以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示している。図1の各構成要素を以下に説明する。1は交流電源である架線、2は集電器、3は交流回路遮断器、Tは主回路変圧器、4は変圧器1次巻線、5は変圧器2次巻線、7は車輪、8は帰線であるレール、9は変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の電流を検出するための交流電流検出器、10は充電用開閉器、11は充電回路抵抗器、12はコンバータ、13U〜13Yはコンバータ12のスイッチング素子、14は平滑コンデンサ、15はコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の電圧を検出するための直流電圧検出器、18は変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路の交流回路開閉器、21は永久磁石電動機、22はインバータ、23U〜23Zはインバータ22のスイッチング素子、24U〜24Wはインバータ22と永久磁石電動機12との間の電流を検出するための電流検出器、25はインバータ22と永久磁石電動機21との間の回路の電動機回路開閉器、26は永久磁石電動機21の回転子の回転を検出するための回転検出器である。
コンバータ12は、スイッチング素子13U〜13Yを内蔵しており、この4個のスイッチング素子を任意にオン・オフ動作させることによって、変圧器2次巻線5から供給される交流電圧を任意の大きさの電圧の直流電圧に変換する機能を有している。図1では、スイッチング素子13U〜13Yは、適用例として、逆並列に接続されたダイオードを内蔵したIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として記載しているが、電流を導通(オン)・阻止(オフ)する機能を有した素子であれば種類はIGBTに限定されない。
インバータ22は、スイッチング素子23U〜23Zを内蔵しており、この6個のスイッチング素子を任意にオン・オフ動作させることによって、直流電圧を任意の電圧と任意の周波数の3相交流電圧に変換する機能を有している。図1では、スイッチング素子23U〜23Zは、適用例として、逆並列に接続されたダイオードを内蔵したIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として記載しているが、電流を導通(オン)・阻止(オフ)する機能を有した素子であれば種類はIGBTに限定されない。インバータ22の電源である直流電圧はコンバータ12によって供給される。
コンバータ12のスイッチング素子のオン・オフ動作の方法及びインバータ22のスイッチング素子のオン・オフ動作の方法については、例えばパルス幅変調方式やその他の方式などがあるが、周知の技術であるとともにどの方式を適用しても本発明の鉄道車両駆動制御装置の実施の形態には影響しないため説明を省略する。
平滑コンデンサ14は、コンバータ12から出力されてインバータ22に供給される直流電圧を安定させる作用を持つ。
永久磁石電動機21は、その回転子が歯車などを介して駆動用車輪の車軸と接続されるか、又は回転子が駆動用車輪6の車軸と直接接続されて鉄道車両を駆動するためのもので、例えば永久磁石同期電動機や永久磁石補助形リラクタンス電動機であり、永久磁石を利用し、それ故にその回転により誘起電圧を発生する方式の電動機である。永久磁石電動機21にはインバータ22からU相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwの3相交流電力が供給される。またこのとき、永久磁石電動機21のそれぞれの端子には線間電圧Vuv、Vvw、Vwuが印加される。
交流回路遮断器3は、機能的には開閉器の一種であり、交流電源である架線1と変圧器1次巻線4との接続・切り離しを行なう。
変圧器Tには1次巻線4と2次巻線5が設けられており、架線1の交流電圧の大きさをコンバータ12の入力電圧の交流電圧の大きさに変換する。
交流回路開閉器18は、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路を投入・開放するためのものである
充電用開閉器10と充電回路抵抗器11は、コンバータ12を起動する前にコンバータ12とインバータ22の間の直流回路に設けた平滑コンデンサ14を充電するためのものある。
コンバータ12を起動する前に充電用開閉器10が投入(オン)され、コンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に交流回路開閉器18が投入(オン)され変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路が接続されるとともに充電用開閉器10が開放(オフ)される。交流回路開閉器18を投入するタイミングについては、充電回路抵抗器11の抵抗値と平滑コンデンサ14の静電容量とから求められる充電時間を考慮して、充電用開閉器10を投入した後に充電時間が経過したことで交流回路開閉器18を投入する。又は別の方式として、電圧検出器15の検出値を監視して平滑コンデンサ14の電圧が予め設定された閾値を超えたときに交流回路開閉器18を投入する方式としても良い。
電動機回路開閉器25は、インバータ12と永久磁石電動機21との間の回路を投入・開放するためのものである。図1では、電動機回路開閉器の接触子は例としてインバータ12と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の全てに接触子を設けた記載にしてあるが、電動機回路開閉器25は永久磁石電動機21との間の3相回路を流れる電流を防止するためのものであるから、3相のうちのいずれか2相に接触子を設けても良い。
図2は、図1に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例を示した図である。図2において、101は制御回路電源、102は制御回路電源グラウンド、103は制御部である。104a〜104cは継電器、109は交流電流検出器9の検出値にあたる出力信号、112は直流電圧指令値、115は直流電圧検出器15の検出値にあたる出力信号、124U〜124Wは電流検出器24U〜24Wの検出値にあたる出力信号、126は回転検出器26の検出値にあたる出力信号である。図2では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。
継電器104aは、充電用開閉器10の駆動操作コイル110に電源を供給する制御回路であり制御部103が出力する充電用開閉器投入指令信号によって投入(オン)される。
継電器104bは、交流回路開閉器18の駆動操作コイル118に電源を供給する制御回路であり制御部103が出力する交流回路開閉器投入指令信号によって投入(オン)される。
継電器104cは、電動機回路開閉器25の駆動操作コイル125に電源を供給する制御回路であり制御部103が出力する電動機回路開閉器投入指令信号によって投入(オン)される。
図3は制御部103が出力する信号のうちの交流回路開閉器投入指令信号S02と電動機回路開閉器投入指令信号S04の論理の例、及び制御部103に内蔵される電動機誘起電圧演算部105と電動機回路開閉器投入条件判別部106と直流電圧指令値出力部107の構成例を示した図である。
図3の開閉器投入指令S01は、例えば、保護機能が故障を検知していない状態で、かつ充電用開閉器10の投入後に充電時間が経過したら開閉器投入指令=1となる。又は別の方式として、保護機能が故障を検知していない状態で、かつ充電用開閉器10の投入後に直流電圧検出器15の検出値を監視して平滑コンデンサ14の電圧が予め設定された閾値を超えたときに開閉器投入指令=1とする方式としても良い。
交流回路開閉器投入指令信号S02は開閉器投入指令S01が1となると出力される。
電動機回路開閉器投入指令信号S04は、開閉器投入指令S01と、電動機回路開閉器投入条件判別部106が出力する電動機回路開閉器投入許可信号S03とのAND論理で出力される。又は別の構成例として、図4のように、開閉器投入指令S01と、電動機回路開閉器投入条件判別部106が出力する電動機回路開閉器投入許可信号S03とのAND論理でRS−FF論理をセットし、保護機能が故障を検知して故障検知信号S05が入力されたらRS−FF論理をリセットする論理で出力しても良い。
ここで、保護機能が検知する故障とは、例えば、コンバータ12に内蔵されているスイッチング素子13U〜13Yや、インバータ22に内蔵されているスイッチング素子23U〜23Zが破損、又はスイッチング素子13U〜13Y、23U〜23Zそれぞれをオン・オフ動作させるための回路が破損して、コンバータ12又はインバータ22が起動できない状態(動作できない状態)の意味である。コンバータ12の故障検出方法については、例えば、コンバータ12の変圧器2次巻線5側の交流回路の電流を交流電流検出器9で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12の故障と判断し、またインバータ22の故障検出方法については、例えば、インバータ22の出力電流を電流検出器24U〜24Wで監視し、異常値を示した場合にインバータ22の故障と判断し、またコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の直流電圧を直流電圧検出器15で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12とインバータ22の故障と判断する。
電動機誘起電圧演算部105は、回転検出器26の出力信号126を入力とし、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する。
回転検出器26が永久磁石電動機21の回転子の回転数Nを出力する方式である場合は、永久磁石電動機の回転角周波数ωは次式で求められる。
又は、回転検出器26が永久磁石電動機21の回転子の角度θを出力する方式である場合は、永久磁石電動機21の回転角周波数ωは角度θを時間微分して求めた回転数N=(dθ/dt)から次式で求められる。
回転している永久磁石電動機21の永久磁石による端子間の誘起電圧は交流電圧となり、その尖頭値は次の式で演算される。
電動機回路開閉器投入条件判別部106は、電動機誘起電圧演算部105の出力である永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmと、直流電圧検出器15の出力信号115を入力とし、電動機回路開閉器投入許可信号S03を出力する。コンバータ12とインバータ22の間の直流回路の電圧Vdcは直流電圧検出器15の出力信号115に相当し、電動機回路開閉器投入許可信号S03は次の論理で出力される。
直流電圧指令値出力部107は、電動機誘起電圧演算部105の出力である永久磁石電動機の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを入力として、例えば、予め設定されている直流電圧指令値初期値VdcRefOrgと永久磁石電動機の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmとを比較して、大きい方の値を直流電圧指令値112としてコンバータ12に対して出力する。
コンバータ12は、直流電圧指令値112に基づいて変圧器2次巻線5の交流電圧を直流電圧に変換して出力する。
本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、充電用開閉器のオン・オフ、交流回路開閉器のオン・オフ、直流回路電圧、電動機回路開閉器のオン・オフ、コンバータの動作・停止、インバータの動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図5と図6に示す。
図5は充電用開閉器10を投入後に平滑コンデンサ14の初期充電が完了して交流回路開閉器18を投入する時点で、直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上である場合の例であり、この場合、交流回路開閉器18を投入する時点で電動機回路開閉器投入許可信号S03=1であるので、電動機回路開閉器25は交流回路開閉器18と同じタイミングで投入され、その後コンバータ12とインバータ22が動作を開始する。
図6は交流回路開閉器18を投入する時点で直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm未満である場合の例であり、この場合、交流回路開閉器18が投入された後にコンバータ12が動作を開始して変圧器2次巻線5の交流電圧を変換して直流回路電圧を上昇させる。直流回路電圧が永久磁石電動機21の誘起電圧の尖頭値Vm以上になったら電動機回路開閉器投入許可信号S03=1となり、電動機回路開閉器25が投入される。その後インバータ22が動作を開始する。
図5と図6で示した動作によって、本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置においては、走行中に永久磁石電動機が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ずコンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。
なお、図1に示した鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24U〜24Wと永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機21とインバータ22との間の電流を防止するためのものであるから、インバータ12と電流検出器24U〜24Wとの間に接触子を設けても良い。
また、図1に示した鉄道車両駆動制御装置の説明では、電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルオープン(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が開放状態になる機構)の場合で説明している。電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルクローズ(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が投入状態になる機構)の場合は、制御部103から出力される電動機回路投入指令信号S04が反転し、信号が無いとき電動機回路開閉器25が投入状態となり、信号が有るとき電動機回路開閉器25が開放状態となる。その他の部分の本発明の実施の形態の動作は前述の説明と同様である。
さらに、図1に示した鉄道車両駆動制御装置における交流電流検出器9は、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
(第2の実施の形態)図7は本発明の第2の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置を示す図である。前述の図1に示した鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、永久磁石電動機21とインバータ22との間の3相交流回路のそれぞれの相に対して接触子が1個であるが、図7に示す鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器を25A、25Bのように2個設けて、接触子がそれぞれの相に対して2直列になるように構成した例である。この場合、前述の図2から図6における電動機回路開閉器25と、電動機回路開閉器駆動操作コイル125と、継電器104cと、電動機回路開閉器投入指令信号が、それぞれ、電動機回路開閉器25Aと25Bに対応して2組ずつで構成されることになる。その他の構成要素と動作は図1に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。本実施の形態の場合、2組のいずれかの動作で、電動機回路を解放することができ、回路動作の信頼性を向上できる。
(第3の実施の形態)図8は、本発明の第3の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置を示す図である。前述の図1や図7に示した鉄道車両駆動制御装置における充電用開閉器10は充電回路抵抗器11と直列に構成しているが、図8に示す鉄道車両駆動制御装置の例では、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の交流回路開閉器18と反対側の相に充電用開閉器10を設けた構成にしたものである。この構成の場合には、図1や図7に示した鉄道車両駆動制御装置とは、充電用開閉器10が平滑コンデンサ14の充電が完了した後も投入したまま(オフしない)になることが動作として異なる。充電用開閉器10と交流回路開閉器18がともに投入されることで、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の回路が接続されることになる。
その他の構成要素と動作は図1に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
(第4の実施の形態)図9は、本発明の第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示す図である。図1に示した鉄道車両駆動制御装置の構成と比較して、充電回路抵抗器11が無い代わりに、変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16と充電用整流回路17を設けた構成を特徴としている。
変圧器3次巻線6は変圧器2次巻線5よりも小さい電圧を出力する巻線である。充電回路昇圧変圧器16は、変圧器3次巻線6の交流電圧を昇圧するためのものである。充電用整流回路17は、充電回路昇圧変圧器16の出力を整流してコンバータ12とインバータ22との間の直流回路に直流電圧を供給するためのものである。
コンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14を充電する場合、充電用開閉器10を投入(オン)して変圧器3次巻線6と充電回路昇圧変圧器16とを接続することにより、充電用整流回路17を経て平滑コンデンサ14が充電される。平滑コンデンサ14の充電が完了後、充電用開閉器10を開放(オフ)して、交流回路開閉器25を投入(オン)する。
図9に示す構成の鉄道車両駆動制御装置では、充電用開閉器10は変圧器3次巻線6と接続された電圧の低い回路に設けられており、充電用開閉器10が低電圧用の簡易で低廉な開閉器で構成することが可能になる効果がある。
その他の構成要素と動作については、図1から図6に示した鉄道車両駆動制御装置と同様であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
(第5の実施の形態)図10は、本発明の第5の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示す図である。図10に示す構成は、鉄道車両駆動制御装置はインバータと永久磁石電動機と電流検出器と電動機回路開閉器と回転検出器を組み合わせて1単位の駆動群として構成しており、コンバータ12が1台に対してこの駆動群を2組有した構成で、以下それぞれ第1駆動群と第2駆動群と呼称して説明する。
図10において、31は第1駆動群の永久磁石電動機、32は第1駆動群のインバータ、34U〜34Wは第1駆動群の電流検出器、35は第1駆動群の電動機回路開閉器、36は第1駆動群の回転検出器、41は第2駆動群の永久磁石電動機、42は第2駆動群のインバータ、44U〜44Wは第2駆動群の電流検出器、45は第2駆動群の電動機回路極開閉器、46は第2駆動群の回転検出器である。
図11は、図10に示した本発明の第5の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御部と制御回路の構成例を示した図である。図11では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。
134U〜134Wは第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの検出値にあたる出力信号、136は第1駆動群の回転検出器36の検出値にあたる出力信号、144U〜144Wは第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの検出値にあたる出力信号、146は第2駆動群の回転検出器46の検出値にあたる出力信号である。
継電器104dは、第1駆動群の電動機回路開閉器35の駆動操作コイル135に電源を供給する制御回路であり、制御部103が出力する第1駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号S04−1によって投入(オン)される。
継電器104eは、第2駆動群の電動機回路開閉器45の駆動操作コイル145に電源を供給する制御回路であり制御部103が出力する第2駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号S04−2によって投入(オン)される。
その他の構成要素については図2に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御部と制御回路の構成例と同様である。
図12は制御部103が出力する信号のうちの交流回路開閉器投入指令信号S02と第1駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号S04−1と第2駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号S04−2の論理の例、及び制御部103に内蔵される電動機誘起電圧演算部105と電動機回路開閉器投入条件判別部106と直流電圧指令値出力部107の構成例を示した図である。
図12に記載している開閉器投入指令S01は、例えば、保護機能が故障を検知していない状態で、かつ充電用開閉器10の投入後に充電時間が経過したら開閉器投入指令S01=1となる。又は別の方式として、保護機能が故障を検知していない状態で、かつ充電用開閉器10の投入後に直流電圧検出器15の検出値を監視して平滑コンデンサ14の電圧が予め設定された閾値を超えたときに開閉器投入指令S01=1とする方式としても良い。
交流回路開閉器投入指令信号S02は開閉器投入指令S01が1となると出力される。
第1駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号S04−1と第2駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号S04−2は、開閉器投入指令S01と、電動機回路開閉器投入条件判別部106が出力する電動機回路開閉器投入許可信号S03とのAND論理で出力される。又は別の構成例として、図13のように、開閉器投入指令S01と、電動機回路開閉器投入条件判別部106が出力する電動機回路開閉器投入許可信号S03とのAND論理でRS−FF論理をセットし、保護機能が故障を検知して故障検知信号S05を入力したらRS−FF論理をリセットする論理で出力しても良い。
ここで、保護機能が検知する故障とは、例えば、コンバータ12に内蔵されているスイッチング素子13U〜13Yや、第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42に内蔵されているスイッチング素子23U〜23Zが破損、又はスイッチング素子13U〜13Y、23U〜23Zそれぞれをオン・オフ動作させるための回路が破損して、コンバータ12又は第1駆動群のインバータ32又は第2駆動群のインバータ42が起動できない状態(動作できない状態)の意味である。コンバータ12の故障検出方法については、例えば、コンバータ12の変圧器2次巻線5側の交流回路の電流を交流電流検出器9で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12の故障と判断し、また第1駆動群のインバータ32の故障検出方法については、例えば、第1駆動群のインバータ32の出力電流を電流検出器34U〜34Wで監視し、異常値を示した場合に第1駆動群のインバータ32の故障と判断し、また第2駆動群のインバータ42の故障検出方法については、例えば、第2駆動群のインバータ42の出力電流を電流検出器44U〜44Wで監視し、異常値を示した場合に第2駆動群のインバータ42の故障と判断し、またコンバータ12と第1駆動群のインバータ32及び第2駆動群のインバータ42との間の直流回路の直流電圧を電圧検出器15で監視し、異常値を示した場合にコンバータ12と第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42の故障と判断する。
電動機誘起電圧演算部105は、第1駆動群の回転検出器36の出力信号136と、第2駆動群の回転検出器46の出力信号146とを入力として、永久磁石電動機の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する。
第1駆動群の回転検出器36と第2駆動群の回転検出器46が第1駆動群の永久磁石電動機31及び第2駆動群の永久磁石電動機41の回転子の回転数Nを出力する方式である場合は、それぞれの永久磁石電動機の回転角周波数ω1とω2は次式で求められる。
又は、第1駆動群の回転検出器36と第2駆動群の回転検出器46が第1駆動群の永久磁石電動機31及び第2駆動群の永久磁石電動機41の回転子の角度θを出力する方式である場合は、それぞれの永久磁石電動機の回転角周波数ω1、ω2はそれぞれの回転子の角度θ1、θ2をそれぞれ時間微分して求めた回転数N1=(dθ1/dt)、N2=(dθ2/dt)から次式で求められる。
回転している第1駆動群の永久磁石電動機31と第2駆動群の永久磁石電動機41のそれぞれの永久磁石による誘起電圧は交流電圧となり、その尖頭値は次の式で演算される。
電動機誘起電圧演算部105は、第1駆動群の永久磁石電動機31の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm1と、第2駆動群の永久磁石電動機41の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm2の値が大きい方を永久磁石電動機の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmとして出力する。
本発明の第5の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における、鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、充電用開閉器のオン・オフ、交流回路開閉器のオン・オフ、直流回路電圧、第1駆動群の電動機回路開閉器のオン・オフ、第2駆動群の電動機回路開閉器のオン・オフ、コンバータの動作・停止、第1駆動群のインバータの動作・停止、第2駆動群のインバータの動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図14と図15に示す。
図14は交流回路開閉器18を投入する時点で直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機31、41の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上である場合の例であり、この場合、第1駆動群の電動機回路開閉器35と第2駆動群の電動機回路開閉器45は、交流回路開閉器18と同じタイミングで投入され、その後コンバータ12が動作を開始し、続いて第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42が動作を開始する。
図15は交流回路開閉器18を投入する時点で直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機31、41の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm未満である場合の例であり、この場合、交流回路開閉器18が投入された後にコンバータ12が動作を開始して変圧器2次巻線5の交流電圧を変換して直流回路電圧を上昇させる。直流回路電圧が永久磁石電動機31、41の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上になったら第1駆動群の電動機回路開閉器35と第2駆動群の電動機回路開閉器45が投入される。その後第1駆動群のインバータ32と第2駆動群のインバータ42が動作を開始する。
その他の動作については図2から図6に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例と同様である。
本発明の第5の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機31、41が誘起電圧を発生している状態において第1駆動群の電動機回路開閉器35と第2駆動群の電動機回路開閉器45を投入する場合でも、第1駆動群の電動機回路開閉器35と第2駆動群の電動機回路開閉器45を投入するタイミングでは必ず直流回路電圧が第1駆動群の永久磁石電動機31の端子間の誘起電圧と第2駆動群の永久磁石電動機41の端子間の誘起電圧の値が大きい方の尖頭値以上になっているため、インバータのスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して第1駆動群の永久磁石電動機及び第2駆動群の永久磁石電動機から直流回路の平滑コンデンサに電流が流れてそれぞれの永久磁石電動機がトルクショックを発生することを防止できる。
なお、図10示した本発明の第5の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、1台の鉄道車両駆動制御装置が駆動制御を行なう永久磁石電動機の数を2台の構成として示しているが、永久磁石電動機の数を2台から3台や4台に増やした場合は、図10の構成にさらに駆動群として第3駆動群、第4駆動群を追加した構成となる。これは駆動群の数が増加したのみで、本発明の実施の形態における各部の動作は同様である。
(第6の実施の形態)本発明の第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図16と図17を用いて説明する。図16に示す鉄道車両駆動制御装置は、交流電流検出器9と充電用開閉器10と充電回路抵抗器11とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と永久磁石電動機21とインバータ22と電流検出器24U〜24Wと電動機回路開閉器25と回転検出器26を組み合わせて、図1に示した鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成し、この制御群を2組有している構成である。以下、それぞれの制御群を第1制御群51及び第2制御群52として呼称して説明する。
図16において、主回路変圧器Tは2次巻線を2組有しており、第1制御群51の回路は第1の変圧器2次巻線5Aに接続される。第2制御群52の回路は第2の変圧器2次巻線5Bに接続される。
図17は、図16に示した本発明の第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例を示した図である。図17では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。
制御部103は、第1制御群51からの入力信号及び、第2制御群52からの入力信号について、おのおのの制御群について前述の図3から図6に示した動作を行ない、第1制御群51への出力信号と第2制御群52への出力信号を出力する。その他の構成要素と動作については、本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
なお、図17では制御部103は複数の制御群に対して制御部103が1つである例として記載しているが、制御部を、第1制御群51に関係する入出力信号を有する第1制御群制御部と、第2制御群52に関係する入出力信号を有する第2制御群制御部とに分割して設けた構成としても良い。
また、図16に示した鉄道車両駆動制御装置の第1制御群51と第2制御群52の内部の構成を、図10に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、交流電流検出器9と充電用開閉器10と充電回路抵抗器11とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と交流回路開閉器18と第1駆動群の永久磁石電動機31と第1駆動群のインバータ32と第1駆動群の電流検出器34U〜34Wと第1駆動群の電動機回路開閉器35と第1駆動群の回転検出器36と、第2駆動群の永久磁石電動機41と第2駆動群のインバータ42と第2駆動群の電流検出器44U〜44Wと第2駆動群の電動機回路開閉器45と第2駆動群の回転検出器46を組み合わせて構成してもよい。この場合は、図17に示した制御部103と制御回路の構成においては、制御部103へ、電流検出器24U〜24Wの検出値にあたる出力信号124U〜124Wに代えて、第1制御群と第2制御群それぞれから、第1駆動群の電流検出器34U〜34Wの検出値にあたる出力信号134U〜134Wと、第2駆動群の電流検出器44U〜44Wの検出値にあたる出力信号144U〜144Wが入力され、また、回転検出器26の出力信号126に代えて第1駆動群の回転検出器36の出力信号36と第2駆動群の回転検出器46の出力信号46が入力され、さらに、電動機回路開閉器25の駆動操作コイル125に電源を供給する制御回路の継電器104cと電動機回路開閉器投入指令信号に代えて、制御部103から、第1制御群と第2制御群それぞれに対して、第1駆動群の電動機回路開閉器35の駆動操作コイル135に電源を供給する制御回路の継電器と、第2駆動群の電動機回路開閉器45の駆動操作コイル145に電源を供給する制御回路の継電器を設け、第1駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号と第2駆動群の電動機回路開閉器投入指令信号を出力することになる。
さらに、図16と図17に示した本発明の第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、1台の鉄道車両駆動制御装置が駆動制御を行なう永久磁石電動機21の数を2台の構成として示しているが、永久磁石電動機21の数を2台から3台や4台に増やした場合は、図16と図17の構成にさらに制御群として第3制御群、第4制御群と第3の変圧器2次巻線と第4の変圧器2次巻線を追加した構成となる。これは制御群の数が増加したのみで、本実施の形態における各部の動作は同様である。
なお、本発明の第2の実施の形態から第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25、35、45の接触子は、インバータ22、32、42と永久磁石電動機21、31、41との間の3相交流回路の全てに接触子を設けた記載にしてあるが、電動機回路開閉器は永久磁石電動機との間の3相回路を流れる電流を防止するためのものであるから、3相のうちのいずれか2相に接触子を設けても良く、また、電動機回路開閉器25、35、45の接触子は、インバータ22、32、42と永久磁石電動機21、31、41との間の3相交流回路の電流検出器24、34、44と永久磁石電動機21、31、41との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機とインバータとの間の電流を防止するためのものであるから、インバータ22、32、42と電流検出器24、34、44との間に接触子を設けても良い。
また、本発明の第2の実施の形態から第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の説明では、電動機回路開閉器25、35、45の動作機構がノーマルオープン(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が開放状態になる機構)の場合で説明している。電動機回路開閉器25、35、45の動作機構がノーマルクローズ(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が投入状態になる機構)の場合は、制御部103から出力される電動機回路投入指令信号が反転し、信号が無いとき電動機回路開閉器が投入状態となり、信号が有るとき電動機回路開閉器が開放状態となる。
さらに、本発明の第2の実施の形態から第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における交流電流検出器9は、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
また、本発明の第3の実施の形態から第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器の接触子は、それぞれの相に対して接触子が1個の例で示したが、前述の図7に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に電動機回路開閉器25A、25Bを2個設けて、接触子がそれぞれの相に対して2直列になるように構成しても良い。
さらに、本発明の第2の実施の形態と第5の実施の形態と第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、充電用開閉器10を前述の図8に示した鉄道車両駆動制御装置と同様な構成としても良い。
(第7の実施の形態)本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図18から図22を用いて説明する。図18に示す鉄道車両駆動制御装置は、図1に示した鉄道車両駆動装置と比較して回転検出器26が無い代わりに、永久磁石電動機21と電動機回路開閉器25との間の回路に電動機端子電圧検出器27を設けたものである。
電動機回路開閉器25が開放状態の場合は永久磁石電動機21には電流が流れないので、永久磁石によって永久磁石電動機21の各端子に発生している誘起電圧は3相(U相、V相、W相)で等しくなる。このため、任意の2つの端子間の電圧を検出することで、永久磁石電動機21の誘起電圧を検出することができる。図18では、永久磁石電動機21のU相端子とV相端子間の電圧を検出する構成として記載している。
図19から図21は、図18に示した鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例を示した図である。図19では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。図2から図4に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例と比較して、制御部103には、回転検出器26の出力信号126の代わりに、電動機端子電圧検出器27の検出値にあたる出力信号127が入力されている。
電動機誘起電圧演算部105は、電動機端子電圧検出器27の出力信号127を入力とし、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する。電動機回路開閉器25が開放状態で永久磁石電動機21の回転子が回転している場合には、永久磁石の磁束によって誘起される永久磁石電動機21の端子電圧Vは例として図22のような交流電圧となる。永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmは、例えば次のような演算によって求められる。まず、電動機端子電圧検出器27の検出値である永久磁石電動機21の端子電圧Vが、ゼロ電圧を横切るタイミングT1とT2を求める。永久磁石電動機21の端子電圧Vを絶対値変換した電圧についてタイミングT1とT2との間の電圧の最大値Vmaxを求め、この値を2倍することで、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmが求められる。永久磁石電動機21の端子電圧Vが、ゼロ電圧を横切ることを検出する度にタイミングT1とT2を更新して、永久磁石電動機21の端子電圧Vを絶対値変換した電圧についてタイミングT1とT2との間の電圧の最大値Vmaxを求めることで、永久磁石電動機21の回転数(車両の速度)が変化した場合でも常に永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを求めることができる。
その他の構成要素と動作については、図1から図6に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機21が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ず直流回路電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。
(第8の実施の形態)図23は本発明の第8の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示したもので、図18に示した鉄道車両駆動制御装置とは電動機回路開閉器の構成が異なっており、図7に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、電動機回路開閉器を25Aと25Bの2個設け、その接触子をそれぞれの相に対して2直列となるように構成した例である。
この構成の場合、図18から図21における電動機回路開閉器25と、電動機回路開閉器駆動操作コイル125と、継電器104cと、電動機回路開閉器投入指令信号が、それぞれ、電動機回路開閉器25Aと25Bに対応して2組ずつで構成されることになる。その他の構成要素と動作は図18に示した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
(第9の実施の形態)図24は本発明の第9の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示したもので、図18に示した鉄道車両駆動制御装置とは充電用開閉器10の構成が異なっており、図8に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、充電用開閉器10は変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のうち充電回路抵抗器11を設けた相と反対側の相に設けている。図23に示す鉄道車両駆動制御装置における充電用開閉器10は、コンバータ12を起動する前に充電用開閉器10が投入(オン)され、コンバータ12が内蔵しているスイッチング素子13U〜13Yの逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に交流回路開閉器18が投入(オン)され、このとき充電用開閉器10も投入(オン)のままとなり、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路が接続される。その他の構成要素と動作及び本発明の効果については、図18から図21に示した鉄道車両駆動制御装置と同様であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
(第10の実施の形態)図25は本発明の第10の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置を示す図である。図18に示した鉄道車両駆動制御装置とはコンバータ12を起動する前に平滑コンデンサ14へ充電する充電回路の構成が異なっており、図9に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、充電回路抵抗器11が無く、変圧器3次巻線6と、充電用開閉器10と、充電回路昇圧変圧器16と、充電用整流回路17とで構成している。その他の構成要素と動作及び本発明の効果については、図18から図21に示した鉄道車両駆動制御装置と同様であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
(第11の実施の形態)図26は、本発明の第11の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示す図である。図26に示した鉄道車両駆動制御装置の構成では、前述の図10に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、インバータと永久磁石電動機と電流検出器と電動機回路開閉器と回転検出器を組み合わせて1単位の駆動群として構成しており、コンバータ12が1台に対してこの駆動群を2組有した構成で、以下それぞれ第1駆動群と第2駆動群と呼称して説明する。
図26において、37は第1駆動群の電動機端子電圧検出器、47は第2駆動群の電動機端子電圧検出器である。
図27から図29は、図26に示した本発明の第11の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御部と制御回路の構成例を示した図である。図27では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。
137は第1駆動群の電動機端子電圧検出器37の検出値にあたる出力信号、147は第2駆動群の電動機端子電圧検出器47の検出値にあたる出力信号である。その他の構成要素については、図10から図13に示した鉄道車両駆動制御装置と同様である。
電動機誘起電圧演算部105は、第1駆動群の電動機端子電圧検出器37の出力信号137と第2駆動群の電動機端子電圧検出器47の出力信号147を入力として、永久磁石電動機の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する。第1駆動群の電動機回路開閉器35と第2駆動群の電動機回路開閉器45が開放状態で第1駆動群の永久磁石電動機31及び第2駆動群の永久磁石電動機41の回転子がそれぞれ回転している場合には、永久磁石の磁束によって誘起されるそれぞれの永久磁石電動機の端子電圧Vは例として前述の図22と同様な交流電圧となる。
前述の図22に示した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における電動機誘起電圧演算部105と同様な演算によって、図28と図29の電動機誘起電圧演算部105は、第1駆動群の永久磁石電動機31の誘起電圧の尖頭値Vm1と、第2駆動群の永久磁石電動機41の誘起電圧の尖頭値Vm2をおのおの演算する。電動機誘起電圧演算部105は、第1駆動群の永久磁石電動機31の誘起電圧の尖頭値Vm1と、第2駆動群の永久磁石電動機41の誘起電圧の尖頭値Vm2の値の大きい方を永久磁石電動機の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmとして出力する。その他の構成要素と動作については、図10から図15に示した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本発明の第11の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機31、41が誘起電圧を発生している状態において第1駆動群の電動機回路開閉器35と第2駆動群の電動機回路開閉器45を投入する場合でも、第1駆動群の電動機回路開閉器31と第2駆動群の電動機回路開閉器45を投入するタイミングでは必ず直流回路電圧が第1駆動群の永久磁石電動機31の端子間の誘起電圧と第2駆動群の永久磁石電動機41の端子間の誘起電圧の値が大きい方の尖頭値以上になっているため、インバータ32、42のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して第1駆動群の永久磁石電動機31及び第2駆動群の永久磁石電動機41から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れてそれぞれの永久磁石電動機31、41がトルクショックを発生することを防止できる。
なお、図26示した鉄道車両駆動制御装置では、1台の鉄道車両駆動制御装置が駆動制御を行なう永久磁石電動機の数を2台の構成として示しているが、永久磁石電動機の数を2台から3台や4台に増やした場合は、図26の構成にさらに駆動群として第3駆動群、第4駆動群を追加した構成となる。これは駆動群の数が増加したのみで、本発明の実施の形態における各部の動作は同様である。
(第12の実施の形態)本発明の第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図30と図31を用いて説明する。図30に示す鉄道車両駆動制御装置は、交流電流検出器9と充電用開閉器10と充電回路抵抗器11とコンバータ12と平滑コンデンサ14と電圧検出器15と永久磁石電動機21とインバータ22と電流検出器24U〜24Wと電動機回路開閉器25と電動機端子電圧検出器27を組み合わせて、図18に示した鉄道車両駆動制御装置と同様な構成として、これを1単位の制御群として構成し、この制御群を2組有している構成である。以下、それぞれの制御群を第1制御群51及び第2制御群52として呼称して説明する。
図31は、図30に示した本発明の第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例を示した図である。図31では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。
制御部103は、第1制御群51からの入力信号及び、第2制御群52からの入力信号について、おのおのの制御群について前述の本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な動作を行ない、第1制御群51への出力信号と第2制御群52への出力信号を出力する。
その他の構成要素と動作については、図18に示した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
なお、図30では制御部103は複数の制御群に対して制御部103が1つである例として記載しているが、制御部を、第1制御群51に関係する入出力信号を有する第1制御群制御部と、第2制御群52に関係する入出力信号を有する第2制御群制御部とに分割して設けた構成としても良い。
また、図30と図31に示した鉄道車両駆動制御装置の第1制御群と第2制御群の内部の構成を、図26に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、第1駆動群と第2駆動群を有する構成とした場合においても、本実施の形態による効果を同様に得られる。
さらに、図30と図31に示した鉄道車両駆動制御装置では、1台の鉄道車両駆動制御装置が駆動制御を行なう永久磁石電動機の数を2台の構成として示しているが、永久磁石電動機の数を2台から3台や4台に増やした場合は、図30と図31の構成にさらに制御群として第3制御群、第4制御群と第3の変圧器2次巻線と第4の変圧器2次巻線を追加した構成となる。これは制御群の数が増加したのみで、本実施の形態における各部の動作は同様である。
なお、本発明の第8の実施の形態から第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の全てに接触子を設けた記載にしてあるが、電動機回路開閉器25はインバータ22と永久磁石電動機21との間の3相回路を流れる電流を防止するためのものであるから、3相のうちのいずれか2相に接触子を設けても良く、また、電動機回路開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24と永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機21とインバータ22との間の電流を防止するためのものであるから、インバータ22と電流検出器24との間に接触子を設けても良い。
また、本発明の第8の実施の形態から第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の説明では、電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルオープン(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が開放状態になる機構)の場合で説明している。電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルクローズ(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が投入状態になる機構)の場合は、制御部103から出力される電動機回路投入指令信号S04が反転し、信号が無いとき電動機回路開閉器25が投入状態となり、信号が有るとき電動機回路開閉器25が開放状態となる。
さらに、本発明の第8の実施の形態から第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における交流電流検出器9は、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
また、本発明の第9の実施の形態から第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、それぞれの相に対して接触子が1個の例で示したが、前述の図23に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に電動機回路開閉器を2個設けて、接触子がそれぞれの相に対して2直列になるように構成しても良い。
さらに、本発明の第8の実施の形態と第11の実施の形態と第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、充電用開閉器10を前述の図24に示した鉄道車両駆動制御装置と同様な構成としても良い。
(第13の実施の形態)本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について、図32から図36を用いて説明する。図32は、本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示している。図1に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成と比較すると、永久磁石電動機21の回転子の回転を検出するための回転検出器26が無い構成である。その他の構成要素については図1に示した鉄道車両駆動制御装置と同様である。
図33は、図32に示した本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例を示した図である。図33では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。図2に示した鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成から、回転検出器26の出力信号126を削除した構成であり、その他の構成要素については図2に示した鉄道車両駆動制御装置の制御回路と同様である。
図34は、制御部103が出力する信号のうち交流回路開閉器投入指令信号S02と電動機回路開閉器投入指令信号S04の論理の例、及び制御部103に内蔵される電圧指令値出力部108と電動機回路開閉器投入条件判別部106と直流電圧指令値出力部107の構成例を示した図である。又は、電動機回路開閉器投入指令信号S04の論理は図35の例のように構成しても良い。
電圧指令値出力部108は、予め設定されている任意の値を電圧指令値Vcとして出力する。ここで、予め設定されている任意の値は、車両の走行における永久磁石電動機21の回転子の最高回転数での永久磁石による端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上の値であることが、本発明の特徴である。
車両の走行における永久磁石電動機21の回転子の最高回転数Nmaxは、予め決定されている車両の最高運転速度と、車輪の直径、また回転子が歯車で車輪の車軸と接続されている場合にはその歯車比などで決定される。最高回転数Nmaxにおける永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmmaxは次式から予め求めることができる。
予め設定されている任意の値は、車両の走行における永久磁石電動機21の最高回転数での、永久磁石による端子間の誘起電圧の尖頭値Vmmax以上の任意の値に設定され、その値は例えば、不揮発メモリーなどの記憶部に保存される。
直流電圧指令値出力部107は、電圧指令値出力部108の出力である電圧指令値Vcが入力され、電圧指令値Vcを直流電圧指令値112としてコンバータ12に対して出力する。
電動機回路開閉器投入条件判別部106は、電圧指令値出力部108の出力である電圧指令値Vcと、電圧検出器15の出力信号115を入力とし、電動機回路開閉器投入許可信号S03を出力する。コンバータ12とインバータ22の間の直流回路の電圧Vdcは電圧検出器15の出力信号115に相当し、電動機回路開閉器投入許可信号S03は次の論理で出力される。
コンバータ12は、直流電圧指令値112に基づいて変圧器2次巻線5の交流電圧を直流電圧に変換して出力する。
本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、充電用開閉器10のオン・オフ、交流回路開閉器18のオン・オフ、直流回路電圧、電動機回路開閉器25のオン・オフ、コンバータ12の動作・停止、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図36に示す。交流回路開閉器18が投入された後にコンバータ12が動作を開始して、変圧器2次巻線5の交流電圧を変換して直流回路電圧を直流電圧指令値112以上に上昇させる。直流回路電圧が電圧指令値Vc以上になったら電動機回路開閉器25が投入される。その後インバータ22が動作を開始する。
本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機21が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ずコンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。さらに、本発明の第1の実施の形態から第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置に必要な、回転検出器26や、電動機端子電圧検出器27や、電動機誘起電圧演算部105が不要になり、鉄道車両駆動制御装置の部品数の削減と、それに伴う装置の小型化、重量の軽量化の効果が得られる。
同様に、前述の本発明の第2の実施の形態から第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置についても、制御部103を図33と同様に構成するとともに、制御部103が内蔵する直流電圧指令値出力部107と電動機回路開閉器投入条件判別部106と電圧指令値出力部108を、図34又は図35に示す構成例と同様に構成して、前述の本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な動作にすることで、回転検出器26や、電動機端子電圧検出器27や、電動機誘起電圧演算部105が不要になり、本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な効果を得ることができる。
(第14の実施の形態)本発明の第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について説明する。本発明の第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成は、図32に示した本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であるが、制御部103には、図37に示すように切替条件信号161が入力される。制御部103は、図38又は図39に示す例のように構成され、前述の本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置とは電圧指令値出力部108の動作が異なっている。
電圧指令値出力部108は、切替条件信号161を入力として、予め設定されている複数の任意の値の中から選択し、電圧指令値Vcとして出力する。
ここで、電圧指令値Vcは、車両の走行条件における永久磁石電動機21の最高回転数における永久磁石による端子間の誘起電圧の尖頭値Vmmax以上の値であるとともに、運転路線や車両の運転条件などの切替条件信号161によって、予め設定されている複数の任意の値の中から選択して切り替えて出力されることが本発明の特徴である。
例として、車両が走行する路線が2種類であって、それぞれの路線の最高運転速度が異なる場合に、路線の条件を切替条件信号161として、予め設定されている2つの任意の値を切り替えて出力する場合で、以下に動作を説明する。
車両の走行における永久磁石電動機21の回転子の最高回転数Nmaxは、予め決定されている走行路線での車両の最高運転速度と、車輪の直径、また回転子が歯車で車輪の車軸と接続されている場合にはその歯車比などで決定される。例として、走行する路線が路線1と路線2の2種類である場合にそれぞれの路線での最高回転数Nmaxにおける永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値は次式から予め求めることができる。
予め計算された路線1での最高回転数の永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmmax1と路線2での最高回転数の永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmmax2に基づいて、任意の値1はVmmax1以上の値に設定され、また、任意の値2はVmmax2以上の値に設定され、任意の値1と任意の値2は例えば不揮発メモリーなどの記憶部に保存される。
電圧指令値Vcは、車両が走行する路線が路線1か路線2であるかによって、切替条件信号161で選択され、路線1を走行するときは電圧指令値Vcは前述の任意の値1が出力され、路線2を走行するときは電圧指令値Vcは前述の任意の値2が出力される。
ここで、切替条件信号161は、例えば、鉄道車両の運転手の操作によって鉄道車両駆動制御装置に入力されてもよく、又は鉄道車両が搭載している他の機器から出力された信号であっても良い。
また、別の実施の形態として、切替条件信号161について、例えば速度制限などの車両の運転条件における最高運転速度の条件を切替条件信号161として構成しても、前述の(8)式の説明において路線1を最高運転速度1、また路線2を最高運転速度2と置き換えると、同様に車両の運転条件によって電圧指令値Vcの値を変更して出力することができる。
以上の動作によって、最高運転速度が低い条件で走行するときは、電動機回路開閉器25を投入するときに、コンバータ12が変換する直流電圧を必要以上に大きい値にする必要が無くなり、コンバータ12の動作状態を運転条件に応じて最適にできる。
本発明の第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置においては、走行中に永久磁石電動機21が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ず直流回路電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。また、走行する路線や最高速度などの車両の運転条件によって電圧指令値Vcの値を変更することにより、電動機回路開閉器25を投入する時のコンバータ12の動作状態を最適にできる。さらに、本発明の第1の実施の形態から第12の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置が必要な、回転検出器26や、電動機端子電圧検出器27や、電動機誘起電圧演算部105が不要になり、鉄道車両駆動制御装置の部品数の削減と、それに伴う装置の小型化、重量の軽量化の効果が得られる。
同様に、前述の本発明の第2の実施の形態から第6の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置についても、制御部103及び制御部103が内蔵する直流電圧指令値出力部107と電動機回路開閉器投入条件判別部106と電圧指令値出力部108を、図37から図39に示す構成例と同様な構成として前述の本発明の第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な動作にすることで、回転検出器や、電動機端子電圧検出器や、電動機誘起電圧演算部が不要になり、本発明の第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様な効果を得ることができる。
(第15の実施の形態)本発明の第15の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について説明する。本発明の第15の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成は、図9に示した本発明の第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であるが、制御部103の構成と動作が異なる。
図40に制御部103の構成例と制御回路の構成例を示す。162は運転開始指令を表す。その他の制御部103の構成要素については、図2に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御部と制御回路の構成例と同様である。
図41に、制御部103が出力する信号のうち、充電用開閉器投入指令信号S10と、電動機回路開閉器投入指令信号S02と、交流回路開閉器投入指令信号S04の論理の例と、制御部103が内蔵する電動機誘起電圧演算部105と電動機回路開閉器投入条件判別部106の構成例を示す。
電動機誘起電圧演算部105は、回転検出器26の出力信号126を入力として、前述の(1)式から(3)式で説明した演算によって、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを演算して出力する。
電動機回路開閉器投入条件判別部106は、電動機誘起電圧演算部105の出力である永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmと、直流電圧検出器15の出力信号115を入力とし、電動機回路開閉器投入許可信号S03を出力する。コンバータ12とインバータ22の間の直流回路の電圧Vdcは直流電圧検出器15の出力信号115に相当し、電動機回路開閉器投入許可信号S03は次の論理で出力される。
充電用開閉器投入指令信号S10は、例えば、運転開始指令162と、保護検知機能が検出する故障検知の信号による図41に示す例の論理によって出力される。ここで、運転開始指令162は、鉄道車両駆動制御装置の運転を開始するための指令信号であって、車両の運転手の操作によって鉄道車両駆動制御装置に入力されても良く、又は、車両に搭載された別の機器から出力される信号であっても良い。
電動機回路開閉器投入指令信号S02は、例えば、運転開始指令162と、保護検知機能が検出する故障検知信号S05と、電動機回路開閉器投入許可信号S03による図41に示す例の論理によって出力される。
交流回路開閉器投入指令信号S04は、例えば、運転開始指令162と、保護検知機能が検出する故障検知信号S05と、充電用開閉器投入指令信号S10による図41に示す例の論理によって出力される。
本発明の第15の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、充電用開閉器10のオン・オフ、電動機回路開閉器25のオン・オフ、交流回路開閉器18のオン・オフ、直流回路電圧、コンバータ12の動作・停止、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図42に示す。運転開始指令162が入力されると、保護検知機能が故障検知していないことを条件として充電用開閉器10が投入される。充電用開閉器10が投入されると、充電回路を経てコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の平滑コンデンサ14が充電される。コンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上となると、電動機回路開閉器投入許可信号S03=1となり、電動機回路開閉器25が投入される。平滑コンデンサ14と充電回路抵抗器11の値を考慮して予め設定されているシングルショットの時間Tch1が経過すると充電用開閉器10がオフされ、交流回路開閉器18が投入される。
本発明の第15の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機21が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ずコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。
尚、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、回転検出器26を削除してその代わりに電動機端子電圧検出器27を永久磁石電動機21の端子に設け、図25と同様に構成することができる。その場合、制御部103の構成は、図40と図41において、回転検出器の出力信号126の代わりに電動機端子電圧検出器27の出力信号127を入力し、電動機誘起電圧演算部105は、前述の図22で本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における電動機誘起電圧演算部105と同様の演算を行って、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する構成とする。これによっても本実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
(第16の実施の形態)本発明の第16の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について説明する。本発明の第16の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成は、図9と図40に示した本発明の第15の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様であるが、制御部103の内部の構成と、制御部103が出力する信号の論理の動作が異なる。
図43に、本実施の形態において制御部103が出力する信号のうちの充電用開閉器投入指令信号と、電動機回路開閉器投入指令信号と、交流回路開閉器投入指令信号の論理の例と、制御部103が内蔵する電動機誘起電圧演算部105と電動機回路開閉器投入条件判別部106の構成例を示す。
本発明の第16の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、充電用開閉器10のオン・オフ、電動機回路開閉器25のオン・オフ、交流回路開閉器18のオン・オフ、直流回路電圧、コンバータ12の動作・停止、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図44と図45に示す。
図44は充電用開閉器10が投入された後にシングルショット時間Tch2経過後までにコンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上となる場合の例である。この場合、電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入され、また、予め設定されているシングルショットの時間Tch2経過後に充電用開閉器10がオフされ、交流回路開閉器18が投入される。
図45は充電用開閉器10が投入された後にシングルショット時間Tch2が経過した時点でコンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm未満であって電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されない場合の例である。この場合、シングルショット時間Tch2が経過した後も充電用開閉器10は電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力される時間Tch3まで投入期間が延長して投入され、電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入されるとともに充電用開閉器10がオフされ、交流回路開閉器18が投入される。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機21が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ずコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。
尚、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、回転検出器26を削除してその代わりに電動機端子電圧検出器27を永久磁石電動機21の端子に設けた構成にすることができる。その場合、制御部103の構成は、図43において、回転検出器の出力信号126の代わりに電動機端子電圧検出器27の出力信号127を入力するし、電動機誘起電圧演算部105は、前述の図22で説明した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における電動機誘起電圧演算部105と同様の演算を行って、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する構成とする。これによっても本実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
(第17の実施の形態)図46は、本発明の第17の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示す図である。10Aは第1の充電用開閉器、10Bは第2の充電用開閉器、16は充電回路用昇圧変圧器である。充電回路用昇圧変圧器16は、その低圧側の巻線が昇圧比が異なる巻線で構成されており、図46では、昇圧比が小さい側の巻線の端子が第1の充電用開閉器10Aを介して主回路変圧器Tの3次巻線6と接続され、また昇圧比が大きい側の巻線の端子が第2の充電用開閉器10Bを介して主回路変圧器Tの3次巻線6と接続される。その他の構成要素については、前述の図9に示した本発明の第4の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。図47は本実施の形態における制御回路の構成を示している。110Aは第1の充電用開閉器駆動操作コイル、110Bは第2の充電用開閉器駆動操作コイル、104fと104gはそれぞれの駆動操作コイルに電源を供給する継電器である。その他の構成要素は前述の図40に示した制御回路と同様である。
制御部103が出力する信号のうち、第1の充電用開閉器投入指令信号S10−1と、第2の充電用開閉器投入指令信号S10−2と、電動機回路開閉器投入指令信号S02と、交流回路開閉器投入指令信号S04の論理の例と、制御部103が内蔵する電動機誘起電圧演算部105と電動機回路開閉器投入条件判別部106の構成例を図48に示す。
本発明の第17の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、第1の充電用開閉器10Aのオン・オフ、第2の充電用開閉器10Bのオン・オフ、電動機回路開閉器25のオン・オフ、交流回路開閉器18のオン・オフ、直流回路電圧、コンバータ12の動作・停止、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図49と図50に示す。
図49は第1の充電用開閉器10Aが投入された後にシングルショット時間Tch4が経過するまでにコンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上となる場合の例である。この場合、電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入され、また、予め設定されているシングルショットの時間Tch4経過後に第1の充電用開閉器10Aがオフされ、交流回路開閉器18が投入される。この場合は、第2の充電用開閉器10Bは投入されない。
図50は第1の充電用開閉器10Aが投入された後にシングルショット時間Tch4が経過した時点でコンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm未満であって電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されない場合の例である。この場合、シングルショット時間Tch4が経過後に第2の充電用開閉器10Bが投入されることで、充電回路昇圧変圧器16の昇圧側の巻線は第1の充電用開閉器10Aが投入された場合よりも大きい電圧を出力するため、コンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcがさらに充電されて、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上になると電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力される。電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入されるとともに第2の充電用開閉器10Bがオフされ、交流回路開閉器18が投入される。
尚、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、回転検出器26を削除してその代わりに電動機端子電圧検出器27を永久磁石電動機21の端子に設け、電動機端子電圧検出器27を図25と同様に構成したものとすることができる。その場合、制御部103の構成は、図47と図48において、回転検出器26の出力信号126の代わりに電動機端子電圧検出器27の出力信号127を入力し、電動機誘起電圧演算部105は、図22で説明した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における電動機誘起電圧演算部105と同様の演算を行って、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する構成とする。
(第18の実施の形態)本発明の第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を図51に示す。図51において、28は補助電源装置であり、鉄道車両の補助電源回路29へ、鉄道車両に搭載されている機器の電源として例えば3相交流電圧440V、周波数60Hzの一定電圧・一定周波数の交流電圧を出力して供給するものである。10Aは第1の充電用開閉器、10Bは第2の充電用開閉器、11は充電回路抵抗器、16は充電回路用昇圧変圧器である。17は充電用整流回路である。充電回路用昇圧変圧器16は、その低圧側の巻線が第2の充電用開閉器10Bを介して補助電源回路29に接続され、補助電源回路の電圧を昇圧して変圧器2次巻線5の電圧以上の大きさの電圧を出力する。その他の構成要素については、前述の第17の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。また、制御部103の構成例は、前述の図47と図48と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、第1の充電用開閉器10Aのオン・オフ、第2の充電用開閉器10Bのオン・オフ、電動機回路開閉器25のオン・オフ、交流回路開閉器18のオン・オフ、直流回路電圧、コンバータ12の動作・停止、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミングは、前述の図49と図50と同様である。
第1の充電用開閉器10Aが投入されると、コンバータ12とインバータ22との間の直流回路の平滑コンデンサ14は、変圧器2次巻線5から充電回路抵抗器11とコンバータ12のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して充電される。第1の充電用開閉器10Aの投入時間は、予め充電回路抵抗11の値と平滑コンデンサ14の静電容量を考慮して、シングルショットの時間Tch4が設定されている。シングルショットの時間Tch4が経過するまでにコンバータ12とインバータ22との間の直流回路の電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上になった場合は、図49と同様の動作となり、電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入され、また、シングルショットの時間Tch4経過後に第1の充電用開閉器10Aがオフされ、交流回路開閉器18が投入される。この場合は、第2の充電用開閉器10Bは投入されない。
第1の充電用開閉器10Aが投入された後にシングルショット時間Tch4が経過した時点でコンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm未満であって電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されない場合は、図50と同様な動作となる。シングルショット時間Tch4が経過後に第2の充電用開閉器10Bが投入されることで、補助電源回路29の電圧を充電回路昇圧変圧器16で昇圧した電圧によって、コンバータ12とインバータ22との間の直流回路電圧Vdcがさらに充電されて、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上になると電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力される。電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入されるとともに第2の充電用開閉器10Bがオフされ、交流回路開閉器18が投入される。
尚、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、回転検出器26を削除してその代わりに電動機端子電圧検出器27を永久磁石電動機21の端子に設け、電動機端子電圧検出器27を図18と同様に構成したものとすることができる。その場合、制御部103の構成は、図47と図48において、回転検出器の出力信号126の代わりに電動機端子電圧検出器27の出力信号127を入力し、電動機誘起電圧演算部105は、図22で説明した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における電動機誘起電圧演算部105と同様の演算を行って、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する構成とする。
本発明の第17及び第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機21が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ずコンバータ12とインバータ12との間の直流回路の電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21から直流回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。
なお、本発明の第15の実施の形態から第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の全てに接触子を設けた記載にしてあるが、電動機回路開閉器25はインバータ22と永久磁石電動機21との間の3相回路を流れる電流を防止するためのものであるから、3相のうちのいずれか2相に接触子を設けても良く、また、電動機回路開閉器25の接触子はインバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24と永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機21とインバータ22との間の電流を防止するためのものであるから、インバータ22と電流検出器24との間に接触子を設けても良い。
また、本発明の第15の実施の形態から第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の説明では、電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルオープン(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が開放状態になる機構)の場合で説明している。電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルクローズ(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が投入状態になる機構)の場合は、制御部103から出力される電動機回路投入指令信号S02が反転し、信号が無いとき電動機回路開閉器25が投入状態となり、信号が有るとき電動機回路開閉器25が開放状態となる。
さらに、本発明の第15の実施の形態から第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における交流電流検出器9は、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路の電流を検出するためのものであるから、変圧器2次巻線5とコンバータ12との間の交流回路のどちら側の相に設けても良い。
また、本発明の第15の実施の形態から第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、それぞれの相に対して接触子が1個の例で示したが、前述の図23に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に電動機回路開閉器25A、25Bを2個設けて、接触子がそれぞれの相に対して2直列になるように構成しても良い。
さらに、本発明の第15の実施の形態から第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置において、図10に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、インバータ22と永久磁石電動機21と電流検出器26と電動機回路開閉器25を組み合わせて1単位の駆動群として構成して、この駆動群を複数有する構成とした場合や、又は、図16に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、主回路変圧器Tの2次巻線5を複数設けて交流回路開閉器18とコンバータ12と平滑コンデンサ14と直流電圧検出器15とインバータ22と永久磁石電動機21と電流検出器26と電動機回路開閉器25を組み合わせて1単位の制御群として構成して、この制御群を複数有する構成とした場合においても、本発明の効果を同様に得ることができる。
(第19の実施の形態)本発明の第19の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示した図51は、鉄道車両駆動制御装置の電源である架線1が交流電源である場合の例で記載しているが、変形例として、鉄道車両駆動制御装置の電源である架線が直流電源である場合は、変圧器1次巻線4と、変圧器2次巻線5と、交流電流検出器9と、コンバータ12が不要となり、例えば図52に示す構成になる。この場合、インバータ22の直流側の回路の正側は、直流回路遮断器62と、充電用開閉器10と、充電回路抵抗器11と、直流回路開閉器63と、平滑リアクトル64を介して架線61と接続され、また、インバータ22の直流側の回路のグラウンド側は、車輪7を介して帰線であるレール8と接続される。このような構成にあっても、制御部103は、交流回路開閉器18の代わりに直流回路開閉器63を投入・開放動作させ、その他の構成要素を第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様の作用をさせることで、鉄道車両駆動制御装置の電源である架線61が直流電源の場合においても、本発明の効果を同様に得ることができる。
(第20の実施の形態)本発明の第20の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について説明する。図53は本発明の第20の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示したものであり、61は鉄道車両駆動制御装置の直流電源である架線、2は集電器、62は直流回路遮断器、63は直流回路開閉器、10Aは第1の充電用開閉器、11は充電回路抵抗器、64は平滑リアクトル、65Aは整流素子、65Bはスイッチング素子、28は補助電源装置、29は補助回路、10Bは第2の充電用開閉器であり、その他の構成要素については図51に示した本発明の第18の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。
図54に本実施の形態における制御回路の構成例を示す。図54の構成は、前述の図47から交流電流検出器9の出力信号109を削除し、また、交流回路開閉器18の駆動操作コイル118の代わりに直流回路開閉器63の駆動操作コイル163を設けた構成である。また、制御部103が出力する信号のうち、第1の充電用開閉器投入指令信号S10−1の論理と、第2の充電用開閉器投入指令信号S10−2の論理と、電動機回路開閉器25の論理と、直流回路開閉器63の論理の、それぞれの例と、制御部103の構成例を図55に示す。図55は前述の図48と比較して、交流回路開閉器投入指令信号S04の代わりに直流回路開閉器投入指令信号S06を出力する構成である。
本発明の第20の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、第1の充電用開閉器10Aのオン・オフ、第2の充電用開閉器10Bのオン・オフ、電動機回路開閉器25のオン・オフ、直流回路開閉器63のオン・オフ、直流回路電圧、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミングを図56と図57に示す。
第1の充電用開閉器10Aが投入されると、インバータ22の直流回路側の平滑コンデンサ14は、架線61から平滑リアクトル64と整流素子65Aを介して充電回路抵抗器11で制限された電流によって充電される。第1の充電用開閉器10Aの投入時間は、予め充電回路抵抗11の値と平滑コンデンサ14の静電容量を考慮して、シングルショットの時間Tch5が設定されている。シングルショットの時間Tch5が経過するまでにインバータ22の直流回路の電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上になった場合は図56の動作となり、電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入され、また、シングルショットの時間Tch5経過後に第1の充電用開閉器10Aがオフされ、直流回路開閉器63が投入される。この場合は、第2の充電用開閉器10Bは投入されない。
第1の充電用開閉器10Aが投入された後にシングルショット時間Tch5が経過した時点でインバータ22の直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm未満であって電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されない場合は図57の動作となる。シングルショット時間Tch5が経過後に第2の充電用開閉器10Bが投入されることで、補助電源回路29の電圧を充電回路昇圧変圧器16で昇圧して充電用整流回路17で整流された電圧によって、インバータ22の直流回路電圧Vdcがさらに充電されて、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上になると電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力される。電動機回路開閉器投入許可信号S03が出力されると電動機回路開閉器25が投入されるとともに第2の充電用開閉器10Bがオフされ、直流回路開閉器63が投入される。
ここで、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧Vmの値が大きい場合は、第2の充電用開閉器10Bが投入されることで、直流回路電圧Vdcが、電源である架線61の電圧よりも大きい電圧に充電される場合もある。整流素子65Aは、このとき第2の充電用開閉器10Bが投入されている充電期間中に平滑コンデンサ14側から架線61側へ電流が流れることを防止する。
インバータ22が動作を開始した後に、永久磁石電動機21の端子間の電圧を下げる電流を流す制御を行なうことで、永久磁石電動機21の端子間の電圧を架線61の電圧に対してインバータ22が出力できる最大電圧以下に制御して駆動制御を行なう。これはいわゆる永久磁石電動機21の弱め磁束制御である。その方法としては例えば特許第3226253号公報に記載された方法やその他さまざまな方法が提案されているので、そのいずれの方式をも用いることができる。
また、永久磁石電動機21で鉄道車両の制動を行なうとき、永久磁石電動機21が制動力を発生するに伴って発電した電力を架線61に電力回生する場合は、整流素子65Aに逆並列に接続されているスイッチング素子65Bをオン(導通状態)にして、インバータ22から架線61への電流を流せるようにする。なお、図53では、整流素子65Aは適用例としてダイオードの記号で記載しているが、電流を一方にのみ導通することができる素子であれば種類はダイオードに限定されない。また、スイッチング素子65Bは、適用例としてIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として記載しているが、電流を導通(オン)・阻止(オフ)する機能を有した素子であれば種類はIGBTに限定されない。また図53では整流素子65Aとスイッチング素子65Bを別々に記載しているが、インバータ22が内蔵しているIGBT素子の例と同様に、逆並列に接続された整流素子を内蔵して一体化されたスイッチング素子を適用しても良い。
尚、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、回転検出器26を削除してその代わりに電動機端子電圧検出器27を永久磁石電動機21の端子に設け、電動機端子電圧検出器27を図18と同様に構成したものとすることができる。その場合、制御部103の構成は、図54と図55において、回転検出器の出力信号126の代わりに電動機端子電圧検出器27の出力信号127を入力し、電動機誘起電圧演算部105は、前述の図22で説明した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における電動機誘起電圧演算部105と同様の演算を行って、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する構成とする。
(第21の実施の形態)本発明の第21の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について説明する。図58は本発明の第21の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の構成を示したものであり、61は鉄道車両駆動制御装置の直流電源である架線、62は直流回路遮断器、63は直流回路開閉器、10は充電用開閉器、11は充電回路抵抗器、64は平滑リアクトル、66はチョッパ、67Aと67Bはチョッパ66が内蔵するスイッチング素子であり、その他の構成要素については、図1に示した本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。
チョッパ66は、スイッチング素子67A、67Bを内蔵しており、この2個のスイッチング素子を任意にオン・オフ動作させることによって、直流電源(架線61)から供給される直流電圧を任意の大きさの電圧の直流電圧に昇圧して変換する機能を有している。チョッパ66で昇圧された直流電圧は、インバータ22の電源として供給される。図58では、チョッパ66が内蔵するスイッチング素子67Aと67Bは、適用例として、逆並列に接続されたダイオードを内蔵したIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として記載しているが、電流を導通(オン)・阻止(オフ)する機能を有した素子であれば種類はIGBTに限定されない。
充電用開閉器10と充電回路抵抗器11は、チョッパ66を起動する前にインバータ22の直流側の回路に設けた平滑コンデンサ14を充電するためのものある。
チョッパ66を起動する前に充電用開閉器10が投入(オン)され、平滑リアクトル64とスイッチング素子67Aが内蔵している逆並列ダイオードを経由して充電回路抵抗器11で制限された電流によって平滑コンデンサ14を充電する。平滑コンデンサ14の充電が完了した後に直流回路開閉器63が投入(オン)され架線61とインバータ22との間の回路が接続されるとともに充電用開閉器10が開放(オフ)される。直流回路開閉器63を投入するタイミングについては、充電回路抵抗器11の抵抗値と平滑コンデンサ14の静電容量から求められる充電時間を考慮して、充電用開閉器10を投入した後に前記の充電時間が経過したことで直流回路開閉器63を投入する。又は別の方式として、電圧検出器15の検出値を監視して平滑コンデンサ14の電圧が予め設定された閾値を超えたときに直流回路開閉器63を投入する方式としても良い。
図59は、図58に示した本発明の第21の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例を示した図である。図59では、本発明の実施の形態の動作を理解しやすくするために、制御部103へ入力及び制御部103から出力される信号として、本発明の実施の形態の動作の説明に関係する信号のみを記載している。112はチョッパへの直流電圧指令値である。
図60は制御部103が出力する信号のうちの直流回路開閉器投入指令信号S06と電動機回路開閉器投入指令信号S04との論理の例、及び制御部103に内蔵される電動機誘起電圧演算部105と電動機回路開閉器投入条件判別部106と直流電圧指令値出力部107の構成例を示した図である。図2と比較すると、交流回路開閉器投入指令信号S02に代えて、直流回路開閉器投入指令信号S06を出力することが異なる。
図60の開閉器投入指令S01は、例えば、保護機能が故障を検知していない状態で、かつ充電用開閉器10の投入後に充電時間が経過したら開閉器投入指令S01=1となる。又は別の方式として、保護機能が故障を検知していない状態で、かつ充電用開閉器10の投入後に電圧検出器15の検出値を監視して平滑コンデンサ14の電圧が予め設定された閾値を超えたときに開閉器投入指令S01=1とする方式としても良い。
直流回路開閉器投入指令信号S06は開閉器投入指令S01が1となると出力される。
電動機回路開閉器投入指令S01信号S04は、開閉器投入指令S01と、電動機回路開閉器投入条件判別部106が出力する電動機回路開閉器投入許可信号S03とのAND論理で出力される。又は別の構成例として、図61のように、開閉器投入指令S01と、電動機回路開閉器投入条件判別部106が出力する電動機回路開閉器投入許可信号S03とのAND論理でRS−FF論理をセットし、保護機能が故障を検知して故障検知信号S05を入力したらRS−FF論理をリセットする論理で出力しても良い。
チョッパ66は、直流電圧指令値112に基づいて直流電源(架線61)電圧を昇圧して変換して出力する。
その他の構成要素や、電動機誘起電圧演算部105、電動機回路開閉器投入条件判別部106、直流電圧指令値出力部107とその動作については、本発明の第1の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様である。
本発明の第21の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、充電用開閉器10のオン・オフ、直流回路開閉器63のオン・オフ、直流回路電圧、電動機回路開閉器25のオン・オフ、チョッパ66の動作・停止、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図62と図63に示す。
図62は充電用開閉器10を投入後に平滑コンデンサ14の初期充電が完了して直流回路開閉器63を投入する時点で、直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上である場合の例であり、この場合、直流回路開閉器63を投入する時点で電動機回路開閉器投入許可信号S03=1であるので、電動機回路開閉器25は直流回路開閉器18と同じタイミングで投入され、その後チョッパ66とインバータ22が動作を開始する。
図63は直流回路開閉器63を投入する時点で直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vm未満である場合の例であり、この場合、直流回路開閉器63が投入された後にチョッパ66が動作を開始して直流電源(架線61)の電圧を昇圧して変換して直流回路電圧Vdcを上昇させる。直流回路電圧Vdcが永久磁石電動機21の誘起電圧の尖頭値Vm以上になったら電動機回路開閉器投入許可信号S03=1となり、電動機回路開閉器25が投入される。その後インバータ22が動作を開始する。
尚、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、回転検出器26を削除してその代わりに電動機端子電圧検出器27を永久磁石電動機21の端子に設け、電動機端子電圧検出器27を図18と同様に構成したものとすることができる。その場合、制御部103の構成は、図59から図61において、回転検出器の出力信号126の代わりに電動機端子電圧検出器27の出力信号127を入力し、電動機誘起電圧演算部105は、図22で説明した本発明の第7の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置における電動機誘起電圧演算部105と同様の演算を行って、永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値Vmを出力する構成とする。
(第22の実施の形態)本発明の第22の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図64〜図68を用いて説明する。図64に示すように、本発明の第22の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置は、図58に示した本発明の第21の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置に対して、回転検出器26を削除した構成を特徴とする。
図65は、本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御回路の構成例を示した図である。図66は、制御部103が出力する信号のうち直流回路開閉器投入指令信号S06と電動機回路開閉器投入指令信号S04の論理の例、及び制御部103に内蔵される電圧指令値出力部108と電動機回路開閉器投入条件判別部106と直流電圧指令値出力部107の構成例を示した図である。又は、電動機回路開閉器投入指令信号S04の論理は図67の例のように構成しても良い。
電圧指令値出力部108は、予め設定されている任意の値を電圧指令値Vcとして出力する。ここで、予め設定されている任意の値は、車両の走行における永久磁石電動機21の回転子の最高回転数での永久磁石による端子間の誘起電圧の尖頭値Vm以上の値であることが、本実施の形態の特徴である。その他の構成要素とその動作については、図33から図36で説明した、本発明の第13の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御部103の説明において、コンバータ12の代わりにチョッパ66、交流回路開閉器投入指令信号S02の代わりに直流回路開閉器投入指令信号S06と置き換えた場合と同様である。
本実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の運転を開始する場合の、充電用開閉器10のオン・オフ、交流回路開閉器63のオン・オフ、直流回路電圧、電動機回路開閉器25のオン・オフ、コンバータ12の動作・停止、インバータ22の動作・停止について、経過時間を横軸としたタイミング図の例を図68に示す。交流回路開閉器63が投入された後にコンバータ12が動作を開始して、変圧器2次巻線5の交流電圧を変換して直流回路電圧を直流電圧指令値112以上に上昇させる。直流回路電圧が電圧指令値Vc以上になったら電動機回路開閉器25が投入される。その後インバータ22が動作を開始する。
(第23の実施の形態)本発明の第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置について図69〜図71を用いて説明する。本発明の第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置は、前述の本発明の第22の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の制御部103に切替条件信号161を入力して、電圧指令値出力部108の動作を、前述の図37から図39で説明した本発明の第14の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置と同様にし、電圧指令値Vcを鉄道車両の走行条件に対応して切り替える機能とした構成である。
本発明の第20の実施の形態から第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置によれば、走行中に永久磁石電動機21が誘起電圧を発生している状態において電動機回路開閉器25を投入する場合でも、電動機回路開閉器25を投入するタイミングでは必ずインバータ22の直流側の回路の電圧が永久磁石電動機21の端子間の誘起電圧の尖頭値以上になっているため、インバータ22のスイッチング素子の逆並列ダイオードを介して永久磁石電動機21からインバータ22の直流側の回路の平滑コンデンサ14に電流が流れて永久磁石電動機21がトルクショックを発生することを防止できる。
なお、本発明の第20の実施の形態から第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、インバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の全てに接触子を設けた記載にしてあるが、電動機回路開閉器25は永久磁石電動機21との間の3相回路を流れる電流を防止するためのものであるから、3相のうちのいずれか2相に接触子を設けても良く、また、電動機回路開閉器25の接触子はインバータ22と永久磁石電動機21との間の3相交流回路の電流検出器24と永久磁石電動機21との間に設けているが、この接触子は永久磁石電動機21とインバータ22との間の電流を防止するためのものであるから、インバータ22と電流検出器24との間に接触子を設けても良い。
また、本発明の第20の実施の形態から第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置の説明では、電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルオープン(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が開放状態になる機構)の場合で説明している。電動機回路開閉器25の動作機構がノーマルクローズ(駆動操作コイルが無加圧のとき、接触子が投入状態になる機構)の場合は、制御部103から出力される電動機回路投入指令信号S04が反転し、信号が無いとき電動機回路開閉器25が投入状態となり、信号が有るとき電動機回路開閉器25が開放状態となる。
また、本発明の第20の実施の形態から第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、電動機回路開閉器25の接触子は、それぞれの相に対して接触子が1個の例で示したが、前述の図23に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に電動機回路開閉器25を2個設けて、接触子がそれぞれの相に対して2直列になるように構成しても良い。
さらに、本発明の第20の実施の形態から第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置において、前述の図10に示した鉄道車両駆動制御装置と同様に、インバータ22と永久磁石電動機21と電流検出器24と電動機回路開閉器25を組み合わせて1単位の駆動群として構成して、この駆動群を複数有する構成とした場合においても、本発明の効果を同様に得ることができる。
尚、本発明の第1の実施の形態から第23の実施の形態の鉄道車両駆動制御装置では、それぞれの実施の形態を示した図におけるコンバータ12とインバータ22、第1駆動群インバータ2232、第2駆動群インバータ2242の内部回路について、それぞれ2レベル回路で構成した例で示したが、例えば図72に示す鉄道車両駆動制御装置のようにコンバータ12を中性点クランプ形の3レベル回路で構成した場合においても、本発明の効果を同様に得ることができる。また、インバータ22を中性点クランプ形の3レベル回路で構成しても、またコンバータ12とインバータ22の両方を中性点クランプ形の3レベル回路で構成しても良い。
つまり、本発明の実施の形態として示した図におけるコンバータ12は、交流電圧を任意の大きさの電圧の直流電圧に変換するコンバータ12回路であれば、その内部回路の構成によらず適用可能であり、本発明の効果を同様に得ることができる。
また同様に、本発明の実施の形態として示した図におけるインバータ22と第1駆動群インバータ2232と第2駆動群インバータ2242は、直流電圧を任意の大きさの電圧と任意の周波数の交流電圧に変換するインバータ22回路であれば、その内部回路の構成によらず適用可能であり、本発明の効果を同様に得ることができる。