JP4735081B2 - モータ制御方法、モータ制御装置および画像形成装置 - Google Patents

モータ制御方法、モータ制御装置および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、動特性が異なる複数の駆動条件のいずれかの下で、制御パラメータを調整しつつモータにより駆動対象を駆動するためのモータ制御方法と、その方法を用いたモータ制御装置、および、そのモータ制御装置を用いて記録ヘッドを搭載したキャリッジを駆動するよう構成された画像形成装置に関する。
従来より、制御器により操作量を生成して制御対象へ与えることにより制御対象を制御する構成の制御システムにおいて、制御器が操作量を生成する際に用いる制御パラメータを固定値とするのではなく、制御対象の駆動中に制御パラメータを時間と共に変化させていく制御方法が知られている。
具体的には、制御対象の駆動中、所定のタイミング毎に、その駆動量が目標軌道に一致するように(ずれが生じたときにそれを戻すように)制御パラメータを調整していくのである。この調整は、例えば、よく知られている適応制御法を用いて行うことができる。
制御パラメータが調整されることによって実際の駆動量が目標軌道に一致していく具体例を、図14及び図15に基づいて説明する。図14は、ある駆動対象(制御対象)を単一の方向に一定時間間隔で繰り返し駆動させたときの、目標速度軌道と実際の速度を示すグラフであり、図15(a)は、図14のグラフのうち0.4sec.〜約2.0sec.までの間を拡大したものであり、図15(b)は、図14のグラフのうち22.4sec.〜約24sec.までの間を拡大したものである。
図14及び図15(a)に示す如く、駆動開始後は制御パラメータの調整が開始されたばかりで、目標速度軌道と実際の速度とのずれが大きいが、時間経過と共に制御パラメータの調整が繰り返し行われることで、制御パラメータが駆動対象の実際の状態(動特性)に合わせて収束していき、図14及び図15(b)に示す通り、実際の速度が目標速度軌道とほぼ一致するようになる。この制御パラメータの収束値は、そのときの駆動対象の状態(動特性)を反映した値であるため、駆動対象の動特性が変化しない限り、駆動対象はその調整された制御パラメータによって目標速度軌道に一致するように駆動することとなる。
ところが、駆動対象によっては、駆動条件(駆動中の動特性)が複数存在する場合もあり、そのような駆動対象を制御する際に制御パラメータの調整を行ったとしても、制御パラメータは適切な値に収束しないという問題がある。このように駆動条件が複数存在する場合の一例として、記録媒体へインクを吐出するための記録ヘッドが搭載されたキャリッジが、二つのプーリの間に掛け渡された無端状のベルトに固定され、一方のプーリ(駆動側プーリ)をモータで回転させることによって、駆動対象であるキャリッジを二つのプーリの間でリニアに駆動させるキャリッジ駆動システムが挙げられる。
このキャリッジ駆動システムでは、例えば、モータをある所定の方向に回転(正転)させたときはキャリッジが駆動プーリ側から他方のプーリ(従動プーリ)側へ移動し、モータを逆転させたときはキャリッジが従動プーリ側から駆動プーリ側へ移動する。つまり、二つのプーリの間を往復駆動されることになる。
このように構成されたキャリッジ駆動システムにおいて、キャリッジが所定の目標速度軌道に追随して駆動されるようにモータを駆動制御する場合、制御器にて制御される制御対象の動特性(即ち、駆動対象たるキャリッジの動特性)は、キャリッジの駆動方向に応じて異なるものとなる。つまり、キャリッジの駆動源は同じ一つのモータであるため、そのモータを正転させてキャリッジを従動プーリ側へ駆動させる場合の駆動対象の動特性(ひいては制御対象の動特性)と、そのモータを逆転させてキャリッジを駆動プーリ側へ駆動させる場合の駆動対象の動特性とは、異なるのである。制御器からみれば、あたかもモータの回転方向によって別々の制御対象を制御(駆動対象を駆動)しているに等しい状態となる。
このように駆動方向によって動特性が異なるキャリッジの駆動を制御するにあたり、キャリッジの駆動中に制御パラメータの調整を行うようにすると、キャリッジが一方の駆動方向へ駆動している際には、その駆動方向に対応した動特性に合うように制御パラメータが調整され、収束していくのだが、キャリッジの駆動方向が変わると、動特性もその変化後の駆動方向に対応したものに変化するため、当然ながら制御パラメータの収束値も変化する。そのため、一方の方向への駆動中にある値へ収束しつつあった制御パラメータが、駆動方向の変化によって別の値へと収束していくようになり、さらに再び駆動方向が変化すると、また収束しようとする値が変化する。
つまり、駆動方向が変化する度に駆動対象の動特性も変化するため、制御パラメータはいつまでたっても異なる値へ向けての収束が交互に繰り返されるだけで一定の値には収束しない状態(常に変動した状態)となってしまうのである。そして、このように制御パラメータが駆動条件に応じた値に収束しないままだと、図16及び図17に示すように、キャリッジの駆動速度の変化はいつまでたっても目標速度軌道に一致しないこととなり、キャリッジの適切な駆動を妨げる要因、ひいては記録媒体への良好な画像形成を妨げる要因となりかねない。
図16は、駆動対象(キャリッジ)を双方向に一定時間間隔で繰り返し駆動させたときの、目標速度軌道と実際の速度を示すグラフであり、図17(a)は、図16のグラフのうち0.4sec.〜約2.0sec.までの間を拡大したものであり、図17(b)は、図16のグラフのうち22.4sec.〜約24sec.までの間を拡大したものである。図示の如く、駆動方向が変化する毎に、動特性も変化して制御パラメータの収束値も異なるため、制御パラメータは何れの駆動方向に対しても適切な値に調整されず、キャリッジの実際の速度は目標速度軌道に一致しない。
上述したキャリッジ駆動システムにおいては、キャリッジの駆動方向による動特性の違いのほかに、例えば、経年変化による動特性の変化も挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、プリンタの印字ヘッド送り機構等の搬送装置が経年変化によってその特性(伝達関数)が変化し、加速・減速したときに所定の箇所に停止しないようになることを防ぐために、制御パラメータの値を適応的に変更できるようにすることが記載されている。
この制御パラメータの適応的変更は、具体的には、次のように行う。即ち、搬送装置の駆動プーリと無端状ベルトとを分離できる機構を設け、その分離機構によって駆動プーリと無端状ベルトとを分離して、まず回転部を同定する。次に、この回転部の同定結果を利用して、駆動プーリに無端状ベルトを装着させた状態の搬送装置を同定する。その後、各同定結果を基にして、搬送装置に対し最適な入力波形(操作量)を求める。これを所定周期或いは随時行うことにより、経年変化によって搬送装置の特性が変化しても印字品質を良好な状態に保つことができるようになる。
特開平7−210206号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法で制御パラメータの値を適応的に変更する方法では、確かに、そのときの制御対象の特性(駆動対象の動特性)に対応した値に制御パラメータを調整(収束)することができるが、これをキャリッジの駆動方向に応じて制御パラメータの調整を行うために適用するのは困難であり、現実的ではない。
即ち、上記特許文献1の方法では、制御パラメータの値を適応的に変更するために、搬送装置を物理的に分離するための分離機構を設ける必要があり、また、回転部の同定や搬送装置の同定に際して特別な信号を用いる必要がある。制御パラメータの適応的変更のためにこのような大がかりな構成をとると、その分、装置の大型化やコストアップを招く。
しかも、まず分離機構により駆動プーリと無端状ベルトとを分離して回転部の同定を行い、その後再び元の状態に戻して搬送装置の同定を行い、その結果に基づいて制御パラメータを調整するようにしているため、調整に多大な時間がかかってしまう。ましてや、駆動中にその駆動対象の特性に応じた制御パラメータに調整していくことはできず、あくまでも、駆動対象の駆動とは別に制御パラメータの調整を行うことになる。
そのため、異なる複数の駆動条件を有する駆動対象をモータにより駆動するよう構成されたモータ制御装置に対しても、従来のように駆動対象の駆動中に制御パラメータの調整を常時(一定タイミング毎に)行いながら、各駆動条件毎に適切な値に調整できるようにすることが望まれていた。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、モータにより駆動される駆動対象の駆動条件(動特性)が複数存在するような場合でも、駆動対象の駆動中に、制御パラメータを各駆動条件に応じて適切な値に収束させ、いずれの駆動条件においても駆動対象が適切に駆動されるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、モータによって駆動される駆動側のプーリと従動側のプーリとの間に無端状のベルトが掛け渡された駆動機構における、各プーリの間で対向するように配置されたベルトの一方側に固定されることによって、モータの回転方向に応じて各プーリの間を往復駆動されるよう構成された駆動対象が、予め設定された目標軌道に追随して駆動されるように、操作量を演算し、その演算した操作量に基づいてモータを駆動制御するモータ制御方法であって、駆動対象が駆動を開始されてから停止するまでの間に操作量を生成する際に用いられる制御パラメータとして、駆動対象の駆動中、予め設定したタイミング毎にその値が調整される可調整パラメータを有する。この可調整パラメータの調整は、操作量に対する駆動対象の実際の駆動量と、その操作量に対して当該調整のタイミングでの可調整パラメータに基づいて演算される駆動量との差が小さくなるように行われる。
そして、可調整パラメータは、往復駆動する方向に応じて個々に備えられ、操作量の演算は、駆動対象の往復駆動する方向に対応したいずれかの可調整パラメータを用いて行われることを特徴とする。
このように、本発明のモータ制御方法では、モータを制御するにあたり、モータにより駆動される駆動対象に対応した(つまりモータを含む制御対象全体に対応した)可調整パラメータを1種類のみ設定するのではなく、往復駆動する方向毎に個々に(即ち、異なる複数の駆動条件の各々に対して個々に可調整パラメータを用意する。上述した従来のキャリッジ駆動システムの例でいうならば、例えば、キャリッジの駆動方向に応じて異なる2種類の可調整パラメータを備えることになる。
そして、往復駆動する方向毎(即ち、駆動条件毎に備えられた複数種類の可調整パラメータのうち、駆動対象の往復駆動する方向に対応したいずれか1種類の可調整パラメータを、操作量の演算の際に用いる。そのため、駆動中における可調整パラメータの調整も、操作量の演算に用いるいずれか1種類の可調整パラメータに対して行われることになる。
つまり、駆動対象が、往復駆動する方向のうちいずれか一方の方向に駆動される際には、その駆動方向に対応した可調整パラメータを調整しつつ、その可調整パラメータを用いて操作量の演算を行い、その操作量に基づいてモータを制御する。そして、駆動対象の駆動方向が変化した場合(例えば、上記キャリッジ駆動システムの例においてキャリッジの駆動方向が変化した場合)は、それまで使用・調整していた可調整パラメータに代えて、その変化後の駆動方向に対応した可調整パラメータを調整しつつ、その可調整パラメータを用いて操作量を演算するのである。
このようにして行われる請求項1記載のモータ制御方法によれば、往復駆動する方向毎(即ち、駆動条件毎に用意された各可調整パラメータが、それぞれ対応する駆動方向に(即ち、それぞれ対応する駆動条件の下で駆動対象が駆動される際に用いられ、その駆動方向への駆動中に調整されるため、駆動方向毎(駆動条件毎に各可調整パラメータの調整(収束)を確実に行うことができ、駆動対象の駆動(モータの制御)を適切に行うことができる。
即ち、上述した従来のキャリッジ駆動システムのように、複数のプーリ間に掛け渡された無端状のベルトを介して駆動対象が往復駆動される場合は、その駆動方向に応じて(モータの回転方向に応じて)駆動対象の動特性は異なる。
そこで、このように駆動方向に応じて動特性が異なる駆動機構に対して本発明のモータ制御方法を適用すれば、往復駆動の各方向それぞれに対応した可調整パラメータが用いられることになるため、往復駆動の双方向において、それぞれ対応する可調整パラメータがその動特性に応じて適切に調整され、駆動対象の良好な駆動が可能となる。
ここで、各駆動方向毎に用意された可調整パラメータは、必ずしも、対応する駆動方向へ駆動対象が駆動される際に常時調整を行う必要があるとは限らない。例えば、各駆動方向における動特性の変化がほとんどない場合(例えば経年変化により長期的にみれば動特性が変化する程度の場合)は、一旦、各可調整パラメータがそれぞれ適切な値に調整されれば、それ以後は、対応する駆動方向の動特性が変化しない限り、その調整された値を用いて適切にモータを制御し、駆動対象を駆動することができる。
また例えば、駆動対象の駆動中、異物によって正常な駆動が妨げられるなど、その駆動が通常通り行われないような不測の事態が発生したときにも可調整パラメータの調整が行われると、その不測の事態に適応する方向に可調整パラメータが調整されてしまう。
そこで、例えば請求項2に記載のように、操作量を演算する際に用いられる可調整パラメータについて調整を行うか否かを選択可能とするようにしてもよい。このようにすれば、例えば、定期的に調整を行うようにしたり、或いは、通常は調整を行わないようにする一方で任意のタイミングで必要に応じて調整を行えるようにするなど、状況に応じて可調整パラメータの調整を適切に行うことができるようになる。
次に、請求項3記載の発明は、モータによって駆動される駆動側のプーリと従動側のプーリとの間に無端状のベルトが掛け渡された駆動機構における、前記各プーリの間で対向するように配置された前記ベルトの一方側に固定されることによって、前記モータの回転方向に応じて前記各プーリの間を往復駆動されるよう構成された駆動対象をモータにより駆動させるために記モータを駆動制御するモータ制御装置であって、駆動対象が予め設定された目標軌道に追随して駆動されるように操作量を演算する操作量演算手段と、この操作量演算手段により演算された操作量に基づいてモータを駆動するモータ駆動手段と、モータにより駆動される駆動対象の実際の駆動量を検出する駆動量検出手段と、駆動対象が駆動を開始されてから停止するまでの間に操作量演算手段が操作量を演算する際に用いる制御パラメータのうち一又は複数の調整可能な可調整パラメータの値を、上記駆動対象の駆動中、予め設定したタイミング毎に調整するパラメータ調整手段と、を備える。
パラメータ調整手段による可調整パラメータの調整は、操作量演算手段が演算した操作量に対して駆動量検出手段により検出された駆動対象の実際の駆動量と、その操作量に対して当該調整タイミングでの可調整パラメータに基づいて演算される駆動量との差が小さくなるように行われる。
そして、可調整パラメータは、往復駆動する方向に応じて個々に備えられ、操作量演算手段は、駆動対象を駆動させる際の操作量の演算を、該駆動対象の往復駆動する方向に対応した可調整パラメータを用いて行うことを特徴とする。
上記のように構成されたモータ制御装置によれば、往復駆動する方向毎(即ち、駆動条件毎に用意された各可調整パラメータが、それぞれ対応する駆動方向への駆動中に操作量の演算に用いられると共にその駆動方向への駆動中にパラメータ調整手段により調整されるため、請求項1記載の発明と同様、往復駆動する方向毎(駆動条件毎に各可調整パラメータの調整(収束)を確実に行うことができ、駆動対象の駆動(モータの制御)を適切に行うことができる。
請求項3記載のモータ制御装置は、より具体的には、例えば請求項4に記載のように、往復駆動する方向毎の可調整パラメータが記憶された可調整パラメータ記憶手段と、駆動対象を駆動させる際、可調整パラメータ記憶手段に記憶された可調整パラメータのうち、駆動対象の往復駆動する方向に対応した可調整パラメータを選択する可調整パラメータ選択手段とを備え、パラメータ調整手段は、可調整パラメータ選択手段により選択された可調整パラメータに対して調整を行い、操作量演算手段は、可調整パラメータ選択手段により選択されることでパラメータ調整手段の調整対象となる可調整パラメータを用いて操作量を演算するものとして構成してもよい。
このように構成されたモータ制御装置によれば、可調整パラメータ記憶手段に記憶された複数種類の可調整パラメータのうち、往復駆動する方向に対応した何れか一つが選択され、パラメータ調整手段により調整されつつ操作量の演算に用いられることになるため、駆動方向に対応した可調整パラメータの使用と調整を確実に行うことができる。
上記のように可調整パラメータを可調整パラメータ記憶手段に記憶させておく構成のモータ制御装置においては、更に、例えば請求項5記載のように、その記憶された可調整パラメータを更新する更新手段を備えるようにしてもよい。この更新手段は、可調整パラメータ記憶手段に記憶された可調整パラメータが、可調整パラメータ選択手段により選択されてパラメータ調整手段により調整される場合に、予め設定した更新タイミングで、可調整パラメータ記憶手段に記憶されている当該可調整パラメータを、調整された最新の値に更新するものである。
つまり、駆動対象を駆動する度にある固定された可調整パラメータを初期値として調整を開始するのではなく、可調整パラメータ記憶手段に記憶された値を、更新タイミング毎にそのときの最新の可調整パラメータに更新しておくのである。
これにより、駆動対象の駆動毎に可調整パラメータ選択手段により選択される可調整パラメータは、前回の駆動時における最終の更新タイミングでの値であるため、駆動対象の動特性により適応した値となる。
従って、上記構成のモータ制御装置によれば、可調整パラメータの値を、駆動対象の最新の(或いは最新に近い)動特性に対応したより適切な値に維持しておくことができ、駆動の度にその適切な可調整パラメータを初期値としてその調整およびそれを用いた操作量の演算を行うことができるため、駆動対象をその駆動開始時からすぐに(或いは早い段階で)目標軌道に一致させて駆動させることが可能となる。
ここで、各駆動方向毎に用意された可調整パラメータは、請求項2の発明についての説明の中で述べた通り、必ずしも、対応する駆動方向へ駆動対象が駆動される際に常時調整を行う必要があるとは限らない。
そこで、例えば請求項6記載のように、パラメータ調整手段による調整を許可するか否かを設定する調整可否設定手段を備え、パラメータ調整手段は、この調整可否設定手段にて調整を許可しない旨の設定がなされた場合は調整を行わないようにしてもよい。
このように構成されたモータ制御装置によれば、請求項2記載の発明と同様、状況に応じて可調整パラメータの調整を適切に行うことができるようになる。
調整可否設定手段による調整を許可するか否かの設定は、例えば請求項7に記載のように、駆動対象が駆動される際に、パラメータ調整手段による調整を行わせるための条件として予め設定した調整許可条件が満たされているか否かを判定する調整条件判定手段を備え、この調整条件判定手段にて調整許可条件が満たされていると判定された場合に、パラメータ調整手段による調整を許可する旨の設定を行うようにするとよい。
つまり、可調整パラメータの調整を駆動対象の駆動中に常時行うのではなく、調整許可条件(例えば、一定の日数が経過する毎、或いは、周囲温度の変化量が所定の閾値を超えたとき、或いは、装置の電源投入時など)が成立した場合にのみ行うのである。
従って、上記構成のモータ制御装置によれば、調整が必要と思われる場合にのみ調整を行うようにすることができるため、無駄な調整動作を無くすことができる。また、上述した不測の事態等の発生によって意図しない方向に調整されて駆動状態が逆に悪化してしまうといったことを防ぐことも可能となる。
パラメータ調整手段による可調整パラメータの具体的調整方法としては、例えば、従来より公知のセルフチューニング法が挙げられるが、この方法は、パラメータの調整は可能であるものの、安定性の保証が困難である。
そこで、例えば請求項8に記載のように、操作量演算手段により演算された操作量と駆動量検出手段により検出された駆動量とに基づき、モデル規範型適応制御法を用いて、可調整パラメータの調整を行うようにするとよい。
モデル規範型適応制御法は、予め望ましい入出力特性をもたせた規範モデルを用意しておき,制御対象の出力が規範モデルの出力に追従するように制御パラメータを調整していく制御手法であり、適応制御の一つとしてよく知られた方法である。このモデル規範型適応制御法は、制御器の設計段階で安定性の保証が可能であるため、可調整パラメータを調整する方法として好ましい。
請求項記載の発明は、請求項3〜8いずれかに記載のモータ制御装置と、記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送させる搬送手段と、記録媒体が搬送手段によって搬送されつつ該記録媒体へインクを吐出して記録媒体上への画像形成を行う記録ヘッドと、駆動対象としての、記録ヘッドを搭載したキャリッジと、を備え、記録ヘッドは、キャリッジがモータによって記録媒体の搬送方向と直交する方向に往復駆動される際に、該往復駆動における双方向でインクの吐出を行うよう構成された画像形成装置である。
このように構成された画像形成装置によれば、キャリッジの駆動方向に応じて異なる可調整パラメータが用いられるため、往復駆動の双方向において対応する可調整パラメータが適切に調整され、キャリッジの良好な駆動が可能となる。そのため、記録媒体への画像記録結果を良好に保つことができる。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用された多機能装置(MFD:Multi FunctionDevice )1の斜視図であり、図2は、その側断面図である。
本実施形態の多機能装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、及び、ファクシミリ機能を備えるものであり、合成樹脂製のハウジング2の底部に、その前側の開口部2aから差込み可能な給紙カセット3を備える。
給紙カセット3は、例えばA4サイズやリーガルサイズ等にカットされた用紙Pを、複数枚収納可能な構成にされており、各用紙Pの短辺は、用紙搬送方向(副走査方向及びX軸方向に一致)と直交する方向(主走査方向及びY軸方向に一致)に平行配置される。
給紙カセット3の前端には、リーガルサイズ等の長い用紙Pの後端部を支持するための補助支持部材3aがX軸方向に移動可能に装着されている。図2には、補助支持部材3aがハウジング2から外部に突出された例を示すが、A4サイズ等の給紙カセット3内に収納可能な用紙Pを用いる場合には、収納部3bに補助支持部材3aを、給紙の妨げとならないように収納することができる。
また、給紙カセット3の後側には、用紙分離用の土手部5が配置されている。多機能装置1は、金属板製の箱型メインフレーム7の底板に、給紙部9を構成する給紙アーム9aの基端部が上下方向に回動可能に装着された構成にされており、この給紙アーム9aの下端に設けられた給紙ローラ9bと、土手部5とにより、給紙カセット3に積層(堆積)された用紙Pを一枚ずつ分離して搬送する。分離された用紙Pは、U字状の搬送路を構成するUターンパス11を介して給紙カセット3より上側(高い位置)に設けられた画像形成部13に搬送される。
画像形成部13は、インクジェット式の記録ヘッド15が搭載された主走査方向に往復動可能なキャリッジ17等からなり、キャリッジ17は、後述するCPU51により制御されて、主走査方向に記録ヘッド15を走査する。記録ヘッド15は、走査時に、インクを吐出して、自身下で停止配置されている用紙Pに、画像を形成する。この際、用紙Pは、搬送路を構成するプラテン19にて下方から支持される。即ち、記録ヘッド15は、プラテン19の真上に位置し、記録ヘッド15による用紙Pへの画像形成は、プラテン19上で行われる。
画像形成部13により画像形成された用紙Pが排出される排紙部21は、給紙カセット3の上側に形成されており、排紙部21に連通する排紙口21aは、ハウジング2の前面の開口部2aと共通に開口されている。
また、ハウジング2の上部には、原稿読取の際に使用される画像読取装置23が配置されている。この画像読取装置23は、その底壁23aが上カバー体25の上方からほぼ隙間なく重畳されるように配置され、図示しない枢軸部を介して、ハウジング2の一側端に対し上下開閉回動可能にされている。また、画像読取装置23の上面を覆う原稿カバー体27の後端は、画像読取装置23の後端に対して枢軸23bを中心に上下回動可能に装着されている。
その他、この画像読取装置23の前方には、各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部29が設けられている。画像読取装置23の上面には、原稿カバー体27を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板31が設けられ、その下側に原稿読取用のイメージスキャナ装置(CIS:Contact Image Sensor) 33が、主走査方向(Y軸方向)に延びるガイドシャフト35に沿って往復移動可能に設けられている。
また、画像読取装置23により被覆されるハウジング2の前部には、上方に向かって開放された図示しないインク貯蔵部が設けられている。このインク貯蔵部には、フルカラー記録のための4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを各々収容したインクカートリッジが、上方から着脱可能に装着される。尚、本実施形態の多機能装置1において、インクカートリッジに収容されたインクは、各インクカートリッジと記録ヘッド15とを結ぶ複数本のインク供給管37を介して記録ヘッド15に供給される。
続いて、多機能装置1が備える画像形成部13の構成についてより具体的に説明する。図3は、多機能装置1の画像形成部13の構成を表す概略構成図である。図3に示した画像形成部13は、図1,2で説明した多機能装置1における画像形成部13を、キャリッジ17の駆動の観点から模式的に示したものである。そのため、図1,2で説明した構成要素と同じものについては、同符号を付す。
図3に示すように、当該多機能装置1の画像形成部13においては、ガイドバー41が、図示しない搬送ローラ等により搬送されてくる用紙Pの幅方向に設置され、このガイドバー41に、記録ヘッド15を搭載したキャリッジ17が挿通されている。
キャリッジ17は、ガイドバー41に沿って設けられた無端ベルト42に連結され、その無端ベルト42は、ガイドバー41の一端側に設置されたキャリッジモータ(以下「CRモータ」という)10の駆動プーリ43と、ガイドバー41の他端側に設置された従動プーリ44との間に掛け止められている。
つまり、キャリッジ17は、無端ベルト42を介して伝達されるキャリッジモータ10の駆動力により、ガイドバー41に沿って用紙Pの幅方向に往復駆動されるように構成されている。
また、ガイドバー41の近傍には、所定の間隔でエンコーダスリットが形成されたリニアスケール46が、ガイドバー41に沿って(即ちキャリッジ17の移動経路に沿って)設置されている。
また、キャリッジ17におけるリニアスケール46と対向する位置には、リニアスケール46を挟んで図示しない発光部および受光部が配置された検出部47が備えられており、上述のリニアスケール46と共にリニアエンコーダ(キャリッジ送り用エンコーダ)48を構成している。このリニアエンコーダ48により、キャリッジ17の移動量が検出される。
検出部47は、図5に示すように、キャリッジ17の移動に応じて、互いに一定周期(本実施形態においては、1/4周期))ズレた2種類のパルス信号(encA,encB)を出力する。そして、A,B各相のエンコーダ信号encA,encBは、キャリッジ17の移動方向がホームポジション(図1の右端側の待機領域;駆動プーリ43側)から従動プーリ44側に向かう方向(A方向)である場合は、encAがencBに対して位相が一定周期進み、従動プーリ44側からホームポジションに向かう方向(B方向)である場合は、encAがencBに対して位相が一定周期遅れるようにされている。
なお、間隙調整領域は、図示しない間隙調整装置を動作させることが可能な領域であり、この間隙調整装置を動作させることにより、記録ヘッド15の各ノズルと用紙Pとの間隙(ギャップ)が調整される。
そして、キャリッジ17の各種駆動制御は、多機能装置1に内蔵されたキャリッジ駆動制御装置により行われる。このキャリッジ駆動制御装置は、図4に示すように、多機能装置1を統括制御するCPU51からの指令を受けてキャリッジ17のアクチュエータであるCRモータ10を駆動するものであり、CRモータ10の回転速度や回転方向等を制御するためのPWM信号を生成するASIC(Application Specific Integrated Circuit)52と、このASIC52にて生成されたPWM信号に基づいてCRモータ10を駆動させる駆動回路53と、CRモータ10の制御においてその操作量を演算する際に用いられる制御パラメータが格納されたEEPROM54とにより構成されている。
つまり、図4に示したキャリッジ駆動装置は、CRモータ10に対する指令を駆動回路53へ入力することによってCRモータ10の回転駆動を制御し、ひいては、各プーリ43,44及び無端ベルト42からなる駆動機構を介したキャリッジ17の駆動(A方向及びB方向の往復駆動)を制御するものである。
なお、以下の説明では、CRモータ10が一方の方向に回転(正転)したときにキャリッジ17がA方向に駆動され、CRモータ10が他方の方向に回転(逆転)したときにキャリッジ17がB方向に駆動されるものとする。また、以下の説明では、画像形成処理時にCRモータ10の回転駆動を制御することによってキャリッジ17を往復駆動させる際の制御に絞って説明する。そのため、図4では、キャリッジ17の駆動時におけるCRモータ10の制御に必要な構成要素のみを示す。
駆動回路53は、4つのスイッチング素子(例えば、FET:電界効果型トランジスタなどからなる素子)と、各スイッチング素子に並列接続されたフライホイールダイオードとで構成された周知のHブリッジ回路からなり、これらスイッチング素子を外部からの駆動信号(PWM信号)を受けてON/OFFすることにより、CRモータ10への通電を制御する回路である。
一方、ASIC52の内部には、CPU51の動作によって、CRモータ10の駆動制御に必要な各種パラメータが格納される動作モード設定レジスタ群55が備えられている。
この動作モード設定レジスタ群55には、CRモータ10を起動するための起動設定レジスタ56、CRモータ10の回転方向を設定するための回転方向設定レジスタ57、CRモータ10の駆動制御に用いるPWM信号のデューティ比(即ち、制御器75が生成する操作量u)の上限及び下限を設定するための操作量範囲設定レジスタ58、キャリッジ17の目標停止位置を設定するための目標停止位置設定レジスタ59、CRモータ10を制御するための操作量uを制御器75が演算する演算タイミングを設定するための演算タイミング設定レジスタ60、制御器75にてキャリッジ17の目標速度軌道を生成する際に用いられる関数のパラメータを設定するための目標速度軌道生成用パラメータ設定レジスタ61、キャリッジ17の目標駆動速度を設定するための目標速度設定レジスタ62、CRモータ10の制御に必要な制御パラメータであって、CRモータ10の制御中(即ちキャリッジ17の駆動中)に一定タイミングでその値が調整される第1調整パラメータαa及び第2調整パラメータαbをそれぞれ設定するための第1調整パラメータ設定レジスタ64および第2調整パラメータ設定レジスタ65、これら各調整パラメータαa,αbの調整を許可するか否かを設定するための調整許可設定レジスタ63、等が設けられている。これら各設定レジスタには、CPU51側から上記各設定値が書き込まれる。
なお、CRモータ10の制御に用いられる制御パラメータは、上述した各調整パラメータαa,αb以外にもあるが、ここでは省略する。そして、以下の説明においても、制御パラメータについては上記各調整パラメータαa,αbに絞って説明する。
本実施形態では、制御対象に対して調整パラメータを1種類のみ備えるのではなく、制御対象の特性に応じて個々に調整パラメータを備えている。本実施形態の制御対象(CRモータ10やキャリッジ17等)のうち、CRモータ10による駆動対象であるキャリッジ17は、駆動方向によってその動特性が異なる。
即ち、CRモータ10を正転させてキャリッジ17をA方向に駆動させる際の駆動条件における動特性と、CRモータ10を逆転させてキャリッジ17をB方向に駆動させる際の駆動条件における動特性とは、異なるものとなる。つまり、CRモータ10によって駆動される駆動対象は同じ一つのキャリッジ17であるにもかかわらず、制御器側からみれば、CRモータ10の回転方向によって異なる駆動対象を駆動しているのと同等の状態となるのである。
そこで、本実施形態では、動特性が異なる上記二種類の駆動条件に応じて個々に調整パラメータを備えることとし、キャリッジ17をA方向に駆動(即ちCRモータ10の正転を制御)する際の調整パラメータとして第1調整パラメータαaを、キャリッジ17をB方向に駆動(即ちCRモータ10の逆転を制御)する際の調整パラメータとして第2調整パラメータαbと、の二種類の調整パラメータを、それぞれ備えている。
なお、第1調整パラメータαaは、詳細には、αa1、αa2、αa3、及びαa4の4つのパラメータにて構成され、第2調整パラメータαbは、詳細には、αb1、αb2、αb3、及びαb4の4つのパラメータにて構成されている。そして、これら各調整パラメータαa(αa1、αa2、αa3、αa4)及びαb(αb1、αb2、αb3、αb4)は、いずれも、本発明の可調整パラメータに相当するものである。
次に、ASIC52には、上述した動作モード設定レジスタ群55に加えて、リニアエンコーダ48からのエンコーダ信号encA,encBよりも十分に周期が短いクロック信号を生成してASIC52内部の各部に供給するクロック生成部66と、リニアエンコーダ48からのエンコーダ信号encA,encBに基づきキャリッジ17の位置や移動速度を検出するためのエンコーダエッジ検出部67、位置カウンタ68、周期カウンタ69、及び速度演算部70と、これら各部による検出結果と動作モード設定レジスタ群55に設定されたパラメータとに基づきCRモータ10の操作量u(PWMデューティ比)を演算するための制御部71と、制御部71にて演算された操作量に基づいてCRモータ10をデューティ駆動するためのPWM信号を生成し、駆動回路53に出力する駆動用信号生成部72と、ASIC52内で生成された各種信号を処理してCPU51に出力する各種信号処理部79とが備えられている。
ここで、エンコーダエッジ検出部67は、図5に示したエンコーダ信号encA,encBを取り込み、エンコーダA相信号encAの各周期の開始/終了を表すエッジ(本実施形態ではencBがローレベルの時におけるencAのエッジ)及びCRモータ10の回転方向を検出するものであり、エンコーダエッジ検出信号(enc_trg)を、位置カウンタ68及び周期カウンタ69に出力する。
また、位置カウンタ68は、エンコーダエッジ検出部67が検出したCRモータ10の回転方向(つまりキャリッジ17の移動方向)に応じて、エッジ検出信号(enc_trg)にてカウント値(enc_count)をカウントアップまたはカウントダウンすることにより、キャリッジ17が原点(ホームポジション)から何番目のスリットに位置しているのかを検出するものであり、そのカウント値(enc_count)は制御部71及び各種信号処理部79に出力される。
また、周期カウンタ69は、エンコーダエッジ検出部67からエッジ検出信号(enc_trg)が入力される度に初期化されて、エッジ検出信号入力後の経過時間を、クロック信号CKをカウントすることにより計時するものであり、その計時結果を表すエッジ間隔時間(enc_period)は、速度演算部70及び各種信号処理部79に出力される。
そして、速度演算部70では、エッジ検出信号(enc_trg)に同期して、リニアエンコーダ48の物理解像度(reso)と、エンコーダA相信号encAの前回の一周期内に周期カウンタ69がカウント(計測)したエッジ間隔時間(enc_period)の保持値Cn-1 とに基づき、キャリッジ17の駆動速度(検出速度:enc_velocity(=reso/enc_period))が算出される。
制御部71は、第1調整パラメータ設定レジスタ64に設定された第1調整パラメータαa、又は、第2調整パラメータ設定レジスタ65に設定された第2調整パラメータαbのうち、キャリッジ17の駆動方向(CRモータ10の回転方向)に応じたいずれか一方を選択して制御器75へ入力すると共に、キャリッジ17の駆動中、一定タイミング毎(例えば数百μsec.毎)にその選択したいずれかの調整パラメータを、後述するモデル規範型適応制御法によって調整する制御パラメータ調整部77と、この制御パラメータ調整部77から入力された調整パラメータおよび他の各種パラメータに基づいてCRモータ10制御用の操作量uを生成する制御器75とを備える。
制御パラメータ77は、回転方向設定レジスタ57に設定されたCRモータ10の回転方向に応じて、第1調整パラメータαa又は第2調整パラメータαbのいずれか一方を選択し入力する。そして、選択した調整パラメータを上記タイミング毎に調整すると共に、その調整毎に、調整後の新たな調整パラメータを制御器75へ入力する。
但し、選択した調整パラメータの調整を常に行うわけではなく、調整許可設定レジスタ63において調整を許可する旨の設定がなされていた場合に調整を行い、調整を許可しない旨の設定がなされていた場合は、調整を行わない。そのため、調整を許可しない旨の設定がなされていた場合、制御パラメータ調整部77は単に、回転方向に応じたいずれか一方の調整パラメータを選択して制御器75へ入力するだけである。
なお、調整を許可するか否かの判断は、所定の調整条件を満たしているか否かを元に行う。具体的には、例えば、当該多機能装置1を使用するユーザによる操作パネル部29の操作(入力)によって許可するか否かを設定できるようにすると共に、そのユーザによる設定内容に応じて、CPU51が調整許可設定レジスタ63を設定するようにしてもよい。また例えば、一定の日数が経過する毎に調整許可を行うようにしたり、或いは、当該多機能装置1の電源投入時、或いは、その電源投入時の周囲温度からの温度変化量が所定の閾値を超えたときなどに、調整を許可するようにしてもよい。つまり本実施形態では、上記のように調整条件が満たされているときは調整を行うが、それ以外では、調整は行わないようにしている。
制御パラメータ77における調整は、具体的には、既述のモデル規範型適応制御法により、操作量uに対するキャリッジ17の実際の駆動速度と、その操作量uに対して当該調整のタイミングでの調整パラメータ値に基づいて演算される駆動速度との差が小さくなるように行われるのであるが、その詳細は後述する。
制御器75は、キャリッジ17が、目標速度設定レジスタ62に設定された目標駆動速度及び目標速度軌道生成用パラメータ設定レジスタ61に設定されたパラメータに基づいて得られる目標速度軌道に追随して駆動されるように、CRモータ10側へ入力する操作量uを生成(演算)する。
この制御器75には、既述の通り、制御パラメータ調整部77において調整パラメータが調整される毎にその調整後の新たな調整パラメータが入力される。そのため、制御器75では、最初に制御パラメータ調整部77から入力された調整パラメータをそのまま継続して用いるのではなく、調整される毎に入力される新たな調整パラメータを用いて操作量uが生成されることとなる。
但し、調整許可設定レジスタ63において調整を許可しない旨の設定がなされている場合は、制御パラメータ調整部77における調整パラメータの調整は行われないため、その場合は、制御開始時に最初に入力された調整パラメータに基づいて操作量uを演算することとなる。
操作量uの演算は、CPU51から起動設定レジスタ56にCRモータ10の駆動制御を開始する起動指令が設定されてから、目標停止位置設定レジスタ59に設定される目標停止位置へのキャリッジ17の停止が判定されるまでの間に行われる。
なお、各調整パラメータ設定レジスタ64,65にそれぞれ設定される各調整パラメータαa,αbは、不揮発性メモリであるEEPROM54に記憶されている。そして、キャリッジ17の駆動開始時に、CPU51がEEPROM54からこれら各調整パラメータαa,αbを読み取って上記各レジスタ64,65に書き込む。
一方、用紙Pへの画像形成を行う旨の指令(1ジョブ分の画像形成指令)が当該多機能装置1自身にて設定或いは外部のコンピュータシステム等から入力さることにより、キャリッジ17の駆動(CRモータ10の制御)が開始されると、キャリッジ17の駆動中、上述したように一定タイミング毎に調整パラメータは調整されていく。
本実施形態では、キャリッジ17が主走査方向への片方向駆動がなされる毎に、調整後の最新の調整パラメータを、各調整パラメータ設定レジスタ64,65のうち対応するいずれかに戻して書き換える。つまり、キャリッジ17がA方向に駆動されて停止したとき、そのときの最新の第1調整パラメータαaを第1調整パラメータ設定レジスタ64に書き込み、その後キャリッジ17がB方向へ駆動されて再び停止したときは、そのときの最新の第2調整パラメータαbを第2調整パラメータ設定レジスタ65に書き込むのである。これを、キャリッジ17が往復駆動する毎に繰り返し行い、1ジョブ分の画像形成が終了したとき(本実施形態の更新タイミングに相当)、最終的に、そのときの最新の各調整パラメータαa,αbの値をEEPROM54に書き込むことで、EEPROM54内の各調整パラメータαa,αbの値を更新する。
このように構成された本実施形態のキャリッジ駆動制御装置(図4)によって、画像形成部13におけるCRモータ10を制御し、ひいてはキャリッジ17の駆動を制御したときの、キャリッジ17の実際の速度(enc_velocity)と目標速度軌道を、図6及び図7に示す。
図6は、キャリッジ17を繰り返し往復駆動させたときの、目標速度軌道と実際の速度を示すグラフであり、図7(a)は、図6のグラフのうち0.4sec.〜約2.0sec.までの間を拡大したものであり、図7(b)は、図6のグラフのうち22.4sec.〜約24sec.までの間を拡大したものである。
図6と従来の図16との比較、より詳しくは図7(b)と従来の図17(b)との比較から明らかなように、本実施形態では、キャリッジ17の駆動開始後、実速度の軌跡が目標速度軌道に徐々に一致していく。
このような結果が得られるのは、キャリッジ17の駆動方向に応じて別々に調整パラメータを用意し、A方向に駆動される際はそれに対応した第1調整パラメータαaを、B方向に駆動される際はそれに対応した第2調整パラメータαbを、それぞれ用いて操作量uを演算して、CRモータ10を制御しているからである。
つまり、A方向駆動時には、その駆動条件(動特性)に応じて第1調整パラメータαaが調整され、適切な値に収束していく。また、B方向駆動時には、その駆動条件(動特性)に応じて第2調整パラメータαbが調整され、適切な値に収束していく。このように、各調整パラメータが駆動方向毎にそれぞれ適切に調整されて収束していくことで、図6,7に示すように、往復いずれの方向においてもキャリッジ17の実速度が目標速度軌道に一致していくのである。
次に、制御パラメータ調整部77において実行される各調整パラメータαa、αbの調整について、より詳細に説明する。
制御対象をCRモータ10とその負荷(キャリッジ17等)からなる2次のシステムと考えたとき、当該システムの入力(操作量u(t))と出力(制御量y(t))の関係は、式(1)の伝達関数P(s)を用いて式(2)のように表現できる。
Figure 0004735081
Figure 0004735081
一方、目標速度軌道生成モデルは、制御対象と同様、2階微分可能な2次系を考える。従って、入力r(t)と出力y(t)の関係は、式(3)の伝達関数P(s)を用いて式(4)のように表現できる。なお、r(t)は目標収束速度である。
Figure 0004735081
Figure 0004735081
制御対象の逆モデルを用いて操作量を求めるには、y(t)よりu(t)を求める必要があるが、P(s)の逆数はそのまま用いることができない。そのため、設計定数λを導入して式を変形する。即ち、次式(5)を考えたとき、Q(s),R(s)は一意に決定される。
Figure 0004735081
そこで、この式(5)の両辺にY(s)を乗じ、さらに上記式(2)の関係を適用すると、式(5)は次式(6)のように表せる。
Figure 0004735081
なお、sは、周知のラプラス演算子(微分演算子)である。
よって、上記式(6)はパラメータαを用いて次式(7)のように表せる。
Figure 0004735081
なお、Tは、周知の如く、転置を示す記号である。
そして、y(t)をy(t)に漸近させるために、このパラメータαをオンラインで調整する。本実施形態では、既述の通り、キャリッジ17の駆動方向に応じて2組のパラメータαを備えている。即ち、キャリッジ17がA方向に駆動される際に用いるパラメータが第1調整パラメータαa(αa1、αa2、αa3、αa4)であり、キャリッジ17がB方向に駆動される際に用いるパラメータが第2調整パラメータαb(αb1、αb2、αb3、αb4)である。
ここで、パラメータαが既知であるとすると、y(t)がy(t)に漸近するような操作量、即ち、制御対象を目標速度軌道であるy(t)と同等に動作させるための操作量u(t)は、上記式(7)のy(t)をy(t)で置き換えた次式(8)を満足するように決めればよい。
Figure 0004735081
今、ξ(t)=u(t)であるから、操作量u(t)は次式(9)のように表せる。
Figure 0004735081
但し、実際にはパラメータαは未知の制御対象のパラメータを表している。そのため、上記式(9)のパラメータαを可変パラメータαハット(t)で置き換えることにより、操作量u(t)は次式(10)のように表せる。
Figure 0004735081
この可変パラメータαハット(t)が、キャリッジ17の駆動中に調整される調整パラメータα(第1調整パラメータαa及び第2調整パラメータαb)である。この可変パラメータαハット(t)(即ち、パラメータαの推定値)を実際のパラメータαに収束させれば、上記式(10)のu(t)を制御対象に与えることで目標速度軌道への追従が実現できる。
次に、可変パラメータαハット(t)(調整パラメータα)の調整則、即ち、αの推定値を実際のパラメータαへ収束させる具体的方法について説明する。
パラメータαを真値に近づける方法は、誤差方程式の立て方・評価関数の立て方によって種々の選択肢があるが、その一つとして、誤差方程式を代数方程式で表現し、パラメータαより推定される推定モデルの出力(yハット(t))と実際の出力(y(t))の誤差が小さくなるように評価関数を設定して、その評価値が小さくなるようにパラメータαを調整していく方法がある。本実施形態でもその方法を用いる。
上記式(7)をy(t)で表現し直すと、実際の制御量y(t)は、次式(11)のように表せる。
Figure 0004735081
これにより、未知のパラメータαハット(t)を持つ推定モデルの制御量yハット(t)は、次式(12)で表される。
Figure 0004735081
そして、制御対象の実出力y(t)と推定出力yハット(t)を一致させれば、パラメータαハット(t)が真値αに一致、若しくは制御対象のダイナミクスが一致したと考えることができる。このとき、上記式(10)で示した操作量u(t)により制御量を目標軌道に収束させることが可能となる。
y(t)とyハット(t)の差である誤差信号をε(t)と定義すると、この誤差信号ε(t)は次式(13)のように表せる。
Figure 0004735081
なお、ここでは信号ζ(t)の有界性が保証できないため、適当な正規化信号を用いてε(t)を正規化する。具体的には、正規化信号N(t)として式(14)を用い、上記式(13)のε(t)を正規化することで、正規化された誤差信号であるε(t)が式(15)のように得られる。
Figure 0004735081
Figure 0004735081
なお、上記式(14)中のρは、N(t)がゼロとならない微小な値を任意に設定する。
この誤差信号ε(t)を小さくする、即ち、y(t)とyハット(t)の誤差を小さくする方向にパラメータαを調整していくのであり、この調整は制御パラメータ調整部77にて行われる。
パラメータ調整則を導くために、正規化された誤差信号ε(t)に対し、一例として次式(16)の評価関数を与える。
Figure 0004735081
この評価関数は、αハットに関して凸であり、αハットのある値に対して最小値をとる。このような評価関数を最小化するαハットの値を探索する方法として、本実施形態では、従来より公知の勾配法を適用する。勾配法のアルゴリズムは次式(17)で表される。
Figure 0004735081
なお、上記式(17)中のベクトルΓは設計定数であり、事前実験等により適切な値を予め決定しておく。
そして、上記式(17)の右辺の偏微分項は、次式(18)のように表される。
Figure 0004735081
よって、次式(19)の関係が得られる。
Figure 0004735081
これにより、上記式(19)の左辺を積分した値をαハットとして、制御器側に代入することで、パラメータαは、誤差(誤差信号ε(t))を小さくする方向に調整される。
なお、上記式(15)で示した誤差信号ε(t)は、次式(20)のように表すこともできる。
Figure 0004735081
従って、上記式(20)からも明らかなように、制御パラメータ調整部77における第1調整パラメータαaおよび第2調整パラメータαbの調整に必要な入力パラメータは、制御器75が生成し出力する操作量u(t)と、その操作量u(t)に対する実際の制御量y(t)、即ちリニアエンコーダ48の検出結果に基づいて速度演算部70にて演算されるキャリッジ17の実速度(enc_velocity)である。
上記のように、操作量u(t)とそれに対する実際の制御量y(t)(本発明の駆動量に相当)とに基づいて制御パラメータの調整を行いつつ、制御対象の制御を行う制御方法は、適応制御法の一つである「モデル規範型適応制御」としてよく知られた制御方法である。つまり、本実施形態では、モデル規範型適応制御によって制御対象(CRモータ10とキャリッジ17)を制御する上で、駆動中に調整される各調整パラメータαa,αbを、動特性が異なる二種類の駆動条件(A方向駆動及びB方向駆動)毎に個々に有し、実際の駆動時にはその駆動条件に対応したいずれかの調整パラメータを用いて駆動制御すると共に、その駆動中にその調整パラメータの調整を行うのである。
次に、CPU51により実行される主制御処理について説明する。当該多機能装置1では、CPU51にて、給紙処理、画像形成処理、排紙処理等の主制御が行われる。図8は、CPU51が実行する主制御処理を表すフローチャートである。この主制御処理は、画像形成指示(例えば1ジョブ分の画像形成指令)が、多機能装置1に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)や操作パネル部29等からCPU51に入力されると、CPU51にて実行される。
主制御処理が開始されると、ASIC52に対し、給紙動作に係るレジスタ設定等が、CPU51により実行される(S100)。これにより、ASIC52では、給紙動作に係る処理が実行されて、用紙Pが所定のレジスト位置まで搬送される(給紙処理)。この給紙処理が終了すると、次に画像形成処理が実行される(S120〜S150)。
画像形成処理が開始されると、CPU51により初期搬送処理が実行されて、ASIC52の制御に基づき、用紙Pの描画エリアの始点が所定の位置(画像形成位置)に搬送される(S120)。この処理が終了すると、CPU51により1パス分の画像形成処理が実行されて、キャリッジ17が主走査方向に往復駆動され、その際に記録ヘッド15からインクが噴射されて、用紙Pに1パス分の画像が形成される(S130)。
この処理が終了すると、用紙Pの終点までの画像形成が終了したか否かがCPU51により判断され(S140)、終了してないと判断されると(S140;NO)、CPU51により搬送処理が実行されて(S150)、次パスの領域が、画像形成が行われる所定の領域まで搬送される。この後に、S130にて1パス分の画像形成処理が実行される。
一方、S140にて用紙Pの終点までの画像形成が終了したと判断されると(S140;YES)、CPU51により排紙処理が実行されて、ASIC52の制御に基づき、用紙Pが排紙部21に排紙される(S160)。
次に、上述した図8の主制御処理におけるS130の1パス分の画像形成処理において、この処理の一つとしてキャリッジ17を駆動するために実行されるキャリッジ駆動設定処理について、図9に基づいて説明する。図9は、CPU51にて実行されるキャリッジ駆動設定処理を表すフローチャートである。
このキャリッジ駆動設定処理が開始されると、まず、ASIC52の動作モード設定レジスタ群55を構成する各レジスタの初期設定等がなされる(S210)。この初期設定においては、回転方向設定レジスタ57への回転方向の設定や、EEPROM54に記憶されている第1調整パラメータαa及び第2調整パラメータαbの設定、更には調整許可設定レジスタ63に対する調整可否の設定などが行われる。
この処理が終了すると、CPU51の動作により、CPU51からASIC52に対して停止割込み許可が発行される(S220)。これにより、ASIC52は、停止割り込み信号を出力可能な状態になる。
尚、停止割込み許可を受けたASIC52は、キャリッジ17が、目標停止位置設定レジスタ59に設定された目標停止位置に用紙Pが停止する毎に、その状態を各種信号処理部79で検知して、停止割り込み信号をCPU51に入力する。なお、図示はしないものの、S150の搬送制御処理においても、用紙Pの搬送における目標停止位置に用紙Pが停止する毎に、その状態が各種信号処理部79で検知され、停止割り込み信号がCPU51に入力される。
S220での処理が終了すると、CPU51によりASIC52に対して起動設定がなされる(S230)。即ち、S230では、CPU51による起動設定レジスタ56の設定を契機として、ASIC52側で、制御器75による操作量uの演算等が開始され、CRモータ10の駆動、延いてはキャリッジ17の往復駆動が開始される。尚、起動設定後に開始されるCRモータ10の制御(キャリッジ17の往復駆動;図10参照)は、基本的にASIC52により行われ、CPU51は、S240にて停止割込み信号の待機を行う。
そして、ASIC52から停止割込み信号が出力されると(S240;YES)、CPU51により停止割込みフラグがクリアされて、以後停止割込み信号が入ってこないよう、停止割込みについての割込みマスク処理が実行される(S250)。そして、1ジョブ分の画像形成が全て終了したか否かが判断され(S260)、終了した場合は、ASIC52の各調整パラメータ設定レジスタ64,65から各調整パラメータαa,αbを読み込み(S270)、EEPROM54に記憶されている元の各調整パラメータ値を、それぞれその読み込んだ新たな値に更新する(S280)。
図10は、CPU51の起動設定(図9のS230)によってASIC52により実行されるキャリッジ駆動制御処理を示すフローチャートである。このキャリッジ駆動制御処理は、上述したようにハードウェアの動作としてなされるものであるが、ここでは、ハードウェアの動作をフローチャートに置き換えて説明する。
この処理が開始されると、まず、キャリッジ17を駆動させるために必要な各種設定(パラメータ値の設定など)が行われる(S310)。そして、続くS320にて、回転方向設定レジスタ57の設定値に基づいてCRモータ10の駆動方向(回転方向)が判断され、キャリッジ17をA方向に駆動させるべくCRモータ10を正転(CW)させる場合は第1調整パラメータαaが選択され(S330)、キャリッジ17をB方向に駆動させるべくCRモータ10を逆転(CCW)させる場合は第2調整パラメータαbが選択される(S340)。このS320の判断とS330及びS340の処理は、いずれも、制御パラメータ調整部77により行われるものである。
そして、S350にて停止位置に到達したか否かの判断がなされ、到達した場合は(S350;YES)、S360にて所定の停止処理が行われるが、到達していなければ、キャリッジ17の実際の駆動制御が開始される(S370)。このキャリッジ17の駆動中は、既述の通り、調整許可設定レジスタ63にて調整を許可する旨の設定がなされていることを条件として、制御パラメータ調整部77により選択されたいずれかの調整パラメータが、当該制御パラメータ調整部77にて一定タイミング毎に調整される。その調整の具体的方法は、式(1)〜(20)を用いて説明した通りである。
キャリッジ17の一方の方向への駆動が停止すると、調整パラメータの調整が許可されているか否かが判断される(S380)。このとき、調整許可設定レジスタ63に調整を許可する旨の設定がなされていなければ、一旦このキャリッジ駆動制御処理が終了され、引き続き他方の方向への駆動が開始されることになるが、調整を許可する旨の設定がなされている場合は、その停止前の駆動方向に基づいて(S390)、第1調整パラメータαa又は第2調整パラメータαbのうち駆動停止前までに選択されて調整された最新の調整パラメータを、対応するいずれかの調整パラメータ設定レジスタへ保存する(S400,S410)。
以上説明した本実施形態の多機能装置1によれば、キャリッジ17の駆動方向毎(即ちCRモータ10の駆動方向毎)に用意された各調整パラメータαa,αbが、それぞれ対応する駆動方向にキャリッジ17が駆動される際に用いられる。そして、その駆動中は、一定のタイミング毎に、その使用されている調整パラメータが調整される。そのため、駆動方向毎に各調整パラメータαa,αbの調整(収束)が確実に行われ、キャリッジ17の往復駆動を適切に行うことができ、延いては用紙Pへの画像形成結果を良好に保つことができる。
また、EEPROM54に記憶されている各調整パラメータαa,αbが、所定の更新タイミング(上記例では1ジョブ画像形成終了時)で、その時点での最新の値に更新される。そのため、画像形成を開始する度に、前ジョブの画像形成時において更新された調整パラメータ値が初期値となって、制御器75による操作量uの演算が開始されるため、駆動開始後すぐに(或いは迅速に)、キャリッジ17の駆動速度を目標速度軌道に一致させることが可能となる。
更に、常時調整を行うのではなく、所定の調整条件を満たした場合に調整を行うようにしている。そのため、調整が必要と思われる場合にのみ調整を行うようにすることができ、無駄な調整動作を無くすことができる。また、例えばキャリッジ17の駆動機構に軽微なゴミが入るなどして動特性が変化した場合にもその動特性に応じて調整されてしまうといった意図しない方向への調整によって、キャリッジ17の駆動状態が逆に悪化してしまうことを防ぐことも可能となる。
更にまた、本実施形態では、第1調整パラメータαa及び第2調整パラメータαbの調整を、モデル規範型適応制御法によって行っている。このモデル規範型適応制御によれば、制御器75の設計段階で安定性を保証することが可能であるため、各調整パラメータαa,αbを調整する方法としては特に好ましい。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、CPU51は本発明の更新手段、調整可否設定手段、及び調整条件判定手段に相当し、制御器75は本発明の操作量演算手段に相当し、制御パラメータ調整部77は本発明のパラメータ調整手段及び可調整パラメータ選択手段に相当し、EEPROM54は本発明の可調整パラメータ記憶手段に相当し、リニアエンコーダ48は本発明の駆動量検出手段に相当する。また、駆動用信号生成部72及び駆動回路53により本発明のモータ駆動手段が構成される。
また、図9のキャリッジ駆動設定処理(CPU51が実行)において、S210の処理は本発明の調整可否設定手段が実行する処理に相当し、S260〜S280の処理は本発明の更新手段が実行する処理に相当する。更に、図10のキャリッジ駆動制御処理(ASIC52にて実行)において、S320〜S340の処理は本発明の可調整パラメータ選択手段が実行する処理に相当する。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、本発明のモータ制御方法(制御装置)を、CRモータ10によりキャリッジ17を往復駆動させるための制御方法として適用した場合について説明したが、多機能装置1における用紙Pの搬送制御に対しても、同様に適用することができる。本実施形態では、第1実施形態の多機能装置1において、用紙Pの搬送を制御するにあたり、搬送する用紙Pの種類(媒体の種類)に応じて個々に調整パラメータを有する例について説明する。
まず、多機能装置1における用紙搬送システムについて、図11に基づいて説明する。図11は、多機能装置1の用紙搬送システムを構成する搬送部40及び搬送制御装置(図12参照)のうち、搬送部40の概略構成を示す説明図であり、図1,2で説明した多機能装置1における各部を、用紙搬送の観点から模式的に示したものである。そのため、図1,2で説明した構成要素と同じものについては、同符号を付す。
図11に示すように、当該多機能装置1の搬送部40(本発明の搬送手段)は、給紙カセット3と、この給紙カセット3に収容された用紙Pを一枚ずつ分離して送出する給紙部9と、給紙部9の給紙ローラ9bにて送出されてきた用紙Pを、記録ヘッド15下に搬送するための搬送ローラ41と、この搬送ローラ41に圧接された状態で対向配置されたピンチローラ42と、画像形成処理時の用紙搬送を補助しつつ、画像形成後の用紙Pを排紙部21に排出する排紙ローラ43と、この排紙ローラ43に圧接された状態で対向配置されたピンチローラ(拍車ローラ)44と、用紙Pの搬送路を構成する土手部5及びUターンパス11及びプラテン19と、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の駆動源であるLF(Line Feed )モータ45と、LFモータ45により発生した力を伝達するためのベルトBL1,BL2などを備える。LFモータ45は、CRモータ10と同じく、後述の図12に示すように、ASIC52からの各種指令に基づいて駆動回路53により駆動される。
土手部5及びUターンパス11から構成される搬送路の上流部は、給紙ローラ9bにより送出される用紙Pの移動を規制して、用紙Pを、搬送ローラ41とピンチローラ42との接点に誘導するためのものであり、Uターンパス11における用紙Pの搬送方向下流側には、その下方に、用紙Pの下方向への移動を規制して、用紙Pを搬送ローラ41とピンチローラ42との接点に誘導するための補助部11aが設けられている。
一方、プラテン19は、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを結ぶ搬送路の下流部を構成するものであり、搬送ローラ41と排紙ローラ43と間に、それらを結ぶ線に沿って設けられている。このプラテン19は、搬送ローラ41から送りだされる用紙Pを、記録ヘッド15によって画像が形成される領域に誘導すると共に、記録ヘッド15により画像が形成された用紙Pを、排紙ローラ43とピンチローラ44との接点に誘導する。用紙Pは、このプラテン19に沿って排紙ローラ43側へと搬送される。即ち、用紙Pは、搬送ローラ41との接点及び排紙ローラ43との接点から駆動力を受けて、上述のように搬送路に沿って搬送方向(即ち、搬送路の上流から下流)に搬送される。
また、LFモータ45は、駆動回路47(図12)によって駆動され、その回転力を、LFモータ45と搬送ローラ41との間に架け渡されたベルトBL1を介して、搬送ローラ41に伝達する。これにより、搬送ローラ41は回転する。更に、搬送ローラ41に伝達された回転力は、搬送ローラ41と排紙ローラ43との間に架け渡されたベルトBL2を介して排紙ローラ43に伝達され、これにより排紙ローラ43は、搬送ローラ41と共に同方向に回転する。
上記搬送部40には、搬送ローラ41が所定量回転する度にパルス信号を出力するロータリエンコーダ49が設けられており、ロータリエンコーダ49の出力信号は、図12に示すように、搬送制御装置を構成するASIC52に入力される。このため、当該多機能装置1においては、ロータリエンコーダ49からのパルス信号を検出・カウントすることにより、搬送ローラ41の回転速度、延いては用紙Pの搬送速度が検出される。
このように構成された搬送部40において、用紙Pがレジスト位置(搬送ローラ41とピンチローラ42との接点)から排紙ローラ43側へ搬送される搬送動作、即ち搬送ローラ41の駆動制御は、図12に示す搬送制御装置により制御される。なお、図12の搬送制御装置において、図4に示した第1実施形態のキャリッジ駆動制御装置と異なるのは、主として、動作モード設定レジスタ群55が有するレジスタの種類と、制御部86の制御内容(特に、制御パラメータ調整部88の動作)である。
即ち、本実施形態の動作モード設定レジスタ群55は、搬送対象の用紙Pの種別が設定される用紙種別設定レジスタ81と、用紙種別毎の調整パラメータ設定レジスタ、即ち、普通紙を搬送する際に用いられる普通紙用調整パラメータが設定される普通紙用調整パラメータ設定レジスタ83と、薄紙を搬送する際に用いられる薄紙用調整パラメータが設定される薄紙用調整パラメータ設定レジスタ84と、光沢紙を搬送する際に用いられる光沢紙用調整パラメータが設定される光沢紙用調整パラメータ設定レジスタ85とを備える。
そして、制御パラメータ調整部88は、用紙搬送の際に、用紙種別設定レジスタ81の設定値に基づき、搬送対象の用紙の種類に対応したいずれかの調整パラメータを動作モード設定レジスタ群55から取得し、制御器87へ入力する。また、用紙搬送中は、一定のタイミング毎に、その取得した調整パラメータの調整を行い、調整する毎にその調整後の値を制御器87へ入力する。
制御器87における操作量の演算は、第1実施形態のキャリッジ駆動制御装置(図4)における制御器75と同じであり、また、制御パラメータ調整部88におけるパラメータの調整方法も、第1実施形態と同じである。
図13に、本実施形態のASIC52により実行される搬送駆動制御処理のフローチャートを示す。この処理が開始されると、まず、搬送ローラ41を駆動させるために必要な各種設定(パラメータ値の設定など)が行われる(S610)。そして、続くS620にて、用紙種別設定レジスタ81の設定値に基づいて用紙Pの種類が判断され、普通紙ならば普通使用調整パラメータが選択され(S630)、薄紙ならば薄紙用調整パラメータが選択され(S640)、光沢紙ならば光沢紙用調整パラメータが選択される(S650)。このS620の判断とS630〜S650の処理は、いずれも、制御パラメータ調整部88により行われるものである。
そして、S660にて停止位置に到達したか否かの判断がなされ、到達した場合は(S660;YES)、S670にて所定の停止処理が行われるが、到達していなければ、搬送ローラ41の実際の駆動制御(即ちLFモータ45の制御)が開始される(S680)。この搬送駆動制御中は、調整許可設定レジスタ63にて調整を許可する旨の設定がなされていることを条件として、制御パラメータ調整部88により選択されたいずれかの調整パラメータが、当該制御パラメータ調整部88にて一定タイミング毎に調整される。その調整の具体的方法は、式(1)〜(20)を用いて説明した通りである。
用紙Pが1パス分搬送されて搬送ローラ41の駆動が停止すると、調整パラメータの調整が許可されているか否かが判断される(S690)。このとき、調整許可設定レジスタ63に調整を許可する旨の設定がなされていなければ、一旦この搬送駆動制御処理が終了されるが、調整を許可する旨の設定がなされている場合は、その停止前の用紙種別に基づいて(S700)、上記三種類の調整パラメータのうち駆動停止前までに選択されて調整された最新の調整パラメータを、対応するいずれかの調整パラメータ設定レジスタへ保存する(S710〜S730)。
以上説明したように、本実施形態によれば、用紙Pの種類(上記例では普通紙、薄紙、光沢紙の三種類)に応じて調整パラメータが個々に用意され、用紙Pの搬送の際には、その搬送対象の用紙の種類に対応したいずれかの調整パラメータが用いられる。そのため、どの用紙であっても、適切に搬送することが可能となる。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、駆動対象の駆動条件(動特性)が異なるような駆動例として、キャリッジ17の往復駆動(第1実施形態)と、異なる種類の用紙を搬送する場合(第2実施形態)を挙げたが、これらはあくまでも一例であり、一つのモータによって動特性が異なる複数の駆動条件の下に駆動対象を駆動させるよう構成されたあらゆるモータ制御装置に対して本発明を適用可能である。もちろん、多機能装置1への適用に限定されないことはいうまでもない。
モータにより駆動対象を単一の方向に駆動させる場合であっても、例えば、その駆動経路における前半部分と後半部分とで動特性が異なるような場合は、本発明を適用して、前半部分と後半部分それぞれに対応した調整パラメータを設定することで、駆動経路全体に渡って適切な駆動を実現することが可能となる。
また、上記実施形態では、キャリッジ17が往復駆動する毎にレジスタ値(各調整パラメータαa,αb)を更新し、1ジョブ終了後にそのレジスタの値をもってEEPROM54を更新する構成としたが、これに限定されず、例えば、1ジョブ終了するまではレジスタ値を更新せず、最後にレジスタに最新値を書き込むと共に、その最新値をEEPROM54に書き込んで更新するようにしてもよい。
本実施形態の多機能装置の斜視図である。 本実施形態の多機能装置の側断面図である。 多機能装置が備える画像形成部の構成を表す概略構成図である。 キャリッジの駆動を制御するキャリッジ駆動制御装置の構成を表すブロック図である。 エンコーダ信号及びこの信号の処理回路の動作を説明する説明図である。 キャリッジを繰り返し往復駆動させたときの、目標速度軌道と実際の速度を示すグラフである。 図6のグラフの部分拡大図であり、(a)は0.4sec.〜約2.0sec.までの間を拡大したもの、(b)は22.4sec.〜約24sec.までの間を拡大したものである。 CPUにて実行される主制御処理を表すフローチャートである。 CPUにて実行されるキャリッジ駆動設定処理を表すフローチャートである。 ASICにて実行されるキャリッジ駆動制御処理を表すフローチャートである。 第2実施形態の用紙搬送システムを構成する搬送部の概略構成を示す説明図である。 用紙搬送システムを構成する搬送制御装置の構成を表すブロック図である。 第2実施形態の、ASICにて実行される搬送制御処理を表すフローチャートである。 駆動対象を単一の方向に一定時間間隔で繰り返し駆動させたときの、目標速度軌道と実際の速度を示すグラフである。 図14のグラフの部分拡大図であり、(a)は0.4sec.〜約2.0sec.までの間を拡大したもの、(b)は22.4sec.〜約24sec.までの間を拡大したものである。 駆動対象を双方向に一定時間間隔で繰り返し駆動させたときの、目標速度軌道と実際の速度を示すグラフである。 図16のグラフの部分拡大図であり、(a)は0.4sec.〜約2.0sec.までの間を拡大したもの、(b)は22.4sec.〜約24sec.までの間を拡大したものである。
符号の説明
1…多機能装置、10…CRモータ、13…画像形成部、15…記録ヘッド、17…キャリッジ、40…搬送部、41…ガイドバー、42…無端ベルト、43…駆動プーリ、44…従動プーリ、45…LFモータ、46…リニアスケール、47…検出部、48…リニアエンコーダ、49…ロータリエンコーダ、53…駆動回路、55…動作モード設定レジスタ群、56…起動設定レジスタ、57…回転方向設定レジスタ、58…操作量範囲設定レジスタ、59…目標停止位置設定レジスタ、60…演算タイミング設定レジスタ、61…目標速度軌道生成用パラメータ設定レジスタ、62…目標速度設定レジスタ、63…調整許可設定レジスタ、64…第1調整パラメータ設定レジスタ、65…第2調整パラメータ設定レジスタ、66…クロック生成部、67…エンコーダエッジ検出部、68…位置カウンタ、69…周期カウンタ、70…速度演算部、71…制御部、72…駆動用信号生成部、75…制御器、77…制御パラメータ調整部、79…各種信号処理部、81…用紙種別設定レジスタ、83…普通紙用調整パラメータ設定レジスタ、84…薄紙用調整パラメータ設定レジスタ、85…光沢紙用調整パラメータ設定レジスタ、86…制御部、87…制御器、88…制御パラメータ調整部、BL1…ベルト、BL2…ベルト

Claims (9)

  1. モータによって駆動される駆動側のプーリと従動側のプーリとの間に無端状のベルトが掛け渡された駆動機構における、前記各プーリの間で対向するように配置された前記ベルトの一方側に固定されることによって、前記モータの回転方向に応じて前記各プーリの間を往復駆動されるよう構成された駆動対象が、予め設定された目標軌道に追随して駆動されるように、操作量を演算し、その演算した操作量に基づいて前記モータを駆動制御するモータ制御方法であって、
    前記駆動対象が駆動を開始されてから停止するまでの間に前記操作量を生成する際に用いられる制御パラメータとして、前記駆動対象の駆動中、予め設定したタイミング毎にその値が調整される可調整パラメータを有し、
    該可調整パラメータの前記調整は、前記操作量に対する前記駆動対象の実際の駆動量と、その操作量に対して当該調整のタイミングでの前記可調整パラメータに基づいて演算される駆動量との差が小さくなるように行われ、
    前記可調整パラメータは、前記往復駆動する方向に応じて個々に備えられ、
    前記操作量の演算は、前記駆動対象の前記往復駆動する方向に対応したいずれかの前記可調整パラメータを用いて行われる
    ことを特徴とするモータ制御方法。
  2. 請求項1記載のモータ制御方法であって、
    前記操作量を演算する際に用いられる前記可調整パラメータについて前記調整を行うか否かが選択可能であることを特徴とするモータ制御方法。
  3. モータによって駆動される駆動側のプーリと従動側のプーリとの間に無端状のベルトが掛け渡された駆動機構における、前記各プーリの間で対向するように配置された前記ベルトの一方側に固定されることによって、前記モータの回転方向に応じて前記各プーリの間を往復駆動されるよう構成された駆動対象をモータにより駆動させるために前記モータを駆動制御するモータ制御装置であって、
    前記駆動対象が予め設定された目標軌道に追随して駆動されるように操作量を演算する操作量演算手段と、
    前記操作量演算手段により演算された操作量に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
    前記駆動対象の実際の駆動量を検出する駆動量検出手段と、
    前記駆動対象が駆動を開始されてから停止するまでの間に前記操作量演算手段が前記操作量を演算する際に用いる制御パラメータのうち一又は複数の調整可能な可調整パラメータの値を、前記駆動対象の駆動中、予め設定したタイミング毎に、前記操作量に対して前記駆動量検出手段により検出された前記駆動対象の実際の駆動量と、その操作量に対して当該タイミングでの前記可調整パラメータに基づいて演算される駆動量との差が小さくなるように調整する、パラメータ調整手段と、
    を備え、
    前記可調整パラメータは、前記往復駆動する方向に応じて個々に備えられ、
    前記操作量演算手段は、前記駆動対象を駆動させる際の前記操作量の演算を、該駆動対象の前記往復駆動する方向に対応した前記可調整パラメータを用いて行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項3記載のモータ制御装置であって、
    前記往復駆動する方向毎の前記可調整パラメータが記憶された可調整パラメータ記憶手段と、
    前記駆動対象を駆動させる際、前記可調整パラメータ記憶手段に記憶された可調整パラメータのうち、前記駆動対象の前記往復駆動する方向に対応した可調整パラメータを選択する可調整パラメータ選択手段と、
    を備え、
    前記パラメータ調整手段は、前記可調整パラメータ選択手段により選択された可調整パラメータに対して前記調整を行い、
    前記操作量演算手段は、前記可調整パラメータ選択手段により選択されることで前記パラメータ調整手段の調整対象となる前記可調整パラメータを用いて、前記操作量を演算する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項4記載のモータ制御装置であって、
    前記可調整パラメータ記憶手段に記憶された前記可調整パラメータが、前記可調整パラメータ選択手段により選択され前記パラメータ調整手段により前記調整される場合に、予め設定した更新タイミングで、前記可調整パラメータ記憶手段に記憶されている当該可調整パラメータを前記調整された最新の値に更新する更新手段を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項3〜5いずれかに記載のモータ制御装置であって、
    前記パラメータ調整手段による前記調整を許可するか否かを設定する調整可否設定手段を備え、
    前記パラメータ調整手段は、前記調整可否設定手段にて前記調整を許可しない旨の設定がなされた場合は、前記調整を行わない
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  7. 請求項6記載のモータ制御装置であって、
    前記駆動対象が駆動される際に、前記パラメータ調整手段による前記調整を行わせるための条件として予め設定した調整許可条件が満たされているか否かを判定する調整条件判定手段を備え、
    前記調整可否設定手段は、前記調整条件判定手段にて前記調整許可条件が満たされていると判定された場合に、前記パラメータ調整手段による前記調整を許可する旨の設定を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項3〜7いずれかに記載のモータ制御装置であって、
    前記パラメータ調整手段は、
    操作量演算手段により演算された操作量と前記駆動量検出手段により検出された駆動量とに基づき、モデル規範型適応制御法を用いて、前記可調整パラメータの調整を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  9. 請求項3〜8いずれかに記載のモータ制御装置と、
    記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送させる搬送手段と、
    前記記録媒体が前記搬送手段によって搬送されつつ該記録媒体へインクを吐出して該記録媒体上への画像形成を行う記録ヘッドと、
    前記駆動対象としての、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジと、
    を備え、前記記録ヘッドは、前記キャリッジが前記モータによって前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に往復駆動される際に、該往復駆動における双方向で前記インクの吐出を行う
    ことを特徴とする画像形成装置。
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