JP4734793B2 - 着座検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートへの乗員の着座を検出する着座検出装置のうち、特に、着座した乗員の体格、シートに載った物の形状を検出する着座検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の着座検出装置として提案されているものに特開平10−211836がある。この着座検出装置は、図5に示すように、クッション52と、窪みの底に収納された可撓性シート状の感圧スイッチ53と、感圧スイッチ53の下面に接して前記窪み51を閉じた閉止体54を備えている。クッション52は着座面の反対側の下方に底がある下へ開口した窪み51を有する。
【0003】
この着座検出装置は、着座したか、しないかのみ検出することを目的とするため、感圧スイッチ53はクッション52の着座面の面積に比べて小さい面積のもので充分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
乗員保護装置であるエアバッグを適正に作動させるため、シートに載っているものの識別が必要となってきている。具体的にはシート上のものが人か物か、更に人である場合にはその体格の識別が必要となってきる。これを検出するためには、クッション52の着座面のほぼ全体が検出範囲となる圧力検出センサを、検出精度を確保するために着座面に近い位置に配設する必要がある。
【0005】
また、一般に車両用シートは、表皮の吊りワイヤとクッションに埋め込まれているワイヤを固定リングで固定することで、表皮をクッションに固定する構造となっている。従って、圧力検出センサをワイヤより上の着座面に近い位置に配設すると表皮の吊りワイヤと干渉することとなり、圧力検出センサは吊りワイヤとの干渉を避ける形状をとる必要がある。ここで吊りワイヤはシートの意匠により様々な配置形態をとるため、様々な意匠のシートに圧力検出センサを配設するには、圧力検出センサを吊りワイヤの配置形態に合わせた形状とする必要がある。
【0006】
本発明の技術的課題は、着座検出装置がシートの着座面全体に広がる面積を持ち、かつ様々なシートの意匠に対応可能とすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した技術的課題を解決するために講じた第1の技術的手段は請求項1に示すように、着座検出装置が、ワイヤが内部に埋入される第1クッションと、該第1クッション上に配設される第2クッションと、前記第1及び前記第2クッションの上に位置し、吊りワイヤが配設される表皮と、前記ワイヤと吊りワイヤを固定する固定部材と、前記第1クッションの上面と前記第2クッションの下面間に配設され、前記吊りワイヤを通すための複数の貫通孔を設けた圧力検出手段と、を備えることを特徴としたことである。
【0008】
上記の構成において、着座検出装置の吊りワイヤは圧力検出手段の貫通孔に通されるため、圧力検出手段は吊りワイヤと干渉しなくなる。よって、吊りワイヤとの干渉を避けるために着座検出装置の大きさを制限する必要がなくなる。従って着座検出装置を第1クッション上面全体、つまりシートの着座面全体に広がる面積とすることができる。更に上記の構成においては、複数の貫通孔のうち一定の貫通孔を選択的に使用することによって、異なる配置形態の吊りワイヤを貫通可能とすることができる。よって異なる配置形態の吊りワイヤが配設される複数種類の表皮に対して着座検出装置を取り付け可能とすることができる。ここで表皮の形状はシートの意匠を形成するものである。よって様々な意匠のシートに圧力検出センサを配設することができる。
【0009】
上記した技術的課題を解決するために講じた第2の技術的手段は請求項2に示すように、着座検出装置が、前記第1クッションにおいて前記複数の貫通孔は第1方向及び第2方向に沿って配設され、前記第1方向は前記第2方向と交差することを特徴としたことである。
【0010】
上記の構成において、複数の貫通孔は平面的に配設されることとなる。ここで平面的に配設された貫通孔のうち一定の貫通孔を選択し吊りワイヤを貫通することによって、表皮が有する吊りワイヤの配置形態をより多様なものとすることができる。よって、より多様な意匠のシートに圧力検出センサを配設することができる。
【0011】
上記した技術的課題を解決するために講じた第3の技術的手段は請求項3に示すように、着座検出装置が、前記圧力検出手段は複数の圧力検出素子を備えることを特徴としたことである。
【0012】
上記の構成において、着座検出装置は複数の圧力検出素子からの複数の出力結果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例である着座検出装置10を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
以下に着座検出装置10の構成を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
着座検出装置10は図1及び2に示すように、下クッション11(第1のクッション)と上クッション14(第2のクッション)を備える。下クッション11にはインサートワイヤ12(ワイヤ)が内部に埋入され、インサートワイヤ12の一部が露出されたインサートワイヤ露出部13が上面に配置されている。上クッション14には下クッション11の上に重なり、吊りワイヤ15(後出)を通すための複数の貫通孔14aが設けられている。
【0016】
上クッション14及び下クッション11の上方からは、吊りワイヤ15が懸装される表皮16が被せられる。下クッション11の上面と上クッション14の下面間には、吊りワイヤ15を通すための14個の貫通孔181(貫通孔)が配設された可撓性の圧力検出センサフィルム18(圧力検出手段)が布設されている。
【0017】
図1に示すように、貫通孔181は開孔列19乃至22に沿って配設されている。開孔列19、開孔列20、開孔列21は圧力検出センサフィルム18の幅方向(図1における左右方向)の両端側および中央に位置し、圧力検出センサフィルム18の前後方向(図1における上下方向)に直線的に配設されている。開孔列22は圧力検出センサフィルム18の前後方向のほぼ中央に位置し、圧力検出センサフィルム18の幅方向に直線的に配設されている。そして開孔列19には4つの貫通孔181a、181b、181c、181dが圧力検出センサフィルム18の前端(図1における上端)側から後端(図1における下端)側に向かってほぼ等間隔に配設されている。開孔列20には4つの貫通孔181e、181f、181g、181hが圧力検出センサフィルム18の前端側から後端側に向かってほぼ等間隔に配設されている。開孔列21には4つの貫通孔181i、181j、181k、181lが圧力検出センサフィルム18の前端側から後端側に向かってほぼ等間隔に配設されている。開孔列22には、2つの貫通孔181m、181nが、開孔列19と開孔列20及び開孔列20と開孔列21の間に配設されている。
【0018】
表皮16を下クッション11及び上クッション14に固定するために、固定リング17(固定部材)がインサートワイヤ露出部13にてインサートワイヤ12と吊りワイヤ15を共巻きして固定している。また、この固定時には、吊りワイヤ15は貫通孔14a及び貫通孔181を挿通する構造となっている。更にこの場合、表皮16の吊りワイヤ15が配設される位置は、シートに引き込まれる構造となり、これによりシートの意匠が構成されることとなる。
【0019】
固定リング17によって、表皮16は上クッション14及び下クッション11に固定される。それと共に、圧力検出センサフィルム18は吊りワイヤ15と下クッション11のインサートワイヤ12によって上クッション14下面と下クッション11上面の間に布設され固定される。
【0020】
下クッション11の上面は略平面状であり、図1に示すように、14個のインサートワイヤ露出部13が圧力検出センサフィルム18の14個の貫通孔181にシートの上下方向(図1における紙面の鉛直方向)に重なるように設けられている。
【0021】
図4は圧力検出センサフィルム18のさらに詳細な平面図である。圧力検出センサフィルム18は複数の圧力センサ18bを繋ぐ配線部18cを配設した、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット、樹脂シートへの印刷基板)である。配線部18cの集結部18dはコネクタを介して、又は直接車両の制御回路へ接続されている。
【0022】
以下に着座検出装置10の作用を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
シート着座面に乗員又はチャイルドシート等が載ると、その圧力により表皮16、上クッション14、下クッション11は変形する。
【0024】
圧力検出センサフィルム18は図4に示すように1枚のシートではなく、複数の配列された圧力センサ18bを配線部18cで繋いだ、格子に似た隙間が多い形状をしているため、シートの変形に従って柔軟に変形する。
【0025】
表皮16、上クッション14、下クッション11の変形に伴い圧力検出センサフィルム18も変形し、複数の圧力センサ18bはそれぞれ圧力を受ける。
【0026】
圧力センサ18bには常時電流が流れており、圧力センサ18に対して図4の紙面に向う方向に圧力が加えられると、各圧力センサ18bの抵抗値が変化する。
【0027】
各圧力センサ18bは加えられる圧力がある閾値までは抵抗の変化を示さないが、圧力が閾値を越えると抵抗値がアナログ変化を示す性質を備える。
【0028】
圧力検出センサフィルム18において圧力センサ18bは図4に示すように列を形成して配置されており、シートの着座面に載る物の形状によって隣合う圧力センサ18bの列と列に加わる圧力差が生じる。
【0029】
例えば、乗員が着座する場合、シート着座面において乗員の臀部が載っている部分と載っていない部分では圧力に差が生じる。また、乗員の臀部が載っている部分の間でも、圧力の差は生じている。また、シートの着座面にチャイルドシートの脚部のように小さな面積に圧力が加わるような物が載ると、圧力センサ18bの列毎の抵抗値差は大きくなる。
【0030】
その圧力差によって圧力センサ18bの列毎の抵抗値差が生じる。制御回路は圧力センサ18bの列毎の抵抗値差を検出して圧力分布を検出し、シートの着座面に載っているものの大きさや形状、重さを算出して識別する。
【0031】
一般に車両のシートは車種により着座部の意匠が異なるが、それらの意匠は主に異なる配置形態の吊りワイヤによって形成されている。
【0032】
本実施例における吊りワイヤ15のいくつかの配置形態例を図3に示す。本実施例の圧力検出センサフィルム18及び下クッション11は、前述のように、それぞれ14個の貫通孔181及びインサートワイヤ露出部13を縦方向及び横方向に配置している。これらは例として図3a乃至cに示した各配置形態の吊りワイヤ15に対し、圧力検出センサフィルム18の上下方向(図3における紙面の鉛直方向)重なる位置にある。図3aにおいては、まず2本の吊りワイヤ15が圧力検出センサフィルム18の幅方向(図3における左右方向)の両端に位置し、圧力検出センサフィルム18の前端から後端(図3における上端から下端)方向に直線的に配設される。更に1本の吊りワイヤ15が圧力検出センサフィルム18の前後方向(図3における上下方向)のほぼ中央に位置し、圧力検出センサフィルム18の幅方向に直線的に配設される。吊りワイヤ15は、開孔列19、開孔列21、開孔列22と圧力検出センサフィルム18の上下方向に重なる。このとき吊りワイヤ15は、14個の貫通孔181のうち開孔列19上の4つの貫通孔181a、181b、181c、181dと、開孔列21上の各4つの貫通孔181i、181j、181k、181lと、開孔列22上の2つの貫通孔181m、181nに選択的に貫通可能となる。図3bにおいては、3本の吊りワイヤ15が圧力検出センサフィルム18の幅方向の両端及び中央に位置し、圧力検出センサフィルム18の前端から後端に直線的に配設される。吊りワイヤ15は開孔列19、開孔列20、開孔列21と圧力検出センサフィルム18の上下方向に重なる。このとき吊りワイヤ15は、14個の貫通孔181のうち開孔列19上の4つの貫通孔181a、181b、181c、181dと、開孔列20上の4つの貫通孔181e、181f、181g、181hと、開孔列21上の各4つの開通孔181i、181j、181k、181lに選択的に貫通可能となる。図3cにおいては、まず2本の吊りワイヤ15が圧力検出センサフィルム18の幅方向の両端側に位置し、圧力検出センサフィルム18の前端から圧力検出センサフィルム18の後端方向に直線的に配設される。更に1本の吊りワイヤ15が圧力検出センサフィルム18の幅方向の中央に位置し、シートの中央から後端に直線的に配設される。更には、1本の吊りワイヤ15が圧力検出センサフィルム18の前後方向のほぼ中央に位置し、圧力検出センサフィルム18の幅方向に直線的に配設される。吊りワイヤ15は開孔列19、開孔列20、開孔列21、開孔列22と圧力検出センサフィルム18の上下方向に重なる。このとき吊りワイヤ15は、14個の貫通孔181のうち開孔列19上の4つの貫通孔181a、181b、181c、181dと、開孔列20上の2つの貫通孔181g、181hと、開孔列21上の4つの貫通孔181i、181j、181k、181lと、開孔列22上の2つの貫通孔181m、181nに選択的に貫通可能となる。以上より、図1に示す圧力検出センサフィルム18及び下クッション11は、1つで少なくとも3つの吊りワイヤ15の配置形態を有する表皮16を固定することができる。
【0033】
つまり、上記の圧力検出センサフィルム18は1つで少なくとも3つの意匠の表皮16からなるシートに対応できることが理解されよう。
【0034】
さらに、縦横方向だけでなく斜め方向等のインサートワイヤ露出部13及び貫通孔181の配置や、インサートワイヤ露出部13及び貫通孔181の配置の間隔を変えることで、下クッション11及び圧力検出センサフィルム18をさらに多くのシートの意匠に対応させることができる。
【0035】
なお、本実施例では、圧力検出手段である圧力検出センサフィルム18は、圧力検出素子として、アナログの電気信号を出力する圧力センサを複数使用しているが、オンオフの電気信号を出力する圧力スイッチを複数使用してもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明の着座検出装置は、シートの着座面全体に広がる面積をもちかつ様々な意匠のシートに対応可能な汎用性のあるものとすることができる。よって製造コストを抑えつつ、シートに着座する乗員の体格や、シートに載るチャイルドシートの形状の高い精度の検出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である着座検出装置10において表皮及び上クッション14を除いた状態における、圧力検出センサフィルム18より下部の部分を示す概略的平面図である。
【図2】表皮及び上クッション14を備えた状態における着座検出装置10の図1に示す矢線AAにおける断面図である。
【図3】本発明の実施例である着座検出装置10の下クッション11及び圧力検出センサフィルム18とシートの意匠を構成する吊りワイヤ15のいくつかの形態の対応を示した平面図である。
【図4】本発明の実施例である着座検出装置10の圧力検出センサフィルム18の平面図である。
【図5】従来からある着座検出装置50の縦断面図である。
【符号の説明】
11 下クッション(第1クッション)
12 インサートワイヤ(ワイヤ)
13 インナワイヤ露出部(取付け部)
14 上クッション(第2クッション)
15 吊りワイヤ(吊りワイヤ)
16 表皮(表皮)
17 固定リング(固定部材)
18 圧力検出センサフィルム(圧力検出手段)
181 貫通孔

Claims (3)

  1. ワイヤが内部に埋入される第1クッションと、
    該第1クッション上に配設される第2クッションと、
    前記第1及び前記第2クッションの上に位置し、吊りワイヤが配設される表皮と、
    前記ワイヤと吊りワイヤを固定する固定部材と、
    前記第1クッションの上面と前記第2クッションの下面間に配設され、前記吊りワイヤを通すための複数の貫通孔を設けた圧力検出手段と、を備えることを特徴とする着座検出装置。
  2. 前記第1クッションにおいて前記複数の貫通孔は第1方向及び第2方向に沿って配設され、前記第1方向は前記第2方向と交差することを特徴とする、請求項1に記載の着座検出装置。
  3. 前記圧力検出手段は複数の圧力検出素子を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の着座検出装置。
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