JP4741432B2 - スピーカ、およびスピーカ磁気回路部の製造方法 - Google Patents

スピーカ、およびスピーカ磁気回路部の製造方法 Download PDF

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複数の磁気ギャップを有するスピーカ、およびスピーカ磁気回路部の製造方法に関する。
従来、複数の磁気ギャップを有するスピーカが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)
この特許文献1に記載のものは、マグネットと、このマグネットの一方の面に固定される円環状のプレートと、マグネットの他方の面を固定するポールピースと、ポールピースと外側プレートとの間に配置される内側プレートとを備えたスピーカである。
このスピーカでは、外側プレートの内側に外側ギャップが形成されるように円環状の内側プレートを配置し、ポールピースの円板状部から突出する棒状部材を内側プレートの内側面との間に内側ギャップが形成されるように配置している。そして、このスピーカでは、内側プレートの内周側の厚さを外側プレートの厚さよりも厚くして、内側ギャップの磁束密度を外側ギャップの磁束密度よりも大きくする構成が採られている。
また、特許文献2に記載のものは、マグネットと、ポールピースと、ヨークからなる複合型スピーカ用磁気回路である。
この磁気回路は、マグネットの一面に円環状の上側ヨークが配置され、マグネットの他面に円板状の下側ヨークが配置され、上側ヨークの内側面との間、下側ヨークの円板状部から突出する棒状部との間にそれぞれ磁気空隙を形成するようにポールピースが配置されて形成されている。このポールピースと下側ヨークとの間に高導磁性体および磁気抵抗体が配置され、ポールピースから下側ヨークを通る磁気回路の磁気抵抗を変化させることにより磁気空隙における磁束密度を調節している。
実開昭53−163121号公報 実開昭55−100391号公報
ところで、特許文献1のような従来のスピーカでは、内側プレートの内周側の厚さを外側プレートの厚さよりも厚くしているため、外側ギャップにおける磁束密度を内側ギャップの磁束密度よりも大きくできるが、内側ギャップの磁束密度を外側ギャップの磁束密度よりも大きくするような場合には、対応しにくい。
また、1つの磁気回路に2つの磁気ギャップを設けているため、それぞれの磁気ギャップを通る磁束は略同等であり、各磁気ギャップの磁束密度を微小に変化させることは可能であるが、各磁気ギャップにおける磁束密度が大きく違う場合などには対応できないという問題が挙げられる。
また、特許文献2では、高導磁性体および磁気抵抗体を別個用意する必要があり、部品点数が増大して構成が複雑になるという問題が挙げられる。
本発明は、上記のような問題に鑑みて、簡単な構成で、適切な磁束密度の磁気ギャップを備えたスピーカ、およびスピーカ磁気回路部の製造方法を提供することを1つの目的とする。
請求項1に記載の発明は、磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部を備えたスピーカであって、前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備えた共通磁性体と、前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記共通磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記共通磁性体側ギャップ形成面と対向して前記第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第一磁路の共通磁路以外の回路を構成する第一胴部を備えた第一磁性体と、前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記第一磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して前記第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第二磁路の共通磁路以外の回路を構成する第二胴部を備えた第二磁性体と、前記第一磁気ギャップおよび前記第二磁気ギャップのそれぞれに設けられるコイル部と、前記コイル部に接続されてコイル部の振動により振動する振動板と、を具備したことを特徴としたスピーカである。
請求項4に記載の発明は、磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部を備えたスピーカであって、前記磁石は、一端面と他端面とが互いに対極となる略筒状に形成され、前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備え、前記共通磁路の磁束に略直交する面積が前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップの磁束密度を所望の大きさにするように面積設定された共通磁性体と、前記磁石の他端面に当接される第一磁石当接面、前記共通磁性体の共通磁性体側ギャップ形成面と対向して第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および第一磁石当接面と第一磁気ギャップ形成面を連結する第一胴部を備えた第一磁性体と、前記磁石の他端面に当接される第二磁石当接面、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および第二磁石当接面と第二磁気ギャップ形成面を連結する第二胴部を備えるとともに、前記第一磁気ギャップと第二磁気ギャップとにおける磁束密度の比に応じて、前記第一磁石当接面と前記第二磁石当接面との面積比および第一胴部と第二胴部の断面との面積比のうち少なくともいずれか一方が設定された第二磁性体と、前記第一磁気ギャップおよび前記第二磁気ギャップのそれぞれに設けられるコイル部と、前記コイル部に接続されてコイル部の振動により振動する振動板と、を具備したことを特徴としたスピーカである。
請求項11に記載の発明は、磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部の製造方法であって、前記磁性体は、前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備えた共通磁性体と、前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記共通磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記共通磁性体側ギャップ形成面と対向して前記第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第一磁路の共通磁路以外の回路を構成する第一胴部を備えた第一磁性体と、前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記第一磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して前記第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第二磁路の共通磁路以外の回路を構成する第二胴部を備えた第二磁性体と、を具備し、当該スピーカ磁気回路部の製造方法は、前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度が所望の大きさとなるように、前記共通磁路を構成する前記共通磁性体の磁束に略直交する面積を設定して、前記共通磁性体を形成し、前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度の大きさの比が所望の大きさの比となるように、前記第一磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第一磁性体の磁束に対して略直交する面積、および前記第二磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第二磁性体の磁束に対して略直交する面積の面積比を設定して、前記第一磁性体および前記第二磁性体を形成することを特徴としたスピーカ磁気回路部の製造方法である。
請求項12に記載の発明は、磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部の製造方法であって、前記磁石は、一端面と他端面とが互いに対極となる略筒状に形成され、前記磁性体は、前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備えた共通磁性体と、前記磁石の他端面に当接される第一磁石当接面、前記共通磁性体の共通磁性体側ギャップ形成面と対向して第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および第一磁石当接面と第一磁気ギャップ形成面を連結する第一胴部を備えた第一磁性体と、前記磁石の他端面に当接される第二磁石当接面、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および第二磁石当接面と第二磁気ギャップ形成面を連結する第二胴部を備えた第二磁性体と、を具備し、当該スピーカ磁気回路部の製造方法は、前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度が所望の大きさとなるように、前記共通磁路を構成する前記共通磁性体の磁束に略直交する面積を設定して、前記共通磁性体を形成し、前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度の大きさの比が所望の大きさの比となるように、前記第一磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第一磁性体の磁束に対して略直交する面積、および前記第二磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第二磁性体の磁束に対して略直交する面積の面積比を設定して、前記第一磁性体および前記第二磁性体を形成することを特徴としたスピーカ磁気回路部の製造方法である。
[第一の実施の形態]
以下、本発明に係る第一の実施の形態のスピーカについて、図面に基づいて説明する。
図1は、第一の実施の形態に係るスピーカの概略を示す側断面図である。図2は、第一の実施の形態におけるスピーカ磁気回路部の磁路を模式的に示す図である。なお、本実施の形態では、コーン型のスピーカについて例示するが、この限りではない。
〔スピーカの構成〕
図1において、100は、スピーカであり、このスピーカ100は、電気的に接続される図示しない再生装置からの電気信号である音声信号を発音により出力する。このスピーカ100は、スピーカ磁気回路部としての磁気回路部200と、フレーム部300と、振動板400と、などを備えている。
磁気回路部200は、磁石210と、磁性体としての第一ポール220と、磁性体としての第二ヨーク230と、を備えている。
磁石210は、略円柱状に形成され、上端面が第一ポール220に、下端面が第二ヨーク230に当接して、例えば接着剤などにより固定されている。ここで、この磁石210は、第一ポール220に当接する上端面がN極、第二ヨーク230に当接する下端面がS極となるように形成されている。なお、本実施の形態では、上端面がN極、下端面がS極である磁石210を例示するが、これに限定されず、例えば上端面がS極、下端面がN極に形成される構成としてもよい。
第一ポール220は、略円柱状に形成され、磁石210と同軸上に配設されている。この第一ポール220は、例えば鉄などの磁束を良好に誘導可能な磁性部材により形成されている。
この第一ポール220の下端側には、磁石210に当接される共通磁性体胴部としての磁石当接部221が設けられている。また、第一ポール220の上端側には、周方向に突出して形成される磁気ギャップ形成部222が設けられている。この磁気ギャップ形成部222は、第二ヨーク230と所定の距離寸法を開けて対向し、第一磁気ギャップG1を形成する共通磁性体側ギャップ形成面が設けられている。
第二ヨーク230は、共通磁性体の一部を構成する底部231と、底部231から立ち上がる第一磁性体としての内側環状部232および第二磁性体としての外側環状部233とを備えている。これらの底部231、内側環状部232、および外側環状部233は、例えば鉄などの良好に磁束を誘導可能な磁性部材にて、一体形成されている。なお、本実施の形態では、これらの底部231、内側環状部232、および外側環状部233が一体形成された例を示すが、例えば、別体に設けられ、接着剤や溶接などにより接着固定されている構成としてもよい。
底部231は、磁石210と同軸となる略円板状に形成されている。この底部231の上面には、磁石210の下端面が当接して例えば接着剤などにより固定されている。ここで、底部231の上面径寸法は、磁石210の下端面の径寸法よりも大きく形成され、磁石210の下端面の全面が底部231の上面に当接する状態で固定されている。
内側環状部232は、底部231の上面から磁石210の軸方向に略平行する方向に立ち上がり、磁石210と同軸となる略円筒状の第一胴部232Bを備えている。この内側環状部232の第一胴部232Bは、内周面が磁石210の外周面および第一ポール220の外周面と所定の寸法だけ離間して形成されている。
そして、この第一胴部232Bの上端側には、内周側に突出する第一磁気ギャップ形成面232Aが形成され、この第一磁気ギャップ形成面232Aと、第一ポール220の磁気ギャップ形成部222の共通磁性体側ギャップ形成面との間に、第一磁気ギャップG1が形成されている。
また、第一胴部232Bの外側環状部233に対向する外周面のうち、後述する第二磁気ギャップ形成面233Aと対向する一部には、図示しない第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面が形成されている。
さらに、第一胴部232Bの上端部における第一磁気ギャップ形成面232Aおよび第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面の間には、共通磁路形成部が形成されている。
外側環状部233は、底部231の外周縁に沿って、底部231の上面から磁石210の軸方向に略平行する方向に立ち上がる略円筒状の第二胴部233Bを備えている。この第二胴部233Bは、内周面が内側環状部232の外周面から所定の寸法だけ離間した状態で形成されている。
また、第二胴部233Bの上端部には、内側環状部232に向かって突出する第二磁気ギャップ形成面233Aが形成され、この第二磁気ギャップ形成面233Aと、第一胴部232Bの外周面との間に、第二磁気ギャップG2が形成されている。
ここで、第一ポール220の共通磁性体側ギャップ形成面および内側環状部232の第一磁気ギャップ形成面232Aの間の距離寸法、すなわち第一磁気ギャップG1のギャップ長が、内側環状部232の第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面および外側環状部233の第二磁気ギャップ形成面233Aの間の距離寸法、すなわち第二磁気ギャップG2のギャップ長よりも短く形成されている。
さらに、第一ポール220の共通磁性体側ギャップ形成面および内側環状部232の第一磁気ギャップ形成面232Aの面積は、外側環状部233の第二磁気ギャップ形成面233Aの面積よりも小さく形成されている。すなわち、第一磁気ギャップG1における磁束に略直交するギャップ幅は、第二磁気ギャップG2における磁束に略直交するギャップ幅よりも狭く形成されている。
このような磁気回路部200では、図2に示すように、第一磁路A1と、第二磁路A2が形成される。第一磁路A1は、磁石210のN極から第一ポール220を通り、第一磁気ギャップG1を通過して第二ヨーク230の内側環状部232を経て、底部231から磁石210のS極に戻る磁気回路である。
一方、第二磁路A2は、磁石210のN極から第一ポール220を通り、第一磁気ギャップG1を通過して、内側環状部232の上端部を通り、さらに第二磁気ギャップG2を通過して、第二ヨーク230の外側環状部233を経て、底部231から磁石210のS極に戻る磁気回路である。
すなわち、第二磁路A2は、第一磁路A1から分岐する磁気回路であり、第一磁路A1における内側環状部232の上端部に設けられる共通磁路形成部で分岐して、内側環状部232から底部231に磁束が流れる磁気回路が第一磁路A1であり、第二磁気ギャップG2を通る磁気回路が第二磁路A2である。
したがって、磁石210から第一ポール220を通過し、第一磁気ギャップG1を通過して内側環状部232の上端部に至るまでの磁気回路区間、および底部231と内側環状部232との接続位置から底部231を通って磁石210に戻るまでの磁気回路区間が、これらの第一磁路A1および第二磁路A2における共通磁路A3となる。
この時、共通磁路A3を構成する第一ポール220の磁石当接部221における磁束に略直交する断面積S3は、第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量に基づいて設定される。
ここで、この断面積S3は、第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量に略比例する。したがって、例えば第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量を小さくする場合には、断面積S3もこの磁束量に略比例して小さく設定される。
一方、第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量を大きくする場合には、断面積S3も磁束量に略比例して大きく設定される。
また、第一磁路A1を構成する内側環状部232の第一胴部232Bの磁束に対して略直交する断面積S1、および第二磁路A2を構成する外側環状部233の第二胴部233Bの磁束に対して略直交する断面積S2は、第一磁路A1および第二磁路A2を通過する磁束の量の比に基づいて設定される。
ここで、断面積S1および断面積S2は、第一磁路A1および第二磁路A2を通過する磁束の量の比に略一致する。したがって、例えば第一胴部232Bおよび第二胴部233Bを流通する磁束の量の比において第一胴部232Bを流通する磁束の量の比率を大きくする場合には、この磁束の量の比に対応して断面積S1および断面積S2の面積比における断面積S1の比率が大きくなるように、第一胴部232Bの断面積S1および第二胴部233Bの断面積S2がそれぞれ設定される。
一方、第一胴部232Bおよび第二胴部233Bを流通する磁束の量の比において第一胴部232Bを流通する磁束の量の比率を小さくする場合には、この磁束の量の比に対応して断面積S1および断面積S2の面積比における断面積S1の比率が小さくなるように、第一胴部232Bの断面積S1および第二胴部233Bの断面積S2がそれぞれ設定される。
したがって、第一胴部232Bの断面積S1、第二胴部233Bの断面積S2、および磁石当接部221の断面積S3を適切に設定することで、第一磁路A1および第二磁路A2を通過する磁束の量が設定され、第一磁気ギャップG1、および第二磁気ギャップG2の磁束密度が設定される。
フレーム部300は、外側フレーム310と、内側フレーム320と、を備えている。
外側フレーム310は、底面略中央に略円形の開口311が穿設される外側フレーム底部312を有している。この外側フレーム底部312の外周縁には、略放射状に外側架橋部313が先端側で互いに拡開する状態に複数一連に設けられている。
また、この外側架橋部313の外側フレーム底部312近傍には、第一取付段差部314が設けられている。
さらに、外側架橋部313の先端部には、略リング状で、外側フレーム底部312に略平行な第二取付段差部315が設けられている。この第二取付段差部315の外周縁には、略円筒状に形成された位置決め筒部316が一連に設けられている。
そして、フレーム部300には、電気信号の音声信号が入力される端子を有する図示しないターミナルが一体的に取り付けられている。
内側フレーム320は、磁気回路部200の第二ヨーク230の内側環状部232の上面側に設けられる略筒状の内側フレーム底部321を有している。
この内側フレーム底部321の軸方向の一端側には、略放射状に内側架橋部322が先端側で互いに拡開する状態に複数一連に設けられている。この内側架橋部322の先端部には、略リング状の内側取付部323が設けられている。この内側取付部323の外周縁には、略円筒状に形成された位置決め部324が設けられている。
振動板400は、外側振動板410と、内側振動板420とを備えている。
外側振動板410は、例えば表面が防蝕処理されたマグネシウム薄板や、チタン合金、紙パルプ、各種繊維のシート部材などにて略薄膜状に形成されている。この外側振動板410は、一面側に向けて拡開する略コーン形状の外側振動部411を有している。
この外側振動部411の外周縁には、外側振動部411を保持するために外側エッジ部412が例えば接着剤などにより接着固定されている。
さらに、この外側エッジ部412の外周縁は、外側フレーム310の第二取付段差部315の取付面に例えば接着剤などにより接着固定されている。
また、外側振動部411の内周縁には、略円筒状に一連に形成された外側取付部414が設けられている。この外側取付部414は、磁気回路部200の第二磁気ギャップG2の径寸法、すなわち、磁石210の軸心から第二ヨーク230の内側環状部の外周面および外側環状部の第二磁気ギャップ形成面233Aの略中心位置近傍までの径寸法と略同一径寸法の円筒状に形成されている。
なお、図1において、外側エッジ部412が外側振動部411と別部材として設けられ、接着固定される例を示したが、例えば外側振動部411と一体形成される構成としてもよい。
また、外側振動板410には、外側ボイスコイルボビン510が一体的に設けられている。この外側ボイスコイルボビン510は、略円筒状の外側コイルボビン511と、コイル部としての外側ボイスコイル512と、を備えている。
外側コイルボビン511は、例えば金属材料、樹脂材料などにて略円筒形状に形成されている。この外側コイルボビン511は、径が外側振動板410の外側取付部414の径と略同一寸法に形成され、軸方向に一端部が例えば接着剤などにより、外側取付部414に固定されている。
また、外側コイルボビン511の軸方向の他端部は、磁気回路部200の第二磁気ギャップG2に、第二ヨーク230の内側環状部232および外側環状部233に接触しないように挿通されている。
なお、外側コイルボビン511は、外側振動板410が拡開する側の一端側に端面を閉塞する球面ドーム状のダストキャップに、例えば接着剤にて接着されて一体的に設けられた構成としてもよい。
外側ボイスコイル512は、外側コイルボビン511の軸方向の他端側の外周面で第二磁気ギャップG2に挿通される位置に巻装されている。この外側ボイスコイル512は、例えば絶縁層などが被服された導線が外側コイルボビン511に巻回されて構成されている。
そして、この外側ボイスコイル512の導線は、外側フレーム310に設けられた図示しないターミナルの端子に接続され、ターミナルから音声信号が入力される。
また、外側ボイスコイルボビン510には、いわゆるダンパである略円板状の取付支持部600が一体的に設けられている。
そして、取付支持部600は、図1に示すように、略中央に外側コイルボビン511が嵌挿される略円筒状で、内周面が外側コイルボビン511の外周面に例えば接着剤などにて一体的に取り付けられる図示しない円筒部を有している。
さらに、取付支持部600は、円筒部の軸方向の一端に径方向に鍔状で、径方向に沿って波形状に形成される可動部610が一連に設けられている。
また、可動部610の外周縁には、鍔状に突出し、外側フレーム310の第一取付段差部314に例えば接着剤などにて取り付けられる鍔部620が設けられている。
そして、取付支持部600の鍔部620が外側フレーム310の第一取付段差部314に取り付けられるとともに、外側振動板410の外側エッジ部412の外側振動板支持部413が外側フレーム310の第二取付段差部315に取り付けられることで、外側ボイスコイルボビン510が一体的に取り付けられた外側振動板410が外側フレーム310に配設される。この配設された状態で、外側ボイスコイル512は、第二磁気ギャップG2に位置する。
内側振動板420は、外側振動板410と同様に、例えば表面が防蝕処理されたマグネシウム薄板や、チタン合金、紙パルプ、各種繊維のシート部材などにて略薄膜状に形成されている。この内側振動板420は、一面側に向けて拡開する略コーン形状の内側振動部421を有している。この内側振動部421の外周縁には、内側振動部421が拡開する側と同方向に突出する状態に断面略U字状に屈曲する内側エッジ部422が一連に形成されている。なお、エッジ部422は、内側振動部421が別体に設けられ、例えば接着剤などにて接着固定されて一体的に設けられる構成としてもよい。
さらに、この内側エッジ部422の外周縁には、外方に鍔状に突出する内側振動板支持部423が設けられ、この内側振動板支持部423は、内側フレーム320の内側取付部323の取付面に例えば接着剤などにより接着固定されている。
また、内側振動部421の内周縁には、開口部を閉塞する状態に球面ドーム状のダストキャップ424が一体に設けられている。さらに、内側振動部421の内周縁には、内側ボイスコイルボビン520が一体的に設けられている。
内側ボイスコイルボビン520は、略円筒状の内側コイルボビン521と、コイル部としての内側ボイスコイル522とを備えている。
内側コイルボビン521は、外側コイルボビン511と同様に、例えば金属材料、樹脂材料などにて略円筒形状に形成されている。この内側コイルボビン521は、外径が内側振動板420の内周縁の内径と略同一寸法に形成され、軸方向の一端部が例えば接着剤などにより、内側振動板420の内径側に固定されている。また、内側コイルボビン521の軸方向の他端部は、磁気回路部200の第一磁気ギャップG1に、第一ポール220の外周縁および第二ヨーク230の内側環状部232に接触しないように挿通されている。
内側ボイスコイル522は、内側コイルボビン521の軸方向の他端側の外周面で第一磁気ギャップG1に挿通される位置に巻装されている。この内側ボイスコイル522は、例えば絶縁層などが被服された導線が内側コイルボビン521に巻回されて構成されている。
そして、この内側ボイスコイル522の導線は、フレーム部300に設けられた図示しないターミナルの端子に接続され、ターミナルから音声信号が入力される。
そして、内側振動板420の内側振動板支持部423が内側フレーム320の内側取付部323に取り付けられることで、内側ボイスコイルボビン520が一体的に取り付けられた内側振動板420が内側フレーム320に配設される。この配設された状態で、内側ボイスコイル522は、第一磁気ギャップG1に位置する。
〔スピーカの製造方法〕
次に、上記のようなスピーカ100の製造方法について説明する。
磁気回路部200の第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度は、スピーカ100の性能を決定する上で重要な要素であり、これらの第一および第二磁気ギャップG1,G2の磁束密度の大きさを第一ポール220および第二ヨーク230の形状により調整する。
具体的には、まず、第二ヨーク230の内側環状部232の第一胴部232Bの磁束に略直交する部位の断面積S1、および外側環状部233の第二胴部233Bの磁束に略直交する部位の断面積S2を第一および第二磁気ギャップG1,G2にて発生させる磁束密度の大きさに応じて調整する。
すなわち、第一磁気ギャップG1には、第一磁路A1および第二磁路A2の双方を流れる磁束が通過し、第二磁気ギャップG2には、第二磁路A2を流れる磁束のみが通過する。したがって、内側環状部232の断面積S1および外側環状部の断面積S2の面積比を調整することで、第一磁気ギャップG1を通過した後、内側環状部232に流れる磁束の量と、第二磁気ギャップG2を通過して外側環状部233を流れる磁束の量を調整することが可能となる。
例えば、内側環状部232の第一胴部232Bの断面積S1を、外側環状部233の第二胴部233Bの断面積S2に対して大きくすると、内側環状部232に流れる磁束の量が多くなり、外側環状部233に流れる磁束の量が減少する。これにより、第二磁気ギャップG2における磁束密度が減少し、第二磁気ギャップの磁束密度を小さくすることが可能となる。一方、内側環状部232の第一胴部232Bの断面積S1を、外側環状部233の第二胴部233Bの断面積S2に対して小さくすると、内側環状部232に流れる磁束の量が減少し、外側環状部233に流れる磁束の量が増大する。これにより、第二磁気ギャップG2における磁束密度が増大し、第二磁気ギャップの磁束密度を大きくすることが可能となる。
さらに、共通磁路A3を構成する第一ポール220の磁石当接部221の磁束に略直交する断面積S3を調整することで、第一磁路A1および第二磁路A2を流れる磁束のトータルの量を調整する。
すなわち、磁石当接部221の磁束に略直交する断面積S3を小さくすると、共通磁路A3に磁束が流れにくくなり、第一磁路A1および第二磁路A2に流れる磁束の量が減少する。
これにより、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度も小さくなる。
一方、磁石当接部221の断面積S3を増大させると、共通磁路A3を流れる磁束の量が増大するので、第一磁路A1および第二磁路A2に流れる磁束の量も増大する。したがって、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度も大きくなる。
以上のように、磁石当接部221の磁束に略直交する断面積S3と、第一胴部232Bの磁束に略直交する断面積S1と、第二胴部233Bの磁束に略直交する断面積S2と、を適宜調整することで、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度を所望の大きさの磁束密度に調整する。
この後、磁気回路部200にフレーム部300を固定する。
そして、第一磁気ギャップG1に内側ボイスコイル522が配置されるように、内側ボイスコイルボビン520および内側振動板420を配置し、内側振動板支持部423を内側フレーム320の内側取付部323に取り付ける。また、内側ボイスコイル522の電線をフレーム部300のターミナルに電気的に接続する。
同様に、第二磁気ギャップG2に外側ボイスコイル512が配置されるように、外側ボイスコイルボビン510および外側振動板410を配置し、外側振動板410の外側振動板支持部413を外側フレーム310の第二取付段差部315に取り付け、取付支持部600の鍔部620を第一取付段差部314に取り付ける。また、外側ボイスコイル512の端部をフレーム部300のターミナルに接続する。以上により、スピーカ100が組み立てられ、製造される。
〔スピーカの作用効果〕
上記のようなスピーカ100では、磁石210、第一ポール220、および第二ヨーク230の内側環状部232にて第一磁路A1が形成され、磁石210、第一ポール220、および第二ヨーク230の外側環状部233にて第二磁路A2が形成され、これら第一磁路A1および第二磁路A2のうち第二ヨーク230の底部231から磁石210、第一ポール220、第二ヨーク230の内側環状部232の先端部に亘って共通磁路A3が形成されている。そして、第一ポール220の磁石当接部221の磁束に略直交する部位の断面積S3が、磁石210から共通磁路A3に流通する磁束の量に応じて設定されている。また、第二ヨーク230の内側環状部232の第一胴部232Bの磁束に略直交する部位の断面積S1および第二ヨーク230の外側環状部233の第二胴部233Bの磁束に略直交する部位の断面積S2の面積比が、第一磁気ギャップG1を通過した全磁束のうち、内側環状部232から底部231に分岐させる第一磁路A1における磁束の量と、第二磁気ギャップG2を通過して外側環状部233から底部231に分岐させる第二磁路A2における磁束の量との比に応じて設定されている。
このため、第一磁路A1および第二磁路A2のそれぞれを流通する磁束の量が適切に設定することができ、第一磁気ギャップG1と第二磁気ギャップG2とにおける磁束密度も適切に設定することができる。したがって、スピーカ100の振動板400をより適切に振動させることができ、良好な音声を出力させることができる。
また、このようなスピーカ100の磁気回路部200を製造する製造法では、第一ポール220の磁石当接部221の磁束に略直交する部位の断面積S3と、第二ヨーク230の内側環状部232の第一胴部232Bの磁束に略直交する部位の断面積S1および第二ヨーク230の外側環状部233の第二胴部233Bの磁束に略直交する部位の断面積S2の面積比と、を適宜調整している。
このため、磁石当接部221の磁束に略直交する部位の断面積S3を調整することで、磁石210から共通磁路A3に流通する磁束の量を調整することができる。また、第一胴部232Bの断面積S1および第二胴部233Bの断面積S2の面積比を調整することで、第一磁気ギャップG1を通過した全磁束のうち、内側環状部232から底部231に分岐させる第一磁路A1における磁束の量と、第二磁気ギャップG2を通過して外側環状部233から底部231に分岐させる第二磁路A2における磁束の量と、を調整することができる。
したがって、第一磁路A1および第二磁路A2のそれぞれを流通する磁束の量を適宜調整することで、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度磁束密度を容易に調整することができる。
また、第一および第二磁気ギャップG1,G2の磁束密度の調整のために、別途磁性抵抗部材などを設ける必要がなく、第一および第二ヨーク220,230の形状のみで第一および第二磁気ギャップG1,G2の磁束密度の調整が可能であるため、構成を簡単にでき、製造効率も向上させることができる。
また、共通磁路A3は、第二ヨーク230の底部231における内側環状部232近傍から磁石210に至る区間、磁石210から第一ポール220を経て、第一磁気ギャップG1を通り、第二ヨーク230の内側環状部232の上端部に至る区間に形成されている。すなわち、第一磁気ギャップG1の内径側に共通磁路A3が設けられ、この第一磁気ギャップG1の外径側に第一磁気ギャップG1よりも磁束密度が小さい第二磁気ギャップG2が形成されている。
したがって、小径の内側振動板420であっても、十分に振動させることができ、例えば内側振動板420から例えば高音領域の音声を発生させる場合により良好な音声を出力させることができる。
また、第一磁気ギャップG1のギャップ長が第二磁気ギャップG2のギャップ長よりも短くなるように、第一ポール220、内側環状部232、および外側環状部233の位置が設定されている。さらに、第一磁気ギャップG1のギャップ幅が第二磁気ギャップG2のギャップ幅より狭くなるように、共通磁性体側ギャップ形成面、第一磁気ギャップ形成面232A、第二磁気ギャップ形成面233Aが形成されている。
このため、第一磁気ギャップG1の磁束密度を、第二磁気ギャップG2の磁束密度よりも十分に大きくすることができる。したがって、例えば内側振動板420から高音領域の音声を、外側振動板410から低音領域の音声を発生させる場合などにおいて、それぞれの振動板400から良好な音声を出力させることができる。
さらに、第二ヨーク230は、底部231、内側環状部232、および外側環状部233が、一体形成されているので、簡単に製造することができる。
また、上記のように、磁気回路部200における第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度がそれぞれ適切に調整されているため、この磁気回路部200を備えるスピーカ100では、外側振動板410および内側振動板420を第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度に応じて適切に振動させることができる。
[第二の実施の形態]
次に、本発明に係る第二の実施の形態のスピーカ100Aについて、図面に基づいて説明する。図3は、第二の実施の形態のスピーカの側断面図である。図4は、第二の実施の形態のスピーカ磁気回路部の磁路を模式的に示す図である。なお、図3、図4において、前記第一の実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略する。
〔スピーカの構成〕
図3において、第二の実施の形態のスピーカ100Aは、スピーカ磁気回路部としての磁気回路部200Aと、フレーム部300と、振動板400と、などを備えている。なお、第二の実施の形態のスピーカ100Aにおいて、フレーム部300、振動板400、ボイスコイルボビン510,520、取付支持部600の構成は、第一の実施の形態と同様であるため、前記したように、その説明を省略する。
スピーカ100Aの磁気回路部200Aは、図2に示すように、磁石210Aと、共通磁性体としての下側ヨーク240と、第一磁性体としての第一上側ヨーク250と、第二磁性体としての第二上側ヨーク260と、を備えている。
磁石210Aは、リング状に形成され、例えば上端面がS極、下端面がN極に形成されている。
下側ヨーク240は、例えば鉄などの磁束を良好に誘導可能な磁性部材により形成されている。この下側ヨーク240は、底部241と、底部241の略中心位置から上面側に立ち上がる共通磁性体胴部としての円柱部242と、を備えている。
底部241は、略円板状に形成され、この底部241の上面側には、共通磁性体磁石当接面が形成され、磁石210Aの下端面が当接されて固定されている。
円柱部242は、磁石210Aの軸心上に底部241の上面側に立ち上がって形成されている。また円柱部242の上端側には、径方向に突出して、周方向に連続する共通磁性体ギャップ形成面としての共通磁性体側ギャップ形成面243が形成されている。この共通磁性体側ギャップ形成面243は、第一上側ヨーク250と対向して第一磁気ギャップG1を形成している。
第一上側ヨーク250は、下側ヨーク240と同様に、例えば鉄などの磁束を良好に誘導可能な磁性部材により形成されている。この第一上側ヨーク250は、略筒状の第一胴部250Aを備えている。この第一胴部250Aの下端部には、磁石210Aの上端面に当接される第一磁石当接面251が形成されている。
また、第一胴部250Aの上端部には、内周側に周方向に沿って突出する第一磁気ギャップ形成面252が形成されている。この第一磁気ギャップ形成面252は、下側ヨーク240の共通磁性体側ギャップ形成面243と所定寸法だけ開けて対向し、前記したように、この共通磁性体側ギャップ形成面243との間に第一磁気ギャップG1を形成している。
また、第一上側ヨーク250の第二上側ヨーク260に対向する外周面のうち、後述する第二磁気ギャップ形成面262と対向する一部には、図示しない第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面が形成されている。
さらに、第一上側ヨークの上端部における第一磁気ギャップ形成面252および第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面の間には、共通磁路形成部が形成されている。
第二上側ヨーク260は、下側ヨーク240および第一上側ヨーク250と同様に、例えば鉄などの磁束を良好に誘導可能な磁性部材により形成されている。この第二上側ヨーク260は、内周面の径寸法が第一上側ヨーク250の外周面の径寸法よりも大きい略円筒状の第二胴部260Aを備えている。第二胴部260Aは、内周面が第一上側ヨーク250の外周面から所定寸法だけ離れて位置するように配置されている。
また、第二胴部260Aの下端部には、磁石210Aの上端面に当接される第二磁石当接面261が形成されている。
さらに、第二胴部260Aの上端側は、内周側に突出して周方向に連続する第二磁気ギャップ形成面262が形成されている。この第二磁気ギャップ形成面262は、第一上側ヨーク250の第一胴部250Aの外周面と所定寸法を開けて対向し、第二磁気ギャップG2を形成している。
ここで、下側ヨーク240の共通磁性体側ギャップ形成面243および第一上側ヨーク250の第一磁気ギャップ形成面252の間の距離寸法、すなわち第一磁気ギャップG1のギャップ長が、第一上側ヨーク250の第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面および第二上側ヨーク260の第二磁気ギャップ形成面262の間の距離寸法、すなわち第二磁気ギャップG2のギャップ長よりも短く形成されている。
さらに、下側ヨーク240の共通磁性体側ギャップ形成面243および第一上側ヨーク250の第一磁気ギャップ形成面252の面積は、第一上側ヨーク250の第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面および第二上側ヨーク260の第二磁気ギャップ形成面262の面積よりも小さく形成されている。すなわち、第一磁気ギャップG1における磁束に略直交するギャップ幅は、第二磁気ギャップG2における磁束に略直交するギャップ幅よりも狭く形成されている。
このような磁気回路部200Aでは、図4に示すように、第一磁路A1と、第二磁路A2が形成される。
第一磁路A1は、磁石210AのN極から下側ヨーク240の底部241、円柱部242を通り、第一磁気ギャップG1を通過して第一上側ヨーク250を経て磁石210AのS極に戻る磁気回路である。
一方、第二磁路A2は、磁石210AのN極から下側ヨーク240の底部241、円柱部242を通り、第一磁気ギャップG1を通過して、第一上側ヨーク250の上端部を通り、さらに第二磁気ギャップG2を通過して、第二上側ヨーク260を経て磁石210AのS極に戻る磁気回路である。
すなわち、第一磁路A1における第一上側ヨーク250の上端部で分岐して、第一上側ヨーク250に磁束が流れる磁気回路が第一磁路A1であり、第二磁気ギャップG2を通る磁気回路が第二磁路A2である。したがって、磁石210Aから下側ヨーク240を通過し、第一磁気ギャップG1を通過して第一上側ヨーク250の上端部に至るまでの磁気回路区が、これらの第一磁路A1および第二磁路A2における共通磁路A3となる。
この時、共通磁路A3を構成する下側ヨーク240の底部241における磁石210Aとの当接面積S4は、第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の所望の量に基づいて設定される。
ここで、当接面積S4は、第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量に略比例する。したがって、例えば第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量を小さくする場合には、この当接面積S4も第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量に略比例して小さく設定される。
一方、第一磁路A1および第二磁路A2を流通する磁束の量を大きくする場合には、当接面積S4も磁束量に略比例して大きく設定される。
また、第一磁路A1を構成する第一上側ヨーク250の磁石210Aと当接する第一磁石当接面251の面積S5、および第二磁路A2を構成する第二上側ヨーク260磁石210Aと当接する第二磁石当接面261の面積S6は、第一磁路A1および第二磁路A2を通過する磁束の所望の量の比に基づいて、設定される。
ここで、第一磁石当接面251の面積S5および第二磁石当接面261の面積S6は、第一磁路A1および第二磁路A2における共通磁路A3以外の部分を通過する磁束の量の比に略一致する。
したがって、例えば第一磁路A1および第二磁路A2における共通磁路A3以外の部分を通過する磁束の量の比において、第一磁路A1における共通磁路A3以外の部分を流通する磁束の量の比率を大きくする場合には、この磁束の所望の量の比に対応して第一磁石当接面251の面積S5および第二磁石当接面261の面積S6の面積比における面積S5の比率が大きくなるように、第一磁石当接面251の面積S5および第二磁石当接面261の面積S6がそれぞれ設定される。
一方、第一磁路A1および第二磁路A2における共通磁路A3以外の部分を通過する磁束の量の比において、第一磁路A1における共通磁路A3以外の部分を流通する磁束の量の比率を小さくする場合には、この磁束の量の比に対応して第一磁石当接面251の面積S5および第二磁石当接面261の面積S6の面積比における面積S5の比率が小さくなるように、第一磁石当接面251の面積S5および第二磁石当接面261の面積S6がそれぞれ設定される。
これにより、底部241の磁石210Aとの当接面積S4、第一磁石当接面251の磁石210Aとの当接面積S5、第二磁石当接面261の磁石210Aとの当接面積S6を適切に設定することで、第一磁路A1および第二磁路A2を通過する磁束の量が設定され、第一磁気ギャップG1、および第二磁気ギャップG2の磁束密度が設定される。
〔スピーカの製造方法〕
次に、上記のようなスピーカ100Aの製造方法について説明する。
磁気回路部200Aの第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度は、スピーカ100の性能を決定する上で重要な要素であり、これらの第一および第二磁気ギャップG1,G2の磁束密度の大きさを第一上側ヨーク250および第二上側ヨーク260の形状により調整する。
具体的には、まず、第一上側ヨーク250の第一磁石当接面251と磁石210Aとの当接面積S5、および第二上側ヨーク260の第二磁石当接面261と磁石210Aとの当接面積S6を、第一および第二磁気ギャップG1,G2にて発生させる磁束密度の大きさに応じて調整する。
すなわち、第一磁気ギャップG1には、第一磁路A1および第二磁路A2の双方を流れる磁束が通過し、第二磁気ギャップG2には、第二磁路A2を流れる磁束のみが通過する。したがって、第一磁石当接面251と磁石210Aとの当接面積S5、および第二磁石当接面261と磁石210Aとの当接面積S6の面積比を調整することで、第一磁気ギャップG1を通過した後、第一上側ヨーク250を流れる磁束の量と、第二磁気ギャップG2を通過して第二上側ヨーク260を流れる磁束の量を調整することが可能となる。
例えば、第一磁石当接面251と磁石210Aとの当接面積S5を、第二磁石当接面261と磁石210Aとの当接面積S6に対して大きくすると、第一上側ヨーク250に流れる磁束の量が多くなり、第二上側ヨーク260に流れる磁束の量が減少する。これにより、第二磁気ギャップG2における磁束密度が減少する。
一方、第一磁石当接面251と磁石210Aとの当接面積S5を、第二磁石当接面261と磁石210Aとの当接面積S6に対して小さくすると、第一上側ヨーク250に流れる磁束の量が減少し、第二上側ヨーク260に流れる磁束の量が増大する。これにより、第二磁気ギャップG2における磁束密度が増大する。
さらに、共通磁路A3を構成する下側ヨーク240の底部241と磁石210Aとの当接面積S4を調整することで、第一磁路A1および第二磁路A2を流れる磁束のトータル量を調整する。
すなわち、下側ヨーク240の磁石210Aとの当接面積S4を小さくすると、共通磁路A3に磁束が流れにくくなり、第一磁路A1および第二磁路A2に流れる磁束の量が減少する。これにより、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度も減少し、磁束密度も小さくなる。
一方、下側ヨーク240の磁石210Aとの当接面積S4を増大させると、共通磁路A3を流れる磁束の量が増大するので、第一磁路A1および第二磁路A2に流れる磁束の量も増大する。これにより、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度も増大する。
以上のように、下側ヨーク240、第一上側ヨーク250、および第二上側ヨーク260における磁石210Aとの当接面積S4,S5,S6を適宜調整することで、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度を所望の磁束密度に調整する。
この後、磁気回路部200Aにフレーム部300を固定する。
そして、第一磁気ギャップG1に内側ボイスコイル522が配置されるように、内側ボイスコイルボビン520および内側振動板420を配置し、内側振動板支持部423を内側フレーム320の内側取付部323に取り付ける。また、内側ボイスコイル522の電線をフレーム部300のターミナルに電気的に接続する。
同様に、第二磁気ギャップG2に外側ボイスコイル512が配置されるように、外側ボイスコイルボビン510および外側振動板410を配置し、外側振動板410の外側振動板支持部413を外側フレーム310の第二取付段差部315に取り付け、取付支持部600の鍔部620を第一取付段差部314に取り付ける。また、外側ボイスコイル512の端部をフレーム部300のターミナルに接続する。以上により、スピーカ100が組み立てられ、製造される。
〔スピーカの作用効果〕
上記のようなスピーカ100Aでは、磁気回路部200Aは、磁石210A、下側ヨーク240、および第一上側ヨーク250にて第一磁路A1が形成され、磁石210A、下側ヨーク240、および第二上側ヨーク260にて第二磁路A2が形成され、これら第一磁路A1および第二磁路A2のうち下側ヨーク240から、第一上側ヨーク250の上端部に亘って共通磁路A3が形成されている。そして、下側ヨーク240の底部241における磁石210Aとの当接面積S4が、磁石210Aから共通磁路A3に流通する磁束の所望の量に応じて設定されている。また、第一磁石当接面251の磁石210Aとの当接面積S5および第二磁石当接面261の磁石210Aとの当接面積S6の面積比が、第一磁気ギャップG1を通過した全磁束のうち、第一上側ヨーク250を通って磁石210Aに戻る第一磁路A1における磁束の量と、第二磁気ギャップG2を通過して第二上側ヨーク260を通って磁石210Aに戻る第二磁路A2における磁束の量との所望の比に応じて設定されている。
このため、第一の実施の形態と同様に、第一磁路A1および第二磁路A2のそれぞれを流通する磁束の量が適切に設定することができ、第一磁気ギャップG1と第二磁気ギャップG2とにおける磁束密度の比も適切に設定することができる。したがって、スピーカ100Aの振動板400をより適切に振動させることができ、良好な音声を出力させることができる。
また、このような磁気回路部200Aを製造する製造法では、下側ヨーク240の底部241における磁石210Aとの当接面積S4と、第一上側ヨーク250の第一磁石当接面251と磁石210Aとの当接面積S5および第二上側ヨーク260の第二磁石当接面261と磁石210Aとの当接面積S6の面積比と、を適宜調整している。
このため、底部241の磁石210Aとの当接面積S4を調整することで、磁石210Aから共通磁路A3に流通する磁束の量を調整することができる。また、第一磁石当接面251の磁石210Aとの当接面積S5および第二磁石当接面261の磁石210Aとの当接面積S6の面積比を調整することで、第一磁気ギャップG1を通過した全磁束のうち、第一上側ヨーク250を通って磁石210Aに戻る第一磁路A1における磁束の量と、第二磁気ギャップG2を通過して第二上側ヨーク260を通って磁石210Aに戻る第二磁路A2における磁束の量と、を調整することができる。したがって、第一磁路A1および第二磁路A2のそれぞれを流通する磁束の量を適宜調整することで、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度を容易に調整することができる。
また、第一および第二磁気ギャップG1,G2の磁束密度の調整のために、別途磁性抵抗部材などを設ける必要がなく、下側ヨーク240、第一上側ヨーク250、および第二上側ヨーク260の磁石210Aとの当接面積のみで第一および第二磁気ギャップG1,G2の磁束密度の調整が可能であるため、構成を簡単にでき、製造効率も向上させることができる。
また、上記第一の実施の形態と同様に、共通磁路A3は、下側ヨーク240から第一磁気ギャップG1を通り第一上側ヨーク250の上端部に至る区間に形成されている。すなわち、第一磁気ギャップG1の内径側に共通磁路A3が設けられ、この第一磁気ギャップG1の外径側に第一磁気ギャップG1よりも磁束の量が少ない第二磁気ギャップG2が形成されている。
したがって、小径の内側振動板420であっても、十分に振動させることができ、例えば内側振動板420から例えば高音領域の音声を発生させる場合により良好な音声を出力させることができる。
また、第一磁気ギャップG1のギャップ長が第二磁気ギャップG2のギャップ長よりも短くなるように、下側ヨーク240、第一上側ヨーク250、および第二上側ヨーク260の位置が設定されている。さらに、第一磁気ギャップG1のギャップ幅が第二磁気ギャップG2のギャップ幅より狭くなるように、共通磁性体側ギャップ形成面243、第一磁気ギャップ形成面、第二磁気ギャップ形成面262が形成されている。
このため、上記第一の実施の形態と同様に、第一磁気ギャップG1の磁束密度を、第二磁気ギャップG2の磁束密度よりも十分に大きくすることができる。したがって、例えば内側振動板420から高音領域の音声を、外側振動板410から低音領域の音声を発生させる場合などにおいて、それぞれの振動板400から良好な音声を出力させることができる。
また、上記第一の実施の形態と同様に、磁気回路部200Aにおける第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度がそれぞれ適切に調整されているため、この磁気回路部200Aを備えるスピーカ100Aでは、外側振動板410および内側振動板420を第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度に応じて適切に振動させることができる。
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
例えば、第一上側ヨーク280と磁石210との間および第二上側ヨーク290と磁石210との間の双方にそれぞれ別個磁石を設ける構成としてもよい。この場合、それぞれ磁力の異なる磁石を設けることで、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度をより詳細に設定することができる。
図5におけるスピーカ100Dの磁気回路部200Dは、磁石210と、第二磁石210Cと、第三磁石210Dと、磁性体としての下側ヨーク234と、共通磁性体としての第一上側ヨーク235と、第二磁性体としての第二上側ヨーク236と、を備えている。
磁石210は、上記実施の形態と同様に、略円柱状に形成され、例えば上面側がN極、下面側がS極となるように配置されている。この磁石210は、上面側で第一上側ヨーク235に当接して固定され、下面側で下側ヨーク234に当接して固定されている。
第二磁石210Cは、略リング状に形成され、例えば上面側がS極、下面側がN極となるように配置されている。この第二磁石210Cは、上面側で第二上側ヨーク236に当接して固定され、下面側で下側ヨーク234に当接して固定されている。
第三磁石210Dは、略リング状に形成され、例えば上面側がN極となるように配置されている。この第三磁石210Dは、上面側で下側ヨーク234に当接して固定されている。
下側ヨーク234は、略円板状の共通磁性体の一部を構成する底部234Aと、底部234Aの外周縁から所定寸法内径側の位置に立ち上がる第一磁性体としての環状部234Bとを備えている。
底部234Aの上面には、環状部234Bの内周面から所定寸法だけ離れた位置に、環状部234Bと同軸となる磁石210が当接されている。また、底部234Aの上面側には、外周縁に沿って、第二磁石210Cが当接されている。さらに、底部234Aの下面側には、外周縁に沿って第三磁石210Dが当接されている。
環状部234Bは、磁石210および第二磁石210Cに接触しないように、これらの磁石210,210Cの外周面から所定寸法だけ離間した位置に配置される第一胴部234Cを備えている。この第一胴部234Cの上端側先端部には、内径側に突出して周方向に連続する第一磁気ギャップ形成面234Dが形成されている。
第一上側ヨーク235は、略円柱状の共通磁性体胴部としての円柱部235Aを備えている。この円柱部235Aの下端部には、磁石210に当接される共通磁性体側磁石当接面としての磁石当接面235Bが形成されている。また、円柱部235Aの上端側先端部には、外径側に突出して周方向に連続するギャップ形成面235Cが形成されており、第一磁気ギャップ形成面234Dと対向して第一磁気ギャップG1を形成する。
第二上側ヨーク236は、略円筒状の第二胴部236Aを備えている。この第二胴部236Aの下端部には、第二磁石210Cの上面に当接される第二磁石当接面236Bが形成されている。また、第二胴部236Aの上端側先端部には内径側に突出して周方向に連続する第二磁気ギャップ形成面236Cが形成されており、第一上側ヨーク235の外周面との間に第二磁気ギャップG2を形成する。
ここで、上記実施の形態と同様に、第一磁気ギャップG1のギャップ長は、第二磁気ギャップG2のギャップ長よりも短く形成され、第一磁気ギャップG1のギャップ幅は、第二磁気ギャップG2のギャップ幅よりも狭く形成されている。
そして、上記のような磁気回路部200Dでは、図6に示すように、第一磁路A1と、第二磁路A2が形成される。
第一磁路A1は、磁石210のN極から第一上側ヨーク235、第一磁気ギャップG1を通過して、下側ヨーク234の環状部234Bから底部234Aを経て磁石210のS極に戻る磁気回路である。
第二磁路A2は、磁石210のN極から第一上側ヨーク235、第一磁気ギャップG1を通過して、下側ヨーク234の環状部234Bの先端部を通り、さらに第二磁気ギャップG2を通過して、第二上側ヨーク236から第二磁石210C、下側ヨーク234の底部234Aを通り、磁石210のS極に戻る磁気回路である。
この磁気回路部200Dでは、底部234Aから磁石210、第一上側ヨーク235、第一磁気ギャップG1を通り、下側ヨーク234の環状部234Bの上端側先端部に至るまでの磁気回路区間が、これらの第一磁路A1および第二磁路A2の共通磁路A3となる。
また、この磁気回路部200Dの第二磁路部A2は、磁石210および第二磁石210Cを通過するため、磁束密度が大きくなる。また、第二磁石210CのN極と第三磁石210DのN極とが下側ヨーク234に底部234Aを挟んで対向配置されているため、第二磁路A2の底部234Aでの磁束密度がさらに大きくなる。したがって、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度をさらに大きくすることができる。このように、複数の磁石を用いることで、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2のうちいずれか一方の磁気ギャップの磁束密度をより大きくしたり、双方の磁気ギャップの磁束密度を大きくしたりすることができる。
このようなスピーカ100Dの磁気回路部200Dも、上記第一の実施の形態と同様にして製造される。すなわち、環状部234Bの第一胴部234Cの磁束に略直交する断面積S1と、第二上側ヨーク236の第二胴部236Aの磁束に略直交する断面積S2との面積比を適宜調整することにより、第一磁気ギャップG1に対する第二磁気ギャップG2の磁束密度の大きさを調整する。また、第一上側ヨーク235の円柱部235Aの磁束と略直交する断面積S3を調整することにより、共通回路部A3に流れる磁束の量を調整し、すなわち、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度の大きさを調整する。
そして、上記実施の形態では、磁気回路部200,200A,200Dは、断面略円形の形状に形成され、スピーカ100、100A,100Dの振動板400の外周縁が円形コーン状に形成されるものを用いたが、例えば磁気回路部が断面略楕円形に形成され、振動板もこれに応じて外周縁が略楕円形状に形成される構成としてもよい。
さらに、上記実施の形態では、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の2つの磁気ギャップが設けられる構成を例示したが、例えば3つ以上の磁気ギャップが形成されるスピーカの磁気回路部であってもよい。このような場合でも、それぞれの磁気ギャップを通過した後に分岐するそれぞれの磁気回路区間における磁束に略直交する断面積の面積比を調整することで、それぞれの磁気ギャップにおける磁束密度の大きさを調整することができる。
また、上記第一の実施の形態では、第一ポール220の磁石当接部221の磁束に略直交する断面積S3を適宜調整し、第二の実施の形態では、下側ヨーク240の底部241における磁石210Aとの当接面積S4を適宜調整することにより、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度の大きさを調整したが、これに限られない。例えば、磁気ギャップ形成部222における共通磁性体側ギャップ形成面の面積を適宜調整することにより、第一磁路A1および第二磁路A2の磁束の量を調整する構成としてもよい。この場合でも、第一胴部232Bの磁束に直交する断面および第二胴部233Bの磁束に直交する断面の面積比を、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度の所望の大きさの比に応じて調整することで、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度を調整することができる。
また、第一の実施の形態において、上記第二の実施の形態のように、第一ポール220と磁石210との当接面積を調整することで、第一磁路A1および第二磁路A2における全磁束の量を調整する構成としてもよい。同様に、第二の実施の形態において、円柱部242の磁束に対して略直交する断面の面積を調整することにより、第一磁路A1および第二磁路A2における全磁束の量を調整する構成としてもよい。
さらには、第二の実施の形態において、第一磁石当接面251の面積および第二磁石当接面261の面積の面積比を第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度の所望の大きさの比に応じて調整したが、これに限らない。例えば、第一上側ヨーク250の第一胴部250Aの磁束に略直交する断面の面積および第二上側ヨーク260の第二胴部260Aの磁束に略直交する断面の面積の面積比を、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2の磁束密度の大きさの比に応じて調整する構成としてもよく、第一磁石当接面251の面積および第二磁石当接面261の面積の面積比および第一胴部250Aの磁束に略直交する断面の面積および第二胴部260Aの磁束に略直交する断面の面積の面積比の双方を調整する構成であってもよい。
また、上記第一の実施の形態において、第一ポール220の磁石当接部221における磁束に略直交する断面積S3を、磁性体を流れる全磁束量に応じて調整し、上記第二の実施の形態において、下側ヨーク240の底部241における磁石210Aとの当接面積S4を磁性体を流れる全磁束量に応じて調整したが、例えば、これらの断面積S3や当接面積S4を調整せず、磁性体を流れる磁束量に応じて適切な磁力を有する磁石210,210Aを選択したスピーカの構成、およびスピーカ磁性体の製造方法としてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
〔実施の形態の効果〕
上述したように、スピーカ100では、磁石210、第一ポール220、および第二ヨーク230の内側環状部232にて第一磁路A1が形成され、磁石210、第一ポール220、および第二ヨーク230の外側環状部233にて第二磁路A2が形成され、これら第一磁路A1および第二磁路A2のうち第二ヨーク230の底部231から磁石210、第一ポール220、第二ヨーク230の内側環状部232の先端部に亘って共通磁路A3が形成されている。そして、第一ポール220の磁石当接部221の磁束に略直交する部位の断面積S3が、磁石210から共通磁路A3に流通する磁束の所望の量に応じて設定されている。また、第二ヨーク230の内側環状部232の第一胴部232Bの磁束に略直交する部位の断面積S1および第二ヨーク230の外側環状部233の第二胴部233Bの磁束に略直交する部位の断面積S2の面積比が、第一磁気ギャップG1を通過した全磁束のうち、内側環状部232から底部231に分岐させる第一磁路A1における磁束の量と、第二磁気ギャップG2を通過して外側環状部233から底部231に分岐させる第二磁路A2における磁束の量との所望の比に応じて設定されている。
このため、第一磁路A1および第二磁路A2のそれぞれを流通する磁束の量が適切に設定され、第一磁気ギャップG1と第二磁気ギャップG2とにおける磁束密度の比も適切に設定されているので、第一磁気ギャップG1および第二磁気ギャップG2における磁束密度の大きさを適切な大きさにすることができる。したがって、スピーカ100の振動板400をより適切に振動させることができ、良好な音声を出力させることができる。
第一の実施の形態に係るスピーカの概略を模式的に示す側断面図である。 第一の実施の形態のスピーカ磁気回路部における磁路を模式的に示す図である。 第二の実施の形態に係るスピーカの概略を模式的に示す側断面図である。 第二の実施の形態のスピーカ磁気回路部における磁路を模式的に示す図である。 他の実施の形態に係るスピーカの概略を模式的に示す側断面図である。 図5のスピーカにおけるスピーカ磁気回路部における磁路を模式的に示す図である。である。
符号の説明
200,200A,200D …スピーカ磁気回路部としての磁気回路部
210,210A …磁石
210C …第二磁石
210D …第三磁石
220 …磁性体および共通磁性体としての第一ポール
230 …磁性体としての第二ヨーク
231,234A,241 …共通磁性体の一部を構成する底部
232 …第一磁性体としての内側環状部
232A,234D,252…第一磁気ギャップ形成面
232B,234C,250A…第一胴部
233 …第二磁性体としての外側環状部
233A,236C,262…第二磁気ギャップ形成面
233B,236A,260A…第二胴部
234 …磁性体としての下側ヨーク
234B …第一磁性体としての環状部
235 …共通磁性体としての第一上側ヨーク
235A,242…共通磁性体胴部としての円柱部
236 …第二磁性体としての第二上側ヨーク
240 …共通磁性体の一部を構成する磁性体としての下側ヨーク
243…共通磁性体側ギャップ形成面としてのギャップ形成面
250 …磁性体および第一磁性体としての第一上側ヨーク
251 …第一磁石当接面
260 …磁性体および第二磁性体としての第二上側ヨーク
261 …第二磁石当接面
400 …振動板
512 …コイル部としての外側ボイスコイル
522 …コイル部としての内側ボイスコイル
A1 …第一磁路
A2 …第二磁路
A3 …共通磁路
G1 …第一磁気ギャップ
G2 …第二磁気ギャップ

Claims (17)

  1. 磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部を備えたスピーカであって、
    前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備えた共通磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記共通磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記共通磁性体側ギャップ形成面と対向して前記第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第一磁路の共通磁路以外の回路を構成する第一胴部を備えた第一磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記第一磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して前記第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第二磁路の共通磁路以外の回路を構成する第二胴部を備えた第二磁性体と、
    前記第一磁気ギャップおよび前記第二磁気ギャップのそれぞれに設けられるコイル部と、
    前記コイル部に接続されてコイル部の振動により振動する振動板と、
    を具備したことを特徴としたスピーカ。
  2. 請求項1に記載のスピーカであって、
    前記共通磁性体は、前記共通磁路の磁束に略直交する断面が、前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップの磁束密度を所望の大きさにするように面積設定され、
    前記第一磁性体および前記第二磁性体は、前記第一胴部および前記第二胴部の磁束に略直交する断面の面積比が、前記第一磁気ギャップおよび前記第二磁気ギャップにおける磁束密度の比を所望の面積比にするように設定された
    ことを特徴としたスピーカ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のスピーカであって、
    前記第一磁性体、前記第二磁性体、および前記板状底部を一体形成された
    ことを特徴としたスピーカ。
  4. 磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部を備えたスピーカであって、
    前記磁石は、一端面と他端面とが互いに対極となる略筒状に形成され、
    前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備え、前記共通磁路の磁束に略直交する面積が、前記第一磁気ギャップおよび第二磁気
    ギャップの磁束密度を所望の大きさにするように面積設定された共通磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される第一磁石当接面、前記共通磁性体の共通磁性体側ギャップ形成面と対向して第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および第一磁石当接面と第一磁気ギャップ形成面を連結する第一胴部を備えた第一磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される第二磁石当接面、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および第二磁石当接面と第二磁気ギャップ形成面を連結する第二胴部を備えるとともに、前記第一磁気ギャップと第二磁気ギャップとにおける磁束密度の比に応じて、前記第一磁石当接面と前記第二磁石当接面との面積比および第一胴部と第二胴部の断面との面積比のうち少なくともいずれか一方が設定された第二磁性体と、
    前記第一磁気ギャップおよび前記第二磁気ギャップのそれぞれに設けられるコイル部と、
    前記コイル部に接続されてコイル部の振動により振動する振動板と、
    を具備したことを特徴としたスピーカ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のスピーカであって、
    前記第一磁気ギャップを形成する前記共通磁性体側ギャップ形成面および前記第一磁気ギャップ形成面の間の距離寸法は、前記第二磁気ギャップを形成する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面および第二磁気ギャップ形成面の間の距離寸法よりも小さい寸法に形成された
    ことを特徴としたスピーカ。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のスピーカであって、
    前記第一磁気ギャップを形成する前記共通磁性体側ギャップ形成面および前記第一磁気ギャップ形成面の面積は、前記第二磁気ギャップを形成する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面および第二磁気ギャップ形成面の面積よりも小さい面積に形成された
    ことを特徴としたスピーカ。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のスピーカであって、
    前記共通磁性体は、前記共通磁性体側ギャップ形成面が前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度を所望の大きさにするように面積設定された
    ことを特徴とするスピーカ。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のスピーカであって、
    前記共通磁性体は、前記共通磁性体胴部における前記共通磁路を形成する磁束に対して略直交する断面が前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度を所望の大きさにするように面積設定された
    ことを特徴とするスピーカ。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のスピーカであって、
    前記共通磁性体は、前記共通磁性体側磁石当接面が前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度を所望の大きさにするように面積設定された
    ことを特徴とするスピーカ。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のスピーカであって、
    前記共通磁性体、前記第一磁性体、および第二磁性体のうち少なくとも1つに当接する第二磁石が設けられた
    ことを特徴とするスピーカ。
  11. 磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部の製造方法であって、
    前記磁性体は、
    前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備えた共通磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記共通磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記共通磁性体側ギャップ形成面と対向して前記第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第一磁路の共通磁路以外の回路を構成する第一胴部を備えた第一磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される板状底部に前記第一磁性体から所定寸法だけ離隔した状態で略筒状に立設されるとともに、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して前記第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および前記共通磁路から分岐されて前記第二磁路の共通磁路以外の回路を構成する第二胴部を備えた第二磁性体と、
    を具備し、
    当該スピーカ磁気回路部の製造方法は、
    前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度が所望の大きさとなるように、前記共通磁路を構成する前記共通磁性体の磁束に略直交する面積を設定して、前記共通磁性体を形成し、
    前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度の大きさの比が所望の大きさの比となるように、前記第一磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第一磁性体の磁束に対して略直交する面積、および前記第二磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第二磁性体の磁束に対して略直交する面積の面積比を設定して、前記第一磁性体および前記第二磁性体を形成する
    ことを特徴としたスピーカ磁気回路部の製造方法。
  12. 磁石と、この磁石の互いに対極となる極間に形成される磁束を誘導する磁性体とを備え、これらの磁石および磁性体により、略環状の第一磁気ギャップを通過する第一磁路と、前記第一磁気ギャップおよびこの第一磁気ギャップの外径側に設けられる略環状の第二磁気ギャップを通過するとともに、前記第一磁気ギャップの内径側に前記第一磁路の一部を共有する共通磁路を備えた第二磁路と、が形成されるスピーカ磁気回路部の製造方法であって、
    前記磁石は、一端面と他端面とが互いに対極となる略筒状に形成され、
    前記磁性体は、
    前記共通磁路の一部を形成するとともに、前記磁石の一端面に当接される共通磁性体側磁石当接面、前記第一磁気ギャップに対向する共通磁性体側ギャップ形成面、および前記共通磁性体側磁石当接面と前記共通磁性体側ギャップ形成面とを連結する共通磁性体胴部を備えた共通磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される第一磁石当接面、前記共通磁性体の共通磁性体側ギャップ形成面と対向して第一磁気ギャップを形成する第一磁気ギャップ形成面、前記共通磁路の一部を構成する共通磁路形成部、この共通磁路形成部に連続して第二磁気ギャップに対向する第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面、および第一磁石当接面と第一磁気ギャップ形成面を連結する第一胴部を備えた第一磁性体と、
    前記磁石の他端面に当接される第二磁石当接面、前記第一磁性体側第二磁気ギャップ形成面と対向して第二磁気ギャップを形成する第二磁気ギャップ形成面、および第二磁石当接面と第二磁気ギャップ形成面を連結する第二胴部を備えた第二磁性体と、
    を具備し、
    当該スピーカ磁気回路部の製造方法は、
    前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度が所望の大きさとなるように、前記共通磁路を構成する前記共通磁性体の磁束に略直交する面積を設定して、前記共通磁性体を形成し、
    前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度の大きさの比が所望の大きさの比となるように、前記第一磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第一磁性体の磁束に対して略直交する面積、および前記第二磁路の前記共通磁路以外の回路を構成する前記第二磁性体の磁束に対して略直交する面積の面積比を設定して、前記第一磁性体および前記第二磁性体を形成する
    ことを特徴としたスピーカ磁気回路部の製造方法。
  13. 請求項11または請求項12に記載のスピーカ磁気回路部の製造方法であって、
    記共通磁性体側ギャップ形成面を前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度を所望の大きさにするような面積に形成する
    ことを特徴とするスピーカ磁気回路部の製造方法。
  14. 請求項11または請求項12に記載のスピーカ磁気回路部の製造方法であって、
    記共通磁性体胴部における前記共通磁路を形成する磁束に対して略直交する断面を、前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度を所望の大きさにするような面積に形成する
    ことを特徴とするスピーカ磁気回路部の製造方法。
  15. 請求項11に記載のスピーカ磁気回路部の製造方法であって、
    記共通磁性体側磁石当接面を前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップに発生させる磁束密度を所望の大きさにするような面積に形成する
    ことを特徴とするスピーカ磁気回路部の製造方法。
  16. 請求項1ないし請求項15のいずれかに記載のスピーカ磁気回路部の製造方法であって、
    記第一胴部および前記第二胴部の磁束に対して略直交する断面の面積比を前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップの磁束密度の大きさの比を所望の大きさの比にするように設定した第一磁性体および第二磁性体を形成する
    ことを特徴としたスピーカ磁気回路部の製造方法。
  17. 請求項12に記載のスピーカ磁気回路部の製造方法であって、
    前記第一磁石当接面および前記第二磁石当接面の面積比を前記第一磁気ギャップおよび第二磁気ギャップにおける磁束密度の大きさの比を所望の大きさの比にするように設定した前記第一磁性体および前記第二磁性体を形成する
    ことを特徴とするスピーカ磁気回路部の製造方法。
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