JP2009023846A - 炭化ケイ素単結晶の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】昇華用原料の供給量や加熱温度を制御し、成長効率よく高品質な炭化ケイ素単結晶を製造できる方法を提供する。
【解決手段】昇華用原料微粉末5とキャリアガス3を炭化ケイ素種結晶を備える炭化ケイ素単結晶成長雰囲気内に供給する工程と、昇華用原料微粉末5を加熱し昇華させる工程と、昇華したガスを炭化ケイ素種結晶2上に供給し炭化ケイ素種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を含む炭化ケイ素単結晶の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】昇華用原料微粉末5とキャリアガス3を炭化ケイ素種結晶を備える炭化ケイ素単結晶成長雰囲気内に供給する工程と、昇華用原料微粉末5を加熱し昇華させる工程と、昇華したガスを炭化ケイ素種結晶2上に供給し炭化ケイ素種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を含む炭化ケイ素単結晶の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は炭化ケイ素単結晶の製造方法及びその製造装置に関する。
炭化ケイ素は、ケイ素に比し、バンドギャップが大きく、絶縁破壊特性、耐熱性、耐放射線性等に優れることから、小型で高出力の半導体等の電子デバイス材料として注目されている。また、炭化ケイ素は、光学的特性に優れた他の化合物半導体との接合性に優れることから、光学デバイス材料としても注目されてきている。かかる炭化ケイ素の結晶の中でも、炭化ケイ素単結晶は、炭化ケイ素多結晶に比し、ウェハ等のデバイスに応用した際にウェハ内特性の均一性等に特に優れるという利点がある。
炭化ケイ素単結晶の製造方法として昇華法が用いられている。かかる昇華法においては坩堝内に昇華用原料を供給し坩堝を密閉した後、坩堝内部で炭化ケイ素単結晶の成長反応を行う。その際、昇華用原料の供給量は昇華用原料の温度を制御することにより主に行う。しかし、昇華用原料の温度は、坩堝下部の温度を外部から間接的に測定していたため、昇華用原料の温度や温度分布を正確に測定することが困難であった。そのため昇華用原料の供給量を一定に保つことが難しかった。また坩堝内の温度や成長した結晶の温度も坩堝の外部から間接的に測定していたため、坩堝内の炭化ケイ素単結晶の成長雰囲気を把握することが困難であった。
上記課題を解決する手段として、炭化ケイ素種結晶を備える坩堝内に、二酸化ケイ素超微粒子及び炭素微粒子をキャリアガスと共に供給し、炭化ケイ素種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる方法が提案されている(特許文献1参照)。かかる方法によれば原料の供給量や加熱雰囲気を制御しやすい。しかしながら、原料内に酸素が含まれており、炭化ケイ素単結晶内に不純物が取り込まれる可能性があった。また原料内の酸素と黒鉛製の坩堝とが反応してしまい、坩堝の損傷が激しい。
またその他の解決手段として、炭化ケイ素種結晶を備える坩堝内にシランガスとプロパンガスを供給し、炭化ケイ素種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる方法が提案されている(特許文献2参照)。かかる方法によれば原料の供給量や加熱雰囲気を制御しやすい。しかしながら、シランガスとプロパンガスの化学反応を経由するため収率が悪いという問題があった。
特開2001−233697号公報
特開2002−154899号公報
昇華用原料の供給量や加熱温度を制御し、成長効率よく高品質な炭化ケイ素単結晶を製造できる製造方法及び製造装置を提供する。
即ち、本発明は、以下の記載事項に関する:
(1)昇華用原料微粉末とキャリアガスを炭化ケイ素種結晶を備える炭化ケイ素単結晶成長雰囲気内に供給する工程と、昇華用原料微粉末を加熱し昇華させる工程と、昇華したガスを炭化ケイ素種結晶上に供給し炭化ケイ素種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を含む炭化ケイ素単結晶の製造方法。
(1)昇華用原料微粉末とキャリアガスを炭化ケイ素種結晶を備える炭化ケイ素単結晶成長雰囲気内に供給する工程と、昇華用原料微粉末を加熱し昇華させる工程と、昇華したガスを炭化ケイ素種結晶上に供給し炭化ケイ素種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を含む炭化ケイ素単結晶の製造方法。
(2)昇華用原料微粉末とキャリアガスを炭化ケイ素単結晶成長雰囲気内に連続して供給する(1)記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
(3)炭化ケイ素種結晶と加熱源の相対的位置を変化させることにより炭化ケイ素種結晶の温度を一定に保つ工程をさらに含む(1)または(2)記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
(4)炭化ケイ素単結晶の成長に合わせて炭化ケイ素種結晶の位置を移動させる(3)記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
(5)昇華用原料微粉末は、炭化ケイ素微粉末及びケイ素微粉末からなり、炭化ケイ素微粉末とケイ素微粉末の重量比は、炭化ケイ素微粉末:ケイ素微粉末=1:0.1〜1:1である(1)〜(4)のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
(6)昇華用原料微粉末をキャリアガスと共に坩堝内に供給する供給口、昇華用原料微粉末を加熱し昇華したガスを炭化ケイ素種結晶上に供給する坩堝本体、キャリアガス排出口を備える坩堝と、坩堝内部の排出口側に配置された、炭化ケイ素種結晶を備える炭化ケイ素種結晶配置部と、昇華用原料微粉末を加熱し昇華させる加熱手段と、を有する炭化ケイ素単結晶製造装置。
(7)炭化ケイ素種結晶配置部は、炭化ケイ素種結晶を坩堝の長手方向に移動可能とする駆動手段を有する(6)記載の炭化ケイ素単結晶製造装置。
本発明によれば、昇華用原料の供給量や加熱温度を制御し、成長効率よく高品質な炭化ケイ素単結晶を製造できる製造方法及び製造装置が提供される。
以下に実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明が以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。図中、同一の機能及び用途を有するものについては同様の符号を付して説明を省略する。
良質な炭化ケイ素単結晶を成長させるためには炭化ケイ素単結晶の成長速度を精密に制御する必要がある。かかる課題解決のためには成長中に常に一定量の原料を成長部に供給し続けることが好ましいが、以下の理由から課題解決には至っていなかった。
昇華法における昇華用原料の供給量の調整は、昇華用原料の温度制御により主に行われている。しかし、昇華用原料の温度を坩堝下部の温度を外部から間接的に測定するため、昇華用原料の温度や温度分布を正確に把握することが困難であった。また、充填した昇華用原料の温度を完全に均一にすることが困難であった(定かではないが高温部から選択的に原料が昇華していたものと思われる。)
原料の昇華量は雰囲気圧に依存するため成長速度等も雰囲気圧の影響を強く受けるが、改良レーリー法で用いる坩堝は封止されているため高温の坩堝内の雰囲気圧を直接測定することができず、坩堝内の圧力、原料昇華ガスの成分を精密に制御することが困難であった。
原料の昇華量は雰囲気圧に依存するため成長速度等も雰囲気圧の影響を強く受けるが、改良レーリー法で用いる坩堝は封止されているため高温の坩堝内の雰囲気圧を直接測定することができず、坩堝内の圧力、原料昇華ガスの成分を精密に制御することが困難であった。
以上より、原料昇華ガスの種結晶への供給量を成長中に連続して一定に保つことが困難であった。そのため、昇華原料ガスの成分(昇華化学種の化学量論組成)、供給量、及び成長結晶の温度を精密に制御し成長効率よく高品質な炭化ケイ素単結晶を製造できる方法が求められていた。
本発明者らは鋭意研究の結果、昇華原料ガスの成分(昇華化学種の化学量論組成)、供給量、及び成長結晶の温度を精密に制御し、成長効率よく高品質な炭化ケイ素単結晶を製造できる方法及び装置を見出した。
(製造装置)
図1に示す本実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶製造装置1は、昇華用原料微粉末5をキャリアガス3と共に坩堝10内に供給する供給口15、昇華用原料微粉末5から昇華したガスを炭化ケイ素種結晶2上に供給する坩堝本体11、キャリアガス排出口16を備える坩堝10と、坩堝10内部の排出口16側に配置され炭化ケイ素種結晶2を備える炭化ケイ素種結晶配置部12と、昇華用原料微粉末5を加熱し昇華させる加熱手段として坩堝10の外周に配置された誘導加熱コイル32と、を有する。
図1に示す本実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶製造装置1は、昇華用原料微粉末5をキャリアガス3と共に坩堝10内に供給する供給口15、昇華用原料微粉末5から昇華したガスを炭化ケイ素種結晶2上に供給する坩堝本体11、キャリアガス排出口16を備える坩堝10と、坩堝10内部の排出口16側に配置され炭化ケイ素種結晶2を備える炭化ケイ素種結晶配置部12と、昇華用原料微粉末5を加熱し昇華させる加熱手段として坩堝10の外周に配置された誘導加熱コイル32と、を有する。
炭化ケイ素単結晶製造装置1の長手方向端部に供給口15、炭化ケイ素単結晶製造装置1の長手方向他端部にキャリアガス排出口16が設けられている。
炭化ケイ素単結晶製造装置1は、さらに坩堝10と誘導加熱コイル32の間に、坩堝10側から誘導加熱コイル32側に向かって断熱材30及び石英管21,22の順に、断熱材30及び石英管21,22を有する。石英管21,22の間には水管23が形成されている。炭化ケイ素単結晶製造装置1は、長手方向の端部にフランジ24,25を有する。
排出口16付近には圧力計(図示せず)が設けられており坩堝11内の圧力の測定が可能である。また、排出口16には真空ポンプと圧力制御弁(図示せず)が取付けられており、坩堝10内の圧力を制御できる。
昇華用原料微粉末供給口15から投入された昇華用原料微粉末5は、キャリアガスと共に排出口16に向かって内部を流動する。その際、昇華用原料微粉体5は誘導加熱コイル32により加熱されて昇華する。そして昇華ガスは炭化ケイ素種結晶2上に供給され炭化ケイ素単結晶として成長する。キャリアガス3は排出口16から炭化ケイ素単結晶製造装置の外部に排出される。
(製造装置の変形例)
炭化ケイ素単結晶製造装置1は、さらに誘導加熱コイル32と炭化ケイ素種結晶2の相対的位置を変化させる駆動手段を有してもよい。炭化ケイ素種結晶2の温度調整が容易になるからである。例えば図6に示すように、種結晶配置部12に種結晶配置部12を坩堝10の長手方向に移動させるための駆動手段40を設け、これを作動させることにより誘導加熱コイル32と炭化ケイ素種結晶2の相対的位置を変化させることができる。また誘導加熱コイル32を坩堝10の長手方向に移動させるための駆動手段(図示せず)を設け、これを作動させることにより誘導加熱コイル32と炭化ケイ素種結晶2の相対的位置を変化させることもできる。上記手段を単独もしくは併用しても構わないが、炭化ケイ素種結晶2上のSiC単結晶の成長に合わせて種結晶配置部12を排気口16の方向に移動させることにより、炭化ケイ素種結晶2の温度調整の作用効果に加えて、炭化ケイ素単結晶が成長する空間が継続的に確保できるという作用効果が得られる観点からは、種結晶配置部12を移動させるための駆動手段40を用いることが好ましい。
炭化ケイ素単結晶製造装置1は、さらに誘導加熱コイル32と炭化ケイ素種結晶2の相対的位置を変化させる駆動手段を有してもよい。炭化ケイ素種結晶2の温度調整が容易になるからである。例えば図6に示すように、種結晶配置部12に種結晶配置部12を坩堝10の長手方向に移動させるための駆動手段40を設け、これを作動させることにより誘導加熱コイル32と炭化ケイ素種結晶2の相対的位置を変化させることができる。また誘導加熱コイル32を坩堝10の長手方向に移動させるための駆動手段(図示せず)を設け、これを作動させることにより誘導加熱コイル32と炭化ケイ素種結晶2の相対的位置を変化させることもできる。上記手段を単独もしくは併用しても構わないが、炭化ケイ素種結晶2上のSiC単結晶の成長に合わせて種結晶配置部12を排気口16の方向に移動させることにより、炭化ケイ素種結晶2の温度調整の作用効果に加えて、炭化ケイ素単結晶が成長する空間が継続的に確保できるという作用効果が得られる観点からは、種結晶配置部12を移動させるための駆動手段40を用いることが好ましい。
(製造方法)
本実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶の製造方法は、昇華用原料微粉末5をキャリアガス3と共に炭化ケイ素種結晶2を備える坩堝10内に供給する工程と、昇華用原料微粉末5を加熱し昇華させる工程と、昇華したガスを炭化ケイ素種結晶2上に供給し炭化ケイ素種結晶2上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を含む。以下工程毎に詳細に説明する。
本実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶の製造方法は、昇華用原料微粉末5をキャリアガス3と共に炭化ケイ素種結晶2を備える坩堝10内に供給する工程と、昇華用原料微粉末5を加熱し昇華させる工程と、昇華したガスを炭化ケイ素種結晶2上に供給し炭化ケイ素種結晶2上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、を含む。以下工程毎に詳細に説明する。
(イ) まず図1に示す炭化ケイ素単結晶製造装置1を用意する。
(ロ)キャリアガス供給口15からキャリアガス3と共に昇華用原料微粉末5を坩堝10内に供給する。昇華用原料微粉末5としては、炭化ケイ素である限り、結晶の多型、その製造方法について特に制限はない。結晶の多型としては、例えば、4H、6H、15R、3Cなどが挙げられるが、供給した原料粉末を速やかに全て昇華させるために、昇華温度の低い3Cが好ましい。また、種結晶に到達するまでに全て昇華させることができれば、必ずしも1種単独で使用する必要はない。原料微粉末が種結晶に到達するまでの間に全量昇華していることが必要であるため、昇華用原料微粉末は細かいほど好ましい。粒径としては20μ以下が好ましく、2μ以下が更に好ましい。
炭化ケイ素微粉末を加熱昇華させた場合、ケイ素のみが昇華し炭素が残る傾向があるが、昇華用原料微粉末5にケイ素微粉末を添加することでケイ素ガスの分圧が上がり、炭化ケイ素微粉末からケイ素のみが昇華することを防止できる。具体的には、昇華用原料微粉末5は炭化ケイ素(SiC)微粉末及びケイ素(Si)微粉末からなり、炭化ケイ素微粉末とケイ素微粉末の重量比は、炭化ケイ素微粉末:ケイ素微粉末=1:0.1〜1:1であることが好ましい。ケイ素微粉末の重量が上記下限値よりも低いとケイ素ガスの分圧を上げることが困難となり、上記上限値よりも高いと炭化ケイ素微粉末から炭化ケイ素が十分に昇華しなくなるおそれがあるからである。炭化ケイ素微粉末:ケイ素微粉末=1:0.2〜1:0.5が特に好ましい。
キャリアガス3としては、昇華用原料微粉末の昇華に影響を与えない不活性ガス、例えばアルゴンガスを用いることが好ましい。昇華用原料微粉末の供給量は種結晶2の直径と意図した成長速度によって決定されるが、種結晶2の直径が50mmの場合には1〜30g/時間となるように供給することが好ましく、3〜10g/時間が特に好ましい。キャリアガス3の供給量は、1〜40l/分が好ましく、5〜20l/分が特に好ましい。
キャリアガス排出口16付近に接続された真空計により坩堝11内の圧力を測定し、排出口16に接続された真空ポンプと圧力制御弁により坩堝11内の圧力を制御する。圧力は133〜66700Paが好ましく、133〜13300Paが特に好ましい。
改良レーリー法では坩堝内で昇華再結晶化を行うため、原料と成長結晶の多型が異なると温度のバランスが難しい。成長結晶よりも昇華温度の低い原料だと昇華量が多すぎる恐れがある。逆に昇華温度が高い原料だと原料よりも先に種結晶が昇華しかねない。一方、本実施形態においては原料の供給量が温度には依存しないため、原料粉昇華部の温度は原料粉が残らず昇華するのに十分なだけ高温であれば良い。そのため、原料自体も昇華温度が低い昇華し易いものの方が好ましい。
(ハ)誘導加熱コイル32を作動させ昇華用原料微粉末5を加熱し昇華させる。加熱温度は昇華用原料微粉末が昇華する温度であれば特に制限はないが、2000〜2600℃が好ましい。上記下限値よりも温度が低いと昇華用原料微粉末が昇華しずらく、上記上限値よりも高いと経済的でなくまた装置を傷めやすくなるからである。加熱温度は2300〜2400℃が特に好ましい。放射温度計34により測温する種結晶表面の温度は成長しようとする多型に依存するが1900〜2400℃に設定することが好ましく、4H型結晶を成長する際には1900〜2200℃が特に好ましい。
(ニ)次に、加熱により昇華した昇華ガスを炭化ケイ素種結晶2上に供給し炭化ケイ素種結晶2上に炭化ケイ素単結晶を成長させる。炭化ケイ素種結晶2としては、特に制限なく種々の炭化ケイ素種結晶を用いることができる。ここでは4Hの単結晶(結晶厚:0.4mm、直径20mm)を用いる。昇華ガスが均一に炭化ケイ素種結晶上に供給されることで高品質な炭化ケイ素単結晶を成長させることができるからである。
続いて、本実施形態の作用効果について従来の坩堝との対比において説明する:
従来、図2に示すように密閉した坩堝110内において昇華用原料105を昇華させ炭化ケイ素単結晶の成長反応を行っていたため、坩堝110内の温度や成長した結晶の温度を直接測定することができなかった。そのため図2に示すように、炭化ケイ素種結晶102の温度A1は、坩堝上部Bから間接的に測定していた。また図3に示すように成長結晶108の温度も同様に坩堝上部Bから間接的に測定していた。その結果、成長結晶108が成長するほど坩堝上部Bから成長面A2間の温度差が大きくなり、成長結晶108の温度を把握することが困難であった。一方本実施形態によれば、キャリアガス供給口14から放射温度計34(M)を用いて、炭化ケイ素種結晶2の温度や成長結晶の温度を直接測定することができる。昇華雰囲気を適確に把握することが可能になることで高品質の炭化ケイ素単結晶が得られる。
従来、図2に示すように密閉した坩堝110内において昇華用原料105を昇華させ炭化ケイ素単結晶の成長反応を行っていたため、坩堝110内の温度や成長した結晶の温度を直接測定することができなかった。そのため図2に示すように、炭化ケイ素種結晶102の温度A1は、坩堝上部Bから間接的に測定していた。また図3に示すように成長結晶108の温度も同様に坩堝上部Bから間接的に測定していた。その結果、成長結晶108が成長するほど坩堝上部Bから成長面A2間の温度差が大きくなり、成長結晶108の温度を把握することが困難であった。一方本実施形態によれば、キャリアガス供給口14から放射温度計34(M)を用いて、炭化ケイ素種結晶2の温度や成長結晶の温度を直接測定することができる。昇華雰囲気を適確に把握することが可能になることで高品質の炭化ケイ素単結晶が得られる。
また従来は坩堝110内を密閉し坩堝110外部の圧力を制御することで坩堝110内部の圧力を制御していた。そのため坩堝110内部の昇華ガスのガス圧を直接測定することができなかった。また坩堝110のガスの透過率は、坩堝110によって個体差等があることから、坩堝110内の昇華ガスのガス圧を正確に把握することが困難であった。一方本実施形態によれば、キャリアガス3の供給量を制御することで昇華ガスのガス圧を正確に把握することができる。
さらに従来は坩堝110の側面を加熱していたことより、昇華用原料105は、図4に示す側部D3、D4の温度が高く、上部D1や低部D2の温度が低くなる傾向があった。昇華用原料105は温度の高い側部D3、D4から先に昇華が進み、温度の低い上部D1や低部D2からは昇華が進みずらい。そのため図5に示すように側部D3、D4から先に昇華用原料105がなくなり、温度の低い上部D1や低部D2では昇華用原料105が再結晶化し高密度化が進む。ところが昇華用原料105の温度は坩堝下部Cで測定していたため、昇華用原料105の温度や温度分布を正確に把握し制御することができず、昇華用原料105の供給量を一定に保つことが困難であった。一方本実施形態によれば、昇華用原料微粉末5の供給量を調整することで、昇華ガスの供給量を容易に調整することができる。即ち炭化ケイ素単結晶の成長速度を一定に制御することができる。また昇華用原料を連続供給できるため炭化ケイ素単結晶の長尺化を図ることが可能となる。
またさらに従来は炭化ケイ素単結晶を成長させている際中に、昇華用原料105の状態が変化するため、昇華ガスの成分を一定に保つことが難しかった。一方本実施形態によれば、昇華用原料微粉末5を昇華用原料微粉末供給口15から加え、加熱昇華させるため、昇華ガスの成分の制御が容易である。
従来は昇華用原料が窒素を含んでいた場合、結晶成長雰囲気における窒素濃度は、成長初期ほど濃く、終期に近づくほど薄くなる傾向があった。一方本実施形態によれば、キャリアガス3中に窒素ガスを適宜混入することにより、成長初期から終期に到るまで一定した結晶成長雰囲気を形成できる。
従来は温度や圧力の測定を坩堝102の外部から間接的に行っていたため、坩堝102の固体差の影響を受けやすかった。一方本実施形態によれば、かかる問題を解消することができる。
(製造方法の変形例)
本実施形態の変形例にかかる炭化ケイ素単結晶の製造方法は、実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶の製造方法の工程に加えて、さらに炭化ケイ素種結晶と加熱源の相対的位置を変化させて炭化ケイ素種結晶の温度を一定に保つ工程をさらに含む。図6を参照しながら、実施形態と異なる点を中心に実施形態の変形例について説明する。
本実施形態の変形例にかかる炭化ケイ素単結晶の製造方法は、実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶の製造方法の工程に加えて、さらに炭化ケイ素種結晶と加熱源の相対的位置を変化させて炭化ケイ素種結晶の温度を一定に保つ工程をさらに含む。図6を参照しながら、実施形態と異なる点を中心に実施形態の変形例について説明する。
実施形態にかかる(イ)〜(ニ)工程においては、炭化ケイ素単結晶の成長が進むと、炭化ケイ素単結晶の成長面の位置が供給口15に近づくために炭化ケイ素単結晶の成長面の温度が変化する。成長結晶の品質を向上するには最適な温度で炭化ケイ素単結晶の成長を継続することが好ましい。そこで、図6の駆動手段40を作動させて、炭化ケイ素種結晶2と加熱源の相対的位置を変化させて炭化ケイ素種結晶2の温度を一定にする。これにより、炭化ケイ素単結晶の成長が進んだ際にも成長面の温度は成長開始時の種結晶2の温度と同じ温度に維持できる。
その際、図6に示すように、炭化ケイ素単結晶60の成長に合わせて、仮想線で示される位置から種結晶配置部12を移動させることがより好ましい。炭化ケイ素単結晶60の成長領域を確保することにより、炭化ケイ素単結晶60の長尺成長化が期待できるからである。
改良レーリー法においては、坩堝に充填した原料粉の分量でしか炭化ケイ素単結晶の成長を見込むことができず、坩堝に充填した原料粉の量が炭化ケイ素単結晶60の成長量の制約となっていた。ところが、本実施形態によれば、原料の連続供給が可能であるため、炭化ケイ素単結晶60の長尺成長が可能となる。また炭化ケイ素単結晶60の成長に合わせて、種結晶配置部12を移動させて炭化ケイ素単結晶60の成長領域を確保することにより、炭化ケイ素単結晶60のさらなる長尺成長が可能となる。
成長面の温度を成長時間全体を通して一定に保持する方法としては、種結晶配置部12の位置を調整する方法の他にも、例えば(1)誘導加熱コイル32の電流を変化させて調整する方法や、(2)誘導加熱コイル32を動かすことにより誘導加熱コイル32と種結晶2の距離を変えて調整する方法が挙げられる。しかし(1)の方法では坩堝本体11の最高温部の温度が変わるために、設定値によっては坩堝本体11の温度が粉体を完全に昇華させるのに十分な温度とならない恐れがある。(2)の方法では高周波加熱コイル32自体を移動させる必要があるため、簡便な装置とすることが難しい。そのため、種結晶配置部12の位置を調整する方法が最も好ましい。
このようにして、本製造方法では結晶成長面の温度、キャリアガスの流量、原料粉体の成分比、原料粉体の投入量、雰囲気圧力を精密にコントロールすることが可能であり、これらを成長時間全体を通して一定に維持することによって欠陥の少ない高品質な結晶を成長することが可能となる。
(昇華用原料/炭化ケイ素原料微粉末)
(実施形態の変形例)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、上記実施形態においては縦型の炭化ケイ素単結晶製造装置を使用したが、それに限定されることなく、横型の炭化ケイ素単結晶製造装置を使用することもできる。また、成長させたい結晶の直径によって適切な種結晶配置部12の直径、坩堝110の内径を選ぶことができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
(実施形態の変形例)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、上記実施形態においては縦型の炭化ケイ素単結晶製造装置を使用したが、それに限定されることなく、横型の炭化ケイ素単結晶製造装置を使用することもできる。また、成長させたい結晶の直径によって適切な種結晶配置部12の直径、坩堝110の内径を選ぶことができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
(実施例)
種結晶として直径20mmの4H型単結晶を用いて成長を行った。原料粉末には3C型の炭化ケイ素粉末を用いた、原料粉末へのケイ素微粉末の混合比は1:0.5とした。原料の供給量は2.5g/時とした。種結晶表面の温度は2000℃に調整した。このとき、炉内の最高温部の温度は2300℃程度であったと推測される。炉内の気圧は5Torrに調整し、キャリアガスの流量は10l/分で成長を行った。
種結晶として直径20mmの4H型単結晶を用いて成長を行った。原料粉末には3C型の炭化ケイ素粉末を用いた、原料粉末へのケイ素微粉末の混合比は1:0.5とした。原料の供給量は2.5g/時とした。種結晶表面の温度は2000℃に調整した。このとき、炉内の最高温部の温度は2300℃程度であったと推測される。炉内の気圧は5Torrに調整し、キャリアガスの流量は10l/分で成長を行った。
成長時間は2時間と4時間の2回行い、それぞれのケースで成長速度は0.16mm/時と均一であった。成長結晶には異種多型の混入がなく、マイクロパイプ密度も50個/cm2以下であり、種結晶対比、増加することなく成長させることができた。
1…炭化ケイ素単結晶製造装置
2…炭化ケイ素種結晶
5…昇華用原料微粉末
10…坩堝
11…坩堝本体
12…炭化ケイ素種結晶配置部
15…昇華用原料供給口
16…キャリアガス排出口
21、22…石英管
23…流管
30…断熱材
32…誘導加熱コイル
40…駆動手段
2…炭化ケイ素種結晶
5…昇華用原料微粉末
10…坩堝
11…坩堝本体
12…炭化ケイ素種結晶配置部
15…昇華用原料供給口
16…キャリアガス排出口
21、22…石英管
23…流管
30…断熱材
32…誘導加熱コイル
40…駆動手段
Claims (7)
- 昇華用原料微粉末とキャリアガスを炭化ケイ素種結晶を備える炭化ケイ素単結晶成長雰囲気内に供給する工程と、
前記昇華用原料微粉末を加熱し昇華させる工程と、
昇華したガスを前記炭化ケイ素種結晶上に供給し前記炭化ケイ素種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる工程と、
を含むことを特徴とする炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 前記昇華用原料微粉末と前記キャリアガスを前記炭化ケイ素単結晶成長雰囲気内に連続して供給することを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
- 前記炭化ケイ素種結晶と加熱源の相対的位置を変化させることにより前記炭化ケイ素種結晶の温度を一定に保つ工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
- 前記炭化ケイ素単結晶の成長に合わせて前記炭化ケイ素種結晶の位置を移動させることを特徴とする請求項3記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
- 前記昇華用原料微粉末は、炭化ケイ素微粉末及びケイ素微粉末からなり、前記炭化ケイ素微粉末と前記ケイ素微粉末の重量比は、前記炭化ケイ素微粉末:前記ケイ素微粉末=1:0.1〜1:1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
- 昇華用原料微粉末をキャリアガスと共に坩堝内に供給する供給口、前記昇華用原料微粉末を加熱し昇華したガスを炭化ケイ素種結晶上に供給する坩堝本体、キャリアガス排出口を備える坩堝と、
前記坩堝内部の前記排出口側に配置された、前記炭化ケイ素種結晶を備える炭化ケイ素種結晶配置部と、
前記昇華用原料微粉末を加熱し昇華させる加熱手段と、
を有することを特徴とする炭化ケイ素単結晶製造装置。 - 前記炭化ケイ素種結晶配置部は、前記炭化ケイ素種結晶を前記坩堝の長手方向に移動可能とする駆動手段を有することを特徴とする請求項6記載の炭化ケイ素単結晶製造装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007172571A JP2009023846A (ja) | 2007-06-19 | 2007-06-29 | 炭化ケイ素単結晶の製造方法及びその製造装置 |
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JP2007172571A Pending JP2009023846A (ja) | 2007-06-19 | 2007-06-29 | 炭化ケイ素単結晶の製造方法及びその製造装置 |
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JP (1) | JP2009023846A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015003850A (ja) * | 2013-06-24 | 2015-01-08 | 新日鐵住金株式会社 | 炭化珪素単結晶の製造方法 |
CN116575122A (zh) * | 2023-07-13 | 2023-08-11 | 宁波合盛新材料有限公司 | N型碳化硅晶体、制备方法及生长装置 |
-
2007
- 2007-06-29 JP JP2007172571A patent/JP2009023846A/ja active Pending
Cited By (3)
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CN116575122B (zh) * | 2023-07-13 | 2023-10-03 | 宁波合盛新材料有限公司 | N型碳化硅晶体、制备方法及生长装置 |
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