以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のタグラベル作成装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、本実施形態によるタグラベル作成装置2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
図2は、上記タグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
図2において、タグラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部にカートリッジ(タグラベル作成装置用カートリッジ)100が着脱可能に取り付けられている。
装置本体8は、カートリッジ100を嵌合させる上記カートリッジホルダ部を備えるとともに外郭を構成する筐体9と、カバーフィルム103に所定の印字(印刷)を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103と基材テープ101とを貼り合わせつつ印字済みタグテープ110としてカートリッジ100から繰り出すためのテープ送りロール駆動軸12と、印字済タグテープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行うアンテナ(装置側アンテナ)14と、上記印字済タグテープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベル(無線タグ)Tを生成するカッタ15と、上記無線通信による信号送受時において無線タグ回路素子Toをアンテナ14に対向する所定の書き込みエリアへ通過させるとともに切断後の各無線タグラベルTを案内するための一対の搬送ガイド13と、その案内された無線タグラベルTを搬出口(排出口)16へと搬送し送出する送出ローラ17と、上記印字済タグテープ110に上記無線タグ回路素子Toごとに対応して設けられたマーカ(検出用識別子;詳細は後述)19を検出するセンサ(タグ位置検出手段)20と、搬出口16における無線タグラベルTの有無を検出する排出センサ18とを有している。なお、この例では、上記センサ20を上記印字済タグテープ110の搬送方向における上記無線タグ回路素子Toの書き込みエリア(搬送ガイド13)の上流側に図示しているが、これに限られるものではなく、下流側に設けるようにしてもよい(但しこの場合後述の図10等に示す位置関係が変わる)。
排出センサ18は、例えば投光器及び受光器からなる反射型の光電センサである。投光器と受光器との間に無線タグラベルTが存在しない場合には、その投光器から出力された光が受光器に入力される。一方、投光器と受光器との間に無線タグラベルTが存在する場合には、投光器から出力された光が遮蔽されて受光器からの制御出力が反転させられるようになっている。
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14を介し上記無線タグ回路素子Toへアンテナ14と無線タグ回路素子Toとの距離に応じて送信出力を変更しつつ(詳細は後述)アクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路(アクセス情報生成手段)22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11及びテープ送りロール駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、この送出ローラ用モータ28を制御する送出ローラ駆動回路29と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路(出力制御手段、搬送量検出手段)30とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。さらにこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し前述の通信回線3に接続され、この通信回線3に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。なお、この制御回路30の上記ROMには、印字済タグテープ110のテープ長手方向位置とその位置における上記高周波回路21から送信すべき送信出力の大きさとの相関関係(テーブル)が相関記憶手段として予め記憶されている(詳細は後述)。
図3は、カートリッジ100の詳細構造を表す側面図である。
この図3において、カートリッジ100は、帯状の上記基材テープ101(タグテープ)が巻回された第1ロール(タグテープロール)102と、基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された第2ロール104と、上記インクリボン105を矢印A方向に繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のインクリボン105を矢印B方向に巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101とカバーフィルム103とを押圧し接着させ印字済タグテープ110としつつ矢印C方向にテープ送りをするテープ送りローラ107と、これらを内設するカートリッジ筐体100Aとを有する。
リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記テープ送りロール駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが順次形成された上記基材テープ101を巻回している。
第1ロール102に巻回される基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、カバーフィルム用粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、無線タグラベルTを貼り付け対象に貼り付けるための粘着材を備えた貼着用粘着層101c、この貼着用粘着層101cの貼り付け側を覆う剥離紙(剥離材)101dの順序で積層され構成されている。また、ベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、情報を記憶するIC回路部151が一体的に設けられており、ベースフィルム101bの裏側の表面にはIC回路部151に接続され情報の送受信を行うアンテナ(タグ側アンテナ)152が形成されており、これらIC回路部151及びアンテナ152によって無線タグ回路素子Toが構成されている。さらに、ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記カバーフィルム用粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側には、上記貼着用粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。この剥離紙101dの表側(図3中左側)の表面には、例えば印刷により(又はラベルでもよい)前記マーカ19が各無線タグ回路素子Toに対応して設けられている。なお、この剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで貼着用粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。このとき、上記マーカ19は剥離紙101dと共に印字済タグテープ110から剥がされるようになっている。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回しており、カバーフィルム103が繰り出される。
上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106はこのカバーフィルム103の裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されており、これらによって上記インクリボン105が駆動される。そして、このインクリボン105が上記印字ヘッド10に押圧されてカバーフィルム103の裏面に当接され、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面(=カバーフィルム用粘着層101a側の面)に所定の文字、記号、バーコード等の印字R(図示せず)が印刷(但し裏面から印刷するので印刷側から見て鏡面対称の文字等を印刷している)される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
以上のような構成のカートリッジ100が上記装置本体8に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ107が矢印B及び矢印D方向にそれぞれ同期して回転駆動され、さらにこれに伴いサブローラ109及びプラテンローラ108が回転する。
この結果、第1ロール102から基材テープ101が繰り出されてテープ送りローラ107へ供給されるとともに、第2ロール104からカバーフィルム103が繰り出されつつ前述のようにリボン供給側ロール111からインクリボン105が繰り出され、印字ヘッド10でカバーフィルム103に印刷が行われる。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグテープ110として形成され、カートリッジ100外へと搬出される。
図4は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路21は、アンテナ14を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部(情報送信手段)32と、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase
Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波を増幅(この例では制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変増幅送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。
受信部33は、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に位相が90°遅延された搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を入力するとともに増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
図5は、上記した印字済タグテープ110に備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。
この図5において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ(タグ側アンテナ)152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶手段として機能するメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14からの無線通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図6は、上述したようなタグラベル作成装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(この例では書き込み)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6に表示される画面の一例を表す図である。
図6において、この例では、タグラベルの種別(アクセス周波数及びテープ寸法)、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有のIDであるアクセス(この例では書き込み)ID、上記情報サーバ7に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、その端末5又は汎用コンピュータ6の操作によりタグラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、IC回路部151へ対応する物品情報等の無線タグ情報が書き込まれる。
以上の基本構成において、本実施形態の最も大きな特徴は、センサ20でマーカ19を検出した時点から無線タグ回路素子Toへの送信を開始すると共に、制御回路30に記憶された印字済タグテープ110のテープ長手方向位置とその位置における高周波回路送信部32から送信すべき送信出力の大きさとの相関関係に基づきTX−PWR信号により送信出力を制御しつつ、無線タグ回路素子Toに対しアクセス(書き込み又は読み込み)を行うことにある。以下、その詳細を図7乃至図12により説明する。
まず、本実施形態のタグラベル作成装置2による無線タグラベルTの作成手順を図7及び図8を用いて説明する。
図7は、上述した無線タグラベルTの作成、すなわち、カバーフィルム103を搬送し印字ヘッド10で所定の印字を行いつつ基材テープ101を貼り合わせて印字済タグラベル用テープ110とした後、アンテナ14より所定の無線タグ情報を書き込み、その後無線タグ回路素子Toごとに切断し無線タグラベルTとする際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
この図7において、タグラベル作成装置2の書き込み操作が行われるとこのフローが開始される。まずステップS10において、上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作された、アンテナ14より無線タグ回路素子ToのIC回路部151へ書き込むべき無線タグ情報と、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字すべき印字情報とが、通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれる。
その後、ステップS20において、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され圧着ローラ107へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。またこのとき、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10を通電して、カバーフィルム103のうち所定の領域(例えば基材テープ101に所定ピッチで等間隔で配置された無線タグ回路素子Toの裏面に貼り合わせることとなる領域)に、ステップS10で読み込んだ文字、記号、バーコード等の印字Rを印刷させる。さらに送出ローラ駆動回路29を介して送出ローラ用モータ28に制御信号を出力し、送出ローラ17を回転駆動させる。以上の結果、前述したように基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ体100外方向へと搬送されていくように、各テープ101,103,110が駆動開始される。
次に、ステップS30において、無線タグ情報を無線タグ回路素子Toに送信して書き込むタグ情報書き込み処理が行われる(詳細は後述の図8参照)。書き込み処理が終了したらステップS40に移る。
ステップS40では、上記ステップS30で無線タグ回路素子Toへ書き込んだ無線タグ情報と、これに対応して印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせを、入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6を介して出力され、情報サーバ7やルートサーバ4に記憶される。なお、この記憶データは必要に応じて端末5又は汎用コンピュータ6より参照可能に例えばデータベース内に格納保持される。
その後、ステップS50では、印字済タグラベル用テープ110がカッタ15で切断されるべき所定位置にまで搬送されたかどうかを判定する。具体的には、例えば、対象とする無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を所定の長さ(余白量)分だけ越えたかどうかを、基材テープ101(詳細には例えば剥離紙101d、あるいはカバーフィルム103等でもよい)に対し各無線タグ回路素子Toに対応して設けた適宜の識別用マークをカートリッジ100外(例えばカッタ15のさらに搬送方向下流側)に設けた公知のテープセンサで検出することにより行えば足りる(あるいは上記センサ20で兼用してもよい)。またこのような検出を行わず、印字Rの印字文字長に所定の余白領域分を加えた長さが無線タグ回路素子Toの全長を超えているかどうかを印字情報に基づき判定する(超えていれば、少なくともカバーフィルム103の印字が完了した段階でその余白領域外をカッタ15で切断するようにすれば、貼り合わせられる無線タグ回路素子Toを切断することは回避できるため)ことで代用してもよい。
この判定が満たされたら、ステップS60に移る。ステップS60では、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28の駆動を停止して、リボン巻取りローラ106、圧着ローラ107、送出ローラ17の回転を停止する。これにより、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び送出ローラ17による印字済タグラベル用テープ110の搬送が停止する。
その後、ステップS70でソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動し、カッタ15によって印字済タグラベル用テープ110の切断を行う。前述したように、この時点で、例えば処理対象の無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を十分に越えており、このカッタ15の切断によって、無線タグ回路素子Toの無線タグ情報が読み取られかつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTが生成される。
その後、ステップS80に移り、送出ローラ用駆動回路29に制御信号を出力し、送出ローラ用モータ28の駆動を再開して、送出ローラ17を回転させる。これにより、送出ローラ17による搬送が再開されて上記ステップS150でラベル状に生成された無線タグラベルTが搬出口16へ向かって搬送され、搬出口16からタグラベル作成装置2外へと排出される。
図8は、上記ステップS30のタグ情報書き込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。
この図8において、図7における前述のステップS20が終了すると、まずステップS110に移り、無線タグ回路素子Toからの応答がなく、リトライ(再試行)を行った回数をカウントする変数N,Mを0に初期化する。
その後、ステップS120において、前記センサ20が前記マーカ19を検出したかどうかを判定する。検出した場合には判定が満たされて、次のステップS130に移る。
ステップS130では、図示しない前記ROMに予め記憶された、前述の印字済タグテープ110のテープ長手方向位置とその位置における高周波回路送信部32から送信すべき送信出力の大きさとの相関関係(テーブル、後述の図11参照)を読み込む。
次のステップS140では、通信エリア内のすべての無線タグ回路素子に応答を求める「Scroll
All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Scroll All ID」信号(なお、対象の無線タグ回路素子が特定できている場合は特定の無線タグ回路素子に応答を求める「Scroll
ID」信号でもよい)が生成されて高周波回路の送信部32を介し上記ステップS130で読み込んだ相関関係に基づいた送信出力にて送信される。なお、この送信出力の制御は、制御回路30が例えばパルスモータである前記カートリッジ用モータ23への駆動指令信号(パルス信号)のパルスを数えることにより、該パルス数と1パルスあたりの送り量から印字済タグテープ110の送り量を算出し、この送り量からその位置における高周波回路送信部32から送信すべき送信出力の大きさを上記相関関係に基づいて算出し、この算出した送信出力となるように前述した「TX_PWR」信号により前記可変増幅送信アンプ39の増幅率を制御することによって行われる(以下の送信出力の制御の説明についても同様である)。
なお、上記印字済タグテープ110の送り量を、前述の図7中ステップS50で説明した印字済タグラベル用テープ110がカッタ15で切断されるべき所定位置にまで搬送されたかどうかを判定する公知のテープセンサ(あるいは上記センサ20)で検出する搬送量で代用してもよい。また、例えばエンコーダ等を印字済タグテープ110の送り量検出用に別途設けて検出するようにしてもよい。さらには上記カートリッジ用モータ23のモータ軸や駆動力伝達機構等のギア軸等にエンコーダを設けて同様の検出を行ってもよい。
上記無線タグ回路素子Toのアンテナ152から返信信号(=リプライ信号;例えばID番号あるいはさらにこれに対応する物品情報等)が返信されると、この信号が次のステップS150においてアンテナ14を介し受信され、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込まれる。
その後、ステップS160において、上記ステップS150で受信したリプライ信号により1つの正しいIDが取得されたかどうか(言いかえれば、検出可能範囲内に到達した当該無線タグ回路素子Toを正しく検出できたか)を判定する。判定が満たされない場合はステップS140に戻り、正しく検出できるまで同様の手順を繰り返す。判定が満たされたらステップS170に移る。
ステップS170では、書き込み処理の最初の手順として、メモリ部157の内容を消去する「Erase」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Erase」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに先のステップS130で読み込んだ相関関係に基づいた送信出力にて送信され、そのメモリ部157を初期化する。
次に、ステップS180において、直前に実行したコマンド(ここではEraseコマンド)が成功したか否かを確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに先のステップS130で読み込んだ相関関係に基づいた送信出力にて送信され、返信を促す。その後ステップS190において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS200において、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内の情報を確認し、メモリ部157が正常に初期化されたか否かを判定する。
判定が満たされない場合はステップS210に移ってMに1を加え、さらにステップS220においてM=5かどうかが判定される。
M≦4の場合は判定が満たされず、ステップS170に戻り同様の手順を繰り返す。このようにして初期化が不調でも書き込みトライ区間に無線タグ回路素子Toがある間は5回までは再試行(リトライ)が行われる。なお、ステップS220でM=5であった場合には、後述のステップS300に移る。
メモリ部157の初期化が正常に終了しステップS200の判定が満たされた場合、ステップS230に移り、メモリ部157に目的のデータを書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で本来書き込みたい所定の情報(=無線タグ情報;例えば新たなID番号、あるいはさらにそれに係わる物品情報等)である「Program」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに先のステップS130で読み込んだ相関関係に基づいた送信出力にて送信され、そのメモリ部157に上記所定の情報が書き込まれる。
その後、ステップS240において、「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに先のステップS130で読み込んだ相関関係に基づいた送信出力にて送信され、返信を促す。その後ステップS250において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS260において、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内に記憶された情報を確認し、前述の送信した所定の情報がメモリ部157に正常に記憶されたか否かを判定する。判定が満たされない場合はステップS270に移ってNに1を加え、さらにステップS280においてN=5かどうかが判定される。
N≦4の場合は判定が満たされず、ステップS230に戻り同様の手順を繰り返す。このようにして初期化が不調でも書き込みトライ区間に無線タグ回路素子Toがある間は5回までは再試行(リトライ)が行われる。なお、ステップS280でN=5であった場合には、後述のステップS300に移る。
ステップS260の判定が満たされた場合、正常に書き込みが行われたと見なされてステップS290に移り、メモリ部157に対し以後の再書き込みを禁止する「Lock」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Lock」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに先のステップS130で読み込んだ相関関係に基づいた送信出力にて送信され、当該無線タグ回路素子Toへの新たな情報の書き込みを禁止し、ステップS110に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、前述したように、ステップS220でM=5であった場合、及びステップS280でN=5であった場合には、ステップS300に移る。ステップS300では、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、ステップS110に戻る。
以上のフローにより、書き込み対象の無線タグ回路素子ToのIC回路部151に対し、所望の情報(無線タグ情報)を書き込むことができる。
次に、以上のような手順で行われる無線タグラベルTの作成において、センサ20によるマーカ19の検出及びその後の制御回路30による送信出力の制御について、図9乃至図12を用いて詳細に説明する。
図9は、センサ20の詳細構造・機能を表す概念的構成図である。
この図9において、センサ20は光の反射を利用するものであり、制御回路30からの信号により発光する発光ダイオード20Aと、その発光のマーカ19による反射光を受光し対応する検出信号を制御回路30に出力するフォトトランジスタ20Bとを有している。このように構成されるセンサ20からマーカ19の検出信号を入力されことで、前述したように、制御回路30は、図示しない前記RAMに記憶された印字済タグテープ110のテープ長手方向位置とその位置における送信出力の大きさとの相関関係に基づき送信出力を制御しつつ、アンテナ14を介して無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の送信を開始するようになっている。
図10は、アンテナ14及びセンサ20と搬送中の印字済タグテープ110の無線タグ回路素子To及びマーカ19との位置関係を示す図である。
図10(a)はセンサ20によってマーカ19が検出されたときのアンテナ14と無線タグ回路素子Toとマーカ19の位置関係を示しており、この時点から無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の送信が開始される。すなわち、マーカ19は送信開始タイミングを示す役割を果たす。なお、制御回路30により、この送信開始時の無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさは設定範囲の最大出力となるように制御される(詳細は後述)。
図10(b)は、上記図10(a)の状態から印字済タグテープ110が距離(送り量)L/2だけ搬送されたときの位置関係を示しており、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの距離が最短となったとき(例えば正対している)の状態である。このときの無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさは、設定範囲の最小出力となるように制御される(詳細は後述)。
図10(c)は、上記図10(b)の状態からさらに印字済タグテープ110が距離(送り量)L/2だけ搬送されたとき(すなわち図10(a)の状態から距離(送り量)Lだけ搬送されたとき)の位置関係を示しており、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの距離は図10(a)に示す状態とほぼ同じ距離となっている。このときの無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさは、図10(a)と同様に設定範囲の最大出力となるように制御される(詳細は後述)。
以上の図10(a)〜(c)に示すように、本実施形態ではセンサ20によってマーカ19が検出された時点から、印字済タグテープ110が距離(送り量)Lだけ搬送される間、アンテナ14から無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報を送信するようになっている(図2も参照)。
図11は、上記図10の各状態(a)〜(c)における、カートリッジ用モータ23による印字済タグテープ110の送り量と制御回路30から可変増幅送信アンプ39に出力される送信電力制御信号(前記「TX_PWR」信号)の信号出力との相関関係を表す図である。
この図11に示すように、制御回路30から可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号の出力は、図10(a)の状態のときに最大となり、その後送り量が増加するにつれて減少し、図10(b)の状態のときに最小となり、その後送り量が増加するにつれて増加し、図10(c)の状態のときに再び最大となる。そして、上記図10(a)〜(c)の範囲以外では送信出力はOFF(出力0)となる。なお、この印字済タグテープ110の送り量と制御信号の出力との相関関係は、前述したように、印字済タグテープ110のテープ長手方向位置とその位置における高周波回路送信部32から送信すべき送信出力の大きさとの相関関係(テーブル)として制御回路30のROMに予め記憶されている。
図12は、高周波回路送信部32よりアンテナ14を介して無線タグ回路素子Toに出力される各種信号出力の変化の一例を示す図である。
センサ20によってマーカ19が検出されると(図10(a)の状態)、制御回路30は、図11に示す相関関係に基づき可変増幅送信アンプ39に出力される「TX_PWR」信号の出力を最大となるように制御する。その後、印字済タグテープ110が送られるにつれて、制御回路30は図11に示す相関関係に基づき可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号出力を徐々に小さくなるように制御する。そして、送り量がL/2になると(図10(b)の状態)、制御回路30は図11に示す相関関係に基づき可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号出力を最小となるように制御する。その後は、印字済タグテープ110が送られるにつれ制御回路30は可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号出力を徐々に大きくなるように制御する。
以上の結果、前述の図8中ステップS140、ステップS170、ステップS180、ステップS230、ステップS240、及びステップS290においてそれぞれ送信される「Scroll All ID」信号、「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号、「Verify」信号、及び「Lock」信号の出力の大小関係は、この例では、図12に示すように「Scroll All ID」信号が無線タグ回路素子Toに最大送信出力で送信された後、「Erase」信号→「Verify」信号の順で徐々に小さくなって「Program」信号は最小送信出力で送信され、その後は再び「Verify」信号→「Lock」信号の順で徐々に大きくなる。このときのカートリッジ用モータ23による印字済タグテープ110の送り量の検出は、前述したように制御回路30が例えばパルスモータである前記カートリッジ用モータ23への駆動指令信号(パルス信号)のパルスを数えることによって行われる。
なお、以上では印字済タグテープ110の送り量がL/2となったときに「Program」信号が送信される場合について説明したが、当該図12に示す信号出力の変化は一例であり、必ずしもこのような出力変化になるとは限らない。例えば、リトライ回数が少ないときには送り量がL/2となる前に最後の「Lock」信号の出力まで終了する場合もありうるし、リトライ回数が多いときにはアクセス時間が長くなり、例えば「Lock」信号が送り量Lのとき(図10(c)の状態)に最大出力で出力される場合もありうる。
また、以上は、無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報を送信しIC回路部151に書き込みを行う場合を説明したが、これに限られない。すなわち、特に図面を用いて説明はしないが、本実施形態では、予め所定の無線タグ情報(タグ識別情報等)が記憶保持されている無線タグ回路素子Toから無線タグ情報を読み取る際にも、上記と同様にテープ長手方向位置とその位置における送信出力との相関関係に基づき「Scroll All ID」信号等の送信出力を制御しつつ、無線タグ回路素子Toからの読み込みが行われる。
以上のように構成した本実施形態の作用効果を以下に説明する。
本実施形態のタグラベル作成装置2においては、センサ20によってマーカ19が検出されると、制御回路30により可変増幅送信アンプ39に出力される「TX_PWR」信号の出力が設定範囲において最大となるように制御され、これにより例えば「Scroll All ID」等の制御信号が無線タグ回路素子Toに最大送信出力で送信される。その後、印字済タグテープ110が搬送され無線タグ回路素子Toとアンテナ14との距離が小さくなるにつれ、制御回路30により可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号出力が徐々に小さくなるように制御され、これにより無線タグ回路素子Toへの送信出力は徐々に小さくなる。そして、マーカ19検出時からの送り量がL/2になり、無線タグ回路素子Toとアンテナ14との距離が最小になると、制御回路30により可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号出力が最小となるように制御され、これにより無線タグ回路素子Toへの送信出力は最小となる。その後、印字済タグテープ110が搬送されるにつれ制御回路30により可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号出力が徐々に大きくなるように制御され、無線タグ回路素子Toへの送信出力は徐々に大きくなる。そして、マーカ19検出時からの送り量がLになり無線タグ回路素子Toとアンテナ14との距離が再び最大になると、制御回路30により可変増幅送信アンプ39に出力される制御信号出力が最大となるように制御され、これにより無線タグ回路素子Toへの送信出力が再び最大となる。
以上のように、本実施形態のタグラベル作成装置2においては、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの間との相対位置関係に関係なく、それらアンテナ14と無線タグ回路素子Toとの間の距離に応じ、常に送信出力の大きさを最適にすることが可能となる。この結果、通信エラー発生に応じて出力を調整する従来技術に比べ、迅速に送信出力を最適化でき、短時間で効率よく無線タグラベル作成を行うことができる。特に、本実施形態のように無線タグ回路素子Toを搬送しながらアクセスを行う場合には、アンテナ14からの距離が変動してもこれに追従して送信出力の最適化が可能であるので、搬送速度を比較的大きくすることができ、これによっても効率よく多数の無線タグラベルTを作成することができる。
また、上記実施形態は、上記以外にも、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
(1)送信出力の大きさの情報をマーカ形状から読み取る場合
図13は、送信出力の大きさの情報をマーカ形状から読み取る変形例におけるアンテナ14及びセンサ20と搬送中の印字済タグテープ110Aの無線タグ回路素子To及びマーカ(検出用識別子)19Aとの位置関係を示す図であり、上記実施形態の図10に相当する図である。図10と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図13において、マーカ19Aは、上記実施形態のマーカ19と同様に、印字済タグテープ110A(基材テープ101)の剥離紙101dの表面に例えば印刷により(又はラベルでもよい)設けられた黒色のマークである。なお、このマーカ19Aは、そのテープ幅方向における幅が変化するように形成されており、ここではテープ送り方向における中央付近が最も幅が小さくなるような略M字型の形状となっている。
また、センサ20は上記実施形態で説明したように光の反射を利用するものであり、マーカ19Aによる反射量を検出する。このとき、印字済タグテープ110Aの送り量に応じてマーカ19Aの幅が変化するため、センサ20の検出値も送り量に応じて変化する。本変形例においては、制御回路30は、この検出値に応じて無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさを制御する。なお、上記センサ20としては、印字済タグテープ110Aの幅方向に沿ってスリット状に反射量を検出するタイプでもよいし、例えば周状に分散的に反射量を検出してその平均値を算出するタイプ等でもよい。すなわち、マーカ19Aの幅が検出できるものであれば足りる。
図13(a)はセンサ20によってマーカ19Aが最初に検出されたときのアンテナ14と無線タグ回路素子Toとマーカ19の位置関係を示しており、この時点から無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の送信が開始される。このとき、当該位置におけるマーカ19Aの幅は最大であるため、センサ20による反射量の検出値は最小となる。この結果、制御回路30により、この送信開始時の無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさは最大出力となるように制御される(後述の図14参照)。
図13(b)は、上記図13(a)の状態から印字済タグテープ110Aが距離(送り量)L/2だけ搬送されたときの位置関係を示しており、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの距離が最短となったときの状態である。このとき、当該位置におけるマーカ19Aの幅は最小であるため、センサ20による反射量の検出値は最大となる。この結果、制御回路30により、このときの無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさは最小出力となるように制御される(後述の図14参照)。
図13(c)は、上記図13(b)の状態からさらに印字済タグテープ110Aが距離(送り量)L/2だけ搬送されたとき(すなわち図13(a)の状態から距離(送り量)Lだけ搬送されたとき)の状態を示しており、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの距離は図13(a)に示す状態とほぼ同じ距離となる。このときのマーカ19Aの幅は最大となるため、無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさは再び最大出力となるように制御される。
なお、センサ20がマーカ19Aを検出しない範囲(送信禁止指示領域。すなわち隣り合う無線タグ回路素子To,Toの間の領域)においては、無線タグ回路素子Toへの送信出力はOFF(すなわち出力0)となるように制御される。
図14は、本変形例におけるセンサ20の検出値(反射量)と高周波回路送信部32から無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさ(出力電力)との関係の一例を示す図である。この図14に示すように、上記図13(a)及び(c)の場合のようにマーカ19Aの幅が大きく反射量が小さいときには、無線タグ回路素子Toへの送信出力は大きくなるように制御される。一方、図13(b)の場合のようにマーカ19Aの幅が小さく反射量が大きいときには、無線タグ回路素子Toへの送信出力は小さくなるように制御される。
なお、この図14において、反射量が1.0〜0.5である全反射領域は前記の隣り合う無線タグ回路素子To,Toの間の領域であり、無線タグ回路素子Toへの送信出力はOFF(すなわち出力0)となるように制御される。また、反射量が0.1〜0となる領域は、センサ20の故障や印字済タグテープ110Aの切断等が考えられるため、出力制御に使用しないようになっている。
本変形例においても、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの間の距離に応じて常に最適な送信出力に制御することが可能となるので、迅速に送信出力を最適化でき、短時間で効率よく無線タグラベル作成を行うことができるという上記実施形態と同様の効果を得る。
なお、上記変形例では、無線タグ回路素子Toに対してアクセスを行う領域については黒くなるように、それ以外の隣り合う無線タグ回路素子To,Toの間の領域(送信禁止指示領域)については白くなるようにマーカ19Aを形成したが、これに限られない。すなわち、図15に示すように、反対に無線タグ回路素子Toに対してアクセスを行う領域については白くなるように、それ以外の隣り合う無線タグ回路素子To,Toの間の領域については黒くなるように白いマーカ(検出用識別子)19Bを形成してもよい。
この場合、前述とは逆に、制御回路30によって、白マーカ19Bの幅が大きく反射量が大きいときに無線タグ回路素子Toへの送信出力は大きくなるように制御され、白マーカ19Bの幅が小さく反射量が小さいときに、無線タグ回路素子Toへの送信出力は小さくなるように制御される。そして、反射量がない領域(すなわち隣り合う無線タグ回路素子To,Toの間の領域)においては送信出力をOFF(出力0)とするように制御回路30により制御されるので、例えばセンサ20が故障したり印字済タグテープ110Bの切断又はテープ切れ等が生じた場合に誤って無線タグ回路素子Toへ信号が送信されることがなく、無駄な送信出力の発生を防止することができる。なお、テープ切れ又はテープ切断時の送信防止については、印字済タグテープ110Bを挟んでセンサ20と対向した位置に送信禁止に対応した適宜のマーク(図示せず)を形成しておき、印字済タグテープ110Bの切断又はテープ切れ等が生じた場合にそのマークを検出することにより送信出力を停止するようにしてもよい。
また、図13に示した上記変形例では、マーカ19Aの形状を中央付近が最も幅が小さくなるような略M字型の形状とし、送信出力の大きさの情報をマーカから読み取るようにしたが、これに限られない。すなわち、マーカ19Aの形状を幅が一定の長方形形状とし、このマーカ19Aにより送信出力のON及びOFFのタイミングのみ検出するようにし、送信出力の大きさについては上記実施形態と同様に制御回路30等に記憶された相関関係(テーブル)を用いて制御するようにしてもよい。
(2)送信出力の大きさの情報をマーカの濃淡から読み取る場合
図16は、送信出力の大きさの情報をマーカ濃淡から読み取る変形例における印字済タグテープ110Cのマーカ(検出用識別子)19Cを表す図である。
この図16において、各マーカ19Cは、上記実施形態のマーカ19と同様に、印字済タグテープ110C(基材テープ101)の剥離紙101dの表面に例えば印刷により(又はラベルでもよい)設けられた濃淡の異なるマークである。このマーカ19Cは、印字済タグテープ110Cのテープ送り方向において濃淡が変化するように形成されており、ここではテープ送り方向における両端付近が最も濃い色であり、中央付近が最も淡い色となっている。このような構成により、印字済タグテープ110Cの送り量に応じてマーカ19Cの濃淡が変化するため、センサ20の検出値も送り量に応じて変化する。本変形例においては、制御回路30は、この検出値に応じて無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさを制御する。
本変形例においても、アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの間の距離に応じて常に最適な送信出力に制御することが可能となるので、迅速に送信出力を最適化でき、短時間で効率よく無線タグラベル作成を行うことができるという上記実施形態と同様の効果を得る。
(3)無線タグ回路素子の感度情報をマーカ形状から読み取る場合
図17は、無線タグ回路素子Toの感度情報をマーカ形状から読み取る変形例における印字済タグテープ110Dのマーカ(検出用識別子)19Dを表す図である。
この図17において、マーカ19D1は高感度の無線タグ回路素子Toに対応したマーカであり、その幅が比較的狭くなっている。一方、マーカ19D2は低感度の無線タグ回路素子Toに対応したマーカであり、その幅が比較的広くなっている。これらマーカ19D1,19D2は、上記実施形態のマーカ19と同様に、印字済タグテープ110D(基材テープ101)の剥離紙101dの表面に例えば印刷により(又はラベルでもよい)設けられた黒色のマークである。
本変形例においては、センサ20による検出値が大きい場合(すなわち幅の小さいマーカ19D1が検出された場合)には、制御回路30により無線タグ回路素子Toへの送信出力が相対的に小さくなるように制御される。一方、センサ20による検出値が小さい場合(すなわち幅の大きいマーカ19D2が検出された場合)には、制御回路30により無線タグ回路素子Toへの送信出力が相対的に大きくなるように制御される。
これにより、各無線タグ回路素子Toの感度に応じてアンテナ14から無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさを制御することが可能となる。この結果、通信エラー発生に応じて出力を調整する従来技術に比べ、迅速に送信出力を最適化でき、効率よく無線タグラベル作成を行うことができるという上記実施形態と同様の効果を得る。
さらに、基材テープ101上の全無線タグ回路素子Toの感度について同一値として設計している場合でも、製造上、実際は多少のばらつきが生じるのが一般的である。このため、通常は、それらのばらつきを加味し、感度が低い無線タグ回路素子Toに対しても十分な通信品質を確保できるように、予めアンテナ14からの送信出力を大きく設定しておかなければならない。この場合、感度が低くない、良好な無線タグ回路素子To以外に対しては必要以上の大きさの送信出力となってエネルギの無駄が生じたり、さらに無線タグ回路素子Toの許容出力範囲を超えた場合には、無線タグ回路素子で受信した電波が歪む、他の無線タグ回路素子Toへの通信干渉が出る、搬送波の強度が大きくなり反射波成分の識別が困難となる等、通信上好ましくない影響が生じる畏れがある。
本変形例では、上述のように、各無線タグ回路素子Toの感度に応じてアンテナ14から無線タグ回路素子Toへの送信出力の大きさを制御することにより、各無線タグ回路素子Toごとに最適な通信態様を実現することができるので、上記のようなエネルギの無駄や通信上の悪影響の発生を防止できる効果もある。
なお、上記変形例では、図17に示すようにマーカ19Dを一定幅の長方形型のマークとしたが、前記変形例(1)のように略M字型形状とし、感度情報と共に送信出力の大きさの情報についてもマーカから読み取り、制御するようにしてもよい。
さらに、以上説明した実施形態及び変形例では、送信指示領域においては、無線タグ回路素子Toへの送信出力はセンサ20の検出値に対応して制御信号により送信電力を比例関係として制御したが、これに限られない。すなわち、図18中の(a)と(b)に対比させて示すように、予め送信出力をオフセットさせる値を初期値(例えば50mW)として設定しておき、送信指示領域では送信出力をこのオフセット値を加算した送信出力に設定するようにしてもよい。この場合、アクセス領域における送信出力の制御は、このオフセット値から増加させ、又はこのオフセット値に向かって減少するように行われる。このように、送信指示領域においても送信出力をオフセット値からの値に設定することにより、送信出力制御を行うアクセス領域における送信出力レンジを比較的狭くし、印字済タグテープ110Dのテープ長手方向位置の変化に対する送信出力の変化を小さくすることで、よりきめ細かな出力制御が可能となる。
またさらに、以上で用いた「Scroll All ID」信号、「Scroll ID」信号、「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号、「Lock」信号とは、EPC globalが策定したAuto−ID仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。