以下、発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明において、前後、左右、上下は、乗物用シートに座る乗員から見た方向を基準とする。
図1に示すように、本実施形態に係る乗物用シートは、自動車で使用される車両用シートSであり、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えて構成されている。
車両用シートSには、図2に示すようなシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成する図示しないシートバックフレームとから主に構成されている。車両用シートSは、図8でシートクッションS1を例に示すように、シートフレームFに、クッション部材60と表皮70を被せることで構成されている。
図2に示すように、シートフレームFを構成するクッションフレームF1は、左右に離間して配置された一対のサイドフレーム11と、一対のサイドフレーム11の前端部同士を連結するパンフレーム12と、一対のサイドフレーム11の後端部同士を連結する連結パイプ13とを有し、これらが溶接などによって一体に結合された枠状に形成されている。サイドフレーム11およびパンフレーム12は、金属板をプレス加工するなどして形成され、連結パイプ13は、金属パイプからなる。
クッションフレームF1のパンフレーム12と連結パイプ13との間には、ワイヤ状部材としての複数のシートスプリング20が架設されている。より詳細には、複数のシートスプリング20は、4つ(20A〜20D)が左右に並んで配置されており、各シートスプリング20の前端がパンフレーム12に掛止され、後端が連結パイプ13に掛止されることで、前後方向(左右方向に直交する方向)に架設されている。
複数のシートスプリング20は、それぞれ、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに屈曲してなるバネである。各シートスプリング20は、左右方向(複数のシートスプリング20が並ぶ方向)に延びる部分である8つの左右延設部21と、前後方向(シートスプリング20が架設された方向)に延びる部分である7つの前後延設部22と、連結パイプ13に掛止されるパイプ掛止部23とを有している。左右延設部21は、前後に並んで配置されている。最も前の左右延設部21は、パンフレーム12に形成されたフック部12Hに掛止される掛止部となっている。前後延設部22は、隣接する左右延設部21の端部同士を連結するように設けられ、左右交互に配置されている。パイプ掛止部23は、最も後の左右延設部21の端部から上方に延び、上端部がフック状に湾曲するように形成されている。
図3に示すように、隣接するシートスプリング20同士は、左右対称に形成されている。具体的には、シートスプリング20B(第1のシートスプリング)とシートスプリング20C(第1のシートスプリングに隣接して配置された第2のシートスプリング)が左右対称に形成され、シートスプリング20Aとシートスプリング20Bが左右対称に形成され、シートスプリング20Cとシートスプリング20Dが左右対称に形成されている。
シートスプリング20は、複数の連結部材30A〜30Fによって連結されている。各連結部材30A〜30Fは、樹脂製であり、インサート成形によりシートスプリング20A〜20Dと一体に成形されている。
最も後に配置された連結部材30Aは、シートスプリング20A,20Bの後端同士またはシートスプリング20C,20Dの後端同士を連結する部材である。より詳細に、連結部材30Aは、パイプ掛止部23の連結パイプ13に接触する部分を覆った状態で、シートスプリング20A,20Bのパイプ掛止部23同士またはシートスプリング20C,20Dのパイプ掛止部23同士を連結するように形成されている。パイプ掛止部23が樹脂製の連結部材30Aによって覆われていることで、シートスプリング20と連結パイプ13の接触音を低減することができる。
後から2番目に配置された連結部材30Bは、シートスプリング20A〜20Dの後端部同士を連結する部材である。より詳細に、連結部材30Bは、シートスプリング20A〜20Dの最も後の左右延設部21と前後延設部22の後端部とを覆った状態で、これらを連結するように形成されている。
後から3番目の左右方向中央に配置された連結部材30Cは、シートスプリング20B,20Cの後端部同士を連結する部材である。より詳細に、連結部材30Cは、シートスプリング20B,20Cの最も後の前後延設部22の前端部同士を連結するように形成されている。さらに、連結部材30Cは、一のシートスプリング20Bの最も後の前後延設部22と後から2番目の左右延設部21を連結するとともに、一のシートスプリング20Cの最も後の前後延設部22と後から2番目の左右延設部21を連結するように形成されている。
連結部材30Cの左右に配置された連結部材30Dは、シートスプリング20Aまたはシートスプリング20Dの最も後の前後延設部22と後から2番目の左右延設部21を連結するように形成されている。
後から4番目に配置された連結部材30Eは、シートスプリング20A〜20Dの前後方向における略中央部同士を連結する部材である。より詳細に、連結部材30Eは、シートスプリング20B,20Cの後から3番目の前後延設部22同士と、シートスプリング20A,20Bの後から4番目の前後延設部22同士と、シートスプリング20C,20Dの後から4番目の前後延設部22同士とを連結するように形成されている。さらに、連結部材30Eは、各シートスプリング20A〜20Dの後から4番目の前後延設部22と左右延設部21を連結するように形成されている。
最も前に配置された連結部材30Fは、シートスプリング20B,20Cの前端部同士を連結する部材である。より詳細に、連結部材30Fは、略板状の本体部31を有し、本体部31が、隣接するシートスプリング20B,20Cの前から2番目の前後延設部22同士を連結するように形成されている。さらに、本体部31は、一のシートスプリング20Bの前から2番目と3番目の左右延設部21同士を連結するとともに、一のシートスプリング20Cの前から2番目と3番目の左右延設部21同士を連結するように形成されている。このような構成により、シートスプリング20B,20Cを強固に連結できるので、例えば、シートスプリング20B,20Cを一体のバネとして作動させることが可能となる。
連結部材30Fは、本体部31の前側に、左右に離間して配置された一対の被覆部32を有している。被覆部32は、シートスプリング20B,20Cの最も前の左右延設部21(掛止部)と前後延設部22を覆うように形成され、本体部31と一体に成形されている。なお、シートスプリング20A,20Dの最も前の左右延設部21(掛止部)と前後延設部22、前から2番目の左右延設部21と前後延設部22、および、前から3番目の左右延設部21は、樹脂製の被覆部30Gによって覆われている。パンフレーム12に掛止される最も前の左右延設部21(掛止部)が樹脂製の被覆部32,30Gによって覆われていることで、シートスプリング20とパンフレーム12の接触音を低減することができる。
連結部材30Fは、シートクッションS1の略左右方向中央に設けられ、その一部がパンフレーム12に接触してパンフレーム12に支持されている。具体的には、図4(a)に示すように、パンフレーム12は、その後端部に、第1部位としての支持部12Aと、支持部12Aの後端から略下方に延びる第1延出部12Bと、第1延出部12Bの後端から後方に延びることで支持部12Aに対し下側(乗員側とは反対側)にずれて配置された第2部位としての第2延出部12Cとを有している。そして、連結部材30Fは、一端部としての前端部(より詳細には、本体部31の前端部と被覆部32の後述する挟持部32A)が支持部12Aに上から接触して支持部12Aに支持されている。
このような構成により、シートスプリング20B,20Cは、連結部材30Fを介してパンフレーム12に接触して支持されている。また、図3に示すように、シートスプリング20A,20Dは、被覆部30Gを介してパンフレーム12に接触して支持されている。これにより、シートスプリング20とパンフレーム12の接触音を低減することができる。また、連結部材30Fや被覆部30Gが樹脂製であるので、これらとパンフレーム12の接触音も低減することができる。
図4(a)に戻り、連結部材30Fの他端部としての後端部(本体部31の後端部)は、第2延出部12Cから離間して第2延出部12Cから浮いたような状態で配置されている。これにより、連結部材30Fの後端部と第2延出部12Cとの間に隙間が形成されている。連結部材30Fの前端部がパンフレーム12に接触して支持され、後端部がパンフレーム12から離間していることで、連結部材30Fとパンフレーム12との接触面積を小さくできるので、これによっても、連結部材30Fとパンフレーム12の接触音を低減することができる。
図5に示すように、パンフレーム12は、支持部12Aから上側(乗員側)に突出する突出部12Dを有している。一対の被覆部32のうち前後延設部22を覆う部分(挟持部32A)は、連結部材30Fが支持部12Aに支持された状態で、突出部12Dを左右から挟むように配置されている。これにより、連結部材30Fの位置を安定させることができる。また、図6に示すように、連結部材30Fの本体部31は、その前端部の、一対の被覆部32の間の部分に、後方に向けて凹む形状の凹部33を有している。凹部33は、パンフレーム12の突出部12Dを受け入れ可能な幅と深さで形成されている。これにより、凹部33が、挟持部32Aとともに突出部12Dを左右から挟むように配置されるので、連結部材30Fの位置をより安定させることができる。
連結部材30Fの上側の面には、乗員検知センサ40と、バネ部材としての板バネ部材50が取り付けられている。つまり、連結部材30Fは、乗員検知センサ40が取り付けられることで、乗員検知センサ40を下側から支持する部材(センサ支持部材)としても機能している。これにより、シートスプリング20を連結する部材を乗員検知センサ40などを支持する部材として利用できるので、コンパクト化や低コスト化を図ることができる。連結部材30Fは、クッションフレームF1に架設されたシートスプリング20を介して、クッションフレームF1に支持されている。
乗員検知センサ40は、乗員が座ったときに作動することで乗員の有無を検知するように構成されたセンサである。乗員検知センサ40は、連結部材30Fに取り付けられる基部41と、基部41に連結されるように基部41の左右両端部に設けられた一対の検知部42(第1検知部42Aおよび第2検知部42B)とを有している。基部41は、乗員検知センサ40を連結部材30Fに取り付けるため、上下に貫通するように設けられた一対のセンサ側貫通孔43(貫通孔)を有している。
図7に示すように、乗員検知センサ40は、可撓性を有する、第1シート40A、第2シート40Bおよび第3シート40Cを重ねて貼り合わせることで形成されている。各シート40A,40B,40Cは、重ねたときにセンサ側貫通孔43を形成する貫通孔43A,43B,43Cを有している。第1シート40Aは、上側の面の左右両端部に形成された2つの電極E1と、当該第1シート40Aの後端部に沿って各電極E1から左右方向内側に延びる一対の配線W1とを有している。各配線W1からは、電線44が引き出されている。また、第1シート40Aは、基部41となる部分に、貫通孔43A(一対のセンサ側貫通孔43)の間で上下に貫通するように設けられた排気口45を有している。第3シート40Cは、下側の面の左右両端部に形成された2つの電極E2と、当該第3シート40Cの前端部に沿って延びて2つの電極E2を電気的に接続する配線W2とを有している。第2シート40Bは、一対の電極E1,E2と対向する位置に設けられた一対の貫通孔46Aと、排気口45と対向する位置に設けられた貫通孔46Bと、貫通孔43Bを避けつつ、左右の貫通孔46Aと中央の貫通孔46Bとを繋ぐように設けられた排気溝46Cとを有している。
第1シート40A、第2シート40Bおよび第3シート40Cを重ねて貼り合わせることで、上下一対の電極E1,E2は、貫通孔46A(第2シート40B)を介して間隔をあけた状態で対向するように配置され、貫通孔46Bと排気口45とが連通する。検知部42は、一対の電極E1,E2が配置された部分である。第1シート40A(乗員検知センサ40)の下側の面には、排気口45を覆うようにフィルタ40Dが取り付けられている。フィルタ40Dは、通気性を有するとともに、排気口45から乗員検知センサ40の内部に水が入り込むことを抑制する。
検知部42に圧力が加わっていないとき、一対の電極E1,E2は離間しているので、乗員検知センサ40は、電流が流れないOFF状態となる。一方、第1検知部42Aおよび第2検知部42Bのそれぞれに圧力が加わって、右の一対の電極E1,E2が接触し、かつ、左の一対の電極E1,E2が接触すると、乗員検知センサ40は、電流が流れるON状態となる。一対の電極E1,E2が接触するとき、一対の電極E1,E2の間の空気は、一対の電極E1,E2の間の空間から押し出され、排気溝46Cおよび貫通孔46Bを通って、排気口45から乗員検知センサ40の外部に排出される。
図6に示すように、板バネ部材50は、左右方向(基部41と検知部42が並ぶ方向)に長く延びる板状のバネであり、乗員検知センサ40の下側で乗員検知センサ40に対向して配置されている。板バネ部材50は、左右両側の押圧部51と、左右の押圧部51(第1押圧部51Aと第2押圧部51B)を一体に連結する連結部52とを有している。
連結部52は、乗員検知センサ40の基部41に対向する部分(基部対向部)であり、一対のセンサ側貫通孔43に連通する一対の第1貫通孔53(貫通孔)と、排気口45に対向するエア流路としての第2貫通孔55とを有している。
押圧部51は、第1検知部42Aと対向する第1押圧部51Aと、第2検知部42Bと対向する第2押圧部51Bとを含んでいる。各押圧部51には、検知部42に対向して、開口としての貫通孔56が設けられている。貫通孔56は、略円形状をなし、板バネ部材50と乗員検知センサ40を下側から見たときに、検知部42を臨ませるように設けられている。押圧部51に設けられた開口が貫通孔56であることで、例えば、開口が切欠状である場合よりも、板バネ部材50の剛性を確保することができる。
連結部材30Fの本体部31は、取付部34と、取付部34の左右両側に設けられた対向部35と、取付部34および対向部35を取り囲むように設けられたクッション支持部36とを有している。
取付部34は、乗員検知センサ40の基部41と板バネ部材50の連結部52が取り付けられる部分である。取付部34は、一対のセンサ側貫通孔43および一対の第1貫通孔53に対向する位置に設けられた、基部41と連結部52を取り付けるための2つの取付穴34Aと、2つの取付穴34Aの間で排気口45および第2貫通孔55に対向する位置に設けられたエア抜き孔34Bとを有している。取付穴34Aおよびエア抜き孔34Bは、いずれも上下に貫通するように設けられている。また、取付部34は、図4(b)に示すように、上側の面の後端部の左右方向中央に、前から後に向かうにつれて、下方(乗員側から離れる方向)に傾斜する傾斜面34Cを有している。傾斜面34Cは、乗員検知センサ40から延びる電線44を連結部材30Fの下側に向けて案内する面である。このような傾斜面34Cを有することで、電線44の取り回し性を向上させることができるとともに、乗員が座ったときにクッション部材60から電線44にかかる荷重を低減することができる。
図4(a)に示すように、電線44は、パンフレーム12の下に配置され、途中部分がクリップ91に保持されている。電線44は、クリップ91が第2延出部12Cに形成された貫通孔12Eに係合することで、途中部分が第2延出部12Cに取り付けられている。連結部材30Fと第2延出部12Cとの間には隙間が形成されているので、この隙間を利用して電線44を取り付けるためのクリップ91の爪部分を配置できるため、電線44をクリップ91を用いて簡単にパンフレーム12に取り付けることができる。なお、連結部材30Fと第2延出部12Cとの間の隙間には、電線自体を配置することもできる。また、電線44の端部は、クリップ付きのコネクタ92に接続されている。パンフレーム12は、支持部12Aの前端から略下方に延びる第3延出部12Kと、第3延出部12Kの前端から前方に延びる第4延出部12Lとを有している。電線44は、コネクタ92が第4延出部12Lに形成された貫通孔12Mに係合することで、端部がパンフレーム12に取り付けられている。
図6に戻り、対向部35は、検知部42に対向する部分であり、第1検知部42Aと対向する第1対向部35Aと、第2検知部42Bと対向する第2対向部35Bとを含んでいる。各対向部35の検知部42と対向する部分には、検知部42に向けて上方へ突出する加圧部としての凸部37が設けられている。
クッション支持部36は、本体部31の縁の部分である。連結部材30Fは、クッション支持部36がシートスプリング20B,20C(ワイヤ状部材)を覆うように、シートスプリング20B,20Cと一体に成形されている。
図8に示すように、乗員検知センサ40と板バネ部材50は、固定部材としてのクリップ93が、センサ側貫通孔43および第1貫通孔53に挿通されて、取付穴34Aに係合することで、連結部材30Fに固定されている。乗員検知センサ40および板バネ部材50は、連結部材30Fに固定されていることで、連結部材30Fに位置決めされている。また、乗員検知センサ40と板バネ部材50が連結部材30Fに固定された状態において、第2貫通孔55とエア抜き孔34Bは、互いに連通し、乗員検知センサ40の排気口45は、第2貫通孔55とエア抜き孔34Bに対向して配置されている。
シートクッションS1において、連結部材30F(対向部材)、乗員検知センサ40および板バネ部材50は、クッション部材60の下側に配置されている。そして、乗員検知センサ40の左右の検知部42は、それぞれ、クッション部材60と、板バネ部材50の貫通孔56を介して対向する凸部37(連結部材30F)との間に配置されている。
連結部材30Fの取付部34は、対向部35よりも上側(クッション部材60側)に突出するように設けられており、取付部34と対向部35との間には、段差38が形成されている。一方、取付部34と対向部35の下側の面は、略平らな面に形成されている。このため、取付部34は、上下方向(クッション部材60と対向する方向)における厚さが、対向部35の上下方向における厚さよりも厚く形成されている。これにより、連結部材30Fの、特に乗員検知センサ40などが固定される取付部34の剛性を確保することができ、乗員検知センサ40などを安定して取り付けることができる。クッション支持部36は、その上部が取付部34の上面よりも上側に突出するように設けられ、クッション部材60を支持している。凸部37は、略球面形状をなし、その径D1(最大径)が乗員検知センサ40の検知部42の径D2よりも大きくなるように形成されている。
板バネ部材50は、左右方向の長さが、乗員検知センサ40よりも長くなるように形成されている。このため、押圧部51の左右方向外側(板バネ部材50の検知部42側)の端部50Eは、左右方向において、検知部42よりも基部41(乗員検知センサ40の中央)から離れた位置、具体的には、検知部42よりも外側の位置に配置されている。板バネ部材50に設けられた貫通孔56は、その径D3が、検知部42の径D2よりも大きくなるように形成されている。また、貫通孔56の径D3は、凸部37の径D1よりも大きくなるように形成されている。これにより、凸部37は、貫通孔56に容易に入り込み可能となっている。
板バネ部材50は、各押圧部51(検知部42と対向する端部)が、左右方向内側から外側に向かうにつれて、上側に向かうように滑らかに湾曲する形状に形成されている。このため、板バネ部材50の上に配置された乗員検知センサ40は、左右方向中央部が連結部52を介して連結部材30Fに固定され、左右両端部が押圧部51によって下から支持されていることで、図8に示す乗員が座っていない状態で、検知部42が凸部37から離れるように、左右方向内側から外側に向かうにつれて、上側に向けて湾曲している。なお、板バネ部材50は、連結部材30Fに取り付けられる前の状態において、その全体が湾曲する形状に形成されていてもよいし、連結部52が平らであり、押圧部51だけが湾曲する形状に形成されていてもよい。
板バネ部材50は、クッション部材60を上側に向けて押圧することでクッション部材60と対向部35との間に隙間を形成している。より詳細には、第1押圧部51Aが、クッション部材60を上側に向けて押圧することでクッション部材60と第1対向部35Aとの間に隙間を形成し、第2押圧部51Bが、クッション部材60を上側に向けて押圧することでクッション部材60と第2対向部35Bとの間に隙間を形成している。
乗員検知センサ40は、乗員が座っていない状態では、板バネ部材50に貫通孔56が設けられていることで、検知部42がクッション部材60に強く押圧されないため、OFF状態となっている。
車両用シートSに用いられる、シートクッションS1のクッション部材60は、ウレタンフォームからなるパッド材61と、不織布からなるシート材62とを備えている。シート材62は、当該シート材62に対向するように架設されたシートスプリング20や、シート材62に対向するように配置された連結部材30F、板バネ部材50などとの接触によってパッド材61が傷むのを抑制するために設けられており、パッド材61の下側の面の略全体を覆うように配置されている。
図9に示すように、車両用シートS(シートクッションS1)に乗員が座ると、表皮70およびクッション部材60が乗員の大腿部Tによって下に押されることで、クッション部材60の下側の面が、左右の検知部42および押圧部51を下に押しつける。そうすると、左右の検知部42が、それぞれ、クッション部材60と、連結部材30Fの対向部35、より詳細には、板バネ部材50の貫通孔56に入り込んだ凸部37とで挟まれることで、クッション部材60と対向部35との間で検知部42に凸部37から圧力が加えられ、一対の電極E1,E2(図7参照)が接触する。これにより、乗員検知センサ40は、ON状態となり、乗員が座っていることを検知する。
連結部材30Fが凸部37(加圧部)を備えることで、乗員が座ったときに、検知部がクッション部材と平らな面とで挟まれるような構成と比較して、検知部42に加えられる圧力が大きくなるため、一対の電極E1,E2をより確実に接触させることができる。これにより、乗員が座ったときに乗員検知センサ40を良好に作動させることができる。一方で、凸部37は、略球面形状をなしているので、検知部42に対し局部的に大きな荷重がかかることを抑制することができる。
一対の電極E1,E2が接触するときに乗員検知センサ40の排気口45から排出された空気は、第2貫通孔55とエア抜き孔34Bを通って連結部材30Fの下に排出される。このような第2貫通孔55とエア抜き孔34Bを有することで、乗員検知センサ40から排出される空気を良好に逃すことができる。特に、第2貫通孔55とエア抜き孔34Bが、固定のための一対の第1貫通孔53または一対の取付穴34Aの間に設けられているので、乗員検知センサ40と板バネ部材50を連結部材30Fに取り付けたときに、これらを排気口45、第2貫通孔55およびエア抜き孔34Bの周りで密着できるので、乗員検知センサ40から排出される空気をより良好に逃がすことができる。
以上説明した本実施形態によれば、経年劣化などによってクッション部材60の弾性が低下し、例えば、対向部35側に垂れ下がるように変形した場合であっても、図8に示したように、板バネ部材50によってクッション部材60と対向部35との間に隙間を形成することができる。これにより、乗員が座っていないときに検知部42がクッション部材60と対向部35とによって挟まれることによる、乗員検知センサ40の誤検知を抑制することができる。
また、乗員検知センサ40と板バネ部材50が連結部材30F(同一の部材)に位置決めされているので、乗員検知センサ40と板バネ部材50の位置精度を向上させることができる。これにより、クッション部材60と対向部35との間の、検知部42が配置されている箇所に隙間を良好に形成でき、誤検知をより抑制することができる。
また、クリップ93によって乗員検知センサ40と板バネ部材50をまとめて連結部材30Fに取り付けることができるので、部品点数を削減することができるとともに、乗員検知センサ40と板バネ部材50の位置精度をさらに向上させて誤検知をより抑制することができる。
また、板バネ部材50の端部50Eが検知部42よりも左右方向外側に配置されているので、上側から見て、クッション部材60の検知部42と重なる部分全体を板バネ部材50によって上側に向けて押圧することができる。これによっても、クッション部材60と対向部35との間の、検知部42が配置されている箇所に隙間を形成できるので、誤検知をより抑制することができる。
図9に示したように、乗員が座ったときには、検知部42がクッション部材60と対向部35に設けられた凸部37とで挟まれることで乗員を検知するので、検知部がクッション部材と平らな面とで挟まれるような構成と比較して、乗員検知センサ40による検知の精度を向上させることができる。
また、凸部37の径D1が検知部42の径D2よりも大きいので、凸部37が検知部42に安定して接触し、検知部42に良好に圧力を加えることができるため、検知の精度をより向上させることができる。
一方で、図8に示したように、取付部34が対向部35よりも上側に突出しているので、乗員が座っていないときには検知部42に荷重がかかりにくいため、クッション部材60に小さな荷重がかかるだけでは乗員がいるとは検知されず、全体として検知の精度をより向上させることができる。
また、取付部34と対向部35との間に段差38が形成されていることで、検知部42の上下方向への移動量(遊び)を確保できるので、やはり、クッション部材60に小さな荷重がかかるだけでは乗員がいるとは検知されず、検知の精度を一層向上させることができる。
また、乗員検知センサ40は、乗員が座っていない状態で検知部42が凸部37から離れるように湾曲しているので、検知部42と凸部37との間に空間を確保することができる。これによっても、クッション部材60に小さな荷重がかかるだけでは乗員がいるとは検知されず、検知の精度をより向上させることができる。
また、クッション支持部36が取付部34よりも上側に突出しているので、乗員が座っていないときには、クッション部材60と、取付部34や対向部35との間に空間を確保することができる。これにより、クッション部材60に小さな荷重がかかるだけでは乗員がいるとは検知されず、検知の精度を一層向上させることができる。
図4(a)に示したように、乗員検知センサ40が連結部材30Fを介してパンフレーム12に支持されているので、簡易な構成で乗員検知センサ40を安定して支持することができる。これにより、乗員検知センサ40を安定して作動させることができるので、乗員検知センサ40による検知の精度を向上させることができる。
また、図5に示したように、連結部材30Fがパンフレーム12に支持された状態で、挟持部32Aが突出部12Dを挟んで配置されているので、連結部材30Fの位置を安定させることができ、乗員検知センサ40をより安定して支持することができる。
また、図6に示したように、連結部材30Fが突出部12Dを受け入れ可能な凹部33を有するので、挟持部32Aおよび凹部33が突出部12Dを左右から挟むことで、連結部材30Fの位置をより安定させることができ、乗員検知センサ40を一層安定して支持することができる。
図4(a)に示したように、シートスプリング20を連結する連結部材30Fがパンフレーム12に支持されているので、シートスプリング20の撓みすぎを抑制することができる。これにより、車両用シートSの座り心地を向上させることができる。
また、連結部材30Fの前端部が支持部12Aに接触して支持され、後端部が第2延出部12Cから離間して配置されているので、シートスプリング20の撓みすぎを抑制しつつもシートスプリング20の撓み量を確保することができる。これにより、座り心地をより向上させることができる。
また、図3に示したように、連結部材30Fがシートスプリング20B,20Cの左右延設部21同士を連結しているので、左右延設部21同士の距離を規定することができる。これにより、シートスプリング20の撓み量の調整が可能となるため、座り心地をより向上させることができる。
また、連結部材30Fが左右方向中央に設けられているので、連結部材30Fで荷重をバランス良く受けることができ、座り心地を一層向上させることができる。
また、隣接して配置された2つのシートスプリング20が左右対称に形成されているので、左右方向中央を基準として、シートスプリング20を全体としてバランス良く撓ませることができ、座り心地をより一層向上させることができる。
以上に発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、連結部材30Fに設けられた凸部37の径D1(最大径)が乗員検知センサ40の検知部42の径D2よりも大きい構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、凸部37の径D1(最大径)は、検知部42の径D2よりも小さい構成であってもよい。これによれば、凸部37の大径化(大型化)を抑制できるので、連結部材30Fや乗員検知センサ40のコンパクト化を図ることが可能となる。
前記実施形態では、凸部37が略球面形状をなしていたが、これに限定されるものではない。例えば、凸部は、略円柱形状をなし、角部分が曲面形状に面取りされたような構成であってもよい。
前記実施形態では、乗員が座ったときに、クッション部材60と対向部35との間で検知部42に圧力を加える加圧部として、対向部35に一体に設けられた凸部37を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、加圧部は、乗員検知センサの検知部と、平らな対向部との間に配置され、乗員検知センサおよび対向部の少なくとも一方に貼り付けるなどして取り付けられた円盤状の発泡弾性体などであってもよい。
前記実施形態では、図8に示すように、シートスプリング20の上部と取付部34の上面とが略同じ高さ位置に配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、シートスプリング20(ワイヤ状部材)は、その上部が取付部34の上面よりも上側(クッション部材60側)に突出するように配置されていてもよい。なお、この構成では、シートスプリング20を覆うクッション支持部36も、その上部が取付部34の上面よりも上側に突出するように配置される。このような構成によっても、乗員が座っていないときには、クッション部材60と、取付部34や対向部35との間に空間を確保できるので、クッション部材60に小さな荷重がかかるだけでは図示しない乗員検知センサによって乗員がいるとは検知されず、検知の精度を向上させることができる。また、クッション支持部36がシートスプリング20を覆うように設けられていることで、連結部材30Fの剛性を高めることができる。
前記実施形態では、乗員検知センサ40は、平らな形状をなし、板バネ部材50によって下から支持されることで、乗員が座っていない状態で、検知部42が凸部37から離れるように湾曲していたが、これに限定されるものではない。例えば、図12(a)に示すように、乗員検知センサ40は、それ自体が、乗員が座っていない状態で、検知部42が凸部37から離れるように、左右方向内側から外側に向かうにつれて、上側に向けて湾曲する形状に形成されていてもよい。また、図12(b)に示すように、乗員検知センサ40は、乗員が座っていない状態で、検知部42が凸部37から離れるように、左右両端部が中央部に対し左右方向外側の斜め上側に向けて延びるように屈曲する形状に形成されていてもよい。このような構成によれば、乗員が座っていないときには検知部42と凸部37との間に空間を確保可能となるので、図示しないクッション部材に小さな荷重がかかるだけでは乗員がいるとは検知されず、検知の精度をより向上させることができる。
前記実施形態では、板バネ部材50が、クッション部材60と第1対向部35Aとの間に隙間を形成する第1押圧部51Aと、クッション部材60と第2対向部35Bとの間に隙間を形成する第2押圧部51Bと、第1押圧部51Aと第2押圧部51Bを一体に連結する連結部52とを有する1つのバネ部材であったが、これに限定されるものではない。例えば、クッション部材と第1対向部との間に隙間を形成するバネ部材と、クッション部材と第2対向部との間に隙間を形成するバネ部材とを別々に備える構成であってもよい。なお、前記実施形態のように、第1押圧部51Aと第2押圧部51Bが一体に連結された構成によれば、バネ部材を別々に備える構成と比較して、板バネ部材50の組み付け性を向上させることができる。
前記実施形態では、板バネ部材50が、乗員検知センサ40の排気口45に対向するエア流路として、第2貫通孔55(貫通孔)を有していたが、これに限定されず、例えば、板バネ部材は、溝状のエア流路を有していてもよい。また、前記実施形態では、板バネ部材50が、検知部42に対向する開口として、貫通孔56を有していたが、これに限定されず、例えば、板バネ部材は、切欠状の開口を有していてもよい。
前記実施形態では、乗員検知センサ40と板バネ部材50を連結部材30Fに固定する固定部材として、クリップ93を例示したが、これに限定されず、例えば、固定部材は、ネジやピンなどであってもよい。
前記実施形態では、連結部材30Fは、その一部(本体部31の前端部と挟持部32A)がパンフレーム12に接触してパンフレーム12に支持されていたが、これに限定されるものではない。例えば、連結部材は、その全体がパンフレームに接触してパンフレームに支持されていてもよい。
前記実施形態では、乗員検知センサ40を支持するセンサ支持部材として、シートスプリング20B,20Cを連結する連結部材30Fを例示したが、これに限定されず、センサ支持部材は、シートスプリングを連結する部材以外の部材であってもよい。同様に、前記実施形態では、クッション部材60の乗員側とは反対側に配置される対向部材として、連結部材30Fを例示したが、これに限定されず、対向部材は、シートスプリングを連結する部材以外の部材であってもよい。また、センサ支持部材と対向部材は、同一の部材ではなく、別々の部材であってもよい。
前記実施形態では、シートスプリング20や連結部材30F、乗員検知センサ40、板バネ部材50が、シートクッションS1に設けられた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、シートスプリングや連結部材(センサ支持部材・対向部材)、乗員検知センサ、板バネ部材(バネ部材)は、シートバックに設けられていてもよい。この場合は、前側が「乗員側」に相当し、後側が「乗員側とは反対側」に相当する。
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、乗物用シートは、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などで使用されるシートであってもよい。