JP4741061B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

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  • Polymerisation Methods In General (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、耐摩耗性や転がり抵抗特性を低下させることなく、湿潤路面上における制動性および操縦安定性など(ウェットスキッド性能)を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車タイヤに要求される特性は低燃費のほか、操縦安定性、耐摩耗性、乗り心地など多岐にわたり、これらの性能を向上させるために種々の工夫がなされている。たとえば、高速走行時のウェット路面での制動性能や操縦安定性などの諸性能を向上させるには、路面とのグリップ力を高めること、タイヤトレッドパターンのブロック剛性を大きくして、コーナリング時のブロック変形を防止し、コーナリング特性をよくすること、タイヤトレッドに形成された溝部の変形を防止して排水をスムーズに行ない、ハイドロプレーニングを防止する方法などがあげられる。最近ではこのような要求特性に対して、ハイスチレンSBRにシリカを配合することによって湿潤路面でのグリップ性能を高めている。
【0003】
しかし、前記のようなタイヤトレッド用ゴム組成物は、路面温度が15℃以下の低温域でのグリップ力を高めることはできるが、15℃をこえる高温域でのウェット路面またはセミウェット(半乾き)路面では、充分なグリップ力を発現できないといわれている。さらに、シリカを配合したゴム組成物は、走行を重ねるとゴムの剛性が低下し、大幅にグリップ力が低下することが判明している。また、シリカを配合したゴム組成物は、ゴム中へのシリカ粒子の分散が不充分であるとゴム組成物のムーニー粘度が高くなり、押し出しなどの加工性に劣るなどの問題が生じる。
【0004】
これらの問題点を解決すべく、従来から種々の提案がなされている。たとえば特開平7−133375号公報および特開平8−311245号公報には、ジエン系ゴムに焼成クレーを配合したゴム組成物が、特開平8−3373号公報には、特定のジエン系ゴムにジエン系ゴムとカオリナイトからなる加硫ゴム粉末を配合したゴム組成物がそれぞれ開示されており、グリップ性能の向上などに効果があることが記載されている。また、特開平8−59893号公報および特開平8−59894号公報には、特定のスチレン含有量を有するSBRに特定の組成を有する無機化合物粉体とカーボンブラックとを配合したゴム組成物が、特開平7−149954号公報および特開平9−31250号公報には、ブタジエン部分中の1,2−結合の含有率が特定の範囲内を有するジエン系ゴムにカオリナイトを主成分とするクレーを配合したゴム組成物が開示されており、同様の効果があることが記載されている。
【0005】
しかしながら、加工性、耐摩耗性を低下させることなく低発熱性を維持し、かつ、ウェットグリップ性能に優れたゴム組成物は未だに存在しないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐摩耗性および転がり抵抗特性を低下させることなく、ウェットスキッド性能を改善するタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A)ガラス転移温度が−70〜0℃で、スチレン単位量が15〜60重量%および1,2−ジエン単位量が15〜70重量%である芳香族ビニルと共役ジエンとの弾性共重合体30〜100重量%と、前記弾性共重合体以外のエラストマー0〜70重量%とからなるゴム成分100重量部、
(B)平均粒子径が10μm以下であるクレー5〜30重量部および
(C)チッ素吸着比表面積が70〜300m2/gであるカーボンブラック5〜100重量部
からなり、かつ、全フィラーに対する前記クレーの割合が5〜30重量%であることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物、
さらに、前記ゴム成分(A)100重量部に対して、
(D)チッ素吸着比表面積が100〜300m2/gのシリカ35〜150重量部、
(E)ゴム用軟化剤30〜200重量部および
シリカに対して2〜20重量%の(F)シランカップリング剤
を含有し、シリカとカーボンブラックとの合計量が45〜165重量部である前記のタイヤトレッド用ゴム組成物、
前記シランカップリング剤(F)が、一般式(1):
3Si−Cn2nA (1)
(式中、Yは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基または塩素原子を表わし、3個のYは同じでも異なっていてもよい、nは1〜6の整数、Aは−Smn2n−SiY3基(mは1〜9の整数、nは前記と同じ)、ニトロソ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩素原子、イミド基および−SmZ基(mは1〜6の整数であり、nおよびYはそれぞれ前述のとおりであり、Zは以下の式(2)、式(3)、式(4)で表わされる)よりなる群から選ばれた基である)で表わされる化合物である前記のタイヤトレッド用ゴム組成物および前記弾性共重合体が、前記芳香族ビニルと前記共役ジエンとを溶液重合法によって製造された前記弾性共重合体である前記のタイヤトレッド用ゴム組成物
に関する。
【0008】
【化2】
Figure 0004741061
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分(A)、クレー(B)およびカーボンブラック(C)からなる。
【0010】
本発明に使用されるゴム成分(A)は、芳香族ビニルと共役ジエンとの弾性共重合体を含む。
【0011】
前記弾性共重合体は、スチレンに由来する芳香族ビニル単位を含む。前記弾性共重合体におけるスチレン単位量は15〜60重量%が好ましい。スチレン単位量が15重量%未満では、充分なグリップ性能が得られず、逆に60重量%をこえると、ゴム組成物の耐摩耗性が低下し、ゴムが硬くなりすぎてグリップ性能が低下する。ゴム組成物のグリップ性能および耐摩耗性の点から、スチレン単位量は、さらに25〜60重量%であることが好ましい。
【0012】
前記弾性共重合体は、1,2−結合した共役ジエンに由来する1,2−ジエン単位を含む。1,2−ジエン単位量は15〜70重量%、さらには18〜65重量%であることが好ましい。1,2−ジエン単位量が15重量%未満では、充分なグリップ性能が得られず、70重量%をこえるとゴム組成物の耐摩耗性が低下する。共役ジエンとしては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどがあげられる。
【0013】
前記弾性共重合体に含まれる単位の残りは、1,4−結合した共役ジエンに由来する1,4−ジエン単位(1,4−結合しているジエン単位をいう)であることが好ましい。
【0014】
前記弾性共重合体のガラス転移温度(Tg)は−70〜0℃である。Tgが0℃をこえる場合には、ゴム組成物の弾性が不足し、冬期などに耐脆化特性が低下する。なお、前記弾性共重合体は芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体であるため、Tgの下限を−70℃より低くすることは困難である。さらに、ゴム組成物のグリップ性能の点からTgは−50〜−10℃であることが好ましい。
【0015】
前記弾性共重合体の具体例としては、たとえば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(SIBR)などがあげられ、ゴム組成物のグリップ性能の点から、SBR、SIBRが好ましい。これらの弾性共重合体は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
また、前記弾性共重合体の製造方法としては、前記芳香族ビニルと前記共役ジエンとを乳化重合法、溶液重合法などの重合法によって共重合させる製造方法があげられるが、ゴム組成物の転がり抵抗特性とグリップ性能の点から、とくに溶液重合法による製造方法が好ましい。溶液重合法は、炭化水素などの溶媒中で、適した溶液重合用試薬(有機リチウム化合物など)を用いて行なうことができる。
【0017】
本発明に使用されるゴム成分(A)は、さらに、前記弾性共重合体以外のエラストマー0〜70重量%を含む。
【0018】
前記弾性共重合体以外のエラストマーとしては、たとえば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴムなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ブタジエンゴム、イソプレンゴムおよび天然ゴムが耐摩耗性および耐脆化特性の点から好ましい。
【0019】
ゴム成分(A)に占める前記弾性共重合体の割合は30〜100重量%、好ましくは40〜100重量%である。前記弾性共重合体以外のエラストマーの割合は0〜70重量%、好ましくは0〜60重量%である。前記ゴム成分に占める前記弾性共重合体の割合が30重量%未満であり、前記弾性共重合体以外のエラストマーの割合が70重量%をこえる場合には、ゴム組成物のウェットスキッド性能と耐摩耗性の両立が困難となる。
【0020】
本発明に使用されるクレー(B)は、ウェットスキッド性能を改善し、かつ、耐摩耗性の低下を制御するために使用される成分である。
【0021】
前記クレーの平均粒子径は10μm以下である。平均粒子径が10μmをこえると、耐摩耗性が低下するので好ましくない。さらに、ウェットスキッド性能改善効果と耐摩耗性とのバランスの点から、クレーの平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましい。
【0022】
前記クレーの配合量は、前記ゴム成分(A)100重量部に対して5〜30重量部、好ましくは5〜25重量部である。前記クレーの配合量が5重量部未満になるとウェットスキッド性能の改善効果が小さくなり、30重量部をこえるとゴム組成物の耐摩耗性が低下する。
【0023】
前記クレーの本発明のゴム組成物に使用される全フィラーに対する配合割合は5〜30重量%である。ここで全フィラーとは前記クレーとその他のフイラー(以下に述べるカーボンブラック(C)およびシリカ(D))との合計をいう。クレーの配合割合が5重量%未満になると、ゴム組成物の転がり抵抗特性やウェットスキッド性能の改善効果が小さく、30重量%をこえると耐摩耗性が低下する。ゴム組成物の転がり抵抗特性、耐摩耗性およびウェットスキッド性能のバランスの点から、クレーの配合割合は、さらに、10〜25重量%であることが好ましい。
【0024】
本発明に使用されるカーボンブラック(C)は、チッ素吸着比表面積(N2SA)が70〜300m2/g、好ましくは100〜250m2/gである。カーボンブラックのN2SAが70m2/g未満では、分散性改良効果や補強効果が小さくなり、300m2/gをこえると、分散性が低下し、ゴム組成物の発熱性が増大し、耐摩耗性が低下する。
【0025】
前記カーボンブラックの例としては、HAF、ISAF、SAFなどがあげられるが、とくに限定されるものではない。
【0026】
本発明のゴム組成物中に含まれるカーボンブラックの配合量は、前記ゴム成分(A)100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部である。カーボンブラックの配合量が5重量部未満では、充分な補強効果が得られずゴム組成物の耐摩耗性が低下し、100重量部をこえると分散性が低下し、ゴム組成物の発熱性が増大する。
【0027】
本発明のゴム組成物は、さらに、所定のシリカ(D)、ゴム用軟化剤(E)およびシランカップリング剤(F)を含むことができる。
【0028】
前記シリカ(D)は、転がり抵抗の低減をはかるとともにゴム成分を補強するために使用される。
【0029】
前記シリカは、チッ素吸着比表面積(N2SA)が100〜300m2/g、好ましくは130〜280m2/gである。シリカのN2SAが100m2/g未満では、補強効果が小さい傾向があり、300m2/gをこえると分散性が低下し、ゴム組成物の発熱性が増大する傾向がある。
【0030】
前記シリカの例としては、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などがあげられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、転がり抵抗特性の向上という点から、湿式法シリカが好ましい。
【0031】
前記シリカの配合量は、ゴム成分(A)100重量部に対して35〜150重量部、好ましくは40〜120重量部である。シリカの配合量が35重量部未満では充分なウェットグリップ性能が得られない傾向があり、150重量部をこえると、作業性が低下する傾向がある。
【0032】
さらに、前記シリカと前記カーボンブラック(C)との合計量は、前記ゴム成分(A)100重量部に対して、好ましくは45〜165重量部、より好ましくは50〜150重量部である。前記合計量が45重量部未満では、耐摩耗性などの補強効果が小さい傾向があり、165重量部をこえると分散性が低下して作業性が劣り、ゴム組成物の発熱性が増大する傾向がある。
【0033】
前記ゴム用軟化剤(E)は、ゴム組成物の混練り作業を容易にし、加工性を向上させ、さらにグリップ性能などのウェット性能を改善するために使用される。
【0034】
前記ゴム用軟化剤としては、たとえば、パラフイン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、特殊プロセスオイルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルが、ゴム組成物のグリップ特性の点から好ましい。
【0035】
前記ゴム用軟化剤の配合量は、前記ゴム成分(A)100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは50〜150重量部、さらに好ましくは50〜100重量部である。ゴム用軟化剤の配合量が30重量部未満では前記のゴム用軟化剤を使用する効果が充分に得られない傾向があり、200重量部をこえると作業性が低下する傾向がある。
【0036】
前記シランカップリング剤(F)は、充填剤とゴム成分の結合を強め、ゴム組成物の耐摩耗性を向上させるために使用される。
【0037】
本発明で好適に使用できるシランカップリング剤は、たとえば、一般式(1)で表わされる化合物であり、
3Si−Cn2nA (1)
(式中のYは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシル基または塩素原子で3個のYは同一でも異なっていてもよく、nは1〜6の整数を示し、Aは−Smn2n−SiY3基、ニトロソ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩素原子、イミド基および−SmZ基(ここでmは1〜6の整数であり、nおよびYはそれぞれ前述のとおりであり、Zは前記の式(2)、式(3)、式(4)で表わされる)よりなる群から選ばれた基である。
【0038】
具体的には、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどがあげられる。また、3個のYが同一でない例としては、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどがあげられる。カップリング剤添加効果とコストの両立からビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが好ましい。
【0039】
かかるシランカップリング剤は1種、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
また、シランカップリング剤の配合量は前記クレー(B)と前記シリカ(D)の合計量に対して1〜20重量%が好ましい。前記クレーと前記シリカの合計量に対するシランカップリング剤の配合量が1重量%未満ではシランカップリング剤を入れた効果が充分でなく、20重量%をこえると、コストが上がる割にカップリング効果が得られず補強性、耐摩耗性が低下するので好ましくない。分散効果、カップリング効果の面から、シランカップリング剤の配合量は、さらに、2〜15重量%であることが望ましい。
【0041】
なお、本発明のゴム組成物には、前記のゴム成分(A)、クレー(B)、カーボンブラック(C)、シリカ(D)、ゴム用軟化剤(E)、シランカップリング剤(F)以外に、必要に応じて、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤などの通常のゴム工業で使用される配合剤を適宜配合することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらのみに制限されるものではない。
【0043】
実施例1〜4および比較例1〜8
下記の表1および表2に示す配合処方にしたがって、混練り配合し、各種供試ゴム組成物を得た。これらの配合物を170℃で20分間プレス加硫して加硫物を得、これらについて以下に示す各特性の試験を行なった。
【0044】
<各種薬品の説明>
SBR−A:旭化成工業(株)製のTUFDENE−3330(SBR、オイル(ゴム用軟化剤)含量:ゴム成分100重量部に対して37.5重量部、ガラス転移温度:−20℃、スチレン単位量:30重量%、1,2−ブタジエン単位量:30重量%、重合方法:溶液重合法)
SBR−B:旭化成工業(株)製のTUFDENE−1530(SBR、オイル(ゴム用軟化剤)含量:ゴム成分100重量部に対して37.5重量部、ガラス転移温度:−48℃、スチレン単位量:18重量%、1,2−ブタジエン単位量:13重量%、重合方法:溶液重合法)
BR150B:宇部興産(株)製のUBPOL BR150B(ブタジエンゴム)
クレー:サウスイースタン製のクラウンクレー(粒度 2μm以下:86%、5μm以上:4%)
カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウブラックN220(N2SA:125m2/g)
シリカ:テグッサ製のUltrasil VN3(N2SA:210m2/g)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセルX140(ゴム用軟化剤)
シランカップリング剤:デグッサ製のSi69
(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C
(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤 TBBS:ノクセラーNS(大内新興化学工業(株)製)
(化学名:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド)
加硫促進剤 DPG:ノクセラーD(大内新興化学工業(株)製)
(化学名:N,N’−ジフェニルグアニジン)
【0045】
<試験方法の説明>
(摩耗試験)
ランボーン摩耗試験機にて、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分間の条件でランボーン摩耗量を測定した。各配合の容積損失を計算し、比較例1〜2および実施例1〜4については比較例1の指数を100(基準)とし、比較例3〜8については比較例3の指数を100(基準)として、下記計算式で指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性が優れる。
(耐摩耗指数)=(比較例1または比較例3の容積損失量)
÷(各配合の容積損失量)×100
【0046】
(転がり抵抗指数)
粘弾性スペクトロメーター VES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合のtanδを測定した。比較例1〜2および実施例1〜4については比較例1の指数を100(基準)とし、比較例3〜8については比較例3の指数を100(基準)として、下記計算式で指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗特性に優れる。
(転がり抵抗指数)=(比較例1または比較例3のtanδ)
÷(各配合のtanδ)×100
【0047】
(ウェットスキッド試験)
スタンレー製のポータブルスキッドテスターを用いてASTM E303−83の方法にしたがってウェットスキッド抵抗を測定した。比較例1〜2および実施例1〜4については比較例1の指数を100(基準)とし、比較例3〜8については比較例3の指数を100(基準)として下記計算式で指数表示した。指数が大きいほどウェットスキッド性能に優れる。
(ウェットスキッド指数)=(各配合のウェットスキッド抵抗)
÷(比較例1または比較例3のウェットスキッド抵抗)×100
結果を表1および表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004741061
【0049】
【表2】
Figure 0004741061
【0050】
カーボンブラックおよびクレーを全く配合しない比較例1に対し、カーボンブラックおよびクレーを特定量配合した実施例1〜4は、耐摩耗性および転がり抵抗特性を低下させることなく、ウェットスキッド性能を改善することができた。カーボンブラックのみ配合しクレーを配合しない比較例4は、耐摩耗性は改善できるが、転がり抵抗特性およびウェットスキッド性能が大幅に低下した。
【0051】
比較例3〜8は、1,2−ブタジエン単位量が13重量%のSBRを用いた例である。カーボンブラックおよびクレーを配合しない比較例3に対し、カーボンブラックおよびクレーを特定量配合した比較例4〜8は、ウェットスキッド抵抗を改善することができなかった。
【0052】
【発明の効果】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物によれば、耐摩耗性および転がり抵抗特性を低下させることなく、ウェットスキッド性能を改善することができる。

Claims (3)

  1. (A)ガラス転移温度が−70〜0℃で、スチレン単位量が15〜60重量%および1,2−ジエン単位量が15〜70重量%である芳香族ビニルと共役ジエンとの弾性共重合体30〜100重量%と、前記弾性共重合体以外のエラストマー0〜70重量%とからなるゴム成分100重量部、
    (B)平均粒子径が10μm以下であるクレー5〜30重量部、
    (C)チッ素吸着比表面積が70〜300m2/gであるカーボンブラック5〜100重量部、
    (D)チッ素吸着比表面積が100〜300m2/gのシリカ35〜150重量部、
    (E)ゴム用軟化剤30〜100重量部および
    シリカに対して2〜20重量%の(F)シランカップリング剤
    からなり、
    前記シリカと前記カーボンブラックとの合計量が45〜165重量部であり、
    かつ、全フィラーに対する前記クレーの割合が5〜30重量%であるタイヤトレッド用ゴム組成物であり、
    前記シランカップリング剤(F)が、一般式(1):
    3Si−Cn2nA (1)
    (式中、Yは炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基または塩素原子を表わし、3個のYは同じでも異なっていてもよい、nは1〜6の整数、Aは−Smn2n−SiY3基(mは1〜9の整数、nは前記と同じ)、ニトロソ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩素原子、イミド基および−SmZ基(mは1〜6の整数であり、nおよびYはそれぞれ前述のとおりであり、Zは以下の式(2)、式(3)、式(4)で表わされる)よりなる群から選ばれた基である)で表わされる化合物であるタイヤトレッド用ゴム組成物。
    Figure 0004741061
  2. 全フィラーに対する前記クレーの割合が10〜25重量%である請求項1記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記弾性共重合体が前記芳香族ビニルと前記共役ジエンとの溶液重合法によって製造された弾性共重合体である請求項1記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
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