JP2006249256A - 膜形成用組成物、それを用いた絶縁膜および電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 膜形成組成物、特に、電子デバイスなどに用いられる低誘電率でかつ比誘電率の経時変化の少ない絶縁膜を形成することができる膜形成組成物、絶縁膜およびそれを有する電子デバイスを提供する。
【解決手段】 カゴ型構造を有する化合物を含み、1気圧で沸点が70℃以上110℃以下の成分が1質量%以下であることを特徴とする膜形成用組成物、それを用いた絶縁膜、および電子デバイス。
【選択図】 なし

Description

本発明は膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度等の膜特性が良好な絶縁膜形成用組成物に関し、さらには該組成物を用いて得られる絶縁膜を有する電子デバイスに関する。
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付け等の後工程に耐えうる優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。さらに、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴い、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械的強度が求められている。
高耐熱性の絶縁膜として、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドが広く知られているが、極性の高いN原子を含むため、低誘電性、低吸水性、耐久性および耐加水分解性の面では、満足なものは得られていない。
また、有機ポリマーは概して有機溶剤への溶解性の不十分なものが多く、塗布液中での析出、絶縁膜中でのブツ発生の抑制が重要な課題となっているが、溶解性を向上させるためにポリマー主鎖を折れ曲がり構造にするとガラス転移点の低下、耐熱性の低下が弊害となりこれらを両立することは容易ではない。
また、ポリアリーレンエーテルを基本主鎖とする高耐熱性樹脂が知られており(特許文献1)、誘電率は2.6〜2.7の範囲である。しかし、高速デバイスを実現するためには更なる低誘電率化が望まれて、多孔化せずにバルクでの誘電率を好ましくは2.6以下、より好ましくは2.5以下にすることが望まれている。
米国特許6509415号明細書
本発明は上記問題点を解決するための膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度等の膜特性が良好な絶縁膜形成用組成物に関し、さらには該組成物を用いて得られる絶縁膜およびそれを有する電子デバイスに関する。
上記課題が下記の<1>〜<10>の構成により解決されることを見出した。
<1> カゴ型構造を有する化合物を含み、沸点が80℃以上110℃以下の成分の含量が1質量%以下であることを特徴とする膜形成用組成物。
<2> カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする<1>に記載の膜形成用組成物。
<3> 膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率が30%以上であることを特徴とする<1>、<2>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<4> カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<5> カゴ型構造を有する化合物が下記式(I)で表される少なくとも一つの化合物の重合体である<4>に記載の膜形成用組成物。
Figure 2006249256
式(I)中、
Rは複数ある場合は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表す。
mは1〜14の整数を表す。
Xは複数ある場合は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表す。
nは0〜13の整数を表す。
<6> カゴ型構造を有する化合物が窒素原子を有さないことを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<7> 有機溶剤を含む<6>に記載の膜形成用塗布液。
<8> <7>に記載の膜形成用塗布液を用いて形成した絶縁膜。
<9> <8>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
本発明の膜形成用組成物から形成した絶縁膜は比誘電率が低く、かつその経時変化が少ないため、電子デバイスなどにおける層間絶縁膜として利用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<カゴ型構造を有する化合物>
本発明で述べる「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
本発明の膜形成組成物の沸点が1気圧で70℃以上110℃以下の成分の含量は1質量%以下である。好ましくは、0.1質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%である。このような本発明の構成要件により、絶縁膜性能を劣化させる化学的要因を化学的に取り除くことができていると推察できる。
膜形成用組成物中の以下の各構成成分の沸点が1気圧で70℃以上110℃以下の成分を低下させる処理や、媒体成分(微量の固形分が溶け込んだ場合も含む溶媒)の沸点が1気圧で70℃以上110℃以下の成分含量を低下させる処理、または、膜形成用組成物から直接低下させる処理等を行うことにより、および構成成分の選択等を行うことにより、沸点が1気圧で70℃以上110℃以下の成分の含量を1質量%以下にすることができる。また、処理方法を減少させる目的の成分にあわせて適宜選択することができる。低下させる処理の具体的な方法としては、たとえば、常圧留去または減圧留去等の蒸留、あるいはゼオライトへの吸着による方法などが挙げられる。具体的には、減圧度を微調整して蒸留を繰り返す、モレキュラーシープ5A等を利用してアルコール成分を吸着する、および、カルシウムヒドリドを用いて水を除去したりする等の方法が挙げられる。
低下させるべき成分の沸点に関しては、沸点が80℃以上110℃以下上の成分を低減させることがより好ましく、沸点が90℃以上110℃以下の成分を低減させることがさらに好ましい。
このような沸点が70℃以上110℃以下の成分としては、塩化ホスホリル、2−ブタノール、重水、1,4−ジオキサン、ニトロメタン、ぎ酸、水、トリエチルアミン、硝酸、ジクロロエタン、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−プロパノール、アセトニトリル、シクロヘキサン、ベンゼン、メチルエチルケトン、塩化チオニル、エタノール、酢酸エチル、四塩化炭素、三塩化りん、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。特にイソブチルアルコールを1質量%以下とすることが好ましい。
沸点が70℃以上110℃以下の成分の量は、たとえば、NMRやIR等の分光分析や、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等のクロマト分析、カールフィッシャー法による水分量の電気的測定などの方法で特定することができる。これらのうち、ガスクロマトグラフィーによる定量が好ましい。
本発明のカゴ型構造の総炭素数は、好ましくは10〜30個、より好ましくは11〜18個、特に好ましくは14個の炭素原子で構成される。
ここでいう炭素原子にはカゴ型構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。例えば、1−メチルアダマンタンは10個の炭素原子で構成され、1−エチルジアマンタンのカゴ型構造は14個の炭素原子で構成されるものとする。
本発明のカゴ型構造を有する化合物は飽和炭化水素であることが好ましく、好ましい例としては高い耐熱性を有している点でダイヤモンド類似構造のアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ドデカヘドラン等が挙げられ、より好ましい例としては、ジアマンタン、トリアマンタンが挙げられ、特に好ましい例としてはより低い誘電率が得られ、合成が容易である点でジアマンタンが挙げられる。
本発明におけるカゴ型構造は1つ以上の置換基を有していても良く、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等が挙げられる。この中で好ましい置換基はフッ素原子、臭素原子、炭素数1〜5の直鎖、分岐、環状のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、シリル基である。これらの置換基はさらに別の置換基で置換されていてもよい。
本発明におけるカゴ型構造は1〜4個の置換基を有することが好ましく、より好ましくは2〜3個の置換基を有し、特に好ましくは2個の置換基を有する。このとき、カゴ型構造に結合する置換基は1価以上の基でも2価以上の連結基でも良い。
本発明の「カゴ型構造を有する化合物」とは、低分子化合物であっても高分子化合物(たとえばポリマー)であっても良く、好ましいものはポリマーである。カゴ型構造を有する化合物がポリマーである場合、その質量平均分子量は好ましくは1000〜500000、より好ましくは5000〜300000、特に好ましくは10000〜200000である。カゴ型構造を有するポリマーは分子量分布を有する樹脂組成物として膜形成用組成物に含まれていても良い。カゴ型構造を有する化合物が低分子化合物である場合、その分子量は好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、特に好ましくは1000以下である。
本発明においてカゴ型構造はポリマー主鎖に1価以上のペンダント基として組み込まれても良い。かご化合物が結合する好ましいポリマー主鎖としては、例えばポリ(アリーレン)、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(エーテル)、ポリアセチレン等の共役不飽和結合鎖、ポリエチレン等が挙げられ、この中でも耐熱性が良好な点から、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリアセチレンがより好ましい。
本発明においてカゴ型構造がポリマー主鎖の一部となっていることも好ましい。すなわちポリマー主鎖の一部になっている場合には、本ポリマーからカゴ型構造を有する化合物を除去するとポリマー鎖が切断されることを意味する。この形態においては、カゴ型構造はカゴ構造間で直接単結合するかまたは適当な2価以上の連結基によって連結される。連結基の例としては例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R15)−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基を表す。これらの連結基は置換基で置換されていてもよく、例えば前述の置換基が好ましい例として挙げられる。
この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらの組み合わせである。
本発明の「カゴ型構造を有する化合物」は、その分子内にカゴ型構造を1種でも2種以上含んでいても良い。
以下に本発明の「カゴ型構造を有する化合物」の具体例を示すが、もちろん本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006249256
Figure 2006249256
本発明のカゴ型構造を有する化合物は下記式(I)で表される化合物の重合体であることが特に好ましい。
Figure 2006249256
式(I)において、
Rは複数ある場合は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基を表し、Rが水素原子以外の場合、Rはさらに別の置換基で置換されていてもよい。更なる置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。Rは好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数0〜10のシリル基である。
mは1〜14の整数を表し、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは2または3である。
Xは複数ある場合は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基を表し、Xはさらに別の置換基で置換されていても良く、さらなる置換基の例として前基Rにおけるさらなる置換基と同様のものがあげられる。Xは好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数0〜20のシリル基であり、より好ましくは臭素原子、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数0〜10シリル基である。
nは0〜13の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0または1である。
式(I)で表される化合物の具体例を下記に示す。
Figure 2006249256
本発明のカゴ型構造を有する化合物は熱により他の分子と共有結合を形成する反応性基を有していることが好ましい。このような反応性基としては、特に限定されないが例えば環化付加反応、ラジカル重合反応を起こす置換基が好ましく利用できる。例えば、2重結合を有する基(ビニル基、アリル基等)、3重結合を有する基(エチニル基、フェニルエチニル基等)、ディールスアルダー反応を起こすためのジエン基、ジエノフィル基の組み合わせ等が有効であり、特にエチニル基とフェニルエチニル基が有効である。
また、本発明のカゴ型構造を有する化合物には、モル分極率、絶縁膜の吸湿性に起因する誘電率の観点から、窒素原子を含まないことが好ましい。本願のカゴ型構造を有する化合物は、ポリイミド以外の化合物、即ちポリイミド結合、アミド結合を有しない化合物であることが好ましい。
式(I)の化合物の最適な重合反応条件は有機溶剤中で、好ましくは内温0℃〜220℃、より好ましくは50℃〜210℃、特に好ましくは100℃〜200℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、3〜10時間で行うことが好ましい。所望により、パラジウム、ニッケル、タングステン、モリブデン等の金属触媒を用いてもよい。
重合したポリマーの質量平均分子量の好ましい範囲は1000〜500000、より好ましくは5000〜300000、特に好ましくは10000〜200000である。
カゴ型構造を有する化合物は、市販のものを使用したり公知の方法で合成したものを利用できる。
本発明の組成物より形成した絶縁膜に良好な特性(誘電率、機械強度)を付与する観点から、膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜95%、さらに好ましくは60%〜90%である。ここで、膜形成用組成物に含まれる全固形分とは、この塗布液により得られる絶縁膜を構成する全固形分に相当するものである。尚、発泡剤のように絶縁膜形成後に絶縁膜中に残らないものは固形分に含めない。
本発明の膜形成用組成物は有機溶剤を含んで塗布液として用いることが出来る。
本発明に用いることの出来る好適な溶剤の例としては、特に限定はされないが、例えば1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤;メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤;メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい溶剤は、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、アニソール、メシチレンである。
本発明の塗布液の固形分濃度は、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜35質量%であり、特に好ましくは7〜20質量%である。
更に、本発明の膜形成用組成物には絶縁膜の諸特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、非イオン界面活性剤、フッ素系非イオン界面活性剤、シランカップリング剤などの添加剤を添加してもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシド、ペンチルパーオキシド、ヘキシルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、オクチルポリエチレンオキシド、デシルポリエチレンオキシド、ドデシルポリエチレンオキシド、オクチルポリプロピレンオキシド、デシルポリプロピレンオキシド、ドデシルポリプロピレンオキシド等が挙げられる。フッ素系非イオン界面活性剤としては、例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、これらの加水分解物あるいはこのものの脱水縮合物等が挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、添加剤の用途または塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.001%〜10%、より好ましくは0.01%〜5%、特に好ましくは0.05%〜2%である。
絶縁膜は本発明の塗布液をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により、基板に塗布した後、溶剤を加熱処理で除去することにより形成することができる。加熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。
本発明の塗布液を使用して得られる膜は、半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。
この塗膜の膜厚には特に制限は無いが、0.001〜100μmであることが好ましく、0.01〜10μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることが特に好ましい。
また、本発明の絶縁膜形成用塗布液に予め発泡剤を添加して多孔質膜を形成することもできる。多孔質膜を形成するために添加する発泡剤としては、特に限定されないが、例えば、該塗布液の溶媒よりも高沸点の有機化合物や、熱分解性低分子化合物、熱分解性ポリマー等が挙げられる。
発泡剤の添加量は、塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.01%〜20%、より好ましくは0.1%〜10%、特に好ましくは0.5%〜5%である。
本発明の化合物は塗布後に加熱することによって互いに架橋して、機械的強度、耐熱性に優れた絶縁膜を形成することが好ましい。この加熱処理の最適条件は、加熱温度が好ましくは200〜450℃、より好ましくは300〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、加熱時間は好ましくは1分〜2時間が好ましく、より好ましくは10分〜1.5時間であり、特に好ましくは30分〜1時間である。加熱処理は数段階で行っても良い。
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではない。
実施例で用いた化合物の構造を下記に示す。
Figure 2006249256
<合成例1>
Macromolecules 1991,24,5266に記載の方法により4,9−ジブロモジアマンタンを合成した。500mlフラスコに市販のp−ジビニルベンゼン1.30g、4,9−ジブロモジアマンタン3.46g、ジクロロエタン200ml、および塩化アルミニウム2.66gを仕込み、内温70℃で24時間攪拌した。その後、200mlの水を加え、有機層を分液した。無水硫酸ナトリウムを加えた後、固形分を濾過で除去し、ジクロロエタンを半分量になるまで減圧下で濃縮し、この溶液にメタノールを300ml加え、析出した沈殿を濾過した。質量平均分子量が約10000のポリマー(A−4)を2.8g得た。
同様にフリーデルクラフツ反応によって、質量平均分子量が約10000のポリマー(A−12)を合成した。
<実施例1>
上記のポリマー(A−4)1.0gをシクロヘキサノン5.0ml、アニソール4.0ml、および3回蒸留を繰り返した酢酸イソブチル1.0mlの混合溶剤に加熱溶解し、塗布液を調製した。得られた溶液のイソブチルアルコール含量をガスクロマトグラフィー(GC)により測定したところ、0.01質量%以下であった。また、塩化ホスホリル、2−ブタノール、重水、1,4−ジオキサン、ニトロメタン、ぎ酸、水、トリエチルアミン、硝酸、ジクロロエタン、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−プロパノール、アセトニトリル、シクロヘキサン、ベンゼン、メチルエチルケトン、塩化チオニル、エタノール、酢酸エチル、四塩化炭素、三塩化りん、トリフルオロ酢酸の各含量は検出はされたものの、含有量は合計で0.001質量%以下であった。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で150℃で60秒間加熱し、更に400℃のホットプレート上で30分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.52であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、7.2GPaであった。
このウエーハーを23℃、40%RHの雰囲気に放置し、1週間後に比誘電率を上記の方法で測定したところ、2.52であった。
<実施例2>
上記のポリマー(A−12)1.0gをガンマブチロラクトン5.0ml、アニソール4.0ml、及び3回蒸留して精製した酢酸イソブチル1.0mlの混合溶剤に加熱溶解し、塗布液を調製した。得られた溶液のイソブチルアルコール含量をガスクロマトグラフィー(GC)により測定したところ、0.01質量%以下であった。また、塩化ホスホリル、2−ブタノール、重水、1,4−ジオキサン、ニトロメタン、ぎ酸、水、トリエチルアミン、硝酸、ジクロロエタン、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−プロパノール、アセトニトリル、シクロヘキサン、ベンゼン、メチルエチルケトン、塩化チオニル、エタノール、酢酸エチル、四塩化炭素、三塩化りん、トリフルオロ酢酸の各含量は検出はされたものの、含有量は合計で0.001質量%以下であった。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で180℃で60秒間加熱し、更に300℃のホットプレート上で10分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.57であった。また、ヤング率は6.0GPaであった。
このウエーハーを23℃、40%RHの雰囲気に放置し、1週間後に比誘電率を上記の方法で測定したところ、2.57であった。
<合成例2>
ジアマンタンを原料に用いて、Macromolecules.,5262,5266(1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。次に、4,9−ジエチニルジアマンタン10gと1,3,5−トリイソプロピルベンゼン50mlとPd(PPh3)4 120mgを窒素気流下で内温190℃で12時間攪拌した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール300mlを添加した。析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。質量平均分子量20000のポリマー(A)を3.0g得た。
<実施例3>
合成例2で合成したポリマー(A)1.0gをシクロヘキサノン9.0mlおよび3回蒸留して精製した酢酸イソブチル1.0mlに溶解し、塗布液を調製した。得られた溶液のイソブチルアルコール含量をガスクロマトグラフィー(GC)により測定したところ、0.01質量%以下であった。また、塩化ホスホリル、2−ブタノール、重水、1,4−ジオキサン、ニトロメタン、ぎ酸、水、トリエチルアミン、硝酸、ジクロロエタン、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−プロパノール、アセトニトリル、シクロヘキサン、ベンゼン、メチルエチルケトン、塩化チオニル、エタノール、酢酸エチル、四塩化炭素、三塩化りん、トリフルオロ酢酸の各含量は検出はされたものの、含有量は合計で0.001質量%以下であった。この溶液を0.2ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で90秒間加熱した後250℃で60秒間加熱して、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.50ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.43であった。また、ヤング率は7.0GPaであった。
このウエーハーを23℃、40%RHの雰囲気に放置し、1週間後に比誘電率を上記の方法で測定したところ、2.43であった。
<比較例1>
酢酸イソブチルの蒸留を実施しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行って溶液を調製した。得られた溶液のイソブチルアルコール含量をGCにより測定したところ、1.1質量%であった。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で150℃で60秒間加熱し、更に400℃のホットプレート上で30分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.55であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、7.2GPaであった。
このウエーハーを23℃、40%RHの雰囲気に放置し、1週間後に比誘電率を上記の方法で測定したところ、2.75であった。
<実施例4>
比較例1と同様の操作をして溶液を調製した後、モレキュラーシーブ5Aで溶液の脱低分子不純物処理を実施した。得られた溶液のイソブチルアルコール含量をガスクロマトグラフィー(GC)により測定したところ、0.1質量%以下であった。また、塩化ホスホリル、2−ブタノール、重水、1,4−ジオキサン、ニトロメタン、ぎ酸、水、トリエチルアミン、硝酸、ジクロロエタン、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−プロパノール、アセトニトリル、シクロヘキサン、ベンゼン、メチルエチルケトン、塩化チオニル、エタノール、酢酸エチル、四塩化炭素、三塩化りん、トリフルオロ酢酸の各含量は検出はされたものの、含有量は合計で0.01質量%以下であった。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で150℃で60秒間加熱し、更に400℃のホットプレート上で30分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.53であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、7.2GPaであった。
このウエーハーを23℃、40%RHの雰囲気に放置し、1週間後に比誘電率を上記の方法で測定したところ,2.54であった。
<比較例2>
(B)のポリマー(シグマ−アルドリッチより入手)1.0gをシクロヘキサノン9.0mlおよび3回蒸留した酢酸イソブチル1.0mlに溶解し、塗布液を調製した。得られた溶液のイソブチルアルコール含量をGCにより測定したところ、0.01質量%であった。この溶液を0.2ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で90秒間加熱した後250℃で60秒間加熱して、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.50ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.71であった。また、ヤング率は3.5GPaであった。
このウエーハーを23℃、40%RHの雰囲気に放置し、1週間後に比誘電率を上記の方法で測定したところ、2.80であった。

Claims (9)

  1. カゴ型構造を有する化合物を含み、1気圧で沸点が70℃以上110℃以下の成分が1質量%以下であることを特徴とする膜形成用組成物。
  2. カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする請求項1に記載の膜形成用組成物。
  3. 膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率が30%以上であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  4. カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  5. カゴ型構造を有する化合物が下記式(I)で表される少なくとも一つの化合物の重合体である請求項4に記載の膜形成用組成物。
    Figure 2006249256
    式(I)中、
    Rは複数ある場合は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表す。
    mは1〜14の整数を表す。
    Xは複数ある場合は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表す。
    nは0〜13の整数を表す。
  6. カゴ型構造を有する化合物が窒素原子を除く構成元素よりなる化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膜形成用組成物。
  7. 有機溶剤を含む請求項1〜6のいずれかに記載の膜形成用塗布液。
  8. 請求項7に記載の膜形成用塗布液を用いて形成した絶縁膜。
  9. 請求項8に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
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