以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の無線タグ情報書き込み装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、本実施形態による無線タグ情報書き込み装置(ライタ、但しこの例では読み取り機能を併せて備えている)2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
図2は、上記無線タグ情報書き込み装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
図2において、無線タグ情報書き込み装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部にカートリッジ100が着脱可能に取り付けられている。
装置本体8は、カートリッジ100を嵌合させる上記カートリッジホルダ部を備えるとともに外郭を構成する筐体9と、カバーフィルム103に所定の印字(印刷)を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103と基材テープ101とを貼り合わせつつ印字済みタグテープ110としてカートリッジ100から繰り出すためのテープ送りロール駆動軸12と、印字済タグテープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行うアンテナ(装置側アンテナ)14と、上記印字済タグテープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベル(無線タグ)Tを生成するカッタ15と、上記無線通信による信号送受時において無線タグ回路素子Toをアンテナ14に対向する所定の書き込みエリア(詳細は後述)へ通過させるとともに切断後の各無線タグラベルTを案内するための一対の搬送ガイド13と、その案内された無線タグラベルTを搬出口(排出口)16へと搬送し送出する送出ローラ17と、搬出口16における無線タグラベルTの有無を検出するセンサ18とを有している。
センサ18は、例えば投光器及び受光器からなる反射型の光電センサである。投光器と受光器との間に無線タグラベルTが存在しない場合には、その投光器から出力された光が受光器に入力される。一方、投光器と受光器との間に無線タグラベルTが存在する場合には、投光器から出力された光が遮蔽されて受光器からの制御出力が反転させられるようになっている。
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(この例では書き込みを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11及びテープ送りロール駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、この送出ローラ用モータ28を制御する送出ローラ駆動回路29と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、無線タグ情報書き込み装置2全体の動作を制御するための制御回路30とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またタイマー回路30Aを内蔵している。さらにこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し前述の通信回線3に接続され、この通信回線3に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。
図3は、カートリッジ100の詳細構造を表す側面図である。
この図3において、カートリッジ100は、帯状の上記基材テープ101(タグテープ)が巻回された第1ロール102と、基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された第2ロール104と、上記インクリボン105を矢印A方向に繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のインクリボン105を矢印B方向に巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101とカバーフィルム103とを押圧し接着させ印字済タグテープ110としつつ矢印C方向にテープ送りをするテープ送りローラ(搬送手段)107と、これらを内設するカートリッジ筐体(カートリッジ本体)100Aとを有する。
リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記テープ送りロール駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが順次形成された上記基材テープ101を巻回している。
第1ロール102に巻回される基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、カバーフィルム用粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、無線タグラベルTを貼り付け対象に貼り付けるための粘着材を備えた貼着用粘着層101c、この貼着用粘着層101cの貼り付け側を覆う剥離紙101dの順序で積層され構成されている。また、ベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、情報を記憶するIC回路部151が一体的に設けられており、ベースフィルム101bの裏側の表面にはIC回路部151に接続され情報の送受信を行うアンテナ(タグ側アンテナ)152が形成されており、これらIC回路部151及びアンテナ152によって無線タグ回路素子Toが構成されている(後述の図14等も参照)。さらに、ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記カバーフィルム用粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側には、上記貼着用粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。なお、この剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで貼着用粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回しており、カバーフィルム103が繰り出される。
上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106はこのカバーフィルム103の裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されており、これらによって上記インクリボン105が駆動される。そして、このインクリボン105が上記印字ヘッド10に押圧されてカバーフィルム103の裏面に当接され、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面(=カバーフィルム用粘着層101a側の面)に所定の文字、記号、バーコード等の印字R(後述の図13(a)参照)が印刷(但し裏面から印刷するので印刷側から見て鏡面対称の文字等を印刷している)される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
以上のような構成のカートリッジ100が上記装置本体8に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ107が矢印B及び矢印D方向にそれぞれ同期して回転駆動され、さらにこれに伴いサブローラ109及びプラテンローラ108が回転する。
この結果、第1ロール102から基材テープ101が繰り出されてテープ送りローラ107へ供給されるとともに、第2ロール104からカバーフィルム103が繰り出されつつ前述のようにリボン供給側ロール111からインクリボン105が繰り出され、印字ヘッド10でカバーフィルム103に印刷が行われる。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグテープ110として形成され、カートリッジ100外へと搬出される。
図4は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路21は、アンテナ14を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波を増幅(この例では制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変増幅送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。
受信部33は、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に位相が90°ずらされた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を入力するとともに増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態の無線タグ情報書き込み装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
図5は、上記した印字済タグテープ110に備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。
この図5において、無線タグ回路素子Toは、無線タグ情報書き込み装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ(タグ側アンテナ)152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶手段として機能するメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記無線タグ情報書き込み装置2のアンテナ14からの無線通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図6は、上述したような無線タグ情報書き込み装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(この例では書き込み)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6に表示される画面の一例を表す図である。
図6において、この例では、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有のIDであるアクセス(この例では書き込み)ID、上記情報サーバ7に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、その端末5又は汎用コンピュータ6の操作により無線タグ情報書き込み装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、IC回路部151へ対応する物品情報等の無線タグ情報が書き込まれる。
以上の基本構成において、本実施形態の最も大きな特徴は、アンテナ14から送信した位置検出信号(後述)に対する無線タグ回路素子Toからの返信信号(後述)に基づき無線タグ回路素子Toの位置を検出し、さらにこれに基づいてアンテナ14から無線タグ回路素子Toに無線タグ情報を送信し書き込みを行うことにある。以下、その詳細を図7及び図8により説明する。
図7は、制御回路30によって実行される制御のうち、無線タグ回路素子ToのIC回路部151への上記無線タグ情報の書き込み手順を表すフローチャートである。
この図7において、前述したように端末5又は汎用コンピュータ6の入力(書き込み指示入力)により無線タグ情報書き込み装置2が作動されるとこのフローが開始される。
まずステップS110において、通信不良等が疑われるときのリトライ(再試行)の回数をカウントする変数N,Mを0に初期化する。
その後、ステップS120において、上記端末5又は汎用コンピュータ6の入力操作を介し予め設定された、前述の送出ローラ17及びテープ送りローラ107による印字済みタグテープ110の搬送速度Vと、アンテナ14から発生する送信電波出力のパワー(一定値)P(詳細には書き込み時パワーPrと読み取り時パワーPR)とを読み込む。あるいは、パワーPに代えて、各無線タグ回路素子Toのタグ感度や、アンテナ152の利得でもよい。
そして、ステップS130において、上記ステップS120で入力した搬送速度VとパワーPの値に基づき、無線タグ回路素子Toからの返答信号を受信してからこれに対応する書込信号を送信するまでの待機時間t1と、書き込み開始後に書き込みが完了するまで所定回数だけ書込信号を送信し続ける(=リトライ)リトライ時間t2とを算出する。
図8に示すように、本実施形態では、上記検出時送信パワーPRを一定値とすることで、検出信号の届く範囲をアンテナ14を中心とする比較的大きい半径Rの円で表される範囲に設定する。また、アンテナ14を中心とする比較的小さい半径の円rで表される範囲を無線タグ情報の書き込み範囲に設定してこれに対応する書き込み時送信パワーPrとし、搬送路に沿ってその書き込み範囲r内においてのみ所定回数だけ無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の書き込みをトライするものである。
したがって、上記待機時間t1は、図8に示すように、無線タグ回路素子Toの検出位置p1から書込開始位置p2まで(=書き込みせず待機する区間)に搬送速度Vにて搬送路に沿いつつ搬送するのに要する時間に相当しており、上記リトライ時間t2は、上記書込開始位置p2から書込終了位置p3まで(=書き込みトライ区間)に搬送速度Vにて搬送路に沿いつつ搬送するのに要する時間に相当するものとなっている。
以上のようにして時間t1,t2を演算したら、ステップS140に移る。
ステップS140では、通信エリア内の無線タグ回路素子に応答を求める「Scroll All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で位置検出信号としての「Scroll All ID」信号(なお、対象の無線タグ回路素子が特定できている場合は「Scroll ID」信号でもよい)が生成されて高周波回路の送信部32を介し検出可能範囲(上記位置検出信号が届く範囲、この例では送信パワーPが一定であることからアンテナ14を中心とした半径Rの円となる、図8参照)内に上記出力パワーPRにて送信される。したがって、図8に示すように、カートリッジ100から搬出され印字済みタグテープ110の搬送路沿いに上記一定速度Vで搬送されてくる無線タグ回路素子Toが上記半径Rの円内に到達した段階で、上記検出信号が当該無線タグ回路素子Toに届き、この検出信号への返信が促される。なお、この位置検出時の半径Rは前述したように書き込み時(詳細は後述)の半径rよりも大きく、これに対応して送信出力も位置検出時では相対的に大きく、「Erase」や「Program」信号等の書き込み時には相対的に小さくなるように制御回路30からの「TX_PWR」信号に基づき上記可変増幅送信アンプ39の増幅率が制御される。
上記無線タグ回路素子Toのアンテナ152から返信信号(=リプライ信号;例えばID番号あるいはさらにこれに対応する物品情報等)が返信されると、この信号が次のステップS150においてアンテナ14を介し受信され、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込まれる。
その後、ステップS160において、上記ステップS150で受信したリプライ信号により1つの正しいIDが取得されたかどうか(言いかえれば、上記半径Rの円内に到達した当該無線タグ回路素子を正しく検出できたか)を判定する。
判定が満たされない場合はステップS140に戻り、正しく検出できるまで同様の手順を繰り返す。判定が満たされたらステップS170に移る。
ステップS170では、前述の制御回路30内のタイマー回路30Aを用いて、上記ステップS150でリプライ信号を受信してからの経過時間が、上記待機時間t1になったかどうかを判定する。時間がt1だけ経過したらこの判定が満たされ、ステップS180に移る。
ステップS180では、上記ステップS170の判定が満たされたことで書き込み対象の無線タグ回路素子Toが上記書き込みトライ区間に到達したことから、書き込み処理の最初の手順として、メモリ部157の内容を消去する「Erase」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Erase」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157を初期化する。
次に、ステップS190において、直前に実行したコマンド(ここではEraseコマンド)が成功したか否かを確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。その後ステップS200において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS210において、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内の情報を確認し、メモリ部157が正常に初期化されたか否かを判定する。
判定が満たされない場合はステップS220に移ってMに1を加え、さらにステップS230においてM=5かどうかが判定される。
M≦4の場合は判定が満たされずステップS240に移り、前述の制御回路30内のタイマー回路30Aを用いて、上記ステップS170でt1が経過した後さらに上記リトライ時間t2が経過したかどうかを判定する。時間t2がまだ経過していなければ無線タグ回路素子Toはまだ書き込みトライ区間に存在するとみなされ、ステップS180に戻り同様の手順を繰り返す。このようにして初期化が不調でも書き込みトライ区間に無線タグ回路素子Toがある間は5回までは再試行(リトライ)が行われる。なお、ステップS230でM=5であった場合、あるいはステップS240で時間t2が経過した場合は、後述のステップS340に移る。
メモリ部157の初期化が正常に終了しステップS210の判定が満たされた場合、ステップS250に移り、メモリ部157に目的のデータを書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で本来書き込みたい所定の情報(=無線タグ情報;例えば新たなID番号、あるいはさらにそれに係わる物品情報等)である「Program」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに上記出力パワーPrで送信され、そのメモリ部157に上記所定の情報が書き込まれる。
その後、ステップS260において、「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。その後ステップS270において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS280において、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内に記憶された情報を確認し、前述の送信した所定の情報がメモリ部157に正常に記憶されたか否かを判定する。
判定が満たされない場合はステップS290に移ってNに1を加え、さらにステップS300においてN=5かどうかが判定される。
N≦4の場合は判定が満たされずステップS310に移り、上記ステップS240と同様、タイマー回路30Aを用いて上記ステップS170でt1が経過した後さらに上記リトライ時間t2が経過したかどうかを判定する。時間t2がまだ経過していなければ無線タグ回路素子Toはまだ書き込みトライ区間に存在するとみなされ、ステップS250に戻り同様の手順を繰り返す。このようにして初期化が不調でも書き込みトライ区間に無線タグ回路素子Toがある間は5回までは再試行(リトライ)が行われる。なお、ステップS300でN=5であった場合、あるいはステップS310で時間t2が経過した場合は、後述のステップS340に移る。
ステップS280の判定が満たされた場合、正常に書き込みが行われたと見なされてステップS320に移り、メモリ部157に対し以後の再書き込みを禁止する「Lock」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Lock」信号が生成されて高周波回路21の送信部32を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、当該無線タグ回路素子Toへの新たな情報の書き込みが禁止し、ステップS330へ移る(後述)。
一方、前述したように、ステップS230でM=5であった場合、ステップS240で時間t2が経過した場合、ステップS300でN=5であった場合、ステップS310で時間t2が経過した場合、ステップS340に移る。ステップS340では、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、ステップS350に移る。
ステップS350では、既にエラー処理(ステップS340のエラー表示)を行った回数であるエラーカウント数(後述)がこの時点で予め定めた規定値(例えば数回〜10回等)を超えているかどうかを判定する。判定が満たされなければステップS360でエラーカウント数に1を加えた後、最初のステップS110に戻って同様の手順を繰り返す。
エラー処理が規定値を超えていた場合は、先に述べた、印字済みタグテープ搬送速度V、送信電波出力パワーP(あるいはタグ感度)等の当初設定パラメータ値が不適切であったとみなされ、ステップS370でこれらパラメータの再調整処理がなされる(詳細は後述)。
このようなステップS370が終了したら、ステップS330に移る。
ステップS330では上記エラーカウント数をリセットし0に初期化する。ステップS330が終了したら、ステップS110に戻り同様の手順を繰り返す。
以上のフローにより、書き込み対象の無線タグ回路素子ToのIC回路部151に対し、所望の情報(無線タグ情報)を書き込むことができる。
図9〜図12は、上記ステップS370の詳細手順を表す制御フローの例をそれぞれ表している。
図9の例では、まず、(想定した書き込みトライ区間に実際に無線タグ回路素子Toが進入しているかどうかに関係なく)書き込みのための電波送信時間を前後に長くするもので、ステップS371で待機時間t1を△tだけ小さくし、ステップS372でリトライ時間t2を2△tだけ大きくする。
これにより、書き込みのための電波送信時間は、それまでよりも前後に△tだけ長くなり、書き込み失敗(エラー)発生の確率を低下させることが可能である。
なお、ステップS372で△tだけ大きくすることで上記電波送信時間を書き込み前側にのみ△tだけ広げるようにしてもよい。またステップS372においてステップS371の△tの2倍でなく、これより大きい適宜の値に設定してもよいことはいうまでもない。
また、図10の例では、上記同様、書き込みのための電波送信時間を前後に長くするもので、ステップS373で書き込み出力Prを△Prだけ大きくする。
これにより、想定した書き込みトライ区間よりも実際に電波が届く範囲を広めに拡大することができ、書き込みのための電波送信時間がそれまでよりも前後に若干長くなるので、書き込み失敗(エラー)発生の確率を低下させることが可能である。
一方、図11の例は、何らかの理由で、想定した検出開始位置より搬送方向に若干進んだ位置で遅れて無線タグ回路素子Toが返答していると思われる場合の対処例である。すなわち、上記検出タイミングの誤差を補正するために待機時間を短くするもので、ステップS374で待機時間t1を△tだけ小さくし、ステップS376でリトライ時間t2を△t′だけ大きくする。△t′の値は予想される上記誤差に応じて△tより大きくても小さくても等しくても良いし、あるいは場合によっては△t′=0であっても構わない(この場合ステップS376自体が省略されることとなる)
これにより、前述の検出遅れに基づく書き込み開始時期のズレをそれまでよりも△tだけ早い時期にずらし、また△t′の値に応じて書き込み終了時期を適宜設定して、書き込み失敗(エラー)発生の確率を低下させることが可能である。
さらに、図12の例は、上記同様、検出タイミングの誤差を補正するもので、ステップS376で検出時出力PRを△PRだけ大きくする。
これにより、パワーが大きくなった分それまでよりも無線タグ回路素子Toの検出(反応)タイミングを早くすることができるので、上記同様、書き込み失敗(エラー)発生の確率を低下させることが可能である。
図13(a)及び図13(b)は、上記のようにして無線タグ回路素子Toへの書き込み及び印字済タグテープ110の切断が完了して形成され、排出された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図13(a)は上面図、図13(b)は下面図である。また図14は、図13中XIV‐XIV′断面による横断面図である。
これら図13(a)、図13(b)、及び図14において、無線タグラベルTは、図3の部分拡大図に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、カバーフィルム103側(図14中上側)よりその反対側(図14中下側)へ向かって、カバーフィルム103、カバーフィルム用粘着層101a、ベースフィルム101b、貼着用粘着層101c、剥離紙101dで5層を構成している。そして、前述のように ベースフィルム101bの裏側に、IC回路部151及びアンテナ152からなる無線タグ回路素子Toが備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
以上において、高周波回路21の送信部32が、各請求項記載の、無線タグ回路素子の位置を検出するための位置検出信号を、装置側アンテナを介して非接触でタグ側アンテナに送信する位置検出信号送信手段を構成し、受信部33が、この位置検出信号送信手段による位置検出信号に応じてIC回路部より返信される返信信号を、タグ側アンテナを介し非接触で装置側アンテナで受信する返信信号受信手段を構成する。また送信部32は、返信信号受信手段で受信された返信信号に基づいて、IC回路部に書き込むための無線タグ情報を、装置側アンテナを介して非接触でタグ側アンテナに送信する書き込み情報送信手段をも構成する。
また、制御回路30が、カートリッジ駆動回路24及びカートリッジ用モータ23を介し搬送手段としてのテープ送りローラ107による搬送速度を制御する第1制御手段を構成するとともに、可変増幅送信アンプ39へのTX_PWR信号によって位置検出信号送信手段としての送信部32による送信出力を可変に制御する第2制御手段をも構成する。また制御回路30は、図9及び図11のフローに示したように、返信信号受信手段による返信信号の受信後書き込み情報送信手段による無線タグ情報の送信までの時間(待機時間t1)を可変に制御する第3制御手段をも構成し、図10のフローに示したように、書き込み情報送信手段による送信出力を制御する第4制御手段をも構成する。
さらに、制御回路30の行う図7に示したフローのうち、ステップS280が、 書き込み情報送信手段による送信実行後、IC回路部への書き込みが成功したか否かの判定を行う判定手段に相当する。
以上のように構成した本実施形態の作用効果を以下に説明する。
本実施形態の無線タグ情報書き込み装置2においては、高周波回路21の送信部32が、アンテナ14を介し検出時出力PRで位置検出信号としての「Scroll All ID」信号を送信する。カートリッジ100から搬出されてくる印刷済みタグテープ110上の無線タグ回路素子Toがこの位置検出信号が届く検出位置P1(図8参照)まで搬送されてくると、この位置検出信号に反応して返信信号としてのID番号を送信(返信)し、この返信信号がアンテナ14を介し高周波回路21の受信部33で受信され、この受信のタイミングで当該検出位置p1に無線タグ回路素子Toが来たことが検出される。そして、この受信の後、無線タグ回路素子Toがアンテナ14近傍(半径r内)に予め設定した書き込みトライ区間の書込開始位置p2に到達するような所定の待機時間t1が経過した後に、送信部32からが無線タグ情報としての「program」信号を無線タグ回路素子Toへと送信し、書き込みを行う。
以上のように、位置検出信号に対する無線タグ回路素子Toの返信信号に基づき無線タグ回路素子Toの位置を検出し、さらにこれを基に、無線タグ回路素子Toが書込最適位置に到達したタイミングを見計らって書き込みを行うようにしたことにより、次々と搬送されてくる複数の無線タグ回路素子Toに対し、センサ等を用いることなく、必要最小限の送信出力で効率的かつ連続的に情報書き込み処理を行うことができる。
また、図7のステップS370に示したように、現在の状況が書き込みに不適切である場合には、図9〜図12に示すように待機時間t1、リトライ時間t2、書き込み出力Pr、検出時出力PRを補正するパラメータ再調整処理を行うことにより、書き込み失敗(エラー)発生の確率を低下させることが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を淳を追って説明する。
(1)書き込みトライ区間で搬送速度を変化させる場合
図15は、この変形例における制御回路30による上記無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報書き込み手順を表すフローチャートであり、前述の図7に相当する図である。
この図15においては、ステップS110及びステップS120は図7と同じである。そしてステップS130に変わるステップS130Aにおいて、上記ステップS120で入力した搬送速度VとパワーPの値に基づき、ステップS130と同様の待機時間t1と、後述する搬送速度Vの減速(V→V−△V)に対応した(長めの)リトライ時間t2−Lとが算出される。
ステップS140〜ステップS170は図7と同様であり、「Scroll All ID」信号が送信されてそのリプライ信号が受信された後、上記待機時間t1が経過し無線タグ回路素子Toが書込みトライ区間に入ったら、ステップS170より新たに設けたステップS175に移る。
ステップS175では、搬送速度Vを△Vだけ減速する。この△Vの値は、書込動作を確実に行いエラー確率を低減するために例えば予め定めされ制御回路30内に記憶された値である。このステップS175が終了したら、ステップS180へ移り、以降はこの減速された搬送速度Vにおいて信号送受動作が行われる。
ステップS180〜ステップS360は上記図7と同様である。
なお、正常に書き込みが終了し、ステップS320→ステップS330を経て最初のステップS110に戻る前、あるいはエラー処理となってステップS360でエラーカウント数が1増加されてステップS360に戻る前に、本変形例では新たにステップS365を設け、搬送速度Vを元に戻す(△Vだけ増速する)。これにより、次の検出時にはまたもとの搬送速度Vにて信号送受を行うことができる。
本変形例においては、アンテナ14近傍で無線タグ回路素子Toへの情報書き込みを行うときに搬送速度Vを比較的低くするので、情報書き込みのための時間T2−Lを比較的十分にとることができるとともに、無線タグ回路素子Toを装置側アンテナより通信可能な近傍範囲内に比較的長い時間存在させることができるので、さらに確実に情報書き込みを行える効果がある。
なお、逆に検出時における前述の誤差防止等に重点を置く場合には、上記とは逆に、検出時の搬送速度を相対的に小さく、情報書き込み時の搬送速度を相対的に大きくすることも考えられる。いずれにしても、情報書き込み時のエラーを少なくするために、搬送速度を、位置検出時と情報書き込み時とで変化させるという点で共通である。
また、このような搬送速度V可変の手法を、上記実施形態の図7や上記変形例の図15のステップS370のパラメータ再調整処理において行っても良い。すなわち、エラーカウント数が既定値を超えた場合は、もともとの搬送速度Vの設定自体に無理があった(速すぎた)として、搬送速度Vを所定値だけ小さくするようにしても良い。
(2)カートリッジ100側に各種パラメータ値を記録し、装置2側のセンサで読み込む場合
すなわち、前述した図7又は図15におけるステップS120で搬送速度V、送信電波出力のパワーP(あるいはタグ感度)等を、上記端末5又は汎用コンピュータ6の入力操作での設定値を読み込んだのに代え、カートリッジ100に設けた被検出部190にそれら設定値をパラメータ情報として形成しておき、それら情報を別途装置2側に設けたセンサ(情報検出手段)20で検出し、制御回路30へ読み込むようにする場合である。
図16は、このカートリッジ100に形成した被検出部190とセンサ20との位置関係を模式的に表す図である。図16において、被検出部190は、この例では4つの識別子190を備えている。センサ20は例えば光の透過・反射を利用するもので、制御回路30からの信号により発光する発光ダイオード(図示せず)、その発光の各識別子190における透過・反射光を受光し対応する検出信号を制御回路30に出力するフォトトランジスタ(図示せず)とから構成される。
識別子190は、それぞれの反射の有無によって、カートリッジ100内の上記無線タグ回路素子Toに最適な上記各種パラメータ(搬送速度V、送信電波出力のパワーP、あるいはタグ感度)をパラメータ情報として表すようになっている(さらには無線通信に使用する電波の周波数、通信プロトコルといった通信パラメータや、IC回路部メモリ容量、テープ幅、素子Toの配置間隔といったタグ属性パラメータ等を含んでも良い)。
なお、センサ20は上記の光学式には限られず、他の方式、例えば凹凸形状を備えた被検出部190の識別子に対しメカニカルスイッチで検出するようにしてもよい。
本変形例によれば、カートリッジ100に形成された内包無線タグ回路素子Toのタグ属性パラメータや通信パラメータに応じた適正な搬送速度V、送信出力P、待機時間t1等を用い、さらに確実に書き込み処理を行うことが可能となる。
なお、以上においては、印刷動作に伴い搬送ガイド13を移動中の印字済タグテープ110に対してアクセスエリア内に保持しつつ位置検出及び情報書き込みを行う例を示したが、これに限られない。すなわち、その印字済タグテープ110を所定位置で停止させて搬送ガイド13にて保持した状態で上記位置検出又は情報書き込みを行うようにしてもよい。
また、以上は、無線タグ情報書き込み装置2は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151へ無線タグ情報の書き込みを行うと共に、サーマルヘッド10によってその無線タグ回路素子Toを識別するための印刷(印字)を行うものであったが、この印刷は必ずしも行われなくともよく、無線タグ情報の書き込みのみを行うものであっても構わない。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。