以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のタグラベル作成装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、本実施形態によるタグラベル作成装置(無線タグ情報通信装置)2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
図2は、上記タグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
図2において、タグラベル作成装置2の装置本体8(装置側筐体)には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部に、カートリッジ(タグ集合体)100が着脱可能に取り付けられている。また、装置本体8には、閉じ状態で上記カートリッジホルダ部を覆うように装置本体8に回動可能に接続された開閉蓋OCが設けられており、この開閉蓋OCには、その閉じ状態で装置本体8の前方側面8aを覆う前方側板OCaが形成されており、この前方側板OCaには係止穴51が穿設されている。そして、装置本体8には、開閉蓋OCの閉じ状態でその係止穴51へ係止ピン52を挿脱可能に駆動するロック用ソレノイド53が設けられている。
装置本体8は、第2ロール104から繰り出されるカバーフィルム103に所定の印字(印刷)を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103と第1ロール102から繰り出される基材テープ(タグテープ)101とを貼り合わせつつ印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ100から繰り出すための圧着ローラ駆動軸12と、基材テープ101に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行うアンテナ14(装置側アンテナ、第1読み取り手段、第1装置側アンテナ)と、カートリッジ100に備えられる無線タグ回路素子TA(情報媒体、初回タグ記憶用無線タグ回路素子)との間で上記同様に無線通信により信号の送受を行うカートリッジアンテナ19(第2装置側アンテナ)と、上記印字済タグラベル用テープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(詳細は後述)を生成するカッタ15と、無線タグラベルTを搬出口16へと搬送し送出する送出ローラ17と、上記搬出口16における無線タグラベルTの有無を検出するセンサ18と、カートリッジ100がカートリッジホルダ部に装着されているかどうかを検出するセンサ20(タグ集合体検出手段)と、それらを収納するように外郭を構成し、カートリッジ100を着脱可能に嵌合させる上記カートリッジホルダ部及び上記搬出口16を備える筐体9とを有する。
上記センサ20は、光の反射を利用した光学センサである。すなわち、制御回路30からの信号により発光する発光ダイオードと、その発光のカートリッジ筐体100A(後述)の外周面による反射光を受光し対応する検出信号を制御回路30に出力するフォトトランジスタとを備えて構成されている。なお、このセンサ20としては、これ以外にも、例えばカートリッジ100の装着に伴い押圧されるメカニカルスイッチを用いたセンサ等を用いてもよい。また、カートリッジの種別もこのセンサーで判別するようにしてもよい。
アンテナ14は、一方側(この例では図2の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(この例ではいわゆるパッチアンテナ)で構成されるとともに上記第1ロール102の軸方向(図2の紙面に向かって奥側)近傍に配置されており、第1ロール102の基材テープ101の送り出し部分近傍領域Xと通信可能となるように配置されている。
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14,カートリッジアンテナ19を介し上記無線タグ回路素子To,TAへアクセス(書き込み又は読み取り)を行うための高周波回路21と、無線タグ回路素子To,TAから読み出された信号を処理するための信号処理回路(アクセス情報生成手段)22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11、圧着ローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路(送信制御手段)30と、上記ロック用ソレノイド53を制御するロック用ソレノイド駆動回路58とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し例えば通信回線に接続され、この通信回線に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。
図3は、上記カートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
この図3において、カートリッジ100は、筐体100A(カートリッジ側筐体)と、この筐体100A内に配置され帯状の上記基材テープ101が巻回された上記第1ロール102と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された上記第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープで構成される場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープとしつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする(=テープ送りローラとしても機能する)圧着ローラ107と、上記筐体100Aの外周面における前記装置本体8側のカートリッジアンテナ19とほぼ向かい合う位置に設けられた無線タグ回路素子TAとを有する。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で順次配設された上記基材テープ101を巻回している。
基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、適宜の粘着材からなる粘着層101c、剥離紙101dの順序で積層され構成されている。
ベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、情報の送受信を行うアンテナ(タグ側アンテナ)152が一体的に設けられており、これに接続するように情報を更新可能に(書き換え可能rewritableに)記憶するIC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている(無線タグ回路素子TAも同様)。
ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。なお、この剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記圧着ローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
無線タグ回路素子TAには、基材テープ101に備えられる複数の無線タグ回路素子Toのうち、最初に供給される(言い換えれば最初に情報の書き込みが行われる)無線タグ回路素子Toのタグ特性値に関わる情報(ここでは無線タグ回路素子Toの感度情報。以下、「タグ感度情報」と記載する)がそのIC回路部151に記憶されており、制御回路30がこのタグ感度情報を読み込み前記高周波回路21を制御することにより、最初に供給される無線タグ回路素子Toに対し最適な通信態様でアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ことができるようになっている(詳細は後述)。なお、上記タグ感度情報は、IC回路部151(チップ)自体の感度(動作可能な最小電力)とアンテナ152(後述)のゲインとが組み合わされた情報である。あるいは、基準となる書込みアンテナを使用したときの最小書込み電力情報あるいは最適書込み電力情報であってもよい。このタグ感度情報がわかれば、タグラベル作成装置のアンテナのゲインや指向性、アンテナから無線タグ回路素子までの距離に応じて、最適な書込み条件、読み取り条件を設定することができる。
上記構成のカートリッジ100において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が上記印字ヘッド10に押圧されて当該カバーフィルム103の裏面に当接させられる。
そして、カートリッジ100が上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述の圧着ローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、圧着ローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字R(後述の図7参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープとして形成され、カートリッジ100外へと搬出される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。また、第1ロール102の繰り出し近傍にはガイドローラ120が設けられており、第1ロール102の残量により外径が変化しても装置側のアンテナ14と無線タグラベルTの位置関係が所定の範囲となるように規制して、無線タグ回路素子Toとの通信条件を一定に保つようになっている。
図4は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路21は、制御回路30により切り替えられるアンテナスイッチ(切替)回路341(アンテナ切替手段)と、このアンテナスイッチ回路341を経てアンテナ14,19を介し無線タグ回路素子To,TAに対して信号を送信する送信部(情報送信手段)32と、アンテナ14,19により受信された無線タグ回路素子To,TAからの反射波を入力する受信部33(第1読み取り手段)と、送受分離器34とから構成される。
アンテナスイッチ回路341は、周知の高周波用FETやダイオードを用いたスイッチ回路であり、制御回路30からの選択信号によりアンテナ14,19のいずれかを送受分離器34に接続するものである。
送信部32は、無線タグ回路素子To,TAのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波(無線タグ情報)を、制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯やマイクロ波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナスイッチ回路341を経てアンテナ14,19のいずれかに伝達されて無線タグ回路素子To,TAのIC回路部151に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部33は、アンテナ14,19により受信された無線タグ回路素子To,TAからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算し復調する受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ14,19により受信された無線タグ回路素子To,TAからの反射波と上記発生された後に位相が90°遅れた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を入力するとともに増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
なお、上記では特に説明しなかったが、本実施形態においては、アンテナスイッチ回路341がカートリッジアンテナ19側に切り替えられたときの通信(カートリッジアンテナ19と無線タグ回路素子TAとの通信)と、アンテナスイッチ回路341がアンテナ14側に切り替えられたときの通信(アンテナ14と無線タグ回路素子Toとの通信)とが相互に混信するのを防ぐために、アンテナスイッチ回路341の切り替え位置に応じて通信プロトコルが変更されるように制御する。これにより、混信することなく所望の無線タグ回路素子にアクセスできるようになっている。なお、プロトコルを変更せずに、アンテナスイッチ回路341の切り替え位置に応じて無線タグ回路素子に対するアクセス周波数を(例えば13MHzと950MHzといったように)変更するようにしてもよい。また、無線タグ回路素子TAのIDと無線タグ回路素子ToのIDとは一致しないようにし、無線タグ回路素子TAのIDを指定して読み取り書込みを行うことにより無線タグ回路素子Toは反応しないので混信を防止できる。また、予め無線タグ回路素子Toをスリープさせておいて無線タグ回路素子TAにアクセスするようにしてもよい。
図5は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図5において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152が受信した搬送波を変調し、アンテナ152より反射波として再送信する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
クロック抽出部156は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部155にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部155に供給する。
なお、詳細な図示を省略するが、カートリッジ100に設けられた無線タグ回路素子TAについても、上記無線タグ回路素子Toと同様の構造であって、IC回路部151(図示せず)及びアンテナ152(図示せず)等が備えられている。
図6は、上記メモリ部157の記憶内容を概念的に示す図である。この図6に示すように、本実施形態では、第1ロール102から繰り出される基材テープ101に備えられる各無線タグ回路素子Toの上記メモリ部157には、当該無線タグ回路素子To(第1無線タグ回路素子)の次に供給される(無線タグ情報の書き込みが行われる)無線タグ回路素子To(第2無線タグ回路素子)のタグ感度情報(図中「次書き込み条件」と記載)がそれぞれ記憶されている。なお、最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報については、上述したようにカートリッジ100に備えられる無線タグ回路素子TAに記憶されるようになっている。
図7(a)及び図7(b)は、上述のようにして無線タグ回路素子Toの情報書き込み及び印字済タグラベル用テープ110の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図7(a)は上面図、図7(b)は下面図である。また図8は、図7中VIII−VIII′断面による横断面図である。
これら図7(a)、図7(b)、及び図8において、無線タグラベルTは、図3に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、カバーフィルム103側(図8中上側)よりその反対側(図8中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層を構成している。そして、前述のようにベースフィルム101bの裏側に設けられたアンテナ152を含む無線タグ回路素子Toが粘着層101c内に備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
図9は、上述したようなタグラベル作成装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(書き込み又は読み取り)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6に表示される画面の一例を表す図である。
図9において、この例では、タグラベルの種別(アクセス周波数及びテープ寸法)、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有のIDであるアクセス(書き込み又は読み取り)ID、上記情報サーバ7に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、その端末5又は汎用コンピュータ6の操作によりタグラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、後述するようにIC回路部151に上記書き込みID及び物品情報等の情報が書き込まれる(又はIC回路部151に予め記憶された物品情報等の無線タグ情報が読みとられる)。
上記のような書き込み(又は読み取り)の際、生成された無線タグラベルTのIDとその無線タグラベルTのIC回路部151から読みとられた情報(又はIC回路部151に書き込まれた情報)との対応関係は、前述のルートサーバ4に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
ここで、本実施形態のタグラベル作成装置2の最も大きな特徴は、制御回路30が無線タグ回路素子TAに記憶された最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込み高周波回路21を制御するとともに、その後に供給される無線タグ回路素子Toについては、先行して供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151に記憶されたその次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込み高周波回路21を制御することにより、各無線タグ回路素子Toに対して最適な通信態様でアクセスできるようにしたことにある。以下、この詳細について図10を用いて説明する。
図10は、上述した最適通信態様による各無線タグ回路素子Toへのアクセス、すなわち、無線タグ回路素子TAに記憶された最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込むとともに、その後に供給される無線タグ回路素子Toについては先行して供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151に記憶されたその次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込み、最適な通信態様となるように高周波回路21を制御した上で無線タグ回路素子Toへのアクセスをする際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
この図10において、タグラベル作成装置2の電源が投入されるとこのフローが開始される。
まず、ステップS5では、無線タグ回路素子Toからの応答がなく、リトライ(再試行)を行った回数をカウントする変数N、及び通信良好か不良かを表すフラグFを0に初期化する。
次のステップS10では、カートリッジ100がカートリッジホルダ部に装着されているかどうかを判定する。すなわち、上記センサ20からカートリッジ100の装着状態に対応する検出信号が入力されたかどうかを判定する。カートリッジ100がカートリッジホルダ部に装着された場合には、判定が満たされて次のステップS20に移る。
ステップS20では、上記ロック用ソレノイド駆動回路58に蓋ロックに対応する制御信号を出力してロック用ソレノイド53を制御し、係止ピン52を係止穴52に挿通させて開閉蓋OCをロックさせる。
次のステップS30では、タグアクセスをカートリッジ側に切替えるとともに、無線タグ回路素子TAに記憶されている情報、すなわち最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込む。具体的には、アンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、カートリッジアンテナ19が送受分離器34に接続されるようにアンテナスイッチ回路341を切替える。そして、無線タグ回路素子TAのメモリ部157内に記憶された最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込む。
次のステップS40では、タグアクセスをテープ側に切替えるとともに、上記ステップS30で読み込んだタグ感度情報に応じ、書き込み条件の設定を行う。具体的には、アンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、アンテナ14が送受分離器34に接続されるようにアンテナスイッチ回路341を切替えるとともに、上記高周波回路21の送信部32に備えられる可変送信アンプ39に「TX_PWR」信号を出力し、送信部32の無線タグ回路素子Toに対するアクセスパワー(出力電力量)値を上記ステップS30で読み出したタグ感度情報に応じた値に設定する。
次のステップS50では、上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作された、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字すべき印字情報が、通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれる。
次のステップS60では、上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作された、アンテナ14より無線タグ回路素子ToのIC回路部151へ書き込むべき無線タグ情報が、通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し読み込まれる。
次のステップS70では、テープ搬送を開始させ、テープ上の印字開始位置が印字ヘッド10の位置に到達したかどうかを判定する。具体的には、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され圧着ローラ107へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。さらに送出ローラ駆動回路29を介して送出ローラ用モータ28に制御信号を出力し、送出ローラ17を回転駆動させる。以上の結果、基材テープ101と印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ体100外方向へと搬送されていくように、各テープ101,103,110が駆動開始される。そして、テープ上の印字開始位置が印字ヘッド10の位置に到達したかどうかを、例えば剥離紙101dに設けられたマーカーを図示しない光学センサで検出すること等によって行う。テープ上の印字開始位置が印字ヘッド10の位置に到達した場合には、判定が満たされて次のステップS80に移る。なお、上記に限られず、入出力インターフェイス31を介して上記端末5又は汎用コンピュータ6を介して入力操作された印字開始コマンドが来たかどうかを判定するようにしてもよい。
ステップS80では、印字を開始する。すなわち、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10を通電して、カバーフィルム103のうち所定の領域(例えば基材テープ101に所定ピッチで等間隔で配置された無線タグ回路素子Toの裏面に貼り合わせることとなる領域)に、先のステップS50で読み込んだ文字、記号、バーコード等の印字Rを印刷させる。
次のステップS90では、無線タグ回路素子Toに記憶された、その次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み出す。具体的には、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll All ID」コマンドを信号処理回路22に出力し、これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Scroll All ID」信号が生成されて高周波回路21を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促すことによって行う。
次のステップS100では、上記ステップS90で読み出した次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を、図示しないRAM等の記憶手段に記憶させる。
次のステップS110では、上記ステップS90及びステップS100で読出し記憶させた次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を、当該タグ感度情報が記憶されていた無線タグ回路素子Toから消去する。
次のステップS120では、無線タグ情報を無線タグ回路素子Toに送信し書き込む書き込み処理を行う(詳細は後述の図11を参照)。
次のステップS130では、フラグF=0であるかどうかが判定される。書き込み処理が正常に完了していればF=0のまま(後述の図11に示すフローのステップS128参照)であるので、この判定が満たされ、ステップS140に移る。一方、何らかの理由で書き込み処理が正常に完了していない場合はF=1とされている(後述の図11に示すフローのステップS128参照)のでこの判定が満たされず、ステップS145に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10を通電を中止し印字を停止させる。このように印字中途停止によって当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示するようにした後、後述のステップS160へ移る。
ステップS140では、上記ステップS120で無線タグ回路素子Toへ書き込んだ無線タグ情報と、これに対応して印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせが、入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し端末5又は汎用コンピュータ6を介して出力され、情報サーバ7やルートサーバ4に記憶される。なお、この記憶データは必要に応じて端末5又は汎用コンピュータ6より参照可能に例えばデータベース内に格納保持される。
その後、ステップS150で、カバーフィルム103のうちこの時点で処理対象としている無線タグ回路素子Toに対応する領域への印字がすべて完了しているかどうかを確認した後、ステップS160へ移る。
ステップS160では、先のステップS100で図示しないRAM等の記憶手段に記憶させた次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を、読み出す。
次のステップS170では、カートリッジ100をカートリッジホルダ部から取り外す操作がなされたかどうかを判定する。具体的には、例えば操作者により図示しない開閉蓋OCを開かせるための開ボタンが押され、その操作信号が入力されたかどうかを判定する。カートリッジ100の取り外し操作がなされた場合には、判定が満たされて次のステップS180に移る。
ステップS180では、タグアクセスをカートリッジ側に切替えるとともに、上記ステップS160で読み出した次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報をカートリッジ筐体100Aに設けられた無線タグ回路素子TAに書き込む書き込み処理を行う。具体的には、アンテナスイッチ回路341に選択信号を出力し、カートリッジアンテナ19が送受分離器34に接続されるようにアンテナスイッチ回路341を切替える。そして、上記ステップS160で読み出した次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を、無線タグ回路素子TAのメモリ部157に書き込む。この書き込み処理に関しては、先のステップS120(後述の図11)と同様であるので、説明を省略する。
次のステップS190では、上記ロック用ソレノイド駆動回路58に蓋アンロックに対応する制御信号を出力してロック用ソレノイド53を制御し、係止ピン52を係止穴52から引出させて開閉蓋OCをアンロック状態とする。そして、ステップS5に戻る。
なお、先のステップS170でカートリッジ100の取り外し操作がなされていない場合には、判定が満たされずに次のステップS200に移る。
ステップS200では、電源をオフとする操作がなされたかどうかを判定する。具体的には、例えば操作者によりタグラベル作成装置2の電源スイッチをオフとする操作がされたかどうかを判定する。電源オフ操作がされていない場合には、判定が満たされずにステップS40に戻る。電源オフ操作がされた場合には、判定が満たされてステップS210に移る。
ステップS210では、上記ステップS180と同様の手順を行う。すなわち、タグアクセスをカートリッジ側に切替えるとともに、上記ステップS160で読み出した次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報をカートリッジ筐体100Aに設けられた無線タグ回路素子TAに書き込む書き込み処理を行う。
次のステップS220では、上記ロック用ソレノイド駆動回路58に蓋アンロックに対応する制御信号を出力してロック用ソレノイド53を制御し、係止ピン52を係止穴52から引出させて開閉蓋OCをアンロック状態とする。そして、次のステップS230で、タグラベル作成装置2の電源をオフとし、本フローを終了する。
以上説明したように、本実施形態のタグラベル作成装置2においては、例えば電源投入後カートリッジ100の取外し操作や電源オフ操作を行わない場合には、上記ステップS40〜ステップS170→ステップS200→ステップS40を繰り返す。これにより、先行して供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151に記憶されたその次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込みつつ、各無線タグ回路素子Toに対し最適な通信態様となるように高周波回路21を制御した上で各無線タグ回路素子Toへの書き込みを行えるようになっている。
一方、タグラベル作成中にカートリッジ100の取り出し操作や電源オフ操作が行われた場合であっても、上記ステップS180又はステップS210においてその操作が行われた際にRAM等に記憶された次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を、無線タグ回路素子TAのメモリ部157に書き込む。これにより、次にカートリッジ100をカートリッジホルダ部に装着した際や電源を投入した際には、上記ステップS30において無線タグ回路素子TAから次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報が読み込まれ、その後に供給される各無線タグ回路素子Toに対しても引き続き最適な通信態様となるように高周波回路21を制御した上で各無線タグ回路素子Toへの書き込みを行えるようになっている。
なお、上記では説明を省略したが、ステップS150で印字完了した後には、所定の切断位置において、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力することによりカートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28の駆動を停止して印字済タグラベル用テープ110の搬送を停止させ、ソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動することによりカッタ15によって印字済タグラベル用テープ110の切断を行う。これによって、所定の無線タグ情報が書き込まれかつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTが生成される。
また、上記では印字を開始した後に無線タグ情報の書き込みを行うようにしたが、これに限られず、タグラベル作成装置2におけるアンテナ14と印字ヘッド10の配置関係に応じ、手順を反対としてもよい。すなわち、無線タグ情報の書き込みを開始した後に印字を開始するようにしてもよい。
図11は、上記ステップS120の詳細手順を表すフローチャートである。
図11において、図10における前述のステップS110が終了すると、まずステップS121に移り、所望のデータをメモリ部157に書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で本来書き込みたいID情報を含む無線タグ情報としての「Program」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して通信可能エリア内(前述の領域X内)にあるすべての無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157に情報が書き込まれる。
その後、ステップS122において、メモリ部157の内容を確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
そして、ステップS123に移り、上記「Verify」信号に対応して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ(応答)信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS124において、上記ステップS123の受信結果に基づき、上記通信エリア内の目的の無線タグ回路素子Toから有効なリプライ信号(メモリ部157に正常に記憶されたことを表す信号)が受信されたかどうかを判定する。
判定が満たされたら、上記領域X内の目的の無線タグ回路素子Toには正しく書き込まれていることから、このルーチンを終了する。判定が満たされない場合はステップS125に移ってNに1を加え、さらにステップS126においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS121に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合は前述したステップS127に移る。ステップS127では、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせた後、ステップS128でフラグF=1としてこのルーチンを終了する。このように、情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われることにより、書き込み信頼性の確保上、万全を期すことができる。
なお、以上は、無線タグ回路素子TA及び各無線タグ回路素子Toに無線タグ回路素子Toの書き込み時のタグ感度情報を記憶させておき、このタグ感度情報に応じた最適アクセスパワーを設定した後に無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報を送信しIC回路部151に書き込みを行う場合を説明したが、これに限られず、最適アクセスパワーを設定した後に予め所定の無線タグ情報(タグ識別情報等)が書き換え不可に記憶保持されている読み取り専用の無線タグ回路素子Toから無線タグ情報を読み取りながら、これに対応する印字を行って無線タグラベルTを作成する場合がある。
この場合には、無線タグ回路素子TA及び各無線タグ回路素子Toに無線タグ回路素子Toの読み込み時のタグ感度情報を記憶させておき、各無線タグ回路素子Toに対して最適な通信態様で読み込みできるようにすればよい。すなわち、前述の図10において、ステップS60の書き込み情報の取得を削除し、ステップS40,S90,S110,S160,S180,S210で読み込み条件の設定、読出し、消去、書き込みを行い、ステップS120で無線タグ情報の読み込み処理を行うようにすればよい(詳細は後述の図12参照)。その後ステップS140では印字情報とその読み込んだ無線タグ情報との組み合わせを保存する。
図12は、上記無線タグ読み取り処理の詳細手順を表すフローチャートである。
この図12において、情報読み取り対象とする無線タグ回路素子Toがアンテナ14近傍に搬送されてきたら、ステップS221において、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Scroll All ID」信号が生成されて高周波回路21を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
次に、ステップS222において、上記「Scroll All ID」信号に対応して読み取り対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(タグID情報等を含む無線タグ情報)をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS223において、上記ステップS222で受信したリプライ信号に誤りがないか否かを公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて判定する。
判定が満たされない場合はステップS224に移ってNに1を加え、さらにステップS225においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS221に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS226に移り、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記端末5又は汎用コンピュータ6へ出力し、対応する読み取り失敗(エラー)表示を行わせた後、ステップS227でフラグF=1としてこのルーチンを終了する。このように、情報読み取りが不調でも5回までは再試行が行われることにより、読み取り信頼性の確保上、万全を期すことができる。
ステップS223の判定が満たされた場合、読み取り対象とする無線タグ回路素子Toからの無線タグ情報の読み取りが完了し、このルーチンを終了する。
以上において、制御回路30(詳細には図10に示すフロー中ステップS170)は請求項19に記載のタグ集合体をタグ集合体装着部から取り外す操作が行われたかどうかを検出するタグ集合体脱着操作検出手段を構成する。また制御回路30は請求項21記載の電源が投入されたことを検出する電源投入検出手段を構成するとともに、制御回路30(詳細には図10に示すフロー中ステップS200)は請求項22記載の電源の遮断操作がなされたことを検出する電源遮断操作検出手段をも構成する。さらに、制御回路30(詳細には図16に示すフロー中ステップS35)は、請求項20記載の第1カートリッジ同一性判定手段を構成すると共に、請求項23記載の第2カートリッジ同一性判定手段をも構成する。
以上説明した本実施形態のタグラベル作成装置2においては、複数の無線タグ回路素子Toが所定順序で供給可能に配置された基材テープ101が巻回される第1ロール102を有するカートリッジ100から、所定順序で供給される各無線タグ回路素子Toへ送受信を行い情報読み取り又は書き込みを行うことで、連続的に無線タグラベルTを作成する。このとき、それら複数の無線タグ回路素子Toにおいて、先行する無線タグ回路素子ToのIC回路部151に、後の順序の無線タグ回路素子Toのタグ特性値情報(本実施形態ではタグ感度情報)に関わる情報が記憶されている。したがって、後の順序の無線タグ回路素子Toへの情報読み取り又は書き込みを行う際に、予めこれより前の無線タグ回路素子Toより読み出された当該無線タグ回路素子Toのタグ特性値情報を用いることで、当該特性値情報に合致した態様(本実施形態ではタグ感度情報に合致したアクセスパワー値)で通信を行うことができる。この結果、カートリッジ100(第1ロール102)の製造時において、複数の無線タグ回路素子Toそれぞれのタグ特性値データにばらつきが生じていたとしても、各無線タグ回路素子Toごとに通信態様を制御して最適な通信態様を実現することができる。これにより、不適切な条件での書込みがなくなり、書込みエラーによる再書込み等が不要となり、条件を試行錯誤することがないので高速な無線タグラベルTの作成が可能となる。また、例えば全無線タグ回路素子Toにて一律のタグ特性値データにて通信を行う場合に比べて、エネルギの無駄や通信上の悪影響の発生を防止できるという効果もある。さらに、例えばタグ特性値データに応じて基材テープ101の搬送速度を変更するような場合に比べて、一定の搬送速度でタグラベル作成が可能となるので、印字ヘッド10による印字の乱れを抑制することができる。
また本実施形態では特に、カートリッジ100の筐体100Aに無線タグ回路素子TAを設け、この無線タグ回路素子TAに第1ロール102から最初に供給される無線タグ回路素子Toの感度に関わる情報を記憶させる。これにより、第1ロール102から最初に繰り出され供給される無線タグ回路素子Toに対し情報の読み取り又は書き込みを行う際に、予めこれより前にカートリッジ筐体100Aに設けた無線タグ回路素子TAに記憶された感度情報を読み取り用いることで、当該最初に供給される無線タグ回路素子Toに対し当該タグの感度に合致したアクセスパワーで通信を行うことができる。また、このように最初に供給される無線タグ回路素子Toの感度に関わる情報を媒介する情報媒体として無線タグ回路素子TAを用いることで、情報の書き換えを自在に行うことができる。その結果、例えばカートリッジ筐体100A内の第1ロール102を交換するような場合にも、適宜感度情報の書き換えを行い対応することができる。
また、本実施形態では特に、カートリッジ100をカートリッジホルダ部から取り外す操作がなされた場合に無線タグ回路素子TAにそのときメモリに記憶されているタグ感度情報を書き込み、センサ20でカートリッジの装着を検出した場合に無線タグ回路素子TAからタグ感度情報を読み込み、この情報を用いてアクセスパワーを設定する。これにより、例えば第1ロール102の基材テープ101に備えられる全無線タグ回路素子Toを使い切らないうちにカートリッジ100をカートリッジホルダ部から取り外したような場合でも、その際に無線タグ回路素子TAに次回装着時に最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を書き込んでおくことで、カートリッジ100を次に装着した際に無線タグ回路素子TAに記憶されたタグ感度情報を読み込み用いることで、当該タグの感度に合致したアクセスパワーで通信を行うことができる。
また、本実施形態では特に、タグラベル作成装置2の電源を遮断する操作がなされた場合に無線タグ回路素子TAにそのときメモリに記憶されているタグ感度情報を書き込み、タグラベル作成装置2の電源が投入された際に無線タグ回路素子TAからタグ感度情報を読み込み、この情報を用いてアクセスパワーを設定する。これにより、例えば第1ロール102の基材テープ101に備えられる全無線タグ回路素子Toを使い切らないうちにタグラベル作成装置2の電源をオフとしたような場合でも、その際に無線タグ回路素子TAに次回電源投入時に最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を書き込んでおくことで、次にタグラベル作成装置2の電源を投入した際に無線タグ回路素子TAに記憶されたタグ感度情報を読み込み用いることで、当該タグの感度に合致したアクセスパワーで通信を行うことができる。
なお、上記実施形態は、上記以外にも、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
(1)カートリッジに設ける情報媒体のバリエーション
上記実施形態においては、最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を媒介する情報媒体として無線タグ回路素子TAを用いるようにしたが、これに限られず、例えばICカード等の接触型記憶素子や、ROM・RAM等のメモリ手段、又はバーコード等の記録手段を用いるようにしてもよい。例えば上記バーコードを用いる場合には、バーコードに記録された上記ルートサーバ4における最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報の格納先アドレス等を図示しないバーコードスキャナで読み取り、制御回路30がその格納先アドレスから通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し当該無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込んで、その情報に応じ最適な通信態様となるように高周波回路21の送信部32を設定する。これにより、最初に供給される無線タグ回路素子Toの感度に合致した通信態様でアクセスを行うことができる。
(2)最初のタグに当該最初のタグと次のタグの感度情報を記憶させる場合
上記実施形態においては、カートリッジ100の筐体100Aに無線タグ回路素子TAを設け、この無線タグ回路素子TAに第1ロール102から最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を書き込むようにしたが、これに限らない。すなわち、例えば最初に供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151に、当該無線タグ回路素子Toの(書き込み時における)タグ感度情報と、次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報とを記憶させるようにしてもよい。
図13は、本変形例における上記メモリ部157の記憶内容を概念的に示す図であり、前述の図6に対応する図である。この図13に示すように、本変形例では、第1ロール102から繰り出される基材テープ101に備えられる各無線タグ回路素子Toの上記メモリ部157には、当該無線タグ回路素子Toの書き込み時におけるタグ感度情報(図中「書き込み条件」と記載)が記憶されるとともに、当該無線タグ回路素子Toの次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報(図中「次書き込み条件」と記載)がそれぞれ記憶されている。
本変形例によれば、第1ロール102より最初に供給される無線タグ回路素子Toから次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報の読み込みを行う際に、当該最初の無線タグ回路素子Toの書き込み時のタグ感度情報を併せて読み取ることができるので、その後当該最初の無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報の書き込みを行う際には、読み取ったタグ感度情報を用いてタグ感度に合致したアクセスパワーで書き込みを行うことができる。また、本変形例によれば、最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を記憶させるための無線タグ回路素子TA及びこの無線タグ回路素子TAと通信を行うためのカートリッジアンテナ19を設ける必要がなくなるので、構造の簡素化及びコストの低減を図ることができる。
(3)無線タグ回路素子の残数を記憶させる場合
上記実施形態においては、前述の図6に示すように各無線タグ回路素子ToのIC回路部151に当該タグのIDとその次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報とを記憶させるようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば第1ロール102に巻回された基材テープ101に備えられる複数の無線タグ回路素子Toのうちの供給可能な無線タグ回路素子Toの残数に関わる情報(以下、「残数情報」と記載)を記憶させるようにしてもよい。
図14は、本変形例における上記メモリ部157の記憶内容を概念的に示す図であり、前述の図6に対応する図である。この図14に示すように、本変形例では、第1ロール102から繰り出される基材テープ101に備えられる各無線タグ回路素子Toの上記メモリ部157には、当該無線タグ回路素子Toの次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報(図中「次書き込み条件」と記載)がそれぞれ記憶されるとともに、第1ロール102から供給される無線タグ回路素子Toの残数情報が記憶されている。
本変形例によれば、以上のように各無線タグ回路素子ToのIC回路部151に次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報とともに第1ロール102から供給される無線タグ回路素子Toの残数情報を記憶させるので、各無線タグ回路素子Toに対して最適な通信態様でアクセスできるという上記実施形態と同様の効果を得つつ、第1ロール102における残りの供給可能な無線タグ回路素子Toの残数を把握しつつ無線タグラベルTを作成できるという効果をも得ることができる。
なお、本変形例では各無線タグ回路素子Toに対し、タグIDの他に次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報と残数情報との2項目を記憶させるため、IC回路部151のメモリ部157におけるメモリ使用量が比較的大きくなる。そこで、例えば残数情報については対数的な値で表現して記憶させるようにしてもよい。これにより、残数の桁数を圧縮でき、メモリ容量を節約することができる。
(4)プリアンブル(周期用クロック)数を記憶させる場合
すなわち、各無線タグ回路素子ToのIC回路部151に、次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報とともに、当該次に供給される無線タグ回路素子Toとの通信開始時に送出するプリアンブル(周期用クロック)数に関わる情報(以下、「プリアンブル数情報」と記載)を記憶させるようにしてもよい。
本変形例によれば、カートリッジ100(第1ロール102)の製造時において、複数の無線タグ回路素子Toそれぞれのタグ充電時定数にばらつきが生じていたとしても、無線タグラベルT作成時には各無線タグ回路素子Toから次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報とともにプリアンブル数情報を読み込むことで、各無線タグ回路素子Toごとにプリアンブル数を制御して最適な通信態様を実現することができる。この結果、全無線タグ回路素子Toに対して一律のプリアンブル数にて通信を行う場合に比べて、不必要なプリアンブルを送出する必要がなくなり、無線タグラベルTの作成に要する時間を短縮できる。
なお、上記プリアンブル数は、スペック上は16サイクル(2サイクルで1ビットを表せば8ビット)以上が好ましいが、実力値としては6〜9サイクル(3〜4.5ビット)程度で十分であるので、各無線タグ回路素子Toに対するサイクル数あるいはビット数を記憶しておいてもよい。
(5)次の無線タグ回路素子のタグID情報を記憶させる場合
すなわち、各無線タグ回路素子ToのIC回路部151に、次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報とともに、当該次に供給される無線タグ回路素子ToのタグIDに関わる情報(以下、「タグID情報」と記載)の少なくとも一部を記憶させてもよい。これにより、無線タグラベルTの作成時において、各無線タグ回路素子ToのIC回路部151から読み出したその次の無線タグ回路素子ToのタグID情報を用い、当該次の無線タグ回路素子To以外の無線タグ回路素子Toをスリープさせた上で、当該次の無線タグ回路素子Toのみへの情報読み取り又は書き込みを行うことができる。この結果、読み取り又は書き込み対象である無線タグ回路素子Toに対し、確実に読み取り又は書き込みを行うことができる。
(6)ID情報の一部と感度情報等を兼用させる場合
すなわち、各無線タグ回路素子ToのIC回路部151に記憶される固有のID情報の少なくとも一部と、次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報、プリアンブル数情報又はタグID情報、上記残数情報等とを共用させるようにしてもよい。これにより、無線タグラベルT作成時において、書込み対象である無線タグ回路素子ToのタグID情報を取得すると同時に次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ特性値に関わる情報や残数情報等も取得できるので、改めてそれらの情報を読み出す必要がなくなり、より高速に無線タグラベルTを作成できる。また、無線タグ回路素子ToのIC回路部151のメモリの使用量を節約できる効果もある。
(7)最後の無線タグ回路素子にエンド情報を記憶させる場合
すなわち、第1ロール102に巻回された基材テープ101に備えられた複数の無線タグ回路素子Toのうち最後に供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151に、当該無線タグ回路素子Toが最終のタグであることを示すエンド情報を記憶させるようにしてもよい。これにより、無線タグラベルTの作成時において、最後に供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151にアクセスした際に、当該無線タグ回路素子Toが最終のタグであることを把握することができる。
なおこの場合に、最後に供給される無線タグ回路素子Toの後に供給される無線タグ回路素子Toは存在しないため、当該最後に供給される無線タグ回路素子Toにはタグ感度情報を記憶させる必要がないことから、上記エンド情報を上記最後に供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151にタグ感度情報の代わりに記憶させる(すなわち、当該最後の無線タグ回路素子Toにはエンド情報のみ記憶させる)ようにしてもよい。これにより、当該最後の無線タグ回路素子ToのIC回路部151のメモリ部157のメモリ容量を消費することなく有効に使用することができる。
(8)記憶させるタグ特性値情報のバリエーション
また、以上においては、無線タグ回路素子Toの特性値情報としてタグ感度情報(IC回路部151の感度(動作可能な最小電力)とアンテナ152のゲインとの組合せ情報)を無線タグ回路素子TA及び無線タグ回路素子Toに記憶するようにしたが、これに限られない。すなわち、特性値情報として、前述したIC回路部151のメモリ部157のメモリ書込電圧、書込時間などのアクセス条件等を記憶するようにしてもよい。この場合にも、この無線タグ回路素子TAに記憶されたそれらアクセス条件情報を読み出し、そのメモリ書込電圧、書込時間などのアクセス条件に対応するように高周波回路21の送信部32を設定することにより、当該無線タグ回路素子Toに合致した通信態様でアクセスを行うことができる。
さらに、メモリ部157のメモリ容量の大小で所要エネルギが変化するため、メモリ容量に応じて書き込み時に必要な書き込み電力が変わる。この意味で、最適な所要電力となるように制御するためには「メモリ容量」も特性値情報に含まれ、これを無線タグ回路素子TA及び無線タグ回路素子Toに記憶するようにしてもよい。
またさらに、例えば図15に示すように、無線タグ回路素子Toがテープ幅方向に複数列配置され、各無線タグ回路素子列が、テープ長手方向一列に配置された複数の無線タグ回路素子Toのテープ長手方向位置が互いに重ならないようにずらして配置(いわゆる千鳥配置)された基材テープ101′が巻回された第1ロール102′が収納されたカートリッジ100′(図示せず)を用いるような場合には、タグ特性値情報として、タグ感度情報に加えて、次に供給される無線タグ回路素子Toの上記アンテナ152のテープ幅方向位置に関わる情報(以下、「アンテナ位置情報」と記載)を記憶させるようにしてもよい。
このように無線タグ回路素子Toが千鳥配置された基材テープ101′に対し送受信を行い情報の読み取り又は書き込みを行うことで、連続的に無線タグラベルTを作成する場合、各無線タグ回路素子Toに対し送受信を行う装置側のアンテナ14と基材テープ101′に千鳥配置されている各無線タグ回路素子Toのアンテナ152との距離が、各無線タグ回路素子Toごとに異なることになる(図15中L1,L2参照)。
このとき、本変形例においては、上記したように各無線タグ回路素子ToのIC回路部151に次に供給される無線タグ回路素子Toのアンテナ位置情報をそれぞれ記憶させているので、無線タグラベルTの作成時において、次の無線タグ回路素子Toへの情報読み取り又は書き込みを行う際に、予めこれより前に対応する無線タグ回路素子Toより読み出した次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報及びアンテナ位置情報を用いることで、アンテナ14と無線タグ回路素子ToのIC回路部151のアンテナ152との距離に合致した最適な通信態様で通信を行うことができる。
(9)カートリッジの同一性チェック機能を備えた場合
すなわち、カートリッジ100の取り外し操作やタグラベル作成装置2の電源オフ操作が行われた場合に、次にカートリッジ100が装着された際又はタグラベル作成装置2の電源が投入された際において、そのとき装着されているカートリッジ100が取り外されたとき又は電源が遮断されたときのカートリッジと同一であるかどうかをチェックする機能を設けてもよい。
図16は本変形例における制御回路30′(図示せず)によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、前述の図10に対応する図である。この図16において、前述の図10と同様の部分は同符号を付し説明を省略する。
本フローと先の図10に示すフローとが異なる点は、ステップS35〜ステップS37が加わった点である。すなわち、ステップS35では、カートリッジ100の取り外し操作が行われ、次にカートリッジ100が装着された際において、そのとき装着されているカートリッジ100が取り外されたときのカートリッジと同一であるかどうかを判定する。具体的には、ステップS30でカートリッジ100の無線タグ回路素子TAから読み出したタグ感度情報と、ステップS100で図示しないRAM等の記憶手段に記憶させたタグ感度情報とが同一であるかどうかを判定する。同一である場合には、カートリッジ100が同一であるとみなされて判定が満たされ、次のステップS40に移る。一方、同一でない場合には、ステップS36に移り、入出力インターフェイス31を介して上記端末5又は汎用コンピュータ6に対して制御信号を出力し、カートリッジが同一でない旨の報知(表示等)を行わせる。
次のステップS37では、処理を続行する旨の操作入力が操作者により上記端末5又は汎用コンピュータ6において行われ、その操作信号が入出力インターフェイス31を介して入力されたかどうかの判定を行う。入力された場合には、判定が満たされてステップS40に移り、その異なるカートリッジを用いてタグラベルの作成を行う。一方、入力されなかった場合には、判定が満たされずにステップS190に移り、開閉蓋OCをアンロック状態とする。これにより、操作者はカートリッジの交換が行える。
本変形例によれば、カートリッジ100の同一性をチェックすることができるので、例えば異なるカートリッジに交換された場合や、電源遮断中に異なるカートリッジに交換されたような場合等、当該異なるカートリッジの各無線タグ回路素子Toに対して異なる通信態様で通信を行うことを防止できる。
(10)その他
(i)カートリッジを用いない場合
図17は、カートリッジを用いない変形例によるタグラベル作成装置2′の詳細構造を表す概念的構成図であり、上記実施形態の図2に相当する図である。図2と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。図17において、この変形例では、装置本体8に、上記搬出口16を備えた筐体9が設けられており、この筐体9に上記実施形態と同様のアンテナ14、19′が設けられている。
アンテナ14は、上記実施形態と同様、一方側(この例では図17の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(パッチアンテナ)で構成されるとともに上記第1ロール102(タグテープロール、タグ集合体)の軸方向(図17の紙面に向かって奥側)近傍に配置されており、第1ロール102の基材テープ101(タグテープ)の送り出し部分近傍領域Xと通信可能となるように配置されている。結果として、アンテナ14は、搬出口16を介し筐体9の外部へ排出された無線タグ回路素子Toがその通信可能範囲外となるように構成されている。これにより、一旦搬出口16から筐体9外部へ出た無線タグ回路素子Toの無線タグ情報が初期化されたり、アンテナ14から別の情報がさらに書き込まれたりするのを確実に防止するようになっている。なお、この目的のために、搬出口16の周りは適宜のシールド手段が設けられている。
カートリッジアンテナ19′は、カートリッジ100の筐体100Aに設けた無線タグ回路素子TAと向かい合うように配置された上記実施形態とは異なり、一方側(この例では図17の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(パッチアンテナ)で構成されるとともに、上記第1ロール102のリール部材102aの軸方向(図17の紙面に向かって奥側)近傍に配置されており、リール部材102a(例えばリール部材102aの一方側(この例では図17の紙面に向かって手前側))に設けられた無線タグ回路素子TAと通信可能となるように配置されている。
また、上記のようにカートリッジ100が省略されカートリッジ100に設けられていた各部材が直接筐体9に設けられているのに対応し、この例では、圧着ローラ駆動軸12及びリボン巻取りローラ駆動軸11は、上記実施形態のカートリッジ駆動回路24により駆動制御されるカートリッジ用モータ23に相当する圧着ローラ駆動回路24′により駆動制御される圧着ローラ用モータ23′によって駆動されるようになっている。
また、本変形例では、カートリッジ100がカートリッジホルダ部に装着されているかどうかを検出するセンサ20の代わりに、第1ロール102が筐体9に装着されているかどうかを検出するセンサ20′が設けられている。
本変形例においても、無線タグ回路素子TAに記憶された最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報をカートリッジアンテナ19′を介して読み込み高周波回路21を制御するとともに、その後に供給される無線タグ回路素子Toについては、先行して供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151に記憶されたその次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込み高周波回路21を制御することにより、各無線タグ回路素子Toに対して最適な通信態様でアクセスできるという上記実施形態と同様の効果を得る。
また、タグラベル作成中に第1ロール102の取り出し操作やタグラベル作成装置2′の電源遮断操作が行われた場合であっても、その操作が行われた際にRAM等に記憶された次の無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を、無線タグ回路素子TAのメモリ部157に書き込む。これにより、次に第1ロール102を筐体9に装着した際や電源を投入した際には、無線タグ回路素子TAから次に最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報が読み込まれるため、その後も引き続き最適な通信態様となるように高周波回路21を制御した上で各無線タグ回路素子Toへの書き込みを行えるようになっている。
なお、カートリッジ100を用いる構成の上記実施形態では無線タグ回路素子TAをカートリッジ100の筐体100Aに設けるようにしたが、これに限られず、本変形例のように無線タグ回路素子TAをカートリッジ100内におけるリール部材102aに設けるようにしてもよい。この場合、前記カートリッジアンテナ19を本変形例におけるカートリッジアンテナ19′と同様に一方側(図2の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(パッチアンテナ)で構成すれば足りる。
(ii)トレイ型カートリッジを用いる場合
上記実施形態においては、カートリッジとして、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の基材テープ101を巻き回す第1ロール102を備えたカートリッジ100を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、他のカートリッジの態様でもよい。
図18は、そのような変形例を表す概念的斜視図である。
この図18において、この変形例では、カートリッジとして略平箱状のトレイ部材91(カートリッジ、タグ集合体)が設けられている。このトレイ部材91の中に、それぞれに1つの無線タグ回路素子Toが形成された平紙状の複数のラベル素材92を、平積み方向に積層して収納する。トレイ部材91の一側面(この例では図中奥側)に設けた取り出し口91Aより平紙状のラベル素材92を1枚ずつ引き出すことで、複数の無線タグ回路素子Toを順次取り出せるようになっている。トレイ部材91より取り出した無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2に備えられたアンテナ14の対向位置に設定され、読み出しが行われる。
トレイ部材91の一側面(この例では図中左側)には無線タグ回路素子(第2無線タグ回路素子)TAが設けられている。この無線タグ回路素子TAは、トレイ部材91をタグラベル作成装置2の前記装置本体8に取り付けた際に、装置本体8に設けられたカートリッジアンテナ19とほぼ向かい合う位置となるように配設されている。
本変形例においても、無線タグ回路素子TAに記憶された最初に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報をカートリッジアンテナ19を介して読み込み高周波回路21を制御するとともに、その後に供給される無線タグ回路素子Toについては、先行して供給される無線タグ回路素子ToのIC回路部151に記憶されたその次に供給される無線タグ回路素子Toのタグ感度情報を読み込み高周波回路21を制御することにより、各無線タグ回路素子Toに対して最適な通信態様でアクセスできるという上記実施形態と同様の効果を得る。
(iii)貼り合わせを行わない場合
すなわち、特に図面を用いて説明はしないが、上記実施形態のように無線タグ回路素子Toを備えた基材テープ101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせるのではなく、タグテープに備えられたカバーフィルムに印字を行ういわゆるノンラミネートタイプのカートリッジに本発明を適用してもよい。この場合、複数の無線タグ回路素子Toを感熱テープに設け、複数の発熱素子を有する印字ヘッドにより感熱テープの表面に印字を印刷するようにしてもよいし、上記実施形態のようなインクリボンを用いた印字としてもよい。
本変形例においても、各無線タグ回路素子Toに対して最適な通信態様でアクセスできるという上記実施形態と同様の効果を得る。
(iv)タグラル作成装置単体がすべての機能を備える場合
すなわち、本変形例におけるタグラベル作成装置2は、データベースとして機能する何らかの記憶手段と、前述の図9に示すような印字文字やタグID等の表示を行う表示手段(ディスプレイ)、及び操作者が操作入力するための操作手段(キーボード、マウス、タッチパネル等)を備えている。この場合、印字情報、無線タグ回路素子Toのアクセス(書き込み又は読み取り)ID、物品情報、及びそれらの情報が関連づけられた対応情報は、上記タグラベル作成装置2に備えられる記憶手段(データベース)に記憶される。
本変形例によっても、各無線タグ回路素子Toに対して最適な通信態様でアクセスできるという上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(v)カートリッジ外で書き込み・読み取りを行う場合等
また、以上においては、カートリッジ100等の内部を移動中の基材テープ101に対して無線タグ情報の書き込み・読み取りや印字を行う例を示したが、これに限られず、カートリッジ100の外部を移動中の基材テープ101に対して無線タグ情報の書き込み・読み取りや印字を行うようにしてもよい。また、基材テープ101等を所定位置で停止させて(さらに読み取り・書き込みについては所定の搬送ガイドにて保持した状態としてもよい)上記印字や読み取り・書き込みを行うようにしてもよい。
また、カートリッジ100のようなタグラベル作成装置本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型のものを用い、その中に上記第1ロール102を設けてもよい。この場合も同様の効果を得る。
また、以上において、印字及び無線タグ回路素子Toへのアクセス(読み取り又は書き込み)の終了した印字済みタグラベル用テープ110をカッタ15で切断してタグラベルTを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタ15で切断しなくても、テープが排出口16から排出されてきた後にラベル台紙(アクセス済みの無線タグ回路素子Toが備えられかつ対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がしてタグラベルTを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
なお、以上で用いた「Scroll ID」信号、「Verify」信号、「Program」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。