以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1の実施の形態を図1〜図13により説明する。
図1は、本実施形態のラベル作成装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、本実施形態によるラベル作成装置2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
図2は、上記ラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
図2において、ラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部に、カートリッジ100が着脱可能に取り付けられている。
装置本体8は、第2ロール(被印字テープロール)104から繰り出されるカバーフィルム(他のテープ、被印字テープ)103に所定の印字(印刷)を行う印字ヘッド(印字手段。例えばサーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103と第1ロール(タグテープロール)102から繰り出される基材テープ(タグテープ)101とを貼り合わせつつ印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ100から繰り出すための圧着ローラ駆動軸12と、印字済タグラベル用テープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行うアンテナ(装置側アンテナ)14と、上記印字済タグラベル用テープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(詳細は後述)を生成するカッタ15と、上記アンテナ14と上記回路素子Toとの信号の送受結果に応じて(詳細は後述)上記印字済タグラベル用テープ110にパンチ孔(刻印。図示せず)を形成するパンチ機(加工手段)19と、無線タグラベルTを搬出口16へと搬送し送出する送出ローラ17と、それらを収納するように外郭を構成し、カートリッジ100を着脱可能に嵌合させる上記カートリッジホルダ部及び上記搬出口16を備える筐体9とを有する。
アンテナ14は、一方側(この例では図2の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(この例ではいわゆるパッチアンテナ)で構成されるとともに上記第1ロール102の軸方向(図2の紙面に向かって奥側)近傍に配置されており、第1ロール102の基材テープ101の送り出し部分近傍領域Xと通信可能となるように配置されている。
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11、圧着ローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記パンチ機19の駆動制御を行うパンチ駆動回路20と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、ラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路30とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し例えば通信回線に接続され、この通信回線に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。
図3は、上記カートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
この図3において、カートリッジ100は、筐体100Aと、この筐体100A内に配置され帯状の上記基材テープ101が巻回された上記第1ロール102と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された上記第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープとしつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする(=テープ送りローラとしても機能する)圧着ローラ(貼り合わせ手段)107とを有する。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で順次形成された上記基材テープ101を巻回している。
基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、適宜の粘着材からなる粘着層101c、剥離紙101dの順序で積層され構成されている。
ベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、情報の送受信を行うアンテナ(タグ側アンテナ)152が一体的に設けられており、これに接続するように情報を更新可能に(書き換え可能rewritableに)記憶するIC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。
ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。なお、この剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記圧着ローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
上記構成のカートリッジ100において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が上記印字ヘッド10に押圧されて当該カバーフィルム103の裏面に当接させられる。
そして、カートリッジ100が上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述の圧着ローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、圧着ローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字R(後述の図7参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープとして形成され、カートリッジ100外へと搬出される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。また、第1ロール102の繰り出し近傍にはガイドローラ120が設けられており、第1ロール102の残量により外径が変化しても装置側のアンテナ14と無線タグラベルTの位置関係が所定の範囲となるように規制して、無線タグ回路素子Toとの通信条件を一定に保つようになっている。
図4は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路21は、アンテナ14を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase
Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波(無線タグ情報)を、制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部33は、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に位相が90°遅れた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を入力するとともに増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
図5は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図5において、無線タグ回路素子Toは、ラベル作成装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記ラベル作成装置2のアンテナ14からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図6(a)及び図6(b)は、上述のようにして無線タグ回路素子Toの情報書き込み及び印字済タグラベル用テープ110の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は下面図である。また図7は、図6中VII−VII′断面による横断面図である。
これら図6(a)、図6(b)、及び図7において、無線タグラベルTは、図3に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、カバーフィルム103側(図7中上側)よりその反対側(図7中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層を構成している。そして、前述のようにベースフィルム101bの裏側に設けられたアンテナ152を含む無線タグ回路素子Toが粘着層101c内に備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
図8は、上述したようなラベル作成装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(書き込み又は読み取り)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6に表示される画面の一例を表す図である。
図8において、この例では、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有のIDであるアクセス(書き込み又は読み取り)ID、上記情報サーバ7に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、その端末5又は汎用コンピュータ6の操作によりラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、後述するようにIC回路部151に上記書き込みID及び物品情報等の情報が書き込まれる(又はIC回路部151に予め記憶された物品情報等の無線タグ情報が読みとられる)。
上記のような書き込み(又は読み取り)の際、生成された無線タグラベルTのIDとその無線タグラベルTのIC回路部151から読みとられた情報(又はIC回路部151に書き込まれた情報)との対応関係は、前述のルートサーバ4に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
ここで、本実施形態のラベル作成装置2の最も大きな特徴は、アンテナ14か ら無線タグ回路素子ToのIC回路部151への無線タグ情報の書き込み結果に応じて、パンチ機19により印字済タグラベル用テープ110にパンチ孔を形成するようにしたことにある。以下、この詳細について図9を用いて説明する。
図9は、上述した無線タグラベルTの作成、すなわち、カバーフィルム103を搬送し印字ヘッド10で所定の印字を行いつつアンテナ14より所定の無線タグ情報を書き込んだ基材テープ101を貼り合わせて印字済タグラベル用テープ110とした後無線タグ回路素子Toごとに切断し無線タグラベルTとする際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
この図9において、ラベル作成装置2の書き込み操作が行われるとこのフローが開始される。そして、まずステップS10において、上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作された、アンテナ14より無線タグ回路素子ToのIC回路部151へ書き込むべき無線タグ情報と、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字すべき印字情報とが、通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれる。
その後、ステップS15に移り、通信不良等が疑われるときのリトライ(再試行)の回数をカウントする変数N、及び通信良好か不良かを表すフラグFを0に初期化する。
次に、ステップS20において、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され圧着ローラ107へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。さらに送出ローラ駆動回路29を介して送出ローラ用モータ28に制御信号を出力し、送出ローラ17を回転駆動させる。以上の結果、前述したように基材テープ101と(後述のように印刷が終了した)カバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ体100外方向へと搬送されていくように、各テープ101,103,110が駆動開始される。
その後、ステップS30において、無線タグ情報を無線タグ回路素子Toに送信し書き込む書き込み処理を行う(詳細は後述の図10を参照)。
そして、ステップS35Aに移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10を通電して、カバーフィルム103のうち所定の領域(例えば基材テープ101に所定ピッチで等間隔で配置された無線タグ回路素子Toの裏面に貼り合わせることとなる領域)に、ステップS10で読み込んだ文字、記号、バーコード等の印字Rを印刷させる。ステップS35Aが終了すると、ステップS40に移る。
ステップS40では、上記ステップS30で無線タグ回路素子Toへ書き込んだ無線タグ情報と、これに対応して印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせが、入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6を介して出力され、情報サーバ7やルートサーバ4に記憶される。なお、この記憶データは必要に応じて端末5又は汎用コンピュータ6より参照可能に例えばデータベース内に格納保持される。
その後、ステップS50で、カバーフィルム103のうちこの時点で処理対象としている無線タグ回路素子Toに対応する領域への印字がすべて完了しているかどうかを確認した後、ステップS60へ移る。
ステップS60では、印字済タグラベル用テープ110がカッタ15で切断されるべき所定位置にまで搬送されたかどうかを判定する。具体的には、例えば、対象とする無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を所定の長さ(余白量)分だけ越えたかどうかを、基材テープ101(詳細には例えば剥離紙101d、あるいはカバーフィルム103等でもよい)に対し各無線タグ回路素子Toに対応して設けた適宜の識別用マークをカートリッジ100外(例えばカッタ15のさらに搬送方向下流側)に設けた公知のテープセンサで検出することにより行えば足りる。またこのような検出を行わず、印字Rの印字文字長に所定の余白領域分を加えた長さが無線タグ回路素子Toの全長を超えているかどうかを印字情報に基づき判定する(超えていれば、少なくともカバーフィルム103の印字が完了した段階でその余白領域外をカッタ15で切断するようにすれば、貼り合わせられる無線タグ回路素子Toを切断することは回避できるため)ことで代用してもよい。
上記ステップS60の判定が満たされたら、ステップS70に移る。ステップ S70では、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28の駆動を停止して、リボン巻取りローラ106、圧着ローラ107、送出ローラ17の回転を停止する。これにより、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び送出ローラ17による印字済タグラベル用テープ110の搬送が停止する。
次のステップS74では、フラグF=0であるかどうかが判定される。書き込み処理が正常に完了していればF=0のまま(後述の図10に示すフローのステップS38参照)であるので、この判定が満たされ、ステップS80に移る。一方、何らかの理由で書き込み処理が正常に完了していない場合には、F=1とされている(後述の図10に示すフローのステップS38参照)のでこの判定が満たされず、ステップS75に移り、パンチ駆動回路20に制御信号を出力してパンチ機19により印字済タグラベル用テープ110にパンチ孔を形成させる。このようにパンチ孔を形成することによって当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示するようにした後、ステップS80へ移る。なお、パンチ孔は、例えば無線タグ回路素子ToのIC回路部151以外の部分(アンテナ152等)を貫通するように形成される。このように、無線タグ回路素子ToのIC回路部151を避けてアンテナ152等を貫通させることにより、パンチ機19の刃先の摩耗や部分的破損を確実に防止し、寿命を向上させることができる。また、ここで形成されるパンチ孔の形状としては、円又は円の一部(半円切込み等)でもよいし、例えば四角形等の角形でもよい。
ステップS80では、ソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動し、カッタ15によって印字済タグラベル用テープ110の切断を行う。前述したように、この時点で、例えば処理対象の無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を十分に越えており、このカッタ15の切断によって、無線タグ回路素子Toの無線タグ情報が読み取られかつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTが生成される。
その後、ステップS90に移り、送出ローラ用駆動回路29に制御信号を出力し、送出ローラ用モータ28の駆動を再開して、送出ローラ17を回転させる。これにより、送出ローラ17による搬送が再開されて上記ステップS150でラベル状に生成された無線タグラベルTが搬出口16へ向かって搬送され、搬出口16から装置2外へと排出される。
そして最後に、ステップS100で、カートリッジ100内の通信範囲(前述の領域X)に残存する無線タグラベル回路素子Toに備えられたIC回路部151の全無線タグ情報を消去(初期化)する。詳細には、無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記憶された情報を初期化する「Erase」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Erase」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介し通信範囲(上記領域X)内の全無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157を初期化する。
図10は、上記ステップS30の詳細手順を表すフローチャートである。
図10において、図9における前述のステップS20が終了すると、まずステップS31に移り、所望のデータをメモリ部157に書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で本来書き込みたいID情報を含む無線タグ情報としての「Program」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して通信可能エリア内(前述の領域X内)にあるすべての無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157に情報が書き込まれる。
その後、ステップS32において、メモリ部157の内容を確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
そして、ステップS33に移り、上記「Verify」信号に対応して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ(応答)信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS34において、上記ステップS33の受信結果に基づき、上記通信エリア内の全無線タグ回路素子Toのうち、少なくとも1つから何らかの有効なリプライ信号(メモリ部157に正常に記憶されたことを表す信号)が受信されたかどうかを判定する。
判定が満たされたら、上記領域X内の少なくとも1つの無線タグ回路素子Toには正しく書き込まれており、領域X内の全無線タグ回路素子Toへの書き込み失敗は回避されていることから、このルーチンを終了する。判定が満たされない場合はステップS35に移ってNに1を加え、さらにステップS36においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS31に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合は前述したステップS37に移る。ステップS37では、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせた後、ステップS38でフラグF=1としてこのルーチンを終了する。このように、情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われることにより、書き込み信頼性の確保上、万全を期すことができる。
以上において、信号処理回路22及び高周波回路送信部32は、各請求項記載の、IC回路部と通信を行うための無線タグ情報を生成する通信情報生成手段を構成すると共に、IC回路部に書き込まれた無線タグ情報を初期化する初期化指令信号を生成する初期化指令生成手段をも構成する。
また、圧着ローラ駆動軸12とカートリッジ用モータ23とが、タグテープをタグテープロールから繰り出すための駆動手段を構成し、制御回路30は、通信情報生成手段で無線タグ情報を生成し書き込みを行い、駆動手段でタグテープを繰り出し方向に駆動した後、初期化指令生成手段で初期化指令信号を生成するように、通信情報生成手段、駆動手段、及び初期化指令生成手段を制御する第1制御手段を構成すると共に、前記加工手段による加工時又は前記切断手段による切断時に、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部以外の部分を切断するように、前記加工手段又は前記切断手段及び前記駆動手段を制御する第2制御手段をも構成する。
以上説明した本実施形態のラベル作成装置2において、無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の書き込みの際には、信号処理回路22及び高周波回路送信部32でその無線タグ回路素子Toに対応した無線タグ情報が生成された後、この無線タグ情報が、アンテナ14から基材テープ101上の当該無線タグ回路素子Toのアンテナ152に対し無線通信によって伝達され、さらにアンテナ152に接続されたIC回路部151へと書き込まれる。
ここで、無線タグ回路素子Toの属性、ラベル作成装置2側の送信特性、周囲の電波環境等、何らかの理由によって無線タグ情報のIC回路部151への書き込みがうまくいかない可能性が存在しうる。このような無線タグラベルTはそのままユーザ側の利用に供するには不適当であって、良好に書き込みが終了した他の無線タグラベルTと区別する必要がある。
そこで、本実施形態のラベル作成装置2においては、前述したようにアンテナ14から無線タグ回路素子ToのIC回路部151への無線タグ情報の書き込み処理が正常に完了していない場合には、制御回路30からパンチ駆動回路20に制御信号が出力され、パンチ機19により印字済タグラベル用テープ110にパンチ孔が形成される。このようにパンチ孔を形成することによって、当該無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルTが正常品でないことを明らかに表示することができ、単に印字文字や態様を異ならせるに過ぎない従来技術のように作成されたタグラベルをいちいちのぞき込んで確認したりなくても、ユーザにとって書き込みの良否は一目瞭然となる。この結果、書き込み良否の判別を手早くかつ確実に行うことができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
また、ラベル作成装置2においては、前述したように順次第1ロール102から送り出される無線タグ回路素子Toに対しいったん当該無線タグ回路素子To向けでない別の無線タグ情報が誤って書き込まれたとしても、最終的にその誤って書き込まれた無線タグ情報は消去(初期化)されて、書き込まれるべき正しい無線タグ情報が書き込まれた状態でカートリッジ100外に排出することができる。この結果、第1ロール102とアンテナ14とを大きく離すことなく、それらを互いに比較的近くに配置し(この例ではアンテナ14を第1ロールの軸方向側近傍に設け)つつ、各無線タグ回路素子Toに対応した正しい無線タグ情報を書き込むことができるので、装置全体を小型化することができる効果もある。
なお、以上においては、カバーフィルム103と基材テープ101とを貼り合わせた印字済タグラベル用テープ110に対してパンチ孔を形成する例を示したが、これに限られず、例えばパンチ機19をカートリッジ100内に設置し、書き込みが正常に完了しなかった場合に基材テープ101やカバーフィルム103に対してパンチ孔を形成するようにしてもよい。
なお、上記実施形態は、上記以外にも、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
(1)カートリッジを用いない場合
図11は、カートリッジを用いない変形例によるラベル作成装置2′の詳細構造を表す概念的構成図であり、上記実施形態の図2に相当する図である。図2と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。図11において、この変形例では、装置本体8に、上記搬出口16を備えた筐体9が設けられており、この筐体9に上記実施形態と同様のアンテナ14が設けられている。
アンテナ14は、上記実施形態と同様、一方側(この例では図11の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(パッチアンテナ)で構成されるとともに上記第1ロール102の軸方向(図11の紙面に向かって奥側)近傍に配置されており、第1ロール102の基材テープ101の送り出し部分近傍領域Xと通信可能となるように配置されている。結果として、アンテナ14は、搬出口16を介し筐体9の外部へ排出された無線タグ回路素子Toがその通信可能範囲外となるように構成されている。これにより、一旦搬出口16から筐体9外部へ出た無線タグ回路素子Toの無線タグ情報が初期化されたり、アンテナ14から別の情報がさらに書き込まれたりするのを確実に防止するようになっている。なお、この目的のために、搬出口16の周りは適宜のシールド手段が設けられている。
また、上記のようにカートリッジ100が省略されカートリッジ100に設けられていた各部材が直接筐体9に設けられているのに対応し、この例では、圧着ローラ駆動軸12及びリボン巻取りローラ駆動軸11は、上記実施形態のカートリッジ駆動回路24により駆動制御されるカートリッジ用モータ23に相当する圧着ローラ駆動回路24′により駆動制御される圧着ローラ用モータ23′によって駆動されるようになっている。
本変形例においても、アンテナ14からの無線タグ情報の書き込み処理が正常に完了していない場合にパンチ機19でパンチ孔を形成することにより、当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示するという上記実施形態と同様の効果を得る。
(2)貼り合わせを行わない場合
すなわち、上記実施形態のように、無線タグ回路素子Toを備えたタグテープ(基材テープ)101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせるのではなく、タグテープに備えられたカバーフィルムに印字を行うラベル作成装置用カートリッジに本発明を適用した場合である。
図12は、この変形例のカートリッジ100−1の詳細構造を説明するための説明図であり、上記実施形態における前述の図3等に対応する図である。図3と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図12において、カートリッジ100−1は、感熱テープ(タグテープ)101′が巻回された第1ロール(感熱テープロール)102′と、この感熱テープ101′をカートリッジ100−1外部方向にテープ送りをするテープ送りローラ107′とを、筐体100−1A内に有している。
第1ロール102′は、リール部材102a′の周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記感熱テープ101′を巻回している。第1ロール102′に巻き回される感熱テープ101′はこの例では3層構造となっており(図12中部分拡大図参照)、外側に巻かれる側よりその反対側へ向かって、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム101a′、適宜の粘着材からなる粘着層101b′、剥離紙101c′の順序で積層され構成されている。
カバーフィルム101′aの裏側には、情報を記憶する上記IC回路部151が一体的に設けられており、カバーフィルム101′aの裏側の表面には上記アンテナ152が形成されている。カバーフィルム101′aの裏側には、上記粘着層101b′によって上記剥離紙101c′がカバーフィルム101′aに接着されている。
また、上記第1ロール102′の軸方向(図12の紙面に向かって奥側)近傍には、一方側(この例では図12の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(この例ではいわゆるパッチアンテナ)からなるアンテナ14′が配置され、第1ロール102′の感熱テープ101′の送り出し部分近傍領域X′と通信可能となるように配置されている。
上記構成において、カートリッジ100−1が上記ラベル作成装置2のカートリッジホルダ部に装着されローラホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、感熱テープ101′が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ107′とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23(例えば図2等を参照)の駆動力による圧着ローラ駆動軸12の駆動に伴い、テープ送りローラ107′、サブローラ109、及びプラテンローラ108が同期して回転し、第1ロール102′から感熱テープ101′が繰り出される。
このようにして第1ロール102′から繰り出された感熱テープ101′に対し、上記近傍領域X′において前述のアンテナ14′を介し無線タグ情報へのアクセス(情報書き込み/読み取り)が行われた後、印字ヘッド10へと供給される。印字ヘッド10は、その複数の発熱素子が上記印刷駆動回路25(図2等を参照)により通電され、これにより感熱テープ101′のカバーフィルム101a′の表面に印字が印刷され、印字済タグラベル用テープ110′として形成された後、カートリッジ100−1外へと搬出される。なお、前述の実施形態のようなインクリボンを用いた印字としてもよいことは言うまでもない。
カートリッジ100−1′外へ搬出した後、書き込み不良の場合におけるパンチ機19によるパンチ孔の形成、送出ローラ17による搬送、カッタ15による切断等については上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
なお、上記は、印字ヘッド10によりカートリッジの外方からカバーフィルム101′aに当接させて印字を行ったが、これに限られず、前述の実施形態と同様、カートリッジの内方から印字を行っても良い(但し鏡面文字ではない)。図13はそのような変形例におけるカートリッジ100−2の詳細構造を説明するための説明図であり、上記の図12に対応する図である。図12等と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図13において、カートリッジ100−2は、感熱テープ101″(タグテープ)が巻回された第1ロール(タグテープロール)102″と、この感熱テープ101″をカートリッジ100−2外部方向にテープ送りをする上記テープ送りローラ107′と、感熱テープ101″の搬送方向を大きく転向させつつ搬送を行う上記搬送転向ロール120とを有している。
第1ロール102″は、リール部材102″aの周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記感熱テープ101″を巻回している。
第1ロール102″に巻き回される感熱テープ101″はこの例では3層構造となっており(図13中部分拡大図参照)、外側に巻かれる側(図13中右側)よりその反対側(図13中左側)へ向かって、剥離紙101″a、適宜の粘着材からなる粘着層101″b、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム101″cの順序で積層され構成されている。
カバーフィルム101″cの裏側(図13中右側)には、上記IC回路部151が一体的に設けられており、これに接続するように情報の送受信を行う上記アンテナ152が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。
カバーフィルム101″cの裏側(図13中右側)には、上記無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101″bによって上記剥離紙101″aがカバーフィルム101″cに接着されている。なお、この剥離紙101″aは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101″bにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
また、図12と同様、上記第1ロール102″の軸方向(図13の紙面に向かって奥側)近傍には、一方側(この例では図13の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(この例ではいわゆるパッチアンテナ)からなるアンテナ14′が配置され、第1ロール102″の感熱テープ101″の送り出し部分近傍領域X′と通信可能となるように配置されている。
カートリッジ100−2が上記タグラベル作成装置2のカートリッジホルダ部に装着されローラホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、感熱テープ101″が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ107′とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23(図2等を参照)の駆動力によるテープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴い、テープ送りローラ107′、サブローラ109、及びプラテンローラ108が同期して回転し、第1ロール102″から感熱テープ101″が繰り出され、搬送転向ロール120で大きく方向を転向された後、印字ヘッド10側へと供給される。このようにして第1ロール102″から繰り出された感熱テープ101″に対し、上記近傍領域X′において前述のアンテナ14′を介し無線タグ情報へのアクセス(情報書き込み/読み取り)が行われた後、印字ヘッド10へと供給される。
印字ヘッド10は、その複数の発熱素子が上記印刷駆動回路25(図2等を参照)により通電され、これにより感熱テープ101″のカバーフィルム101″cの表面に印字が印刷され、印字済タグラベル用テープ110″として形成された後、カートリッジ100−2外へと搬出される。なお、前述の実施形態のようなインクリボンを用いた印字としてもよいことは言うまでもない。
カートリッジ100−2外へ搬出した後、書き込み不良の場合におけるパンチ機19によるパンチ孔の形成、送出ローラ17による搬送、カッタ15による切断等については上記と同様であるので説明を省略する。
以上2つの例においても、上記実施形態と同様、アンテナ14から無線タグ回路素子ToのIC回路部151への無線タグ情報の書き込み処理が正常に完了していない場合に、パンチ機19により印字済タグラベル用テープ110′,110″にパンチ孔を形成し、当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示してユーザの利便性を向上するという効果を得ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、アンテナ14から無線タグ回路素子ToのIC回路部151への無線タグ情報の書き込みが正常に行われなかった場合に、上記第1の実施の形態では印字済タグラベル用テープ110にパンチ機19によりパンチ孔を形成したのに対し、カッタ(切断手段)15で印字済タグラベル用テープ110を対象とする無線タグ回路素子Toと共に切断するようにしたものである。
図14は、本実施形態のラベル作成装置2″の詳細構造を表す概念的構成図であり、前述の実施形態の図2に相当する図である。図2と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図14に示す本実施形態のラベル作成装置2″の構成において、前述の実施形態におけるラベル作成装置2と相違する点は、パンチ機19及びこの駆動制御を行うパンチ駆動回路20を有していない点、及び前述の制御回路30に代えて書き込み不良の場合に対象とする無線タグ回路素子Toを切断するようにカッタ15等を制御する機能を備えた制御回路30′を有する点である。その他の構成については前述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
図15は、本実施形態において制御回路30′によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、上記第1の実施形態の図9に相当する図である。図9と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図15において、図9と同様に、まず、ステップS10において、IC回路部151へ書き込むべき無線タグ情報と、印字ヘッド10により印字すべき印字情報とが読み込まれた後、ステップS15に移り、通信不良等が疑われるときのリトライ(再試行)の回数をカウントする変数N、及び通信良好か不良かを表すフラグFを0に初期化する。
次に、図9と同様に、ステップS20において、リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させてテープ101,103,110の搬送を開始し、ステップS30において、無線タグ情報を無線タグ回路素子Toに送信し書き込む書き込み処理(詳細は前述の図10を参照)を行った後、ステップS35Aで印字ヘッド10を通電してステップS10で読み込んだ印字Rの印刷を行う。ステップS35Aが終了すると、新たに設けたステップS39に移る。
ステップS39では、フラグF=0であるかどうかが判定される。上記ステップS30における書き込み処理が正常に完了していればF=0のまま(前述の図10に示すフローのステップS38参照)であるので、この判定が満たされ、図9と同様のステップS40に移る。
ステップS40では、前述したように無線タグ回路素子Toへ書き込んだ無線タグ情報と印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせを情報サーバ7やルートサーバ4に記憶させた後、ステップS50で上記同様に印字完了を確認し、次のステップS60に移る。
なお、先のステップS30において、何らかの理由で書き込み処理が正常に完了していない場合にはF=1とされている(前述の図10に示すフローのステップS38参照)ので、上記ステップS39の判定が満たされず、ステップS41に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10を通電を中止し印字を停止させる。
その後、ステップS42に移り、対象とする無線タグ回路素子To(例えばアンテナ152等のIC回路部151以外の部分)がカッタ15による切断位置に到達するところまで印字済タグラベル用テープ110が搬送されたかどうかを判定する。具体的には、例えば前述したように基材テープ101に対し各無線タグ回路素子Toに対応して設けた適宜の識別用マークをカートリッジ100外に設けた公知のテープセンサで検出することにより行えば足りる。
上記ステップS42の判定が満たされたら、ステップS43に移る。ステップ43では、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28の駆動を停止して、リボン巻取りローラ106、圧着ローラ107、送出ローラ17の回転を停止する。これにより、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び送出ローラ17による印字済タグラベル用テープ110の搬送が停止する。
次に、ステップS44で、ソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動し、カッタ15によって印字済タグラベル用テープ110の(例えば幅方向全範囲にわたる)切断を行う。これにより、印字済タグラベル用テープ110中の無線タグ回路素子Toが送受信不能に切断される。なおこのとき、前述したように例えば無線タグ回路素子ToのIC回路部151以外の部分(アンテナ152等)が切断される。このように、無線タグ回路素子ToのIC回路部151を避けてアンテナ152等を切断することにより、カッタ15の刃先の摩耗や部分的破損を確実に防止し、寿命を向上させることができる。
その後、ステップS45に移り、送出ローラ用駆動回路29に制御信号を出力し、送出ローラ用モータ28の駆動を再開して、送出ローラ17を回転させる。これにより、送出ローラ17による搬送が再開されて上記ステップS44で切断された印字済タグラベル用テープ110の切断先端部(切断位置より搬出口16側部分)が搬出口16へ向かって搬送され、搬出口16から装置2外へと排出される。
次に、ステップS46において、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、上記ステップS44で切断された印字済タグラベル用テープ110の残り部分(切断位置よりカートリッジ100側部分)が搬出口16へ向かって搬送される。その後、次のステップS60へ移る。
ステップS60では、図9同様に、カッタ位置まで搬送されたかどうかを判定する。なお、ここでは、上記ステップS42と異なり、上記ステップS44で切断された印字済タグラベル用テープ110の残り部分(切断位置よりカートリッジ100側部分)がカッタ15を十分に越えたかどうかを判定する。
上記ステップ60の判定が満たされたら、ステップS70に移り、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力して、印字済タグラベル用テープ110の搬送を停止する。
次のステップS80及びこれ以降の手順については、図9と同様であるので、説明を省略する。
以上において、制御回路30′は、通信情報生成手段で無線タグ情報を生成し書き込みを行い、駆動手段でタグテープを繰り出し方向に駆動した後、初期化指令生成手段で初期化指令信号を生成するように、通信情報生成手段、駆動手段、及び初期化指令生成手段を制御する第1制御手段を構成すると共に、前記加工手段による加工時又は前記切断手段による切断時に、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部以外の部分を切断するように、前記加工手段又は前記切断手段及び前記駆動手段を制御する第2制御手段をも構成する。
以上説明した本実施形態のラベル作成装置2″においては、前述したようにアンテナ14から無線タグ回路素子ToのIC回路部151への無線タグ情報の書き込み処理が正常に完了していない場合に、無線タグ回路素子Toがカッタ15による切断位置に到達した時点で印字済タグラベル用テープ110の搬送を一旦停止し、印字済タグラベル用テープ110を無線タグ回路素子To(例えばIC回路部151以外の部分のアンテナ152等)と共に切断する。このように、無線タグ回路素子Toを切断して送受信不能とすると共に、印字済タグラベル用テープ110を切断することによって、前述の実施形態と同様に当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示することができ、単に印字文字や態様を異ならせるに過ぎない従来技術のように作成されたタグラベルをいちいちのぞき込んで確認したりなくても、ユーザにとって書き込みの良否は一目瞭然となる。この結果、書き込み良否の判別を手早くかつ確実に行うことができるので、ユーザの利便性を向上することができる。また、印字済タグラベル用テープ110が切断されているため、ユーザが誤って不良ラベルを貼り付けることを防止できる効果もある。
なお、本実施の形態においても、前述の第1の実施形態で説明した(1)及び(2)のような変形が可能である。
また、以上においては、無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報を送信しIC回路部に書き込みを行う場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、予め所定の無線タグ情報(タグ識別情報等)が書き換え不可に記憶保持されている読み取り専用の無線タグ回路素子から無線タグ情報を読み取りながら、これに対応する印字を行ってラベルを作成する場合があり、このような場合にも適用可能である。
この場合には、図3、図12、図13等に示すカートリッジ構造においてロール102,102′,102″内に領域X,X′が入り込まないように(ロール102,102′,102″内の無線タグ回路素子Toとは通信しないように)適宜のシールド手段等を設けた上で、図9又は図15におけるステップS10においては印字情報のみを読み込み、ステップS30で無線タグ情報の読み込み処理を行うようにすればよい(詳細は後述の図16参照)。その後ステップS40では印字情報とその読み込んだ無線タグ情報との組み合わせを保存する。
図16は、上記無線タグ読み込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。
図16において、情報読み取り対象とする無線タグ回路素子Toがアンテナ14近傍に搬送されてきたら、ステップS101において、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll
All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Scroll All ID」信号が生成されて高周波回路21を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
次に、ステップS102において、上記「Scroll All ID」信号に対応して読み取り対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(タグID情報等を含む無線タグ情報)をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS103において、上記ステップS102で受信したリプライ信号に誤りがないか否かを公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて判定する。
判定が満たされない場合はステップS104に移ってNに1を加え、さらにステップS105においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS101に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS106に移り、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する読み取り失敗(エラー)表示を行わせた後、ステップS107でフラグF=1としてこのルーチンを終了する。このように、情報読み取りが不調でも5回までは再試行が行われることにより、読み取り信頼性の確保上、万全を期すことができる。
ステップS103の判定が満たされた場合、読み取り対象とする無線タグ回路素子Toからの無線タグ情報の読み取りが完了し、このルーチンを終了する。
以上のルーチンにより、カートリッジ内の読み取り対象の無線タグ回路素子Toに対し、IC回路部の無線タグ情報(タグ識別情報、物品情報等)にアクセスし、これを読み出すことができる。
また、以上においては、印刷動作に伴いカートリッジ100等の内部を移動中の基材テープ101(又は感熱テープ101′)に対して通信(書き込み又は読み取り)を行う例を示したが、これに限られず、基材テープ101等を所定位置で停止させて(さらに所定の搬送ガイドにて保持した状態で)上記通信を行うようにしてもよい。
さらに、以上で用いた「Scroll All ID」信号、「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号とは、EPC globalが策定したAuto−ID仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。