JPH04112595U - 複合形直接放射スピーカー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 主振動板用と、補助振動板用の各々のエアギ
ャップの磁束密度を所望の数値に個別に設定できる複合
形直接放射スピーカー用磁気回路を得るとともに、従来
のものよりも小型の磁気回路を提供することを目的とし
ている。 【構成】 リング磁石７の寸法を第二のエアギャップ１
１ｂの直径よりも小さくし、第一のエアギャップ１１ａ
の直径よりも大きい磁性材リング１４とともに磁気空隙
１５を挟んで磁気回路内に併設する。また、ポールピー
スの代わりに円柱状のセンター磁石１０と、その上部に
センタープレート５ｃを設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は外部に直接音響放射を行なう主スピーカーの磁気回路と、この主ス ピーカーの動作を補助する補助スピーカーの磁気回路とを一体構造とした複合形 直接放射スピーカーに関する。

【０００２】

【従来の技術】

キャビネット内を仕切り板で二つに分け、音を直接外部に放射する主スピーカ ーを前面に設け、その動きを補助するための補助スピーカーをキャビネット内の 仕切り板に設置した、例えば図３の実公昭５０ー１２３６６号公報に開示された 複合直接放射スピーカーにおいて、より小型化を図るために主スピーカーと補助 スピーカーの磁気回路とフレームを共用化した一体構造の複合形直接放射スピー カーが提案されている。

【０００３】 図２は例えば特願昭６３−１４２８９７号公報に開示された従来の一体構造の 複合形直接放射スピーカーを示す断面図である。図において、１はフレーム、２ ａは外部に直接音響放射を行なう主振動板、２ｂは主振動板の動作を補助する補 助振動板、３ａは第一のスパイダー、３ｂは第二のスパイダー、４ａは第一のボ イスコイル、４ｂは第二のボイスコイル、５ａはトッププレート、５ｂはセカン ドプレート、６はトッププレート５ａを支持するための非磁性材によるサポータ 、７はリング磁石、８はボトムヨーク、９はポールピース、ポールピース９とセ カンドプレート５ｂとによる主振動板２ａを駆動するための空隙を第一のエアギ ャップ１１ａ、トッププレート５ａとセカンドプレート５ｂとによる補助振動板 を駆動するための空隙を第二のエアギャップ１１ｂである。

【０００４】 上記のように構成された、従来の一体形複合形直接放射スピーカーにおいて、 外周部に設置したリング磁石７から発生した磁束Φは磁気回路内を流れて第一、 第二のエアギャップ１１ａ，ｂに導かれる。Φを漏れのない磁束とした場合、第 一のエアギャップ１１ａを通過する磁束密度をＢｇ１、通過断面積をＳ１、第二 のエアギャップを通過する磁束密度をＢｇ２、通過断面積をＳ２とすると、各磁 束密度Ｂｇ１，Ｂｇ２は、Ｂｇ１＝Φ／Ｓ１，Ｂｇ２＝Φ／Ｓ２となる。

【０００５】 通常の直接放射形スピーカーを小さなキャビネットに取り付け使用した場合、 キャビネット内の空気が背圧となって振動を妨げ、低音再生が困難となる。図２ に示した一体構造の複合形直接放射スピーカーでは、主振動板２ａと補助振動板 ２ｂとを同位相で、体積速度が一定となるように駆動することにより、２つの振 動板に囲まれた空気室内の圧力を一定に保っている。これにより主振動板２ａは キャビネット内の背圧の影響を受けず音響放射が行えるので、小さなキャビネッ トに装着しても十分な低音再生を行なうことが可能となる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

外部に直接音響放射を行なう主振動板と、その動作を補助する補助スピーカー とから成る、図２に示した一体構造の複合形直接放射スピーカーでは、磁気回路 の中心から主振動板を駆動するための第一のエアギャップまでの半径と、補助振 動板用の第二のエアギャップまでの半径とが違うために、磁束が通過する各エア ギャップ部の断面積も大きく異なってくる。その結果、前記Ｂｇ１，Ｂｇ２の式 より明かな通り、１つのリング磁石から発生した磁束Φが断面積の異なる２つの エアギャップに供給されていたため、断面積の大きい第二のエアギャップでは断 面積の小さいの第一のエアギャップで得られる磁束密度よりかなり小さくなる。 よって、磁束密度の低い第二の振動板の能率を上げるための音響定数設計値が実 現の難しいものとなる。その結果、同位相駆動かつ体積速度を一定とする動作が 困難となり、出力音圧の平坦特性が得にくくなる。また、２つのエアギャップに 磁束を供給するリング磁石が磁気回路の外周部に設けられていたので、磁気回路 の寸法を磁石の外径寸法以下に小型化することが極めて難しいといった問題点が あった。

【０００７】 この考案は上記の問題点を改善するためになされたもので、主振動板用と、補 助振動板用の各々のエアギャップの磁束密度とを個別に設定できる複合形直接放 射スピーカーを得るとともに、従来の複合形直接放射スピーカーよりも小型の複 合形直接放射スピーカーを得ることを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案に係わる複合形直接放射スピーカーにおいては、磁石の寸法を第一のエ アギャップの直径から第二のエアギャップの直径までの間隔に納まる外径、及び 内径のリング形状とし、そのリング磁石の内径よりも小さく、且つ第一のエアギ ャップの直径よりも大きいリング状の磁性材とを空隙を挟んで磁気回路内部に併 設するとともに、磁気回路のポールピース部に代えて、軸方向に着磁した円柱状 の磁石と、その上部にプレートを設け、この２個の磁石によって磁束を発生させ る構造としたものである。

【０００９】

【作用】

この考案による一体形の複合形直接放射スピーカーでは、リング磁石よりも一 回り小さい径の磁性材リングが磁気空隙を挟んで併設されているので、リング磁 石より発生した磁束は磁気抵抗の少ない第二のエアギャップに主に流れる。また 、磁気回路のポールピース部に設けたセンター磁石から発生した磁束は上部にプ レートによって効率良く第一のエアギャップに導かれる。よって、センター磁石 の磁束は主に主振動板用の第一のエアギャップに供給され、リング磁石は主に補 助振動板用の第二のエアギャップに磁束を供給されるので、各磁石の磁気特性や 体積を変更することによって各々のエアギャップの磁束密度を所望の数値に個別 に設定することが出来る。

【００１０】 また、従来第二のエアギャップよりも外側に配置していたリング磁石を磁気回 路の内部に設置することが出来るので、磁気回路の小型化が可能となる。

【００１１】

【実施例】

実施例１． 以下、この考案の一実施例について説明する。図１において、１はフレーム、 ２ａは外部に直接音響放射を行なう主振動板、２ｂは主振動板の動作を補助する 補助振動板、３ａは第一のスパイダー、３ｂは第二のスパイダー、４ａは第一の ボイスコイル、４ｂは第二のボイスコイル、５ａはトッププレート、５ｃはセン タープレート、７はリング磁石、８はボトムヨーク、１０はセンター磁石、セン タープレート５ｃとトッププレート５ａとによる主振動板２ａを駆動するための 空隙を第一のエアギャップ１１ａ、トッププレート５ａとボトムヨーク８とによ る補助振動板２ｂを駆動するための空隙を第二のエアギャップ１１ｂ、１４はリ ング磁石７とセンター磁石１０との間に設置された磁性材リング、１５はリング 磁石７と磁性材リング１４との間に設けられた磁気空隙である。

【００１２】 図１に示した上記の構成の複合形直接放射スピーカーでは、従来例である図２ におけるリング磁石７の寸法を第二のエアギャップ１１ｂの直径よりも小さくし 、第一のエアギャップ１１ａの直径よりも大きい磁性材リング１４とともに磁気 空隙１５を挟んで磁気回路内に併設したので、リング磁石７から発生した磁束は 磁気抵抗の少ない第二のエアギャップ１１ｂに流れる。また、図２で示した従来 例のポールピース９の代わりに、リング磁石７と同様の軸方向に着磁された円柱 状のセンター磁石１０と、その上部にセンタープレート５ｃが設けてあるので、 センター磁石１０から発生した磁束は第一のエアギャップ１１ａに効率よく供給 され、リング磁石７から発生した磁束と若干の干渉をしながら磁性材リング１４ の中を流れる。以上示した通り第一のエアギャップ１１ａには主にセンター磁石 １０が磁束を供給し、第二のエアギャップ１１ｂにはリング磁石７が主に磁束を 供給することになる。この結果、各エアギャップに対し、内外の個々の磁石によ って、各々のエアギャップで得られる磁束密度を所望の値に個別に設定すること ができる。

【００１３】 また、従来例で示した第二のエアギャップ１１ｂよりも外側に配置していたリ ング磁石７を磁気回路の内部に設置することが出来るので、磁気回路の小型化が 可能となる。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように、この考案の一体構造の複合形直接放射スピーカーによれば、磁 気回路の外周部の外磁形磁気回路を構成するリング状の磁石の寸法を第一のエア ギャップの直径から第二のエアギャップの直径までの間隔に納まる外径、及び内 径のリング形状とし、そのリング磁石の内径よりも小さく、且つ第一のエアギャ ップの直径よりも大きいリング状の磁性材とを空隙を挟んで磁気回路内部に併設 するとともに、磁気回路内のポールピース部に軸方向に着磁した円柱状の磁石と 、その上部に円盤状のプレートを設けたので、主振動板用の第一のエアギャップ には主に円柱状の磁石が磁束を供給し、補助振動板用の第二のエアギャップには 主にリング状の磁石が磁束を供給させることが出来るので、内外の個々の磁石を 調整することにより、主振動板用と、補助振動板用の各エアギャップ部の磁束密 度を所望の数値に個別に設定することができるので、その結果、出力音圧の平坦 特性が得られる効果がある。また、従来第二のエアギャップよりも外側に配置し ていたリング磁石を磁気回路の内部に設置することが出来るので、磁気回路の小 型化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例による複合形直接放射スピ
ーカーを示す断面図である。

【図２】従来の一体構造の複合形直接放射スピーカーの
断面図である。

【図３】従来の複合形直接放射スピーカーシステムの概
略図である。

【符号の説明】

１ フレーム ２ａ 主振動板、または主スピーカー ２ｂ 補助振動板、または補助スピーカー ３ａ 第一のスパイダー ３ｂ 第二のスパイダー ４ａ 第一のボイスコイル ４ｂ 第二のボイスコイル ５ａ トッププレート ５ｂ セカンドプレート ５ｃ センタープレート ６ サポータ ７ リング磁石 ８ ボトムヨーク ９ ポールピース １０ センター磁石 １１ａ 第一のエアギャップ １１ｂ 第二のエアギャップ １２ 仕切り板 １３ キャビネット １４ 磁性材リング １５ 磁気空隙

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 直接放射形スピーカーの磁気回路の上部
   プレートに、外部に直接音響放射を行なう主振動板のボ
   イスコイルを挿入する第一のエアギャップと、その外側
   に主振動板の動作を補助する補助振動板のボイスコイル
   を挿入する第二のエアギャップとを同心円状に配し、前
   記エアギャップに対する磁束の供給を外周部に設けたリ
   ング状磁石を有する複合形直接放射スピーカーにおい
   て、外周部に取り付けたリング状磁石の内径、及び外径
   寸法を第一のエアギャップの直径から第二のエアギャッ
   プの直径までの間隔に納まる形状とし、そのリング磁石
   の内径よりも小さく、且つ第一のエアギャップの直径よ
   りも大きい磁性材のリングとを空隙を挟んで磁気回路内
   部に併設するとともに、磁気回路の中心軸上のポールピ
   ース部に円柱状の磁石を設け、この上部にプレートを取
   り付けたことを特徴とする複合形直接放射スピーカー。