以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態によるタグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。図1において、タグラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(タグテープ設置用ホルダ、図示せず)が設けられ、このホルダ部に、カートリッジ100(無線タグカートリッジ)が着脱可能に取り付けられている。
装置本体8は、カートリッジ100を嵌合させる上記カートリッジホルダ部を備えるとともに外郭を構成する筐体9と、感熱テープ(タグテープ)101に所定の印字(印刷)を行う印字手段としての印字ヘッド(サーマルヘッド)10と、感熱テープ101を印字済タグラベル用タグテープ110としてカートリッジ100から繰り出すためのテープ送りローラ駆動軸(駆動手段)12と、印字済タグラベル用タグテープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行うアンテナ(装置側アンテナ)14と、上記印字済タグラベル用タグテープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(詳細は後述)を生成するカッタ(切断手段)15と、上記無線通信による信号送受時において無線タグ回路素子Toをアンテナ14に対向する所定のアクセスエリアに設定保持するとともに、切断後の上記テープ110(=無線タグラベルT)を案内するための一対の搬送ガイド13とを有する。
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したテープ送りローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、カートリッジ100に設けた被検出部190(詳細は後述)に備えられた情報(感熱テープ101における無線タグ回路素子Toの配置間隔、テープ幅等のタグ属性パラメータ情報等)を検出するセンサ20と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路30と、例えば不揮発性のハードディスク等からなりデータベースを備えた記憶装置200と、操作者が入力操作可能な操作手段210と、操作者に対し所定の表示を行う表示手段220とを有する。
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。
図2は、カートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
この図2において、カートリッジ100は、筐体100Aと、この筐体100A内に配置され帯状の上記感熱テープ101が巻回された第1ロール102(タグテープロール)と、上記感熱テープ101を上記印字済タグラベル用タグテープ110としつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをするテープ送りローラ107とを有する。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔でテープ長手方向一列に連続的に配置された無線タグ回路素子Toを、テープ幅方向の所定の位置に備えた(詳細は後述の図3参照)上記感熱テープ101を巻回している。
感熱テープ101はこの例では3層構造となっており(図2中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図2中左側)よりその反対側(図2中右側)へ向かって、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム101a、適宜の粘着材からなる粘着層101b(貼り付け用粘着材層)、剥離紙101c(剥離材)の順序で積層され構成されている。
図2中囲み拡大部分は、各無線タグ回路素子Toの配置領域を模式的に示した図である。図示のように、この領域では、カバーフィルム101aの裏側(図2中左側)には、情報の送受信を行うアンテナ(アンテナ部)152がこの例では一体的に設けられており、これに接続するように情報を記憶するIC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。
カバーフィルム101aの裏側(図2中右側)には、無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101bによって上記剥離紙101cがカバーフィルム101aに接着されている。なお、この剥離紙101cは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101bにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
テープ送りローラ107は、カートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図1参照)の駆動力が上記テープ送りローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
そして、カートリッジ100が上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、感熱テープ101が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、圧着ローラ107とサブローラ109との間においても狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってテープ送りローラ107が矢印Dで示す方向に回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴いテープ送りローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102から感熱テープ101が繰り出され、上述のようにテープ送りローラ107へ供給されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム101aの表面に印字R(後述の図7参照)が印刷される。そして、上記感熱テープ101が印字済タグラベル用タグテープ110として形成され、カートリッジ100外へと搬出される。
図3は、上記感熱テープ101における無線タグ回路素子Toの配置を表す図2中E方向から見た感熱テープ101の上面図である。この図3において、感熱テープ101は、無線タグ回路素子Toがテープ長手方向(図中上下方向)に所定間隔(ピッチ)Pで配置されており、隣合う無線タグ回路素子Toの間の中間に上記カッタ15で切断される切断ラインCL(切断予定線)が位置している。これにより、無線タグ回路素子Toの配置間隔Pがすなわち作成されるタグラベルTのラベル長さLと一致する。
図3中囲み拡大部分は、各無線タグ回路素子Toの配置領域を模式的に示した図である。この実施形態では、感熱テープ101のテープ幅方向(図中左右方向)の長さ(以下、テープ幅Wという)のうちの両縁部の余白部分BLを除いた範囲が印字候補領域ASとなっており、さらにこの印字候補領域AS全体はテープ幅方向に5つの最小印字分割領域A1,A2,A3,A4,A5に等分されるよう設定されている。また、無線タグ回路素子Toの配置位置と印字ヘッド10が印字可能な印字可能領域(詳しくは後述する)との間に、テープ面方向(テープ幅方向及びテープ長手方向)に所定のドット数分の隙間領域が存在する。これにより、この隙間領域を誤差を吸収できる余裕寸法とすることができるので、制御上の精度や寸法公差等による誤差に関係なく、無線タグ回路素子Toの配置位置近傍における印字不良の発生自体を確実に低減できる。また、この隙間領域によって無線タグ回路素子Toの配置位置まわりのテープ面の傾き部分も回避することができる。
そしてこの実施形態において、各無線タグ回路素子Toは5等分した最小印字分割領域A1〜A5のうちの中央(図中左から3段目)に位置する領域A3内に配置されており、各無線タグ回路素子Toはテープ長手方向に沿うように上記アンテナ152が配置され、上記IC回路部151がそれらアンテナ152,152の間の位置で両方のアンテナ152に接続される配置構成となっている。またテープ幅方向におけるIC回路部151の幅はアンテナ152,152の配置幅より小さく、すなわちIC回路部151は無線タグ回路素子To全体より小さい幅に形成されている。
図4は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路21は、アンテナ14を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase
Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波を、制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯やマイクロ波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。
受信部33は、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅する受信第1アンプ43と、この受信第1アンプ43の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ42と、上記アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器49で位相を90°遅らせた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を増幅する受信第2アンプ47と、この受信第2アンプ47の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ46とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
なお、上記においては、印刷動作に伴い搬送ガイド13を移動中の印字済タグラベル用タグテープ110に対してアクセスエリア内に保持してアクセス(読み取り又は書き込み)するようにした例を示したが、これに限られず、その印字済タグラベル用タグテープ110を所定位置で停止させて搬送ガイド13にて保持した状態で上記アクセスを行うようにしてもよい。
図5は、上記センサ20の構成の一例を表す説明図である。
図5において、センサ20は、この例では、凹凸形状を備えた被検出部190の識別子(カートリッジ側識別子)190A〜Cに対しバネ部材20Aで接点20Bを付勢当接させることで凹凸形状を検出するメカニカルスイッチであり、各凹凸部に対応して配置された接点20Bより制御回路30へ検出信号を出力するようになっている。
これら識別子190A〜Cは、上記凹凸の有無によって、カートリッジ100内の上記無線タグ回路素子Toに最適な通信パラメータ(無線通信に使用する電波の周波数、通信プロトコル、送信出力等)やタグ属性パラメータ(感熱テープ101のテープ幅と上記最小印字分割領域の分割数、無線タグ回路素子Toのテープ長手方向の配置間隔Pとテープ幅方向の配置位置情報、無線タグ回路素子Toの感度、IC回路部151のメモリ容量等を含む)に関するパラメータ情報を表している。なお、通常、1つのカートリッジ内に備えられるすべての無線タグ回路素子Toについて、上記通信パラメータ及びタグ属性パラメータはすべて同一(共通)となっている。
そして制御回路30は、これら識別子190A〜Cの凹凸状態を示す接点20Bの検出信号からカートリッジ100における上記パラメータ情報を知ることができる。
このように、カートリッジ100に関するパラメータデータをカートリッジ100自体から取得可能にしていることで、そのための操作者による入力の手間が不要となり、かつ確実にパラメータデータを取得することができる。
なお、上記の検出手段としてのセンサ20は、メカニカルスイッチに限られず、他の方式、例えば光の反射を利用したセンサであってもよい。この場合、例えば制御回路30からの信号により発光する発光ダイオードと、その発光の各識別子における反射光を受光し対応する検出信号を制御回路30に出力するフォトトランジスタとを備えて構成することができる。また、さらに発展した光学センサとして、各種バーコード(1次元、2次元なども含む)をカートリッジ100や感熱テープ101の剥離紙表面に記載し、タグラベル作成装置2の装置本体8側に設けた読み取り装置で読み込む構成も可能である。
また、上記メカニカルスイッチや光学センサ以外にも、カートリッジ100の本体にパラメータデータ検出用の無線タグ回路素子を備え、タグラベル作成装置2の装置本体8に設けたアンテナで読み込む構成も可能である。これにより、メカニカルスイッチによるセンサや光学センサよりも多くのパラメータデータ(タグ属性パラメータ情報を含む)を確実に取得でき、かつそのための操作者の手間が不要となるので、利便性が向上する。
図6は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図6において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部151の駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶手段として機能するメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
ここで、本発明の最も大きな特徴は、感熱テープ101における無線タグ回路素子Toの配置位置情報に基づいて印字ヘッド10による印字可能領域を決定し、この印字可能領域に基づいて印字ヘッド10を制御する機能がタグラベル作成装置2に備えられていることである。特に、この実施形態では、カートリッジ100に備えられた無線タグ回路素子Toの配置位置情報に基づき、少なくとも感熱テープ101における当該無線タグ回路素子Toの配置位置を避けるように印字可能領域を決定する。
図7(a)、図7(b)、図7(c)、図7(d)は、上述のようにして無線タグ回路素子Toの情報書き込み及び印字済タグラベル用タグテープ110の切断が完了し形成された4つの無線タグラベルT1〜T4の各印字例を表しており、上記のようにテープ幅方向における中央位置(図中上から3段目の最小印字分割領域A3)に無線タグ回路素子Toが配置されている感熱テープ101に対して印字することのできる印字パターン(印字する文字サイズと配置の組合せ)を示している。
上述したように、本実施形態で使用する感熱テープ101は、そのテープ幅方向(図中の上下方向)の両縁部の余白BLを除いた印字候補領域ASがテープ幅方向に5つの最小印字分割領域A1〜A5に等分されており、そのうちの無線タグ回路素子Toが配置されている3段目の最小印字分割領域A3を避けた1,2段目及び4,5段目の最小印字分割領域A1,A2,A4,A5が上記印字可能領域ATとなってその印字可能領域ATのみに印字が行われる。この図7に示す印字文字のサイズは2種類あり、文字のテープ幅方向の大きさ(図中での高さ)が最小印字分割領域1段分の幅(例えばこの例では16ドット)と一致する小サイズの文字と、文字のテープ幅方向の大きさが最小印字分割領域2段分の幅(この例では32ドット)と一致する中サイズの文字である。なお、感熱テープ101のテープ幅Wの変化により、各文字サイズのそれぞれのドット数(フォントセット)もテープ幅Wに応じて適宜変化できるようにしている。また、無線タグラベルTのテープ長手方向両端にも余白BLを確保して印字の配置誤差を吸収できるようにしている。
まず図7(a)は1,2段目の最小印字分割領域A1,A2を合わせた領域及び4,5段目の最小印字分割領域A4,A5を合わせた領域にそれぞれ中サイズの文字を印字した2行の印字パターンの例を示している。図7(b)は1,2,4,5段目の最小印字分割領域A1,A2,A4,A5にそれぞれ小サイズの文字を印字した4行の印字パターンの例を示している。図7(c)は1,2段目の最小印字分割領域A1,A2を合わせた領域に中サイズの文字を印字し、4,5段目の最小印字分割領域A4,A5にそれぞれ小サイズの文字を印字した3行の印字パターンの例を示している。図7(d)は1,2段目の最小印字分割領域A1,A2にそれぞれ小サイズの文字を印字し、4,5段目の最小印字分割領域A4,A5を合わせた領域に中サイズの文字を印字した3行の印字パターンの例を示している。なお、この図7では特に図示しないが、図7(a)〜図7(d)の各行の文字列のいずれかにおいて文字が印字されずに空白となる印字パターンもある(後に示す図11、図16参照)。
図8は、上記無線タグラベルT1の断面構造を表す図7(a)中VIII−VIII断面による横断面図である。無線タグラベルT1は、図2において説明したように3層構造となっており、カバーフィルム101a側(図8中上側)よりその反対側(図8中下側)へ向かって、カバーフィルム101a、粘着層101b(貼り付け用の粘着材層)、剥離紙101cで3層を構成している。そして、前述のようにカバーフィルム101aの裏側に設けられたアンテナ152を含む無線タグ回路素子Toが粘着層101b内に備えられるとともに、カバーフィルム101aの表面の所定領域に印字R(無線タグラベルT1の場合は中サイズ文字で「ABCDE」の文字)が印刷されている。なお、図8では無線タグラベルT1を例にとって説明したが、他の無線タグラベルT2〜T4についても同様の断面構造となっている。
図9は、上述した各種の配置態様の無線タグラベルTの作成、すなわち、感熱テープ101を搬送し印字ヘッド10で所定の印字を行い印字済タグラベル用タグテープ110とした後印字済タグラベル用タグテープ110を切断し無線タグラベルTとする際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
この図9において、例えば図示しない電源スイッチを介しタグラベル作成装置2の電源投入が行われるとこのフローが開始される。まずステップS5において、各種変数、係数等の初期化を行った後、表示手段220へ適宜の初期画面を表示させる表示信号を出力し、当該初期画面の表示を行わせる。
その後、ステップS10において、センサ20による、カートリッジ100に設けた被検出部190の検出結果に基づき、これに対応する情報(感熱テープ101のテープ幅Wと上記最小印字分割領域の分割数、無線タグ回路素子Toのテープ長手方向の配置間隔Pとテープ幅方向の配置位置情報等のタグ属性パラメータ情報や無線通信時の使用周波数、通信プロトコル等の通信パラメータ情報等)を取得する。
その後、ステップS15に移り、上記操作手段210を介し、操作者より、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字したい印字文字データ又はその無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに書き込みたい情報の入力操作又は編集操作があったかどうかを判定する。当該入力操作又は編集操作があった場合には判定が満たされ、ステップS20に移って当該操作に対応する所定の演算処理を行い(さらにその演算結果を印字情報又は書き込み情報として所定の記憶手段に記憶し)、必要に応じて表示手段220へ対応する表示信号を出力して表示を行わせ、ステップS25へ移る。ステップS15で当該入力操作又は編集操作がない場合はステップS15の判定が満たされず、後述のステップS25に移る。
ステップS25では、上記操作手段210を介し、操作者より無線タグラベルTの印字パターン設定操作があったかどうかを判定する。当該操作があった場合には判定が満たされてステップS30へ移る。当該印字パターン設定操作がない場合は判定が満たされず、後述のステップS50へ移る。
ステップS30では、上記操作手段210を介した操作者の手動操作に基づき印字パターン設定処理を行い、その後ステップS50に移る。
ステップS50では、上記操作手段210を介し、無線タグラベルTに関するその他の各種設定(例えば搬送方向前方側に前余白を設ける場合や、印字の文字飾りの設定等)の設定操作があったかどうかを判定する。当該操作があった場合には判定が満たされてステップS55へ移り、対応する各種処理及び必要に応じて表示手段220へ対応する表示信号を出力して表示を行わせた状態において所定の設定処理が為された後、ステップS60に移る。ステップS50で当該設定操作がない場合は判定が満たされず、後述のステップS60へ移る。
ステップS60では、上記操作手段210を介し、操作者より無線タグラベルTのラベル作成操作があったかどうかを判定する。当該操作があった場合には判定が満たされてステップS70へ移り、上記ステップS15及びステップS20での印字情報及び書き込み情報の入力又は編集に対応し、印字ヘッド10で所定の印字を行うとともに無線タグ回路素子Toへ情報書き込みを行い、無線タグラベルTを作成し、ステップS15へ戻って同様の手順を繰り返す。ステップS60において当該ラベル作成操作がない場合はステップS60の判定が満たされず、ステップS15へ戻って同様の手順を繰り返す。
図10は、図9のステップS30の印字パターン設定処理の詳細手順を表すフローチャートである。図10において、まずステップS31で、図9の上記ステップS10で取得したタグ属性パラメータ情報に基づき感熱テープ101において設定できる全ての印字パターンに対応する表示信号を上記表示手段220に出力し当該全印字パターンを表示させる。この際、タグ属性パラメータに含まれる無線タグ回路素子Toのテープ幅方向の配置位置情報からその無線タグ回路素子Toの配置位置を避けるようにして印字可能領域ATを決定し、その印字可能領域ATにおいて所定サイズの印字文字を印字可能な全ての印字パターンを決定してから表示させるようにする(詳細は後述の図11参照)。
その後、ステップS32では、操作者により操作手段210におけるカーソルキー、決定キーなどが押下されて上記ステップS31で表示した全印字パターンから所望の印字パターンの決定(選択)入力が行われたか否かを判定する。当該決定入力操作があった場合には判定が満たされてステップS33へ移る。当該決定入力操作がない場合はステップS32の判定が満たされず、その操作があるまで上記の選択操作を繰り返して待機する。
そして、ステップS33に移り、上記ステップS32における決定入力操作に応じて、後述する印字バッファに印字文字データを展開するための、上記記憶装置200内に構成されているデータベースにアクセスし、上記決定入力に対応するテンプレートファイルを検索し、取得する。このテンプレートファイルとは、テープ幅W、印字ヘッド10のドットの大きさ、無線タグ回路素子Toの配置位置情報、印字可能領域TA、設定された印字行数などの印字に必要なパラメータに基づき、入力されている印字文字データの文字列のイメージデータを設定された印字パターンの印字配置で印字バッファに展開生成するためのひな形のファイルである(詳細は後述の図12参照)。
その後、次のステップS34で、上記ステップS33で取得された印字パターン(テンプレート)を制御回路30内のメモリ又は記憶装置200の別の記憶領域等、所定の記憶手段に記憶してこのフローを終了する。
図11は、上記図10のステップS31において、表示手段220に表示された表示例を表している。この例では、3段目の最小印字分割領域A3に無線タグ回路素子Toを配置した場合に感熱テープ101において設定可能な全印字パターンの表示例である。この例では、実際に印字する(空白ではない)文字列の行数別に「一行印字」「二行印字」「三行印字」「四行印字」のようにまとめて配置している。操作者は上記操作手段210における例えばカーソルキーなどの方向キーを介して当該印字パターンを選択することができ、図では、そのうちの一つの印字パターン(一行印字の左端の印字パターン)を表示した例である。当該選択された印字パターンのみが通常に表示され、他の印字パターンはそれとは異なる態様(この例では網掛け等の暗い表示)で表示される。
図12は、上記記憶装置200内に構成されているデータベースに上記テンプレートファイルが格納、記憶されている状態の一例を示すものである(上記図10のステップS33参照)。この図12において、記憶装置200内のデータベースには、入力文字列と変換文字列との対応に関する辞書ファイル201や個々の印字文字のフォントに関するフォントファイル202と共に、印字パターンに関するテンプレートファイル203が格納されている。制御回路30は、前述したように、上記ステップS32での決定入力操作に対応するテンプレートファイルを記憶装置200のデータベースから検索し、読み出す。
図13は、図9のステップS70のタグラベル作成処理の詳細手順を表すフローチャートである。図13において、まずステップS71において、図9の上記ステップS10で取得したタグ属性パラメータ情報を読み出し、ステップS72へ移る。
ステップS72では、図9の上記ステップS20で印字文字データが入力されているか(言い換えれば前述の所定の記憶手段に印字情報が記憶されているか)否かを判定する。当該印字文字データが入力済みであった場合には、ステップS73へ移る。当該印字文字データが入力されていなかった場合には、ステップS72の判定が満たされず、ステップS74でそれに対応するエラーメッセージを表示するための信号を生成して表示手段220に出力し、当該表示を行わせ、このフローを終了する。
ステップS73では、上記ステップS20で記憶手段に記憶されていた印字文字データと、ステップS34で記憶手段に記憶されていたテンプレートファイルを読み出す。その後、次のステップS75で、上記ステップS73で取得した印字文字データ及び上記テンプレートファイルに基づき、制御回路30内に設けた印字バッファ(詳しくは後述する)上に印字イメージ情報を展開生成し、一時的に記憶させる。なおこのときに、対応するイメージ表示を表示手段220においてプレビューさせるようにしてもよい。
その後、ステップS76に移り、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力しカートリッジ用モータ23によりテープ送りローラ駆動軸12を駆動し、タグラベル用タグテープ110を搬送しながら、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10によって、上記ステップS75で印字バッファ上に展開した印字イメージ情報に対応した印刷をカバーフィルム101aに対し行う。
そして、ステップS200において、無線タグ回路素子Toに対し応答を求める問いかけ信号を送信し、応答があった所定の無線タグ回路素子Toに対し図9のステップS15及びステップS20で入力され記憶保持されていた書き込み情報を送信し、そのIC回路部151に当該情報を書き込む(タグ情報書き込み処理、詳細は後述)。
その後、ステップS77に移り、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力しカートリッジ用モータ23によりテープ送りローラ駆動軸12を駆動し、印字済みタグラベル用タグテープ110を所定量搬送するテープフィードを行った後、ステップS78でソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を通電することにより、カッタ15を駆動させ、この時点での搬送方向位置において印字済みタグラベル用タグテープ110の切断を行う。これによって、所定の無線タグ回路素子Toに情報書込みが行われるとともに対応する印字が完了した無線タグラベルT(先の図7(a)〜図7(d)参照)が完成し、テープ110から分離する形で搬出口16からタグラベル装置2外へと取り出される。
図14は、図13に示したステップS200のタグ情報書き込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。まず、ステップS205において、無線タグ回路素子Toからの応答がないときのリトライ(再試行)の回数をカウントする変数M,Nを0に初期化する。
その後、ステップS210において、書き込み対象の無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記憶された情報を初期化する「Erase」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Erase」信号が生成されて高周波回路21を介して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157を初期化する。
次に、ステップS215において、メモリ部157の内容を確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Verify」信号が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。その後ステップS2200において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS225において、上記ステップS220で受信したリプライ信号に基づき、書き込み対象の当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内の情報を確認し、メモリ部157が正常に初期化されたか否かを判定する。
判定が満たされない場合はステップS230に移ってMに1を加え、さらにステップS235においてM=5かどうかが判定される。M≦4の場合は判定が満たされずステップS210に戻り同様の手順を繰り返す。M=5の場合はステップS240に移り、エラー表示信号を表示手段220へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、このフローを終了する。このようにして初期化が不調でも5回までは再試行が行われる。
ステップS225の判定が満たされた場合、ステップS250に移り、書き込みたい所望のデータ(前述のステップS15又はステップS20で入力したもの)をメモリ部157に書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Program」信号(=上記書き込み情報)が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157に情報が書き込まれる。
その後、ステップS255において、「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22でアクセス情報としての「Verify」信号が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。その後ステップS260において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
次に、ステップS265において、上記ステップS260で受信したリプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内に記憶された情報を確認し、前述の送信した所定の情報がメモリ部157に正常に記憶されたか否かを判定する。
判定が満たされない場合はステップS270に移ってNに1を加え、さらにステップS275においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS250に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合は前述したステップS240に移り、同様に上記表示手段220に対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、このフローを終了する。このようにして情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われる。
ステップS265の判定が満たされた場合、ステップS280に移り、「Lock」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Lock」信号が生成されて高周波回路21を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、当該無線タグ回路素子Toへの新たな情報の書き込みが禁止される。これにより、書き込み対象とする無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の書き込みが完了し、このフローを終了する。
以上のルーチンにより、書き込み対象の無線タグ回路素子ToのIC回路部151に所望の情報を書き込むことができる。
以上において、制御回路30と信号処理回路22と高周波回路21の送信部32とが、各請求項記載の、IC回路部151へのアクセス情報(「Scroll ID」信号、「Ping 」信号、後述の「Program」信号、「Erase」信号、「Verify」信号等)を生成し、装置側アンテナ14を介して非接触で無線タグ回路素子Toに備えられたタグ側アンテナ152に送信し、IC回路部151へのアクセスを行う情報アクセス手段を構成する。
また、制御回路30の実行する図10に表す制御フローのステップS31が、各請求項記載の、感熱テープ101における無線タグ回路素子Toの配置位置情報に基づき、印字ヘッド10による印字可能領域ATを決定する印字領域決定手段を構成する。また、制御回路30の実行する図13に示すステップS76が、印字領域決定手段で決定した印字可能領域ATに基づき、印字ヘッド10を制御する印字制御手段に相当する。
以上説明したように、本実施形態のタグラベル作成装置2においては、無線タグラベルTを作成する際には、感熱テープ101が圧着ローラ107とサブローラ109とで搬送されて印字済みタグラベル用タグテープ110が生成され、さらに信号処理回路22及び高周波回路21で生成されたアクセス情報がアンテナ14を介し無線タグ回路素子Toのアンテナ152に送信され、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の情報へのアクセス(この例では情報の書き込み)が行われる。その後、カッタ15で印字済みタグラベル用タグテープ110が切断され、所定長さのタグラベルTが生成される。
ここで、本実施形態においては、上記のようにして感熱テープ101から無線タグラベルTを作成するとき、無線タグ回路素子Toの配置位置情報に基づき、感熱テープ101に対する印字ヘッド10の印字可能領域ATを決定し、この印字可能領域ATに基づき印字ヘッド10を制御する。これにより、無線タグ回路素子Toの配置位置付近を避けるように印字を行うことができ、無線タグ回路素子Toの配置位置近傍における印字不良の発生を低減できる。したがって、印字付きの無線タグラベルTの品質を確保することができる。
また、本実施形態では特に、感熱テープ101における無線タグ回路素子ToのIC回路部151及びタグ側アンテナ152の両方の配置位置を避けるように、印字可能領域ATを決定することで、無線タグ回路素子Toのうち最も大きな凸部となるIC回路部151のみならず、それ以外の凸部となるアンテナ152による印字への悪影響をも防止できるので、さらに確実に印字不良の発生を低減できる。
なお、上記では図11に示したような、3段目の最小印字分割領域A3に無線タグ回路素子Toを配置した場合に感熱テープ101において設定可能な全印字パターンを例示したが、これ以外にも、1,2,4,5段目の最小印字分割領域A1,A2,A4,A5に無線タグ回路素子Toを配置した場合に感熱テープ101において設定可能な全印字パターンも用意されている。本実施形態では特に、ステップS31で、上記ステップS10で取得したタグ属性パラメータ情報に基づき、無線タグ回路素子Toの配置位置を避けるようにして印字可能領域ATを決定するとともに上記のうち対応する全印字パターンを表示する。すなわち、無線タグ回路素子Toの配置位置と印字可能領域ATとの位置関係又はそれぞれの大きさのうち、少なくとも一方に応じて、印字ヘッド10による印字文字の大きさ(文字サイズ)、行数、向きの少なくとも一つを変化させる。これにより、例えば無線タグ回路素子Toがテープ幅方向一方側に偏っている場合には、反対側の広い領域を印字可能領域ATとする(それに適した印字パターンを設定する)ことで、文字の大きな印字や、文字数あるいは行数の多い印字を実行するようにすることも可能となる。また反対側には逆に小さな印字、行数の少ない印字を実行することもできる。さらに印字向きを回転させれば、回転対称の印字を行い、異なるタグラベルを作成することもできる(後述の変形例の図16も参照)。このような印字制御を行うことにより、ユーザの使用場面やニーズに応じた種々のタグラベルを作成することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)無線タグ回路素子ToのうちのIC回路部151だけを回避するよう印字可能領域ATを決定する場合
上記実施形態では、印字候補領域ASから印字可能領域ATを決定する際、無線タグ回路素子To全体の配置位置を回避するように印字可能領域ATを決定したが、これに限られず、そのうちのIC回路部151だけを回避するよう印字可能領域ATを決定してもよい。このような本変形例を図15〜図19により説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
なお、本変形例では、無線タグ回路素子Toが感熱テープの幅方向中央以外の偏った位置、つまり幅方向中心線に対して非対称となる位置に配置された感熱テープ101′を用いて印字を行う場合を例に説明する。
図15は、このような感熱テープ101′における無線タグ回路素子Toの配置を表す感熱テープ101′の上面図であり、上記実施形態の図3に相当する図である。この図15において、各無線タグ回路素子Toは5等分した最小印字分割領域A1〜A5のうちの図中左から4段目に位置する最小印字分割領域A4内に配置されており、また図3の場合と同様にテープ幅方向におけるIC回路部151の幅は2つのアンテナ152の配置幅より小さく、すなわちIC回路部151は無線タグ回路素子To全体より小さい幅に形成されている。
図16は、本変形例における印字パターン設定処理で、感熱テープ101′において設定できる全ての印字パターンを上記表示手段220に表示させる際(図10中のステップS31)の表示例であり、上記実施形態の図11に相当する図である。なお、図示の例では図16中一行印字の左端から7番目又は最右端の印字パターンなどに示すように、文字のテープ幅方向の大きさが最小印字分割領域3段分の幅(この例では48ドット)と一致する大サイズの文字も印字することができる。
そしてこの図16において、下方に「R」が表示されている印字パターンが特に逆印字方向パターンとなっており、下方に何も表示されていない印字パターン(順方向印字パターンという)と区別されている。通常は、このように4段目(図中上から)に無線タグ回路素子Toが配置されている感熱テープ101′を用いる場合には、図17(a)に示すように感熱テープ101′を順方向に搬送して各印字文字を上下順配置で文字列巻頭から印刷(図示の例では図16中一行印字の左端から1番目の印字パターンから7番目の印字パターンまで)するところ、図17(b)に示すように同じ順方向搬送で各印字文字を上下逆配置として文字列を末尾から印刷する(つまり回転対称の印字を行う)ことにより、作成された無線タグラベルはあたかも2段目(印字完了後の順配置上から)に無線タグ回路素子Toが配置されている感熱テープ101′を用いた場合の印字パターン(図示の例では図16中一行印字の最右端の印字パターン)で印刷したと同じレイアウトとなる。本変形例はこのような逆印字方向パターンをも設定できることにより、同一の感熱テープを用いながら、無線タグ回路素子Toの配置位置が異なる2通りの配置位置情報にそれぞれ適用される印字パターンで印刷できるため、印刷レイアウトのバリエーションを倍増させ、タグラベル作成装置の利便性、汎用性を向上させることができる。
図18はこのような変形例における制御回路30の実行する上記図9のステップS70のタグラベル作成処理の詳細手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図13に対応する図である。図18のフローにおいては、図13におけるステップS75の印字イメージ情報作成の手順に代えて、通常の順印字方向パターンか逆印字方向パターンかの判定を行う手順のステップS175と、順印字方向パターンの場合の印字イメージ情報作成の手順のステップS176と、逆印字方向パターンの場合の印字イメージ情報作成の手順のステップS177とが新たに設けられている点で図13と異なる。
すなわち、図13と同様のステップS71及びステップS72の後、ステップS73において、上記記憶手段からの印字文字データ及び印字パターンに応じたテンプレートファイル(図16参照)が入力部30a(後述の図19参照)を介し読み込まれる。次に、ステップS175で上記テンプレートファイルに基づき順印字方向パターンか逆印字方向パターンかの判定を行って、その判定結果に応じてステップS176又はステップS177で対応するイメージデータを印字バッファ30d上に展開生成(後述の図19参照)する。
そして、ステップS76で、上記同様、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力しカートリッジ用モータ23によりテープ送りローラ駆動軸12を駆動し、タグラベル用タグテープ110を搬送しながら、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10によって、上記ステップS176又はステップS177で印字バッファ上に展開した印字イメージ情報に対応した印刷をカバーフィルム101aに対し行う。以降の手順は、図13と同様であるので説明を省略する。
図19は、制御回路30の機能のうち、上述した図18のステップS175、ステップS176、ステップS177で行う印刷駆動回路25への印字制御信号の生成に係わる部分を抽出して示す機能ブロック図である。
この図19において、制御回路30は、記憶装置200から印字文字データとテンプレートファイルを入力する入力部30aと、このテンプレートファイルに基づく判定(上記図18のステップS175)により振り分けられてそれぞれの印字方向パターンに従ったイメージデータを生成する順印字方向イメージデータ生成部30b及び逆印字方向イメージデータ生成部30cと、これらにより生成されたイメージデータを展開して記憶する印字バッファ30dと、この印字バッファ30dに記憶されたイメージデータに基づき、印刷駆動回路25へ出力するための制御信号を生成する印字制御信号生成部30eと、生成された制御信号を印刷駆動回路25へ出力する出力部30fとを備えている。
上記順印字方向イメージデータ生成部30bはテンプレートファイルが順印字方向パターンに関する場合にデータ生成を行い、上記逆方向イメージデータ生成部30cは、テンプレートファイルが逆印字方向パターンに関する場合にデータ生成を行うものである。各生成部30b,30cは、入力された印字文字データをテンプレートファイルが示す印字レイアウトに従ってドット(ここでは黒と白の2種類のドット)の配列情報に変換し印字バッファ30d上に展開する。そして、このイメージデータの生成時には、IC回路部151の配置位置を回避した印字可能領域TAのみにドットを配置する。なお、この図19では、説明を簡易とするため、3行印字の各行の文字列として「A」、「B」、「C」の一文字ずつが入力された場合を図示しているが、各行の文字列は複数文字で入力してもよい。
印字制御信号生成部30eは、印字バッファ30dに記憶されたイメージデータに基づき制御信号を生成する。具体的には、印字バッファ30d上でドットの行列配列情報として記憶されているイメージデータから1列ずつ制御信号として印刷駆動回路25へ出力する。
以上のように構成した本変形例においては、少なくとも、感熱テープ101′における無線タグ回路素子ToのIC回路部151の配置位置を避けるように、印字可能領域ATを決定することにより、少なくとも、無線タグ回路素子Toのうち最も大きな凸部となるIC回路部151による印字への悪影響を防止することができる。特に、上記のように無線タグ回路素子Toが最小印字分割領域A1〜A5を位置単位ではなく中途半端なテープ幅方向位置に配置されている場合(配置位置情報がドット単位である場合)には、印字可能領域ATをより広く確保できるためさらに有効である。
また、本変形例では特に、感熱テープ101′より生成した無線タグラベルにおいてラベル長手方向又はラベル幅方向に関し非対称となる配置となるように、無線タグ回路素子Toが配置されている(この例では最小印字分割領域A4内に配置されている)ことにより、前述したように、上記逆印字方向パターンを用いて印字向きを回転させ回転対称の印字を行うことで、無線タグラベルの形成後にひっくり返すだけで異なる無線タグラベルとすることができる。これにより、ユーザの使用場面やニーズに応じた種々の無線タグラベルを容易に作成することが可能となる。
なお、本変形例において、タグラベル作成装置に印字文字の大きさ(フォントセット)に関する許容最小値(最小フォントセット)を設定記憶する印字最小値記憶手段(例えばRAM又はROM等の適宜の記憶手段)を備え、この印字最小値記憶手段に記憶した許容最小値に基づき、印字ヘッド10の制御を行ってもよい。この場合、ユーザの目で判別しにくいほどの小さな文字による印字を行うのを防止できる効果がある。
なお、上記実施形態及び本変形例においては、印字候補領域ASを5つの最小印字分割領域A1〜A5に等分していずれかの最小印字分割領域に無線タグ回路素子Toを配置したが、本発明はこれに限られず、5つ(5段)以外の数での最小印字分割領域で等分してもよいし、また等分された最小印字分割領域での配置位置情報に限ることなく印字ヘッド10のドット数による配置位置情報に従ったテープ幅方向位置に無線タグ回路素子Toを配置する構成であっても、上記と同様の効果が得られる。
(2)無線タグ回路素子Toの配置位置でも印字態様を変化させることで印字可能領域ATとする場合
以上においては、無線タグ回路素子Toまたは少なくともIC回路部151の配置位置を回避するように印字可能領域ATを決定していたが、必ずしもこれに限られず、無線タグ回路素子To(または少なくともIC回路部151)の配置位置を包含するように印字可能領域ATを決定し、印字可能領域ATのうち無線タグ回路素子Toの配置位置に対応する部分とそれ以外の部分とで印字態様を変化させるように、印字ヘッド10を制御してもよい。
つまり、無線タグ回路素子Toの配置位置に対応する部分において、例えば印字する色や濃淡などの印字態様を他の印字可能領域と異ならせるようにする。一例として、無線タグ回路素子Toの配置位置に対応する部分は、それ以外の部分に比べて薄く印字するように予め印字態様を設定しておく(=もともと薄いので仮に印字かすれ等が生じても構わない)ことで、出来上がった無線タグラベルの品質確保上、問題のないようにすることができる。
(3)無線タグ回路素子To又はIC回路部151の配置位置情報を感熱テープに備えた場合
以上においては、無線タグ回路素子Toまたは少なくともIC回路部151の配置位置情報に対応した識別子をカートリッジ100に備えていたが、必ずしもこれに限られず、感熱テープにタグ位置情報保持手段として配置位置情報に対応する識別子を備えてもよい。
このような本変形例によれば、上記のようにして感熱テープから無線タグラベルを作成するとき、その無線タグ回路素子Toの配置位置情報に基づき、例えば、タグラベル作成装置2側で感熱テープに対する印字可能領域ATを決定することが可能になる。この場合、無線タグ回路素子Toの配置位置付近を避けるように印字を行うようにしたり、あるいは、無線タグ回路素子Toの配置位置付近に印字を行う場合もかすれ等が生じても構わない態様(例えば薄い印字設定等)の印字を行う等とすることができる。この結果、無線タグ回路素子Toの配置位置近傍における印字不良の発生を低減できるか、又は、印字不良等が生じたとしても無線タグラベルの品質上問題のないようにすることができる。したがって、印字付きの無線タグラベルの品質を確保することができる。
なお、図20(a)に示すようにタグ位置情報保持手段として、無線タグ回路素子Toの配置位置に対応した位置にマーキング等によるテープ側識別子Mkを設けてもよい。好適には、テープ側識別子Mkは上記剥離紙101cに設けられ、テープ側識別子Mkからアンテナ152始端(図中左側端)までの距離がd1、IC回路部151始端までの距離がd2、IC回路部151終端(図中右側端)までの距離がd3、アンテナ152の終端までの距離がd4に設定される。またこのとき、図20(b)に示すように、テープ側識別子Mkを検出するためにカートリッジ100内の所定の箇所に設けられたテープセンサTSと印字ヘッド10までの距離がDとなっている。これにより、タグラベル作成装置2側でマーキング等のテープ側識別子を検出することにより、その検出結果に応じて取得される無線タグ回路素子Toの配置位置情報に基づき、例えば感熱テープ101に対する印字可能領域ATを決定することができる。例えばテープセンサTSがテープ側識別子Mkを検出して(検出信号は制御回路30に入力)から距離D+d2だけテープが送られると(印字ヘッド10位置において)IC回路部151の配置領域が始まり、D+d3送られるとIC回路部151の配置領域が終わるので、当該配置領域の間はこれを印字領域から除外するなどの処理が可能となる(なおIC回路部151だけでなくアンテナ152も加えた無線タグ回路素子To全体を印字領域から除外してもよいことは言うまでもない)。
図21は、この場合の制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、上記図9にほぼ相当する図である。図9と同等の手順には同一の符号を付し、説明を省略する。図示のように、図21においては、図9におけるステップS25及びステップS30が省略されている。すなわちこの例では上記図10に示されたような印字パターン処理、すなわち図11及び図12のようなテンプレートを用いることなく、ある所定の固定的なパターンに沿った(例えばテープ幅方向中央に一行の文字の)印字が行われる。また図9におけるステップS70に代えて設けられたステップS70′においてタグラベル作成処理を行う(詳細は後述の図22参照)。
図22は、図21のフローのステップS70′に示したタグラベル作成処理の詳細手順を表すフローチャートであり、前述の図13にほぼ相当する図である。図13と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。図22において、図13と異なる点は、上記したテンプレートを用いないことに対応し、ステップS73に代えて設けたステップS73′で、上記ステップS20で記憶手段に記憶されていた印字文字データのみを読み出す点と、ステップS76に代えてステップS76′の印刷処理の手順を設けた点である。
図23は、図22のステップS76′の詳細手順を表すフローチャートである。まず、ステップS701で、印字を開始する。すなわち、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力しカートリッジ用モータ23によりテープ送りローラ駆動軸12を駆動し、タグラベル用タグテープ110を搬送しながら、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10によって、上記ステップS75で印字バッファ上に展開した印字イメージ情報に対応した印刷をカバーフィルム101aに対し行う。
その後、ステップS702に移り、テープセンサTSの検出信号に基づきIC回路部151が印字ヘッド10位置まで来たかどうかを判定する。前述の例で言えば、テープセンサTSがテープ側識別子Mkを検出した後距離D+d2だけテープが送られたかどうかを判定する。
判定が満たされたらステップS703へ移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10を印刷中止するよう制御することにより、上記ステップS701で開始した印字動作を一旦中断する(なお、タグラベル用タグテープ110の搬送は引き続き継続している)。その後、ステップS704に移る。
ステップS704では、テープセンサTSの検出信号に基づきIC回路部151が印字ヘッド10位置を超えたかどうかを判定する。前述の例で言えば、テープセンサTSがテープ側識別子Mkを検出した後距離D+d3だけテープが送られたかどうかを判定する。
判定が満たされたらステップS705へ移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10を印刷開始するよう制御することにより、上記ステップS701と同様、印字動作を再び開始し、このルーチンを終了する。
なお、上記においては、制御回路部30が実行する図23に示した制御フローのステップS702及びステップS704が、各請求項記載の、感熱テープ101における無線タグ回路素子Toの配置位置情報に基づき、印字ヘッド10による印字可能領域(この例ではIC回路部151以外の領域)を(結果的に)決定する印字領域決定手段を構成し、ステップS701、ステップS703、及びステップS705が、印字領域決定手段で決定した上記印字可能領域に基づき、印字ヘッド10を制御する印字制御手段に相当する。
上記した例でも、上記実施形態と同様、少なくとも、感熱テープ101′における無線タグ回路素子ToのIC回路部151の配置位置を避けるように、印字可能領域を(結果として)決定することにより、少なくとも、無線タグ回路素子Toのうち最も大きな凸部となるIC回路部151による印字への悪影響を防止することができる効果を得る。
また、上記マーキング等で構成するテープ側識別子は、搬送制御時の位置決め用の識別子を兼ねるようにしてもよい。この場合、印字位置や切断位置の位置決めのための搬送制御を当該識別子を指標にして容易に行うこともでき、位置決め用識別子を別途設ける必要がなく共通化できる。
さらに、タグ位置情報保持手段として、感熱テープに備えたIC回路部151に当該無線タグ回路素子Toの配置情報等を記憶させ(=タグ位置情報記憶手段)これを装置側から読み取って取得する構成してもよく、この場合でも上記と同様の効果が得られる。
(4)タグテープの他の態様
以上は、タグテープとしての感熱テープ101がリール部材102aの周りに巻回されてロール102を構成し、カートリッジ100内にそのロール102が配置されて感熱テープ101が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toが少なくとも一つ配置された長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックしてカートリッジ化し、このカートリッジをタグラベル作成装置2側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字及び書き込みを行いタグラベルを作成するようにしてもよい。
さらにはカートリッジ方式にも限られず、上記ロール102を直接タグラベル作成装置2側に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートをタグラベル装置2外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送しタグラベル装置2内へ供給する構成も考えられる。これらの場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。
(5)情報読み取りのみを行う場合
以上においては、無線タグ回路素子ToのIC回路部151に情報書き込みを行う場合を例にとって説明したが、これに限られず、情報読み取りのみが可能な無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルのタグラベル作成装置に本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
(6)インクリボンを用いる場合
以上においては、感熱テープ101を用いた場合を例にとって説明したが、これに限られず、インクリボンを用いた印字としてもよい。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上で用いた「Scroll ID」信号、「Ping」信号、「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
また、上記の実施形態及び各変形例では、タグラベル作成装置2にデータベースを構成する記憶装置200を備えて独立して必要な情報を記憶、検索できるスタンドアローンタイプの場合を例にとって説明したが、これに限られず、タグラベル作成装置2にインターフェースを備え、有線あるいは無線による通信回線を介してルートサーバ、端末、汎用コンピュータ、及び複数の情報サーバに接続された無線タグ作成システムに本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。