以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を超えない限り、何ら、本実施例に限定されるものではない。
運搬用容器Cは、容器本体C’と後述するスタッキング用支持部材Sとから構成されている。
先ず最初に、図1〜図3を用いて、容器本体C’について説明する。
容器本体C’は、平面形状が略方形状の板状の底部1と、底部1の相対する長辺から外側に傾斜するように立設された相対する長側壁2と、底部1の相対する短辺から外側に傾斜するように立設された相対する短側壁3とを有しており、容器本体C’は、合成樹脂で一体成形されている。
相対する長側壁2の板部2aの両端部領域を、内面(容器本体C’の内側に位置する面)2a1側から外面(容器本体C’の外側に位置する面)2a2側に膨出させることにより、相対する長側壁2には、所定の間隔を置いて、上部と容器本体C’の内部側が開放された略逆台形状の一対の長側壁側嵌合凹部4が、それぞれ形成されている。長側壁側嵌合凹部4は、略逆等脚台形状の奥板4aと、相対する傾斜側板4bと、底部1の上面1aと略面一な底板4cとにより形成されている。
相対する長側壁2の板部2aの両端部領域を、内面2a1側から外面2a2側に膨出させて、一対の長側壁側嵌合凹部4を形成することにより、一対の長側壁側嵌合凹部4間には、内側中央膨出部5が形成されており、内側中央膨出部5は、板部2aの内面2a1の一部を形成する、略等脚台形状の内面部分2a1’と、長側壁側嵌合凹部4を形成する一対の傾斜側板4bと、長側壁2及び短側壁3の上端から外側に延在する上端水平フランジ6の一部を形成する長側壁側中央部分6aとから形成されている。
上述したように、相対する長側壁2の板部2aの両端部領域を、内面2a1側から外面2a2側に膨出させて、一対の長側壁側嵌合凹部4を形成することにより、長側壁2の板部2aの外面2a2には、一対の略逆台形状の外側膨出脚部7が形成されている。外側膨出脚部7は、上端水平フランジ6の裏面6bから底部1の裏面1bまで延在している。
同様に、相対する短側壁3の板部3aの両端部領域を、内面(容器本体C’の内側に位置する面)3a1側から外面(容器本体C’の外側に位置する面)3a2側に膨出させることにより、上部と容器本体C’の内部側が開放された略逆台形状の短側壁側嵌合凹部8が形成されている。短側壁側嵌合凹部8は、底部1の上面1aから上端水平フランジ6まで延在している。
上述したように、相対する短側壁3の板部3aの両端部領域を、内面3a1側から外面3a2側に膨出させて、略逆台形状の短側壁側嵌合凹部8を形成したことにより、板部3aの外面3a2には、一対の略逆台形状の外側膨出脚部9が形成されている。外側膨出脚部9は、上端水平フランジ6の裏面6bから底部1の裏面1bまで延在している。
また、上端水平フランジ6の直下には、上部水平フランジ10が形成されており、上端水平フランジ6と上部水平フランジ10とは、適当数の垂直架橋リブ11により連結されている。更に、底部1の裏面1b及び短側壁3に形成された外側膨出脚部9の裏面9aには、交叉リブ12aと周壁12bとからなる底部リブ補強部12が形成されている。
相対する長側壁2の板部2aの外面2a2に形成されている一対の略逆台形状の外側膨出脚部7の裏面7aには、長側壁側嵌合凹部4を形成する奥板4aに沿って、突条13が突設されており、突条13の高さ(外側膨出脚部7の裏面7aから突条13の下端までの距離)は、上述した底部リブ補強部12の交叉リブ12aや周壁12bの高さ(底部1の裏面1bから交叉リブ12aや周壁12bの下端までの距離)と略同じ高さに形成されている。
長側壁側嵌合凹部4を形成する一対の傾斜側板4bのうち、短側壁3側に位置する傾斜側板4bと上端水平フランジ6とにより形成される角部には、もう一方の傾斜側板4b側、換言すれば、長側壁側嵌合凹部4側及び上方が開放された係合凹部14が形成されており、係合凹部14は、底板14aと長側壁2に沿った相対する側壁14bと長側壁2に略垂直な奥壁14cとから形成されている。なお、相対する側壁14bのうち、一方の側壁14bは、長側壁2の板部2aの一部を構成するとともに、長側壁2の板部2aの内面2a1と面一に形成されている。
また、もう一方の傾斜側板4bと上端水平フランジ6とにより形成される角部には、後述するスタッキング用支持部材Sが収納可能なスタッキング用支持部材用収納凹部15が形成されており、スタッキング用支持部材用収納凹部15も、係合凹部14が形成されている一方の傾斜側板4b側、換言すれば、長側壁側嵌合凹部4側及び上方が開放されている。スタッキング用支持部材用収納凹部15は、底板15aと長側壁2に沿った相対する側壁15bと長側壁2に略垂直な奥壁15cとから形成されている。なお、相対する側壁15bのうち、一方の側壁15bは、長側壁2の板部2aの一部を構成するとともに、長側壁2の板部2aの内面2a1と面一に形成されている。
上述した係合凹部14の深さ(上端水平フランジ6の上面から係合凹部14の底板14aの上面までの距離)D1と、スタッキング用支持部材用収納凹部15の深さ(上端水平フランジ6の上面からスタッキング用支持部材用収納凹部15の底板15aの上面までの距離)D2は、略同じ深さに形成されている。
スタッキング用支持部材用収納凹部15を構成する相対する側壁15bのうち、長側壁側嵌合凹部4付近に位置する部分には、枢支ピン嵌合孔16が、それぞれ穿設されている。
次に、図4及び図5を用いて、長側壁2に形成された上述したスタッキング用支持部材用収納凹部15に収納されるスタッキング用支持部材S1について説明する。
スタッキング用支持部材S1は、上部水平板部s1と、下部水平板部s2と、上部水平板部s1の長手方向の一端と下部水平板部s2の長手方向の一端とを連結する垂直板部s3と、上部水平板部s1の長手方向の他端と下部水平板部s2の長手方向の他端とを連結する湾曲板部s4と、上部水平板部s1と下部水平板部s2と垂直板部s4と湾曲板部s4とにより囲まれた一方の開口部を閉鎖する側板部s5とを有しており、上部水平板部s1と下部水平板部s2と垂直板部s4と湾曲板部s4とにより囲まれたもう一方に開口部を有する箱型に形成されている。
スタッキング用支持部材S1を形成する上部水平板部s1の中央部には、上部水平板部s1の中央部を下方に凹ますことにより、載置凹部s6が形成されており、載置凹部s6は、底板s6aと、互いに遠ざかる方に傾斜した、相対する傾斜側板s6bとから形成されている。また、スタッキング用支持部材S1を形成する側板部s5の上方に位置する載置凹部s6の底板s6aの略中央部には、係止ブロックs7が形成されており、係止ブロックs7の上面s7aは、上部水平板部s1の上面s1aを超えて、上方に突出しないように構成されている。更に、スタッキング用支持部材S1を形成する湾曲板部s4付近に位置する側板部s5には、側板部s5に垂直な枢支ピンs8が突設されており、枢支ピンs8の一端は、スタッキング用支持部材S1を形成する湾曲板部s4等の垂直端を超えて、外側に位置するように構成されているとともに、枢支ピンs8の他端は、側板部s5を超えて延在するように構成されている。
スタッキング用支持部材S1の高さ(載置凹部s6が形成されていない部分の上部水平板部s1の上面から下部水平板部s2の裏面までの距離)H1は、上述した係合凹部14に深さD1及びスタッキング用支持部材用収納凹部15の深さD2と略同じに形成されている。
上述したスタッキング用支持部材S1は、合成樹脂で一体成形されている。また、上部水平板部s1と下部水平板部s2とを、適宜、垂直補強リブで連結することにより、スタッキング用支持部材S1の強度や剛性を高めることができるとともに、更に、垂直板部s3と湾曲板部s4とを、適宜、水平補強リブで連結することにより、スタッキング用支持部材S1の強度や剛性を更に高めることができる。
スタッキング用支持部材S1を、容器本体C’に取り付けるには、先ず最初に、スタッキング用支持部材用収納凹部15を構成する相対する側壁15bのうち、枢支ピン嵌合孔16が穿設されている部分を、相対する側壁15bが離反する方向に弾性変形させて、相対する側壁15b間に、スタッキング用支持部材S1の枢支ピンs8が挿入可能な間隙を形成する。次いで、相対する側壁15b間に、スタッキング用支持部材S1の枢支ピンs8を、その両端部が、相対する側壁15bに穿設された枢支ピン嵌合孔16に一致するように配置し、その後、相対する側壁15bを、その弾性復元力により、元の互いに平行な状態に戻すことにより、スタッキング用支持部材S1の枢支ピンs8の両端部を、スタッキング用支持部材用収納凹部15を構成する相対する側壁15bに穿設された枢支ピン嵌合孔16に嵌合させて、スタッキング用支持部材S1を、容器本体C’に取り付ける。
図6には、上述したようにして、容器本体C’に取り付けられたスタッキング用支持部材S1が、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納されている状態が示されており、この状態においては、スタッキング用支持部材S1の上部水平板部s1が、スタッキング用支持部材用収納凹部15の底板15aに載置され、また、スタッキング用支持部材S1の下部水平板部s2が上方に位置し、更に、スタッキング用支持部材S1の垂直板部s3が、スタッキング用支持部材用収納凹部15の奥壁15cと対向するように接近して位置し、更にまた、スタッキング用支持部材S1の湾曲板部s4が、長側壁側嵌合凹部4側に位置している。このように、スタッキング用支持部材S1が、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納されている状態においては、スタッキング用支持部材S1の湾曲板部s4が、長側壁側嵌合凹部4内に突出しないように構成されており、また、スタッキング用支持部材S1の下部水平板部s2が、上端水平フランジ6と略面一になるように構成されている。このように、スタッキング用支持部材S1が、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納されている状態を、スタッキング用支持部材S1のネスティング位置或いはスタッキング用支持部材S1のネスティング状態という。
図6に示されている、スタッキング用支持部材S1が、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納されているスタッキング用支持部材S1のネスティング状態から、図8に示されているように、スタッキング用支持部材S1を、枢支ピンs8を枢支軸として上方に回動させて、図7に示されているように、スタッキング用支持部材S1の垂直板部s3付近に位置する部分、即ち、垂直板部s3と、垂直板部s3付近に位置する上部水平板部s1、下部水平板部s2及び側板部s5により構成される自由端部(以下、係合部と称する。)S1’を、長側壁側嵌合凹部4の角部に形成された係合凹部14に挿入する。このように、スタッキング用支持部材S1の係合部S1’が、長側壁側嵌合凹部4の角部に形成された係合凹部14に挿入された状態においては、図7に示されているように、スタッキング用支持部材S1が、長側壁側嵌合凹部4を形成する相対する傾斜側板4bの上端部に架橋されるとともに、スタッキング用支持部材S1の上部水平板部s1に形成された載置凹部s6が上方に現出することになる。このように、スタッキング用支持部材S1の係合部S1’が、長側壁側嵌合凹部4の角部に形成された係合凹部14に挿入され、スタッキング用支持部材S1が、長側壁側嵌合凹部4の相対する傾斜側板4bの上端部を架橋した状態を、スタッキング用支持部材S1のスタッキング位置或いはスタッキング用支持部材S1のスタッキング状態という。
図9及び図10に示されているように、下に位置する運搬用容器Cbの上に、上に位置する運搬用容器Caを段積みする場合には、先ず最初に、スタッキング用支持部材S1を、上述したようなスタッキング位置、即ち、スタッキング用支持部材S1が、長側壁側嵌合凹部4の相対する傾斜側板4bの上端部を架橋した位置に配置しておく。その後、上に位置する運搬用容器Caを、下に位置する運搬用容器Cb方向に下降させると、下に位置する運搬用容器Cbのスタッキング位置にあるスタッキング用支持部材S1の上部水平板部s1に形成された載置凹部s6の底板s6aに、上に位置する運搬用容器Caの外側膨出脚部7が載置されることになるが、下に位置する運搬用容器Cbのスタッキング用支持部材S1の載置凹部s6の底板s6aに、上に位置する運搬用容器Caの外側膨出脚部7が載置された際には、下に位置する運搬用容器Cbのスタッキング用支持部材S1の載置凹部s6の底板s6aに立設された係止ブロックs7が、上に位置する運搬用容器Caの外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13と底部リブ補強部12の周壁12bとの間に位置するように構成されている。
上述した、下に位置する運搬用容器Cbの上に、上に位置する運搬用容器Caがスタッキングされた状態において、上に位置する運搬用容器Caが、下に位置する運搬用容器Cbの短側壁3に沿って移動した際には、上に位置する運搬用容器Caの外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13が、下に位置する運搬用容器Cbのスタッキング用支持部材S1の載置凹部s6の底板s6aに立設された係止ブロックs7或いは長側壁側嵌合凹部4の奥板4aに当接し、その水平移動が制限されることになり、また、上に位置する運搬用容器Caが、下に位置する運搬用容器Cbの長側壁2に沿って移動した際には、上に位置する運搬用容器Caの外側膨出脚部7が、下に位置する運搬用容器Cbのスタッキング用支持部材S1の載置凹部s6を構成する相対する傾斜側板s6bに当接し、その水平移動が制限されることになる。従って、上に位置する運搬用容器Caが、下に位置する運搬用容器Cbに対して、長側壁2方向及び短側壁3方向に、その水平移動が制限され、安定した状態で、下に位置する運搬用容器Cbの上に、上に位置する運搬用容器Caを段積みすることができるように構成されている。
下に位置する運搬用容器Cbの上に、上に位置する運搬用容器Caを段積みした際には、即ち、下に位置する運搬用容器Cbと上に位置する運搬用容器Caとがスタッキング状態においては、上に位置する運搬用容器Caの長側壁2に形成された一対の外側膨出脚部7が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の長側壁側嵌合凹部4の上方に位置し、また、上に位置する運搬用容器Caの短側壁3に形成された一対の外側膨出脚部9が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の短側壁側嵌合凹部8の上方に位置することになるが、上述したように、下に位置する運搬用容器Cbに配設されたスタッキング用支持部材S1が、長側壁側嵌合凹部4の傾斜側板4bの上端部を架橋しているので、上に位置する運搬用容器Caの長側壁2に形成された一対の外側膨出脚部7が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の長側壁側嵌合凹部4に嵌合されようなことがなく、また、上に位置する運搬用容器Caの短側壁3に形成された一対の外側膨出脚部9が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の短側壁側嵌合凹部8に挿入されるようなことがないので、下に位置する運搬用容器Cbの上に、上に位置する運搬用容器Caをスタッキングすることができる。
スタッキング用支持部材S1は、上述した従来の運搬用容器の短側壁間に配設された取っ手や運搬用容器の長側壁側に配設されたスライド板と異なり、長側壁側嵌合凹部4を形成する傾斜側板4bの上端部を架橋するだけの長さであるので、従来の取っ手やスライド板に較べて、スタッキング用支持部材S1の湾曲変形が少なく、従って、スタッキング用支持部材S1が変形したり損傷することなく、よって、安定した状態で、下に位置する運搬用容器Cbの上に、上に位置する運搬用容器Caを段積みすることができる。
図11及び図12に示されているように、上に位置する運搬用容器Caと下に位置する運搬用容器Cbとをネスティングする場合には、上述したように、スタッキング用支持部材S1を、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納し、スタッキング用支持部材S1をネスティング位置とし、その後、上に位置する運搬用容器Caを、下に位置する運搬用容器Cb方向に接近させると、上に位置する運搬用容器Caの長側壁2に形成された一対の外側膨出脚部7が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の長側壁側嵌合凹部4に挿入され、また、上に位置する運搬用容器Caの短側壁3に形成された一対の外側膨出脚部9が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の短側壁側嵌合凹部8に挿入されて、下に位置する運搬用容器Cbと上に位置する運搬用容器Caとがネスティング状態となる。
上述したようなネスティング状態においては、上に位置する運搬用容器Caの上部水平フランジ11が、下に位置する運搬用容器Cbの上端水平フランジ6に当接し、上に位置する運搬用容器Caの長側壁2に形成された一対の外側膨出脚部7が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の長側壁側嵌合凹部4に嵌合状態に挿入されることを防止するとともに、上に位置する運搬用容器Caの短側壁3に形成された一対の外側膨出脚部9が、下に位置する運搬用容器Cbに形成された一対の短側壁側嵌合凹部8に嵌合状態に挿入されることを防止するように構成されており、このように構成することにより、ネスティングされた上に位置する運搬用容器Caを、容易に、下に位置する運搬用容器Cbから上方に引き抜くことができるように構成されている。
スタッキング状態においては、長側壁2に形成された長側壁側嵌合凹部4の傾斜側板4bの上端部を、スタッキング用支持部材S1が架橋するように構成されているので、スタッキング用支持部材が側壁に取り付けられ、スタッキング用支持部材を介して、側壁により、上に位置する運搬用容器を支持するように構成されている従来の運搬容器のように、スタッキング用支持部材が損傷したり、スタッキング用支持部材の取り付け部付近の側壁が損傷したり、スタッキング用支持部材が載置された付近の側壁が損傷するようなことを防止することができる。
また、スタッキング用支持部材S1は、そのネスティング位置においては、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納されており、従って、スタッキング用支持部材S1は、容器本体C’内に位置しているので、スタッキング用支持部材S1のネスティング位置において、スタッキング用支持部材S1が、容器本体C’の外側に垂れ下がることがないので、スタッキング用支持部材S1が、運搬用容器Cの運搬や搬送等の際の障害になるようなことがない。
更に、長側壁2に形成された長側壁側嵌合凹部4の傾斜側板4bの上端部を架橋しているスタッキング用支持部材S1を、スタッキング用支持部材S1の枢支ピンs8を支点として回動し、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納することができ、また、スタッキング用支持部材用収納凹部15内に収納されているスタッキング用支持部材S1を、枢支ピンs8を支点として回動して、長側壁2に形成された長側壁側嵌合凹部4の傾斜側板4bの上端部を架橋することができるように構成されているので、スタッキング用支持部材S1のスタッキング用支持部材用収納凹部15内への収納作業及びスタッキング用支持部材S1の長側壁側嵌合凹部4の傾斜側板4bの上端部への架橋作業の作業性が向上する。
なお、対向位置にあるスタッキング用支持部材S1の係合部S1’付近を、棒材や帯状板材等で固定的に連結して、一方のスタッキング用支持部材S1の回動に連動して、もう一方のスタッキング用支持部材S1を同時に回動するように構成することもできる。このように構成することにより、スタッキング用支持部材S1のスタッキング用支持部材用収納凹部15への収納作業及びスタッキング用支持部材S1の長側壁側嵌合凹部4の傾斜側4bの上端部への架橋作業の作業性が更に向上する。
なお、上述した実施例には、長側壁3の2箇所に、スタッキング用支持部材S1が嵌合可能な長側壁側嵌合凹部4が形成されている例が示されているが、このようなスタッキング用支持部材S1が嵌合可能な長側壁側嵌合凹部4を、3箇所以上に形成することもできる。また、短側壁3に形成されている短側壁側嵌合凹部8に、上述したと同様に、スタッキング用支持部材S1を配設することもできる。更に、短側壁3に形成されている短側壁側嵌合凹部8を省略することもできる。
次に、図13〜図15を用いて、本発明の別の実施例について説明する。この実施例は、上述した実施例の運搬用容器に、スライドスタッキング可能なように変更を加えたものである。
この実施例においては、上述した実施例における係合凹部14を、上述した実施例におけるスタッキング用支持部材用収納凹部15が形成されている側、即ち、内側中央膨出部5側に位置する傾斜側板4bと上端水平フランジ6とにより形成される角部に形成するとともに、上述した実施例におけるスタッキング用支持部材用収納凹部15を、上述した実施例における係合凹部14が形成されている側、即ち、短側壁3側に位置する傾斜側板4bと上端水平フランジ6とにより形成される角部に形成したものである。このように、係合凹部14は、内側中央膨出部5を構成する相対する傾斜側板4bと上端水平フランジ6の一部を構成する長側壁側中央部分6aとにより形成される角部に形成されている。また、上端水平フランジ6の一部を構成する長側壁側中央部分6aには、長側壁2に沿って、凹溝5aが形成されており、このような凹溝5aを形成することにより、内側中央膨出部5の上面には、長側壁2を構成するの板部2aの内面2a1側に位置する横長で帯状の容器側ガイド突条5bが形成されている。
本実施例に使用されるスタッキング用支持部材S2は、上述した実施例において使用されているスタッキング用支持部材S1とは、実質的に、以下の点でのみ相違する。
上述したスタッキング用支持部材S2の垂直板部s3付近に位置する部分、即ち、垂直板部s3と、垂直板部s3付近に位置する上部水平板部s1、下部水平板部s2及び側板部s5により構成される自由端部S2’のうち、スタッキング用支持部材S2が容器本体C’に取り付けられた際に、長側壁2の板部2aの内面2a1側に位置する部分が、側板部s5に沿って削除するとともに、上述した実施例における係止ブロックs7を、側板部s5に沿って、垂直板部s3まで延在することにより、支持部材側ガイド突条s9が形成されている。このように構成することにより、残余の自由端部S2’と支持部材側ガイド突条s9との間には、上述した外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13が通過可能な間隙s10が形成されている。そして、図15に示されているように、スタッキング用支持部材S2が、長側壁側嵌合凹部4の相対する傾斜側板4bの上端部を架橋した状態、即ち、スタッキング用支持部材S2のスタッキング状態においては、スタッキング用支持部材S2に形成された支持部材側ガイド突条s9と内側中央膨出部5の上面に形成された容器側ガイド突条5bとは、短側壁3側から見て、略直線状に連結されているとともに、その上面が、略面一になるように構成されている。
図15に示されているような、スタッキング用支持部材S2が、スタッキング位置にある運搬用容器C(下に位置する運搬用容器C)の上に、他の運搬用容器C(上に位置する運搬用容器C)をスタッキングする際には、先ず最初に、上に位置する運搬用容器Cの一方の短側壁3を持つとともに、もう一方の短側壁3に近い方の外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13を、下に位置する運搬用容器Cの長側壁側中央部分6aに形成された凹溝5aのうち、上記の一方の短側壁3に近い部分の凹溝5aに挿入する。この状態においては、上に位置する運搬用容器Cの外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13は、下に位置する運搬用容器Cの内側中央膨出部5の上面に形成された容器側ガイド突条5bと該容器側ガイド突条5bと対向する凹溝5aの側面5a1との間に位置するように構成されている。
上述した状態から、上に位置する運搬用容器Cを、下に位置する運搬用容器Cのもう一方の短側壁3方向にスライドさせると、上に位置する運搬用容器Cは、上に位置する運搬用容器Cの外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13が、下に位置する運搬用容器Cの内側中央膨出部5の上面に形成された容器側ガイド突条5bと凹溝5aの側面5a1との間で案内されながら、上に位置する運搬用容器Cの外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13が、下に位置する運搬用容器Cの長側壁側中央部分6aに形成された凹溝5aのうち、もう一方の短側壁3に近い方の凹溝5aに達する。その後、更に、上に位置する運搬用容器Cを、下に位置する運搬用容器Cのもう一方の短側壁3方向にスライドさせると、上に位置する運搬用容器Cの外側膨出脚部7の裏面7aに垂下された突条13が、下に位置する運搬用容器Cのスタッキング用支持部材S2の自由端部S2’と支持部材側ガイド突条s9との間に形成された間隙s10を通過し、上に位置する運搬用容器Cの外側膨出脚部7が、下に位置するスタッキング用支持部材S2のうち、もう一方の短側壁3側に位置するスタッキング用支持部材S2に載置されることになる。その後、上に位置する運搬用容器Cの持ち上げられている短側壁3を降ろして、上に位置する運搬用容器Cの一方の短側壁3側に位置する外側膨出脚部7を、下に位置するスタッキング用支持部材S2のうち、一方の短側壁3側に位置するスタッキング用支持部材S2に載置する。このようにして、運搬用容器Cをスライドスタッキングすることができる。
次に、図16〜図20を用いて、本発明の更に別の実施例について説明する。なお、この実施例は、上述した実施例におけるスタッキング用支持部材S1の一部及び長側壁2に配設された係合凹部14とスタッキング用支持部材用収納凹部15の相違以外は、実質的に、同じであるので、上述した実施例と同じ構成については、その詳細な説明は省略する。
長側壁側嵌合凹部4を形成する一対の傾斜側板4bのうち、短側壁3側に位置する傾斜側板4bの上端部には、長側壁側嵌合凹部4側のみに開口部14”を有する係合凹部14’が形成されており、係合凹部14’は、底板14a’と、上端水平フランジ6の一部を構成する天板14b’と、長側壁2に沿った相対する側壁14c’と長側壁2に略垂直な奥壁14d’とから形成されている。
上述した係合凹部14’が形成されている傾斜側板4bと対向するもう一方の傾斜側板4bの上端部には、長側壁側嵌合凹部4側のみに開口部15”を有するスタッキング用支持部材用収納凹部15’が形成されており、スタッキング用支持部材用収納凹部15’は、底板15a’と、上端水平フランジ6の一部を構成する天板15b’と、長側壁2に沿った相対する側壁15c’と、長側壁2に略垂直な奥壁15d’とから形成されている。上端水平フランジ6の一部を構成する天板15b’には、長側壁2に沿って、案内スリット15e’が形成されている。
上述した係合凹部14’の開口部14”とスタッキング用支持部材用収納凹部15’の開口部15”とは、同じ大きさで、且つ、短側壁3側から見た場合に、互いに一致するように形成されている。
本実施例におけるスタッキング用支持部材S3においては、上述した実施例のスタッキング用支持部材S1に形成されている枢支ピンs8が省略されており、枢支ピンs8に代えて、垂直板部s3側に位置する上部水平板部s1の上面s1aに、案内ピンs8’が突設されている。枢支ピンs8に代えて、案内ピンs8’が突設されている以外は、上述した実施例と同じである。スタッキング用支持部材S2の垂直板部s3は、スタッキング用支持部材用収納凹部15’の開口部15”より、若干、小さく形成されており、また、スタッキング用支持部材S3の湾曲板部s4側は、係合凹部14’の開口部14”から、係合凹部14’に挿入可能なように構成されている。
スタッキング用支持部材S3は、垂直板部s3側から、スタッキング用支持部材用収納凹部15’の開口部15”に挿入し、その後、強制的に、スタッキング用支持部材用収納凹部15’に押し込んで、スタッキング用支持部材用収納凹部15’の天板15b’を上方に弾性変形させるか、或いは/及び、スタッキング用支持部材S3の案内ピンs8’が突設されている上部水平板部s1を下方に弾性変形させることにより、スタッキング用支持部材S3を、更に、スタッキング用支持部材用収納凹部15’に押し込んで、スタッキング用支持部材S3の案内ピンs8’を、スタッキング用支持部材用収納凹部15’の天板15b’に形成された案内スリット15e’に嵌合する。このようにして、スタッキング用支持部材S3を、容器本体C’に取り付ける。
スタッキング用支持部材S3が、長側壁側嵌合凹部4の相対する傾斜側板4bの上端部を架橋した状態であるスタッキング用支持部材S2のスタッキング状態においては、図20に示されているように、スタッキング用支持部材S2の湾曲板部s4側の先端部が、長側壁側嵌合凹部4を形成する一対の傾斜側板4bのうち、短側壁3側に位置する傾斜側板4bの上端部に形成された係合凹部14’に挿入されるように構成されている。
また、スタッキング用支持部材S3を、上述したスタッキング用支持部材S3のスタッキング状態から、スタッキング用支持部材S3を、スタッキング用支持部材用収納凹部15’の奥壁15d’方向に押し込むことにより、スタッキング用支持部材S3が、長側壁側嵌合凹部4内に突出し、ネスティングの邪魔にならないように、スタッキング用支持部材S2を、スタッキング用支持部材用収納凹部15’内に収納することができるように構成されている。
なお、上に位置する運搬用容器Caと下に位置する運搬用容器Cbとのスタッキング及び上に位置する運搬用容器Caと下に位置する運搬用容器Cbとのネスティングについては、上述した実施例と同じであるので、その詳細な説明は、省略する。
また、図16〜図20に示されている実施例においても、係合凹部14’を、内側中央膨出部5側に位置する傾斜側板4bの上端部に形成するとともに、案内スリット15e’が、その天部15b’穿設されているスタッキング用支持部材用収納凹部15’を、短側壁3側に位置する傾斜側板4bの上端部に形成し、また、内側中央膨出部5に、上述した凹溝5aを形成し、更に、スタッキング用支持部材S3に、上述したスタッキング用支持部材S2と同様に支持部材側ガイド突条s9を形成することにより、運搬用容器Cを、スライドスタッキング可能に構成することができる。