JP4739550B2 - コンパクト容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンパクト容器における押し釦を用いた蓋の係止解錠機構に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、容器本体の後端部で回動自在に蝶着された蓋体の先端部にフックを垂設し、前記フックと係合するフックを有する押し釦を前後方向移動可能に前記容器本体の前方部内にバネで前方へ付勢して装着し、押し釦を押すことにより開蓋する蓋の係止解錠機構を備えたコンパクト容器は公知であり、ワンタッチで開閉できて使い易いことから多用されている。また、様々なデザインのコンパクト容器に対応して多様な蓋の係止解錠機構が提案されている。
【0003】
この種のコンパクト容器に使用されているフック付きの押し釦には、押し釦が別に設けた金属バネで前方付勢されるものと、押し釦とバネが一体に形成されたものとがあり、押し釦の価格や組み付け易さにおいては、押し釦とバネの一体成形品が優れている。また、後者の押し釦におけるバネ部分が塑性変形し易いという弱点も合成樹脂材料の進歩により克服されつつある。
【0004】
押し釦とバネが一体に形成されたものとしては、例えば、実開昭57−161907号公報に図示されている押し釦のように、フックを立設した押し釦の後端に湾曲したバネ板部を一体に突設させたものや、実開昭61−96808号公報に図示されている押し釦のように、フックを立設した押し釦の両側方にバネ板部を突設したものがある。
【0005】
これらの押し釦は、容器本体の前方部に配置され、前方部を覆う中枠によって抜け出し不能にして前後方向移動可能に収容されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、後端にバネ板部を一体に突設したタイプの押し釦を用いた蓋の係止解錠機構のものは、容器本体の前方部における前後方向のデットスペースが大きくなって化粧料が収納できる有効スペースが小さくなる欠点を有しており、前後方向の寸法が小さいデザインの容器には採用できなかった。
【0007】
また、両側方にバネ板部を一体に突設したタイプの押し釦を用いた蓋の係止解錠機構のものは、容器本体の前方部両側方にバネ板部の収容スペースを必要とすることから、押し釦の押圧部となる押し釦正面の横幅を広くすることができず、コンパクト容器における設計やデザイン上の制約が大きかった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、バネを一体形成した押し釦を用いて、容器内のデットスペースが少さく、デザインの自由度の大きな蓋の係止解錠機構を構成することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先端部に凹所を有する本体と、収納周壁の上端に外向きのフランジ部が形成され前記本体に装着されて本体収納部を構成する中枠と、内向きフックを有する係合片を先端部に垂設し前記本体の後端部で回動自在に蝶着された蓋体と、前記フックと係合する外向きフック部が形成された係合孔を有し前記本体の凹所に前後方向移動可能に装着された押し釦と、を備えて成るコンパクト容器において、前記押し釦の裏面に前記係合孔を構成する枠部を設けると共に前記枠部の両側壁外側に一体に片持ちのバネ板部を前記押し釦の面に沿って突設した。
【0010】
上記の構成としたことにより、押し釦は、その裏面にバネ板部が収まった状態で本体に組み込まれている。従って、従来例のような、押し釦から突出するバネ板部を収容するために生ずる本体の前方部におけるデットスペースがなくなり、本体の化粧料を収納する為の有効スペースを大きく確保することができる。
【0011】
また、前記押し釦の両側壁外方に係止突起を突設する共に前記中枠のフランジ部における先方部フランジに前記押し釦の幅よりも狭い幅の切欠凹所を設け、前記先方部フランジにおける両側方部下面に前記係止突起が抜け出し不能に摺動する係合部を設け、押し釦を収まりよく円滑に作動するように組み込むことが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のコンパクト容器の好適な実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1乃至図6は、本発明の実施の形態を示しており、先端部に凹所2を有する本体1と、収納周壁11の上端に外向きのフランジ部12が形成され前記本体1に装着されて本体収納部3を構成する中枠10と、内向きフック21を有する係合片22を先端部に垂設し前記本体1の後端部(図示省略)で回動自在に蝶着された蓋体20と、前記フック21と係合する外向きフック部31が形成された係合孔32を有し前記本体1の凹所2に前後移動可能に装着された押し釦30と、を備えて構成されている。
【0014】
本体1は、後端部に蝶番部(図示省略)を有する上面開放の方形の函状に形成されており、先端部における凹所2の低い前壁4の内側には本体1の中心線を挟んで前壁4と同じ高さの一対の第1リブ5、5が立設され、その外側に前壁4よりも高い受面6a、6aを有する第2リブ6、6が立設され、更にその外側に凹所2の両側壁を構成すると共にその上面が押し釦30との係合部9、9を構成する第3リブ7、7が立設されている。
【0015】
中枠10は、上記本体1の内側に装着されて化粧料を入れる本体収納部3を構成するものであり、その先方部フランジ13には、押し釦30の幅よりも狭い幅の切欠凹所14が設けられており、先方部フランジ13は本体1の凹所2の上方に及んで押し釦30の上方抜け出しを押さえ込むと共に、押し釦30の係合孔32を上方開放して蓋体20の係合片22の係合孔32への挿脱を可能としている。
【0016】
また、前記先方部フランジ13における両側方部の下面には、ガイドリブ16、16が垂設されており、このガイドリブ16、16の下面と本体1における第3リブ7、7の上面とで押し釦30の係止突起36、36を摺動可能に支持する係合部9、9を構成している。
【0017】
また、中枠10の収納周壁11の深さ寸法は、本体1の深さ寸法よりも少なくとも大きく設定されており、中枠10は、収納周壁11の下端面に適宜間隔をおいて突設した超音波リブ15により収納周壁11の下端面において本体1の底板部9に超音波溶着されている。
【0018】
蓋体20は、本体1の上面を回動自在に覆合する浅い皿状に形成されており、その裏面に形成された枠23内に化粧用鏡24が両面接着テープ25で貼着されている。
【0019】
押し釦30は、面板33と、該面板33の前方に垂下する前壁34と、両側方に係止突起36、36が突設された両側壁35、35を有し、面板33の裏面には係合孔32を構成する枠部37が設けられており、係合孔32には前壁34と対向する一側に外向きフック31が形成されている。
【0020】
また、枠部37を構成する両側壁37a、37aの外側には、一体に片持ちのバネ板部38、38が面板33の裏面に沿って突設されており、このバネ板部38、38は僅かに後方へ反った形状となっている。
【0021】
上記押し釦30の組み付けは、本体1の凹所2に押し釦30を戴置してから、中枠10を本体1に嵌込んで、収納周壁11の下面に突設した超音波リブ15で本体1の底板部8と超音波溶着する。
【0022】
組み付けられた押し釦30は、バネ板部38、38の先端部が本体1における第2リブ6、6の受け面6a、6aに弾接し、中枠10のリブ16、16下面と本体1の第3リブ7、7の上面とで構成される係合部9、9で係止突起36、36を介して摺動可能に支持されると共に、係止突起36、36が本体1の高い前壁4a、4aの裏面に当接して前方へ抜け出し不能とされており、前壁34の前面が本体1の前面のほぼ全域に露出する。
【0023】
本実施の形態は以上のように構成されており、開蓋状態から蓋体20を閉めると、蓋体20の係合片22による押圧により押し釦30のバネ板部38、38が撓んでフック21とフック部31とが係合する。また、押し釦30の前壁34前面をバネ圧に抗して押圧すると、バネ板部38、38が撓むと共に係止突起36、36で後方へ摺動して解錠する。
【0024】
押し釦30に一体形成されたバネ板部38、38が面板33の裏面に位置していることから、従来、押し釦30の収納スペースの他にバネ板部を収納するスペースを設ける為に生ずる本体1のデットスペースがなくなり、本体1の化粧料を収納する有効スペースが大きく確保される。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0026】
蓋の係止解錠機構を構成する押し釦の裏面に、係合孔を構成する枠部を設け、該枠部の両側壁に一体に片持ちのバネ板部を面板の裏面に沿って突設して、本体に組み込まれた押し釦の裏面にバネ板部が収まる構成としたので、従来、バネ板部を収容する為に生じていた本体のデットスペースがなくなり、本体の内部を化粧料の収納部としてフルに有効活用することができる。
【0027】
また、押し釦を一体のバネ板付きとすると共に、押し釦の前壁前面を本体の前面のほぼ全域に露出させることを可能としたことから、押し釦を押し易くできると共に、安価にして設計やデザインの自由度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンパクト容器の実施の形態を示す要部の断面図。
【図2】図1のコンパクト容器の図3におけるA矢視方向を示す断面図。
【図3】図1のコンパクト容器の本体側を示す斜視図。
【図4】図3の分解斜視図。
【図5】本実施の形態における押し釦の裏面を示す斜視図。
【図6】本実施の形態における本体と押し釦との位置関係を示す説明図。
【符号の説明】
1 本体,2 凹所,3 本体収納部,9 係合部,10 中枠,11 収納周壁,12 フランジ部,13 先方部フランジ,14 切欠凹所,20 蓋体,21 フック,22 係合片,30 押し釦,31 フック部,32 係合孔,36 係止突起,37 枠部,37a、37a 側壁,38 バネ板部,

Claims (1)

  1. 先端部に凹所を有する本体と、収納周壁の上端に外向きのフランジ部が形成され前記本体に装着されて本体収納部を構成する中枠と、内向きフックを有する係合片を先端部に垂設し前記本体の後端部で回動自在に蝶着された蓋体と、前記フックと係合する外向きフック部が形成された係合孔を有し前記本体の凹所に前後方向移動可能に装着された押し釦と、を備えて成るコンパクト容器において、前記押し釦の裏面に前記係合孔を構成する枠部を設けると共に前記枠部の両側壁外側に一体に片持ちのバネ板部を前記押し釦の裏面に沿って突設したコンパクト容器において、前記押し釦の両側壁外方に係止突起を突設する共に前記中枠のフランジ部における先方部フランジに前記押し釦の幅よりも狭い幅の切欠凹所を設け、前記先方部フランジにおける両側方部下面に前記係止突起が抜け出し不能に摺動する係合部を設けたことを特徴とするコンパクト容器。
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