遮断器は、主に送電線路の送電端や受電端に設けられて、電力系統に異常がない時に正常電流を開閉し、また、短絡などの故障が発生した時に故障電流を遮断して系統及び各種の電力器機(負荷)を保護する。
この種の遮断器は、消弧/絶縁媒質によって真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker;VCM)、オイル遮断器(Oil Circuit Breaker;OCB)、ガス遮断器(Gas Circuit Breaker;GCB)などに分けられる。
遮断器が故障電流を遮断する時には、二つの接点間で発生するアークを消弧しなければならない。上記ガス遮断器は、アークを消弧する方式に応じて、さらにパッファ消弧方式パッファ(Puffer type)、ロータリーアーク消弧方式(Rotating arc type)、熱膨脹消弧方式(Thermal expansion type)、複合消弧方式(Hybrid extinction type)などに分けられる。
添付の図1及び図2には、上述した遮断器のうちパッファ消弧方式のガス遮断器が一例として示されている。
パッファ消弧方式のガス遮断器は、SF6ガス(六フッ化硫黄、以下、「消弧性ガス」と称す)を消弧/絶縁媒質とし、主に超高圧遮断器(通常、72.5kV以上)に使用されている。
図1及び図2に示されたように、パッファ消弧方式のガス遮断器は、大別して、故障電流を遮断するための遮断部10と、遮断部10の操作のためのアクチュエータ50とから構成されている。
上記遮断部10は、固定部と可動部とからなり、内部にSF6ガスが充填された容器2内に設けられる。
上記遮断部10における固定部は、固定アーク接触子11と固定主接触子12を備え、且つ絶縁筒13、固定ピストン14、支持台15及び支持碍子16などを備える。
上記遮断部10における可動部は、可動アーク接触子21、可動主接触子22、絶縁ノズル23、パッファシリンダー24及び絶縁操作ロッド25を備える。
上記絶縁操作ロッド25には、上記アクチュエータ50の作動ロッド51が連結されている。また、上記絶縁操作ロッド25には、上記可動アーク接触子21、可動主接触子22、絶縁ノズル23及びパッファシリンダー24が一体に連結されている。
したがって、上記アクチュエータ50が駆動されると、上記作動ロッド51によって上記絶縁操作ロッド25が移動する。次いで、上記絶縁操作ロッド25の移動によって上記可動アーク接触子21、可動主接触子22、絶縁ノズル23及びパッファシリンダー24が一体で移動して閉極(電流の投入)動作と開極(電流の遮断)動作を行うようになる。
具体的に、正常状態では、図1に示されたように、閉極状態を保持しつつ正常電流を流すようになる。
しかし、一旦電力系統に異常が発生し、正常電流の数倍(例えば、約10倍)に達する故障電流が流れるようになると、その故障電流によってアクチュエータ50が作動する。すると、図2に示されたように、上記アクチュエータ50によって上記作動ロッド51が引っ張られ、作動ロッド51が絶縁操作ロッド25を引っ張るようになる。これにより、固定アーク接触子11から可動アーク接触子21が分離し、固定主接触子12から可動主接触子22が分離する。
これと同時に、パッファシリンダー24が固定ピストン14に対抗する方向に引っ張られることでパッファシリンダー24内部の消弧性ガスを圧縮させる。圧縮された消弧性ガスは、吸気口17と流路18を通っていって図2に示す矢印方向に噴出されて、固定アーク接触子11と可動アーク接触子21との間で発生するアークプラズマを迅速に消滅させることで電流が遮断される(開極状態)。
このような遮断器において、故障電流を遮断し極間の絶縁を迅速に回復するためには、開極動作が高速で行われる必要がある。しかしながら、アークプラズマが形成されて開極間隙を広げるだけではアーク消弧が完全に行われないため、前述したように消弧ガスを吹き付ける必要がある。したがって、アクチュエータ50は、消弧ガスを圧縮させるための力、すなわち、パッファシリンダー24を固定ピストン14に対抗して可動させるための力にも耐えなければならない。
すなわち、開極速度を高めるためには操作力を大きく増大させなければないため、アクチュエータ50には、より大きな力と高速度が必要とされる。
例えば、送電用高圧/超高圧(通常、365kv以上)用遮断器は、開極間隙(SL:Stroke Length)が250mm程度で、45ms(ミリ秒)という極めて瞬時に動作を完了できるほどの大きな力と高速度を必要とする。
現在、高圧/超高圧用遮断器のような受動素子には、主に油圧アクチュエータや空圧アブアクチュエータが使用されている。しかし、この種のアクチュエータは、遮断器全体価格の1/3を占めるほど高価であるということに問題がある。また、この種の油圧または空圧アクチュエータは、周りの温度変化によって作動流体が漏れ出すおそれがある。また、部品点数が多いため、それら部品のうち一つでも故障すれば、アクチュエータが動作できなくなるおそれがある。
したがって、上記のような油圧または空圧アクチュエータの代わりとなり得るアクチュエータを開発するための研究が活発に進められている。その研究結果の代表的なものとしては、バネアクチュエータ(らせんバネ)、モータードライブ(モーターを利用して回転運動を直線運動に切り替えるシステム)、及びPMA(Permanent Magnetic Actuatorが)などが挙げられる。
しかしながら、上記バネアクチュエータは、バネを圧縮させておいた状態で、必要な時にその圧縮された力を解除させて動力を得るシステムであるので、製造コストは低廉であるものの、バネの弾性力が一定でなく動作状態に対する信頼性が低いという不具合がある。そのため、消弧ガスを吹き付けなければならない高圧や超高圧用への適用は困難であるだけでなく、これを適用すれば、遮断に失敗する確率が非常に大きくなる。
上記モータードライブは、空圧や油圧に比べては製造コストが低廉であるが、依然として高価である。また、大きな力を出し難いという問題点があって、低圧用としては使用可能であるものの、高圧や超高圧ではその性能を十分に発揮し難い。
上記PMAは、永久磁石から発生される磁界の力とコイルに電流を流して発生させた磁界による電子力によって可動子を駆動させるものである。したがって、非常に簡単な構造を有し、その操作に対する効率もよく、一定で且つ均一な動作を期待することができる長所があるため、最近、低圧遮断器用アクチュエータとして多用されている。
しかしながら、上記PMAアクチュエータは、永久磁石から発生される磁界の力とコイルに電流を流して発生させた磁界の力で駆動されるシステムであるため、磁界の流れる経路が磁性体(鉄心)からなる必要があり、さらに、可動される可動子も磁性体からなる必要がある。したがって、遮断容量の増大によりアクチュエータに一層大きな力を必要とする場合には、より多くの磁界を発生させなければならず、その磁界が飽和(磁気飽和状態:磁性体がある程度磁気化が進むと、それ以上電流を強くしても磁気化が進まない「磁気飽和状態」に至るようになり、磁気飽和状態では、電流を増加させ続けても所定限度以上の力を得ることができない)することなく流れるように、磁性体もそれに応じて大きくする必要がるため、アクチュエータのサイズに対する負担が大きくなり、また、永久磁石とコイルで励起された磁束密度が空隙長さの二乗に反比例するため、遮断部の接点間隙の大きい高圧や超高圧用遮断器に適用するのには限界がある。
例えば、開極間隙が略20mm程度の低圧用遮断器のアクチュエータにPMAを適用する場合、最適化したモデルのサイズ(横×縦×厚み)が200×250×100mmになるため、その重さだけでも10kg以上になる。したがって、かかるPMAが超高圧に使用される時には、非常に大型化し、重さも油圧または空圧アクチュエータに比べて遥かに重く、製造コストも増すようになる。そのため、未だPMAを高圧や超高圧に使用できるようにする方案が見出されていない。
上記のような従来のアクチュエータの問題を解決して、小型で軽量でありながらも操作速度と操作力を極大化することができるようにしたEMFA(Electro―Magnetic Force Driving Actuator)に命名された新規な形態のアクチュエータが、本出願人によって出願された大韓民国特許出願第10−2005−11263号に提案されたことがある。
上記EMFAは、磁性体からなる中空の内筒と外筒を備え、上記内筒と外筒の向かい合う面に内側及び外側磁界発生素子(例:永久磁石)を配設し、上記内側磁界発生素子と外側磁界発生素子との間にコイル及び該コイルと一体で動作する非磁性体の可動子を配設してなる構造を有する。この種のEMFAは、上記コイルに電流が供給されると、上記内側及び外側磁界発生素子による磁界と上記コイルの電流密度による電子反発力によって上記コイルと可動子が上記内側磁界発生素子と外側磁界発生素子との間で軸方向に直線運動するようにした新規な形態のアクチュエータである。
この種のEMFAは、コイルが可動子になって動くため、小型で軽量でありながらも操作力と操作速度を極大化することができ、可動子のストロークを増すことができるという長所がある。したがって、このような電磁気力を利用したアクチュエータは、既存のPMAなどを適用することができなかった送電用超高圧または高圧用遮断器のように大きな操作力、高い操作速度、及び長いストロークを必要とする受動素子において優れた性能を発揮するだけでなく、低圧用遮断器のような受動素子にも広範に適用することができる。
しかしながら、この種のEMFAにおいて、上記コイルは、密閉状態の外筒の内部に配設されているため、コイルに電流を供給するための電線を外筒の内部に引き込むという配線に手間がかかる。また、引き込まれた電線は、コイルの直線運動に従って軸方向に移動するため、配線ができたとしてもコイルの移動速度が高速であるため電線が圧縮と引張による疲れを受けることで断線となるおそれがあることから、かかる断線への対策が必要であった。
また、上記EMFAにおいては、可動子が密閉状態の中空の内筒と外筒の内部に配設されており、これを遮断器のような外部の動作素子に連結するためには、上記可動子から移動軸または連結軸を軸方向に沿って外部に延出させる必要があり、また、その延出長さも可動子のストロークを十分に確保できるように相当に長くならなければならない。そのため、アクチュエータが占める全体の高さ、つまり、アクチュエータの長さが長くなり、連結軸や移動軸の強度を考慮して本数を増やすか、大径のものを使用しなければならないため、アクチュエータが重量化するという不具合があった。
また、上記コイルと可動子が、特に案内手段を設けることなく単に内側及び外側磁界発生素子の間に配設される形態であるため、コイルと可動子が軸方向に運動する時に内側及び外側磁界発生素子と摩擦を引き起こし、この結果、操作力が損なわれたり、滑らかな運動が行なわれなかったりして、アクチュエータの安定した駆動のための別段の考慮が求められていた。
また、上記した従来のEMFAは、内側及び外側磁界発生素子及び補助磁界発生素子の全てを円筒状に作製する必要があった。しかしながら、磁界発生素子を永久磁石で構成する場合には、それら素子を一つの円筒状に作製することは困難であるため、実状は、円周方向に幾つかの片部材にて作製した後、それらの片部材をケーシング内部に組み込みながら一つの円筒状に作り上げなければならないという困難さがあった。
一方、アクチュエータは、前述したような高い操作速度と操作力だけでなく、大きな保持力をも兼ね備えなければならない場合がある。
高い操作速度及び操作力に加えて、大きな保持力が求められる受動素子の例としては、真空遮断器が挙げられる。
添付した図3には、このように大きな保持力を必要とする真空遮断器が示されている。
図3に示されたように、真空遮断器は、接点部10zと操作部20zとに大別される。同図には、操作部20zに既存のPMA21zが設けられた例を示している。PMA21zは、固定鉄心22zの中間に形成された通路23z内に磁性体からなる可動子24zが長手方向に往復動自在に設けられ、上記通路23zの中間部分には永久磁石25zが配設され、永久磁石25zの上下部には投入側コイル26zと開放側コイル27zが配設された形態を有する。上記可動子24zは、リンク素子30zなどによって接点部10zに連結される。
また、接点部10zには、真空を保つインシュレータ11zの内部に固定接触子12zと可動接触子13zが備えられる。上記可動接触子13zは、リンク素子30zによって操作部20zの可動子24zに連結される。
図3に示すように可動子24zが図中上昇している時には、可動接触子13zが固定接触子12zから離れて開極状態(電流が遮断された状態)を保持する。この時には、絶縁媒体である真空によって接点部のアークプラズマが消弧される。このような状態において、投入側コイル26zに電流が印加されると、可動子24zは、上記投入側コイル26zで励磁された磁界の力と永久磁石25zの磁界の力によって図中下方に移動して可動接触子13zが固定接触子12zに当接することで閉極状態(電流が導通する状態、または投入状態)になる。
閉極状態において、上記固定接触子12zと可動接触子13zが一つの導体のように電流をよく導通するためには、両接触子12z、13zが強く当接する必要がある。両接触子12z、13zを強く当接させる力を圧点力というが、その圧点力に対し、上記操作部20zが耐えなければならない。よって、操作部20zに、両接触子12z、13zが強い圧点力にて当接された状態を保持し続けるための十分なエネルギーを供給しなければならない。このように操作部が持つべきエネルギーを保持力という。通常、操作部の保持力は、地震やその他外部からの急激な衝撃が加わる時に接点が離脱しないようにするために、受動素子が求めている圧点力より略20%ほど大きな力が要される。
保持力の観点から、前述した大韓民国特許出願第2005-11263号に開示されたEMFAにおいては、磁界発生素子による磁界の力で可動子がいずれかの方向に移動した状態(遮断器に適用された場合には、開放された状態または投入された状態)を保持するようになる。この種のEMFAは、前で説明したように、操作力、操作速度、及びストロークの極大化が可能であって、PMAに比べて非常に優れた性能を発揮するという多くの長所がある。しかしながら、可動子を移動された状態のままに保持する保持力が十分でないため、真空遮断器のように非常に大きな保持力を求める受動素子には、そのままでの適用は困難である。このような理由のため、大きな保持力が求められる受動素子には、倍力装置のような保持力増大手段をさらに採用しなければならないことで構造的に複雑になり且つコストがアップするようになる。
以下、添付した図面を参照して本発明の好適な実施の形態についてさらに詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
添付した図4ないし図10には、本発明の好適な実施の形態によるアクチュエータの構成が示されている。
図4ないし図10に示されたように、本発明によるEMFA100は、ケーシング110を備える。ケーシング110がアクチュエータ全体の外郭構造をなす。ケーシング110は、鉄心、プラスチックなどの各種の材料から選ばれたもので作製すればよい。しかし、磁路の役割を十分に果たし得るように鉄心からなることが最も好ましい。このようなケーシング110は、上下方向に所定の長さを有し且つ長手方向に貫通する2つの通路111と、この2つの貫通する通路111によって形成される中間壁112を備える。同図に示された実施の形態において、上記ケーシング110は、六面体の平板状からなるものを例示したが、本発明のケーシング110は、必ずしも同図に示された形態だけに限定されるものではなく、円筒の側壁を開放した形態など、各種の形態で構成することができる。
また、上記ケーシング110に形成された上記各通路111の両壁面には、それぞれ外側主磁界発生素子200と内側主磁界発生素子300が設けられる。外側及び内側主磁界発生素子200、300は、永久磁石や電磁石からなってよい。構造を単純化し故障の問題を無くすためには、永久磁石がより好ましい。
ここで、上記外側主磁界発生素子200と内側主磁界発生素子300は、いずれか一方だけが設けられてもよい。これについては、図22及び図23を用いて本発明の他の実施の形態として後述することにする。
また、上記ケーシング110の2つの通路111には、可動子400が通路111の長手方向(図中、上下方向)に往復摺動自在な状態で設けられている。このような可動子400には、上記中間壁112を挟んで、上記外側主磁界発生素子200と内側主磁界発生素子300に略直交する方向(通路111の長手方向に略直交する方向または後述する可動子400の移動方向に略直交する方向)に巻き回されたコイル410が一体化されている。したがって、上記コイル410に正方向または逆方向の電流が供給される場合、上記外側及び内側主磁界発生素子200、300の磁界と上記コイル410の電流密度による電子反発力によって上記コイル410と可動子400が一体で通路111の長手方向(図中、上下方向)に往復動するようになる。
上記可動子400は、図6及び図8に示すように、そのコイル410の図中上下端部にそれぞれ第1の磁性体420と第2の磁性体430が配設され上記コイル410と一体化された形態で構成することができる。上記コイル410と第1及び第2の磁性体420、430との一体化は、上記コイル410と第1及び第2の磁性体420、430とを非磁性体のハウジング440の内部に組み込ませる形態で実現することができる。これは、コイル410と第1及び第2の磁性体420、430を中に置いて外部をモールディング処理するなどの方法で容易に実現することができる。
また、上記外側及び内側主磁界発生素子200、300の両端部(図中、上下端部)には、それぞれ第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600と第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650が設けられてよい。
このとき、上記第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600と第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650の極性は、上記外側主磁界発生素子200と内側主磁界発生素子300の極性と逆方向となる(図8参照)。すると、上記第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600の間に発生する磁気力線及び上記第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、600の間に発生する磁気力線の方向が、上記外側主磁界発生素子200と内側主磁界発生素子300との間で発生する磁気力線の方向と逆になる。これにより、上記可動子400が図中上方に移動した時、上記第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600による磁力によって上記第1の磁性体420が保持される。これにより、上記コイル410への電流の供給を遮断しても可動子400が上方に移動した状態を保持し続けることができるようになる。同様に、上記可動子400が下方に移動した時、上記第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650による磁力によって上記第2の磁性体430が保持される。したがって、上記コイル410への電流の供給を遮断しても上記可動子410は下方に移動した状態を保持し続けることができるようになる。
上記第1及び第2の磁性体420、430の大きさ(高さ)は、遮断器などのような被駆動素子において求める保持力の大きさに応じて相異なるように構成することができる。例えば、遮断器の閉極状態を保持し続けるのに必要な保持力と開極状態を保持し続けるのに必要な保持力との差に応じて異ならせることができる。
また、本発明の好適な実施の形態において、上記ケーシング110の外部に露出した上記可動子400の一方側には、案内軸450が延長形成されてよい(図5及び図10参照)。また、上記ケーシング110に隣接した箇所には、上記可動子400の案内軸450を摺動自在に結合することで上記可動子400の移動を案内するガイド700を設けることができる。上記案内軸450は、上記ガイド700に形成された案内溝710に沿って移動するようになる。可動子400の往復動が案内軸450とガイド700によって案内される構造であるため可動子400の左右遊びが防止される。その結果、可動子400が通路111の側壁や外側及び内側主磁界発生素子200、300に接触して摩擦損失を引き起こすなどの問題が生じることなく安定して且つ精度よく往復動することができるようになる。図10に示された実施の形態のように、上記案内軸450とガイド700としては、平板状の軸と案内孔によって案内される構造を採択することができる。しかし、本発明では、かかる構造だけに限定されるものはない。例えば、公知のダブテール(dove tail)案内構造または直線運動ガイド(LM Guide)などを適用してもよい。また、可動子400の移動軌跡が曲線(例えば、円弧状)を描くように構成することもできるが、この場合には、上記可動子の案内構造を曲線状に構成すればよい。
また、本発明の好適な実施の形態においては、上記可動子400が上記通路111の長手方向に沿って移動する動作を終わる際に、上記可動子400が上記通路400の上下端部をなすケーシング110に衝撃的にぶつかることを防止するために、上記通路111の上下端部にそれぞれ第1及び第2の緩衝部材811、812を設けることができる。図面に示された実施の形態において、上記第1及び第2の緩衝部材811、812は、圧縮コイルバネの形態で構成されている。しかし、本発明では、かかる形態だけに限定されるものではなく、空圧または油圧ダンパなどのような衝撃減衰手段を適用することもできる。また、図面に示された実施の形態のように第1及び第2の緩衝部材811、812を上記ケーシング110の通路111の内側端部に設ける代りに、上記可動子400の上下端部に設けることもでき、さらには、ケーシング110の外部に設けることもできる。
添付した図11ないし図14には、本発明によるEMFAを遮断器などのような外部の被動部に連結するのに適合した形態に作製した好適な一例が示されている。
前述したように、本発明によるEMFA100は、コイル410が備えられた可動子400が、上下に往復動して遮断器などの外部被動部を駆動させる。ここで、上記可動子400を遮断器などに連結するためには、可動子400を直接遮断器などに連結してもよく、図11ないし図13に示されたように、可動子400に別途の非磁性体の支持フレーム460を固定し、上記非磁性体の支持フレーム460に、遮断器の絶縁操作ロッド25(図14参照)のような連結部に連結するための連結部461を設けることができる。
なお、上記非磁性体の支持フレーム460を上記ケーシング110に滑り案内機構462、463によって結合することで支持フレーム460の運動が安定して行なわれるように構成することもできる。
また、上記ケーシング110の後尾に張り出し部を設け、この張り出し部に前述した上記可動子400の案内軸450のガイドのための案内溝710を直接形成することにより、前述したガイド700の代わりとなるようにすることもできる。
そして、本実施の形態では、上記可動子400のコイル410に外部から電流を供給するための電線900の配線のためにEMFAの外部の一方側に公知のケーブル トレー910を設けることが好ましい。上記ケーブル トレー910は、その一端部が別途のブラケット920に固定され、他端部が上記支持フレーム460に固定され、上記支持フレーム460の上下への往復動に従って屈曲しながら自然に追従することができる。図面に示された実施の形態において、外部の電源供給装置から延びてきた電線900は、上記ケーブル トレー910に接続され、上記支持フレーム460を通って可動子400のコイル410に接続される構造を有する。このようにケーブル トレー910の使用が可能な理由は、本発明によるアクチュエータ100では、ケーシング110に長手方向に貫通する通路111が形成され、コイル410を有する可動子400が外部に露出するように構成されているためである。したがって、前述したケーブル トレー910を敢えて使用しないとしても、外部からの電線の配線が便利になる。特に、上記ケーブル トレー910を適用すれば、電線900をより一層便利に且つよく整った状態で配線することができ、可動子400と支持フレーム460の移動に無理なく適応することができるという長所がある。これに比べて、従来では、密閉されている外筒の内部にコイルが配置されることにより、外筒の内部への配線が困難であった。また、配線された電線は、コイルの直線運動に伴う圧縮と引張の繰り返しによる疲れを受け易いため、断線のおそれがあるなどの多くの問題点があった。かかる従来の問題は、前で説明したように、通路111を長手方向に貫通する形態で構成し、この長手方向に貫通された通路111にコイル410及び可動子400を設けることにより、可動子400を外部に露出させた構成によって解決できるのである。
また、添付した図14には、上記した本発明のEMFA100を遮断器に連結した状態、すなわち、本発明によるEMFA100を有する遮断器が示されている。図14に示された遮断器は、前で図1及び図2を用いて説明した遮断器とアクチュエータの部分だけが異なり、他の部分は同じ構成となっている。図14では、遮断器が閉極状態を保持する時を示している。
図14に示されたように、本実施の形態による遮断器において、遮断器の絶縁操作ロッド25には作動ロッド60が連結ピン61を介して連結され、上記作動ロッド60は、上記アクチュエータ100の支持フレーム460に形成された連結軸461に連結される。なお、上記可動子400に支持フレーム460を備えない実施の形態の場合には、上記作動ロッド60を上記可動子400に直接連結することもできる。
このような連結構造によれば、上記絶縁操作ロッド25が、上記支持フレーム460の上下への往復動、すなわち、可動子400の上下への往復動によって駆動されて閉極動作と開極動作を行なうようになる。
このようなEMFAの一般的な特性は、前の背景技術欄で既に説明したとおりである。すなわち、EMFAは、フレーミングの左手の法則を応用して磁界発生素子200、300の磁界とコイル410の電流密度による電子反発力によって上記コイル410を有する可動子400を往復動させるようにした電磁気力を利用した新規な形態のアクチュエータである。これは、上記コイル410に正方向または逆方向の電流を印加すれば、上記主磁界発生素子200、300による磁界とコイル410の電界によってコイル410を、図中上下方向に移動させようとする力が作用する。その結果、上記コイル410が一体化された上記可動子450が上下方向に移動することにより、可動子450に連結された遮断器のような外部動作素子を駆動させる。
一方、上述したように、本発明によるEMFA100は、磁界発生素子200、300による磁界が形成される空間にあるコイル410に対し磁界の直角方向に電流を流すことでコイル410に対し軸方向に移動できる力を付与する原理を有する。
前の背景技術欄で既に説明した一般的なPMAは、磁界発生素子(例えば、永久磁石)で発生される磁界の力とコイルに電流を流すことで発生させた磁界の力で可動子を動かすシステムであるため、磁界が流れる経路を磁性体で作る必要があり、また可動される可動子も磁性体からなる必要がある。
したがって、PMAにおいてより大きな操作力を得るためには、コイルに電流を多く印加しなければならないが、磁性体の飽和問題によって電流を増し続けても所定限度以上の操作力を得ることができない。かかる問題を解決するためには、磁性体を大型化しなければならないため、これに伴い、アクチュエータも大型化してしまうという問題が発生し、永久磁石とコイル電流によって励磁された磁束密度は空隙距離の二乗に反比例するため、遮断部の接点間隙の大きい高圧及び超高圧用遮断器に適用するのに限界がある。
しかしながら、EMFAは、フレーミングの左手の法則を応用し、磁界が形成されている空間に電流を直角方向に流すことで力を得る原理を有する。
従来のPMAにおける磁界は、前述したように磁性体の飽和問題が生じ、また磁束密度が空隙距離に大きく影響される。しかしながら、EMFAは、磁界発生素子によってコイル410の部分に磁界が形成されている状態で、その磁界の垂直方向にコイル410電流による電流密度を形成させ、フレーミングの左手の法則による電子反発力を用いるため、コイル410に流す電流の量に比例して力に転換されるシステムである。したがって、コイル410に電流を多く流すと、その分大きな力が得られるのである。
したがって、EMFA100は、コイル410電流によって励磁された磁界から発生した電子力が空隙に及ぼす力を用いるものではなく、コイル410領域における外部磁束密度と電流密度による電子反発力によって動作するものである。したがって、電磁力が及ぶ所の磁性体の飽和問題を考えることなく、単にコイル410の巻回本数を多くし、電流の強さを大きくさえすれば、より大きな操作力を得ることができるため、アクチュエータの大きさと重さを大幅に軽減することができるようになる。言い換えれば、大きさと重さに比して非常に大きな操作力を得ることができるようになるのである。
一方、従来のPMAは、可動子と鉄心固定子との間の空隙に十分な磁束密度が形成されるようにしなければならない。このような磁束密度は、空隙間距の二乗に反比例するため、十分な磁束密度を形成させるためには、多量のコイル電流を流す必要がある。そのため、反応性、すなわち、初期動作速度が遅くなってしまう。しかし、本発明によるアクチュエータは、コイル410への電流の供給と同時に外部磁界との電子反発力が起こるため、初期速度が非常に早くて力強い。
本発明によるEMFAは、従来のEMFAを改良して、ケーシング110に長手方向に貫通する通路111を形成しているため、コイル410を有する可動子400が通路111の外部に露出する。したがって、外部からコイル410までの電線900の配線が容易で、且つ作動時に電線900が捻れたり、電線900に無理な力が加わったりすることがない。
また、従来のEMFAは、可動子が密閉されている中空の内筒と外筒の内部に配設されている。したがって、EMFAを遮断器のような外部動作素子に連結するためには、上記可動子から移動軸または連結軸を軸方向に沿って外部に延出させる必要があり、また、その延出長さも可動子のストロークを十分に確保できるように相当に長くならなければならない。そのため、アクチュエータが占める全体の高さ、つまり、アクチュエータの長さが長くなり、連結軸や移動軸の強度を考慮して本数を増やすか、大径のものを使用しなければならないため、アクチュエータが重量化するという不具合があった。
しかしながら、本発明のEMFAによれば、ケーシング110に長手方向に貫通する通路111が形成されている。したがって、可動子400の一部がケーシング110の外部に露出するようにし、外部に露出した可動子400に遮断器のような外部動作素子を直接連結することができるため、アクチュエータの大きさ(高さ)を顕著に縮小することができる。また、可動子400が案内軸450とガイド700によって案内される構造を有するため、運転が安定して行われる。また、連結軸や移動軸などが不要となり、これらの剛性に関する考慮も不要である。
また、従来のEMFAは、コイルと可動子が、特に案内手段を設けることなく単に内側及び外側磁界発生素子の間に配設される形態であった。そのため、コイルと可動子が軸方向に運動する時に内側及び外側磁界発生素子と摩擦を引き起こし、これにより、操作力が損なわれたり、滑らかな運動が行なわれなかったりしていた。
しかしながら、本発明によるEMFAによれば、可動子400が案内軸450とガイド700によって案内される構造を有するとともに、さらには、可動子400に一体化された支持フレーム460が直線案内機構462、463によって案内される構造を有するため、運転が非常に安定して行われ、それにより、機械的摩擦や操作力の損失がほとんどないアクチュエータが実現される。
また、従来のEMFAは、内側及び外側磁界発生素子及び補助磁界発生素子の全てを円筒状に作製する必要があった。しかしながら、磁界発生素子を一つの円筒状に作製することは困難であるため、実状は、円周方向に幾つかの片部材にて作製した後、それらの片部材をケーシング内部に組み込みながら一つの円筒状に作り上げなければならないという困難さがあった。
しかしながら、本発明によるEMFAによれば、ケーシング110及び各磁界発生素子200、300、500、550、600、650は、平板状で構成することができるため、作製が簡単で且つ構造も簡単であるという長所がある。
上記のような本発明のEMFAの動作過程を、添付した図15ないし図18を参照して詳細に説明する。なお、ここでは、本発明によるEMFA100の特性説明に代え、EMFA100が図14に示された遮断器に適用されたと仮定し、その時の動作特性を説明することにする。
図15は、可動子400が図中上方、すなわち、第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600側に最大限移動した状態を示している。その下方には、可動子400によって作動ロッド60(図14参照)が最大限に押し上げられて遮断器が閉極状態を保持するようになる。
ここで、上記外側及び内側主磁界発生素子200、300の磁気力線の方向は矢印m1で、第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650の磁気力線の方向は矢印m2で、また、第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600の磁気力線の方向は矢印m3で示している。図15に示されたように、上記可動子400が上方に移動することで遮断器が閉極状態を保持する時には、上記可動子400のコイル410には電流の供給を遮断する。上記可動子400の第1の磁性体420は、上記外側及び内側主磁界発生素子200、300と第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600で発生する磁気力線の流れ経路としての役割を果たすようになる。これと同時に、上記第1の磁性体420が既に第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600の寄りに偏っているため、上記第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600の磁界による力(磁力)が上記第1の磁性体420に及ぶようになる。この力は、上記第1の磁性体420を引っ張りつける保持力として作用し、可動子400が図中上方に移動した状態を保持し続けることができるようになる。したがって、遮断器が閉極状態を保持し続けることができるようになる。結局として、上記第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600と上記可動子400の第1の磁性体420は、コイル410に電流を供給するか、別途のロック機構を設けなくても可動子400を引っ張りつけることができるようにする役割を果たすのである。
また、上記した状態において、上記可動子400は、第1の緩衝部材811の弾性復元力によって所定限度以上の上昇はできず、上記第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600による保持力と第1の緩衝部材811が有する弾性復元力が平衡をなす地点で停止するようになる。
このような状態において、電力系統に異常が発生すれば、遮断器を開極させるためにコイル410に電流を供給する。すると、外側及び内側主磁界発生素子200、300の間で発生する磁束密度とコイル410によって発生する電流密度との関係から、反発力(図中、下方に作用する力または軸方向への力)が作用してコイル410が下方に移動する。すなわち、コイル410が一体化された可動子400が下方に移動する。この場合、上記コイル410に供給される電流は、閉極状態において第1の外側及び内側補助磁界発生素子500、600によって第1の磁性体420を引っ張りつける保持力を十分に克服できるほどの値にて供給する。
このようにして、可動子400が図16に示された位置まで下降すると、コイル410に作用する反発力と可動子400が移動する慣性力による軸方向への移動力が第1の磁性体420を上方に引っ張りつける力より遥かに大きいため、可動子400が下方に移動し続けることができるようになる。また、この時には、第2の磁性体430が第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650の方へ進入して上記外側及び内側主磁界発生素子200、300と第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650で発生する磁気力線の流れ経路の役割を果たすようになる。したがって、第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650が第2の磁性体430を下方に引っ張る力が漸次大きくなり、可動子400が下方により大きな力を受けることで加速される。この時が、EMFA100が最大の力を出す時点である。したがって、この時点を、遮断器の接点部においてガス反発力(図14において、固定ピストン14に対抗する方向にパッファシリンダー24を引っ張るべき力)が最大になる時点と一致するように設計することが好ましい。
このように、可動子400の速度が増加し続けながら図16に示された地点を通ると、コイル410に供給される電流を速かに遮断する。すると、上記可動子400は、慣性力と上記第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650が第2の磁性体430を下方に引っ張るような力だけによって移動する。
このようにして、可動子400が図17の位置まで下降すると、第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650が第2の磁性体430を移動方向と逆方向(上方)に押し上げるようになる。すなわち、可動子400の第2の磁性体430が第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650の軸方向の中間地点を通る時点からは可動子400の移動方向に対し逆方向に力が発生することで可動子400を制動するようになる。この時点では、遮断器の接点では、既に開極動作が終わった状態であるため、制動力が大きければ大きいほど可動子400の下端部がケーシング110の通路111の内側端部にぶつかることで衝撃を受けるといった問題が発生せずに機械的安定化が得られるようになる。しかしながら、実際に可動子400は6m/s以上の非常に高速で移動するように設計されているため、可動子400が第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650を通り過ぎてケーシング110に衝突するおそれがある。この場合、第2の緩衝部材812によって可動子400を安定して減速させることができる。
可動子400が下方に移動する動作の終わりの際は、通常、上記第2の緩衝部材812と第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650によって可動子400を移動方向と逆方向に押し出す力が、第2内側及び外側補助磁界発生素子255、256によって第2の磁性体430を保持する保持力より大きいのが当たり前である。
すると、図18に示されたように、可動子400は、上記第2の緩衝部材812の復元力によって上昇するようになる。結局として、上記可動子400は、上記第2の緩衝部材812の弾性復元力と第2の外側及び内側補助磁界発生素子550、650による第2の磁性体430の保持力が平衡をなす地点で停止するようになる。この時が、遮断器の開極が完了した状態である。
(第2の実施の形態)
添付した図19〜図21は、本発明の第2の実施の形態によるEMFAを示している図であって、第1実施の形態によるEMFAを複数台併合させた例を示している。これは、複数台のアクチュエータを併合させて単一の運動をするように組み合わせた形態で構成することができることを示している。
この場合、上記各可動子400は、図示しない別途の部材によって一体に連結されて同じ運動をするように構成される。上記可動子400の一体化された連結形態は、前の図11ないし図13で説明したように、支持フレーム460のような部材を可動子400全体に合わせて拡張適用することができる。
また、前側のアクチュエータ100aは、それに対応する後側のアクチュエータ100bとガイド700aを共有することができる。この場合、上記アクチュエータ100a、100bは、それぞれ複数台のアクチュエータを側面に隣接して配置する代りに、図面に示されたように、各アクチュエータ100a、100b毎に一つの大きな磁性体110aを備え、この磁性体110aのそれぞれに複数の可動子400を設置可能にする複数本の通路111を設けて構成することも可能である。また、上記ガイド700aも一つの一体化された部材で構成し(図面では、別途の部材で構成されている)、それに、上記可動子400を案内することができる複数本の案内溝710を形成した形態で構成することもできる。
このように、複数台のアクチュエータを併合させると、アクチュエータの個数が増加した分その操作力の増大が得られる。したがって、遮断容量に応じ、組み合わせるべきアクチュエータの台数を増減すればよい。
(第3の実施の形態)
添付した図22は、本発明の第3の実施の形態によるEMFAを示している。
図22に示されたEMFAは、前の図4ないし図10に開示された第1の実施の形態によるアクチュエータ100において、各通路111に外側主磁界発生素子200と第1及び第2の外側補助磁界発生素子500、550だけを設け、内側主磁界発生素子300と第1及び第2の内側補助磁界発生素子600、650が設けられていない形態である。このように内側主磁界発生素子300と第1及び第2の内側補助磁界発生素子600、650が設けられていなくても、上記外側主磁界発生素子200の磁力がケーシング110の中間壁112までに及ぶことにより、その力によって可動子400を移動させることができる。なお、アクチュエータが同じ大きさであると仮定した時、内側主磁界発生素子300が一緒に備えて時に比べては、可動子400、すなわち、コイル400に生成される操作力(電子反発力または軸方向力)が小さくなる。
(第4の実施の形態)
図23には、本発明の第4の実施の形態によるEMFAが示されている。
これは、図22に示されたEMFAとは逆に、各通路111に内側主磁界発生素子300と第1及び第2の内側補助磁界発生素子600、650だけを設け、外側主磁界発生素子200と第1及び第2の外側補助磁界発生素子500、550が設けられていない構成にすることもできることを示している。このように外側主磁界発生素子200と第1及び第2の外側補助磁界発生素子500、550が設けられていなくても、上記内側主磁界発生素子300の磁力がケーシング110の外側壁までに及ぶことにより、その力によって可動子400を移動させることができる。
また、本実施の形態では、上下の緩衝部材811、812(図22参照)を備えなくてもよいことを示している。これは、図22に示されたEMFAでも可能である。緩衝部材811、812を備えない場合には、別途の衝撃減衰手段を可動子400の案内部450の部分に設けることもできる。
(第5の実施の形態)
添付した図24は、本発明の第5の実施の形態によるEMFAの構成を示している断面図である。
図24に示されたように、本実施の形態によるEMFA1100におけるケーシング1110は、アクチュエータの全体外郭形態をなしつつ、縦断面上の内部中間の中間壁1111を挟んで、その左右両側に上下方向に所定の長さを有する通路1112が形成された形態からなる。
上記左右の通路1112の縦断面上の外壁面と内壁面には、それぞれ外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220が配設される。また、上記外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220の長手方向(上下方向)の両端部のいずれか一方の上記外壁面と内壁面には、それぞれ外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320が配設される。
ここで、上記外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220、及び外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320は、外側と内側のいずれか一方のものだけを備えることができる。すなわち、外側主磁界発生素子1210と外側補助磁界発生素子1310だけが設けられてよく、内側主磁界発生素子1220と内側補助磁界発生素子1320だけが設けられてもよい。これについては、他の実施の形態として後述する。
また、可動子1400は、上記外側主/補助磁界発生素子1210/1310と内側主/補助磁界発生素子1220/1320の間の通路1112の内部に直線移動が可能に挿入される。このような可動子1400は、上記左右両側の内側主磁界発生素子1220を挟んで上記通路1112の内部に上記外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220に略直交する方向に巻き回されたコイル1410と、上記外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320による磁力を受ける磁性体1420とが一体化されてなる形態を有する。
ここで、上記外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220の極性は、両者の間の空間部分である通路1112を挟んで向い合う側が互いに逆極となっており、磁気力線の方向が上記通路1112を横切る方向に形成されるように構成されている。図24では、向い合う極性が、外側主磁界発生素子1210はN極、内側主磁界発生素子1220はS極となっており、磁気力線m1が外側主磁界発生素子1210から通路1112を横切って内側主磁界発生素子1220に向かう方向、すなわち、左右方向の外側から内側に向けて流れるようにした形態が示されている。これとは逆に、向い合う極性を、外側主磁界発生素子1210はS極、内側主磁界発生素子1220はN曲と構成し、磁気力線が内側主磁界発生素子1220から通路1112を横切って外側主磁界発生素子1210に向かう方向、すなわち、左右方向の内側から外側に向けて流れるようにした形態に構成してもよい。磁気力線の方向が逆になることに応じて、コイル1410に流れる電流の方向を変えればよい。
このような構成によって、上記可動子1400のコイル1410に正方向または逆方向の電流を流すと、フレーミングの左手の法則によって、上記外側及び内側主磁界発生素子1210、1220による磁束密度と上記コイル1410の電流密度による電子反発力によって上記コイル1410を磁界に略直交する方向(図中、上下方向)に移動させる力が発生して、上記コイル1410を有する可動子1400が通路1112の長手方向(上下方向)に直線運動するようになる。
また、上記可動子1400において、上記コイル1410と磁性体1420を単一化してなる可動子1400を実現する方法としては、図24に示されたように、上記コイル1410と磁性体1420を非磁性体のハウジング1430の内部に組み込んだ形態で実現することができる。これは、コイル1410と磁性体1420を挟んで一体でモールディングしてハウジング1430を成形するなどの方法で容易に実現することができる。
特に、本実施の形態によるEMFAにおいて、上記外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性は、互いに同じ極性を有する。図24では、外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性がいずれもS極と設定された形態を示している。これとは異なり、外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性がいずれもN極と設定されてもよい。
このように、外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性を同一極に構成すると、磁気力線が上記外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320との間の通路1112を横切って流れることができなくなる。したがって、図24に示すように、上記可動子1400の磁性体1420が上記外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320との間に位置した時に、上記磁性体1420の縦断面上の左右方向の中間部分を基準にした左右両側(すなわち、内側と外側)にそれぞれ互いに独立した磁界が形成される。図24に示されたように、外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性をいずれもS極と設定すれば、上記磁性体1420の縦断面上の左右方向の中間部分を基準にして外側に形成される磁気力線m2は、外側補助磁界発生素子1310→ケーシング1110→可動子1400の磁性体1420→外側補助磁界発生素子1310を循環する方向に流れるようになる。また、内側の磁気力線m3は、内側補助磁界発生素子1320→ケーシング1110→可動子1400の磁性体1420→内側補助磁界発生素子1320を循環する方向に流れるようになる。外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性をいずれもN極と設定すれば、磁気力線m2、m3の流れ方向は、上記方向と逆方向になる。
仮に、上記外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性を同一極にせずに互いに逆極にすれば、磁性体1420の縦断面上の左右方向の中間部分を基準にして内側と外側にそれぞれ独立した二つの磁界が形成されず、外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220の場合と同様に、いずれか一方向の流れを有する一つの大きな磁界を形成するようになる。例えば、上記外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220は、向い合う側の極性が互いに逆極となっているため、磁気力線m1は外側主磁界発生素子1210→通路1112→内側主磁界発生素子1220→ケーシング1110→外側主磁界発生素子1210(図24に示された構成と逆の場合には逆方向)を大きく循環する形態をなすようになる。このような場合には、磁性体1420をその移動方向(図24では、下方)に移動させようとする力はほとんどなく、磁性体1420を単純に外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の長手方向の中間地点に位置させようとする力が大半を占めるようになる。
しかしながら、本発明では、上述したように、外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の向い合う側の極性が互いに同一極となっているため、磁性体1420の縦断面上の左右中間部分を基準にして内側及び外側に独立して磁界が形成される。したがって、各磁界をなす磁気力線m2、m3は、上記磁性体1420の縦断面上の左右方向の中間部分において垂直な流れを有するように(垂直して経由するように)なるため、上記磁性体1420を補助磁界発生素子1310、1320の長手方向(図24において、上下方向)の中間地点に位置させようとする力ではなく、磁性体1420をその移動方向に(図24において、上方に)さらに引っ張るようとする力を作用するようになる。これと併せて、磁界が磁性体1420の縦断面上の中間部分を基準にして内側及び外側に独立して形成されると、磁気力線m2、m3の流れ経路の長さ、すなわち、磁路が短くなるため、その分、磁性体1420を引っ張る力が強くなる。このように磁性体1420を引っ張る力は、上記可動子1400を移動された状態で保持し続けようとする保持力となり、遮断器のような受動素子に適用した場合には圧点力となる。
一方、図24に示されたEMFA1100は、図中上方だけに大きな保持力が作用する必要がある場合に対応して、外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320と磁性体1420を上方だけに設けた形態を示している。なお、上方及び下方の両方に大きな保持力を必要とする場合には、外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320と磁性体1420を上下方向の両方に設ければよい。
このように構成された本発明の第5の実施の形態によるEMFAの作動過程について説明する。
添付した図25及び図26は、本発明の第5の実施の形態による電磁気力を利用したアクチュエータの作動位置による磁界分布に関するシミュレーション結果を示している概略断面図である。
図8aには可動子1400が下方に最大限移動した状態が示されている。先ず、可動子1400が上方に最大限移動した状態で可動子1400のコイル1410に可動子1400を下方に移動させるための方向に電流が供給されると、外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220との間に発生する磁束密度とコイル1410により発生する電流密度との関係から電子反発力が作用してコイル1410を下方に移動させ、これにより、コイル1410と一体化された可動子1400が下方に移動し、図25に示すような状態になる。このとき、上記コイル1410を下方に移動させようとする力は、外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320によって可動子1400の磁性体1420を保持する保持力より十分に大きな力である。
このようにして、可動子1400が下方に最大限移動すると、コイル1410に供給される電流が遮断される。電流が遮断されると、コイル1410と内側及び外側主磁界発生素子1210、1220の作用による移動力は消え、外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220の磁界m1による力(磁力)が可動子1400の磁性体1420に及ぶようになる。この力は、上記磁性体1420を保持する保持力と作用し、可動子1400が下方に移動された状態を保持し続けることができる。図25において、上記可動子1400の磁性体1420は、上記外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の長手方向(上下方向)の中間地点より上側に位置している。ここで、上記磁性体1420は、上記外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の磁力によって外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の長手方向の中間地点に位置しようとする力を受けるようになる。したがって、図25に示すように、可動子1400が最大限下方に移動した状態でその磁性体1420が外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の長手方向(上下方向)の中間地点より上側に位置するように設定しておくと、磁性体1420が外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の長手方向の中間地点に移動しようとする力を受け続けるようになるため、この力に相当する保持力で下方に移動しようとする状態を保持し続けることができる。
図26には、可動子1400が上方に最大限移動した状態が示されている。先ず、図25に示すように、可動子11400が最大限下方に移動した状態で、可動子1400のコイル1410に上述した方向と逆方向に電流を流すと、外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220との間に発生する磁束密度とコイル1410により発生する電流密度との関係から電子反発力が作用してコイル1410を上方に移動させるため、コイル1410と一体化された可動子1400が上方に移動する。可動子1400が上方に最大限移動すると、コイル1410に流れる電流が遮断される。
このように可動子1400が上方に最大限移動した状態では、磁性体1420の縦断面上の左右方向の中間部分を基準にした内側及び外側に独立した磁界が形成される。上記各磁界をなす磁気力線m2、m3は、上記磁性体1420の縦断面上の左右方向の中間部分において垂直な流れを有するため、上記磁性体1420を移動方向、すなわち、上方に引っ張るような力と作用するようになる。これと併せて、磁界が磁性体1420の縦断面上の左右両側に独立して形成されることにより、各磁気力線m2、m3の磁路が極めて短くなり、短くなった分上方に引っ張る力が倍加する。したがって、磁性体1420を上方に引っ張る力によって可動子1400が上方にさらに移動しようとする力、すなわち、大きな保持力を受け続けることができるようになる。
(第6の実施の形態)
図27ないし図29は、本発明の第6の実施の形態による、上述した第5の実施の形態に基づくEMFAを実際に受動素子に連結可能な形態で実現した一例を示している図であって、図27は全体斜視断面図であり、図28は分離斜視断面図であり、図29は真空遮断器に設けられた例を示している概略断面図である。
図27及び図28に示されたEMFA1100aは、上述した第5の実施の形態によるEMFA1100を基本的な構成素子としてこれを実際に実現するための一形態とともに、この場合における、外部の受動素子に連結することができる好適な形態を示している。
図27及び図28に示されたように、第6の実施の形態によるEMFA1100aは、第5の実施の形態によるアクチュエータ1100を円筒状に実現した構成を有する。すなわち、第5の実施の形態における外側及び内側主磁界発生素子1210、1220、外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320及び可動子1400を、円筒状からなる外側及び内側主磁界発生素子1210a、1220a、外側及び内側補助磁界発生素子1310a、1320a及び可動子1400aで構成した形態を有する。
ここで、上記ケーシング1110aの外郭形態に特に限定はない。したがって、円筒状の他、六面体などの多角形を採択してもよい。
上記中間壁1111aは、上記ケーシング1110aの内部中央に円柱状に設けられる。上記通路1112aは、上記円柱状の中間壁1111aと同心をなして半径方向の外側に所定の幅を有するように円環状に形成される。また、外側主磁界発生素子1210aと内側主磁界発生素子1220aは、上記中間壁1111a及び通路1112aと同心をなす円環状からなり、それぞれ上記円環状の通路1112aの外壁と内壁に配設される。
可動子1400aにおいて、コイル1410aは、上記円環状の内側主磁界発生素子1220aを挟んで上記通路1112aの内部に上記外側主磁界発生素子1210aと内側主磁界発生素子1220aに略直交する方向に巻き回された円環状をなす。磁性体1420aは、上記コイル1410aと同様に円環状をなす。このようなコイル1410aと磁性体1420aは、非磁性体のハウジング1430aで取り囲まれて一体化された可動子1400aを構成する。このような可動子1400aは、上記外側主/補助磁界発生素子1210a/1310aと内側主/補助磁界発生素子1220a/1320aの間に形成される通路1112aの内部に長手方向(上下方向)に摺動自在に挿入される。
図27において、上記可動子1400aを外部の受動素子に連結するために、上記可動子1400aの一端部(図中、上部)に複数本の非磁性体のロッド1511を連結し、上記ケーシング1110aの上部外側に延出したロッド1511の端部を受動素子に連結する構成を取っている。上記複数本のロッド1511は、直接受動素子に連結してよく、図面に示されたように、ロッド1511の端部に連結板1521を形成し、この連結板1521に連結部1512aを形成し、この連結部1512aに穴1521bを形成し、上記連結部1512aの穴1521bを受動素子とピンジョイントなどの方法によって連結することもできる。
また、可動子1400aの反対側(下側)も他の受動素子や受動素子の所定の動作装置に連結されてよい。そのために、図27に示されたように、可動子1400aの下側から非磁性体のロッド1512を連結するか、または上記ロッド1512に連結板1522を形成する構造で構成すればよい。図28に示されたように、上記ケーシング1110aの上下端には、それぞれ貫通孔1113a、1113bを形成し、この貫通孔1113a、1113bにそれぞれ上記ロッド1511、1512は通過させることができる。
このような第6の実施の形態によるEMFA1100aの動作過程及び磁界分布は、第5の実施の形態によるEMFA1100のそれと同じであるため、その説明を省く。
図29は、上記した第6の実施の形態によるEMFA1100aを受動素子の一つである真空遮断器に適用した状態を示している。本実施の形態によるEMFA1100aは、第5の実施の形態で既に説明したように、可動子1400aが移動を完了した状態で非常に大きな保持力を得ることができるため、別途の培力機構などを利用することなく受動素子に直接連結することができる。したがって、操作部20z−1のハウジング2a部分を接点部10zの真下側に設けることができ、そのようにしたにも拘わらずEMFA1100aの大きさが小さいため、システム全体としての大きさを縮小することができる。
また、第6の実施の形態として示したEMFA1100aは、上側だけに補助磁界発生素子1310a、1320aと磁性体1420aを備え、磁性体1420aが上方に移動した状態での保持力を極大化した構成になっているため、上記補助磁界発生素子1310a、1320aと磁性体1420a部分が上方に向かう状態で前述した連結部1521aを可動接触子13zの作動ロッド14zの端部に連結ピン1523などの手段で直接連結することができる。本実施の形態によるEMFA1100aでは、前述したように、上記補助磁界発生素子1310a、1320aと磁性体1420aによって保持力が極大化されているため、力を倍加するための別途の倍力機構を設けることなく電磁気力を利用したアクチュエータ1100aを可動接触子13zに直接連結しても非常に大きな保持力を得ることができる。
すなわち、上記EMFA1100aの可動子1400aが上方に移動すると、可動接触子13zが固定接触子12zに当接して電気が通電する閉極状態を保持するようになる。しかし、このような閉極状態において、上記固定接触子12zと可動接触子13zが一体化した導体のように電流をよく導通させるためには、二つの接触子12z、13zを当接させる圧点力が大きくなければならない。これに備えて、本発明では、可動子1400aが移動を完了した状態で可動子1400aが非常に大きな力にて移動方向に継続して引っ張られるため、二つの接触子12z、13zの圧点力を極大化させて電流の通電を円滑にし、特に地震やその他の外部からの急激な衝撃が加わる時にも接点が離れることがない。
(第7の実施の形態)
図30ないし図32は、本発明の第7の実施の形態による、上述した第5の実施の形態に基づくEMFAを実際に受動素子に連結可能な形態で実現した他の一例を示している。図30は全体斜視断面図であり、図31は分離斜視断面図であり、図32は真空遮断器に設けられた例を示している概略断面図である。
図30及び図31に示されたように、本実施の形態によるEMFA1100bは、第6の実施の形態によるEMFA1100aと同じ形態の円筒状をなしており、外部受動素子との連結構成と可動子1400bの案内構成だけが異なる。
すなわち、ケーシング1110b、外側及び内側主磁界発生素子1210b、1220b、外側及び内側補助磁界発生素子1310b、1320b及び可動子1400bの全てが、第6の実施の形態におけるそれらと同じ形態を有する。
なお、上記可動子1400bを外部の受動素子と連結するための構成が、第6の実施の形態では可動子1400aの一端部に複数本の非磁性体のロッド1511を連結し、そのロッド1511の端部を受動素子に連結する構成であったが、本実施の形態では、可動子1400bの円周の一方側から半径方向の外側に延出する延出部1431を形成し、この延出部1431に受動素子を連結した構成を有している。さらに、上記延出部1431には可動子1400bの移動方向に延びる突出部1432が形成され、この突出部1432に穴1432aを形成し、上記突出部1432の穴1432aを受動素子とピンジョイントなどの方法によって連結するように構成されている。
上記可動子1400bから延出部1431を貫通させるために、上記外側主磁界発生素子1210bと外側補助磁界発生素子1310bの周りには、上記可動子1400bのストロークより若干大きな貫通孔1211が可動子1400bの移動方向に沿って長く形成され、上記ケーシング1110bの周りにも上記貫通孔1211に対応する貫通孔1114が形成される。
一方、上記可動子1400bの運動をより安定して案内するために、上記突出部1432の反対側において半径方向の外側に延出する案内腕部1433が設けられ、上記案内腕部1433の端部位置には上記案内腕部1433が上下に摺動自在に結合される案内溝1601が形成された案内部材1600が設けられている。
このような、第7の実施の形態によるEMFA1100bでは、受動素子と連結するための延出部1431がケーシング1110bの外側に延出しているため、第6の実施の形態による電磁気力を利用したアクチュエータ1100aからロッド1511をケーシング1110aの一端部に突出させた構成に比べて、上下方向の全体的な長さを縮小させることができる。また、可動子1400bの運動を案内部材1600によって別に案内する構造を有するため、可動子1400bの運動が滑らかで且つ安定して行われ得る。
また、第7の実施の形態によるEMFA1100bの動作過程及び磁界分布は、第5の実施の形態及び第6実施の形態によるEMFA1100、1100aのそれらと同じであるため、その説明を省く。
図32は、上記のように構成された本発明の第7の実施の形態によるEMFA1100bを受動素子の一つである真空遮断器に適用した状態を示している。真空遮断器の操作部20z−2のケースとなるハウジング2bは、接点部10zの下端に隣接して設けられてよく、本発明によるEMFA1100bは、上記ハウジング2bの内部に設けられている。また、EMFA1100bのケーシング1110bから外側に延出した延出部1431の突出部1432は、遮断器の可動接触子13zの作動ロッド14zの端部に連結ピン1523などの手段で連結される。
(第8の実施の形態)
図33ないし図36は、本発明の第8の実施の形態による、第5の実施の形態に基づくEMFAを実際に実現した形態のまた他の一例を示している。図33は正面から見た全体斜視図であり、図34は裏面から見た全体斜視図であり、図35は分離斜視断面図であり、図36は真空遮断器に設けられる例を示している概略断面図である。
先ず、図33ないし図35に示されたように、本実施の形態によるアクチュエータ1100cは、第5の実施の形態によるアクチュエータ1100において可動子1400cが外部に露出するように構成した形態である。
このような本実施の形態によるEMFA1100cの縦断面上の構成は、図35に示されたように、第5〜第7の実施の形態におけるそれた同じである。すなわち、EMFA1100cにおけるケーシング1110cは、アクチュエータの全体外郭形態をなしつつ、縦断面上の内部中間の中間壁1111cを挟んで、その左右両側に上下方向に所定長さを有する通路1112cが形成される。また、上記左右の着通路1112cの縦断面上の外壁面と内壁面には、それぞれ外側主磁界発生素子1210cと内側主磁界発生素子1220cが配設される。また、上記外側主磁界発生素子1210cと内側主磁界発生素子1220cの長手方向(上下方向)の両端部のいずれか一方の上記外壁面と内壁面には、それぞれ外側補助磁界発生素子1310cと内側補助磁界発生素子1320cが配設される。
また、可動子1400cは、上記外側主/補助磁界発生素子1210c/1310cと内側主/補助磁界発生素子1220c/1320cの間の通路1112cの内部に通路1112cの長手方向への移動が自在に挿入される。このような可動子1400cは、上記左右両側の内側主磁界発生素子1220cを挟んで上記通路1112cの内部に上記外側主磁界発生素子1210cと内側主磁界発生素子1220cに略直交する方向に巻き回されるコイル1410cと、上記外側及び内側補助磁界発生素子1310c、1320cによる磁力を受ける磁性体1420cが一体化された形態を有する。
このような本実施の形態によるEMFA1100cの具体的な形態は、図33〜図35に示したとおりである。すなわち、上記ケーシング1110cの通路1112cは、ケーシング1110cの長手方向に貫通形成されており、このような2つの通路1112cの間に中間壁1111cが形成される構造を有する。ここで、上記ケーシング1110cは、六面体に示されているが、上記通路1112cを形成することができるとともに、コイル1410cを巻き回すことができれば、その形態に特に限定はない。
上記外側及び内側主磁界発生素子1210c、1220c及び上記外側及び内側補助磁界発生素子1310c、1320cは、上記のようにケーシング1110cの長手方向に貫通形成された通路1112cの左右方向の内側及び外側壁面に設けられる。
また、上記可動子1400cは、上記外側主/補助磁界発生素子1210c、1310cと内側主/補助磁界発生素子1220c、1320cの間の通路1112cを通って回されて上記左右両側の内側主磁界発生素子1220cの周りを取り囲む形態で構成される。
一方、上記可動子1400cの運動をより安定して案内するために、上記可動子1400cの上記ケーシング1110cの外部に露出した部分からは案内軸1434が延長形成され、上記案内軸1434の上下方向への運動を案内するガイド1700が設けられてよい。上記案内軸1434は、上記ガイド1700に形成された案内溝1701に上下方向に摺動自在に挿入される。
このような本発明の第8の実施の形態によるEMFA1100cは、通路1112cがケーシング1110cを貫通する形態となって可動子1400cが外部に露出するように構成されている。したがって、第5の実施の形態のように大きな保持力を有しつつ第1の実施の形態のように外部から上記可動子1400cのコイル1410cに電線を接続し易く、その作製も容易になる。また、電線を外部から直接可動子1400cに接続することができるため、可動子1400cの運動時に電線に悪影響を及ぼし得る現象をほぼ無くすことができる。
このような第8の実施の形態によるEMFA1100cの動作特性は、前述した第5〜第8の実施の形態における動作特性と同じであるため、その説明を省く。
図36には、上記のように構成された本発明の第8実施の形態によるEMFA1100cを受動素子の一つである真空遮断器に適用した状態を示している。真空遮断器の操作部20z−3のケースをなすハウジング2cは、第6及び第7の実施の形態と同様に、接点部10zの下端に隣接して設けられ、本実施の形態によるEMFA1100cは、上記ハウジング2cの内部に設けられている。また、EMFA1100cの外部に露出した可動子1400cの一方側に連結部材1440などを設け、上記連結部材1440に突出部1441を形成し、この突出部1441を上記遮断器の可動接触子13zの作動ロッド14zの端部に連結ピン1523などの手段により連結することができる。このように、遮断器のような外部受動素子との連結に際し、外部に露出した可動子を連結すればよいため、連結が容易で且つ工程が簡単になる。
(第9の実施の形態)
添付した図37は、本発明の第9の実施の形態によるEMFAを示している断面図である。
図37に示されたEMFA1100dは、前述した第5〜8の実施の形態によるEMFAに比べて磁気的空隙部g1をさらに備えた構成だけが異なっており、他の構成は同じである。また、第5の実施の形態(図24、図25及び図26参照)と同じ部分に対しては、同じ図面符号を付する。
図37に示されたように、本発明の第9の実施の形態によるEMFA1100dでは、第5実施の形態における外側及び内側主磁界発生素子1210、1220と外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320の間にケーシング1110を上下に磁気的に分離する磁気的空隙部g1をさらに設けた構造を有する。上記磁気的空隙部g1は、主磁界発生素子1210、1220による磁界と補助磁界発生素子1310、1320による磁界を互いに分離することで補助磁界発生素子1310、1320による磁界の損失を無くし、保持力を極大化する機能を果たす。
上記磁気的空隙部g1は、単純に空間にて形成されてよく、図37に示された実施の形態のように、磁気的空隙部g1の隙間に非磁性体の間隙保持部材1120を挿入させた構成にしてもよい。
このように構成された本発明の第9の実施の形態によるEMFA1100dの磁界分布に関するシミュレーション結果が図38及び図39に示されている。図38は図25に比べ、図39は図26に比べてみると、本発明の第9実施の形態による磁気的空隙部g1の効果を把握することができる。
すなわち、図38に示されたように、可動子1400が下方に最大限移動した状態で、コイル1410に供給される電流が遮断されると、コイル1410と内側及び外側主磁界発生素子1210、1220による移動力は消え、外側主磁界発生素子1210と内側主磁界発生素子1220の磁界m1による力(磁力)が可動子1400の磁性体1420に及んで磁性体1420を保持する保持力として作用するようになる。このとき、本実施の形態では、主磁界発生素子1210、1220と補助磁界発生素子1310、1320の間に磁気的空隙部g1が形成されている。これにより、主磁界発生素子1210、1220の磁界を形成する磁気力線m1は、上記磁気的空隙部g1でほとんど遮断され、磁気的空隙部g1の上側には影響を及ぼすことができず、その大半が可動子1400に影響を与えるようになる。したがって、主磁界発生素子1210、1220の磁界がほとんど損失されることなく可動子1400の磁性体1420を引っ張る力として使われることで保持力が極大化する。
また、図39に示されたように、可動子1400が上方に最大限移動した状態でコイル1410に流れる電流が遮断されると、コイル1410と内側及び外側主磁界発生素子1210、1220による移動力は消え、外側補助磁界発生素子1310と内側補助磁界発生素子1320の磁界m2、m3による力(磁力)が可動子1400の磁性体1420に及んで磁性体1420を保持する保持力として作用するようになる。このとき、本実施の形態では、主磁界発生素子1210、1220と補助磁界発生素子1310、1320の間に磁気的空隙部g1が形成されているため、主磁界発生素子1210、1220の磁界を形成する磁気力線m2、m3は、上記磁気的空隙部g1でほとんど遮断され、磁気的空隙部g1を超えて下側に影響することができず、その大半が磁気的空隙部g1の上側だけに形成される。したがって、補助磁界発生素子1310、1320による磁界は損失されることなく、その大半が可動子1400の磁性体1420に影響を与えて磁性体1420を上方に引っ張る力として使われることで保持力が増大する。また、磁気力線m2、m3の磁路がさらに短く(図26におけるそれより短く)形成されることで保持力が極大化する。
(第10の実施の形態)
図40は、本発明の第10の実施の形態によるEMFA1100eを示している断面図である。第8の実施の形態と同じ部分に対しては、同じ図面符号を付する。
図40に示されたEMFA1100eは、前述した第8の実施の形態によるEMFA1100dにおいて、各通路1112に外側主磁界発生素子1210と外側補助磁界発生素子1310だけを設け、内側主磁界発生素子1220と内側補助磁界発生素子1320は設けていない構成にすることでできることを示している。
このようにしても、上記外側主磁界発生素子1210の磁力がケーシング1110の中間壁1111に及ぶことで、可動子1400の往復動には何ら問題がない。なお、アクチュエータが同じ大きさであると仮定した時、内側主磁界発生素子1220を備えている時に比べて、可動子1400、すなわちコイル1410を移動させる電子反発力が小さくなるため、その分、可動子1400の操作速度と操作力が低下する。また可動子1400の保持力も低下するようになる。
一方、第10の実施の形態によるEMFA1100eでは、磁気的空隙部g1が設けられた構成にしたが、これは設けてもよく(第9の実施の形態と同一)、設けなくてもよい(第5〜第8の実施の形態と同一)。
(第11の実施の形態)
図41は、本発明の第11の実施の形態によるEMFA1100fを示している断面図である。第8の実施の形態と同じ部分に対しては、同じ図面符号を付する。
図41に示されたEMFA1100fは、前述した第8の実施の形態による電磁気力を利用したアクチュエータ1100dにおいて、各通路1112に内側主磁界発生素子1220と内側補助磁界発生素子1320だけを設け、外側主磁界発生素子1210と外側補助磁界発生素子1310は設けていない構成にすることもできることを示している。
このようにしても、上記内側主磁界発生素子1220の磁力がケーシング1110の中間壁1111に及ぶことで、可動子1400の往復動には何ら問題がない。なお、アクチュエータが同じ大きさであると仮定した時、外側主磁界発生素子1210を備えている時に比べて、可動子1400、すなわちコイル1410を移動させる電子反発力が小さくなるため、その分、可動子1400の操作速度と操作力が低下する。また、可動子1400の保持力も低下するようになる。
一方、第11の実施の形態によるEMFA1100fでは、磁気的空隙部g1が設けられた構成にしたが、これは設けてもよく(第9、10の実施の形態と同一)、設けなくてもよい(第5〜第8の実施の形態と同一)。
(第12の実施の形態)
添付した図42は、本発明の第12の実施の形態によるEMFAを示している断面図である。
本発明によるEMFA1100gは、前述した実施の形態によるEMFAにおいて、可動子が図中下方に移動した状態での保持力も増大させようとする時の好適な例を示している。図42は、前述した第9の実施の形態を説明する図37に示されたアクチュエータ1100dに基づいて示されたものであって、図37と同じ部分に対しては、同じ図面符号を付し、その重複説明を省く。また、本発明の第12の実施の形態は、第5〜8の実施の形態の変形例でもある。
図37に示された第9の実施の形態におけるEMFA1100d及び図24に示されたEMFA1100は、図中上方だけに大きな保持力が必要な場合に対応して、外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320と磁性体1420を上側だけに設けた形態を有する。
これに比べて、本発明の第12の実施の形態では、上方のみならず下方にも大きな保持力を必要とする場合に備えて、外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下側端部に第2の外側及び内側補助磁界発生素子1330、1340が備えられ、可動子1400のコイル1410の下側端部にも第2の磁性体1440を備えた構成を有する。
したがって、可動子1400が下方に最大限移動すると、第2の外側補助磁界発生素子1330と第2の内側補助磁界発生素子1340による磁力が可動子1400の第2の磁性体1440に及ぶことで、上記第2の磁性体1440を保持しようとする保持力が大きくなる。
図42には示していないが、上記第2の外側補助磁界発生素子1330及び第2の内側補助磁界発生素子1340の向い合う側の極性は、上側にある外側補助磁界発生素子1310及び内側補助磁界発生素子1320のように、互いに同一極となる。
一方、図42では、外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320及び磁性体1420の大きさ(上下方向の長さ)に比べて、第2の外側及び内側補助磁界発生素子1330、1340及び第2の磁性体1440の大きさ(上下方向の長さ)が小さいような形態に示されている。これは、可動子1400が上方に移動した時に要求される保持力の方が、可動子1400が下方に移動した時に要求される保持力よりも大きい場合に適合した形態である。
このように、上記外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320及び磁性体1420の大きさと、上記第2の外側及び内側補助磁界発生素子1330、1340及び第2の磁性体1440の大きさは、遮断器などのような受動素子で要求する保持力に応じて異ならせることができる。例えば、可動子1400が上方に移動した時が真空遮断器での閉極状態であるとすれば、この時には、可動接触子を固定接触子に大きな圧点力で当接させる必要があるため、可動子1400が下方に移動した時の真空遮断器での開極状態に比べて大きな保持力を必要とするようになる。したがって、この時には上側にある外側及び内側補助磁界発生素子1310、1320及び磁性体1420の大きさを、下側にある第2の外側及び内側補助磁界発生素子1330、1340及び第2の磁性体1440の大きさに比べて大きく設定する。
(第13の実施の形態)
添付した図43及び図44は、本発明の第13実施の形態によるEMFA1100hを示している図であって、図43は断面図であり、図44は磁界分布を示している概略断面図である。
本発明の第13の実施の形態によるEMFAは、可動子が下方に移動した時の保持力を増大させるためのEMFAの例として、第12の実施の形態でのアクチュエータ1100gとは別の方式で実現した形態を示している。
前の第12の実施の形態では、外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下側端部に第2の外側及び内側補助磁界発生素子1330、1340が備えられ、可動子1400のコイル1410の下側端部にも第2の磁性体1440を備えた構成としたが、本実施の形態では、外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下端部にケーシング1110を上下方向に所定の長さ切り取った第2の磁気的空隙部g2を形成した構成としている。
上記第2の磁気的空隙部g2は、上記外側及び内側主磁界発生素子1210、1220とケーシング1110の間の磁路を遠く且つ長く形成する役割を果たすことで、外側及び内側主磁界発生素子1210、1220による磁界が磁性体1420に一層多く及ぶようにしたものである。
可動子1400が下方に最大限移動した時の磁界分布が、図44に示されている。これを図38と比べて説明する。
図38において、可動子1400が下方に最大限移動した状態において、磁気力線m1は、ケーシング1110によって2面が取り囲まれた外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下端部を集中的に流れるようになる。
このように、磁気力線m1が上記外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下端部付近に集中的に形成されることは、外側及び内側主磁界発生素子1210、1220のそれぞれの2面がケーシング1110によって取り囲まれていて、このケーシング1110が非常に良好な磁路を形成し、その部分において磁気力線m1の流れに対する抵抗が少なく、磁路が短く形成されるためである。
これに比べて、図44に示された本発明の第13の実施の形態のように、外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下端部にケーシング1110を上下方向に所定の長さ切り取った第2の磁気的空隙部g2を形成すれば、この第2の磁気的空隙部g2が磁気力線m1の流れを遮断する役割を果たすことで、上記外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下端部に形成される磁気力線m1の流れ経路が長くなる。このように、外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下端部に形成される磁気力線m1の流れ経路が長くなれば、磁気力線m1の抵抗が大きくなることで、磁気力線m1は遠回りすることなく近い経路を捜し出してそこを流れるようになる。このため、第2の磁気的空隙部g2がない時、すなわち、ケーシング1110で取り囲まれている時に外側及び内側主磁界発生素子1210、1220の下端部を流れた磁気力線の一部が、上方に経路を変えて磁性体1420を経由するようになる。したがって、磁性体1420に及ぶ磁力がその分多くなるため、磁性体1420を下方に移動させようとする保持力、すなわち、可動子1400を下方に移動させようとする保持力がさらに大きくなる。
以上では、添付した図面に示された本発明の具体的な実施の形態について詳細に説明したが、これらは、好適な実現形態に関する例示に過ぎないものであり、本発明の保護範囲がこれらに限定されるものではない。また、以上のような本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想内で当該分野における通常の知識を有する者であれば各種の変形及び均等な他の実施が可能であり、このような変形及び均等な他の実施の形態は、本発明の特許請求の範囲に属することは言うまでもない。
また、本発明の添付した図面では遮断器(受動素子)としてパッファ消弧方式のガス遮断器または真空遮断器を例に挙げて説明したが、本発明は、上で挙げた遮断器だけはなく、オイル遮断器またはその他の動作装置など、他のあらゆる受動素子にも適用が可能であり、遮断器に適用する場合には、低圧用から超高圧用の遮断器に至るまでの全てに有用に適用することができる。