JP2006253577A - 絶縁膜、その製造方法及び該絶縁膜を有するデバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カゴ型構造を有する化合物を含有し、線膨張係数が120×10-6K-1以下である絶縁膜、カゴ型構造を有する化合物を含む膜形成用組成物に、電子線を照射して硬化させて得ることを特徴とする絶縁膜、及び該絶縁膜を有する電子デバイス。
【選択図】 なし
Description
また、有機ポリマーは概して有機溶剤への溶解性の不十分なものが多く、塗布液中での析出、絶縁膜中でのブツ発生の抑制が重要な課題となっているが、溶解性を向上させるためにポリマー主鎖を折れ曲がり構造にするとガラス転移点の低下、耐熱性の低下が弊害となりこれらを両立することは容易ではない。
また、ポリアリーレンエーテルを基本主鎖とする高耐熱性樹脂が知られており(特許文献1)、誘電率は2.6〜2.7の範囲である。しかし、高速デバイスを実現するためには更なる低誘電率化が望まれて、多孔化せずにバルクでの誘電率を好ましくは2.6以下、より好ましくは2.5以下にすることが望まれている。
<3> カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする上記<2>に記載の絶縁膜。
<5> カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする上記<2>〜<4>のいずれかに記載の絶縁膜。
<6> カゴ型構造を有する化合物が下記式(I)で表される少なくとも一つの化合物の重合体である上記<5>に記載の絶縁膜。
Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
mは1〜14の整数を表す。
Xはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
nは0〜13の整数を表す。
<8> カゴ型構造を有する化合物を含む膜形成用組成物に、電子線を照射して硬化させることを特徴とする絶縁膜形成方法。
<9> 上記<1>〜<7>のいずれかに記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
<カゴ型構造を有する化合物>
本発明で述べる「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架
橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
ここでいう炭素原子にはカゴ型構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。 例えば、1−メチルアダマンタンのカゴ型構造は10個の炭素原子で構成され、1−エチルジアマンタンのカゴ型構造は14個の炭素原子で構成されるものとする。
は例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R15)−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基を表す。これらの連結基は置換基で置換されていてもよく、例えば前述の置換基が好ましい例として挙げられる。
Rは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1から10)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)またはシリル基(好ましくは炭素数0〜20)を表す。
Rは好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数0〜10のシリル基である。
Xはさらに別の置換基で置換されていても良く、置換基の例として前述のものが挙げられる。Xは好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数0〜20のシリル基であり、より好ましくは臭素原子、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数0〜10シリル基である。
重合したポリマーの質量平均分子量の好ましい範囲は1000〜500000、より好ましくは5000〜300000、特に好ましくは10000〜200000である。
本発明に用いることの出来る好適な溶剤の例としては、特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤;アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γブチロラクトン等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤;メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシド、ペンチルパーオキシド、ヘキシルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、オクチルポリエチレンオキシド、デシルポリエチレンオキシド、ドデシルポリエチレンオキシド、オクチルポリプロピレンオキシド、デシルポリプロピレンオキシド、ドデシルポリプロピレンオキシド等が挙げられる。フッ素系非イオン界面活性剤としては、例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、これらの加水分解物あるいはこのものの脱水縮合物等が挙げられる。
溶剤は塗布後の自然蒸発による除去でもよいが、電子線照射の前に加熱処理を行ってもよい。加熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。
電子線の照射条件は加速電圧0〜50keVVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。
また、電子線の総ドーズ量は、好ましくは0〜5μCcm-2、より好ましくは0〜2μCcm-2、特に好ましくは0〜1μCcm-2である。
基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃が好ましく、特に好ましくは0〜350℃である。
圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。
基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いても良いし、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。
発泡剤の添加量は、塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.01%〜20%、より好ましくは0.1%〜10%、特に好ましくは0.5%〜5%である。
Macromolecules, 24, 5266 (1991) に記載の方法により4,9−ジブロモジアマンタンを合成した。500mlフラスコに市販のp−ジビニルベンゼン1.30g、4,9−ジブロモジアマンタン3.46g、ジクロロエタン200ml、および塩化アルミニウム2.66gを仕込み、内温70℃で24時間攪拌した。その後、200mlの水を加え、有機層を分液した。無水硫酸ナトリウムを加えた後、固形分を濾過で除去し、ジクロロエタンを半分量になるまで減圧下で濃縮し、この溶液にメタノールを300ml加え、析出した沈殿を濾過した。質量平均分子量が約10000のポリマー(A−4)を2.8g得た。
同様にフリーデルクラフツ反応によって、質量平均分子量が約10000のポリマー(A−12)を合成した。
上記のポリマー(A−4)1.0gをシクロヘキサノン5.0mlおよびアニソール5.0mlの混合溶剤に加熱溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で150℃で60秒間加熱し、更に電子線照射(Ar雰囲気、圧力100kPa、基板温度450℃、電子加速電圧20kV:電子線ドーズ量1μCcm-2:ウシオ電機社製Mini−EB)を行った。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.49であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、8.8GPaであった。理学製加熱ステージ付X線反射率測定装置を用いて絶縁膜の線膨張係数を測定したところ120×10-6K-1であった。
実施例1と同様に実験し、電子線照射条件の基板温度のみを400℃に変更したところ比誘電率は2.48、ヤング率は9.0GPa、線膨張係数は105×10-6K-1であった。
<実施例3>
実施例1と同様に実験し、電子線照射条件の基板温度のみを350℃に変更したところ比誘電率は2.40、ヤング率は9.2GPa、線膨張係数は85×10-6K-1であった。
実施例1と同様に実験し、電子線照射のみを400℃のホットプレート上の加熱に変更したところ比誘電率は2.52、ヤング率は7.2GPa、線膨張係数は160×10-6K-1であった。
上記のポリマー(A−12)1.0gをガンマブチロラクトン5.0mlおよびアニソール5.0mlの混合溶剤に加熱溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で180℃で60秒間加熱し、更に電子線照射(Ar雰囲気、圧力60kPa、基板温度350℃、電子加速電圧20kV:電子線ドーズ量1μCcm-2:ウシオ電機社製Mini−EB)を行った。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.45であった。また、ヤング率は8.5GPa、線膨張係数は40×10-6K-1であった。
ジアマンタンを原料に用いて、Macromolecules., 5262, 5266 (1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。次に、4,9−ジエチニルジアマンタン10gと1,3,5−トリイソプロピルベンゼン50mlとPd(PPh3)4 120mgを窒素気流下で内温190℃で12時間攪拌した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール300mlを添加した。析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。質量平均分子量20000のポリマー(A)を3.0g得た。
合成例2で合成したポリマー(A)1.0gをシクロヘキサノン10.0mlに溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.2ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で90秒間加熱した後250℃で60秒間加熱して、更に電子線照射(Ar雰囲気、圧力20kPa、基板温度350℃、電子加速電圧20kV:電子線ドーズ量1μCcm-2:ウシオ電機社製Mini−EB)を行った。得られた膜厚0.50ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.33であった。また、ヤング率9.3GPa、線膨張係数は18×10-6K-1であった。
ポリマー(B)(シグマ−アルドリッチより入手)1.0gをシクロヘキサノン10.0mlに溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.2ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で90秒間加熱した後200℃で60秒間加熱して、更に電子線照射(Ar雰囲気、圧力100kPa、基板温度450℃、電子加速電圧20kV:電子線ドーズ量1μCcm-2:ウシオ電機社製Mini−EB)を行った。得られた膜厚0.50ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.55であった。また、ヤング率は4.3GPa、線膨張係数は150×10-6K-1であった。
比較例2と同様に実験し、電子線照射時の基板温度のみを400℃に変更したところ比誘電率は2.50、ヤング率は5.3GPa、線膨張係数は140×10-6K-1であった。
<比較例4>
比較例2と同様に実験し、電子線照射時の基板温度のみを350℃に変更したところ比誘電率は2.60、ヤング率は5.8GPa、線膨張係数は155×10-6K-1であった。
Claims (9)
- カゴ型構造を有する化合物を含有し、線膨張係数が120×10-6K-1以下である絶縁膜。
- カゴ型構造を有する化合物を含む膜形成用組成物に、電子線を照射して硬化させて得ることを特徴とする絶縁膜。
- カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする請求項2に記載の絶縁膜。
- 膜形成用組成物中に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率が30%以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の絶縁膜。
- カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の絶縁膜。
- カゴ型構造を有する化合物が窒素原子を有さないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁膜。
- カゴ型構造を有する化合物を含む膜形成用組成物に、電子線を照射して硬化させることを特徴とする絶縁膜形成方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
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