JP4734055B2 - アセチレン性三重結合を有するモノマーの重合体、これを用いる膜形成用組成物、絶縁膜および電子デバイス - Google Patents
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Description
ポリアリーレン(エーテル)を基本骨格とする高耐熱性樹脂が知られているが、高速デバイスを実現するためには更なる低誘電率化が望まれている(特許文献1)。
<1>
ジアマンタン骨格に直接下記(A)および(B)の置換基が結合した構造を有するモノマーを原料とし、下記(A)の置換基のみを重合して得られることを特徴とする重合体。
(A) 1つの−C≡CH
(B) 1つ以上の下記式(I)で表される置換基
式(I) −C≡C−R
[式(I)中、Rは加熱によってヘテロリティックまたはホモリティックに解裂して−C≡Cラジカルまたは−C≡CHを生じせしめる置換基を表す。]
<2>
式(I)で表される置換基において、Rがシリル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基およびアシル基から選ばれることを特徴とする<1>に記載の重合体。
<3>
モノマーが芳香族炭素環および芳香族ヘテロ環の少なくともいずれかを含むことを特徴とする<1>または<2>に記載の重合体。
<4>
重合体が、ロジウム触媒、タングステン触媒またはモリブデン触媒を用いて重合する工程を経て得られたものであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の重合体。
<5>
シクロヘキサノンに25℃で3質量%以上溶解することを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の重合体。
<6>
<1>〜<5>のいずれかに記載の重合体と塗布溶剤を含む膜形成用組成物。
<7>
<6>に記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
<8>
<7>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
<9>
ジアマンタン骨格に直接下記(A)および(B)の置換基が結合した構造を有するモノマーを原料とし、
1)有機溶媒中で、ロジウム触媒、タングステン触媒またはモリブデン触媒を用いて下記(A)の置換基のみを重合する工程、
2)前記1)の反応液からメタノール添加により重合体を析出させた後、ろ過する工程、
3)前記2)で得られた重合体を塗布溶媒に溶解し塗布後、100℃以上の加熱により下記(B)の置換基の脱保護(解裂)を伴う架橋反応による膜形成工程、
を経ることを特徴とする膜形成方法。
(A) 1つの−C≡CH
(B) 1つ以上の下記式(I)で表される置換基
式(I) −C≡C−R
[式(I)中、Rは加熱によってヘテロリティックまたはホモリティックに解裂して−C≡Cラジカルまたは−C≡CHを生じせしめる置換基を表す。]
<10>
絶縁膜を形成することを特徴とする<9>に記載の方法。
なお、本発明は、上記<1>〜<10>に関するものであるが、本明細書には、参考の為、その他の事項についても記載する。
式(I) −C≡C−R
式(I)中、Rは水素原子以外の置換基を表すが、該置換基は本発明の重合体に悪影響を与えるものでなければどのようなものを用いても良い。例えば、直鎖、分岐、環状のア
ルキル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、ビニル、プロペニル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、エチニル、フェニルエチニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル等)、アルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル等)、アルコキシまたはアリールオキシカルボニル基(エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル等)、カルバモイル基(エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル等)、シリル基(トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、ジメチルエトキシシリル、トリビニルシリル、ビニルジメチルシリル等)等が挙げられる。
このような好ましい置換基Rとして、例えば、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を挙げることができる。
本発明のモノマーが有する式(I)で表される基の数は、好ましくは1〜2個である。
式(I)で表される基が2つ以上含まれる時は、互いに同じでも異なっていても良い。
この中で好ましい基本母核はベンゼン、ナフタレン、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタンであり、より好ましくはベンゼン、アダマンタン、ジアマンタンであり、特に低誘電率、高機械強度の膜が得られる点でジアマンタンが好ましい。
添加量は、−C≡CH基1モルに対して0.0001〜0.1モルが好ましく、0.0005〜0.05モルがより好ましく、0.001〜0.02モルが特に好ましい。
重合温度は好ましくは−20℃〜200℃、より好ましくは0℃〜100℃、特に好ましくは10℃〜70℃である。
重合時間は好ましくは10分〜50時間、より好ましくは1時間〜24時間、特に好ましくは2時間〜12時間である。
本発明に用いることの出来る好適な塗布溶剤の例としては特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい塗布溶剤は、アセトン、プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、1,2−ジクロロベンゼンであり、特に好ましくはシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、アニソールである。
後加熱処理の条件は、好ましくは100℃以上450℃以下、より好ましくは200℃
以上430℃以下、特に好ましくは300℃以上400℃以下で、好ましくは1分〜120分、より好ましくは10分〜90分、特に好ましくは30分〜60分の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行っても良い。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナーまたはアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することも出来る。
Macromolecules., 5261-5265 (1991) に記載の合成法に従って、1,3−ジエチニルアダマンタンを合成した。次に、THF中、n−BuLiでリチウム塩とした後、クロロトリメチルシランでシリル化を行い、モノマー(A)を合成した。
重合体(P−1)1.0gをシクロヘキサノン10gに室温で完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した。この結果、膜厚0.5ミクロンの均一な膜が得られた。この膜をシクロヘキサノン中に室温で5時間浸漬したが膜厚は全く減少しなかったことから、得られた膜が硬化していることを確認した。次に膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.55であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、5.0GPaであった。
実施例1と同様の方法でモノマー(B)を合成した。
重合体(P−2)1.0gをシクロヘキサノン10gに室温で完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した。この結果、膜厚0.5ミクロンの均一な膜が得られた。この膜をシクロヘキサノン中に室温で5時間浸漬したが膜厚は全く減少しなかったことから、得られた膜が硬化していることを確認した。次に膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.45であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、6.0GPaであった。
1,3−ジエチニルベンゼンから実施例1の方法に準じてモノマー(C)を合成した。
重合体(P−3)1.0gをシクロヘキサノン10gに室温で完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過し
た後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した。この結果、膜厚0.5ミクロンの均一な膜が得られた。この膜をシクロヘキサノン中に室温で5時間浸漬したが膜厚は全く減少しなかったことから、得られた膜が硬化していることを確認した。次に膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.60であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、5.0GPaであった。
実施例1の方法に準じてモノマー(D)を合成した。
重合体(P−5)1.0gをシクロヘキサノン10gに室温で完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した。この結果、膜厚0.5ミクロンの均一な膜が得られた。この膜をシクロヘキサノン中に室温で5時間浸漬したが膜厚は全く減少しなかったことから、得られた膜が硬化していることを確認した。次に膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.42であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、6.3GPaであった。
実施例1の方法に準じてモノマー(E)を合成した。
重合体(P−6)1.0gをシクロヘキサノン10gに室温で完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した。この結果、膜厚0.5ミクロンの均一な膜が得られた。この膜をシクロヘキサノン中に室温で5時間浸漬したが膜厚は全く減少しなかったことから、得られた膜が硬化していることを確認した。次に膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.43であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、6.4GPaであった。
実施例1の方法に準じてモノマー(F)を合成した。
1,3−ジエチニルアダマンタン 1.8g、[Rh(nbd)Cl]245mg、トリエチルアミン0.1mlをトルエン100mlに溶解し、30℃で10時間反応させた。反応液をメタノールに添加して析出した重合体をろ過した結果、淡黄色の重合体を1.7g得た。この重合体はシクロヘキサノン等の有機溶媒に不溶であるため、膜を形成することが出来なかった。
1,3−ジエチニルアダマンタン 1.3g、[Rh(nbd)Cl]245mg、トリエチルアミン0.1mlをトルエン100mlに溶解し、30℃で10時間反応させた。反応液をメタノールに添加して析出した重合体をろ過した結果、淡黄色の重合体を1.2g得た。この重合体はシクロヘキサノン等の有機溶媒に不溶であるため、膜を形成することが出来なかった。
1−エチニルアダマンタン 1.6g、[Rh(nbd)Cl]245mg、トリエチルアミン0.1mlをテトラヒドロフラン100mlに溶解し、30℃で10時間反応させた。反応液をメタノールに添加して析出した重合体をろ過した結果、淡黄色の重合体(P−4)を1.0g得た。この重合体はシクロヘキサノンに25℃で5%以上溶解した。GPC測定の結果、質量平均分子量は約2万であった。
重合体(P−4)0.4gをシクロヘキサノン10gに室温で完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した。この結果、膜厚0.5ミクロンの均一な膜が得られた。この膜をシクロヘキサノン中に室温で5時間浸漬したところ膜厚が20%まで減少した。すなわち、この膜は硬膜が不十分であることがわかった。膜の比誘電率を測定した結果は2.60、またヤング率は1.5GPaであった。
Claims (10)
- ジアマンタン骨格に直接下記(A)および(B)の置換基が結合した構造を有するモノマーを原料とし、下記(A)の置換基のみを重合して得られることを特徴とする重合体。
(A) 1つの−C≡CH
(B) 1つ以上の下記式(I)で表される置換基
式(I) −C≡C−R
[式(I)中、Rは加熱によってヘテロリティックまたはホモリティックに解裂して−C≡Cラジカルまたは−C≡CHを生じせしめる置換基を表す。] - 式(I)で表される置換基において、Rがシリル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基およびアシル基から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の重合体。
- モノマーが芳香族炭素環および芳香族ヘテロ環の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の重合体。
- 重合体が、ロジウム触媒、タングステン触媒またはモリブデン触媒を用いて重合する工程を経て得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体。
- シクロヘキサノンに25℃で3質量%以上溶解することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体と塗布溶剤を含む膜形成用組成物。
- 請求項6に記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
- 請求項7に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
- ジアマンタン骨格に直接下記(A)および(B)の置換基が結合した構造を有するモノマーを原料とし、
1)有機溶媒中で、ロジウム触媒、タングステン触媒またはモリブデン触媒を用いて下記(A)の置換基のみを重合する工程、
2)前記1)の反応液からメタノール添加により重合体を析出させた後、ろ過する工程、
3)前記2)で得られた重合体を塗布溶媒に溶解し塗布後、100℃以上の加熱により下記(B)の置換基の脱保護(解裂)を伴う架橋反応による膜形成工程、
を経ることを特徴とする膜形成方法。
(A) 1つの−C≡CH
(B) 1つ以上の下記式(I)で表される置換基
式(I) −C≡C−R
[式(I)中、Rは加熱によってヘテロリティックまたはホモリティックに解裂して−C≡Cラジカルまたは−C≡CHを生じせしめる置換基を表す。] - 絶縁膜を形成することを特徴とする請求項9に記載の方法。
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