上下方向に延びるシャフト13に固定されている。このシャフト13は、図示しない上下動機構によって、図中上下方向に移動可能となっている。これらの上下動機構およびシャフト13が移動手段として機能することで、結晶成長容器7は、ヒータ部材6の内壁に沿って移動可能となっている。
ガイド部材7bの高さは、得ようとする炭化珪素単結晶インゴットの長さによって設定されるものであり、成長させる炭化珪素単結晶インゴットの長さよりも大きく設定される。
また、ガイド部材7bには、台座10b側とは反対側の端部(図1では下端部)にヒータ部材7の内壁面と接触する接触部14が設けられている。この接触部14は、供給された原料ガスの一部が結晶成長容器7とヒータ部材6との間を通過しないように、結晶成長容器7とヒータ部材6との間を遮断するものである。
具体的には、この接触部14は、ガイド部材7bの外壁面から外側に向けて突出した形状の突出部のことであり、ガイド部材7bの外周面全域にわたって、つば状に形成されている。そして、接触部14は、ヒータ部材6に固定されず、接触部14がヒータ部材6に接触した状態で、接触部14をすり動かしながら、結晶成長容器7がヒータ部材6の内壁に沿って移動可能となっている。
また、接触部14の移動範囲は、ヒータ部材6の温度が結晶未成長領域となる範囲内とされている。すなわち、接触部14は、常に、ヒータ部材6の下側領域6bと接触した状態で、すり動きながら移動するようになっている。言い換えると、接触部14が、常に、ヒータ部材6の下側領域6bと接触した状態となるように、結晶成長容器7が引き上げられる際の上限位置が設定されている。
結晶成長容器7は、ヒータ部材6と同様に、例えば、黒鉛製である。なお、結晶成長容器7としては、黒鉛および黒鉛以外の結晶構造を含むカーボン製のものや、黒鉛以外の結晶構造のみからなるカーボン製のものを採用しても良く、耐熱性、導電性を有する材料であれば、他の金属等の材料で構成されたものを採用してもよい。ただし、結晶成長容器7をヒータ部材6の内壁に沿って移動させる際に、接触部14とヒータ部材6の摩擦を小さくできるように、結晶成長容器7の接触部14と、ヒータ部材6の内壁のうち接触部14が接触する部分の少なくとも一方を、カーボンで構成することが好ましい。なお、カーボンの飛散によって炭化珪素単結晶インゴット16に欠陥が発生することを抑制するという観点では、ガイド部材7bの内壁、原料ガス加熱容器8の内外壁が高融点金属または高融点金属の炭化物で構成することが好ましい。
原料ガス加熱容器8は、種結晶12の図中下側に種結晶12と対向して配置され、結晶成長容器7に供給する原料ガスを加熱するものである。原料ガス加熱容器8は、例えば、図中上側が開口し、下側に底部を有する有底円筒形状であって、底部に原料ガス通路9と連通する連通部15を有しており、原料ガス導入管4から、原料ガス通路9およびこの連通部15を介して、結晶成長容器7内に原料ガスが導入される。
本実施形態では、原料ガス加熱容器8は、外径が、図中上下方向で均一であって、結晶成長容器7の内径よりも小さくなっており、単結晶の成長開始時においては、原料ガス加熱容器8のほぼ全域が結晶成長容器7の内部に位置するように配置される。
次に、上記した構造の製造装置を用いての炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。図2(a)に、炭化珪素単結晶を成長させているときの製造装置の部分断面図を示し、図2(b)にヒータ部材6の温度分布を示す。なお、図2(a)では、図1(a)中の製造装置の主要部を示している。
上記した構造の製造装置を用意する。すなわち、真空容器1の内部に、ヒータ部材6と、種結晶12を設置した結晶成長容器7とを配置する。
そして、真空容器1の内部を真空排気し、内部を所定圧力とするとともに、加熱コイル2による誘導加熱によって、図1(b)に示す温度分布となるように、ヒータ部材6を発熱させる。また、図1(a)に示すように、原料ガス導入管4から原料ガス通路9を介して、原料ガス加熱容器8に原料ガスを導入し、種結晶12に原料ガスを供給する。
続いて、図2(a)に示すように、種結晶12の上(図中下側)であって、ガイド部材7bに囲まれた成長空間に炭化珪素単結晶インゴット16を成長させながら、炭化珪素単結晶インゴット16の成長速度と同じ移動速度で、結晶成長容器7を引き上げる、すなわち、炭化珪素単結晶インゴット16の成長方向と逆の方向に結晶成長容器7を移動させる。
このとき、図2(a)、(b)に示すように、結晶成長容器7の接触部14がヒータ部材6の結晶未成長温度領域6bと接触した状態を維持するように、接触部14をすり動かしながら、結晶成長容器7を引き上げる。すなわち、接触部14の移動範囲を、ヒータ部材6の結晶成長温度領域6aに対向する範囲内とする。
なお、原料ガスは炭化珪素単結晶インゴット16の成長のために消費されるが、消費されなかった残りの原料ガスは、図1(a)、図2(a)に示すように、ヒータ部材7の開孔部11からヒータ部材7の外へ排出され、さらに、排気通路10を通って、排気管3から真空容器1の外へ排出される。
このようにして、炭化珪素単結晶インゴット16を製造することができる。
ここで、図1中の製造装置における各構成部の寸法を以下の大きさとした製造装置を用いて、炭化珪素単結晶インゴット16を製造した例を説明する。
図1中の製造装置において、ヒータ部材6の内径を125mmとし、結晶成長容器7の外径を120mm、結晶成長容器7(ガイド部材7b)の内径を100mmとし、結晶成長容器7の接触部14については、外径を125mm、高さ(図中上下方向長さ)を5mmとし、ガイド部材7bおよび原料ガス加熱容器8の高さを160mmとした。また、種結晶12としては、口径(直径)が100mmである4H型炭化珪素単結晶基板を用いた。
そして、結晶成長させる際では、真空容器1内を真空排気するとともに、原料ガス導入管4からアルゴンガス(Ar)を10SLMの流量で導入した後、加熱コイル2に電力を投入し、ヒータ部材6の上側領域6aが例えば2300℃以下であり、下側領域6bが2300℃よりも高温で、中心温度が例えば2400℃となるようにヒータ部材6を発熱させた。これは、真空容器1内の圧力および原料ガスの分圧(流量)が、例えば、以下に記載の大きさのときに、結晶成長領域の上限温度が2300℃となるからである。
ヒータ部材6の温度が安定した後、真空容器1内の圧力を5.33×10Paとし、原料ガス等をマスフローコントローラにより流量を調節して、原料ガス加熱容器8および結晶成長容器7の内部に導入した。原料ガスの導入の際には、例えば、SiHを1.2SLM、Cを0.32SLM、アルゴンガス(Ar)を3SLM流して、結晶成長を開始させた。このとき、炭化珪素単結晶インゴット16の成長速度は1mm/hであったので、結晶成長容器7の引上げ速度を1mm/hとした。
そして、125時間の連続引き上げ成長によって、長さが125mm、直径100mmの4H型炭化珪素単結晶インゴット16が得られた。
次に、本実施形態の主な特徴について説明する。
上記したように、本実施形態では、種結晶12に原料ガスを供給して炭化珪素単結晶インゴット16を成長させる際に、台座7aとガイド部材7bが一体となった結晶成長容器7を引き上げている。このため、台座7aに設置された種結晶12上に成長する炭化珪素単結晶インゴット16は、ガイド部材7bと一体となって移動する。したがって、炭化珪素単結晶インゴット16が直径方向にも成長してガイド部材7bに当たったとしても、結晶成長容器7の移動は阻害されないので、炭化珪素単結晶インゴット16を長尺成長させ続けることができる。
また、ガイド部材7bは、ヒータ部材6と接近しており、ヒータ部材6から直接熱輻射を受けるので、炭化珪素単結晶インゴット16より温度が高い。このため、ガイド部材7bの内壁は結晶が付着しにくくなっており、炭化珪素単結晶インゴット16の外周はガイド部材7bの内壁に固着しにくい。よって、炭化珪素単結晶インゴット16は、ガイド部材7bから独立して成長でき、ガイド部材7bに当たることによるガイド部材7bからの応力を受けることなく、ひずみのない高品質の炭化珪素単結晶インゴット16が得られる。
また、結晶成長容器7を引き上げる際、結晶成長容器7の接触部14をヒータ部材6の内壁に接触した状態ですり動かしているので、結晶成長容器7とヒータ部材6との間に、単結晶の成長に消費されなかった残りの原料ガスが結晶成長容器7の下方から流入することを抑制できる。これにより、移動する結晶成長容器7とヒータ部材6との間に、結晶が析出することを抑制できる。
さらに、結晶成長容器7の接触部14をヒータ部材6の内壁に接触した状態ですり動かすときでは、結晶成長容器7の接触部14がヒータ部材6の結晶未成長温度領域6bと接触する状態を維持している。すなわち、接触部14の移動範囲を、ヒータ部材6の結晶未成長温度領域6bに対応する範囲内としている。このため、結晶成長容器7の接触部14と、ヒータ部材6との接触部分で、原料ガスから結晶が析出することを抑制でき、結晶成長容器7の接触部14とヒータ部材6とが固着することを抑制できる。すなわち、結晶成長中に結晶の引き上げがスムーズに行われ、長尺成長が可能となる。
したがって、本実施形態によれば、炭化珪素単結晶の安定した長尺成長が可能となる。
(第2実施形態)
図3(a)に、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示し、図3(b)に、図3(a)中のヒータ部材6の温度分布を示す。なお、図3(a)では、図1(a)と同様の構成部に同一の符号を付しており、以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
本実施形態では、結晶成長容器7の形状が第1実施形態と異なっており、図3(a)に示すように、結晶成長容器7は、台座7aの種結晶設置面21の端部22とガイド部材7bとの間に隙間23が設けられているとともに、この隙間23を介して、ガイド部材7bによって取り囲まれた第1空間24と連通する第2空間25が内部に形成された形状である。
具体的には、結晶成長容器7は、台座7aの周囲に第2空間25が形成されており、台座7aの種結晶設置面21の端部22とガイド部材7bとの間に隙間23が形成されるように、ガイド部材7bの外径を、結晶成長容器7の台座7aおよび第2空間25が形成された部分26の外径よりも小さくした形状となっている。また、第2空間25は、種結晶12よりも図中上側に設けられており、常に、ヒータ部材6の上側領域6aに対向する位置となっており、ヒータ部材6の温度分布における結晶成長領域内に位置している。
図4(a)に、炭化珪素単結晶を成長させているときの製造装置の部分断面図を示し、図4(b)にヒータ部材6の温度分布を示す。なお、図4(a)では、図3(a)中の製造装置の主要部を示している。
本実施形態では、上記した形状の結晶成長容器7を用いて、第1実施形態と同様の方法により、種結晶12上に炭化珪素単結晶インゴット16を成長させる。これにより、図3(a)、図4(a)中に示す矢印のように、種結晶12に向けて供給された原料ガスの一部が、種結晶12および炭化珪素単結晶インゴット16と、ガイド部材7bとの間を流れて、第2空間25に流入する原料ガスの流れを形成することができる。
これにより、炭化珪素単結晶インゴット16をガイド部材7bに固着させることなく成長させることができる。この結果、炭化珪素単結晶インゴット16をガイド部材7bから独立させて成長でき、炭化珪素単結晶インゴット16がその周囲に位置するガイド部材7bから応力を受けることないので、歪みがない高品質の炭化珪素単結晶インゴット16が得られる。
なお、このような原料ガスの流れが生じる理由は、第2空間25は結晶成長温度範囲内に位置しており、原料ガス中のSiC成分が過飽和な状態であり、結晶成長容器7の第2空間25を構成する部分の内壁に、炭化珪素多結晶が析出するためである。
以下、本実施形態の実施例を説明する。図3(a)に示す製造装置において、例えば、ヒータ部材6の内径を160mmとし、結晶成長容器7については、第2空間25の構成部分26での外径を155mmとし、台座7aの外径を75mmとし、高さを65mmとし、ガイド部材7bの内径を77mmとし、ガイド部材7bの高さを160mmとし、接触部14の外径を160mm、高さ(図中上下方向長さ)を5mmとし、原料ガス加熱容器8については、外径を60mm、内径を50mm、高さを160mmとし、種結晶12として、口径(直径)が75mmである4H型炭化珪素単結晶基板を用いて、第1実施形態で説明した実施例と同様の方法によって、炭化珪素単結晶インゴット16を製造した。この結果、ひずみのない高品質の炭化珪素単結晶インゴット16が得られた。
このように、第2空間25を構成する部分26の外径を台座7aの外径より大きくして、その差を10mm以上150mm以下とすることが好ましい、これにより、第2空間255に向かうガスの流れを生じさせ、炭化珪素単結晶インゴット16のガイド部材7bへの固着を防止できる。ここで、10mm以上とする理由は、10mmより小さいと第2空間25の大きさが十分でなく析出した多結晶によって第2空間25が塞がってしまい、ガスの流れが止まることで、炭化珪素単結晶インゴット16がガイド部材7bへ固着してしまうからである。一方、150mm以下とする理由は、150mmより大きいと析出した多結晶により第2空間25が塞がることはないが、製造装置全体が大型化して、製造コストが高くなるからである。
また、第2空間25の高さ(図中上下方向長さ)を5mm以上150mm以下とすることが好ましい。これにより、第2空間25に向かうガスの流れを生じさせ、炭化珪素単結晶インゴット16のガイド部材7bへの固着を防止できる。ここで、5mm以上とする理由は、5mmより小さいと第2空間25の大きさが十分でなく析出した多結晶により第2空間25が塞がってしまい、ガスの流れが止まり、炭化珪素単結晶インゴット16がガイド部材7bへ固着する。一方、150mm以下とする理由は、150mmより大きいと析出した多結晶により第2空間25が塞がることはないが、製造装置全体が大型化して製造コストが高くなるからである。
また、隙間23の大きさを0.5mm以上5mm以下とすることが好ましい。これにより、第2空間25に向かうガスの流れを生じさせ、炭化珪素単結晶インゴット16のガイド部材7bへの固着を防止できるからである。ここで、0.5mm以上とする理由は、0.5mmより小さいと第2空間7bに向かうガスの流れが少なくなり、炭化珪素単結晶インゴット16のガイド部材7bへの固着防止効果が低減するからである。一方、5mm以下とする理由は、5mmより大きいと第2空間7bに向かうガスの流れは多くなり固着防止効果は得られるが、第2空間25内での多結晶析出が多くなるため、第2空間25が短時間で塞がって固着防止効果がなくなってしまうからであり、また、原料ガスのうち炭化珪素単結晶インゴット16の成長に使われる量が減少し、成長速度が低下してしまうからである。
また、ガイド部材7bの内径を、台座7aの外径と比べて±5mmの範囲の大きさとすることが好ましい。これにより、炭化珪素単結晶インゴット16をガイド部材7bの内径に沿って成長させ、炭化珪素単結晶インゴット16の周囲に余分な多結晶が成長することなく、炭化珪素単結晶インゴット(12)のみを成長させることができる。ここで、±5mmの範囲とする理由は、ガイド部材7bの内径が台座7aの外径と比べて5mmより大きいと炭化珪素単結晶インゴット16の外周に条件により多結晶が付着したり、逆にエッチングされたりして外径が制御できず、品質が悪くなり、一方、ガイド部材7bの内径が台座7aの外径と比べて5mmより小さいと種結晶12の大きさと比べて小さい炭化珪素単結晶インゴット16しか成長せず、効率が悪いからである。
また、ガイド部材7bの高さ(図中上下方向での長さ)は所望する炭化珪素単結晶インゴット16の成長長さより大きくする。例えば、ガイド部材7bの高さを50mm以上とすることで、50mm以上の長さの炭化珪素単結晶インゴット16を成長させることが可能となる。
なお、本実施形態では、結晶成長容器7に対して、単に、第2空間25を設けただけであったが、この第2空間25内への原料ガスの流入を促進させるために、結晶の析出を促進させる、例えば、多孔質カーボン、カーボン断熱材等の吸収材を、第2空間25を構成する内壁に配置した構成としても良い。これにより、より効果的にガスの流れを生じさせ、炭化珪素単結晶インゴット16がガイド部材7bに固着するのを防止できる。
(第3実施形態)
図5(a)に、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示し、図5(b)に、図5(a)中のヒータ部材6の温度分布を示す。なお、図5(a)では、図1(a)と同様の構成部に同一の符号を付しており、以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
本実施形態では、原料ガス加熱容器8の形状が第1実施形態と異なっており、原料ガス加熱容器は、円筒径状であるが、外径がガイド部材7bの内径よりも小さい第1部分8aと、外径が第1部分8aと異なり、かつ、内部に原料ガスを所定条件で加熱する空間を構成する第2部分8bとを有している。
第1部分8aは、原料ガス加熱容器8の台座12側の部分であり、単結晶成長方向での長さ(図中上下方向での長さ)は、ガイド部材7bの長さとほぼ同じである。なお、第1部分8aの外径は均一である。
第2部分8bは、原料ガス導入管4側の部分であり、第1部分8aと連続している。本実施形態では、第2部分8bの外径は、第1部分8aの外径およびガイド部材7bの内径よりも大きい。なお、第2部分8bの外径は均一である。
そして、単結晶の成長開始時においては、原料ガス加熱容器8の第1部分8aと第2部分8bのうち、第1部分8aのみがガイド部材7bの内部に位置するように配置される。なお、本実施形態においても、原料ガス加熱容器8の全域が、ヒータ部材6の結晶未成長温度領域6bと図中横方向(水平方向)で対向している。すなわち、原料ガス加熱容器8は、単結晶が成長しない温度で加熱されるようになっている。
また、本実施形態の結晶成長容器7は、第2実施形態で説明した結晶成長容器と同様の形状である。本実施形態では、ガイド部材7bの長さが、原料ガス加熱容器8の第1部分8aの長さとほぼ同じ長さとなっており、接触部14の移動範囲が、例えば、第1部分8aに水平方向(図中横方向)で対向する範囲内となっている。なお、結晶成長容器7の形状については、この形状に限られず、第1実施形態と同様に、台座7aの種結晶設置面端部からガイド部7bが直に連なる形状としても良い。
図6(a)に、炭化珪素単結晶を成長させているときの製造装置の部分断面図を示し、図6(b)にヒータ部材6の温度分布を示す。なお、図6(a)では、図5(a)中の製造装置の主要部を示している。
本実施形態においても、第1、第2実施形態と同様の方法により、種結晶12上に炭化珪素単結晶インゴット16を成長させることができる。
以下、本実施形態の実施例を説明する。図5(a)に示す製造装置において、例えば、ヒータ部材6の内径を160mmとし、結晶成長容器7については、第2空間25の構成部分26での外径を155mmとし、台座7aの外径を75mmとし、高さを65mmとし、ガイド部材7bの内径を77mmとし、ガイド部材7bの高さを100mmとし、接触部14の外径を160mm、高さ(図中上下方向長さ)を5mmとし、原料ガス加熱容器8については、第1部分8aの外径を60mm、内径を50mm、高さを100mmとし、第2部分8bの外径を120mm、内径を100mm、高さを160mmとし、種結晶12として、口径(直径)が75mmである4H型炭化珪素単結晶基板を用いて、第1、実施形態で説明した実施例と同様の方法によって、炭化珪素単結晶インゴット16を製造した。この結果、第2実施形態と同様に、ひずみのない高品質の炭化珪素単結晶インゴット16が得られた。
次に、本実施形態の主な特徴について説明する。
第1実施形態のように、ガイド部材7bの内部に、単結晶の成長方向で外径が一定である円筒状の原料ガス加熱容器8を配置して、炭化珪素単結晶インゴット16を製造する場合では、ガイド部材7bの内径および原料ガス加熱容器8の外径は、得ようとする炭化珪素単結晶インゴット16の径によって決定される。このため、種々の径を有する炭化珪素単結晶を製造する場合、ガイド部材7bおよび原料ガス加熱容器8の径を変更する必要がある。しかし、原料ガス加熱容器8の内部容積を変更してしまうと、原料ガスの加熱条件も変わってしまうため、適切な成長条件に設定し直す必要が生じ、原料ガスを効率良く加熱することができない。
これに対して、本実施形態によれば、種々の径を有する炭化珪素単結晶を製造する場合では、第2部分8bの外径を変更しなくても、第1部分8aの外径を変更すればよい。これにより、原料ガスを加熱する部分での容積を変更する必要がないので、適切な成長条件に設定し直す必要もない。したがって、原料ガスを効率良く加熱することができる。
すなわち、炭化珪素単結晶インゴット16の直径を小さくしても、第2部分8bの容積を変更する必要がないので、炭化珪素単結晶インゴット16の直径およびガイド部材7bの内径とは独立して、原料ガスを一定の加熱条件で効率良く加熱できる。この結果、種々の径を有する炭化珪素単結晶を製造する場合であっても、成長条件が一定に制御され高品質の炭化珪素単結晶インゴット16が得られる。
なお、本実施形態では、原料ガス加熱容器8の外径が、第1部分8aと第2部分8bとの境界で不連続に変化していたが、第1部分8aと第2部分8bとの境界での形状を、外径が連続的に変化する曲線形状に変更しても良い。
また、本実施形態では、原料ガス加熱容器8の第2部分8bは、下底を有していたが、下側断熱部材5b等で代用可能であれば、下底を省略しても良い。
また、本実施形態では、原料ガス加熱容器8の第1部分8aと第2部分8bとの間の外径の大小関係において、第2部分8bを第1部分8aよりも大きくする場合を説明したが、大小関係を逆転させても良い。
(第4実施形態)
図7(a)に、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示し、図7(b)に、図7(a)中の原料容器の温度分布を示す。なお、図7(a)では、図7(a)と同様の構成部に同一の符号を付しており、以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明する。本実施形態は、昇華法によって炭化珪素単結晶を製造する製造装置および製造方法である。
図7(a)に示すように、本実施形態の製造装置は、第1実施形態で説明した図1(a)に示す製造装置に対して、原料ガス加熱容器8を、炭化珪素原料粉末31を収容する原料容器32に変更したものである。
原料容器32は、種結晶側が開口しており、種結晶側と反対側に底を有する円筒形状であり、外径が結晶成長容器7のガイド部材7bの内径と同じである。そして、原料容器32の外壁33と結晶成長容器7の内壁34とが接触した状態で、結晶成長容器7の内側に原料容器32が配置されている。
結晶成長容器7は、第1実施形態と同様に、台座7aとガイド部材7bとを有する円筒形状であるが、第1実施形態と異なり、図1(a)中のガイド部材7bの外壁面から外側に向けて突出した形状の接触部14を有しておらず、その代わりに、シャフト13によって結晶成長容器7を図中上下方向に移動させたときに、原料容器32の外壁33と常に接触する接触部35を有している。この接触部35は、例えば、結晶成長容器7の下側(台座12から離れた側)の端部である。
結晶成長容器7および原料容器32は、ヒータ部材6の内部に配置されており、原料容器32の全域が、ヒータ部材6の結晶未成長温度領域6bと図中横方向(水平方向)で対向して配置されている。すなわち、図7(b)に示すように、原料容器32は、単結晶が成長しない温度で加熱されるようになっており、ヒータ部材6の内部のうち、原料容器32よりも種結晶12側の領域が結晶成長温度で加熱されるようになっている。なお、図7(b)中の実線は原料容器32の温度を示しており、破線は原料容器32よりも図中上側もしくは下側に位置するヒータ部材6や下側断熱材5bの温度を示している。
そして、シャフト13によって結晶成長容器7が引き上げられる場合に、結晶成長容器7の接触部35が原料容器32と接触した状態ですり動きながら移動するようになっている。すなわち、接触部35の可動範囲が、ヒータ部材6の結晶未成長温度領域6bに対向する範囲内となるように、シャフト13の引き上げ範囲が設定されている。
ここで、結晶成長容器7と原料容器32としては、それぞれ、黒鉛製のものを採用することができる。なお、原料容器32の全体が黒鉛製でなくても、原料容器32の外壁が黒鉛で構成されているものを採用してもよく、高融点材料で構成されていれば、黒鉛に限らず、黒鉛以外の結晶構造を含むカーボン製のものや他の材料で構成されているものを採用してもよい。ただし、原料容器32と結晶成長容器7の接触部35との摩擦を小さくするという観点では、少なくとも、原料容器32の外壁と結晶成長容器7の接触部35の一方を、カーボンで構成することが好ましい。また、カーボンの飛散によって炭化珪素単結晶インゴット16に欠陥が発生することを抑制するという観点では、少なくとも、ガイド部材7bの内壁34が高融点金属または高融点金属の炭化物で構成することが好ましい。
また、本実施形態では、下側断熱材5cと真空容器1には、原料の温度を測定するために、それぞれ、原料容器32の底部に連通する通路を構成する温度測定用穴36と温度測定用管37とが設けられている。また、真空容器1には、Arガスを導入するガス導入管が設けられており、Arガスは、ガス導入管から真空容器1内に導入され、排気管3から排出されるようになっている。
次に、上記した構成の製造装置を用いた炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。図8(a)に、炭化珪素単結晶を成長させているときの製造装置の部分断面図を示し、図8(b)に原料容器32の温度分布を示す。なお、図8(a)では、図7(a)中の製造装置の主要部を示している。
図7(a)に示すように、原料容器32に炭化珪素原料粉末31を入れ、結晶成長容器7の内壁34の一部35が原料容器32の外壁33に接触した状態として、結晶成長容器7の内側に原料容器32を配置する。
続いて、真空容器1の内部を真空にするとともに、ヒータ部材6を所定温度とした後、真空容器1の内部にArガスを導入し、真空容器1の内部を所定圧に保つ。その後、図7(b)に示す温度分布となるように、ヒータ部材6を発熱させる。これにより、結晶成長容器7および原料容器32を加熱して、原料容器32内の炭化珪素原料粉末31を昇華させる。
そして、図8(a)に示すように、種結晶12の上(図中下側)であって、ガイド部材7bに囲まれた成長空間に炭化珪素単結晶インゴット16を成長させながら、炭化珪素単結晶インゴット16の成長速度と同じ移動速度で、結晶成長容器7を引き上げる。
このとき、図8(a)、(b)に示すように、結晶成長容器7の接触部35が原料容器3と接触した状態を維持するように、接触部35をすり動かしながら、結晶成長容器7を引き上げる。すなわち、接触部14の移動範囲を、ヒータ部材6の結晶成長温度領域6aに対向する範囲内とする。
このようにして、炭化珪素単結晶インゴット16を製造することができる。
以下、本実施形態の実施例を説明する。図7(a)に示す製造装置において、例えば、ヒータ部材6の内径を125mmとし、結晶成長容器7の外径を120mm、結晶成長容器7(ガイド部材7b)の内径を100mmとし、ガイド部材7bの高さを200mmとし、原料容器32については、内径を80mm、外径を100mm、高さを200mmとした。また、種結晶12としては、口径(直径)が100mmである4H型炭化珪素単結晶基板を用いた。
そして、第1実施形態と同様に、ヒータ部材6の上側領域6aが例えば2300℃以下であり、下側領域6bが2300℃よりも高温で、中心温度が例えば2400℃となるようにヒータ部材6を発熱させた。
このような条件のとき、炭化珪素単結晶インゴット16の成長速度は0.5mm/hであったので、結晶成長容器7の引上げ速度を0.5mm/hとした。そして、250時間の連続引き上げ成長によって、長さが125mm、直径100mmの4H型炭化珪素単結晶インゴット16が得られた。
上記したとおり、本実施形態では、結晶成長容器7を引き上げる際、結晶成長容器7を原料容器32の外壁33に接触した状態ですり動かしているので、結晶成長容器7と原料容器32との間や、結晶成長容器7とヒータ部材6との間に、単結晶の成長に消費されなかった残りの原料ガスが流入することを抑制できる。これにより、移動する結晶成長容器7と原料容器32との間や、結晶成長容器7とヒータ部材6との間に、結晶が析出することを抑制できる。
さらに、結晶成長容器7の原料容器32との接触部35は、結晶未成長温度で加熱されている原料容器32と接触する状態を維持している。すなわち、接触部35の移動範囲を、ヒータ部材6の結晶未成長温度領域6bに対応する範囲内としている。このため、結晶成長容器7の接触部35と、原料容器32の外壁33との接触部分で、原料ガスから結晶が析出することを抑制でき、結晶成長容器7の接触部35と原料容器32とが固着することを抑制できる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、台座7aとガイド部材7bが一体となった結晶成長容器7を引き上げており、ガイド部材7bがヒータ部材6と接近していることから、その他の効果は、第1実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図9(a)に、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示し、図9(b)に、図9(a)中の原料容器32の温度分布を示す。なお、図9(a)では、図7(a)と同様の構成部に同一の符号を付しており、以下では、第4実施形態と異なる点について主に説明する。
本実施形態では、結晶成長容器7の形状が第4実施形態と異なっており、第2実施形態と同様に、図9(a)に示すように、結晶成長容器7は、台座7aの種結晶設置面41の端部42とガイド部材7bとの間に隙間43が設けられているとともに、この隙間43を介して、ガイド部材7bによって取り囲まれた第1空間44と連通する第2空間45が内部に形成された形状である。
例えば、結晶成長容器7は、台座7aの周囲に第2空間45が形成されており、台座7aの種結晶設置面41の端部42とガイド部材7bとの間に隙間43が形成されるように、ガイド部材7bの外径を、結晶成長容器7の台座7aおよび第2空間45が形成された部分46の外径よりも小さくした形状となっている。
本実施形態においても、第2空間45は、種結晶12よりも図中上側に設けられており、常に、ヒータ部材6の上側領域6aに対向する位置となっており、ヒータ部材6の温度分布における結晶成長領域内に位置している。
図10(a)に、炭化珪素単結晶を成長させているときの製造装置の部分断面図を示し、図10(b)に原料容器等の温度分布を示す。なお、図10(a)では、図9(a)中の製造装置の主要部を示している。
本実施形態では、上記した形状の結晶成長容器7を用いて、第4実施形態と同様の方法により、種結晶12上に炭化珪素単結晶インゴット16を成長させる。このとき、図9(a)、図10(a)中に示す矢印のように、種結晶12に向けて供給された原料ガスの一部が、種結晶12および炭化珪素単結晶インゴット16と、ガイド部材7bとの間を流れて、第2空間45に流入する原料ガスの流れを形成することができる。
これにより、炭化珪素単結晶インゴット16をガイド部材7bに固着させることなく成長させることができる。この結果、炭化珪素単結晶インゴット16をガイド部材7bから独立させて成長でき、炭化珪素単結晶インゴット16がその周囲に位置するガイド部材7bから応力を受けることないので、歪みがない高品質の炭化珪素単結晶インゴット16が得られる。
以下、本実施形態の実施例を説明する。図9(a)に示す製造装置において、例えば、ヒータ部材6の内径を160mmとし、結晶成長容器7については、第2空間45の構成部分46での外径を155mmとし、台座7aの外径を75mmとし、高さを65mmとし、ガイド部材7bの内径を77mmとし、ガイド部材7bの高さを200mmとし、原料容器32については、外径を77mm、内径を57mm、高さを200mmとし、種結晶12として、口径(直径)が75mmである4H型炭化珪素単結晶基板を用いて、第4実施形態で説明した実施例と同様の方法によって、炭化珪素単結晶インゴット16を製造した。この結果、150時間の連続引き上げ成長によって、長さが75mm、直径が75mmであって、ひずみのない高品質の4H型炭化珪素単結晶インゴット16が得られた。
(第6実施形態)
本実施形態は、第5実施形態に対して、結晶成長容器の形状を変更したものである。図11(a)に、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示し、図11(b)に、図11(a)中の原料容器32の温度分布を示す。なお、図11(a)では、図9(a)と同様の構成部に同一の符号を付しており、以下では、第5実施形態と異なる点について主に説明する。
図11(a)に示すように、結晶成長容器7は、台座7a側に位置し、ガイド部材として機能する第1部分7bと、第1部分よりも種結晶から離れた側に位置し、原料容器32の外壁と接触する第2部分47とを有している。
第1部分7bと第2部分47は、内径の大きさが異なる円筒形状であり、第1部分7bの内径は、台座7aおよび種結晶12の外径とほぼ同じ大きさであり、第2部分47の内径は、原料容器32の外径と同じ大きさである。図11(a)に示す製造装置では、第1部分7bと第2部分47のそれぞれの内径の大きさを比較すると、第2部分47の方が第1部分7bよりも大きくなっている。なお、第1部分7bと第2部分47とは連続しているが、このように内径の大きさが異なるため、それらの境界部分には段差が生じている。
そして、原料容器32は、結晶成長容器7の第1部分7bと第2部分47のうち、第2部分47の内側にのみ配置されており、第2部分47の内壁34が原料容器32の外壁33に接触した状態となっている。また、シャフト13によって結晶成長容器7が引き上げられる場合に、第2部分47の接触部35が原料容器32の外壁33に接触した状態ですり動くようになっている。
図12(a)に、炭化珪素単結晶を成長させているときの製造装置の部分断面図を示し、図12(b)に原料容器等の温度分布を示す。なお、図12(a)では、図11(a)中の製造装置の主要部を示している。
本実施形態では、上記した形状の結晶成長容器7を用いて、第4、5実施形態と同様の方法により、図12(a)に示すように、種結晶12上に炭化珪素単結晶インゴット16を成長させる。
ここで、第4、第5実施形態で説明した製造装置では、結晶成長容器7の内径が均一であるため、原料容器32の外径は、炭化珪素単結晶インゴット16の外径と同じになり、原料容器32の外径を炭化珪素単結晶インゴット16の外径以外の大きさにできない。すなわち、原料容器32の外径寸法は、得ようとする炭化珪素単結晶インゴット16の外径によって、決定されてしまう。
これに対して、本実施形態では、結晶成長容器7の形状を、第1部分7bと第2部分47とで内径の大きさを異ならせる形状としているので、原料容器32の外形寸法を、得ようとする炭化珪素単結晶インゴット16の外径に関係なく、任意の大きさに設定できる。すなわち、本実施形態によれば、第1部分7bの内径寸法を、得ようとする炭化珪素単結晶インゴット16の外径寸法に応じて設定し、第2部分47の内径寸法を、所望の大きさである原料容器32の外形寸法に応じて設定することができる。
したがって、例えば、同一の装置を用いて、異なる外形寸法の炭化珪素単結晶インゴット16を製造する場合では、結晶成長容器7の寸法を変更すればよく、原料容器32の外形寸法は変更する必要がない。これにより、炭化珪素原料粉末31を安定に加熱でき、成長条件が一定に制御され高品質の炭化珪素単結晶インゴット16が得られる。
そして、図11(a)、図12(a)に示す製造装置のように、結晶成長容器7において、第2部分47の内径を第1部分7bの内径よりも大きくすることで、外径寸法が比較的小さな炭化珪素単結晶インゴット16を製造する際であっても、得ようとする炭化珪素単結晶インゴット16の外径より大きな外径寸法の原料容器32を使用できる。
これにより、外径寸法が比較的小さな炭化珪素単結晶インゴット16を製造する場合、第4、第5実施形態と比較して、炭化珪素原料粉末31を多く充填できるため、炭化珪素原料粉末31がすべて昇華し終えるまでの時間を長くでき、長尺成長量を増加させることができる。
以下、本実施形態の実施例を説明する。図11(a)に示す製造装置において、例えば、ヒータ部材6の内径を160mmとし、結晶成長容器7については、第2空間45の構成部分46での外径および第2部分47での外径を155mmとし、台座7aの外径を75mmとし、高さを65mmとし、第1部分7bの内径を77mmとし、第1部分7bの高さを100mmとし、第2部分47の内径を135mmとし、第2部分47の高さを200mmとし、原料容器32については、外径を135mm、内径を115mm、高さを200mmとし、種結晶12として、口径(直径)が75mmである4H型炭化珪素単結晶基板を用いて、第4実施形態で説明した実施例と同様の方法によって、炭化珪素単結晶インゴット16を製造した。この結果、150時間の連続引き上げ成長によって、長さが75mm、直径が75mmであって、ひずみのない高品質の4H型炭化珪素単結晶インゴット16が得られた。
なお、本実施形態では、結晶成長容器7において、第1部分7bと第2部分47の境界部分に段差が生じており、第1部分7bの内径と第2部分47の内径とが不連続であったが、第1部分7bの内径と第2部分47の内径とが連続的に変化するように、第1部分7bと第2部分47の境界部分における内径が連続的に変わる曲線状としても良い。
また、本実施形態では、結晶成長容器7において、第2部分47の内径を第1部分7bの内径よりも大きくする場合を例として説明したが、その逆に、第2部分47の内径を第1部分7bの内径よりも小さくしても良い。
また、本実施形態では、結晶成長容器7は、第5実施形態と同様に、台座7aの種結晶設置面41の端部42とガイド部材7bとの間に隙間43が設けられているとともに、この隙間43を介して、ガイド部材7bによって取り囲まれた第1空間44と連通する第2空間45が内部に形成された形状であったが、この形状に限らず、第4実施形態と同様に、台座7aの種結晶設置面端部からガイド部7bが直に連なる形状としても良い。
(他の実施形態)
(1)第1〜第3実施形態では、真空容器1の外部から原料ガスを供給するガス成長法によって炭化珪素単結晶を製造する製造装置および製造方法について説明したが、以下に示すように、第1〜第3実施形態において、原料粉末を昇華させることによって原料ガスを供給する昇華法によって炭化珪素単結晶を製造するようにしてもよい。
図13に、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示す。なお、図13では、図1(a)に示す製造装置と同様の構成部に同一の符号を付している。
例えば、図13に示すように、第1実施形態で説明した図1(a)に示す製造装置において、原料ガス加熱容器8を炭化珪素原料粉末31が収容される原料容器32に変更してもよい。原料容器32としては、第4実施形態で説明したものを採用できる。なお、図13に示す製造装置では、第4実施形態と同様に、下側断熱材5cと真空容器1には、それぞれ、原料容器32の底部に連通する通路を構成する温度測定用穴36と温度測定用管37とが設けられている。
(2)第4〜第6実施形態では、原料容器32の外壁33と結晶成長容器7の内壁34とを接触させる場合を説明したが、さらに、第1〜第3実施形態のように、結晶成長容器7外壁とヒータ部材6の内壁とを接触させても良い。
ここで、図14に本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図を示す。なお、図14に示す製造装置は、第4実施形態で説明した図7(a)に示す製造装置の一部を変更したものであり、図7(a)に示す製造装置と同様の構成部に同一の符号を付している。
例えば、図14に示すように、図7(a)に示す製造装置において、第1実施形態と同様に、ガイド部材7bの外壁面から外側に向けて突出した形状の突出部14を設け、この突出部14をヒータ部材6の内壁に接触させても良い。すなわち、第1実施形態と同様に、結晶成長容器7にヒータ部材6の内壁に接触する接触部14を設けても良い。
(3)第1〜第3実施形態では、ガイド部材7bの台座10b側とは反対側の端部(図1では下端部)にヒータ部材7の内壁面と接触する接触部14が設けられていたが、接触部14の位置は、必ずしも、ガイド部材7bの端部でなくてもよく、結晶が析出しない領域を可動する位置であれば他の位置に変更しても良い。
(4)第4〜第6実施形態では、図7〜12に示すように、原料容器32の外壁33の全域が、結晶成長容器7の内壁34と接触する相手側となっていたが、原料容器32の外壁33の一部分のみが、結晶成長容器7の内壁34と接触するようにしてもよい。
図15に、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の部分断面図を示す。なお、図5では、図7(a)に示す製造装置と同様の構成部に同一の符号を付している。
例えば、図15に示すように、図7(a)中の原料容器32において、その上端部に外壁33から外側に突出する突出部51を設け、この突出部51の外壁面52を、結晶成長容器7の内壁34に接触させてもよい。
(5)第4〜第6実施形態では、原料容器32の全体が、結晶未成長の温度領域となるように加熱していたが、結晶成長容器7の原料容器32と接触する接触部35が、常に、結晶未成長温度領域に位置するように、接触部35をすり動かすことができれば、原料容器32の一部が結晶成長の温度領域となるように加熱してもよい。
すなわち、少なくとも、原料容器32が結晶未成長温度領域を有するように加熱し、結晶成長容器7の接触部35を、原料容器32の結晶未成長温度領域に接触した状態を維持するように、すり動かすようにすればよい。
(6)第4〜第6実施形態では、ヒータ部材6によって、結晶成長容器7および原料容器32を加熱していたが、図7(b)等に示す温度分布で加熱できれば、ヒータ部材6を省略して、加熱コイル2で加熱しても良い。
(7)上記した各実施形態では、結晶成長容器7の接触部14、35が結晶未成長の温度領域のみに存在しており、結晶成長の温度領域に結晶成長容器と他の部材との接触部が存在しないようにしていたが、結晶成長容器7の接触部14、35によって、他の接触部への原料ガスの流入が遮断されていれば、結晶成長の温度領域に他の接触部が存在していても良い。
(8)上記した各実施形態では、シャフト13によって結晶成長容器7を結晶の成長方向と逆の方向(図中上方向)に移動させていたが、結晶成長容器7を移動させる代わりに、ヒータ部材6および原料ガス加熱容器8や原料容器32等の原料ガス供給手段を移動させても良い。すなわち、結晶成長容器7と、ヒータ部材6および原料ガス加熱容器8や原料容器32等の原料ガス供給手段とを相対的に移動させる構成であればよい。
(9)上記した各実施形態では、種結晶12として円形状の炭化珪素単結晶基板を用いたため、炭化珪素単結晶基板の形状に合わせて、結晶成長容器7、原料ガス加熱容器8、原料容器32、ヒータ部材6等を、横断面が円である筒形状としていたが、炭化珪素単結晶基板の形状に合わせて、結晶成長容器7、原料ガス加熱容器8、原料容器32、ヒータ部材6等の横断面を、他の形状としてもよい。
例えば、種結晶12として長方形の炭化珪素単結晶基板を用いる場合では、結晶成長容器7、原料ガス加熱容器8、原料容器32、ヒータ部材6等を、横断面が長方形である筒(角筒)形状としても良い。
(a)は、本発明の第1実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、結晶成長時における図1(a)の製造装置の部分断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、本発明の第2実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、結晶成長時における図3(a)の製造装置の部分断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、本発明の第3実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、結晶成長時における図5(a)の製造装置の部分断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、本発明の第4実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、結晶成長時における図7(a)の製造装置の部分断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、本発明の第5実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、結晶成長時における図9(a)の製造装置の部分断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、本発明の第6実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 (a)は、結晶成長時における図11(a)の製造装置の部分断面図であり、(b)は製造装置内の温度分布を示す図である。 本発明の他の実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図である。 本発明の他の実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図である。 本発明の他の実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の断面図である。
符号の説明
6…ヒータ部材、7…結晶成長容器、7a…台座、7b…ガイド部材、
8…原料ガス加熱容器、14、35…結晶成長容器の接触部、32…原料容器。

Claims (14)

  1. 炭化珪素単結晶基板で構成された種結晶に向けて原料ガスを供給し、前記種結晶を原料ガス供給側から離れる方向に相対移動させながら、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
    内部が中空である筒形状であって、発熱してその内部を加熱するヒータ部材(6)と、
    前記種結晶が設置される台座(7a)と、前記種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、前記台座側が閉塞され、前記台座が位置する側とは反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)とを用い、
    前記ヒータ部材の内部に前記結晶成長容器を配置するとともに、供給された原料ガスが前記結晶成長容器と前記ヒータ部材との間を通過しないように、前記結晶成長容器の一部(14)を前記ヒータ部材の内壁に接触させておき、
    前記ヒータ部材の前記種結晶側に、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度で発熱する結晶成長温度領域(6a)が位置し、前記ヒータ部材の原料ガス供給側に、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度で発熱する結晶未成長温度領域(6b)が位置するように、前記ヒータ部材(6)を発熱させ、
    前記結晶成長容器の前記一部(14)が前記ヒータ部材の前記結晶未成長温度領域(6b)と接触した状態を維持するように前記一部をすり動かしながら、前記ヒータ部材に対して前記種結晶が原料ガス供給側から離れる方向に、前記結晶成長容器を相対移動させて、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記ヒータ部材の内部に前記種結晶に対向して配置され、前記種結晶に供給する原料ガスを加熱するための筒状の容器であって、外径が前記ガイド部材(7b)の内径よりも小さい第1部分(8a)と、外径が前記第1部分と異なり、かつ、内部に原料ガスを所定条件で加熱する空間を構成する第2部分(8b)とを有する原料ガス加熱容器(8)を用い、
    前記原料ガス加熱容器の前記第1部分と前記第2部分のうち、前記第1部分のみを前記ガイド部材の内部に配置した状態として、前記炭化珪素単結晶の成長を開始させることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 炭化珪素単結晶基板で構成された種結晶に向けて、炭化珪素原料粉末を昇華させることによって原料ガスを供給し、前記種結晶を原料ガス供給側から離れる方向に相対移動させながら、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
    前記種結晶が設置される台座(7a)と、前記種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、前記台座側が閉塞され、前記台座が位置する側の反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)と、
    前記種結晶側が開口しており、前記種結晶側と反対側に底を有する筒状であって、内部に炭化珪素原料粉末(31)が収容される原料容器(32)とを用い、
    前記結晶成長容器の内壁(34)の一部(35)が前記原料容器の外壁(33)に接触した状態として、前記結晶成長容器の内側に前記原料容器を配置し、
    前記原料容器が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度となる結晶未成長温度領域を有するとともに、前記結晶成長容器のうち、前記結晶未成長温度領域よりも前記種結晶側に位置する部分が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度となるように、前記結晶成長容器および前記原料容器を加熱して、前記炭化珪素原料粉末を昇華させることによって原料ガスを前記種結晶に供給し、
    前記結晶成長容器の前記一部(35)が前記原料容器(32)の前記結晶未成長温度領域と接触した状態を維持するように前記一部をすり動かしながら、前記種結晶が前記原料容器から離れる方向に、前記結晶成長容器を相対移動させて、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記結晶成長容器として、前記台座側に位置し、内径が前記種結晶の外径とほぼ同じ大きさであり、前記ガイド部材として機能する第1部分(7b)と、前記第1部分よりも前記種結晶から離れた側に位置し、内径が前記第1部分と異なっており、かつ、内径が前記原料容器の外径と同じ大きさである第2部分(47)とを有する結晶成長容器(7)を用い、
    前記結晶成長容器の前記第1部分(7b)と前記第2部分(47)のうち、前記第2部分の内側にのみ前記原料容器(32)を配置し、前記第2部分(47)の内壁を前記原料容器の外壁に接触させた状態で、前記炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記結晶成長容器として、前記台座の種結晶設置面の端部(22、42)と前記ガイド部材(7b)との間に隙間(23、43)が設けられており、前記隙間を介して、前記ガイド部材によって取り囲まれた第1空間(24、44)と連通する第2空間(25、45)を内部に形成している前記結晶成長容器(7)を用い、
    前記種結晶に向けて供給された原料ガスの一部が前記種結晶と前記ガイド部材との間を通って前記第2空間に導入されるガス流れを形成させながら、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させるとき、前記炭化珪素単結晶の成長速度と同じ速度で、前記炭化珪素単結晶の成長方向とは逆の方向に、前記結晶成長容器を移動させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 炭化珪素単結晶基板で構成された種結晶に向けて原料ガスを供給し、前記種結晶を原料ガス供給側から離れる方向に相対移動させながら、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
    内部が中空である筒形状であって、発熱してその内部を加熱するヒータ部材(6)と、
    前記ヒータ部材の内部に配置され、前記種結晶が設置される台座(7a)と、前記種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、前記台座側が閉塞され、前記台座が位置する側とは反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)と、
    前記結晶成長容器を前記ヒータ部材に沿った方向に相対移動させる移動手段(13)とを備え、
    前記ヒータ部材は、前記種結晶側に原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度である結晶成長温度領域(6a)を有し、原料ガス供給側に原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度である結晶未成長温度領域(6b)を有して発熱するようになっており、
    前記結晶成長容器は、供給された原料ガスが前記結晶成長容器と前記ヒータ部材との間を通過しないように、前記ヒータ部材の内壁に接触する接触部(14)を有しており、
    前記移動手段によって前記結晶成長容器が相対移動する場合に、前記接触部(14)が、前記ヒータ部材の前記結晶未成長温度領域(6b)と接触した状態ですり動きながら移動するようになっていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  8. 前記種結晶に向けて原料ガスを供給するために、原料ガスを外部から導入する原料ガス導入管(4)と、
    前記ヒータ部材の内部に前記種結晶に対向して配置され、前記原料ガス導入管から導入された原料ガスを加熱し、加熱後の原料ガスを前記種結晶に供給する原料ガス加熱容器(8)とを備え、
    前記原料ガス加熱容器は、筒状の容器であって、外径が前記ガイド部材(7b)の内径よりも小さい第1部分(8a)と、外径が前記第1部分と異なり、かつ、内部に原料ガスを所定条件で加熱する空間を構成する第2部分(8b)とを有する形状であり、
    前記炭化珪素単結晶の製造開始状態では、前記原料ガス加熱容器の前記第1部分と前記第2部分のうち、前記第1部分のみが前記ガイド部材の内部に配置されるようになっていることを特徴とする請求項7に記載の炭化珪素単結晶の製造装置
  9. 前記結晶成長容器(7)の前記接触部(14)と、前記ヒータ部材(6)のうち前記接触部が接触する部分の少なくとも一方は、カーボンで構成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  10. 炭化珪素単結晶基板で構成された種結晶に向けて、炭化珪素原料粉末を昇華させることによって原料ガスを供給し、前記種結晶を原料ガス供給側から離れる方向に相対移動させながら、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
    前記種結晶が設置される台座(7a)と、前記種結晶から炭化珪素単結晶が成長する空間を取り囲む筒状のガイド部材(7b)とを有し、前記台座側が閉塞され、前記台座が位置する側の反対側が開口した筒状の結晶成長容器(7)と、
    前記種結晶側が開口しており、前記種結晶側と反対側に底を有する筒状であって、内部に炭化珪素原料粉末(31)が収容される原料容器(32)と、
    前記結晶成長容器および前記原料容器を加熱する加熱手段(6)と、
    前記結晶成長容器を前記原料容器から離れる方向に相対移動させる移動手段(13)とを備え、
    前記結晶成長容器および前記原料容器は、前記結晶成長容器の内壁(34)の一部(35)が前記原料容器の外壁(33)に接触した状態で、前記結晶成長容器の内側に前記原料容器が配置されており、
    前記加熱手段は、前記原料容器が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する上限温度よりも高い温度となる結晶未成長温度領域を有するとともに、前記結晶成長容器のうち、前記結晶未成長温度領域よりも前記種結晶側に位置する部分が、原料ガスから炭化珪素単結晶が析出する温度となるように、前記結晶成長容器および前記原料容器を加熱するようになっており、
    前記移動手段によって前記結晶成長容器が相対移動する場合に、前記結晶成長容器の前記一部(35)が前記原料容器の前記結晶未成長温度領域と接触した状態ですり動きながら移動するようになっていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  11. 前記結晶成長容器(7)は、前記台座側に位置し、内径が前記種結晶の外径とほぼ同じ大きさであり、前記ガイド部材として機能する第1部分(7b)と、前記第1部分よりも前記種結晶から離れた側に位置し、内径が前記第1部分と異なっており、かつ、内径が前記原料容器の外径と同じ大きさである第2部分(47)とを有しており、
    前記原料容器(32)は、前記結晶成長容器の前記第1部分(7b)と前記第2部分(47)のうち、前記第2部分の内側にのみ配置されており、
    前記移動手段によって前記結晶成長容器が相対移動する場合に、前記第2部分(47)の内壁が前記原料容器(32)の外壁に接触した状態で、前記結晶成長容器が相対移動するようになっていることを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素単結晶の製造装置
  12. 前記結晶成長容器の前記接触部(35)と、前記原料容器の外壁(33)の少なくとも一方は、カーボンで構成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  13. 前記結晶成長容器(7)は、前記台座(7a)の種結晶設置面の端部(22、42)と前記ガイド部材(7b)との間に隙間(23、43)が設けられているとともに、前記隙間を介して、前記ガイド部材によって取り囲まれた第1空間(24、44)と連通する第2空間(25、45)が内部に形成された形状であることを特徴とする請求項7ないし12のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  14. 前記第2空間に配置され、原料ガスを吸収する吸収材を備えることを特徴とする請求項13に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
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