JP2009203437A - 膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、半導体素子など電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度などの膜特性に優れた膜を提供することである。
【解決手段】脂環式炭化水素構造を有する化合物を含む膜形成用組成物を塗布し、周波数5.8GHzのマイクロウエーブを照射して形成される膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、膜およびその膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは半導体素子など電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度などの膜特性が良好な絶縁膜、およびそれを有する電子デバイスに関する。
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。そして、この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。
このような層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付けなどの後工程に耐え得る優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。さらに、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴いCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械的強度が求められている。
層間絶縁膜を形成するための樹脂組成物については、既にいくつかが提案されている。例えば特許文献1には、高耐熱性の絶縁膜としてポリアリーレンエーテルを基本主鎖とする高耐熱性樹脂が記載されている。また、例えば特許文献2には、アリール基と炭素−炭素三重結合が置換したジアダマンタンモノマー等の熱硬化性モノマーが記載されている。そして、このようなモノマーを組み込んだ樹脂は低誘電率材料となることが記載されている。しかしながら高速デバイスを実現するためには、さらなる低誘電率化が望ましい。
低誘電率化の方法として、絶縁膜中に熱分解性化合物を添加して空孔を形成し、誘電率を下げる方法が知られている。しかしながら、上記のような多孔質膜では、多孔化することにより誘電率特性が下がっても、機械強度が低下すること、吸湿による誘電率増加がおこることなどが問題になっていた。このように、絶縁膜として要求される低誘電率・機械的特性などの諸要求性能を十分に満足する材料は未だ見出されておらず、さらなる改良が必要とされていた。
特表2002−534546号公報 特表2004−504455号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決するための膜に関し、さらに詳しくは、半導体素子などの電子デバイスに用いられる誘電率、機械強度などの膜特性に優れた膜を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記課題が下記の<1>〜<6>の構成により解決されることを見出した。
<1> 脂環式炭化水素構造を有する化合物を含む膜形成用組成物を塗布し、周波数5.8GHzのマイクロウエーブを照射して形成される膜。
<2> 前記脂環式炭化水素構造を有する化合物が、カゴ型構造を有する化合物である<1>に記載の膜。
<3> 前記カゴ型構造を有する化合物が、ジアマンタン構造を有する化合物である<2>に記載の膜。
<4> 前記カゴ型構造を有する化合物が、アダマンタン構造を有する化合物である<2>に記載の膜。
<5> ジアマンタン構造を有する化合物が、一般式(1)で表される化合物の重合体であることを<3>に記載の膜。
Figure 2009203437

(一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。X はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはシリル基を表す。mは1〜14の整数を表す。nは0〜13の整数を表す。)
<6> <1>〜<5>のいずれかに記載の膜を有する電子デバイス。
本発明によれば、誘電率、機械強度などの膜特性に優れた膜が得られ、半導体素子などの電子デバイスに用いられる層間絶縁膜などに好適に利用できる。
以下に、本発明に係る膜およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明に係る膜は、脂環式炭化水素構造を有する化合物を含む膜形成用組成物を塗布し、周波数5.8GHzのマイクロウエーブを照射して形成される。
<脂環式炭化水素構造を有する化合物>
本発明の膜形成用組成物は、脂環式炭化水素構造を有する化合物を含有する。脂環式炭化水素構造を有する化合物は、吸湿性が低く、耐熱性も比較的良好である。脂環式炭化水素構造としては、単環式でも、多環式でもよく、脂環中にヘテロ原子を有していてもよい。例えば、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造などを有する化合物を挙げることができる。その炭素数は6〜30が好ましく、特に炭素数7〜25が好ましい。これらの脂環式炭化水素構造は置換基を有していてもよい。以下に、脂環式炭化水素構造のうち、脂環式部分の構造例を示す。
Figure 2009203437

Figure 2009203437

Figure 2009203437
脂環式炭化水素構造が有していてもよい置換基としては、例えば、オキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの低級アルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などを挙げることができる。また、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基は、さらに置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子など)などを挙げることができる。
<カゴ型構造を有する化合物>
脂環式炭化水素構造を有する化合物としては、カゴ型構造を有する化合物が好ましい。本発明で述べるカゴ構造とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
カゴ型構造の総炭素数は、好ましくは10〜30、より好ましくは11〜18、特に好ましくは14の炭素原子で構成される。ここでいう炭素原子にはカゴ型構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。例えば、1−メチルアダマンタンは10個の炭素原子で構成され、1−エチルジアマンタンは14個の炭素原子で構成されるものとする。
カゴ型構造は飽和炭化水素構造であることが好ましく、好ましい例としては高い耐熱性を有している点でダイヤモンド類似構造のアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ドデカヘドランなどが挙げられ、より好ましい例としてはアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタンが挙げられ、特に好ましい例としてはより低い誘電率が得られ、合成が容易である点でジアマンタンが挙げられる。
本発明におけるカゴ型構造は1つ以上の置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニルなど)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニルなど)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなど)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイルなど)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニルなど)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイルなど)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシなど)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニルなど)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリルなど)などが挙げられる。この中で好ましい置換基はフッ素原子、臭素原子、炭素数1〜5の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、シリル基である。これらの置換基はさらに別の置換基で置換されていてもよい。
本発明におけるカゴ型構造は1〜4価であることが好ましく、より好ましくは2〜3価であり、特に好ましくは2価である。このとき、カゴ型構造に結合する基は1価以上の置換基でも2価以上の連結基でもよい。ここで「価」とは、結合手の数の意である。
本発明に使用する「カゴ型構造を有する化合物」とは、低分子化合物であっても高分子化合物(たとえばポリマー)であってもよく、好ましいものはポリマーである。カゴ型構造を有する化合物がポリマーである場合、その重量平均分子量は好ましくは1000〜500000、より好ましくは5000〜300000、特に好ましくは10000〜200000である。カゴ型構造を有するポリマーは分子量分布を有する樹脂組成物として膜形成用組成物に含まれていてもよい。カゴ型構造を有する化合物が低分子化合物である場合、その分子量は好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、特に好ましくは1000以下である。
本発明においてカゴ型構造はポリマー主鎖に1価以上のペンダント基として組み込まれてもよい。カゴ型構造が結合する好ましいポリマー主鎖としては、例えば、ポリ(アリーレン)、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(エーテル)、ポリアセチレンなどの共役不飽和結合鎖、ポリエチレンなどが挙げられ、この中でも耐熱性が良好な点から、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリアセチレンがより好ましい。
本発明においてカゴ型構造がポリマー主鎖の一部となっていることも好ましい。すなわちポリマー主鎖の一部になっている場合には、本ポリマーからカゴ型構造を除去するとポリマー鎖が切断されることを意味する。この形態においては、カゴ型構造はカゴ構造間で直接単結合するかまたは適当な2価以上の連結基によって連結される。連結基の例としては例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R15)−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基を表す。これらの連結基は置換基で置換されていてもよく、例えば前述の置換基が好ましい例として挙げられる。この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらの組み合わせである。
本発明の脂環式炭化水素構造を有する化合物は、その分子内にカゴ型構造を1種でも2種以上含んでいてもよい。
以下に本発明の脂環式炭化水素構造を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2009203437
Figure 2009203437
Figure 2009203437
<一般式(1)で表される化合物>
本発明の脂環式炭化水素構造を有する化合物は、膜の耐熱性、機械強度の観点から、一般式(1)で表される化合物の重合体であることが特に好ましい。
Figure 2009203437

(一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。X はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはシリル基を表す。mは1〜14の整数を表す。nは0〜13の整数を表す。)
一般式(1)中、Rは好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表す。Rは、さらに好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは水素原子または炭素数0〜10のシリル基を表す。Rはさらに別の置換基で置換されていてもよい。置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基などが挙げられる。
一般式(1)中、Xは好ましくはハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)、シリル基(好ましくは炭素数0〜20)を表し、Xはさらに別の置換基で置換されていてもよく、置換基の例として前述のものが挙げられる。Xはさらに好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは臭素原子、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数0〜10シリル基を表す。
一般式(1)中、mは1〜14の整数を表し、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは2または3である。一般式(1)中、nは0〜13の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0または1である。
一般式(1)で表される化合物は、市販のジアマンタンを原料として、臭化アルミニウム触媒存在下または非存在下で臭素と反応させて臭素原子を所望の位置に導入、続けて臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄等のルイス酸の存在下で臭化ビニルとフリーデルクラフツ反応させて2,2−ジブロモエチル基を導入、続けて強塩基で脱HBr化してエチニル基に変換する。具体的にはMacromolecules, 1991年, 第24巻, 第5266〜5268頁、Macromolecules, 1995年, 第28巻, 第5554〜5560頁、Journal of Organic Chemistry, 39, 2995-3003(1974)などに記載された方法に準じて合成することが出来る。また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することが出来る。
一般式(1)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2009203437
Figure 2009203437
<一般式(1)で表される化合物の重合体>
一般式(1)で表される化合物の重合反応で使用する有機溶剤は、原料モノマーを溶解可能でかつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用してもよい。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエートなどのエステル系溶剤、ジブチルエーテル、アニソールなどのエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンなどのハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤などが利用できる。これらの中でより好ましい溶剤はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、アニソール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、より好ましくはテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、特に好ましくはγ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。反応用の有機溶剤の沸点は50℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上であり、特に好ましくは150℃以上である。反応液の濃度は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
一般式(1)で表される化合物の重合反応は、三重結合などの重合性基によって起こる。ここで重合性基とは、一般式(1)で表される化合物を重合せしめる反応性の置換基を指す。該重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合などが挙げられる。所望により、パラジウム、ニッケル、タングステン、モリブデン等の金属触媒を用いてもよい。重合開始剤としては有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられるが、特に有機過酸化物が好ましい。
本発明における重合反応の最適な条件は、重合開始剤、モノマー(一般式(1)で表される化合物)、溶媒の種類、濃度などによって異なるが、好ましくは内温0℃〜200℃、より好ましくは50℃〜170℃、特に好ましくは100℃〜150℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合したポリマーの重量平均分子量の好ましい範囲は、1000〜500000、より好ましくは5000〜300000、特に好ましくは10000〜200000である。
後述する膜形成用組成物を製造する際には、一般式(1)で表される化合物の重合反応を行った反応液をそのまま膜形成用組成物として用いてもよいが、反応溶媒を留去し、濃縮して用いることが好ましい。また、再沈殿処理を行った後に用いることが好ましい。
本発明の上述の化合物は、熱により他の分子と共有結合を形成する反応性基を有していることが好ましい。このような反応性基としては、特に限定されないが、例えば環化付加反応、ラジカル重合反応を起こす置換基が好ましく利用できる。例えば、2重結合を有する基(ビニル基、アリル基など)、3重結合を有する基(エチニル基、フェニルエチニル基など)、ディールスアルダー反応を起こすためのジエン基、ジエノフィル基の組み合わせなどが有効であり、特にエチニル基とフェニルエチニル基が有効である。
また、本発明の上述の化合物には、モル分極率を高めたり、絶縁膜の吸湿性の原因となる窒素原子は誘電率を高くする働きがあるため含まないことが好ましい。特に、ポリイミド化合物では充分に低い誘電率が得られないため、本発明のカゴ型構造を有する化合物は、ポリイミド以外の化合物、即ちポリイミド結合、アミド結合を有しない化合物であることが好ましい。
<膜形成用組成物>
本発明の膜形成用組成物は、脂環式炭化水素構造を有する化合物、有機溶媒や後述する添加剤など任意の構成成分を含む。
本発明の膜形成用組成物は有機溶剤を含んでいてもよく、塗布液として好適に使用することもできる。用いられる有機溶剤は特に限定はされないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール,1−メトキシー2−プロパノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン,シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロールなどのエーテル系溶剤、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。より好ましい塗布溶剤は、1−メトキシー2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル,乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシー2−プロパノール,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル,γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン,アニソールである。本発明の膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜15質量%であり、特に好ましくは3〜10質量%である。なお、固形分とは、この膜形成用組成物を塗布して得られる膜を構成する全固形分に相当するものである。なお、有機溶媒のような膜形成後に膜中に残らないものは固形分に含めない。
更に、本発明の膜形成用組成物には、得られる膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、非イオン界面活性剤、フッ素系非イオン界面活性剤、シランカップリング剤などの添加剤を添加してもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシド、ペンチルパーオキシド、ヘキシルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、オクチルポリエチレンオキシド、デシルポリエチレンオキシド、ドデシルポリエチレンオキシド、オクチルポリプロピレンオキシド、デシルポリプロピレンオキシド、ドデシルポリプロピレンオキシド等が挙げられる
フッ素系及び/またはシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)などのフッ素系界面活性剤またはシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/または(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(またはメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C13基を有するアクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体、C13基を有するアクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体、C17基を有するアクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体、C17基を有するアクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、これらの加水分解物あるいはこのものの脱水縮合物などが挙げられる。
上述の添加剤の添加量は、添加剤の用途または塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、膜形成用組成物中の質量%で好ましくは0.001%〜10%、より好ましくは0.01%〜5%、特に好ましくは0.05%〜2%である。
本発明の膜に良好な特性(誘電率、機械強度)を付与する観点から、膜形成用組成物に含まれる全固形分中の元素数に占める総炭素数の比率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。ここで、膜形成用組成物に含まれる全固形分とは、この組成物を塗布して得られる膜を構成する全固形分に相当するものである。なお、有機溶媒や発泡剤のような膜形成後に膜中に残らないものは固形分に含めない。
膜形成用組成物はフィルターろ過により、不溶物、ゲル状成分などを除いてから膜形成に用いることが好ましい。その際に用いるフィルターの孔径は0.01〜2μmが好ましく、孔径0.01〜0.5μmがより好ましく、孔径孔径0.01〜0.3μmが最も好ましい。フィルターの材質はPTFE、ポリエチレン、ナイロンが好ましく、ポリエチレンおよびナイロンがより好ましい。
上述の膜形成用組成物を、スピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法などの任意の方法により塗布する。塗布後、加熱による乾燥処理を施すことで溶媒を除去してもよい。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法,スキャン法が好ましく、特にスピンコーティング法が好ましい。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)などが好ましく使用できる。なお、乾燥処理の際には、膜が硬化しない温度条件下で実施する。具体的には、溶媒を乾燥するための加熱は100℃〜250℃で1分間以上5分間未満行うことが好ましい。乾燥処理は、条件を変えて複数回に分けて実施してもよい。乾燥処理は、条件を変えて複数回に分けて実施してもよい。乾燥雰囲気は、特に限定されず、空気中または不活性ガス(窒素、アルゴンなど)中など適宜選択される。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
使用される基板としては、特に限定されず、例えば、シリコンウエハー、SiO2ウエハー、SiNウエハー、ガラス基板,セラミックス基板,プラスチック基板などが使用目的に応じて選択される。特に、金属配線を有する基板、例えば、銅を含有する配線を有する半導体集積回路が好ましい。
膜の膜厚は、特に制限は無いが、0.001〜100μmが好ましく、より好ましくは 0.01〜10μm、特に好ましくは0.1〜1μmである。
<マイクロウエーブ照射>
本発明に係る膜は、脂環式炭化水素構造を有する化合物を含む膜形成用組成物を塗布して得られる塗布膜に周波数5.8GHzのマイクロウエーブを照射して形成される。使用されるマイクロウエーブの周波数は、いわゆるISMバンドに対応した5.8GHz帯の5,800±75MHzの周波数をさす。
マイクロウエーブの照射時間は、脂環式炭化水素構造を有する化合物などによって適宜最適な条件が選択される。
マイクロウエーブ照射時の基板温度は、250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
加熱処理をマイクロウエーブ線処理照射と同時にまたは順次行ってもよい。加熱の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した方法、RTP(Rapid Thermal Processor)などによるキセノンランプを使用した光照射加熱などを適用することができる。加熱処理の条件は、好ましくは300〜450℃、より好ましくは300〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。加熱処理は数回に分けて行ってもよい。なお、300℃以上の加熱を含む工程を加熱工程とするが、上述のスピンコート後の乾燥工程と加熱工程を一貫して行うこともできる。
より具体的には、膜形成用組成物を、例えばスピンコート法により、基板(通常は金属配線を有する基板)上に塗布し、予備熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させ、次いでマイクロウエーブ照射を行うことにより低誘電率の絶縁膜を形成できる。
本発明の膜は、多様の目的に使用することができ、特に電子デバイスへ好適に用いることができる。電子デバイスとは、半導体装置や、磁気記録ヘッドなどを含めた広範な電子機器を意味する。例えば、半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板などの電子部品における絶縁膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することができる。なかでも、半導体用層間絶縁膜に好適に使用することができる。その他、水処理用ろ過膜,土壌改質剤担体,環境浄化用光触媒担体,建築材料など様々な用途に使用することもできる。
また、本発明に使用する絶縁膜形成用塗布液に予め発泡剤を添加して多孔質膜を形成することもできる。多孔質膜を形成するために添加する発泡剤としては、特に限定されないが、例えば、該塗布液の溶媒よりも高沸点の有機化合物や、熱分解性低分子化合物、熱分解性ポリマーなどが挙げられる。発泡剤の添加量は、塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.01%〜20%、より好ましくは0.1%〜10%、特に好ましくは0.5%〜5%である。
本発明においては、脂環式炭化水素構造を有する化合物を含む膜形成用組成物を塗布し、得られた塗布膜に周波数5.8GHzマイクロウエーブを照射することにより、誘電率、機械強度など膜特性に優れた膜を得ることができる。本発明の詳細な機構については不明であるが、マイクロウエーブ照射により膜組成物中に残存している炭素―炭素二重結合や炭素―炭素三重結合などの反応性基による反応や、水素引抜反応などにより各膜組成物間での架橋構造が形成されると推測される。従来の加熱硬化処理とは異なり、膜内部までマイクロウエーブが浸透し、架橋構造が形成される。特に、周波数が5.8GHzと高いことからエネルギーも高く、より短時間で処理が進行する。
本発明の膜を半導体素子、例えば半導体集積回路の層間絶縁膜として使用する場合、マイクロウエーブ照射により非常に短時間に膜形成を行うことができるため、その生産性が飛躍的に向上する。一般には、半導体素子など精密加工されたものにマイクロウエーブ照射を行うと半導体素子へ悪影響を与えることが懸念されたが、本発明では積極的に実施しその効果を見出したものである。さらには、大規模な加熱装置などが必要なくなるため、工業的、経済的な観点からも好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制約されるものではない。
以下のGPC測定は、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF−805Lを使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で測定を行い、Mw、Mnは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
<合成例1>
Macromolecules, 5266(1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。次に、4,9−ジエチニルジアマンタン2gとジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)0.22g、t−ブチルベンゼン10mlを窒素気流下で内温150℃で7時間攪拌、重合した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール60mlに添加、析出した固体を濾過して、イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。質量平均分子量(Mw)15000の重合体(A)を0.8g得た。重合体(A)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。重合体(A)1.0gをシクロヘキサノン10gに完全に溶解させて塗布液<A>を調製した。
<合成例2>
4,9−ジエチニルジアマンタン2gと1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬工業製)0.8g、ジクロロベンゼン10mlを窒素気流下で内温100℃で8時間攪拌、重合した。反応液を室温にした後、メタノール100mlに添加した。析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。質量平均分子量(Mw)10000の重合体(B)を1.0g得た。重合体(B)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。重合体(B)1.0gをシクロヘキサノン10gに完全に溶解させて塗布液<B>を調製した。
<合成例3>
4,9−ジエチニルジアマンタンの代わりに、上記文献の合成法を参照して製造した1,6−ジエチニルジアマンタンを使用した以外は合成例1と同じ方法で重合体(C)を0.9g合成した。GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)は20000であった。重合体(C)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。重合体(C)をシクロヘキサノンに溶解させ10質量%の塗布液<C>を調製した。
<合成例4>
4,9−ジエチニルジアマンタンの代わりに、上記文献の合成法を参照して製造した1,3−ジエチニルアダマンタンを使用した他は合成例1と同じ方法で重合体(D)を0.7g合成した。GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)は20000であった。重合体(D)をシクロヘキサノンに溶解させ10質量%の塗布液<D>を調製した。
<実施例>
塗布液<A>〜<D>を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウエハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃で60秒間加熱、溶剤を乾燥させ,膜厚0.5ミクロンのブツのない均一な塗布膜<A>〜<D>を得た。
塗布膜<A>〜<D>を以下の表1の条件でマイクロウエーブ照射(マイクロ波キュアともいう)を実施した。マイクロ波キュアは、DSG社製AXOM200/300により処理を行った。また、比較例として各塗布膜を以下の表1の条件で加熱処理(熱キュアともいう)した。熱キュアは、光洋サーモ社製クリーンオーブンCLH-21CD(III)により窒素雰囲気中で実施した。
Figure 2009203437

比誘電率:測定温度25℃で、フォーディメンジョンズ社製水銀プローバ及び横河ヒューレットパッカード社製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出した。
ヤング率:MTS社ナノインデンターSA2を使用して測定した。
上記よりすべての塗布膜について熱キュア膜よりも短時間,低温の処理によって比誘電率が低く,機械強度に優れた膜がマイクロ波キュアによって形成された。

Claims (6)

  1. 脂環式炭化水素構造を有する化合物を含む膜形成用組成物を塗布し、周波数5.8GHzのマイクロウエーブを照射して形成される膜。
  2. 前記脂環式炭化水素構造を有する化合物が、カゴ型構造を有する化合物である請求項1に記載の膜。
  3. 前記カゴ型構造を有する化合物が、ジアマンタン構造を有する化合物である請求項2に記載の膜。
  4. 前記カゴ型構造を有する化合物が、アダマンタン構造を有する化合物である請求項2に記載の膜。
  5. 前記ジアマンタン構造を有する化合物が、一般式(1)で表される化合物の重合体である請求項3に記載の膜。
    Figure 2009203437

    (一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。X はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはシリル基を表す。mは1〜14の整数を表す。nは0〜13の整数を表す。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の膜を有する電子デバイス。
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